(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166567
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】電気的に溶接可能な縫合糸材料、ならびに、溶接された縫合糸ループおよび他の溶接された構造体を形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20231114BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20231114BHJP
A61L 17/10 20060101ALI20231114BHJP
A61L 17/14 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/122
A61L17/10
A61L17/14
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149957
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2020544390の分割
【原出願日】2018-11-14
(31)【優先権主張番号】62/586,108
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520165490
【氏名又は名称】イーガン・デザイン・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イーガン,トーマス・ディー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動物の身体の中に位置決めするためのデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分および第2の部分は、互いに接触して位置決めされ得、第1の部分および第2の部分は、生体適合性の導電性の熱可塑性材料をそれぞれ含み、デバイスが動物の身体の中に位置決めされているときに、および、電流が第1の部分から第2の部分へ流れるときに、第1の部分と第2の部分との間の接触のポイントにおいて、熱が電気抵抗によって発生させられ、第1の部分および第2の部分の領域を溶融させるようになっており、また、電流がその後に停止されるときに、第1の部分および第2の部分の溶融された領域が再び固化し、溶接部が第1の部分と第2の部分との間に形成される。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の身体の中に位置決めするためのデバイスであって、前記デバイスは、 ある長さの縫合糸の第1の部分および前記長さの縫合糸の第2の部分を含み、前記第1の部分および前記第2の部分は、互いに接触して位置決め可能であり、前記第1の部分および前記第2の部分は、生体適合性の導電性の熱可塑性材料をそれぞれ含み、前記第1の部分および前記第2の部分は、互いに実質的に平行に配置されて、前記第1の部分と前記第2の部分との間に線接触を結果として生じさせて前記第1の部分と前記第2の部分の間の前記縫合糸の部分はループを形成し、 前記デバイスは: 前記デバイスが動物の前記身体の中に位置決めされている状態で、前記デバイスに印加される電流に応じて、前記電流が、前記第1の部分から前記第2の部分へ流れて、前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記線接触において、電気抵抗によって熱を発生させ、 発生する前記熱は、前記線接触に隣接する前記第1の部分および前記第2の部分の領域を溶融させるのに十分であり、 前記電流の印加の停止に応じて、前記第1の部分および前記第2の部分の溶融された前記領域が再び固化し、前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記線接触にある溶接部であって、前記縫合糸のループが前記溶接部から延びる、溶接部を形成する、 ように構成される、 デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
係属中の先行特許出願への参照 本特許出願は、「ELECTRICALLY WELDABLE SUTURE MATERIAL, APPARATUS AND PROCESS FOR FORMING WELDED SUTURE LOOPS AND OTHER STRUCTURES」(代理人整理番号第US-7495-2P2号)に関してThomas Eganによって2017年11月14日に出願された係属中の先行米国仮特許出願第62/586,108号の利益を主張し、その特許出願は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、ポリマー材料を融合して有用な形状にするための電気エネルギーの使用に関し、より詳細には、動物(この用語は、人間および他の哺乳類を含むことが意図されている)の身体の中でポリマー材料を融合して有用な形状にするための電気エネルギーの使用に関し、さらにより詳細には、身体の中の組織の外科手術的な接合のために、たとえば、外科手術的な縫合および血管または臓器閉鎖などのために、ポリマー縫合糸および他の構造体を融合するための電気エネルギーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
外科的な手術では、縫合糸が典型的に使用され、組織の縁部を一緒に固定し、治癒が実質的に完了するまで、それらの組織縁部を互いに近位に維持するようになっている。縫合糸は、一般的に、接合されることになる組織の一部分を通して方向付けられ、単一のループまたはスティッチになるように形成され、それは、次いで、結び目を作られるかまたはその他の方法で(たとえば、クリンプされた締結具によって)固定され、治癒が起こるために、組織の縁部を互いに適当な関係に維持するようになっている。
【0004】
いくつかの状況では、実質的に均一なテンションの一連の個々の別個のスティッチが、組織の中に作製される。スティッチが互いに個々および別個になっているので、1つのスティッチの除去は、スティッチのすべての除去を必要とせず、または、残りのスティッチが緩められることを引き起こさない。しかし、それぞれの個々のスティッチは、創傷部の周りの適切な場所にスティッチを固定するために、個々の結び目(または、いくつかの他のスティッチ閉止デバイス、たとえば、クリンプされた締結具)を必要とする。
【0005】
たとえば、修復部位へのアクセスが制限されている臓器または組織の外科的な修復などにおいて、縫合糸の中に結び目を形成する必要なく、または、ループ閉止デバイス(たとえば、クリンプされた締結具)を利用する必要なく、縫合糸によって創傷部を閉じることが必要であるかまたは望ましい場合がある。これらの状況では、融合された縫合糸のループが、治癒が起こることを可能にするのに十分な時間の期間にわたって、創傷部縁部を十分に近位に維持するために使用され得る。
【0006】
ポリマー縫合糸は、たとえば、溶接などのような、さまざまな融合プロセスまたは接合プロセスにとりわけ適しており、ここで、縫合糸のセクションの部分的な溶融および融合を引き起こすのに十分な熱をセクションに印加すると、縫合糸のセクションは一緒に融合され得る。
【0007】
(i)熱の直接適用、または、(ii)超音波エネルギーの適用を使用して、ポリマー縫合糸のセグメントを融合するために、これまで労力が注がれてきた。
【0008】
残念なことには、熱の直接適用を介して溶接を実現することは、2つの重大な不利益に悩まされる。第1に、インサイチュでの縫合糸への熱の直接適用は、周囲の組織の望ましくない加熱を作り出す可能性がある。第2に、縫合糸への熱の直接適用によって、縫合糸の断面全体を溶融させる(それは、縫合糸を劇的に弱化させる可能性がある)ことなく、溶接されることになる縫合糸セグメント同士の間のインターフェースだけを選択的に溶融させることが困難である。
【0009】
これらの理由のために、一般的に、融合されることになるエリアまたはセクションの中の縫合糸材料の局所的な加熱を誘発させるために、インサイチュで非熱的エネルギーを縫合糸材料に印加することが好適である。とりわけ、超音波エネルギーは、縫合糸材料のセクションに効果的に印加され、縫合糸のセクションを一緒に融合または溶接するために、セクションの摩擦加熱を誘発させることが可能である。縫合糸のそのような超音波溶接は、縫合糸の直接的な熱的溶接を上回る重要な改善である可能性があり(すなわち、超音波溶接は、互いに触れる縫合糸の部分のみを溶融させ、縫合糸の全体の断面を溶融させない)、それによって、縫合糸の強度を保存するが、超音波溶接は、それ自体の2つの重大な不利益に悩まされる。第1に、超音波溶接は、嵩張る高価な機器を必要とする。そのような機器は、特定の種類の外科手術とは相性が良くない可能性があり、いずれのケースにおいても、コストを増加させる。第2に、超音波トランスデューサーおよび導波管の性質に起因して、超音波溶接は、エネルギー供給源と溶接部位との間の直線状のアクセスを必要とし、それは湾曲したまたは可撓性の器具とは相性が悪くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、先行技術に関連付けられる問題に悩まされない、身体の中に接続部(それは、接合部または溶接部とも称され得る)を形成するための新しい改善されたアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、先行技術に関連付けられる問題に悩まされない、身体の中に接続部(それは、接合部または溶接部とも称され得る)を形成するための新しい改善されたアプローチの提供および使用を含む。
【0012】
なかでも、本発明は、縫合糸結び目または他のループ閉鎖デバイスを交換するのに十分な強度および信頼性の縫合糸溶接部を作り出すための新しいおよび改善された方法および装置の提供および使用を含む。
【0013】
本発明の1つの重要な態様は、強力であり、生物学的に相性が良く、電気エネルギーを用いて溶接可能な、新しい種類のポリマー生体材料(すなわち、「電気的に溶接可能なポリマー」)の提供および使用を含む。
【0014】
本発明の別の重要な態様は、医学的に有用な構造体を作製するために身体の中でポリマーデバイスを接合するための方法の提供および使用である。
【0015】
そして、本発明の別の重要な態様は、医学的に有用な構造体を身体の中で送達および接合するための装置の提供および使用である。
【0016】
本発明のさらに別の重要な態様は、それに限定されないが、(i)電気的に溶接可能なポリマーの融合されたループ、(ii)電気的に溶接可能なポリマーの溶接された止血クリップ、および、(iii)電気的に溶接可能なポリマー締結具の連続的に送達可能なステープルのようなチェーンを含む、新規な医学的に有用な構造体の提供および使用である。
【0017】
本発明の1つの形態では、動物の身体の中に位置決めするためのデバイスであって、デバイスは、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分および第2の部分は、互いに接触して位置決めされ得、上記第1の部分および上記第2の部分は、生体適合性の導電性の熱可塑性材料をそれぞれ含み、デバイスが動物の身体の中に位置決めされているときに、および、電流が上記第1の部分から上記第2の部分へ流れるときに、上記第1の部分と上記第2の部分との間の接触のポイントにおいて、熱が電気抵抗によって発生させられ、上記第1の部分および上記第2の部分の領域を溶融させるようになっており、また、電流がその後に停止されるときに、上記第1の部分および上記第2の部分の溶融された領域が再び固化し、溶接部が上記第1の部分と上記第2の部分との間に形成されるようになっている、デバイスが提供される。
【0018】
本発明の別の形態では、生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第1の部分と生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第2の部分との間に溶接部を形成するための装置であって、装置は、 第1の電極と、 第2の電極と、 上記第1の部分および上記第2の部分を互いに接触した状態で受け入れるために第1の電極と第2の電極との間にスペースを備えて、上記第1および第2の電極を互いに対向して保持するための構造体であって、上記構造体は、非導電性になっている、構造体と、 電力供給源およびスイッチを含む電気回路であって、スイッチは、上記スイッチの閉鎖が上記第1の電極および上記第2の電極を横切って電位を印加するように配置されており、上記第1および第2の部分が動物の身体の中に位置決めされ、上記第1の電極と第2の電極との間に互いに接触して設置され、上記スイッチがその後に閉じられるときには、接触のポイントにおいて、熱が電気抵抗によって発生させられ、上記第1の部分および第2の部分の領域を溶融させるようになっており、また、上記スイッチがその後に開けられるときには、上記第1の部分および第2の部分の溶融された部分が再び固化し、溶接部が接触のポイントに形成されるようになっている、電気回路とを含む、装置が提供される。
【0019】
本発明の別の形態では、動物の身体の中に生体適合性の導電性の熱可塑性材料の2つの部分の間に溶接部を形成するための方法であって、方法は、 動物の身体の中に生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第1および第2の部分を、第1の電極と第2の電極との間に位置決めするステップであって、上記第1の部分が上記第1の電極と接触した状態になり、上記第2の部分が上記第2の電極と接触した状態になり、生体適合性の導電性の熱可塑性材料の上記第1および第2の部分が互いに接触した状態になるようになっている、ステップと、 上記第1および第2の電極を横切って、選択された量の電流を印加するステップであって、上記第1の部分と上記第2の部分との間の接触のポイントにおいて、電気抵抗によって、選択された量の熱を発生させ、上記第1および第2の部分の特定の所望の量の溶融を引き起こすようになっている、ステップと、 上記第1および第2の電極を横切る電流を停止させるステップであって、上記第1および第2の部分の溶融された領域が再び固化するようになっており、溶接部が接触のポイントに形成されるようになっている、ステップとを含む、方法が提供される。
【0020】
本発明の別の形態では、縫合デバイスのためのエンドエフェクターであって、エンドエフェクターは、 組織係合表面を有する第1のアームと、 組織係合表面を有する第2のアームとを含み、 上記第1および第2のアームのうちの少なくとも1つは、(i)上記第1および第2のアームのうちの他方に向けた移動のために構成されており、上記第1のアームの上記組織係合表面と上記第2のアームの上記組織係合表面との間に組織をクランプするようになっており、また、(ii)上記第1および第2のアームのうちの他方から離れるような移動のために構成されており、上記第1のアームの上記組織係合表面と上記第2のアームの上記組織係合表面との間にクランプされた組織を解放するようになっており、 上記第2のアームは、その中に開口部を有しており、 エンドエフェクターは、 貫通先端部を有する針であって、上記針は、(i)上記第1のアームの上記組織係合表面に向けた移動のために構成されており、上記針の上記貫通先端部を上記第1のアームの上記組織係合表面に隣接して位置決めし、それによって、上記第1のアームの上記組織係合表面と上記第2のアームの上記組織係合表面との間にクランプされた組織を貫通するようになっており、また、(ii)上記第1のアームの上記組織係合表面から離れるような移動のために構成されており、上記第1のアームの上記組織係合表面と上記第2のアームの上記組織係合表面との間にクランプされた組織から引き出すようになっている、針をさらに含み、 上記針は、上記針が上記第1のアームの上記組織係合表面に向けて移動するときに、上記第2のアームの中
の上記開口部を通過するように構成されており、また、上記針が上記第1のアームの上記組織係合表面から離れるように移動するときに、上記第2のアームの中の上記開口部を通過するように構成されている、エンドエフェクターが提供される。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の目的ならびに特徴は、より完全に開示されることになり、または、本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明によって明白にされることになり、詳細な説明は、添付の図面とともに考慮されるべきであり、図面において、同様の番号は、同様のパーツを表している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に従って形成された短い長さのフィラメント状の材料を示す概略図である(フィラメント状の材料は、本明細書で「導電性の熱可塑性縫合糸」と称される場合がある)。
【
図2A】導電性の熱可塑性縫合糸を溶接するための新規な装置を示す概略図である。
【
図2B】
図2Aの新規な装置を使用して導電性の熱可塑性縫合糸の中に溶接部を形成することを示す概略図である。
【
図3】本発明に従って形成された組織締結デバイスまたは構築体を示す概略図である。
【
図4A】インサイチュで電気的に溶接されることが意図されている成形された導電性の熱可塑性材料から作製された新規なデバイスを示す概略図である。
【
図4B】インサイチュで電気的に溶接されることが意図されている成形された導電性の熱可塑性材料から作製された新規なデバイスを示す概略図である。
【
図5A】インサイチュで電気的に溶接されることが意図されている成形された導電性の熱可塑性材料から作製された別の新規なデバイスを示す概略図である。
【
図5B】インサイチュで電気的に溶接されることが意図されている成形された導電性の熱可塑性材料から作製された別の新規なデバイスを示す概略図である。
【
図6】外科手術において使用するための新規な縫合器具を示す概略図である。
【
図7A】
図6の新規な縫合器具の遠位エンドエフェクター部分を示す概略図である。
【
図7B】
図7Aに示されている遠位エンドエフェクターのグラスパー部分の作動を示す概略図である。
【
図7C】遠位エンドエフェクターの把持表面同士の間に挟まれた組織(図示せず)を通して前進させられた針(溝部を有する)を示す概略図である。
【
図7D】針の溝部およびグラスパーの溝部の中へ縫合糸を押し込むことによって、縫合糸が前進させられた状態の、
図7Cの遠位エンドエフェクターを示す概略図である。
【
図7E】
図7Dの遠位エンドエフェクターの関節式のグリッピングメカニズムの作動を示す概略図である。
【
図7F】針が後退させられ、縫合糸前進メカニズムが反転させられた状態の、
図7Eの遠位エンドエフェクターを示す概略図である。
【
図7G】電極が縫合糸の一部分に接触するように前進させられた状態の、
図7Fの遠位エンドエフェクターを示す概略図である。
【
図7H】ナイフブレードが縫合糸を切断するように前進させられた状態の、
図7Gの遠位エンドエフェクターを示す概略図である。
【
図7I】グラスパーが再び開けられた位置にある状態の、
図7Hの遠位エンドエフェクターを示す概略図である。
【
図8A】ロボット外科手術において使用するための新規なエンドエフェクターを示す概略図である。
【
図8B】ロボット外科手術において使用するための新規なエンドエフェクターを示す概略図である。
【
図8C】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図8D】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図8E】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図8F】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターのさらなる詳細を示す概略図である。
【
図9A】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図9B】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図9C】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図9D】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図9E】
図8Aおよび
図8Bに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図10A】ロボット外科手術において使用するための別の新規なエンドエフェクターを示す概略図である。
【
図10B】
図10Aに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図10C】
図10Aに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図10D】
図10Aに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【
図10E】
図10Aに示されている新規なエンドエフェクターによって解剖学的な閉鎖が実現されていることを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、縫合糸結び目または他のループ閉鎖デバイスを交換するのに(または、その強度を強化するのに)十分な強度および信頼性の縫合糸溶接部を作り出すための新しいおよび改善された方法および装置の提供および使用を含む。
【0024】
本開示は、特定の例に関連して発明概念を説明している。しかし、その意図は、本開示と一貫する本発明概念のすべての修正例、均等物、および代替例をカバーするということである。
【0025】
本発明全般 困難な外科手術的なアクセスを伴う解剖学的な領域の中に外科用スティッチを形成することは、最小侵襲手術における挑戦である。本開示は、(たとえば、結ぶことまたは結び目を作ることの代わりに)溶接することによって縫合糸を接合する発明を説明している。これは、時間を節約し、極めて狭いスペースで行われ得る。既存の縫合糸溶接システムとは異なり、本発明は、低コスト溶接装置を使用して、曲がりくねった経路を通して(たとえば、湾曲したカテーテルなどを通して)縫合糸溶接部を送達することが可能である。開示されている本発明の態様は、ロボット外科手術システムの製造業者にとりわけ有益である可能性がある。たとえば、完全に自動化された縫合デバイスアクセサリーが、外科手術用ロボットシステムにおいて利用され得る。
【0026】
従来の「針と糸」の縫合は、手動アクセスまたは器具アクセスを必要とし、それは、時間がかかり、操縦空間を必要とし、嵩張る結び目を外科手術部位に残す。クリンプタイプの接合デバイスは、接合部位に異物(たとえば、金属クリンプ)を置き去りにし、クリンプを作動させるために必要とされる高いクリンプ力は、かなりのシャフト直径および限定されたシャフト長さを必要とする。
【0027】
熱の直接適用を利用する既存の縫合糸溶接デバイスは、望ましくない周囲の組織の加熱および/または縫合糸の弱化のリスクがある。既存の超音波縫合糸溶接デバイスは、嵩張っており、高価であり、外科手術部位への直線状のアクセスを必要とする。既存の外科手術用ロボットマニピュレーターは、時間のかかるものであり、操縦空間を必要とし、急勾配の学習曲線を有する。
【0028】
従来的に、形成された縫合糸は、針によって組織を通され、結び目によってループになるように結ばれ、創傷部を閉じ、組織の治癒を可能にする。最小侵襲手術(MIS)およびロボット外科手術は、外科医の手にアクセスしにくい身体の領域の中で縫合糸結び目を作る必要性に起因して、外科医の技能に強く要求する。結び目を作る際に外科医を支援するかまたは結び目代用品を提供する多くの外科手術用器具が開発されてきた。そのような器具は、本発明者および他者によって発明されてきた。1つの公知の器具は、縫合糸の溶接されたループの形成のためのツールを含み、別のものは、縫合糸の溶接されたループ自体を外科用締結具として考える。縫合糸を接合してスティッチにするこの方法は、アクセスが困難な身体の領域の中での縫合を促進させるが、実際には、それは、モノフィラメント縫合糸の中に溶接部を完成させるために、超音波発生器、トランスデューサー、および導波管を必要とする。この装置は、嵩張っており、高価であり、切開部のポイントから外科手術部位への直線状のアクセスを必要とする。
【0029】
本発明は、嵩張ってコストがかかる超音波機器を必要とせず、スレンダーなおよび/または湾曲したシャフトを通して送達され得る、新規な縫合糸材料および新規な溶接装置の使用を通して、これらの以前の発明を改良することを求めている。
【0030】
開示されている本発明の新規な態様は、なかでも、以下を含む。 1. 少量の簡単な低電圧電気エネルギーを使用して直接的に溶接可能な縫合糸材料、 2. 電気的に溶接可能なポリマーから構成されるフィラメント状の材料の連続的な溶接されたループを含む組織締結デバイスまたは構築体、 3. 一貫した高強度の溶接を確保するために溶接パラメーターにわたって精密な制御を提供する、電気的に溶接可能な縫合糸を溶接するための装置、 4. 隣接する組織に損傷を与えることなく身体の内側で安全に動作することができる、電気的に溶接可能な縫合糸を溶接するための装置、および、 5. 曲がりくねった経路を通して身体の遠隔の領域へ送達され得る、電気的に溶接可能な縫合糸を溶接するための装置。
【0031】
これらのおよび他の利益は、本発明の新しい材料、装置、方法、およびデバイスによって実現され得る。
【0032】
本発明の縫合糸材料態様は、外科手術用縫合糸と一貫する直径、強度、および可撓性の、ならびに、予測可能な抵抗値を有する導電性の、生体適合性材料のフィラメントから作製されている。
【0033】
本発明の装置態様は、縫合糸ループの重複部分を保持するためのメカニズムと、重複領域を通して接触圧力を適用するためのメカニズムと、重複領域を通る電流を印加および制御するためのメカニズムであって、重複領域を通過する電流によって、重複領域の局所的な加熱を引き起こし、それによって、重複領域の局所的な溶融を引き起こし、それは、次いで、溶接部を形成するように再び固化する、メカニズムとを含む。
【0034】
装置のいくつかのバージョンは、溶接プロセスの間に縫合糸テンションを維持するために縫合糸をクランプするためのメカニズムと、縫合糸ループを越えて延在する縫合糸テールをトリミングするためのメカニズムと、ユーザー(たとえば、外科医)が装置を操縦することおよび溶接プロセスを開始させることを可能にするためのコントロールを備えたハンドルと、細長い真っ直ぐな、湾曲した、関節式の、可撓性の、および/またはステアリング可能なシャフトであって、シャフトは、遠位の溶接装置を近位のハンドルに接続し、ユーザーが困難なアクセスを伴って身体の領域の中へ溶接装置を操縦することを可能にする(たとえば、MIS手順におけるものなど)、シャフトとをさらに含む。
【0035】
装置のさらなるバージョンは、制御可能にまたは自動的に組織を貫通する、縫合糸を通す、縫合糸にテンションをかける、縫合糸テールをトリミングする、および、形成された組織を締結する縫合糸ループを解放するための手段を含む。これらの手段の例は、本発明者による先行する米国特許第5,417,700号(その特許は、参照により本明細書に組み込まれている)に開示されており、個別にまたはこの新しい溶接装置と組み合わせて使用され得る。
【0036】
本発明の溶接プロセス態様は、金属の抵抗溶接またはスポット溶接と共通する多くの特性を共有しており、いくつかの重要な新規な区別を備えており、それは、それに限定されないが、医療用デバイスに必要
な低い電圧および特殊な電気的な絶縁;非金属の導電性材料とともに働く能力;および、溶接されている導電性ポリマーまたは複合材料の高度に線形化された分子鎖の高い強度を保存するように、材料溶融物の局所化および深さを制御するための手段を含む。
【0037】
本明細書で開示されている材料、装置、およびプロセスによって形成される縫合糸ループは、インサイチュで形成された連続的なループの形態の組織締結デバイスまたは構築体である。ループは、本明細書で開示されている生体適合性の導電性材料のフィラメントを含み、おおよそ円形の構成で弧を描いており、溶接部によって接合された重複領域を備えている。
【0038】
また、他の構造体も本明細書で開示されており、それは、開示されている材料から作製され、インサイチュで溶接されるが、必ずしも、ループの形態をとるかまたは均一な断面のフィラメント状の材料を含むわけではない。
【0039】
溶接可能な縫合糸および/または溶接可能な構造体を形成するために使用される材料
図1は、短い長さのフィラメント状の生体適合性材料5を示している。本発明の1つのバージョンにおいて、材料5は、断面が実質的に丸くなっているという特性を有しており、また、縫合糸直径(USP29-861)および引張強度(USP29-881)に関して米国薬局方および同等の国際規格によって決められた範囲内に入る特性を有している。材料5は、公知の抵抗を有する導電性であるという特性、および、37℃を上回る溶融温度によって溶融可能な特性(材料5が人間の身体の中で固体になっているようになっている)をさらに有している。したがって、材料5は、導電性の熱可塑性材料を含む。
【0040】
本発明の好適な形態では、材料5は、導電性添加剤と合成された熱可塑性ポリマーのモノフィラメントである。いくつかのバージョンでは、分散剤が、ポリマーマトリックスの中の導電性添加剤の均一な混合を保証するために使用される。いくつかのバージョンでは、熱可塑性のベースポリマーおよび導電性添加剤(および、必要とされる場合には、分散剤)は、溶融合成され(混合され)、押し出され、および延伸され、優れた強度および可撓性のために、実質的に線状の分子鎖を備えたモノフィラメントを作り出す。他のバージョンでは、溶融合成された(混合された)材料が、医療用途のための単一のまたはマルチパーツのデバイスへと射出成形される。いくつかのバージョンでは、熱可塑性ポリマーは、縫合糸またはインプラント材料としての使用に関して現在承認されている生体吸収性の材料(たとえば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコライド(PGA)、ポリジオキサノン(PDS)、熱可塑性の線状ポリエステル、たとえば、商標名TephaFLEX(商標)の下で販売されているようなものなど)である。他のバージョンでは、熱可塑性ポリマーは、非吸収性の材料(たとえば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)である。いくつかのバージョンでは、導電性添加剤は、不活性材料および/または無毒材料、たとえば、カーボンブラック、炭素繊維、酸化鉄(Fe2O3およびその他)、または、金属粉末もしくはナノ粒子などである。他のバージョンでは、導電性添加剤は、それに限定されないが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンを含む、真性導電性ポリマー(ICP)のうちの任意の1つである。いくつかのバージョンでは、これらの非熱可塑性ポリマーは、熱可塑性のベースポリマーと合成されている。他のバージョンでは、非熱可塑性ポリマーは、ベースポリマーフィラメントまたはパーツへのフィルムコーティングとして適用されている。いくつかのバージョンでは、導電性のコーティングは、連続的なまたはパターン化された導電性インクのコーティングである。いくつかのバージョンでは、導電性ポリマーまたは複合材は、そのコアにおける必ずしも導電性ポリマーではない別のものの外側に共押し出しされ得る。あるバージョンでは、コア材料は、共押し出しされた外側の層よりも高い溶融温度を有している。他のバージョンでは、フィラメントは、マルチストランド構造体、たとえば、導電性の熱可塑性ポリマーのマイクロフィラメントの束から作製された編み組みされた縫合糸、または、一緒に編み組みされた異なるフィラメントの複合材などであることが可能である。1つのバージョンでは、導電性のおよび非導電性のフィラメントが、単一の編み組みされた縫合糸へと組み合わせられている。別の実施形態では、変化する溶融温度および導電性のマイクロフィラメントが、一緒に編み組みされており、局所的な溶接溶融がより高い溶融温度のフィラメントを溶融させず、それによって、それらの高度に線形化された分子配向および高強度特性を保存し、強力な溶接領域を作り出すようになっている。1つのバージョンでは、高い強度の高溶融温度ポリマーフィラメントが、低溶融温度金属マトリックスの中に提供されており、ポリマーフィラメント/金属マトリックスの隣接する部分を通して電流を印加するときに、金属が融合するが、高強度フィラメントを未損傷の状態のままにするようになっている。さらに別のバージョンでは、金属縫合糸またはワイヤーが使用されるが、しかし、純粋な金属は、一般的に、導電性の熱可塑性物質よりも望ましくない。その理由は、金属の高い溶融温度、および、金属の中の高い熱伝導率は、周囲の組織への損傷のリスクがあり、金属の中に広がる溶融は、ポリマーの中に広がる溶融よりも制御することが困難である。材料のあるバージョンでは、材料フィラメントは、横断方向(サイド-トゥー-サイド)の導電性を有しているが、軸線方向(エンド-トゥー-エンド)の導電性を有しておらず、それは、溶接の前または間に縫合糸の破断の場合の迷走電流から身体を保護する利益を有している。横断方向であるが軸線方向ではない導電性特徴は、低い導電性添加剤の充填比率によって、複合材料を延伸させるかまたは引き伸ばすことから結果として生じることが可能である。その理由は、添加剤の鎖が、引き伸ばしの間に軸線方向に破断されるが、直径低減に起因して横断方向にコンパクト化され得るからである。
【0041】
本発明の1つの形態において、材料5は、導電性の熱可塑性ポリマーである。
【0042】
導電性の熱可塑性縫合糸を溶接するための装置
図2Aは、所定の長さの導電性の熱可塑性縫合糸15を溶接するための装置10を示している。所定の長さの導電性の熱可塑性縫合糸15は、第1の端部20および第2の端部25を含む。第1の端部20および第2の端部25は、接触ポイント30において重複しており、縫合糸15のループを形成するようになっている。縫合糸15のループは、接触ポイント30において適用されるクランピングメカニズム35によって、そのループ構成で保持されている。クランピングメカニズム35は、縫合糸15の第1の端部20の表面に一致する第1の電極40と、縫合糸15の第2の端部25の表面に一致する第2の電極45とを含む。スプリング50は、電極40と電極45との間に所定の力を印加し、接触ポイント30にかかる圧力を維持するようになっている。1つのバージョンでは、第1の電極40および第2の電極45は、互いに実質的に平行に配設されており、第1の縫合糸端部20と第2の縫合糸端部25との間に線接触を結果として生じさせている(図示せず)。別のバージョン(すなわち、
図2Aに示されているバージョン)では、第1の電極40と第2の電極45との間に相対的な曲率が存在しており、第1の縫合糸端部20と第2の縫合糸端部25との間に点接触を結果として生じさせている。構造的フレーム55は、クランピングメカニズムのコンポーネント(すなわち、第1の電極40、第2の電極45、およびスプリング50)を適切な場所に保持している。重要なことには、構造的フレーム55は、第1の電極40と第2の電極45との間で非導電性になっている。電気回路60は、最小でも、電力供給源65およびスイッチ70を含み、電気回路60は、
図2Aに示されているように、第1の電極40および第2の電極45に接続されており、スイッチ70を閉じることが第1の電極40および第2の電極45を横切って電圧を印加し、電流が接触ポイント30において第1の縫合糸端部20および第2の縫合糸端部25を通って流れることを可能にするようになっている。好ましくは、電力供給源60は、DCバッテリーを含むが、他のバージョンでは、電力供給源60は、絶縁変圧器および整流器を備えた外部AC電力供給源、または、低周波数もしくは高周波数AC電力供給源を含むことも可能である。
【0043】
本発明の他のバージョンでは、追加的な特徴が、装置10に追加され得、外科手術用器具としてのその使用を促進させるようになっており、追加的な特徴は、たとえば、組織貫通および縫合糸通過手段;テンショニング手段;テンション下での縫合糸との溶接を促進させるために縫合糸端部20、25を固定するためのクランピング手段;縫合糸テールトリミング手段;溶接領域乾燥ガス導入手段;細長いおよび/もしくは曲がりくねった送達シャフト;ならびに/または、外科手術用ロボットへの接続のための手動ユーザーインターフェースもしくは電気機械的なインターフェースのためのハンドルなどである。これらの追加的な手段および特徴は、当技術分野において周知であり、本発明者および他者による先行する特許(たとえば、米国特許第5,417,700号)に詳細に説明されている。
【0044】
導電性の熱可塑性縫合糸15の中に溶接部を形成するための例示目的の方法およびプロセスが、
図2Bに示されている。スイッチ70を閉じることは、電流が、第1の電極40から、第1の縫合糸端部20を通って、接触ポイント30を横切って、第2の縫合糸端部25を通って、次いで第2の電極45へ流れることを引き起こす。この回路の中の最も高い抵抗は、接触ポイント30にあり、発熱がこの領域の中に起こり、第1の縫合糸端部20および第2の縫合糸端部25の中へ広がることを結果として生じさせる。発熱は、局所的な溶融領域75を結果として生じさせ、局所的な溶融領域75は、熱が増加するにつれて、第1の縫合糸端部20および第2の縫合糸端部25の中へ広がる。1つのバージョンでは、スイッチ70が開けられており、電流は、溶融が縫合糸材料の全断面を横切って広がる前に停止させられる。これは、金属の従来の抵抗溶接(そこでは、全体的な金属厚さが、通常、溶接に関与することが望まれる)とは異なっており、それは、延伸されて押し出されたモノフィラメント縫合糸の非等方性の性質に起因する。
【0045】
縫合糸端部20、25の中への溶融貫通の最適な深さを繰り返して信頼性高く実現するために、複数のプロセス制御方法が用いられ得る。これらのプロセス制御方法の多くにおいて、
図2Aおよび
図2Bに示されている簡略図には示されていない回路およびコンポーネント(たとえば、マイクロプロセッサーおよびさまざまなセンサーなど)を参照することになるが、しかし、それらは、当業者にはよく知られている従来の様式で留置されることが仮定され得る。1つのそのようなバージョンでは、単純なタイマーが、溶接回路がスイッチオンされている時間の量を制御するために使用される。別のバージョンでは、第1および第2の電極40、45は、溶融が広がるにつれて、溶融された材料が変位させられるので、電極40、45が互いに向かって移動し、最適な量の材料が溶融されたときには、電極40、45が互いに接触するように構成されている。接触している電極は、一緒にショートし、縫合糸の周りで電流を短絡させ、加熱を停止する。次いで、電流センサーが、溶接回路を中断させるようにマイクロプロセッサーに信号を送るために使用され得る。別のバージョンでは、変位センサーが、所望の溶接変位が起こったときに回路を遮断するようにマイクロプロセッサーに信号を送るために、自己接触式電極と置換され得る。他のバージョンは、マイクロプロセッサーを通して溶接回路を制御するために温度センサーを用い、事前設定されたピーク温度または熱的分布がセンシングさ
れたときに、溶接回路を遮断する。さらに他のバージョンでは、時間センサー、変位センサー、および温度センサーの組合せが用いられ、最適な溶接パラメーターが、マイクロプロセッサーベースのアルゴリズムによって決定される。
【0046】
溶接された縫合糸によって形成された組織締結デバイスまたは構築体
図3は、インサイチュで連続的なループへと形成され、部分的な深さの溶け込み溶接によって接合された、所定の長さの導電性の熱可塑性材料を有する組織締結デバイスまたは構築体100を示している。この図では、高度に線形化された分子鎖から結果として生じる高い引張強度を有するバージンモノフィラメント(virgin monofilament)105の領域を見ることができ、高度に線形化された分子鎖(縫合糸軸線に対しておおよそ平行な線によって概念的に表されている)は、非晶質分子配向(ランダムな乱れた線によって概念的に表されている)によって溶接領域110を取り囲んでいる。バージンモノフィラメントの引張強度は、再溶融領域のものよりも著しく強い。
【0047】
テンションがループにかけられているときには、重複しているループ端部の上部部分および底部部分は、溶接領域に剪断の荷重を与えており、また、溶接領域の面積が縫合糸の断面よりも大きくなっているので、荷重を分配するためにバージンの高強度縫合糸材料が溶接領域の両側に存在している限りにおいて、この領域の中の応力は低減される。
【0048】
成形された熱可塑性材料の組織固定デバイス
図4Aおよび
図4Bは、成形された導電性の熱可塑性材料から作製されたクリップ150を示しており、それは、インサイチュで電気的に溶接され、たとえば、外科的な止血のために静脈および動脈などのような血管を閉塞させること、または、組織を一緒にクランプすることなどが可能である。
図4Aは、留置の前のクリップ150を示している。クリップ150は、凹部160を有する第1の端部155と、突出する特徴170を有する対向する第2の端部165とを含む。第2の端部165の上の突出する特徴170は、第1の端部155の上の凹部160と嵌合し、溶接溶融を開始させるために高い抵抗の接触ポイントを生成させるようになっている。
図4Bは、血管175の周りにインサイチュで溶接されたクリップ150を示している。クリップ150の上の第1の端部155および第2の端部165の向かい合う表面に適用された電極(図示せず)は、溶接溶融領域180を開始させ、第1の端部155および第2の端部165を互いに結合し、クリップ150が血管175を閉塞させるようになっている。
【0049】
図5Aおよび
図5Bは成形された導電性の熱可塑性材料から作製された別の例示目的のデバイス200、を示しており、それは、インサイチュで電気的に溶接され、中空の臓器205(たとえば、胃など)のセクションを閉塞させ、臓器が外科的に分割されることを可能にする。デバイス200は、(i)針先端部220において終端する導電性の熱可塑性の針215の列を有する第1のストリップ210と、(ii)針先端部220を受け入れるための相手側の凹部(図示せず)を有する第2のストリップ225とを含む。本発明のこのバージョンでは、装置(図示せず)が、臓器の2つの層を通して(すなわち、中空の臓器の2つの側壁部を通して)、導電性の熱可塑性の針215の第1のストリップ210を送達し、第2のストリップ225は、針先端部220が臓器を貫通して臓器から現れた後に、第1のストリップ210の針先端部220に溶接される。針215の溶融の深さを制御することによって、デバイス200の上部部分(すなわち、第2のストリップ225)と底部部分(すなわち、第1のストリップ210)との間の距離が制御され得、それによって、臓器に適用される「押しつぶし」の程度を制御し、可変の厚さを有する臓器を収容することが可能である。このように、スティッチまたは外科用ステープルの列と機能的に同様の溶接された外科用締結具が、連続的な線形のプロセスにおいて送達され得る。
【0050】
縫合器具
図6は、シャフト315によって接続されている遠位端部305および近位端部310を含む、外科手術のための縫合器具300を示している。遠位端部305は、エンドエフェクターであり、外科用スティッチの形成のために組織および縫合糸材料を操作するための機械的なおよび電気的な手段を含む。近位端部310は、シャフト315を通過するワイヤーおよびリンケージ(
図6には示されていない)を通して遠位端部305におけるスティッチ形成手段を駆動および動作させるための作動手段を含有している。シャフト315は、身体の内部の中の解剖学的構造体に到達するのに十分な長さを有しており、器具の近位端部310が身体の外側に残ったままになっており、遠位端部305が外科手術部位におけるターゲット組織に到達し、シャフト315が、たとえば、腹壁などのような身体の壁部の中の切開部を通過することによって、介在する組織およびスペースを通過する状態になっている。1つのバージョンでは(図示せず)、器具300の近位端部310は、人間の手によって保持されるように適合されたハンドルを含み、近位端部310の上の作動手段は、遠位端部305におけるスティッチ形成手段を制御するためのさまざまなボタン、トリガー、レバーなどと、縫合糸を溶接するための電力を供給するためのバッテリーとを含む。別のバージョンでは(同様に示されていない)、ハンドルは、スティッチ形成手段を駆動するためのモーター、リニアアクチュエーター、空気圧式のもしくは液圧式のシリンダー、または他の作動手段と、スティッチ形成および溶接のシーケンスを決定するためのマイクロプロセッサーによって制御される回路と、スティッチ形成プロセスを開始させるためのトリガーまたはボタンと、アクチュエーターおよび回路に給電するためのバッテリーとを含有している。さらに他のバージョンは、ハンドルおよび外部電力手段、たとえば、電源コードまたは空気圧式のもしくは液圧式のホースなどを有している。別のバージョンでは(示されている)、近位端部310は、外科手術用ロボットへの接続のための電気的なおよび/または機械的なインターフェース320を含む。
【0051】
図7Aは、外科用縫い合わせ器具300(または、他の外科用縫い合わせ器具)のための遠位エンドエフェクター305のあるバージョンを示している。遠位エンドエフェクター305は、さらに詳細に下記に議論されることになるように、組織のピースを把持するためのスライド可能なグラスパー325と、把持された組織の周りに縫合糸のループを通して溶接するための手段とを含む。
【0052】
スライド可能なグラスパー325は、所定の長さの導電性の熱可塑性ポリマーモノフィラメント縫合糸335(遠位端部337を有する)をその中に通過させるための通路330と、フック特徴340の内側に開口する溝部345を備えたフック特徴340と、フック特徴340の溝部345と整合している針孔部350とを含む。また、スライド可能なグラスパー325は、針355を通過させるためのボア352を含む。
【0053】
使用時に、および、ここで
図7Bを見ると、スライド可能なグラスパー325のフック特徴340は、近位に(すなわち、矢印357の方向に)移動させられており、第1のテクスチャー加工された把持表面360と第2のテクスチャー加工された把持表面365との間に、縫合されることになる組織(図示せず)を挟むようになっている。
【0054】
ここで
図7Cを見ると、針355は、溝部370を含み、針355が把持表面360、365の間に挟まれている組織(図示せず)を通して前進させられた後に、および、針355がフック特徴340の針孔部350の中に配設された後に、針355の中の溝部370がフック特徴340の中の溝部345と整合させられ、それによって、連続的な円形経路(すなわち、フック特徴340の溝部345、および、針355の中の溝部370による)を形成するようになっている。
【0055】
次に
図7Dを見ると、縫合糸335の遠位端部337が遠位端部337の近位の縫合糸335の一部分の上方に通って戻り、それによって、遠位エンドエフェクター305の中に捕捉された組織を通過する縫合糸のループを形成し、重複領域375において、縫合糸335の遠位端部337が縫合糸335の近位部分に接触した状態になるまで、縫合糸335は、針355の溝部370およびフック特徴340の溝部345によって形成された連続的な円形経路を通して前進させられ得る。縫合糸335は、縫合糸335に係合して円形経路を通して縫合糸335を押す、シャフト315および/もしくは器具300の近位端部310の中のモーター駆動式のローラーによって前進させられるか、または、シャフト315および/もしくは器具300の近位端部310の中の当業者に公知の他の駆動手段(図示せず)によって前進させられる。
【0056】
縫合糸のループを形成するように、縫合糸335が上述の円形経路を通して前進させられた後に、関節式のグリッピングメカニズム400が、重複領域375において、縫合糸335の近位部分に隣接して縫合糸335の遠位端部337を固く把持するために使用され得、縫合糸335の近位部分をテンショニングのために軸線方向に自由にスライドすることができるままにしている。この目的のために、および、ここで
図7Eを見ると、関節式のグリッピングメカニズム400は、第1のレバー405および第2のレバー410を含み、第1のレバー405および第2のレバー410は、それぞれ、ピン415および420の周りに枢動する。縫合糸335が針355の溝部370およびフック特徴340の溝部345を通して前進させられているときには、レバー405、410は、離して保持されており、針355の中の溝部370およびフック特徴340の円形溝部345と一致してギャップを生成させ、それによって、縫合糸のループを形成するために、縫合糸335の遠位端部337がギャップを通過することを可能にする。縫合糸335の遠位端部337が重複領域375において適切な場所になった後に、レバー405、410が縫合糸335の遠位端部337の上に閉じられ、遠位端部337を把持し、重複領域375の中の適切な場所にそれを固く保持する。レバー405、410が縫合糸335の遠位端部337をグリップする場所に配設されている第1の電極425を除いて、レバー405、410は、非導電性材料から作製されている。電極425は、縫合糸335の遠位端部337だけと電気的接触をしている。
【0057】
縫合糸335の遠位端部337が重複領域375の中でレバー405、410によってクランプされた後に、針355が後退させられ、円形経路を通して縫合糸335を前進させた縫合糸前進手段が反転させられ、縫合糸335のループを後退させるようになっており、スライド可能なグラスパー325によって把持された組織の周りに縫合糸335のループを締めるようになっている(
図7F)。
【0058】
縫合糸のループが組織(図示せず)の周りに締められると、第2の電極430が、重複領域375の中で縫合糸335の遠位端部337と重複している縫合糸の部分(すなわち、
図7Gの部分440)に接触するように前進させられる。電位が第1の電極425および第2の電極430を横切って印加され、電流が、重複している縫合糸領域375を横切って流れ、それによって、
図2Aに関連して上記に説明されている方法による加熱、溶融、および、溶接部の形成を引き起こす。
【0059】
重複している縫合糸領域375において、縫合糸335の遠位端部337を縫合糸の近位部分に溶接した後に、ナイフブレード500が、溶接部の近位の縫合糸供給を切断するように前進させられ、溶接されたループを器具300から分離するようになっている(
図7H)。次いで、スライド可能なグラスパー325のフック特徴340は、遠位に移動させられ、スライド可能なグラスパー325を再び開けるようになっており、それによって、挟まれた組
織を解放する。また、第1のレバー405および第2のレバー410が、組織を取り囲む溶接されたループスティッチ445を解放するように分離される(
図7I)。次いで、器具300の近位端部310におけるアクチュエーターは、遠位エンドエフェクター305を
図7Aの位置に戻し、器具300は、別のスティッチを形成する準備ができている。
【0060】
広範囲の追加的なデバイスおよびシステムが、開示されている材料、装置および方法を使用することが可能であり、また、本開示の範囲の中に含まれているということが理解されるべきである。
【0061】
ロボット外科手術において使用するためのエンドエフェクター
図8Aは、ロボット外科手術のための高度に関節運動されるエンドエフェクター801の中へ組み込まれる本発明のあるバージョンを示している。この実施形態は、マスターロボット制御コンソールに駐在している外科医によって遠隔から制御される4自由度(DoF)スレーブロボットエンドエフェクターを含む。主な自由度は、軸線Rの周りにロールする器具シャフト802と、軸線Pの周りにピッチ方向に関節運動する中間セクション「ナックル」803と、互いに反対に配設されている第1の(804)および第2の(805)独立して回転するツールエレメント(ヨー軸線Yの周りにそれぞれ回転する)とを含む。他のロボットエンドエフェクターは、関節式のセグメントまたは他の手段を用い、4DoF運動または5DoF運動を実現しており、本発明は、これらのデバイスにも適用する。この段落の中でこれまでに説明されているエンドエフェクターは、当技術分野に公知であり、ロボット外科手術で一般的に使用されている。ここで、本発明に独自の新規な態様を説明することになる。
【0062】
図8Bは、本発明の実施形態を示しており、それは、
図7Aから
図7Iに説明されている本発明と同じ様式で縫合糸スティッチを形成しているが、高度に関節運動されるエンドエフェクター(たとえば、
図8Aのエンドエフェクター)の追加を通して異なっている。ある実施形態では、第1の関節式の対向するツールエレメント804は、内向きに面する溝部810を備えた半円形形状の剛体であり、内向きに面する溝部810は、その遠位端部において針孔部811の中に終端している。第2のツールエレメント805は、半円形形状の針であり、半円形形状の針は、内向きに面する縫合糸溝部812と、その遠位端部において鋭い組織貫通ポイント813とを備えている。針805の遠位部分(すなわち、第2のツールエレメント805)は、ツールエレメント804の中の針受け入れ孔部811と整合するように半径814を有している。第1および第2のツールエレメント804および805が(
図8Aに示されているように)対向して閉じられているときに、内向きに面する溝部810および812は、連続的な溝部を形成しており、連続的な溝部を通して、縫合糸が前進させられ得る。
【0063】
図8Cは、エンドエフェクターによって縫合糸スティッチを形成するための手段を概略的に表示する、本発明の実施形態の部分断面図を示している。可撓性の縫合糸送達チューブ820は、ツールエレメント804および805が対向して閉じられているときに、対向するツールエレメント804および805の中の溝部810および812と整合している。縫合糸送達チューブ820の遠位端部821は、第1のツールエレメント804に対して固定されている(他の実施形態では、そのメカニズムは反転させられ得、送達チューブ820は、第2のツールエレメント805に固定され得る)。縫合糸送達チューブ820の可撓性は、関節式のエンドエフェクターの運動の全範囲の全体を通して、縫合糸送達チューブが第1のツールエレメント804とのそのアライメントを維持することを可能にする。可撓性の縫合糸送達チューブ820は、
図7Aに説明されている縫合糸通路202と同じ目的を果たし、それが可撓性になっており、エンドエフェクターの関節運動を可能にするという相違点を伴っている。
【0064】
図8D、
図8E、および
図8Fは、縫合糸グリッパー825および826の詳細図を示している。縫合糸グリッパー825および826は、縫合糸形成プロセスの中の複数の機能を提供する。ある実施形態では、それらは、エンドエフェクターの上に提供されている傾斜したガイド表面の上に配置されており(
図8D、
図8E、および
図8Fには示されていないが、グリッピングメカニズムの当業に周知の種類のものである)、グリッパー825および826が遠位に移動するときにそれらが分離し、それらが近位に移動するときにそれらが一緒になるようになっている。それらの移動は、可撓性のグリッパー作動リンケージ827によって制御されており、可撓性のグリッパー作動リンケージ827は、エンドエフェクターの運動の全範囲の全体を通してグリッパーを作動させるのに十分な可撓性を有している。グリッパー825および826は、3つの個別の位置:給送位置(
図8D)、クランプ/溶接位置(
図8E)、および解放/切断位置(
図8F)へと移動する。給送位置(
図8D)では、グリッパーが、部分的に分離されており、縫合糸がグリッパー同士の間を通ることを可能にし、クランプ/溶接位置(
図8E)では、グリッパー表面の中のステップ828が、一緒になり、ループテンショニングおよび溶接のために、縫合糸ストランドの遠位端部(すなわち、縫合糸ストランドの重複部分)をクランプおよび保持しており、解放/切断位置(
図8F)では、グリッパーが、縫合糸の溶接されたループを解放するのに十分に幅広く分離しており、鋭いカッター表面829が遠位にスライドし、給送チューブ820から出てくる縫合糸供給から自由になるように、溶接された縫合糸ループを切り取る。
【0065】
また、
図8Cは、可撓性の電極リンケージ831によって遠位におよび近位に作動させられる溶接電極830を示しており、可撓性の電極リンケージ831は、エンドエフェクターの運動の全範囲の全体を通して溶接電極の移動を制御するのに十分な可撓性を有している。ある実施形態では、縫合糸グリッパー825および826は、クランプされた位置に保持されている重複している導電性の縫合糸セグメントの遠位側に接触しているグリッパーの遠位表面を除いて、電気的に絶縁されている。電極830は、クランプされた位置に保持されている重複している導電性の縫合糸セグメントの近位側と接触させられ得る遠位表面の一部分を除いて、電気的に絶縁されている。ある実施形態では、(グリッパー825および826の)可撓性の作動リンケージ827および(電極830の)831のいずれかまたは両方が、絶縁されており、また、導電性になっており、グリッパーまたは電極のいずれかに、または、その両方に電気エネルギーを送達するように配置されている。他の実施形態では、別個の可撓性の絶縁されたワイヤーが、グリッパー825および826および/または電極830のいずれかまたは両方に電気エネルギーを送達する。一方のエレメント(すなわち、グリッパー825および826、または、電極830)だけが絶縁された導電体を有する実施形態では、他方のエレメント(すなわち、電極830、または、グリッパー825および826)が、器具シャフトを通してグランドに接続され得、また、コンポーネントに接続され得る。電位が、グリッパー表面の絶縁されていない部分と電極との間に印加され、電流が重複している導電性の縫合糸セグメントを通って流れることを引き起こし、それによって、縫合糸セグメント同士の間のインターフェースにおいて局所的な溶融を引き起こし、縫合糸セグメント同士の間に溶接された接続を結果として生じさせる。重複している導電性の縫合糸セグメントが、連続的な縫合糸ループのいずれかの端部である場合に、溶接されたスティッチが形成される。
【0066】
図9Aから
図9Eは、ロボット制御コンソールにおいて外科医によって見られ得るような、身体の中の本発明の実施形態を図示している。
【0067】
図9Aは、外科医がスティッチによって閉じたいと考える組織901の中の開口部900を示している。制御コンソールの上のマスターロボットにおける外科医の手および手首の移動は、身体の中の器具エンドエフェクター801によって再現される。外科医の親指および人差し指の移動は、ツールエレメント804および針805によって再現される。外科医は、縫い合わされることになる組織開口部にまたがって、ツールエレメント804および針805を位置決めする。
【0068】
図9Bは、外科医が親指および人差し指をくっつけることに応答して、対向して閉じられているツールエレメント804および針805を示している。針805は、組織開口部の両側を通って貫通しており、針805からツールエレメント804へ連続的な円形溝部(すなわち、結合した円形溝部812および810)を完成させている。外科医が針設置によって確定されたスティッチ場所に満足した場合には、外科医は、フットスイッチを押圧することによって、または、音声作動式のコマンドによって、または、アクションを開始させるために利用可能な他の手段によって、スティッチプロセスを開始させる。ある実施形態では、スティッチプロセスは、完全に自動化されたシーケンスである。他の実施形態では、いくつかのステップは、シーケンスの中で自動的に開始させられ、他のステップは、外科医によって開始させられる。このシーケンスの中の第1のステップは、可撓性の縫合糸送達チューブ820に接続されている縫合糸前進メカニズムの活性化であり、それは、縫合糸ループのための重複領域を形成するための追加的な材料をプラスした、ツールエレメント804および針805の連続的な内向きに面する溝部(すなわち、結合した円形溝部810および812)の周囲部に等しい、固定された長さの導電性の縫合糸を前進させる。シーケンスの中の次のステップは、作動メカニズムの活性化であり、作動メカニズムは、可撓性のグリッパー作動リンケージ827ならびに縫合糸グリッパー825および826に接続されており、給送位置(
図8D)からクランプ/溶接位置(
図8E)へグリッパーを移動させ、それによって、重複領域の中の前進させられた縫合糸の遠位端部をグリップする。
【0069】
図9Cは、ツールエレメント804および針805を示しており、ツールエレメント804および針805は、開けられており、組織から解放されており、導電性の縫合糸905が組織開口部の両側を通されたままにしている。ある実施形態では、この運動は、制御コンソールにおける外科医によって、親指および人差し指の分離によって制御される。別の実施形態では、ツールエレメント804および針805の分離は、自動化された縫い合わせプロセスの一部として、ロボットによって自動的に開始させられる。
【0070】
図9Dは、縫合糸前進メカニズムの反転によってテンションをかけられている縫合糸ループを示している。ある実施形態では、テンショニングは、自動的に開始させられ、縫合糸は、所定のまたはプログラムされたテンション値まで引っ張られる。別の実施形態では、外科医は、トリガー、スライドメカニズム、フットスイッチ、または同様の手段などのような、制御手段を通してテンショニングプロセスを制御する。ある実施形態では、制御手段は、触知性の触覚フィードバックを含み、スティッチの所望のテンションを実現するために、外科医が縫合糸を引っ張る感覚を有するようになっている。ツールエレメント804および針805の分離がロボットによって自動的に実施される実施形態では、外科医は、ツールエレメント804および針805の運動を制御することから一時的に解除されている自身の親指および人差し指の分離によって、触覚フィードバックを通してテンションを制御し、テンションを感じる。所望のまたは所定のテンションが実現されると、可撓性の電極リンケージ831に接続されているアクチュエーターの開始によって、溶接プロセスが開始させられる。電極830は、所定の接触力によって、導電性の縫合糸ループの重複領域の近位側と接触さ
せられる。次いで、電流が、重複領域を通され(すなわち、電極830とグリッパー825および826との間に電流を通すことによって)、重複領域の中の縫合糸セグメント同士の間のインターフェースが局所的に溶融および融合して溶接部になることを引き起こす。
【0071】
図9Eは、縫い合わせシーケンスの最終的なステップを示しており、そこでは、テンションをかけられた溶接されたループ906が、縫合糸送達チューブ820から出ていく縫合糸供給から自由になるように切断され、クランプ/溶接位置(
図8E)から切断/解放位置(
図8F)への縫合糸グリッパー825および826の作動および移動によってエンドエフェクターから解放されている。
【0072】
図10Aは、一体化された組織把持および操作能力を備えた実施形態を示している。エンドエフェクターのこの実施形態は、第1のツールエレメント804と、針805と、第2の対向する中空のツールエレメント1000とを有している。中空のツールエレメント1000は、針805がそれを通って回転するのに十分に大きい開口部1001と、尖っていないまたはテクスチャー加工された非組織貫通端部1002とを含み、非組織貫通端部1002は、ツールエレメント804の上の対応する尖っていないまたはテクスチャー加工された非組織貫通端部1003に直接的に対向して整合している。
【0073】
図10Bから
図10eは、ロボット制御コンソールにおける外科医によって身体の中に見られ得るような、組織把持および操作能力を備えたエンドエフェクター(すなわち、
図10Aのエンドエフェクター)の実施形態を示している。
【0074】
図10Bは、組織を把持することに備えて分離されている第1および第2の対向するツールエレメント804および1000を示している。針805は、中空のツールエレメント1000の外側にあり、針先813(
図10Bには示されていない)は、中空の開口部1001の中に保護されている。対向するツールエレメントの運動は、外科医の親指および人差し指の移動によって制御され、針804は、中空のツールエレメント1000とともに移動し、中空のツールエレメント1000によってその保護された配向を維持し、一方、外科医は、外科手術用鉗子によってそれを行うように、組織を把持および操作する。
【0075】
図10Cは、外科医がスティッチを設置したいと考える場所において組織を把持している対向するツールエレメント804および1000を示している。対向するツールエレメント804および1000の非組織貫通端部は、針805が貫通することになる正確なスポットにおいて組織を挟み、それによって、針805による容易な進入および貫通を促進させる。場所に満足したときには、外科医は、フットスイッチを押圧することによって、音声コマンドを使用して、または、自動化されたシーケンスを開始させるための他の手段を使用して、縫い合わせプロセスを開始させる。シーケンスの中の第1のステップは、組織を通して針805を「発射」するアクチュエーターの活性化である。
【0076】
図10Dは、針先813が、組織を貫通しており、ツールエレメント804の中の針孔部811の中に着座させられており、中断されていない縫合糸溝部(すなわち、結合した円形溝部810および812)を、組織を通して(ツールエレメント804とともに)確立していることを示している。
【0077】
図10Eは、中空のツールエレメント1000が、外科医の一部に対する作用によって、または、自動化されたスティッチシーケンスの一部として自動的に、のいずれかによって、組織から後退させられており、針805を適切な場所に残している(すなわち、針805が、組織を通されており、ツールエレメント804の中の針孔部811の中に着座させられている)ことを示している。スティッチシーケンスの残りの部分は、
図9Bから
図9Eに説明されているものと同じである。
【0078】
好適な実施形態の修正例 本発明の性質を説明するために本明細書で記載および図示されてきた詳細、材料、ステップ、およびパーツの配置における多くの追加的な変形例が、本発明の原理および範囲の中に依然としてとどまりながら、当業者によって作製され得るということが理解されるべきである。
【0079】
以上の実施形態について、次を付記する。(付記1) 動物の身体の中に位置決めするためのデバイスであって、前記デバイスは、第1の部分および第2の部分を含み、前記第1の部分および前記第2の部分は、互いに接触して位置決めされ得、前記第1の部分および前記第2の部分は、生体適合性の導電性の熱可塑性材料をそれぞれ含み、前記デバイスが動物の前記身体の中に位置決めされているときに、および、電流が前記第1の部分から前記第2の部分へ流れるときに、前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触のポイントにおいて、熱が電気抵抗によって発生させられ、前記第1の部分および前記第2の部分の領域を溶融させるようになっており、また、前記電流がその後に停止されるときに、前記第1の部分および前記第2の部分の溶融された前記領域が再び固化し、溶接部が前記第1の部分と前記第2の部分との間に形成されるようになっている、デバイス。(付記2) 前記生体適合性の導電性の熱可塑性材料は、生体適合性の熱可塑性材料および生体適合性の導電性材料の複合材を含む、付記1に記載のデバイス。(付記3) 前記生体適合性の熱可塑性材料は、生体適合性の熱可塑性ポリマーを含み、前記生体適合性の導電性材料は、生体適合性の導電性添加剤を含み、さらに、前記生体適合性の熱可塑性材料は、前記生体適合性の熱可塑性ポリマーと前記生体適合性の導電性添加剤とを合成することによって形成される、付記2に記載のデバイス。(付記4) 前記生体適合性の熱可塑性ポリマーおよび前記生体適合性の導電性添加剤は、モノフィラメント縫合糸を形成するように、溶融合成され、押し出され、延伸される、付記3に記載のデバイス。(付記5) 前記生体適合性の熱可塑性ポリマーおよび前記生体適合性の導電性添加剤は、外科用締結具を形成するように、溶融合成され、成形される、付記3に記載のデバイス。(付記6) 前記生体適合性の熱可塑性材料および前記生体適合性の導電性材料は、縫合糸を形成するように、共押し出しされ、延伸される、付記2に記載のデバイス。(付記7) 前記生体適合性の導電性材料は、コーティングとして前記生体適合性の熱可塑性材料に適用されている、付記2に記載のデバイス。(付記8) 前記生体適合性の導電性材料は、コーティングとして前記生体適合性の熱可塑性材料に適用される導電性インクのパターンを含む、付記7に記載のデバイス。(付記9) 前記生体適合性の熱可塑性材料は、生体適合性の熱可塑性ポリマーの少なくとも1つのストランドを含み、前記生体適合性の導電性材料は、生体適合性の導電性材料の少なくとも1つのストランドを含み、さらに、前記生体適合性の熱可塑性材料は、前記生体適合性の熱可塑性材料の少なくとも1つのストランドおよび前記生体適合性の導電性材料の少なくとも1つのストランドを絡み合わせることによって形成されている、付記2に記載のデバイス。(付記10) 前記生体適合性の熱可塑性材料は、生体吸収性の熱可塑性ポリマーを含む、付記2に記載のデバイス。(付記11) 前記生体吸収性の熱可塑性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコライド(PGA)、ポリジオキサノン(PDS)、および、熱可塑性の線状ポリエステル、たとえば、商標名TephaFLEX(商標)の下で販売されているようなものなどからなる群からの少なくとも1つを含む、付記10に記載のデバイス。(付記12) 前記生体適合性の熱可塑性材料は、非吸収性の熱可塑性ポリマーを含む、付記2に記載のデバイス。(付記13) 前記非吸収性の熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリカーボネートからなる群からの少なくとも1つを含む、付記12に記載のデバイス。(付記14) 前記生体適合性の導電性材料は、カーボンブラック、炭素繊維、酸化鉄(Fe2O3)、金属粉末、および金属ナノ粒子からなる群からの少なくとも1つを含む、付記2に記載のデバイス。(付記15) 前記生体適合性の導電性材料は、真性導電性ポリマー(ICP)を含む、付記2に記載のデバイス。(付記16) 前記真性導電性ポリマー(ICP)は、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、およびポリフェニレンビニレンからなる群からの少なくとも1つを含む、付記15に記載のデバイス。(付記17) 前記生体適合性の熱可塑性材料および前記生体適合性の導電性材料は、前記生体適合性の導電性の熱可塑性材料が第1の方向に導電性を提供し、異なる第2の方向に導電性を禁止するように配設されている、付記2に記載のデバイス。(付記18) 前記生体適合性の導電性の熱可塑性材料は、生体適合性の導電性の熱可塑性ポリマーを含む、付記1に記載のデバイス。(付記19) 前記デバイスは、縫合糸の形態になっている、付記1に記載のデバイス。(付記20) 前記縫合糸は、溶接された縫合糸のループの形態になっている、付記19に記載のデバイス。(付記21) 前記デバイスは、外科用締結具の形態になっている、付記1に記載のデバイス。(付記22) 前記外科用締結具は、第1のレッグおよび第2のレッグを有するクリップの形態になっており、さらに、前記第1のレッグおよび前記第2のレッグは、ギャップによって分離されている、付記21に記載のデバイス。(付記23) 前記第1のレッグは、前記第2のレッグに溶接されている、付記22に記載のデバイス。(付記24) 前記外科用締結具は、針先端部を有する少なくとも1つの針を含む第1のストリップ、および、前記少なくとも1つの針の前記針先端部を受け入れるための少なくとも1つの凹部を含む第2のストリップの形態になっている、付記21に記載のデバイス。(付記25) 前記第1のストリップの前記少なくとも1つの針の前記先端部は、前記第2のストリップの前記少なくとも1つの凹部の中に溶接される、付記24に記載のデバイス。(付記26) 生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第1の部分と生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第2の部分との間に溶接部を形成するための装置であって、前記装置は、 第1の電極と、 第2の電極と、 前記第1の部分および前記第2の部分を互いに接触した状態で受け入れるために前記第1の電極と前記第2の電極との間にスペースを備えて、前記第1および第2の電極を互いに対向して保持するための構造体であって、前記構造体は、非導電性になっている、構造体と、 電力供給源およびスイッチを含む電気回路であって、前記スイッチは、前記スイッチの閉鎖が前記第1の電極および前記第2の電極を横切って電位を印加するように配置されており、前記第1および第2の部分が動物の身体の中に位置決めされ、前記第1の電極と前記第2の電極との間に互いに接触して設置され、前記スイッチがその後に閉じられるときには、接触のポイントにおいて、熱が電気抵抗によって発生させられ、前記第1の部分および前記第2の部分の領域を溶融させるようになっており、また、前記スイッチがその後に開けられるときには、前記第1の部分および前記第2の部分の溶融された前記部分が再び固化し、溶接部が前記接触のポイントに形成されるようになっている、電気回路とを含む、装置。(付記27) 前記構造体は、前記第1および第2の電極が前記第1および第2の部分に圧縮力を印加することを引き起こす、付記26に記載の装置。(付記28) 前記第1および第2の部分は、連続的な長さの縫合糸の形態になっており、さらに、前記装置は、前記第1および第2の部分が互いに隣接して配設されるように前記縫合糸を組織に通すために、針および縫合糸アドバンサーを含む、付記26に記載の装置。(付記29) 組織を通された前記縫合糸にテンションをかけるための縫合糸テンショナーをさらに含む、付記28に記載の装置。(付記30) 前記装置は、外科手術用ロボットのためのエンドエフェクターの形態になっている、付記26に記載の装置
。(付記31) 前記エンドエフェクターは、少なくとも4自由度(DOF)を有している、付記30に記載の装置。(付記32) 動物の身体の中に生体適合性の導電性の熱可塑性材料の2つの部分の間に溶接部を形成するための方法であって、前記方法は、 動物の前記身体の中に生体適合性の導電性の熱可塑性材料の第1および第2の部分を、第1の電極と第2の電極との間に位置決めするステップであって、前記第1の部分が前記第1の電極と接触した状態になり、前記第2の部分が前記第2の電極と接触した状態になり、前記生体適合性の導電性の熱可塑性材料の前記第1および第2の部分が互いに接触した状態になるようになっている、ステップと、 前記第1および第2の電極を横切って、選択された量の電流を印加するステップであって、前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触のポイントにおいて、電気抵抗によって、選択された量の熱を発生させ、前記第1および第2の部分の特定の所望の量の溶融を引き起こすようになっている、ステップと、 前記第1および第2の電極を横切る前記電流を停止させるステップであって、前記第1および第2の部分の溶融された領域が再び固化するようになっており、溶接部が前記接触のポイントに形成されるようになっている、ステップとを含む、方法。(付記33) 縫合デバイスのためのエンドエフェクターであって、前記エンドエフェクターは、 組織係合表面を有する第1のアームと、 組織係合表面を有する第2のアームとを含み、 前記第1および第2のアームのうちの少なくとも1つは、(i)前記第1および第2のアームのうちの他方に向けた移動のために構成されており、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間に組織をクランプするようになっており、また、(ii)前記第1および第2のアームのうちの他方から離れるような移動のために構成されており、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間にクランプされた組織を解放するようになっており、 前記第2のアームは、その中に開口部を有しており、 前記エンドエフェクターは、 貫通先端部を有する針であって、前記針は、(i)前記第1のアームの前記組織係合表面に向けた移動のために構成されており、前記針の前記貫通先端部を前記第1のアームの前記組織係合表面に隣接して位置決めし、それによって、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間にクランプされた組織を貫通するようになっており、また、(ii)前記第1のアームの前記組織係合表面から離れるような移動のために構成されており、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間にクランプされた組織から引き出すようになっている、針をさらに含み、 前記針は、前記針が前記第1のアームの前記組織係合表面に向けて移動するときに、前記第2のアームの中の前記開口部を通過するように構成されており、また、前記針が前記第1のアームの前記組織係合表面から離れるように移動するときに、前記第2のアームの中の前記開口部を通過するように構成されている、エンドエフェクター。(付記34) 前記第1および第2のアームのうちの前記少なくとも1つは、枢動移動のために構成されており、さらに、前記針は、枢動移動のために構成されている、付記33に記載のエンドエフェクター。(付記35) 前記針は、縫合糸をスライド可能に受け入れるための通路を含み、前記第1のアームは、前記針の前記貫通先端部を受け入れるための開口部を含み、前記第1のアームは、前記針の中の前記開口部から前記第1のアームへ通される縫合糸をスライド可能に受け入れるための通路を含む、付記33に記載のエンドエフェクター。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合デバイスのためのエンドエフェクターであって、前記エンドエフェクターは:
組織係合表面を有する第1のアームと、
組織係合表面を有する第2のアームであって、中に開口部を有する、第2のアームと、を含み、
前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの少なくとも1つは、(i)前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの他方に向けた移動のために構成されており、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間に組織をクランプするようになっており、また、(ii)前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの他方から離れるような移動のために構成されており、前記第1のアームの前記組織係合表面と前記第2のアームの前記組織係合表面との間にクランプされた組織を解放するようになっており、
前記エンドエフェクターは、
組織を貫通するように構成された貫通先端部を有する針であって、前記針は、(i)前記第1のアームの前記組織係合表面に向けた移動のために構成されており、前記針の前記貫通先端部を前記第1のアームの前記組織係合表面に隣接して位置決めするようになっており、また、(ii)前記第1のアームの前記組織係合表面から離れるような移動のために構成されている、針をさらに含み、
前記針は、前記針が前記第1のアームの前記組織係合表面に向けて移動するときに、前記第2のアームの中の前記開口部を通過するように構成されており、また、前記針が前記第1のアームの前記組織係合表面から離れるように移動するときに、前記第2のアームの中の前記開口部を通過するように構成されている、エンドエフェクター。
【請求項2】
前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの前記少なくとも1つは、枢動移動のために構成されており、さらに、前記針は、枢動移動のために構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項3】
前記針は、縫合糸をスライド可能に受け入れるための通路を含み、前記第1のアームは、前記針の前記貫通先端部を受け入れるための開口部を含み、前記第1のアームは、前記針の中の前記開口部から前記第1のアームへ通される縫合糸をスライド可能に受け入れるための通路を含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項4】
前記エンドエフェクターは、第1及び第2の縫合糸長さ部分が互いに隣接して配置されるように前記第1及び前記第2のアームの前記組織係合表面の間にクランプされた組織を通って縫合糸を通すように構成される、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項5】
前記エンドエフェクターは、医療器具のシャフトの遠位部分に結合される、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項6】
前記エンドエフェクターは少なくとも4自由度(DOF)を有する、請求項5に記載のエンドエフェクター。
【請求項7】
前記第1及び前記第2のアームのうちの少なくとも1つはスライド移動のために構成され、さらに、前記針はスライド移動のために構成される、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項8】
電極、
第1のグリッパー、
第2のグリッパー、及び
複数の位置を含む運動の範囲を通して前記第1及び前記第2のグリッパーを動かすための第1のリンケージであって、前記複数の位置は:
前記第1のグリッパー及び前記第2のグリッパーが第1の縫合糸部分及び第2の縫合糸部分を受け入れるための空間を間に置いて互いに対向している第1の位置と、
前記第1のグリッパー及び前記第2のグリッパーが前記第1の縫合糸部分及び前記第2の縫合糸部分を互いに接触してクランプし且つ保持するように構成される第2の位置と、を含む、
第1のリンケージ、をさらに含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項9】
前記電極を溶接位置に動かすための第2のリンケージをさらに含み、
前記電極が前記溶接位置にありかつ前記第1及び前記第2のグリッパーが前記第2の位置にあるとき、前記電極の一部が前記第1及び前記第2の縫合糸部分と接触している、請求項8に記載のエンドエフェクター。
【請求項10】
前記電極、前記第1のグリッパー、又は前記第2のグリッパーのうちの1つ又は複数は、電気的に絶縁された領域を含む、請求項8に記載のエンドエフェクター。
【請求項11】
前記電極は、前記第1及び前記第2の縫合糸部分が前記第1及び前記第2のグリッパーによって互いに接触して保持されている前記第2の位置で前記第1の縫合糸部分及び前記第2の縫合糸部分を局所的に溶融させるのに十分な量の電流を前記第1及び前記第2のグリッパーに前駆空間を通って流すように構成される、請求項8に記載のエンドエフェクター。
【請求項12】
第1の電極と、
第2の電極と、
縫合糸の第1の長さ部分と縫合糸の第2の長さ部分がそれぞれ互いに実質的に平行に配置された状態で互いに接触している前記第1の長さ部分及び前記第2の長さ部分を受け入れるための空間を間において互いに対向している前記第1及び前記第2の電極を保持するための構造であって、前記構造は非導電性である、構造と、をさらに含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項13】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記縫合糸の前記第1の長さ部分から前記第2の長さ部分に電流を流し、それによって、熱が線接触における電気抵抗によって発生するように間に電位を提供するように構成され、
発生する前記熱は、前記線接触に隣接する前記第1及び前記第2の部分の領域を溶融させるのに十分である、請求項12に記載のエンドエフェクター。
【外国語明細書】