(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166579
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】遺伝子操作されたリガーゼバリアント
(51)【国際特許分類】
C12N 15/52 20060101AFI20231114BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231114BHJP
C12N 9/00 20060101ALI20231114BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231114BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231114BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231114BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231114BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
C12N15/52 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N9/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C40B40/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150987
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2019561258の分割
【原出願日】2018-05-07
(31)【優先権主張番号】62/503,075
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/540,734
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/587,030
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジー. ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ブルーム
(72)【発明者】
【氏名】ニッキ デラス
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エス. バスカルヴィル
(72)【発明者】
【氏名】サンディ エム. ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エルガート
(72)【発明者】
【氏名】ジュディ ヴィクトリア アントニオ ヴィドゥヤ
(57)【要約】
【課題】遺伝子操作されたリガーゼバリアントを提供すること。
【解決手段】本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドおよびその組成物ならびに遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを含む組成物を、診断およびその他の目的のために使用する方法を提供する。本発明はまた、本明細書において提供される少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも提供する。本発明はまた、本明細書において提供される少なくとも発現ベクターで形質転換された宿主細胞も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/503,075号、2017年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/540,734号および2017年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/587,030号に対する優先権の利益を主張し、そのそれぞれは、本明細書に全ての目的のために参照により援用される。
配列表、表またはコンピュータプログラムの参照
【0002】
ファイル名CX9-160WO1_ST25.txtとしてEFS-Webを介してコンピュータで読み取り可能な形態(CRF)で37C.F.R.§1.821の下、本明細書と同時に提出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表の電子コピーは、100キロバイトのファイルの大きさで、2018年5月7日に作製された。
【0003】
本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドおよびその組成物ならびに遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを含む組成物を、診断およびその他の目的のために使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
DNAリガーゼは、隣接する3’-ヒドロキシル末端および5’-リン酸末端の縮合による、核酸分子における新規ホスホジエステル結合の形成を触媒する。酵素は、平滑末端および付着「粘着」末端を結合し、二本鎖DNAおよび一部のDNA/RNAハイブリッド中の一本鎖ニックも修復する。使用される種々のリガーゼがあり、そのうちの1種がバクテリオファージT4由来のDNAリガーゼである。T4 DNAリガーゼは、バイオテクノロジーにおいて最も広く使用される酵素のうちの1種である。用途が見出されている種々のDNAリガーゼがあるが、当技術分野では、診断および研究目的のための改善されたリガーゼが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドおよびその組成物ならびに遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、診断およびその他の目的のために遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを含む組成物を使用する方法を提供する。
【0006】
本発明は、配列番号2、6、32、34および/または38の参照配列もしくはその機能的断片に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するポリペプチド配列を含む遺伝子操作されたリガーゼを提供し、遺伝子操作されたリガーゼは、そのポリペプチド配列中に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号2、6、32、34または38に関して番号付けされている。
【0007】
本発明はまた、少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼを提供し、少なくとも1つの置換または置換セットは、52/56/404、52/56/404/412、127/207、127/213、127/213/276/339、140/181/234、165/181/299、165/181/281/299、238/241/404/412/462および462ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択され、アミノ酸位置は、配列番号2に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、52E/56R/404K、52E/56V/404K/412T、127K/207R、127K/213M、127K/213M/276G/339V、140A/181T/234M、165A/181T/299P、165A/181T/281A/299A、238L/241L/404K/412T/462Kおよび462Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号2に関して番号付けされている。いくつかのさらなる実施形態では、置換または置換セットは、K52E/A56R/N404K、K52E/A56V/N404K/K412T、P127K/I207R、P127K/L213M、P127K/L213M/C276G/I339V、S140A/S181T/L234M、C165A/S181T/K299P、C165A/S181T/V281A/K299A、Y238L/N241L/N404K/K412T/I462KおよびI462Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号2に関して番号付けされている。
【0008】
本発明は、52/127/140/181/462、52/127/140/181/238、52/127/181/462、52/127/276/372/462、52/127/404、52/140/181/238/276/293/404、52/140/181/276/299/404/462、52/140/207/299/372/404/462、52/140/238/276/299/372/404、52/181、52/181/238/276、52/181/238/299/404、52/181/293、52/207/238/293/299/404/462、52/276/299/404、52/238/404/462、52/293/299/404/462、52/404/462、58/63/89、58/88/89/226/440、58/88/199/225/226、58/88/226/306、58/88/306/470、58/440/470、58/451、63/88/89、63/88/451、63/89/226/440/451、63/89/451、63/199/297/375、88/225/440/451、88/306/440/451、88/470、89、127、127/140/238、127/140/276、127/140/299/372/462、127/181/207、127/181/238/372、127/181/276、127/181/404、127/207/238/372、127/238/293/462、127/238/293/299/372/404、127/238/293/299/404、127/238/372/462、127/293、127/293/372/462、127/293/404/462、127/462、140/238/372/462、140/276/293/404、140/285/293/404、140/299/372/404/462、140/372、140,181/207/238、181/207/238/276/293/372/404、181/207/238/372、181/238/276、181/238/299/404、181,/238/462、181/276、181/293、181/462、238/293/299/372/462、238/293/372、238/299/404、238/404/462、276/293/462、276/404、293/372、299/372/462、299/404/462、372、372/462、404、451、および462ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、2E/127K/140A/181T/462K、52E/127K/140A/181T/238L、52E/127K/181T/462K、52E/127K/276G/372I/462K、52E/127K/404K、52E/140A/181T/238L/276G/293E/404K、52E/140A/181T/276G/299P/404K/462K、52E/140A/207R/299P/372I/404K/462K、 52E/140A/238L/276G/299P/372I/404K、52E/181T、52E/181T/238L/276G、52E/181T/238L/299P/404K、52E/181T/293E、52E/207R/238L/293E/299P/404K/462K、52E/276G/299P/404K、52E/238L/404K/462K、52E/293E/299P/404K/462K、52E/404K/462K、58K/63R/89K、58K/88R/89K/226E/440K、58K/88R/199E/225A/226E、58K/88R/226E/306A、58K/88R/306A/470E、58K/440K/470E、58K/451K、63R/88R/89K、63R/88R/451K、63R/89K/226E/440K/451K、63R/89K/451K、63R/199E/ 297G/375E、88R/225A/440K/451K、88R/306A/440K/451K、88R/470E、89K、127K、127K/140A/238L、127K/140A/276G、127K/140A/299P/372I/462K、127K/181T/207R、127K/181T/238L/372I、127K/181T/276G、127K/181T/404K、127K/207R/238L/372I、127K/238L/293E/462K、127K/238L/293E/299P/372I/404K、127K/238L/293E/299P/404K、127K/238L/372I/462K、127K/293E、127K/293E/372I/462K、127K/293E/404K/462K、127K/462K、140A/238L/372I/462K、140A/276G/293E/404K、140A/285A/293E/404K、140A/299P/372I/404K/462K、140A/372I、140T、181T/207R/238L、181T/207R/238L/276G/293E/372I/404K、181T/207R/238L/372I、181T/238L/276G、181T/238L/299P/404K、181T/238L/462K、181T/276G、181T/293E、181T/462K、238L/293E/299P/372I/462K、238L/293E/372I、238L/299P/404K、238L/404K/462K、276G/293E/462K、276G/404K、293E/372I、299P/372I/462K、299P/404K/462K、372I、372I/462K、404K、451K、および462Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、K52E/P127K/S140A/S181T/I462K、K52E/P127K/S140A/S181T/Y238L、K52E/P127K/S181T/I462K、K52E/P127K/C276G/V372I/I462K、K52E/P127K/N404K、K52E/S140A/S181T/Y238L/C276G/L293E/N404K、K52E/S140A/S181T/C276G/K299P/N404K/I462K、K52E/S140A/I207R/K299P/V372I/N404K/I462K、K52E/S140A/Y238L/C276G/K299P/V372I/N404K、K52E/S181T、K52E/S181T/Y238L/C276G、K52E/S181T/Y238L/K299P/N404K、K52E/S181T/L293E、K52E/I207R/Y238L/L293E/K299P/N404K/I462K、K52E/C276G/K299P/N404K、K52E/Y238L/N404K/I462K、K52E/L293E/K299P/N404K/I462K、K52E/N404K/I462K、Q58K/L63R/E89K、Q58K/E88R/E89K/K226E/E440K、Q58K/E88R/K199E/K225A/K226E、Q58K/E88R/K226E/K306A、Q58K/E88R/K306A/K470E、Q58K/E440K/K470E、Q58K/T451K、L63R/E88R/E89K、L63R/E88R/T451K、L63R/E89K/K226E/E440K/T451K、L63R/E89K/T451K、L63R/K199E/R297G/K375E、E88R/K225A/E440K/T451K、E88R/K306A/E440K/T451K、E88R/K470E、E89K、P127K、P127K/S140A/Y238L、P127K/S140A/C276G、P127K/S140A/K299P/V372I/I462K、P127K/S181T/I207R、P127K/S181T/Y238L/V372I、P127K/S181T/C276G、P127K/S181T/N404K、P127K/I207R/Y238L/V372I、P127K/Y238L/L293E/I462K、P127K/Y238L/L293E/K299P/V372I/N404K、P127K/Y238L/L293E/K299P/N404K、P127K/Y238L/V372I/I462K、P127K/L293E、P127K/L293E/V372I/I462K、P127K/L293E/N404K/I462K、P127K/I462K、S140A/Y238L/V372I/I462K、S140A/C276G/L293E/N404K、S140A/V285A/L293E/N404K、S140A/K299P/V372I/N404K/I462K、S140A/V372I、S140T、S181T/I207R/Y238L、S181T/I207R/Y238L/C276G/L293E/V372I/N404K、S181T/I207R/Y238L/V372I、S181T/Y238L/C276G、S181T/Y238L/K299P/N404K、S181T/Y238L/I462K、S181T/C276G、S181T/L293E、S181T/I462K、Y238L/L293E/K299P/V372I/I462K、Y238L/L293E/V372I、Y238L/K299P/N404K、 Y238L/N404K/I462K、C276G/L293E/I462K、C276G/N404K、L293E/V372I、K299P/V372I/I462K、 K299P/N404K/I462K、V372I、V372I/I462K、N404K、T451K、およびI462Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。
【0009】
本発明は、19、19/127/199、19/127/306、19/238、89、89/127、89/127/238/306、127、127/133/238/375、127/177/238/293/306、127/238、127/306、127/385、176/244/247/373/438、176/250/373/438/480、238、 238/306/372、244、244/247、244/247/250、244/250/438、244/438、247/373/427/438、297、306、372、404、および438ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、19K、19K/127K/199S、19K/127K/306A、19K/238L、89K、89K/127K、89K/127K/238L/306A、127K、127K/133H/238L/375R、127K/177A/238L/293P/306A、127K/238L、127K/306A、127K/385E、176G/244S/247K/373A/438D、176G/250S/373A/438D/480S、238L、238L/306A/372I、244S、244S/247K、244S/247K/250S、244S/250S/438D、244S/438D、247K/373A/427K/438D、297S、306A、372I、404K、および 438Dから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、Q19K、Q19K/P127K/K199S、Q19K/P127K/K306A、Q19K/Y238L、E89K、E89K/P127K、E89K/P127K/Y238L/K306A、P127K、P127K/Q133H/Y238L/K375R、P127K/V177A/Y238L/L293P/K306A、P127K/Y238L、P127K/K306A、P127K/D385E、D176G/A244S/F247K/D373A/E438D、D176G/V250S/D373A/E438D/D480S、Y238L、Y238L/K306A/V372I、A244S、A244S/F247K、A244S/F247K/V250S、A244S/V250S/E438D、A244S/E438D、F247K/D373A/E427K/E438D、R297S、K306A、V372I、N404K、およびE438Dから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。
【0010】
本発明は、51、56、60、63、86、149、174、184、199、207、233、237、238、240、314、329、371、373、385、427、438、439、446、448、451、452、453、454、461、466、476、および485ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、51R、56S、60G/V、63T、86R、149R、174P、184A、199T、207Q/V、233A/T、237N/R、238L、240P、314V、329G/L、371V/W、373A/G、385A/W、427L/R、438D/F/G、439S、446R、448A/G/P、451G、452P/V、453G/L/R/T、454L、461C、466G/P、476A、および485G/Yから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、P51R、A56S、F60G/V、L63T、A86R、N149R、L174P、G184A、K199T、I207Q/V、F233A/T、A237N/R、Y238L、E240P、Y314V、D329G/L、D371V/W、D373A/G、D385A/W、E427L/R、E438D/F/G、C439S、K446R、D448A/G/P、K451G、D452P/V、Y453G/L/R/T、V454L、A461C、E466G/P、D476A、およびT485G/Yから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。
【0011】
本発明は、7、17、52、54、59、74、85、183、199、240、241、242、280、321、235、237、371、404、405、451、452、453、454、462、および483ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、7L、17R、52G、54E、 59M、74G/T、85T、183N、199G、240P、241G、242H、280L、321A/R、235R、237G、371G、404S/G、405G、451G、452P、453L、454A、462Q、および483G/Qから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、N7L、Q17R、K52G、G54E、S59M、F74G/T、A85T、A183N、K199G、E240P、N241G、S242H、Q280L、E321A/R、F235R、A237G、D371G、N404S、A405G、K451G、D452P、Y453L、V454A、I462Q、およびE483G/Qから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号32に関して番号付けされている。
【0012】
本発明は、7、11、13、14、54、62、89、149、183、184、185、186、231、232、233、238、239、240、385、386、413、および453ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、7K、11K、13K、14K、54K、62K、89K、149K、183K、184K、185K、186K、231K、232K、233K、238K、239K、240K、385K、386K、413K、および453Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、N7K、S11K、G13K、S14K、G54K、M62K、E89K、N149K、A183K、G184K、N185K、E186K、L231K、D232K、F233K、Y238K、P239K、E240K、D385K、P386K、A413K およびY453Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。
【0013】
本発明は、19/63/233/237/371/452、19/237/453、63/89/448/452/453、63/149/240/371/452、63/233/240/452/454、86/89/149/233/237/240、86/89/149/233/237/314/452、86/89/233/237/240/448、89/233/237/240/448/453/454、89/240/454、149/233/237/454、149/237/240、149/237/240/329/404/453、233/237/371/404/452/454、および233/237/404ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号34に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、19K/63T/233A/237R/371W/452P、19K/237N/453G、63T/89K/448A/452P/453G、63T/149R/240P/371W/452P、63T/233A/240P/452P/454L、86R/89K/149R/233A/237N/240P、86R/89K/149R/233A/237R/314V/452P、86R/89K/233A/237N/240P/448A、89K/233A/237R/240P/448A/453G/454L、89K/240P/454L、149R/233A/237N/454L、149R/237N/240P、
149R/237N/240P/329G/404K/453G、233A/237N/371W/404K/452P/454L、および233A/237R/404Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号34に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、Q19K/L63T/F233A/A237R/D371W/D452P、Q19K/A237N/Y453G、L63T/E89K/D448A/D452P/Y453G、L63T/N149R/E240P/D371W/D452P、L63T/F233A/E240P/D452P/V454L、A86R/E89K/N149R/F233A/A237N/E240P、A86R/E89K/N149R/F233A/A237R/Y314V/D452P、A86R/E89K/F233A/A237N/E240P/D448A、E89K/F233A/A237R/E240P/D448A/Y453G/V454L、E89K/E240P/V454L、N149R/F233A/A237N/V454L、N149R/A237N/E240P、N149R/A237N/E240P/D329G/N404K/Y453G、F233A/A237N/D371W/N404K/D452P/V454L、およびF233A/A237R/N404Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号34に関して番号付けされている。
【0014】
本発明は、13/89/183/231、13/89/183/232/386/451、13/183/232/329/453/466、13/183/232/386/451、13/232/385/451、89/183/329/451/453、149/183、183、183/207/386、183/207/386/427/453、183/207/439、183/231/373、183/231/385/427、183/231/427/466、183/373/386、183/385、183/385/427、183/413/427、183/427/451、および385/453/466ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号38に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、13K/89K/183K/231K、 13K/89K/183K/232K/386K/451G、13K/183K/232K/329L/453G/466G、13K/183K/232K/386K/451G、13K/232K/385K/451G、89K/183K/329G/451G/453R、149R/183K、183K、183K/207V/386K、183K/207V/386K/427R/453G、183K/207V/439S、183K/231K/373G、183K/231K/385K/427R、183K/231K/427R/466G、183K/373A/386K、183K/385K、183K/385K/427R、183K/413K/427R、183K/427R/451G、および385K/453R/466Gから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号38に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、G13K/E89K/A183K/L231K、G13K/E89K/A183K/D232K/P386K/K451G、G13K/A183K/D232K/D329L/Y453G/E466G,G13K/A183K/D232K/P386K/K451G、G13K/D232K/D385K/K451G、E89K/A183K/D329G/K451G/Y453R、N149R/A183K、A183K、A183K/I207V/P386K、A183K/I207V/P386K/E427R/Y453G、A183K/I207V/C439S、A183K/L231K/D373G、A183K/L231K/D385K/E427R、A183K/L231K/E427R/E466G、A183K/D373A/P386K、A183K/D385K、A183K/D385K/E427R、A183K/A413K/E427R、A183K/E427R/K451G、およびD385K/Y453R/E466Gから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号38に関して番号付けされている。
【0015】
本発明は、13/19/63/88/127/183/225/232/233/237/329/371/440/451/452/453/466、13/19/63/88/127/183/225/232/233/237/371/386/440/451/452、19/63/88/127/183/225/231/233/237/371/427/440/451/452/466、19/63/88/127/183/225/233/237/371/373/386/440/451/452、19/63/88/127/225/233/237/371/385/440/451/452/453/466、19/63/88/127/225/233/237/371/440/451/452、63/88/127/149/225/240/371/440/451/452、86/88/89/127/149/225/233/237/240/440/451、88/89/127/225/233/237/240/440/448/451/453/454、88/127/149/225/233/237/440/451/454、88/127/225/440/451、および88/225/440/451ならびに/もしくはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換(複数可)を含む少なくとも1つの置換または置換セットを含む遺伝子操作されたリガーゼをさらに提供し、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、13K/19K/63T/88R/127K/183K/225A/232K/233A/237R/329L/371W/440K/451K/452P/453G/466G、13K/19K/63T/88R/127K/183K/225A/232K/233A/237R/371W/386K/440K/451G/452P、19K/63T/88R/127K/183K/225A/231K/233A/237R/371W/427R/440K/451K/452P/466G、19K/63T/88R/127K/183K/225A/233A/237R/371W/373A/386K/440K/451K/452P、19K/63T/88R/127K/225A/233A/237R/371W/385K/440K/451K/452P/453R/466G、19K/63T/88R/127K/225A/233A/237R/371W/440K/451K/452P、63T/88R/127K/149R/225A/240P/371W/440K/451K/452P、86R/88R/89K/127K/149R/225A/233A/237N/240P/440K/451K、88R/89K/127K/225A/233A/237R/240P/440K/448A/451K/453G/454L、88R/127K/149R/225A/233A/237N/440K/451K/454L、88R/127K/225A/440K/451K、および88R/225A/440K/451Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。いくつかの追加の実施形態では、置換(複数可)または置換セットは、G13K/Q19K/L63T/E88R/P127K/A183K/K225A/D232K/F233A/A237R/D329L/D371W/E440K/T451K/D452P/Y453G/E466G、G13K/Q19K/L63T/E88R/P127K/A183K/K225A/D232K/F233A/A237R/D371W/P386K/E440K/T451G/D452P、Q19K/L63T/E88R/P127K/A183K/K225A/L231K/F233A/A237R/D371W/E427R/E440K/T451K/D452P/E466G、Q19K/L63T/E88R/P127K/A183K/K225A/F233A/A237R/D371W/D373A/P386K/E440K/T451K/D452P、Q19K/L63T/E88R/P127K/K225A/F233A/A237R/D371W/D385K/E440K/T451K/D452P/Y453R/E466G、Q19K/L63T/E88R/P127K/K225A/F233A/A237R/D371W/E440K/T451K/D452P、L63T/E88R/P127K/N149R/K225A/E240P/D371W/E440K/T451K/D452P、A86R/E88R/E89K/P127K/N149R/K225A/F233A/A237N/E240P/E440K/T451K、E88R/E89K/P127K/K225A/F233A/A237R/E240P/E440K/D448A/T451K/Y453G/V454L、E88R/P127K/N149R/K225A/F233A/A237N/E440K/T451K/V454L、E88R/P127K/K225A/E440K/T451K、およびE88R/K225A/E440K/T451Kから選択される置換または置換セットを含み、アミノ酸位置は、配列番号6に関して番号付けされている。
【0016】
本発明はまた、表4.1、4.2、4.3、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5および/または6.1に示される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼバリアントの配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリペプチド配列を含む遺伝子操作されたリガーゼも提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼは、表4.1、4.2、4.3、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5および/または6.1に提供されるバリアントの遺伝子操作されたリガーゼである。いくつかのさらなる実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼは、DNAリガーゼ活性を有する。いくつかの追加の実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼは、野生型T4 DNAリガーゼと比較して少なくとも1つの改善された特性を有する。いくつかのさらなる実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、野生型T4 DNAリガーゼと比較して少なくとも1つの改善された特性を有し、改善された特性は、低DNA基質濃度を用いる場合よりも大きな活性を示すことおよびより少ないアダプター二量体の生成から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、野生型T4 DNAリガーゼよりも熱安定性である。なおいくつかのさらなる実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、野生型T4 DNAリガーゼよりも広いpH範囲にわたって安定である。いくつかの追加の実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは精製される。
【0017】
本発明はまた、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号2、6、32、34および/または37の参照配列もしくはその機能的断片に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼをコードし、遺伝子操作されたポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸位置に少なくとも1つの置換を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1、5、31、33および/または37の参照配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。いくつかのさらなる実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1、5、31、33および/または37を含む。なおいくつかの追加の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、制御配列に作動可能に連結されている。いくつかのさらなる実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。
【0018】
本発明はまた、本明細書において提供される少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも提供する。本発明はまた、本明細書において提供される少なくとも発現ベクターで形質転換された宿主細胞も提供する。
【0019】
本発明は、宿主細胞において遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する方法であって、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼが生成されるように、適した培養条件下で本明細書において提供される宿主細胞を培養するステップを含む方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、方法は、培養物および/または宿主細胞から少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを回収するステップをさらに含む。いくつかの追加の実施形態では、方法は、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを精製するステップをさらに含む。
【0020】
本発明はまた、本明細書において提供された少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを含む組成物も提供する。組成物が、任意の特定の方法を使用して生成されている本明細書において提供される任意の遺伝子操作されたリガーゼを含むことは意図されない。本発明は、任意の具体的な方法を使用して生成された遺伝子操作されたリガーゼに制限されると意図される。
【0021】
本発明はまた、少なくとも1種のライゲーション生成物を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、少なくとも2種の核酸断片を含む反応混合物とを含み、核酸断片のライゲーションが生じ、少なくとも1種のライゲーション生成物が生成されるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたポリペプチドと、反応混合物とを組み合わせるステップを含む方法も提供する。本方法のいくつかの実施形態では、投入二本鎖DNA(inputdouble-stranded DNA)は、平
滑末端DNA断片を含む。
【0022】
本発明はまた、ライゲーション生成物を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、少なくとも2種の核酸断片を含む反応混合物とを含み、核酸断片のライゲーションが生じ、少なくとも1種のライゲーション生成物が生成されるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたポリペプチドと、反応混合物とを組み合わせるステップを含む方法も提供する。本方法のいくつかの実施形態では、投入二本鎖DNAは、平滑末端DNA断片を含む。
【0023】
本発明はまた、DNAライブラリーを含む生成物を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAと、少なくとも1種のTテールアダプターオリゴヌクレオチド、アデノシンおよび反応緩衝液を含む反応混合物組成物とを提供するステップと、アデノシンがDNAの両鎖の3’末端に付加されるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、反応混合物とを曝露するステップと、Tテールアダプターを投入DNAの末端とライゲーションして、DNAライブラリーを生成するステップとを含む方法も提供する。本方法のいくつかの実施形態では、投入二本鎖DNAは、平滑末端DNA断片を含む。
【0024】
本発明はまた、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNA、一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を含むオリゴヌクレオチドならびにライゲーション適合末端に5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を含むアダプターオリゴヌクレオチドを含む反応混合物とを提供するステップと、オリゴヌクレオチド、アダプターオリゴヌクレオチドおよび投入二本鎖DNAのライゲーションが生じるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼおよび反応混合物を曝露するステップと、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成するステップとを含む方法も提供する。
【0025】
本発明の遺伝子操作されたリガーゼを利用する方法のいくつかの実施形態では、クラウディング剤の存在下で曝露を実施する。本方法のいくつかの実施形態では、生成物の熱不活性化後に、生成物をE.coliに形質転換する。いくつかの追加の実施形態では、生成物を使用して、DNA分子のライブラリーを作製する。いくつかのさらなる実施形態では、DNA分子のライブラリーをシーケンシングに付す。なおいくつかの追加の実施形態では、反応混合物は、ライゲーションを阻害する少なくとも1種の化合物を含む。なおいくつかのさらなる実施形態では、本方法は、ライゲーションを阻害し、ライゲーションにとって最適以下の緩衝液を含む少なくとも1種の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、野生型T4 DNAリガーゼが使用される同一方法よりも多くの生成物を生成する。いくつかのさらなる実施形態では、反応混合物は、少なくとも1種の酵素を含む。いくつかのさらなる実施形態では、酵素は、ポリメラーゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼおよびシチジンデアミナーゼから選択される。なおいくつかの追加の実施形態では、投入二本鎖DNA濃度は、100nM未満、50nM未満、10nM未満、1nM未満または100pM未満である。いくつかのさらなる実施形態では、アダプター濃度(oncentration)は、反応中の挿入物の濃度の10倍未満、5倍未満、3倍未満または2倍未満過剰である。なおいくつかの追加の実施形態では、本方法は、生成物を増幅するステップをさらに含む。いくつかのさらなる実施形態では、本方法は、生成物をシーケンシングするステップをさらに含む。なおいくつかの追加の実施形態では、本方法は、生成物を増幅し、シーケンシングするステップをさらに含む。いくつかの追加の実施形態では、生成物からアダプター二量体を除去するためのステップをとらない。いくつかのさらなる実施形態では、投入二本鎖DNAは、単離された細胞不含DNA、循環腫瘍DNA、循環腫瘍細胞から単離されたDNA、循環胎児DNAおよび穿刺吸引液から選択される。いくつかの実施形態では、投入二本鎖DNAを、粗試料で提供する。いくつかのさらなる実施形態では、投入二本鎖DNAを、反応混合物中に含める前に精製する。なおいくつかの追加の実施形態では、投入二本鎖DNAは、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖DNA、二本鎖RNAおよび/または任意のその他の合成もしくは天然に存在する核酸の配列を含む、核酸を含む試料に由来する。実際、本発明は、任意の特定の出発試料DNAに制限されるとは意図されない。いくつかの実施形態では、本方法を、マイクロ流体デバイスおよび液滴から選択される条件下で実施する。いくつかのさらなる実施形態では、反応混合物および遺伝子操作されたリガーゼの組合せの容量は、5000pL未満、1000pL未満、100pL未満、10pL未満または1pL未満である。いくつかの追加の実施形態では、二本鎖投入DNA(double-strandedinput DNA)
を固定化し、その一方で、いくつかの代替の実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼを固定化する。なおいくつかのさらなる実施形態では、二本鎖投入DNAおよび遺伝子操作されたリガーゼを固定化する。いくつかのさらなる実施形態では、固定化されたDNAおよび/もしくは固定化された遺伝子操作されたリガーゼに加えて、またはその代わりに、反応混合物中の少なくとも1種の化合物を固定化する。いくつかのさらなる実施形態では、生成物を使用して、DNAシーケンシング、ハイスループットスクリーニング、遺伝子選択、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細胞ベースのアッセイ、生化学的アッセイ、イメージングベースのハイコンテントスクリーニングまたはクロマチンコンホメーション捕捉(C3)のためのライブラリーを作製する。
【0026】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、曝露するステップの時間の長さは、30分未満である。いくつかのさらなる実施形態では、曝露するステップの時間の長さは、15分未満である。いくつかの追加の実施形態では、曝露するステップの時間の長さは、10、9、8、7、6、5、4、3または2分未満である。なおいくつかの追加の実施形態では、曝露するステップの時間の長さは、5分未満である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、生成物は、曝露するステップの時間の長さが15分またはそれより長いライゲーション方法よりも少ないアダプター二量体を含む。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、より迅速であり、より少ないアダプター二量体を生成することにより、野生型T4 DNAリガーゼと比較して、およびいくつかの実施形態では、その他のリガーゼと比較して、分析される試料あたり、より生産的な読取りをもたらす方法を提供する。いくつかの追加の実施形態では、本発明の方法は、細胞不含である。
【0028】
本発明はまた、ライゲーション生成物を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、少なくとも2種の核酸断片を含む基質および反応混合物を提供するステップと、核酸断片のライゲーションが生じ、少なくとも1種のライゲーション生成物が生成されるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、基質および反応混合物を組み合わせるステップとを含む方法を提供する。
【0029】
本発明はまた、DNAライブラリーを生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、投入二本鎖DNAを含む基質ならびに少なくとも1種のTテールアダプターオリゴヌクレオチド、アデノシンおよび反応緩衝液を含む反応混合物組成物を提供するステップと、アデノシンがDNAの両鎖の3’末端に付加されるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、基質および反応混合物を組み合わせ、Tテールアダプターを投入DNAの末端とライゲーションして、DNAライブラリーを含む生成物を生成するステップとを含む方法も提供する。いくつかの実施形態では、投入二本鎖DNAは、平滑末端DNA断片を含む。
【0030】
本発明はまた、シーケンシングに適した複数のDNA断片を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAを含む基質と、一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を含むオリゴヌクレオチドならびにライゲーション適合末端に5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を含むアダプターオリゴヌクレオチドを含む反応混合物とを提供するステップと、オリゴヌクレオチド、アダプターオリゴヌクレオチドおよび投入二本鎖DNAのライゲーションが生じるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、基質ならびに反応混合物を組み合わせて、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成するステップとを含む方法も提供する。
【0031】
本発明はまた、シーケンシングに適した複数のDNA断片を生成する方法であって、本明細書において提供される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAを含む基質と、一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を含むオリゴヌクレオチドならびにライゲーション適合末端に5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を含むアダプターオリゴヌクレオチドを含む反応混合物とを提供するステップと、オリゴヌクレオチド、アダプターオリゴヌクレオチドおよび投入二本鎖DNAのライゲーションが生じるような条件下で、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、基質および反応混合物を組み合わせて、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成するステップとを含み、反応混合物中のアダプターオリゴヌクレオチドの濃度は、基質濃度の20倍未満モル過剰である、方法も提供する。
【0032】
本明細書において提供される方法のいくつかの実施形態では、クラウディング剤の存在下で曝露を実施する。いくつかのさらなる実施形態では、生成物の熱不活性化後に、生成物をE.coliに形質転換する。いくつかの追加の実施形態では、生成物を使用して、DNA分子のライブラリーを作製する。なおいくつかのさらなる実施形態では、DNA分子のライブラリーをシーケンシングに付す。さらにいくつかのさらなる実施形態では、反応混合物は、ライゲーションを阻害する少なくとも1種の化合物を含む。いくつかの実施形態では、ライゲーションを阻害する少なくとも1種の化合物は、ライゲーションにとって最適以下の緩衝液を含む。いくつかの特に好ましい実施形態では、方法は、野生型T4
DNAリガーゼを含む同一方法よりも多くの生成物を生成する。いくつかの追加の実施形態では、反応混合物は、少なくとも1種の酵素を含む。いくつかの実施形態では、酵素は、ポリメラーゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼおよびシチジンデアミナーゼから選択される。いくつかの実施形態では、酵素は、リガーゼ緩衝液と不適合である。投入二本鎖DNAを利用するなおいくつかのさらなる実施形態では、投入二本鎖DNA濃度は、100nM未満、50nM未満、10nM未満、1nM未満または100pM未満である。アダプターを利用するいくつかの実施形態では、アダプター濃度は、反応中の挿入物の濃度の10倍未満、5倍未満、3倍未満または2倍未満過剰である。いくつかの追加の実施形態では、方法は、生成物を増幅するステップをさらに含む。さらにいくつかのさらなる実施形態では、方法は、生成物をシーケンシングするステップをさらに含む。なおいくつかの追加の実施形態では、方法は、生成物を増幅し、シーケンシングするステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成物からアダプター二量体を除去するためのステップをとらない。なおいくつかのさらなる実施形態では、基質は、単離された細胞不含DNA、循環腫瘍DNA、白血病細胞から単離されたDNA、リンパ腫細胞から単離されたDNA、循環腫瘍細胞から単離されたDNA、ウイルス感染細胞から単離されたDNA、循環胎児DNAおよび穿刺吸引液から選択される。いくつかの実施形態では、基質は、粗試料で提供された投入二本鎖DNAを含む。いくつかの代替の実施形態では、基質は、反応混合物中に含める前に精製される投入二本鎖DNAを含む。いくつかの追加の実施形態では、方法を、マイクロ流体デバイスおよび/または液滴を利用する条件下で実施する。いくつかの実施形態では、反応混合物および遺伝子操作されたリガーゼの組合せの容量は、5000pL未満、1000pL未満、100pL未満、10pL未満または1pL未満である。いくつかの実施形態では、基質は、固定化された二本鎖投入DNAを含む。いくつかの代替の実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼを固定化する。なおいくつかの追加の実施形態では、二本鎖投入DNAおよび遺伝子操作されたリガーゼを含む基質を固定化する。なおいくつかのさらなる実施形態では、反応混合物中の少なくとも1種の化合物を固定化する。いくつかの追加の実施形態では、方法の生成物を使用して、DNAシーケンシング、ハイスループットスクリーニング、遺伝子選択、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細胞ベースのアッセイ、生化学的アッセイ、イメージングベースのハイコンテントスクリーニングまたはクロマチンコンホメーション捕捉(C3)のためのライブラリーを作製する。いくつかの実施形態では、組み合わせる時間の長さは、30分未満である。いくつかのさらなる実施形態では、組み合わせる時間の長さは、15分未満である。なおいくつかの追加の実施形態では、組み合わせる時間の長さは、10、9、8、7、6、5、4、3または2分未満である。いくつかの実施形態では、組み合わせる時間の長さは、5分未満である。方法のいくつかの追加の実施形態では、生成物は、組み合わせる時間の長さが15分またはそれより長いライゲーション方法よりも少ないアダプター二量体を含む。なおいくつかのさらなる実施形態では、本方法は、細胞不含である。いくつかの実施形態では、基質は、患者から得た流体から抽出した細胞不含DNAである。いくつかのさらなる実施形態では、流体は、血清または血漿を含む。いくつかの追加の実施形態では、基質は、その3’および5’末端に異なる配列を有する核酸を含む。なおいくつかの追加の実施形態では、方法は、ライゲーションにおいて低バイアスを達成する。なおいくつかのさらなる実施形態では、組み合わせるステップは、約10°~約40℃の間の範囲の温度で実施する。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約16°~約37℃である。いくつかの実施形態では、16°~37°の範囲の温度を使用することは、その他のリガーゼ(例えば、野生型T4 DNAリガーゼまたは当技術分野で公知のその他のリガーゼ)と比較して、生成物への改善された変換を提供する。いくつかの実施形態では、組み合わせるステップは、約pH7~約pH10の範囲のpHで実施する。いくつかの実施形態では、組み合わせるステップは、約7.5から約9の間のpHで実施する。いくつかの実施形態では、方法のpHは、7.5~9の範囲であり、回収は、野生型T4 DNAリガーゼまたはその他のリガーゼ(例えば、当技術分野で公知のその他のリガーゼ)とともに使用するのに不適合である緩衝液において可能である。その他のpHが本発明において使用されるので、本発明は、pHが7.5~9の範囲にある方法に限定されると意図されない。種々の緩衝液が本発明において使用されるので、本発明は、任意の具体的な緩衝液(複数可)に限定されると意図されない。いくつかの追加の実施形態では、基質濃度の20倍未満モル過剰のアダプター濃度の使用が、効率的なライブラリー変換および/または生成物が使用される下流ステップへのアダプター分子の持ち越しの回避の両方の達成において使用される。本発明の方法においてその他の基質濃度が使用されるので、本発明の方法は、このような20倍モル基質過剰に限定されるとは意図されない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼは、インデックスホッピングを防ぐことにおいて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、実施例9に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる複数の温度条件の二重末端ライゲーション生成物(double-endligated product)への変換についての温度/活性プロファイルを示すグラフである。
【0034】
【
図2】
図2は、実施例10に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる種々のpHでの二重末端ライゲーション生成物への変換を示すグラフを提供する。
【0035】
【
図3】
図3は、実施例11に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる二重末端ライゲーション生成物への変換を示すグラフを提供する。
【0036】
【
図4】
図4は、実施例12に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる200nMアダプターまたは40nMアダプターの存在下での二重末端ライゲーションへの基質変換を示すグラフを提供する。
【0037】
【
図5】
図5は、実施例13に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる10ngおよび100ng投入DNAでの二重末端ライゲーション生成物への変換パーセントを示すグラフを提供する。
【0038】
【
図6】
図6は、実施例14に記載されるような、配列番号38のポリペプチドおよび野生型T4 DNAリガーゼによる細胞不含DNAにおける二重末端ライゲーション生成物への変換を示すグラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドおよびその組成物ならびに遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、診断およびその他の目的のために遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを含む組成物を使用する方法も提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを、特に、低濃度のDNA投入が関与する条件ならびにライゲーションされたDNA生成物、特に、ハイスループット解析および/またはシーケンシング反応に適したDNAの生成にとって好ましくないその他の条件下で、増強されたライゲーション活性を提供するように最適化する。いくつかの実施形態では、本発明は、診断および研究目的のための遺伝子操作されたリガーゼを含む方法および組成物を提供する。本発明はまた、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド、その変異体、生物学的に活性な断片および類似体ならびにそれを含む組成物も提供する。
【0040】
DNAリガーゼは、隣接する3’-ヒドロキシルおよび5’リン酸末端の縮合による核酸分子における新規ホスホジエステル結合の形成を触媒する。T4 DNAリガーゼの天然基質は、DNA複製の際に生じるニックの入った二本鎖(「ds」)DNA中間体である。分子クローニングおよびDNAシーケンシングライブラリー調製などの実際のin vitro用途では、T4 DNAリガーゼは、付着末端または平滑末端ds DNA断片を結合するために、その他の天然に存在するリガーゼと比較して、その相対的な効率のためによく使用される。
【0041】
ライゲーション効率は、結合されている二本鎖DNA基質の基質濃度および特性によって影響を受ける。T4 DNAリガーゼは、二本鎖末端結合反応において基質に対して極めて低い絶対親和性(Km 約50μM)を有する。しかし、1nmほどの低いDNA濃度を含有する反応において利用されることが多い(Matsumura、Biotechn.、第95巻:IV~XIII[2015年])。T4 DNAリガーゼは、平滑末端および一塩基付着オーバーハング(例えば、T/Aオーバーハング)を結合するが、これらの反応の効率は、16~20℃で一過性にアニーリングされる中間体を形成し得るより長い付着末端を有する基質間のものに対して有意に低減される。次世代シーケンシング(NGS)ライブラリー調製ワークフローは、二本鎖アダプター分子の投入DNAとのライゲーションに依存しており、ライゲーションにとっておそらく最も要求の厳しい条件:一塩基または平滑末端の挿入部分およびアダプター基質ならびに低投入DNA濃度(例えば、細胞不含DNA、単細胞、穿刺吸引液またはその他の低収率DNA試料に由来する)を提示する。
【0042】
DNAライゲーション速度および効率を改善するためのいくつかのアプローチが開発されている。現在、最もよく使用されているアプローチは、反応への非特異的ポリマー(例えば、クラウディング剤)の添加を含む。ポリエチレングリコール(PEG;分子量1000~8000)およびフィコール70の添加は、速度および全体的な基質変換の両方を改善し得る(PheifferおよびZimmerman、Nucl.Acids Res.、11巻:7853~787
1頁[1983年]を参照のこと)。PEG6000を含有するライゲーション緩衝液は、迅速なライゲーションクローニングおよびNGSライブラリー調製キットにおいて広く使用されている(例えば、Promega[Promega,Inc.、Madison、WI]およびNew England Biolabs[New England Biolabs、Ipswich、MA]などの商業的な供給業者から入手可能なキット)。しかし、高濃度のクラウディング剤では、高分子量コンカテマーの形成およびNGS反応において形成されるアダプター二量体などのミスマッチした基質のライゲーションを含むいくつかの望ましくない結果が増加する。さらに、クラウディング剤は、単一チューブまたはマイクロ流体ワークフローにおいて実施されるその他の酵素反応と不適合である場合がある。例えば、DNAリガーゼの熱不活性化は、E.coli形質転換の前によく実施されるが、PEGの存在下での熱不活性化は、形質転換効率を有意に低減する。高濃度のクラウディング剤を含有する緩衝液およびライゲーションマスターミックスは、極めて粘性でもある場合があり、これが自動化液体ハンドリングおよびハイスループット試料処理を複雑にする。
【0043】
クローニングおよびNGSワークフローにおけるライゲーション効率を改善するために、低分子量ライゲーションエンハンサー(例えば、1,2-プロパンジオール)が使用されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0187447号を参照のこと)。1,2-プロパンジオールライゲーション緩衝液の使用は、低濃度DNA投入(5ng E.coli DNA)を使用するPEG緩衝液に対してNGSライブラリー変換を5倍増加した。1,2-プロパンジオールおよびその他の小分子エンハンサーは、熱不活性化と適合するが、それらは、単一チューブNGSワークフローまたはマイクロ流体試料調製におけるその他の酵素またはステップとは不適合である場合がある。
【0044】
dsDNA結合ドメインとの種々のペプチド融合物を作製することによって、遺伝子操作された改善されたT4 DNAリガーゼバリアントが開発されている(Wilsonら、Prot.Engin. Des. Select.、7巻:471~478頁[2013年]を参照のこと)。これ
らのリガーゼバリアントのいくつかは、十分に発現し、約40nMの濃度で付着末端基質に対して、または約30nMの濃度で平滑末端基質に対して改善された活性を示した。しかし、これらのリガーゼのうち、細胞不含DNA投入のため(1~5nM)またはその他の低投入NGS用途のために通常使用される低基質濃度で試験されたと報告されたものはなかった。
【0045】
NGSベースのシーケンシング反応の感度は、現在、断片化された投入DNAの、二重末端アダプターライゲーション断片(double-endadapter-ligated fragment)へのわず
かな変換によって制限されており、これは、低濃度基質投入を使用して5%ほどの低いものであり得る。種々のリガーゼ、クラウディング剤およびライゲーションエンハンサーが使用されているが、NGSベースのシーケンシングアッセイの感度およびその他の分子生物学ワークフローの頑健性は、入手可能な現在の方法によって制限されている。本発明の遺伝子操作されたリガーゼ、組成物および方法は、改善されたNGSベースのシーケンシングならびにその他の診断方法および手順のための当技術分野での必要性に対処する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、細胞不含DNA、循環腫瘍DNA、循環腫瘍細胞から単離されたDNA、循環胎児DNA、ウイルス感染細胞から単離されたDNA、穿刺吸引液またはFACS(蛍光活性化細胞選別)、レーザー捕捉顕微鏡法もしくはマイクロ流体デバイスによって単離された単細胞を含む、患者試料に由来する少量のDNAを使用する診断的および研究的適用において使用される。しかし、低DNA濃度を有するものを含む任意の適した試料が本発明において使用されるので、本発明とともに使用される試料は、任意の特定の試料の種類に制限されるとは意図されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、高濃度DNA試料への中間体のためのDNAシーケンシングライブラリーの構築において使用される。本明細書において提供される遺伝子操作されたリガーゼは、低濃度のアダプターが、WT DNAリガーゼ(例えば、野生型T4 DNAリガーゼ)に対して同等である二重アダプターライゲーション変換(double-adapterligation conversion)を達成することを必要とする。低アダプター濃度を使用する結果として、アダプター二量体の生成が最小化される。いくつかの実施形態では、所望の二重アダプターがライゲーション生成物(doubleadapter-ligated product)が、アダプター二量体に対して高モル過剰で生じ、アダプター二量体を除去するためにそうでなければ必要であるクリーンアップステップが排除されるような制限濃度で、アダプターが使用される。これは、ゲノムリシーケンシングなど、多数の標準シーケンシングワークフローを単純化する。より低いアダプター濃度はまた、ライゲーションに必要なアダプターの量も低減し、これが、全体的なワークフローに対するアダプターの費用寄与を低減し得る。これは、亜硫酸水素塩またはメチロームシーケンシングのために使用されるメチル化アダプターなどの費用のかかるアダプターにとって特に有用である。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、分子クローニング用途、特に、天然に存在する酵素のKmと比較してDNA濃度が低いものにおいて使用される。いくつかの実施形態では、これは、試料が少容量または環境試料、患者試料もしくは古代DNAなどの任意の低濃度DNA試料で調製されるハイスループットクローニング用途に適用される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、操作間のクリーンアップステップを除去する自動化ワークフローを含む、単純化された分子生物学ワークフローにおいて使用される。遺伝子操作されたリガーゼは低濃度基質で活性であるので、阻害剤を含有する少容量の基質試料(または希釈物)を、ライゲーション反応に添加することができる。関連阻害剤含有DNA試料として、PCR緩衝液中のDNA、電気泳動緩衝液中のDNAまたは粗抽出物中のDNAを挙げることができる。本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、天然リガーゼと比較して、希釈試料を効率的にライゲーション可能である。あるいは、他の実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、阻害剤(複数可)を含有する未希釈試料で使用される。これらの遺伝子操作されたリガーゼのライゲーション性能は、そのより高い特異的活性のために、阻害剤の存在下で野生型リガーゼ(例えば、野生型T4 DNAリガーゼ)のものを超える。
【0050】
T4 DNAリガーゼの熱不活性化は、E.coliの形質転換に先立ってライゲーション反応で一般的に実施される。このステップは、カラムまたはビーズベースのクリーンアップと比較して好都合であり、プラスミド形質転換の効率を著しく増大させる。T4 DNAリガーゼ(およびその他の天然リガーゼ)の速度および効率を増大させるために、ポリエチレングリコール(PEG)が使用されることが多いが、PEGの存在下でのリガーゼの熱不活性化は、形質転換にとって強力に阻害性である。したがって、PEGライゲーションは、より多くの関与するクリーンアップステップを必要とし、PEG迅速ライゲーション戦略の便宜性および速度を打ち消す。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、PEGの不在下で迅速および効率的なライゲーションを実施し、形質転換に先立って熱形質転換によって不活性化され得る。したがって、これらの遺伝子操作されたリガーゼの使用は、迅速ライゲーションおよび形質転換に先立つ好都合なクリーンアップを達成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、高度に粘性のライゲーションエンハンサーまたはクラウディング剤(例えば、PEG、フィコールもしくは高濃度のグリセロール)と不適合であるものを含む、マイクロ流体用途において使用される。本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、天然T4 DNAリガーゼまたはその他のリガーゼを使用して同様の効率を達成するのに必要であろうクラウディング剤の不在下で、低濃度基質を効率的に変換する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、マイクロ流体液滴またはウェルプレートにおいて実施される単一ポットマルチ酵素反応において使用される。リガーゼの高い特異的活性によって、その他の酵素の実施のために選択される緩衝液処方が可能となり、これによって、ワークフロー全体を制限しないライゲーション性能が達成される。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、DNAライブラリーの構築において使用される。これらのライブラリーは、DNAシーケンシング、ハイスループットスクリーニング、遺伝子選択、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細胞ベースのアッセイ、生化学的アッセイまたはイメージングベースのハイコンテントスクリーニングのために使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、ライブラリーの大きさ、多様性または忠実度が、野生型リガーゼが使用される場合にライゲーション基質濃度によって制限される場合に特に有用性が見出される。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、3C、4C、5CおよびHi-Cを含む、クロマチンコンホメーション捕捉(C3)ベースのアッセイの実行において使用される。これらのアッセイは、分子内ライゲーションを促進するのに必要である極めて希釈した条件下での消化された基質の効率的なライゲーションに左右される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼは、これらの条件下で野生型T4 DNAリガーゼよりも効率的に実行する。
略語および定義:
【0055】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。全般的に、本明細書において使用される命名法および以下に記載される細胞培養、分子遺伝学、微生物学、有機化学、分析化学および核酸化学の実験室手順は、当技術分野で周知であり、一般的に採用されるものである。このような技術は、周知であり、当業者に周知の多数の教本および参考文献に記載されている。化学的合成および化学的分析のために標準技術またはその改変が使用される。
【0056】
本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、論文および刊行物は、前掲および後掲両方とも、ここに参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0057】
本明細書において記載されるものと同様または等価である任意の適した方法および材料が本発明の実施において使用されるが、いくつかの方法および材料は、本明細書において記載されている。記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬は、当業者によって使用される状況に応じて変わり得るので、本発明は、これらに限定されないと理解されるべきである。したがって、直後に定義される用語は、本出願を全体として参照することによってより十分に説明される。本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、論文および刊行物は、前掲および後掲両方とも、ここに参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0058】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明確に別に示さない限り、複数の言及を含む。
【0059】
数値範囲には、範囲を規定する数字が含まれる。したがって、本明細書において開示されるどの数値範囲も、このようなより広い数値範囲内に入るすべてのより狭い数値範囲を、このようなより狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されるかのように包含するよう意図される。また、本明細書において開示されるすべての最大(または最小)の数値限定は、すべてのより低い(またはより高い)数値限定を、このようなより低い(またはより高い)数値限定が本明細書に明確に記載されるかのように含むと意図される。
【0060】
用語「約」とは、特定の値の許容可能な誤差を意味する。いくつかの場合には、「約」とは、所与の値の範囲の0.05%、0.5%、1.0%または2.0%内を意味する。いくつかの場合には、「約」とは、所与の値の1、2、3または4標準偏差内を意味する。
【0061】
さらに、本明細書において提供される見出しは、本出願を全体として参照することによって得ることができる本発明の種々の態様または実施形態の制限ではない。したがって、直下に定義される用語は、本出願を全体として参照することによってより十分に定義される。それにもかかわらず、本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0062】
特に断りのない限り、それぞれ、核酸は、左から右に5’から3’配向で記載され、アミノ酸配列は、左から右にアミノからカルボキシ配向で記載される。
【0063】
本明細書において使用する場合、用語「含む(comprising)」およびその同語源語は、その包括的な意味で使用される(すなわち、用語「含む(including)」およびその対応する同語源語と等価)。
【0064】
本明細書において使用する場合、「EC」番号は、国際生化学分子生物学連合の命名委員会(NC-IUBMB)の酵素命名法を指す。IUBMB生化学分類は、酵素が触媒する化学反応に基づいた酵素の数値分類システムである。
【0065】
本明細書において使用する場合、「ATCC」とは、バイオレポジトリーコレクションに遺伝子と株が含まれる、American Type Culture Collectionを指す。
【0066】
本明細書において使用する場合、「NCBI」とは、国立生物情報センターとそこに提供されている配列データベースを指す。
【0067】
本明細書において使用する場合、用語「DNA」とは、デオキシリボ核酸を指す。
【0068】
本明細書において使用する場合、用語「RNA」とは、リボ核酸を指す。
【0069】
本明細書において使用する場合、用語「融合タンパク質」および「キメラタンパク質」および「キメラ」とは、別個のタンパク質を元々コードしていた2種またはそれより多い遺伝子の接合によって作り出されたハイブリッドタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、組換え技術(例えば、当技術分野で公知の分子生物学技術)によって作り出される。
【0070】
本明細書において使用する場合、用語「リガーゼ」とは、ポリヌクレオチドを一緒に結合するために、または単一ポリヌクレオチドの両末端を結合するためによく使用される酵素のクラスを指す。リガーゼとして、ATP依存性二本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、NAD+依存性二本鎖DNAまたはRNAリガーゼおよび一本鎖ポリヌクレオチドリガーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明は、バクテリオファージリガーゼ(例えば、T3 DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼおよびT7 DNAリガーゼ)ならびにそのバリアントを提供する。いくつかのさらなる実施形態では、本発明は、融合またはキメラリガーゼを提供する。DNAリガーゼは、DNA断片(例えば、遺伝子)のプラスミドへの挿入のために制限酵素とともに使用されることが多い。付着末端断片のライゲーションのために、最適温度を制御することは、効率的な組換えの実施において重要である。T4 DNAリガーゼは、37℃で最も活性であるが、付着末端断片を用いる最適ライゲーション効率のために、酵素の最適温度は、ライゲーションされる末端の融解温度とバランスをとらなければならず、オーバーハングが短いほど、断片の融解温度は低い。ライゲーション反応は、付着末端がすでに安定してアニーリングされている場合に最も効率的である傾向がある。平滑末端DNA断片のライゲーションのためには、融解温度は、反応がライゲーションのために使用される正常温度範囲内で生じる場合には、考慮に入れる因子ではない。これらの反応では、制限因子は、リガーゼ活性というよりも、生じ得るDNA断片末端間のアラインメントの数である。したがって、平滑末端DNA断片のライゲーションのための最も効率的な温度は、アラインメントの最大数が反応において生じ得る温度である。
【0071】
本明細書において使用する場合、用語「アダプター」とは、ライゲーションのための適合DNA末端を有する一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを指す。アダプターの末端は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよく、処理されたライブラリー挿入物DNA上の相補的オーバーハングと適合するオーバーハングを含有し得る。アダプターは、一本鎖および二本鎖領域の両方を有し得る。いくつかの実施形態では、用語「アダプター」は、プライマー結合(biding)部位、バーコードおよびその他の特徴を含み得るNGS(すなわち、次世代シーケンシング)反応において使用される全長アダプターを指すように使用され、さらに全長アダプターと同一のライゲーションに適合する末端を有するが、これらのさらなる特徴を欠く、HTPスクリーニングおよびライゲーションアッセイにおいて使用される単純化されたモデルアダプターも指す。Illumina(登録商標)シーケンシングプラットフォームで使用するために設計されたNGSアダプターは、Aテール挿入物断片上に存在するデオキシアデノシン3’オーバーハングとのライゲーションに適合するデオキシチミジン3’オーバーハングを有する。Tテールアダプターは、非相補的DNA末端に対する野生型T4 DNAリガーゼの選択性のために、互いに効率的にライゲーションしない。アダプター二量化が、長いインキュベーション期間、高いアダプター濃度または高濃度のクラウディング剤を含む極端なライゲーション条件の結果として起こる。重要なことに、ライゲーション反応中のヌクレアーゼ混入物は、アダプター末端上のオーバーハングを除去することができ、その結果、自己ライゲーションに適合する平滑末端基質が得られる。
【0072】
本明細書において使用する場合、用語「適合する末端」とは、オーバーハング上のすべての塩基が相補的であるように、5’から3’逆平行配向でハイブリダイズする5’または3’オーバーハングを有する2つのDNA二本鎖断片の末端を指す。ライゲーションとの関連で、少なくとも1種のDNA断片は、3’または5’オーバーハングのハイブリダイゼーションの際に別の分子に由来するヌクレオチドの3’ヒドロキシルに隣接して位置するヌクレオチド上に5’リン酸を有さなくてはならない。ライゲーションは、2種の基質分子の適合する末端での共有結合連結をもたらす。DNAシーケンシングのためのライブラリー調製を含むいくつかの実施形態では、アダプターおよび挿入物断片などの2種のDNA分子は、適合する末端を有さなくてはならず、アダプター/挿入物ハイブリッドの両鎖は、アダプターとハイブリダイズされるプライマーのポリメラーゼ伸長によるPCRまたはシーケンシングによる生産的なライブラリー増幅を可能にするためにライゲーションされなければならない。
【0073】
本明細書において使用する場合、用語「オーバーハング」とは、二本鎖DNA断片の末端に生じる1つまたは複数の不対ポリヌクレオチドの領域を指す。不対領域中に5’または3’DNA末端のいずれかが存在し得る。二本鎖DNA断片は、2つの相補的一本鎖ポリヌクレオチドの二本鎖であり得るか、または二本鎖DNAの領域を形成する自己相補性を有する単一ポリヌクレオチドであり得る。
【0074】
本明細書において使用する場合、用語「二本鎖」および「ds」とは、その配列において相補的であり(AはTと対形成し、CはGと対形成する)、逆平行の5’から3’配向に配置され、核酸塩基(すなわち、アデニン[A]、グアニン[G]、シトシン[C]およびチミン[T])間の水素結合によって一緒に保持された、2つの一本鎖ポリヌクレオチドで構成される二本鎖核酸(例えば、DNA)分子を指す。
【0075】
本明細書において使用する場合、用語「平滑」とは、5’オーバーハングも3’オーバーハングも有さない自己相補性を有するDNA二本鎖または一本鎖(「ss」)DNAの末端を指す。平滑末端は、鎖の一方または両方に5’リン酸を有し得、これがそれらを、T4 DNAリガーゼなどのリガーゼによるライゲーションにとって適合しているものにさせる。
【0076】
本明細書において使用する場合、用語「アダプター二量体」とは、2つのアダプター間の任意の共有結合ライゲーション生成物を指す。アダプター二量体は、ライゲーション反応の間に形成され得る。
【0077】
本明細書において使用する場合、用語「ライブラリー挿入物」および「挿入物」とは、アダプターライゲーションにおける使用のための適合末端を提示するように末端修復および/またはAテール付加によって処理されている二本鎖DNA断片を指す。
【0078】
本明細書において使用する場合、用語「末端修復」とは、DNA(例えば、その他のDNA分子と不適合である、断片化された、または損傷を受けたDNAもしくはDNA分子)を修復するための方法を指す。いくつかの実施形態では、プロセスは、2つの機能:1)T4 DNAポリメラーゼおよび/またはクレノウ断片などの酵素による、オーバーハングを有する二本鎖DNAの、オーバーハングを有さない二本鎖DNAへの変換、および2)ポリヌクレオチドキナーゼなどの酵素によるDNA(一本鎖または二本鎖)の5’末端へのリン酸基の付加を含む。
【0079】
本明細書において使用する場合、用語「Aテール付加(A-tailing)」とは、平滑末端
二本鎖DNA断片の末端に単一デオキシアデノシン残基を付加して、3’デオキシアデノシン一塩基オーバーハングを形成することを指す。Aテール付加された断片は、自己ライゲーション(すなわち、DNAの自己環化および鎖状体形成(concantenation))に適合しないが、アダプター上に存在するものなどの3’デオキシチミジンオーバーハングと適合する。
【0080】
本明細書において使用する場合、用語「アミノブロックされた」とは、3’ヒドロキシルが、アミノ部分において6炭素リンカー終結によって置き換えられている一本鎖または二本鎖DNA末端を指す。DNAリガーゼは、3’ヒドロキシルの不在下でライゲーション反応を触媒できない。
【0081】
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関わらず、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを表すために本明細書において同義的に使用される。
【0082】
「アミノ酸」は、その一般的に知られている3文字記号、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される一文字記号のいずれかによって本明細書において参照される。ヌクレオチドは同様に、その一般的に許容される一文字表記によって参照され得る。
【0083】
用語「遺伝子操作された(engineered)」、「組換え」、「天然に存在しない」および「バリアント」とは、細胞、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される場合、そうでなければ自然界に存在しない方法で修飾されている、あるいはそれと同一であるが、合成材料から、および/もしくは組換え技術を使用する操作によって、生成される、または由来する方法で修飾されている、材料または材料の自然もしくは天然形態に対応する材料を指す。
【0084】
本明細書において使用する場合、「野生型」および「天然に存在する」とは、自然界に見られる形態を指す。例えば、野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、自然界における供給源から単離することができる、ヒトの操作によって意図的に修飾されていない生物中に存在する配列である。
【0085】
本明細書において使用する場合、「コード配列」とは、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
【0086】
本明細書において使用する場合、用語「配列同一性パーセント(%)」とは、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド間の比較を指し、2つの最適にアラインされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって決定され、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントについて参照配列と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両配列中に同一核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して、マッチしている位置の数を得ることと、マッチしている位置の数を、比較のウィンドウ中の位置の総数で除することと、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることとによって算出できる。あるいは、パーセンテージは、同一核酸塩基もしくはアミノ酸残基のいずれかが両配列中に生じる位置の数を決定すること、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基をギャップを用いてアラインして、マッチしている位置の数を得ることと、マッチする位置の数を、比較のウィンドウ中の位置の総数で除することと、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることとによって算出できる。当業者ならば、2つの配列をアラインするために利用可能な多数の確立されたアルゴリズムがあることを理解する。比較のための配列の最適アルゴリズムは、例えば、当技術分野で公知の、SmithおよびWaterman
(SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.、2巻:482頁[1981年])の局所相
同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻:443頁[1970年])の相同性アラインメントアルゴリズムによっ
て、PearsonおよびLipman(PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻
:2444頁[1988年])の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(例えば、GCG Wisconsinソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または目視検査によって実施できる。配列同一性および配列類似性パーセントを決定するために適しているアルゴリズムの例として、それだけに限らないが、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムが挙げられる(例えば、Altschulら、J.Mol. Biol.、215巻:403~
410頁[1990年];およびAltschulら、Nucleic Acids Res.、3389~3402頁[1977年])。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationウェブサイトを介して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、第1に、データベース配列中の同一の長さのワードとアラインした場合に、幾分かの正の値の閾値スコア「T」とマッチするか、またはそれを満たす、クエリー配列中の長さ「W」の短いワードを同定することによって、高スコアリング配列対(HSP)を同定することを伴う。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschulら、前掲を参照のこと)。これらの初期近隣ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、ワードヒットを各配列に沿って両方向に広げる。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータ「M」(マッチする残基の対の報酬スコア;常に>0)および「N」(ミスマッチする残基のペナルティースコア;常に<0)を使用して算出する。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを算出する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から量「X」だけ外れるとき、1つまたは複数の負のスコアを有する残基アラインメントの累積のために累積スコアがゼロまたはそれより小さくなるとき、またはいずれかの配列の末端に到達した時に、各方向でのワードヒットの拡張を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のための)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列のためには、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待値(E)およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(例えば、HenikoffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad. Sci. USA 89巻:10
915頁[1989年]を参照のこと)。配列アラインメントおよび配列同一性%の例示的決定は、提供されたデフォルトパラメータを使用して、GCG Wisconsinソフトウェアパッケージ(Accelrys、Madison、WI)中のBESTFITまたはGAPプログラムを用いることができる。
【0087】
本明細書において使用する場合、「参照配列」とは、配列比較の基礎として使用される規定された配列を指す。参照配列は、大きな配列のサブセット、例えば、全長遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の長さ、少なくとも25残基の長さ、少なくとも50残基の長さ、少なくとも100残基の長さまたは核酸もしくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが各々、(1)2つの配列間で同様である配列(すなわち、完全配列の部分)を含み得る、および(2)2つの配列間で多様である配列をさらに含み得るので、2つ(またはそれより多い)のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列比較は、通常、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を「比較ウィンドウ」にわたって比較して、配列類似性の局所領域を同定および比較することによって実施される。いくつかの実施形態では、「参照配列」は、一次アミノ酸配列に基づいたものであり得、ここでは、参照配列は、一次配列において1つまたは複数の変化を有し得る配列である。例えば、語句「X39に対応する残基にバリンを有する配列番号4に基づく参照配列」は、配列番号4中のX39位に対応する残基(例えば、アラニン)が、バリンに変更されている参照配列を指す。
【0088】
本明細書において使用する場合、「比較ウィンドウ」とは、配列を、少なくとも20の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウィンドウ中の配列の部分が、2つの配列の最適アラインメントについて参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセントまたはそれより少ない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る、少なくとも約20の連続ヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的なセグメントを指す。比較ウィンドウは、20連続残基より長いものである場合もあり、必要に応じて、30、40、50、100またはそれより長いウィンドウを含む。
【0089】
本明細書において使用する場合、「に対応する(corresponding to)」、「に関して(reference to)」および「に対して(relative to)」は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けに関連して使用される場合に、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列が、参照配列と比較される場合の具体的な参照配列の残基の番号付けを指す。言い換えれば、所与のポリマーの残基数または残基位置は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数値位置ではなく参照配列に関して指定される。例えば、遺伝子操作されたリガーゼのものなどの所与のアミノ酸配列を、2つの配列間の残基マッチを最適化するようにギャップを導入することによって参照配列に対してアラインできる。これらの場合には、ギャップは存在するが、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列中の残基の番号付けは、アラインされている参照配列に関して行う。いくつかの実施形態では、配列はタグが付けられる(例えば、ヒスチジンタグを用いて)。
【0090】
本明細書において使用する場合、「アミノ酸の相違」および「残基の相違」とは、参照配列中の対応する位置でのアミノ酸残基に対する、ポリペプチド配列の位置でのアミノ酸残基における相違を指す。アミノ酸の相違の位置は、一般に、本明細書において「Xn」と称され、nは、残基の相違が基づく、参照配列中の対応する位置を指す。例えば、「配列番号4と比較したX91位での残基の相違」とは、配列番号4の91位に対応するポリペプチド位置でのアミノ酸残基の相違を指す。したがって、配列番号4の参照ポリペプチドが、91位にアラニンを有する場合には、「配列番号4と比較したX91位での残基の相違」とは、配列番号4の91位に対応するポリペプチドの位置でのアラニン以外の任意の残基のアミノ酸置換を指す。本明細書におけるほとんどの例では、ある位置での具体的なアミノ酸残基の相違は、「XnY」として示され、ここでは、「Xn」は、参照ポリペプチドの対応する残基および位置を指し示し(上記のように)、「Y」は、遺伝子操作されたポリペプチド中に見られるアミノ酸(すなわち、参照ポリペプチド中とは異なる残基)の一文字識別子である。いくつかの場合には(例えば、実施例の表における)、本開示はまた、従来の表示法「AnB」によって表される具体的なアミノ酸の相違も提供し、ここでは、Aは、参照配列中の残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列中の残基位置の数であり、Bは、遺伝子操作されたポリペプチドの配列中の残基置換の一文字識別子である。いくつかの場合には、本開示のポリペプチドは、参照配列に対して残基の相違が存在する具体的な位置のリストによって示される、参照配列に対する1つまたは複数のアミノ酸残基の相違を含み得る。ポリペプチドの具体的な残基位置において1つより多いアミノ酸を使用することができるいくつかの実施形態では、使用できる種々のアミノ酸残基は、「/」によってわけられる(例えば、X307G/X307QまたはX307G/Q)。本開示は、保存的および非保存的アミノ酸置換のいずれか/または両方を含む1つまたは複数のアミノ酸の相違を含む遺伝子操作されたポリペプチド配列を含む。
【0091】
本明細書において使用する場合、用語「アミノ酸置換セット」および「置換セット」とは、ポリペプチド配列内のアミノ酸置換の群を指す。いくつかの実施形態では、置換セットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれより多いアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、置換セットは、実施例の表のいずれかに列挙されるいずれかのバリアントリガーゼポリペプチド中に存在するアミノ酸置換のセットを指す。これらの置換セットでは、個々の置換は、セミコロン(「;」;例えば、C165A;S181T;K299P)またはスラッシュ(「/」;例えば、C165A/S181T/K299P)によってわけられる。
【0092】
本明細書において使用する場合、「保存的アミノ酸置換」とは、残基の、同様の側鎖を有する異なる残基との置換を指し、したがって、通常、ポリペプチド中のアミノ酸の、同一または同様に定義されたクラスのアミノ酸との置換を含む。例として、限定するものではないが、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸で置換されることができ(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)、ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸で置換され(例えば、セリンおよびトレオニン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸で置換され(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン)、塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸で置換され(例えば、リシンおよびアルギニン)、酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸で置換され(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸);ならびに疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ、別の疎水性または親水性アミノ酸で置換される。
【0093】
本明細書において使用する場合、「非保存的置換」とは、ポリペプチド中のアミノ酸の、有意に異なる側鎖特性を有するアミノ酸との置換を指す。非保存的置換は、規定の群内ではなく規定の群間のアミノ酸を使用してもよく、(a)置換の領域のペプチド骨格の構造(例えば、プロリンのグリシンとの)、(b)電荷または疎水性、および/または(c)側鎖の嵩高さに影響を及ぼす。例として、制限するものではないが、例示的非保存的置換として、塩基性または脂肪族アミノ酸との酸性アミノ酸置換、小さいアミノ酸との芳香族アミノ酸置換および疎水性アミノ酸との親水性アミノ酸置換が挙げられる。
【0094】
本明細書において使用する場合、「欠失」とは、参照ポリペプチドからの1個または複数のアミノ酸の除去によるポリペプチドへの修飾を指す。欠失は、遺伝子操作されたトランスアミナーゼ酵素の酵素活性を保持しながら、および/または改善された特性を保持しながらの、1個もしくはそれより多いアミノ酸、2個もしくはそれより多いアミノ酸、5個もしくはそれより多いアミノ酸、10個もしくはそれより多いアミノ酸、15個もしくはそれより多いアミノ酸または20個もしくはそれより多いアミノ酸、参照酵素を構成するアミノ酸の総数の最大10%またはアミノ酸の総数の最大20%の除去を含み得る。欠失は、ポリペプチドの内部部分および/または末端部分に向けられ得る。種々の実施形態では、欠失は、連続セグメントを含み得る、または不連続であり得る。
【0095】
本明細書において使用する場合、「挿入」とは、参照ポリペプチドからの1個または複数のアミノ酸の付加によるポリペプチドへの修飾を指す。挿入は、ポリペプチドの内部部分においてであっても、カルボキシ末端またはアミノ末端に対してであってもよい。挿入は、当技術分野で公知であるように、本明細書において使用する場合、融合タンパク質を含む。挿入は、アミノ酸の連続セグメントである場合も、天然に存在するポリペプチド中の1個または複数のアミノ酸によってわけられる場合もある。
【0096】
本明細書において使用する場合、「機能的断片」および「生物学的に活性な断片」は、本明細書において同義的に使用され、アミノ末端および/もしくはカルボキシ末端欠失ならびに/または内部欠失を有するが、残存するアミノ酸配列は、比較されている配列(例えば、本発明の全長の遺伝子操作されたリガーゼ)中の対応する位置と同一であり、全長ポリペプチドの活性の実質的にすべてを保持するポリペプチドを指す。
【0097】
本明細書において使用する場合、「単離されたポリペプチド」とは、ポリペプチドに天然に付随するその他の混入物(例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチド)から実質的にわけられているポリペプチドを指す。この用語は、その天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞もしくはin vitro合成)から回収または精製されているポリペプチドを包含する。組換えリガーゼポリペプチドは、細胞内に存在し得る、細胞培地中に存在し得る、または溶解物もしくは単離された調製物などの種々の形態で調製され得る。そのようなものとして、いくつかの実施形態では、本明細書において提供される組換えリガーゼポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。
【0098】
本明細書において使用する場合、「実質的に純粋なポリペプチド」とは、ポリペプチド種が、存在する主な種であり(すなわち、モルベースで、または重量ベースで、組成物中の任意のその他の個々の高分子種よりも豊富である)、一般に、目的の種が、モルまたは重量%で存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを含む場合に、実質的に精製された組成物である組成物を指す。一般に、実質的に純粋なリガーゼ組成物は、組成物中に存在するモルまたは重量%ですべての高分子種の約60%またはそれより多く、約70%またはそれより多く、約80%またはそれより多く、約90%またはそれより多く、約95%またはそれより多くおよび約98%またはそれより多くを含む。いくつかの実施形態では、目的の種は、本質的に均一性に精製され(すなわち、混入物種は、従来の検出法によって組成物において検出され得ない)、組成物は、単一高分子種から本質的になる。溶媒種、小分子(<500ダルトン)および元素イオン種は、考慮される高分子種ではない。いくつかの実施形態では、単離された組換えリガーゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0099】
本明細書において使用する場合、「改善された酵素特性」とは、参照リガーゼポリペプチド、例えば、野生型リガーゼポリペプチド(例えば、配列番号2の野生型T4リガーゼ)または別の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドと比較して任意の酵素特性における改善を示す遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを指す。改善された特性として、それだけには限らないが、タンパク質発現の増加、熱活性の増加、熱安定性の増加、安定性の増加、酵素活性の増加、基質特異性および/または親和性の増加、比活性の増加、基質に対する耐性および/または最終生成物阻害の増加、化学的安定性の増加、化学選択性の改善、溶媒安定性の改善、酸性pHに対する耐性の増加、タンパク質分解活性に対する耐性の増加(すなわち、タンパク質分解に対する低減された感受性)、溶解度の増加ならびに温度プロファイルの変更などの特性が挙げられる。
【0100】
本明細書において使用する場合、「酵素活性の増加」および「触媒活性の増強」とは、参照リガーゼ酵素(例えば、野生型T4リガーゼおよび/または別の遺伝子操作されたリガーゼ)と比較した、比活性(例えば、生成された生成物/時間/重量タンパク質)の増加および/または基質の生成物への変換パーセント(例えば、指し示された量のリガーゼを使用する指し示された期間での基質の出発量の生成物への変換パーセント)の増加によって表すことができる、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの改善された特性を指す。酵素活性を決定するための例示的方法は、実施例に提供されている。Km、Vmaxまたはkcatの古典的な酵素特性を含む、酵素活性に関する任意の特性は影響を受ける可能性があり、その変化は、酵素活性の増加につながり得る。酵素活性の改善は、対応する野生型酵素の酵素活性の約1.1倍から、リガーゼポリペプチドが由来した天然に存在するリガーゼまたは別の遺伝子操作されたリガーゼよりも2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍程度またはそれより高い酵素活性であり得る。
【0101】
本明細書において同義的に使用される用語「タンパク質分解活性」および「タンパク質分解」とは、より小さいポリペプチドまたはアミノ酸へのタンパク質の分解を指す。タンパク質の分解は、一般に、プロテアーゼ(プロテイナーゼ)酵素によるペプチド結合の加水分解の結果である。プロテアーゼ酵素として、それだけには限らないが、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼAおよびBならびにペプチダーゼ(例えば、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼおよびエンテロペプチダーゼ)が挙げられる。
【0102】
語句「タンパク質分解に対する感受性を低減すること」および「タンパク質分解感受性を低減すること」は、本明細書において同義的に使用され、本発明による遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、1種または複数種のプロテアーゼを用いる処置後に、標準アッセイ(例えば、実施例において開示されるような)において、参照リガーゼと比較してより高い酵素活性を有するであろうことを意味する。
【0103】
本明細書において使用する場合、「変換」とは、基質(複数可)の、対応する生成物(複数可)への酵素変換(または生体内変化)を指す。「変換パーセント」とは、指し示された条件下で期間内に生成物に変換される基質のパーセントを指す。したがって、リガーゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、具体的な期間での基質の生成物への「変換パーセント」として表すことができる。
【0104】
本明細書において使用する場合、「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、低ストリンジェンシーと、それに続く変動するがより高いストリンジェンシーの洗浄の条件下で実施する。用語「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」とは、標的DNAが、標的DNAに対して約60%の同一性、好ましくは、約75%の同一性、約85%の同一性を有し、標的ポリヌクレオチドに対して約90%を超える同一性を有する相補的核酸と結合することを可能にする条件を指す。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、42℃での50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×SSPE、0.2% SDSにおけるハイブリダイゼーションと、それに続く、42℃での0.2×SSPE、0.2% SDSにおける洗浄と同等の条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」とは、一般に、規定のポリヌクレオチド配列の溶液条件下で決定されるような熱融解温度Tmから約10℃またはそれより低い条件を指す。いくつかの実施形態では、高ストリンジェンシー条件とは、65℃での0.018M NaCl中で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件(すなわち、ハイブリッドが65℃での0.018M NaCl中で安定でない場合には、本明細書において考慮されるような高ストリンジェンシー条件下では安定でない)を指す。高ストリンジェンシー条件は、例えば、42℃での50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×SSPE、0.2% SDSと同等の条件におけるハイブリダイゼーションと、それに続く、65℃での0.1×SSPEおよび0.1% SDSにおける洗浄によって提供され得る。別の高ストリンジェンシー条件は、65℃で0.1%(w:v)SDSを含有する5×SSCにおいてハイブリダイズすることと同等の条件においてハイブリダイズすることおよび65℃で0.1% SDSを含有する0.1×SSCにおいて洗浄することである。その他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件ならびに中程度にストリンジェントな条件は、上記で引用された参考文献に記載されている。
【0105】
本明細書において使用する場合、「最適化されたコドン」とは、コードされるタンパク質が特定の生物においてより効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンの、その生物において優先的に使用されるものへの変化を指す。ほとんどのアミノ酸は、「同義語」または「同義の」コドンと呼ばれるいくつかのコドンによって表される点で遺伝暗号は縮重しているが、特定の生物によるコドン使用は、非ランダムであり、特定のコドントリプレットに向けて偏りがあるということは周知である。このコドン使用の偏りは、所与の遺伝子、共通の機能または先祖起源の遺伝子、低コピー数タンパク質に対して高度に発現されたタンパク質および生物のゲノムの凝集タンパク質コード領域に関してより高い場合がある。いくつかの実施形態では、リガーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択された宿主生物からの最適生成のためにコドン最適化される。
【0106】
本明細書において使用する場合、「制御配列」とは、本明細書において、本開示のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現にとって必要である、もしくは有利であるすべての構成要素を含むことを指す。各制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列にとって天然であっても、外来であってもよい。このような制御配列として、それだけには限らないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター配列、シグナルペプチド配列、開始配列および転写ターミネーターが挙げられる。最小では、制御配列は、プロモーターならびに転写および翻訳停止シグナルを含む。いくつかの実施形態では、制御配列には、制御配列の、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域とのライゲーションを促進する具体的な制限部位を導入する目的でリンカーが提供される。
【0107】
「作動可能に連結された」は、制御配列が目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を指示または調節するように、制御配列が、目的のポリヌクレオチドに対する位置に適宜配置される(すなわち、機能的関係で)立体配置として本明細書において定義される。
【0108】
本明細書において使用する場合、「プロモーター配列」とは、コード配列などの目的のポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列を指す。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、変異体、トランケート型およびハイブリッドプロモーターを含む、選択した宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってよく、宿主細胞にとって同属もしくは異種いずれかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0109】
本明細書において使用する場合、「適した反応条件」とは、本開示のリガーゼポリペプチドが、基質を所望の生成物化合物に変換可能である、酵素変換反応溶液における条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、温度、pH、緩衝液、共溶媒などの範囲)を指す。例示的な「適した反応条件」が本明細書において提供されている(実施例を参照のこと)。
【0110】
本明細書において使用する場合、「化合物負荷」または「酵素負荷」などにおける「負荷」とは、反応の開始時の反応混合物中の構成成分の濃度または量を指す。酵素変換反応の関連で「基質」とは、リガーゼポリペプチドによって作用される化合物または分子を指す。
【0111】
本明細書において使用する場合、酵素変換プロセスの関連で「生成物」とは、基質に対するリガーゼポリペプチドの作用の結果として生じる化合物または分子を指す。
【0112】
本明細書において使用する場合、「培養すること」とは、任意の適した培地(例えば、液体、ゲルまたは固体)を使用して適した条件下で微生物細胞の集団を成長させることを指す。
【0113】
組換えポリペプチド(例えば、リガーゼ酵素バリアント)は、当技術分野で公知の任意の適した方法を使用して生成できる。例えば、当業者に周知のさまざまな異なる変異誘発技術がある。さらに、変異誘発キットも多数の商業的な分子生物学供給業者から入手可能である。規定のアミノ酸での特異的置換(部位特異的に)、遺伝子の局在領域における特異的もしくはランダム変異(領域特異的)または全遺伝子にわたるランダム変異誘発(例えば、飽和変異誘発)を行うための方法が利用可能である。それだけには限らないが、PCRを使用する一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAの部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、遺伝子合成、エラー-プローンPCR、シャッフリングおよび化学的飽和変異誘発または当技術分野で公知の任意のその他の適した方法を含む、酵素バリアントを作製するための多数の適した方法が当業者に公知である。DNAおよびタンパク質エンジニアリングのために使用される方法の限定されない例が以下の特許において提供されている:米国特許第6,117,679号、同6,420,175号、同6,376,246号、同6,586,182号、同7,747,391号、同7,747,393号、同7,783,428号および同8,383,346号。バリアントが生成された後、それらを任意の所望の特性(例えば、高い活性もしくは活性の増加または低い活性もしくは活性の低減、熱活性の増加、熱安定性の増加および/または酸性pH安定性など)についてスクリーニングできる。いくつかの実施形態では、「組換えリガーゼポリペプチド」(本明細書において「遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド」、「バリアントリガーゼ酵素」および「リガーゼバリアント」とも称される)が使用される。
【0114】
本明細書において使用する場合、「ベクター」は、DNA配列を細胞中に導入するためのDNA構築物である。いくつかの実施形態では、ベクターは、DNA配列においてコードされるポリペプチドの適した宿主において発現達成可能な、適した制御配列に作動可能に連結されている発現ベクターである。いくつかの実施形態では、「発現ベクター」は、宿主細胞において発現を駆動するためにDNA配列(例えば、導入遺伝子)に作動可能に連結されているプロモーター配列を有し、いくつかの実施形態では、転写ターミネーター配列も含む。
【0115】
本明細書において使用する場合、用語「発現」は、それだけには限らないが、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾を含む、ポリペプチドの生成に関与する任意のステップを含む。いくつかの実施形態では、用語はまた、細胞からのポリペプチドの分泌を包含する。
【0116】
本明細書において使用する場合、用語「生成する」とは、細胞によるタンパク質および/またはその他の化合物の生成を指す。この用語は、それだけには限らないが、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾を含む、ポリペプチドの生成に関与する任意のステップを包含することは意図される。いくつかの実施形態では、この用語はまた、細胞からのポリペプチドの分泌を包含する。
【0117】
本明細書において使用する場合、アミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド、ターミネーター配列など)は、2つの配列が自然界で関連していない場合には、ともに作動可能に連結される別の配列に対して「異種」である。
【0118】
本明細書において使用する場合、用語「宿主細胞」および「宿主株」とは、本明細書において提供されるDNA(例えば、少なくとも1種のリガーゼバリアントをコードするポリヌクレオチド配列)を含む発現ベクターにとって適した宿主を指す。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、当技術分野で公知の組換えDNA技術を使用して構築されたベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトされている原核細胞または真核細胞である。
【0119】
本明細書において使用する場合、用語「類似体」とは、参照ポリペプチドと、70%を超える配列同一性を有するが、100%未満の配列同一性(例えば、75%、78%、80%、83%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える配列同一性)を有するポリペプチドを意味する。いくつかの実施形態では、類似体は、ホモアルギニン、オルニチンおよびノルバリンを含むがそれに限定されない天然に存在しないアミノ酸残基ならびに天然に存在するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、類似体はまた、1個または複数のD-アミノ酸残基および2個またはそれより多いアミノ酸残基間の非ペプチド連結を含む。
【0120】
本明細書において使用する場合、用語「有効量」とは、所望の結果をもたらすのに十分な量を意味する。当業者は、日常的な実験を使用することによって有効量を決定することができる。
【0121】
用語「単離された」および「精製された」は、天然に会合している少なくとも1種のその他の構成成分から除去されている、分子(例えば、単離された核酸、ポリペプチドなど)またはその他の構成成分を指すために使用される。用語「精製された」は、絶対純度を必要とせず、むしろ、相対的定義として意図される。
【0122】
用語「対象」は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜、コンパニオンアニマルおよび実験動物(例えば、げっ歯類およびウサギ目の動物(lagamorph))などの哺乳動物を包含する。こ
の用語は、雌ならびに雄を包含すると意図される。
【0123】
本明細書において使用する場合、用語「患者」とは、疾患を評価されている、処置される、または経験している任意の対象を意味する。
【0124】
本明細書において使用する場合、「組成物」および「製剤」は少なくとも1種(at least one)を含む生成物を包含する。
【0125】
本明細書において使用する場合、「細胞不含DNA」とは、血流中を自由に循環し、細胞によって含有されない、または細胞と会合しないDNAを指す。いくつかの実施形態では、細胞不含DNAは、正常な体細胞もしくは生殖系列細胞、がん細胞、胎児細胞、微生物細胞またはウイルスに元々由来する、それから放出されるDNAを含む。
【0126】
本明細書において使用する場合、「インデックスホッピング」とは、シーケンシングリードが別のライブラリー由来のインデックスで標識されたライブラリーに不正確に割り当てられるプロセスを指す。インデックスホッピングは、ライブラリークリーンアップの際に、ライゲートされていないアダプター分子が効率的に除去されず、その後、シーケンシングワークフローに入るその後のステップでライブラリー断片に組み込まれる場合に起こり得る。
遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド:
【0127】
特定のリガーゼバリアント(すなわち、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド)が、野生型リガーゼまたは参照リガーゼの配列中の特定のアミノ酸残基の修飾への参照によって言及される場合には、同等位置(複数可)(それぞれのアミノ酸配列間の最適アミノ酸配列アラインメントから決定されるような)において修飾された別のリガーゼのバリアントが本明細書において包含されるということは理解されるべきである。
【0128】
本発明の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドバリアントは、実施例において示されるような野生型T4 DNAリガーゼよりもかなり速い速度でプレート捕捉ハイスループットアッセイにおける単一末端ライゲーション捕捉を実施する。さらに、これらのバリアントリガーゼは、PEGなどの剤の不在下でライゲーション反応を実施することが可能である。さらに、これらのリガーゼバリアントは、阻害剤耐性の増加を示す。
【0129】
本発明の遺伝子操作されたリガーゼバリアントは、NGSおよびその他の診断法に適したDNAライブラリーを作り出す。これらのリガーゼバリアントは、溶液中で、および固定化された実施形態において使用される。
【0130】
いくつかの追加の実施形態では、本発明の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、配列番号2、6、32、34および/または38に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を含むポリペプチドを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む微生物を、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成するために資する条件下で培養することによって生成される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを、続いて、得られた培養培地および/または細胞から回収する。
【0132】
本発明は、リガーゼ活性を有する例示的な遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを提供する。実施例は、具体的なアミノ酸配列の特徴を、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの機能活性と関連付ける配列構造情報を示す表を提供する。この構造-機能相関情報は、例示的な遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドについて、配列番号2、6、32、34および/または38の参照の遺伝子操作されたポリペプチドに対する具体的なアミノ酸残基の相違ならびに関連する実験によって決定された活性データの形態で提供される。
【0133】
いくつかの実施形態では、リガーゼ活性を有する本発明の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、参照配列の配列番号2、6、32、34および/または38に対して少なくとも85%の配列同一性を有し、参照配列(例えば、野生型T4 DNAリガーゼ)と比較して少なくとも1つの改善された特性を示すアミノ酸配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの改善された特性を示す遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、配列番号2、6、32、34および/または38と、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性ならびに配列番号2、6、32、34および/または38と比較して、1つまたは複数のアミノ酸位置に(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、20の、またはそれより多いアミノ酸位置などに)アミノ酸残基の相違を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、実施例において提供される表に列挙されるポリペプチドである。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの機能的断片を提供する。いくつかの実施形態では、機能的断片は、それが由来した遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド(すなわち、親の遺伝子操作されたリガーゼ)の活性の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を含む。いくつかの実施形態では、機能的断片は、遺伝子操作されたリガーゼの親配列の少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を含む。いくつかの実施形態では、機能的断片は、5個未満、10個未満、15個未満、10個未満、25個未満、30個未満、35個未満、40個未満、45個未満および50個未満のアミノ酸だけトランケートされる。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの機能的断片を提供する。いくつかの実施形態では、機能的断片は、それが由来した遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド(すなわち、親の遺伝子操作されたリガーゼ)の活性の少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%を含む。いくつかの実施形態では、機能的断片は、遺伝子操作されたリガーゼの親配列の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を含む。いくつかの実施形態では、機能的断片は、5個未満、10個未満、15個未満、10個未満、25個未満、30個未満、35個未満、40個未満、45個未満、50個未満、55個未満、60個未満、65個未満または70個未満のアミノ酸だけトランケートされる。
【0137】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの改善された特性を示す遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、配列番号2、6、32、34および/または38と、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性ならびに配列番号2、6、32、34および/または38と比較して、1つまたは複数のアミノ酸位置に(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15の、またはそれより多いアミノ酸位置などに)アミノ酸残基の相違を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼは、配列番号2、6、32、34および/または38に対して少なくとも90%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の、またはそれより多いアミノ酸位置のアミノ酸の相違を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、配列番号6、32、34および/または38の配列からなる。
遺伝子操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、発現ベクターおよび宿主細胞:
【0138】
本発明は、本明細書において記載される遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現可能な組換えポリヌクレオチドを作り出すように遺伝子発現を制御する1つまたは複数の異種調節配列と作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチド(複数可)をコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を、対応するリガーゼポリペプチド(複数可)を発現するために適切な宿主細胞に導入する。
【0139】
当業者には理解されるとおり、タンパク質配列を入手可能であることおよび種々のアミノ酸に対応するコドンの知識によって、主題のポリペプチドをコード可能なすべてのポリヌクレオチドの記載が提供される。同一アミノ酸が代替コドンまたは同義コドンによってコードされる遺伝暗号の縮重によって、そのすべてが遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードする極めて多数の核酸を作製することが可能である。したがって、本発明は、可能なコドン選択に基づいて組合せを選択することによって、本明細書において記載されるリガーゼポリペプチドをコードする作製できるリガーゼポリヌクレオチドのありとあらゆる可能な変形の生成のための方法および組成物を提供し、実施例において(例えば、種々の表において)提示されるアミノ酸配列を含む本明細書において記載される任意のポリペプチドについて開示されるすべてのこのような変形が具体的に考慮されるべきである。
【0140】
いくつかの実施形態では、コドンは、タンパク質生成のために選択された宿主細胞による利用に対して最適化されることが好ましい。例えば、細菌における発現のためには、細菌において使用される好ましいコドンが通常使用される。結果として、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするコドン最適化されたポリヌクレオチドは、全長コード領域中の約40%、50%、60%、70%、80%、90%または90%より多いコドン位置で好ましいコドンを含有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、リガーゼポリヌクレオチドは、本明細書において開示される特性を有するリガーゼ活性を有する遺伝子操作されたポリペプチドをコードし、ポリペプチドは、配列番号2、6、32、34および/もしくは38から選択される参照配列または任意のバリアントのアミノ酸配列(例えば、実施例において提供されるもの)に対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列ならびに配列番号2、6、32、34および/もしくは38の参照ポリヌクレオチドまたは実施例において開示される任意のバリアントのアミノ酸配列と比較して1つまたは複数の残基の相違(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の、またはそれより多いアミノ酸残基位置)を含む。いくつかの実施形態では、参照配列は、配列番号2、6、32、34および/または38から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼバリアントは、配列番号32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52および/または54に示されるポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼバリアントは、実施例(例えば、表4,1、4.2、4.3、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5および6.1)において提供されるようなバリアントリガーゼ1から261の置換(複数可)または置換セット(複数可)を含む。
【0142】
本発明は、本明細書において提供される遺伝子操作されたリガーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1、5、31、33および/もしくは37から選択される参照配列または任意のバリアント(実施例において提供されるもの)のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するヌクレオチド配列ならびに配列番号1、5、31、37および/もしくは38の参照ポリヌクレオチドまたは実施例において開示される任意のバリアントのアミノ酸配列と比較して1つまたは複数の残基の相違(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の、またはそれより多いアミノ酸残基位置)を含む。いくつかの実施形態では、参照配列は、配列番号1、5、31、33および/または37から選択される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1、5、31、33および/または37から選択される参照ポリヌクレオチド配列もしくはその相補体あるいは本明細書において提供されるバリアントリガーゼポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能である。いくつかの実施形態では、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドは、配列番号2、6、32、34および/または38と比較して1つまたは複数の残基の相違を有するアミノ酸配列を含むリガーゼポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼバリアントは、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51および/または53に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書における遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドは、リガーゼポリペプチドの発現を促進する種々の方法で操作される。いくつかの実施形態では、リガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、リガーゼポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を調節するために1つまたは複数の制御配列が存在する発現ベクターを含む。利用される発現ベクターに応じて、単離されたポリヌクレオチドの、ベクターへのその挿入に先立つ操作が望まれる、または必要であることがある。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を修飾する技術は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、制御配列として、とりわけ、プロモーター、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターが挙げられる。いくつかの実施形態では、適したプロモーターは、宿主細胞選択に基づいて選択される。細菌宿主細胞については、本開示の核酸構築物の転写を指示する、適したプロモーターとして、それだけには限らないが、E.coli lacオペロンから得られたプロモーター、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilus マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子ならびに原核生物のベータ-ラクタマーゼ遺伝子(例えば、Villa-Kamaroffら、Proc.Natl Acad. Sci. USA 75巻:3727~3731頁[1978年]を参照のこと)
ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoerら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 80巻
:21~25頁[1983年]を参照のこと)が挙げられる。糸状菌宿主細胞の例示的プロモーターとして、それだけには限らないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸性安定性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ(例えば、WO96/00787を参照のこと)の遺伝子から得られたプロモーターならびにNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子に由来するプロモーターのハイブリッド)ならびにそれらの変異体、トランケート型およびハイブリッドプロモーターが挙げられる。例示的酵母細胞プロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(GAL1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)およびSaccharomyces cerevisiae3-ホスホグリセレートキナーゼの遺伝子に由来し得る(canbe from the genes can be
from the genes)。酵母宿主細胞のその他の有用なプロモーターは、当技術分野で公知
である(例えば、Romanosら、Yeast 8巻:423~488頁[1992年]を参照のこと)。
【0144】
いくつかの実施形態では、制御配列はまた、適した転写ターミネーター配列(すなわち、転写を終結するために宿主細胞によって認識される配列)である。いくつかの実施形態では、終結配列は、リガーゼポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。選択された宿主細胞において機能的である任意の適したターミネーターが本発明において使用される。糸状菌宿主細胞の例示的転写ターミネーターは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞の例示的ターミネーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeチトクロームC(CYC1)およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のその他の有用なターミネーターは、当技術分野で公知である(例えば、Romanosら、前掲
を参照のこと)。
【0145】
いくつかの実施形態では、制御配列はまた、適したリーダー配列(すなわち、宿主細胞による翻訳にとって重要であるmRNAの非翻訳領域)である。いくつかの実施形態では、リーダー配列は、リガーゼポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。選択された宿主細胞において機能性である任意の適したリーダー配列は、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞の例示的リーダーは、Aspergillus
oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。酵母宿主細胞の適したリーダーは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae3-ホスホグリセレートキナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)の遺伝子から得られる。
【0146】
いくつかの実施形態では、制御配列はまた、ポリアデニル化配列(すなわち、核酸配列の3’末端に作動可能に連結され、転写されると、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するシグナルとして宿主細胞によって認識される配列)である。選択された宿主細胞において機能性である任意の適したポリアデニル化配列が、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞の例示的ポリアデニル化配列として、それだけには限らないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼおよびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼの遺伝子が挙げられる。酵母宿主細胞の有用なポリアデニル化配列は公知である(例えば、GuoおよびSherman、Mol.Cell.Bio.、15巻:5983~5990頁[1995年]を参照のこと)。
【0147】
いくつかの実施形態では、制御配列はまた、シグナルペプチド(すなわち、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードし、細胞の分泌経路にコードされたポリペプチドを向けるコード領域)である。いくつかの実施形態では、核酸配列のコード配列の5’末端は、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと、翻訳リーディングフレームで天然に連結されたシグナルペプチドコード領域を本質的に含有する。あるいは、いくつかの実施形態では、コード配列の5’末端は、コード配列にとって外来であるシグナルペプチドコード領域を含有する。発現されたポリペプチドを選択された宿主細胞の分泌経路に向ける任意の適したシグナルペプチドコード領域が、遺伝子操作されたポリペプチド(複数可)の発現のために使用される。細菌宿主細胞の有効なシグナルペプチドコード領域は、それだけには限らないが、バチルスNClB11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisスブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られるものが含まれるシグナルペプチドコード領域である。さらなるシグナルペプチドが当技術分野で公知である(例えば、SimonenおよびPalva、Microbiol.Rev.、57巻:109~137頁[1993年]を参照のこと)。いくつかの実施形態では、糸状菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域として、それだけには限らないが、Aspergillus
oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼおよびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドとして、それだけには限らないが、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼの遺伝子に由来するものが挙げられる。
【0148】
いくつかの実施形態では、制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域である。得られたポリペプチドは、「プロ酵素」、「プロポリペプチド」または「チモーゲン」と称される。プロポリペプチドは、プロポリペプチドからプロペプチドの触媒的または自己触媒的切断によって成熟活性ポリペプチドに変換できる。プロペプチドコード領域は、それだけには限らないが、Bacillus subtilisアルカリプロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼおよびMyceliophthora thermophilaラクターゼの遺伝子を含む任意の適した供給源から得ることができる(例えば、WO95/33836を参照のこと)。シグナルペプチドおよびプロペプチド領域の両方が、ポリペプチドのアミノ末端に存在する場合には、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端と隣り合って位置し、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端と隣り合って位置する。
【0149】
いくつかの実施形態では、調節配列も利用される。これらの配列は、宿主細胞の成長に対してポリペプチドの発現の調節を促進する。調節システムの例として、調節性化合物の存在を含む、化学的または物理的刺激に応じて遺伝子の発現がオンにされるまたはオフにされるものがある。原核生物の宿主細胞では、適した調節配列として、それだけには限らないが、lac、tacおよびtrpオペレーターシステムが挙げられる。酵母宿主細胞では、適した調節システムとして、それだけには限らないが、ADH2システムまたはGAL1システムが挙げられる。糸状菌では、適した調節配列として、それだけには限らないが、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーターおよびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
【0150】
別の態様では、本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドならびにプロモーターおよびターミネーターなどの1つまたは複数の発現調節領域、複製起点などを、それらが導入されるべき宿主の種類に応じて含む組換え発現ベクターに関する。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される種々の核酸および制御配列を一緒に結合して、このような部位でのリガーゼポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にする1種または複数種の好都合な制限部位を含む組換え発現ベクターを生成する。あるいは、いくつかの実施形態では、本発明の核酸配列は、核酸配列または配列を含む核酸構築物を、発現にとって適切なベクター中に挿入することによって発現される。発現ベクターの創製を伴ういくつかの実施形態では、コード配列を、コード配列が発現にとって適切な制御配列と作動可能に連結されるようにベクター中に配置する。
【0151】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に好都合に供され得、リガーゼポリヌクレオチド配列発現が起こり得る任意の適したベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であり得る。ベクターの選択は、通常、ベクターが導入される予定の宿主細胞とのベクターの適合性に応じて変わる。ベクターは、直鎖である場合も、閉環プラスミドである場合もある。
【0152】
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、自己複製ベクター(すなわち、その複製が染色体複製と独立している染色体外実体として存在するベクター、例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体または人工染色体)である。ベクターは、自身の複製を保証する任意の手段を含有し得る。いくつかの代替実施形態では、ベクターは、宿主細胞中に導入されるときに、ゲノム中に組み込まれ、組み込まれている染色体(複数可)と一緒に複製されるものである。さらに、いくつかの実施形態では、単一ベクターもしくはプラスミドあるいは宿主細胞のゲノム中に導入されるべき総DNAを一緒に含有する2つもしくはそれより多いベクターまたはプラスミドおよび/あるいはトランスポゾンを利用する。
【0153】
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1種または複数種の選択マーカーを含有する。「選択マーカー」は、その生成物が殺生物剤またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養性などを提供する遺伝子である。細菌選択マーカーの例として、それだけには限らないが、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールもしくはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーが挙げられる。酵母宿主細胞の適したマーカーとして、それだけには限らないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3が挙げられる。糸状菌宿主細胞において使用するための選択マーカーとして、それだけには限らないが、amdS(アセトアミダーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyae由来)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ;例えば、S.hygroscopicus由来)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyae由来)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)ならびにそれらの等価物が挙げられる。別の態様では、本発明は、本発明の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドであって、宿主細胞における遺伝子操作されたリガーゼ酵素(複数可)の発現のために1種または複数種の制御配列に作動可能に連結されているポリヌクレオチド(複数可)を含む宿主細胞を提供する。本発明の発現ベクターによってコードされるポリペプチドの発現において使用するのに適した宿主細胞は、当技術分野で周知であり、それだけには限らないが、E.coli、Vibrio fluvialis、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞などの細菌細胞、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCC受託番号201178))などの真菌細胞、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞などの昆虫細胞、CHO、COS、BHK、293およびBowes黒色腫細胞などの動物細胞ならびに植物細胞が挙げられる。例示的宿主細胞としてまた、種々のEscherichia coli株(例えば、W3110(ΔfhuA)およびBL21)が挙げられる。
【0154】
したがって、別の態様では、本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する方法を提供し、本方法は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現可能な宿主細胞を、ポリペプチドの発現に適した条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書において記載されるようなリガーゼポリペプチドを単離および/または精製するステップをさらに含む。
【0155】
宿主細胞の適切な培養培地および成長条件は、当技術分野で周知である。リガーゼポリペプチドの発現のためにポリヌクレオチドを細胞に導入するための任意の適した方法が本発明において使用されることが考慮される。適した技術として、それだけには限らないが、エレクトロポレーション、微粒子銃粒子衝撃、リポソーム媒介性トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が挙げられる。
【0156】
本明細書において開示される特性を有する遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、天然に存在するまたは遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、当技術分野で公知のおよび/もしくは本明細書において記載されるような任意の適した変異誘発ならびに/または定向進化法に付すことによって得ることができる。例示的定向進化技術として、変異誘発および/またはDNAシャッフリングがある(例えば、Stemmer、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 91巻:10747~10751頁[1994
年];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767および米国特許第6,537,746号を参照のこと)。使用できるその他の定向進化手順として、とりわけ、互い違い伸長プロセス(StEP)、in vitro組換え(例えば、Zhaoら、Nat.Biotechnol.、16巻:258~261頁[1998年])、変異原性PCR(例えば、Caldwellら、PCR Methods Appl.、3巻:S136~S140頁[1994年])およびカセット
変異誘発(例えば、Blackら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93巻:3525~352
9頁[1996年])が挙げられる。
【0157】
変異誘発および定向進化法は、リガーゼをコードするポリヌクレオチドに容易に適用して、発現させ、スクリーニングし、アッセイできるバリアントライブラリーを作製できる。任意の適した変異誘発および定向進化法が、本発明において使用され、当技術分野で周知である(例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,605,793号、同5,811,238号、同5,830,721号、同5,834,252号、同5,837,458号、同5,928,905号、同6,096,548号、同6,117,679号、同6,132,970号、同6,165,793号、同6,180,406号、同6,251,674号、同6,265,201号、同6,277,638号、同6,287,861号、同6,287,862号、同6,291,242号、同6,297,053号、同6,303,344号、同6,309,883号、同6,319,713号、同6,319,714号、同6,323,030号、同6,326,204号、同6,335,160号、同6,335,198号、同6,344,356号、同6,352,859号、同6,355,484号、同6,358,740号、同6,358,742号、同6,365,377号、同6,365,408号、同6,368,861号、同6,372,497号、同6,337,186号、同6,376,246号、同6,379,964号、同6,387,702号、同6,391,552号、同6,391,640号、同6,395,547号、同6,406,855号、同6,406,910号、同6,413,745号、同6,413,774号、同6,420,175号、同6,423,542号、同6,426,224号、同6,436,675号、同6,444,468号、同6,455,253号、同6,479,652号、同6,482,647号、同6,483,011号、同6,484,105号、同6,489,146号、同6,500,617号、同6,500,639号、同6,506,602号、同6,506,603号、同6,518,065号、同6,519,065号、同6,521,453号、同6,528,311号、同6,537,746号、同6,573,098号、同6,576,467号、同6,579,678号、同6,586,182号、同6,602,986号、同6,605,430号、同6,613,514号、同6,653,072号、同6,686,515号、同6,703,240号、同6,716,631号、同6,825,001号、同6,902,922号、同6,917,882号、同6,946,296号、同6,961,664号、同6,995,017号、同7,024,312号、同7,058,515号、同7,105,297号、同7,148,054号、同7,220,566号、同7,288,375号、同7,384,387号、同7,421,347号、同7,430,477号、同7,462,469号、同7,534,564号、同7,620,500号、同7,620,502号、同7,629,170号、同7,702,464号、同7,747,391号、同7,747,393号、同7,751,986号、同7,776,598号、同7,783,428号、同7,795,030号、同7,853,410号、同7,868,138号、同7,783,428号、同7,873,477号、同7,873,499号、同7,904,249号、同7,957,912号、同7,981,614号、同8,014,961号、同8,029,988号、同8,048,674号、同8,058,001号、同8,076,138号、同8,108,150号、同8,170,806号、同8,224,580号、同8,377,681号、同8,383,346号、同8,457,903号、同8,504,498号、同8,589,085号、同8,762,066号、同8,768,871号、同9,593,326号およびすべての関連PCTおよび非米国対応物;Lingら、Anal.Biochem.、254巻(2号):157~78頁[1997年];Daleら、Meth. Mol. Biol.、57巻:369~74頁[1996年];Smith、Ann.Rev. Genet.、19巻:423~462頁[1985年];Botsteinら、Science、229巻:1193~1201頁[1985年];Carter、Biochem.J.、237巻:1~7頁[1986年];Kramerら、Cell、38巻:879~887頁[1984年];Wellsら、Gene、34巻:315~323頁[1985年];Minshullら、Curr.Op. Chem. Biol.、3巻:284~290頁[1999年];Christiansら、Nat. Biotechnol.、17巻:259~264頁[1999年];Crameriら、Nature、391巻:288~291頁[1998年];Crameriら、Nat.Biotechnol.、15巻:436~438頁[1997年];Zhangら、Proc.Nat. Acad. Sci. U.S.A.、94巻:4504~4509頁[1997年];Crameriら、Nat. Biotechnol.、14巻:315~319頁[1996年];Stemmer、Nature、370巻:389~391頁[1994年];Stemmer、Proc.Nat. Acad. Sci. USA、91巻:10747~10751頁[1994年];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767およびWO2009/152336を参照のこと)。
【0158】
いくつかの実施形態では、変異誘発処置後に得られた酵素クローンを、酵素調製物を規定の温度(またはその他のアッセイ条件)に付すことおよび熱処置またはその他の適したアッセイ条件後に残存する酵素活性の量を測定することによってスクリーニングする。リガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを、次いで、遺伝子から単離し、シーケンシングしてヌクレオチド配列変化(あるとすれば)を同定し、これを使用して宿主細胞において酵素を発現させる。発現ライブラリーから酵素活性を測定することは、当技術分野で公知の任意の適した方法を使用して実施できる(例えば、HPLC解析などの標準的な生化学技術)。
【0159】
既知配列の遺伝子操作されたポリペプチドのために、既知合成法に従って標準固相法によって、酵素をコードするポリヌクレオチドを調製できる。いくつかの実施形態では、最大約100塩基の断片を個別に合成し、次いで、結合して(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション法またはポリメラーゼ媒介法によって)、所望の連続配列を形成できる。例えば、本明細書において開示されるポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、自動合成法で通常実施されるように、古典的なホスホルアミダイト法を使用して化学的合成によって調製できる(例えば、Beaucageら、Tet.Lett.、22巻:1859~69頁[1981年];およびMatthesら、EMBO J.、3:801~05頁[1984年])。ホスホルアミダイト法に従って、オリゴヌクレオチドを合成する(例えば、自動DNAシンセサイザーで、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適切なベクターにクローニングする)。
【0160】
したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを調製する方法は、(a)本明細書において記載されるような任意のバリアントのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成することと、(b)ポリヌクレオチドによってコードされるリガーゼポリペプチドを発現させることとを含み得る。方法のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列は、必要に応じて、1つもしくはいくつかの(例えば、最大3、4、5もしくは最大10の)アミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を有し得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、必要に応じて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45または1~50のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、必要に応じて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45または50のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、必要に応じて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24または25のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、置換は、保存的または非保存的置換である。
【0161】
発現された遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドは、それだけには限らないが、本明細書において記載されるアッセイおよび条件を含む、当技術分野で公知の任意の適したアッセイを使用して、任意の所望の改善された特性または特性(例えば、活性、選択性、安定性、酸性耐性、プロテアーゼ感受性など)の組合せについて評価できる。
【0162】
いくつかの実施形態では、宿主細胞において発現される遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドのいずれも、とりわけ、リゾチーム処理、音波処理、濾過、塩析、超遠心分離およびクロマトグラフィーを含むタンパク質精製のための周知の技術のうち1つまたは複数を使用して、細胞および/または培養培地から回収する。
【0163】
リガーゼポリペプチドの単離のためのクロマトグラフィー技術として、とりわけ、逆相クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。特定の酵素を精製するための条件は、幾分かは、正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子の形状などといった因子に応じて変わり、当業者に明らかである。いくつかの実施形態では、親和性技術を使用して、改善されたリガーゼ酵素を単離できる。アフィニティークロマトグラフィー精製のために、目的のリガーゼポリペプチドと特異的に結合する任意の抗体が使用され得る。抗体の生成のために、それだけには限らないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む種々の宿主動物を、リガーゼポリペプチドまたはその断片を用いる注射によって免疫する。いくつかの実施形態では、リガーゼポリペプチドまたは断片は、側鎖官能基または側鎖官能基に結合しているリンカーによってBSAなどの適した担体と結合している。
【0164】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを、本明細書において記載されるような遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞(例えば、E.coli株)を、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの生成に資する条件下で培養することと、細胞および/または培養培地から遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを回収することとを含む方法によって宿主細胞において生成する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は1種を超える遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する。
【0165】
いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する方法であって、参照配列の配列番号2、6、32、34および/または38に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性ならびに1つまたは複数のアミノ酸残基の相違を有する遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む組換え細菌細胞を、遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドの生成を可能にする、適した培養条件下で培養することと、必要に応じて、培養物および/または培養細菌細胞から遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを回収することとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、1種を超える遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する。
【0166】
いくつかの実施形態では、ひとたび遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを組換え宿主細胞および/または培養培地から回収すると、それらを当技術分野で公知の任意の適した方法(複数可)によってさらに精製する。いくつかの追加の実施形態では、精製された遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを、その他の成分および化合物と組み合わせて、適宜異なる用途および使用(例えば、診断方法および組成物)のための遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを含む組成物および製剤を提供する。
実験
【0167】
実験および達成された結果を含む以下の実施例は、単に例示目的で提供するものであって、本発明を制限すると解釈されてはならない。
【0168】
以下の実験の開示では、以下の略語が適用される:ppm(100万分率)、M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度)、nM(ナノモル濃度)、mol(モル)、gmおよびg(グラム)、mg(ミリグラム)、ugおよびμg(マイクログラム)、Lおよびl(リットル)、mlおよびmL(ミリリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、umおよびμm(マイクロメートル)、sec.(秒)、min(分)、hおよびhr(時間)、U(単位)、MW(分子量)、rpm(1分あたりの回転数)、rcf(相対遠心力)、psiおよびPSI(平方インチあたりのポンド)、℃(摂氏度)、RTおよびrt(室温)、NGS(次世代シーケンシング)、ds(二本鎖)、ss(一本鎖)、CDS(コード配列)、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、E.coli W3110(よく使用される実験用E.coli株、Coli Genetic Stock Center[CGSC]、New Haven、CTから入手可能)、HTP(ハイスループット)、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)、CFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)、IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)、PES(ポリエーテルスルホン)、FIOPC(陽性対照を上回る改善倍数)、EB緩衝液(10mM
Tris)、LB(ルリア-ベルターニ)、SPRI(固相可逆的固定化)、Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、Promega(Promega,Inc.、Madison、WI)、EMD Millipore(EMD MilliporeまたはMillipore Sigma、Merck KGaAの一部、Darmstad、Germany)、Perkin Elmer(Perkin Elmer,Inc、Waltham、MA)、Millipore(Millipore、Corp.、Billerica、MA)、MagBio Genomics(MagBio Genomics、Gaithersburg、MD)、BioChain(BioChain Institute,Inc.、Newark、CA)、Difco(Difco Laboratories,BD Diagnostic Systems、Detroit、MI)、Molecular Devices(Molecular Devices,LLC、Sunnyvale、CA)、Kuhner(Adolf Kuhner,AG、Basel、Switzerland)、Microfluidics(Microfluidics,Corp.、Westwood、MA)、NEB(New England Biolabs,Inc.、Ipswich、MA)、Applied Biosystems(Applied Biosystems、Life Technologies,Corp.の一部、Grand Island、NY)、Zymo(Zymo Research、Irvine、CA)、Agilent(Agilent Technologies,Inc.、Santa Clara、CA)、Integrated DNA Technologies(Integrated DNA Technologies,Inc.、Coralville、IA)、Illumina(Illumina,Inc.、San Diego、CA)、Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの一部、Waltham、MA)、GE Healthcare(GE Healthcare Bio-Sciences、Piscataway、NJ)、Enzymatics(Enzymatics,Inc.、Beverly、MA)およびBio-Rad(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)。
【0169】
以下のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列が、本発明において使用される。いくつかの場合には(以下に示される)、ポリヌクレオチド配列に、コードされるポリペプチドが続く。配列番号1および2は、野生型ファージT4 DNAリガーゼ(タグが付いていない)に対応する。配列番号3および4は、ヒスチジンタグが付けられている野生型ファージT4 DNAリガーゼに対応する。配列番号5および6は、最適化された合成T4
DNAリガーゼ(タグが付いていない)に対応する。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0170】
以下の配列は、以下の実施例において使用されるオリゴヌクレオチドの核酸配列である。
【化7】
【化8】
【化9】
【0171】
以下の配列は、本発明によって提供される遺伝子操作されたリガーゼバリアントに対応する。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【実施例0172】
(実施例1)
リガーゼ遺伝子獲得および発現ベクターの構築
野生型(WT)T4 DNAリガーゼ酵素(配列番号2)は、バクテリオファージT4のゲノムによってコードされている。WT T4 DNAリガーゼ(配列番号4)の6-ヒスチジンタグが付けられたバージョンをコードする合成遺伝子(配列番号3)を構築し、Escherichia coli発現ベクターpCK100900iにサブクローニングした(例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,629,157号および米国特許出願公開第2016/0244787号を参照のこと)。6-ヒスチジンタグ付きT4 DNAリガーゼ(配列番号6)をコードする第2の合成遺伝子(配列番号5)を、E.coli発現のためのコドン最適化を用いて設計し、合成し、pCK100900iにクローニングした。これらのプラスミド構築物を、W3110に由来するE.coli株に形質転換した。当業者によって一般的に知られている定向進化技術を使用して、これらのプラスミドから遺伝子バリアントのライブラリーを作製した(例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照のこと)。本明細書において記載される酵素バリアントにおける置換は、示される通り、タグが付いていないWT T4 DNAリガーゼ酵素(すなわち、配列番号2)またはそのバリアントに関連して示される。
(実施例2)
T4 DNAリガーゼ発現およびハイスループット(HTP)精製
T4 DNAリガーゼおよびバリアントのハイスループット(HTP)成長
【0173】
形質転換されたE.coli細胞を、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレート上にプレーティングすることによって選択した。37℃で一晩インキュベートした後、コロニーを、180μl/ウェルの、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを補充したLB培地を充填した96ウェル浅平底NUNC(商標)(Thermo-Scientific)プレートのウェルに入れた。培養物をシェーカー(200rpm、30℃および85%相対湿度;Kuhner)中で18~20時間の間、一晩成長させた。一晩成長試料(20μL)を、380μLの、30μg/mlクロラムフェニコールを補充したTerrificブロスを充填したCostar96ウェル深プレートに移した。OD600が0.4~0.8の間に到達するまで、プレートをシェーカー(250rpm、30℃および85%相対湿度;Kuhner)中で120分間インキュベートした。次いで、細胞を、40μLの滅菌水中10mMのIPTGを用いて誘導し、シェーカー(250rpm、30℃および85%相対湿度;Kuhner)中で18~20時間の間、一晩インキュベートした。細胞をペレットにし(4000rpm×20分)、上清を廃棄し、細胞を分析の前に-80℃で凍結した。HTPペレットの溶解
【0174】
細胞ペレットを150μl/ウェルの25mM Tris-HCl、pH7.5に再懸濁し、細胞懸濁液に、300μlの溶解緩衝液(1mg/mlリゾチームおよび0.1mM硫酸マグネシウムを補充したB-Per試薬(Thermo Fisher))を添加した。混合物を室温で1.25時間撹拌し、ペレットにし(4000rpm×20分)、上清を精製のために確保した。
粗溶解物から得たT4リガーゼのHTP精製
【0175】
粗E.coli抽出物からT4 DNAリガーゼを、HIS-Select(登録商標)High Capacity(HC)ニッケルコーティングプレート(Sigma)を製造業者の指示に従って使用する金属アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。ウェルあたり合計800μlの洗浄緩衝液(50mMリン酸ナトリウムpH7.5、300mM NaCl、25mM イミダゾール、0.1%v/v TWEEN-20(登録商標)試薬(Sigma))を用いてHIS-Selectプレートを平衡化した。次いで、200μlのT4リガーゼを含有するHTP溶解物および200ulの洗浄緩衝液を混合し、プレート上にロードし、2000相対遠心力(rcf)および4℃で1分間遠心分離した。プレートを600μlの洗浄緩衝液/ウェルを用い、各洗浄のために3000rcfおよび4℃で3分の遠心分離を用いて2回洗浄した。200μlの溶出緩衝液(50mMリン酸ナトリウムpH7.5、300mM NaCl、250mMイミダゾール、0.1%v/v TWEEN(登録商標)-20試薬)を添加し、3000rcf、4℃で1分間の遠心分離によってリガーゼ試料を溶出した。
【0176】
Zeba(商標)Spin脱塩プレート(Thermo Fisher)を使用して溶出物を緩衝液交換した。手短に、プレートを、ウェルあたり375μlの2×T4 DNAリガーゼ貯蔵緩衝液(100mM Tris.HCl pH7.5、200mM NaCl、2mM DTT、2mM EDTA、0.2%w/v Triton X-100)を用いて2回平衡化し、1100×g、4℃で2分間遠心分離した。脱塩プレートに100μlのHIS-Select試料溶出液をロードし、1100×g、4℃で2分間遠心分離した。脱塩プレートから得た溶出液を保持し、50mMのTris.HCl pH7.5、100mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、0.1%w/v Triton X-100の最終貯蔵緩衝液濃度のために等容量のグリセロールと混合した。
(実施例3)
T4 DNAリガーゼの振盪フラスコ発現および精製
振盪フラスコ発現
【0177】
上記の通り成長された選択されたHTP培養物を、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを有するLB寒天プレート上にプレーティングし、37℃で一晩成長させた。各培養物からの単一コロニーを1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを有する6mlのLBブロスに移した。培養物を30℃、250rpmで18時間成長させ、およそ1:10の希釈で30μg/mlのクロラムフェニコールを有する250mlのTerrificブロスに0.2の最終OD600まで継代培養した。培養物を30℃、250rpmでおよそ3時間、0.6~0.8のOD600までインキュベートし、次いで、1mMの最終濃度でIPTGを添加して誘導した。誘導された培養物を30℃、250rpmで20時間インキュベートした。このインキュベーション期間の後、培養物を4000rpm×10分で遠心分離した。培養上清を廃棄し、ペレットを35mlの25mMトリエタノールアミン、pH7.5に再懸濁した。この細胞懸濁液を氷浴中で冷却し、Microfluidizer細胞破砕機(Microfluidics M-110L)を使用して溶解した。粗溶解物を遠心分離(16,000rpm、4℃で60分間)によってペレットにし、次いで、上清を0.2μmのPESメンブレンに通して濾過し、溶解物をさらに清澄化した。
振盪フラスコ溶解物からのT4 DNAリガーゼの精製
【0178】
T4リガーゼ溶解物に、ウェルあたり1/10容量のSF溶出緩衝液(50mMリン酸ナトリウムpH7.5、500mM NaCl、300mMイミダゾール、0.1%v/v Tween-20(登録商標))を補充した。次いで、AC Step HiF設定(実施パラメータを以下に提供する)を使用して、AKTA Start精製システムおよび5mlのHisTrap FFカラム(GE Healthcare)を使用して溶解物を精製した。SF洗浄緩衝液は、50mMリン酸ナトリウムpH7.5、500mM
NaCl、25mMイミダゾールおよび0.1%v/v TWEEN-20(登録商標)(Sigma)を含んでいた。
【表3.1-1】
【表3.1-2】
【0179】
単一の最も濃縮された3mlの画分をUV吸収(A280)によって同定し、緩衝液交換のために、2×リガーゼ貯蔵緩衝液(20mM Tris-HCl pH7.5、100mM KCl、2mM DTT、0.2mM EDTA)中で一晩、10K Slide-A-Lyzer(商標)透析カセット(Thermo Fisher)中で一晩透析し、透析された材料に等容量のグリセロールを添加した。Bradfordアッセイおよび280nmでの吸収によって調製物中のリガーゼ濃度を測定した。
(実施例4)
プレート-捕捉ライゲーションアッセイ
【0180】
低濃度DNA投入下でのT4 DNAリガーゼバリアントのライブラリーのスクリーニングにおいて使用するためのハイスループットウェルプレートライゲーションアッセイを開発した。アッセイは、2つの標識二本鎖DNA基質のライゲーションを検出する。Cy(登録商標)3標識二本鎖50マーDNA断片「50マーCy(登録商標)3挿入物」は、2つの一本鎖HPLC精製合成オリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies)(配列番号7、配列番号8)で構成され、これらの2つのオリゴヌクレオチドを1×アニーリング緩衝液(10mM Tris pH7.5、50mM NaCl、1mM eEDTA)中でアニーリングすることによって調製した。得られた二本鎖「50マーCy(登録商標)3挿入物」は、分子の両端に一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を有し、リン酸骨格に結合させたCy(登録商標)3色素を用いて内部に標識する。1×アニーリング緩衝液中でのアニーリングによって、2つの一本鎖HPLC精製オリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies)(配列番号9および配列番号10)を含む二本鎖「20マービオチンアダプター」分子も調製した。得られた20マービオチンアダプター二本鎖は、ライゲーション適合末端にホスホロチオエート保護された5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を有し、反対の末端でビオチン化された。これらの短いモデル挿入物のライゲーション適合末端およびアダプター基質は、Illumina(登録商標)TruSeqワークフローのためのNGS試料調製ワークフローにおいて作製される適合T-A付着末端と同一であった。これら2つの基質のライゲーションによって、ビオチンおよびCy(登録商標)3色素両方を用いて標識された共有結合によって連結されたds DNA分子が作製された。単一または二重にライゲーションされた生成物は、20マービオチンアダプターの、50マーCy(登録商標)3挿入物の一方または両方の末端とのライゲーションの際に形成し得る。
【0181】
ライゲーション反応を、1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT)および低濃度のライゲーション基質(1nM
50マーCy(登録商標)3挿入物および5nMまたは10nM 20マービオチンアダプター)中、80ul容量で実施した。反応物にHTP精製リガーゼ(5μl)を添加し、反応物を20℃で4時間、続いて4℃で16時間インキュベートした。40μlの3×クエンチ溶液(45mM EDTAおよび0.15%TWEEN(登録商標)-20試薬)を添加して反応物をクエンチした。
【0182】
ストレプトアビジン大容量結合プレート(Pierce)を、200μlのTBSTE緩衝液(25mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.05%TWEEN-20試薬、1mM EDTA)を用いて3回予備洗浄した。次いで、予備洗浄したストレプトアビジンプレートに100μlのクエンチされたライゲーション反応物を添加し、プレートを室温で1時間振盪して、結合を可能にし、結合していない上清を廃棄した。次いで、ストレプトアビジンプレートを200ulのTBSTE緩衝液を用いて3回、TBS緩衝液(25mM Tris、150mM NaCl)を用いて1回洗浄し、200ulのTBS緩衝液を充填した。洗浄によってライゲーションしていない50マーCy(登録商標)3アダプターが効率的に除去され、ストレプトアビジンコーティングされたウェル表面に蛍光標識された単一および二重ライゲーション生成物を保持した。535/35nm励起および595/35nm発光フィルターを使用するParadigm(登録商標)マルチモードプレートリーダー(Beckman Coulter)を使用して蛍光強度を測定した。表4.1は、配列番号2に対して種々のリガーゼバリアントの活性改善データを提供し、表4.2は、配列番号6に対して種々のリガーゼバリアントの活性を提供し、表4.3は、配列番号32に対して種々のリガーゼバリアントの活性を提供する。
【表4.1】
【表4.2-1】
【表4.2-2】
【表4.2-3】
【表4.3-1】
【表4.3-2】
(実施例5)
キャピラリー電気泳動ライゲーションアッセイ
【0183】
単一および二重ライゲーション生成物の直接測定を可能にするためにキャピラリー電気泳動ライゲーションアッセイを開発した。このアッセイは、蛍光標識基質を必要とせず、よく使用されるアダプターおよび関連挿入物長を使用するための柔軟性を提供した。
【0184】
プレート捕捉アッセイにおいて使用されるものに対して配列が同一である、短い標識されていないアダプターおよび挿入物断片を設計し、合成した。2つの一本鎖HPLC精製合成オリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies)(配列番号11および配列番号12)を含むCy(登録商標)3標識二本鎖50マーDNA断片「50マー挿入物」を、1×アニーリング緩衝液(10mM Tris pH7.5、50mM NaCl、1mM EDTA)中でこれらの2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングすることによって調製した。得られた二本鎖50マー挿入物は、分子の両端に一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を有し、リン酸骨格に結合させた内部標識したCy(登録商標)3である。2つの一本鎖HPLC精製オリゴヌクレオチド(Integrated DNA technologies)(配列番号13および配列番号14)を含む二本鎖「20マーアダプター」分子も、1×アニーリング緩衝液(10mM Tris pH7.5、50mM NaCl、1mM EDTA)中でアニーリングすることによって調製した。得られた20マーアダプター二本鎖は、ライゲーション適合末端にホスホロチオエート保護された5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を有していた。
【0185】
PCR増幅によって、長い規定された160bpの挿入物のセットを構築した。5’アデノシン(プライマー配列番号15および配列番号16、生成物配列番号17)、5’シトシン(配列番号18および配列番号19、生成物配列番号20)、5’グアノシン(配列番号21および配列番号22、生成物配列番号23)および5’チミジン(配列番号24および配列番号25、生成物配列番号26)ヌクレオチドで終結するフォワード/リバースPCRプライマー対の4つのセットを、別個の反応において使用して、T4 DNAリガーゼファージコード配列(配列番号1)を鋳型として使用して160bp断片を増幅した。これらの生成物は、プライマーによって供与される5’末端の塩基を除いて同一の内部DNA配列を有する。次いで、等モル量のこれらの挿入物をプールし、製造業者の指示を使用してNEB Next Ultra(商標)II末端修復/dAテール付加モジュールにより処理して、5’リン酸および3’デオキシアデノシンオーバーハングを付加し、それらをライゲーションのために調製した。
【0186】
生成物を、Wizard(登録商標)SV PCRクリーンアップキット(Promega)を使用して清澄化し、水に溶出した。
【0187】
短い50/20マー基質を用いるライゲーション反応を、1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT)および低濃度のライゲーション基質(2nM 50マー挿入物、10nM 20マーアダプター)中80μl容量で実施した。より長い160マー基質セットを用いる反応については、2nM基質および20nMのNEBヘアピンアダプター(配列番号15)を使用した。反応物にHTP精製リガーゼ(10ul)を添加し、反応物を20℃で4時間、続いて4℃で16時間インキュベートした。
【0188】
40μlの3×クエンチ溶液(45mM EDTA、0.6mg/mlプロテイナーゼK)を添加して反応物をクエンチした。クエンチされた反応物を50℃で1時間インキュベートして、電気泳動移動度シフトによって下流の電気泳動を干渉するDNAリガーゼをタンパク質分解した。次いで、100μlのタンパク質分解された反応物をMontage SEQ96クリーンアッププレート(EMD Millipore)上にロードし、真空を適用して試料を濃縮した。次いで、試料を100μlのLow-TE緩衝液(2mM Tris pH7.5、0.5mM EDTA)を用いて洗浄し、フィルター表面をブロットした。DNA基質およびライゲーション生成物を溶出するために、ウェルに25μlの低TE緩衝液を添加し、プレートを室温で10分間振盪し、Biomek NX液体ハンドラー(Beckman Coulter)または12チャネルピペットを使用して、溶出液を384ウェルBioRad Hardshell(登録商標)プレートへ除去した。DNA高感度アッセイを使用するCaliper(現在は、Perkin Elmer)Labchip GXキャピラリー電気泳動機器を製造業者の指示に従って使用して反応混合物を分析した。
【0189】
ライゲーションされていない挿入物、単一ライゲーションされたおよび二重にライゲーションされた生成物のモル濃度を比較することによって変換を算出した。短い挿入物については、活性改善を算出することにおいて使用するために親の対照およびバリアントについての二重にライゲーションされた生成物の割合を報告した。160マーの挿入物セットおよびNEBヘアピンアダプターについては、活性改善を算出することにおいて使用するために合計の変換された種(単一および二重ライゲーション生成物)の割合を報告した。
【表5.1-1】
【表5.1-2】
【表5.1-3】
【表5.2-1】
【表5.2-2】
【表5.3】
【表5.4】
【表5.5-1】
【表5.5-2】
(実施例6)
振盪フラスコ規模の調製でのキャピラリー電気泳動ライゲーションアッセイ
【0190】
リガーゼバリアントを、実施例3において記載されるように振盪フラスコ規模で発現させ、精製した。キャピラリー電気泳動ライゲーションアッセイを、875nMのSF精製DNAリガーゼ、1nMの160マーAテール挿入部(実施例5を参照のこと)および200nMの市販のYアダプター(Illumina)を使用して、実施例5に記載されるように1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT)中で実施した。このYアダプターは、実施例4に記載されるようにアニーリングされた2つのHPLC精製オリゴヌクレオチド(配列番号17および配列番号18)で構成される。EDTAを15mMまで、およびプロテイナーゼKを0.4mg/ml(最終)まで添加して反応物をクエンチし、50℃で1時間インキュベートして、下流の電気泳動を干渉するDNAリガーゼをタンパク質分解した。次いで、96ウェルZymo DNA Clean&Concentratorキットを使用して、タンパク質分解されたライゲーション反応物を清澄化し、緩衝液交換し、25ulの低TE緩衝液(2mM Tris、0.5mM EDTA)に溶出した。DNA高感度アッセイ(Perkin Elmer)を使用するPerkin Elmer Labchip GXキャピラリー電気泳動機器を製造業者の指示に従って使用して反応混合物を分析した。
【0191】
挿入物の二重にライゲーションされた生成物への変換を、ライゲーションされていない挿入物、単一ライゲーションされたおよび二重にライゲーションされた生成物のモル濃度を比較することによって算出した。バリアントについての、二重にライゲーションされた生成物に変換された挿入物の割合は、以下の表6.1に示されるように報告された。
【表6.1】
(実施例7)
振盪フラスコ規模の調製でのアダプター二量体化アッセイ
【0192】
Illumina(登録商標)シーケンシングプラットフォームで使用するために設計されたNGSアダプターは、Aテール挿入物断片上に存在するデオキシアデノシン3’オーバーハングとのライゲーションに適合するデオキシチミジン3’オーバーハングを有する。Tテールアダプターは、非相補的DNA末端に対する野生型T4 DNAリガーゼの選択性のために互いに効率的にライゲーションされない。長いインキュベーション期間、高いアダプター濃度または高濃度のクラウディング剤を含む極端なライゲーション条件の結果としてアダプター二量体化が起こる。重要なことに、ライゲーション反応におけるヌクレアーゼ混入物は、アダプター末端上のオーバーハングを除去することができ、その結果、平滑末端の基質が得られ、これは、自己ライゲーションに適合している。
【0193】
例示的バリアントT4 DNAリガーゼの選択性を試験するために、任意の固有のアダプター二量体化活性の直接的な観察結果を混乱させるであろうヌクレアーゼ混入を低減する精製戦略を開発した。
振盪フラスコ溶解物からのT4 DNAリガーゼの勾配精製
【0194】
実施例3における方法に従って振盪フラスコ中でリガーゼを発現させ、溶解に先立って50mM Tris HCl pH7.5に再懸濁した。この細胞懸濁液を氷浴中で冷却し、Microfluidizer細胞破砕機(Microfluidics M-110L)を使用して溶解した。粗溶解物に500mM NaClおよび30mMイミダゾールを補充し、その後、遠心分離(16,000rpm、4℃で60分間)によって清澄化し、次いで、上清を0.2μmのPESメンブレンを通して濾過し、溶解物をさらに清澄化した。
【0195】
溶解物を、ニッケルNTAプロトコールおよびイミダゾール勾配溶出(実施パラメータは、表7.1に提供されている)を使用するAKTA Startシステムおよび1ml
HisTrap FFカラム(GE Healthcare)を使用して精製した。SF洗浄緩衝液は、50mM Tris HCl pH7.5、500mM NaCl、30mM イミダゾールおよび1mM DTTで構成された。SF溶出緩衝液は、50mM
Tris HCl pH7.5、500mM NaCl、300mMイミダゾールおよび1mM DTTで構成された。
【表7.1】
【0196】
UV吸収(A280)によって4つの最も濃縮された画分を同定し、緩衝液交換のために、1×リガーゼ貯蔵緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.5、50mM KCl、1mM DTT、0.1mM EDTA)中で一晩、10K Slide-A-Lyzer(商標)透析カセット(Thermo Fisher)中で一晩透析した。Bradfordアッセイおよび280nmでの吸収によって調製物中のリガーゼ濃度を測定した。
【0197】
実施例10~14における実験のために同一クロマトグラフィーパラメータを使用して発酵ペレットからの大規模精製を実施した。この場合には、ニッケルセファロース溶出液から最も濃縮された画分をプールし、2つの連続STIC-PAナノ(1ml)電荷メンブランフィルター(chargemembrane filter)(Sartorius)をフロースルーモードで通して、混入核酸を除去した。
【0198】
アダプター二量体化アッセイを、875nMのSF精製DNAリガーゼおよび1000nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号13および配列番号16)で構成されるブロックされたアダプターを使用して、実施例5に記載されるように1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT)中で実施した。このブロックされた20マーアダプター二本鎖は、3’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を有する1つのライゲーション適格末端と、ライゲーションの基質として働くことができない、5’リン酸およびアミノブロックされた3’末端を有さない第2の平滑なライゲーション不適格末端を有する。ライゲーションを20℃で16時間実施して、二量体形成を可能にした。EDTAを15mMまで、およびプロテイナーゼKを0.2mg/ml(最終)まで添加して反応物をクエンチし、50℃で2時間インキュベートして、DNAリガーゼをタンパク質分解した。DNA 1kアッセイ(Perkin Elmer)を使用するPerkin Elmer Labchip GXキャピラリー電気泳動機器を、製造業者の指示に従って使用して反応混合物を直接分析した。
【0199】
キャピラリー電気泳動によって測定されたライゲーションされていないアダプターおよびアダプター二量体生成物のモル濃度を比較することによってアダプター二量体化変換パーセントを算出した。二重にライゲーションされた生成物に変換されたブロックされた20マーアダプターの画分が、表7.2に示されている。実施例3からのプロトコールに従って調製された、ヌクレアーゼ混入を含有するとわかっているWT T4 DNAリガーゼの試料を、アダプター二量体形成の陽性対照として含め、T4 DNAリガーゼの「超純粋」市販の調製物(Enzymatics)をWTリガーゼ二量体化活性の参照として使用した。
【表7.2】
(実施例8)
DNAライゲーション時間経過
【0200】
実施例7に記載の方法に従って精製された855nM最終濃度のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速)、Enzymatics)のいずれかを使用して、実施例5に記載されたようなクラウディング剤を補充した1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl
2、1mM DTT、6%PEG
6000(w/v))中でライゲーション反応時間経過を実施した。DNA基質は、実施例6に記載される1nMのAテール160マーPCR生成物および40nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを含んでいた。リガーゼを添加して反応を開始し、2、5、15および30分後にEDTAを15mMの最終濃度まで添加してクエンチした。プロテイナーゼKを0.2mg/mlの最終濃度まで添加し、試料を50℃で2時間タンパク質分解し、続いて、Zymo ZR-96 DNA Clean&Concentrator-5ウェルプレートクリーンアップキット(Zymo Research)を使用して試料をクリーンアップした。試料を25ulのEB緩衝液に溶出し、実施例6に記載される方法に従ってキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換は、表8.1において各時点について報告されている。
【表8.1】
(実施例9)
温度活性プロファイル
【0201】
実施例7に記載の方法に従って精製された855nM最終濃度のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速);Enzymatics)のいずれかを使用して、実施例5に記載されるように1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT)中でライゲーション反応時間経過を実施した。
【0202】
DNA基質は、実施例6に記載される1nMのAテール160マーPCR生成物および200nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号13および配列番号16)で構成されるアダプターを含んでいた。リガーゼを添加して反応を開始し、16℃、20℃、30℃または37℃で30分間インキュベートし、次いで、EDTAを15mMの最終濃度まで添加してクエンチした。プロテイナーゼKを0.2mg/mlの最終濃度まで添加し、試料を50℃で1時間タンパク質分解し、続いて、Zymo ZR-96 DNA Clean&Concentrator-5ウェルプレートクリーンアップキット(Zymo Research)を使用して試料をクリーンアップした。試料を25ulのEB緩衝液に溶出し、実施例6に記載される方法に従ってキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換は、
図1において各温度条件についてグラフにされている。
(実施例10)
pH活性プロファイル
【0203】
実施例7に記載の方法に従って精製された855nM最終濃度のバリアントリガーゼc)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速)、Enzymatics)のいずれかを使用して、実施例5に記載されたようなクラウディング剤を補充した1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl
2、1mM DTT、6%PEG
6000(w/v))中でライゲーション反応を実施した。DNA基質は、実施例6に記載される1nMのAテール160マーPCR生成物および40nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを含んでいた。リガーゼを添加して反応を開始し、15分後にHiPrep(商標)PCR SPRIビーズ(MagBio Genomics、100μlの反応物中に80μl)の添加によってクエンチした。試料を25ulのEB緩衝液に溶出し、実施例6に記載される方法に従ってキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換は、
図2にプロットされている。
(実施例11)
ライゲーション配列バイアス
【0204】
実施例7に記載の方法に従って精製された855nMの最終濃度のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速);Enzymatics)のいずれかを使用して、実施例5に記載されたようなクラウディング剤を補充した1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl2、1mM DTT、6%PEG6000(w/v))中でライゲーション反応時間経過を実施した。DNA基質は、個々のPCR生成物がプールされず、別個にライゲーションされた点を除いて、実施例6に記載される50ngのAテール160マーPCR生成物を含んでいた。
【0205】
PCR増幅によって、その5’末端で(at their 5; ends)配列が変動する規定された160bpの挿入物のセットを構築した。5’アデノシン(プライマー配列番号15および配列番号16、生成物配列番号17)、5’シトシン(配列番号18および配列番号19、生成物配列番号20)、5’グアノシン(配列番号21および配列番号22、生成物配列番号23)および5’チミジン(配列番号24および配列番号25、生成物配列番号26)ヌクレオチドで終結するフォワード/リバースPCRプライマー対の4つのセットを、別個の反応において使用して、T4 DNAリガーゼファージコード配列(配列番号1)を鋳型として使用して160bp断片を増幅した。これらの生成物は、プライマーによって供与される5’末端の塩基を除いて同一の内部DNA配列を有する。次いで、これらの挿入物を、製造業者の指示を使用してNEB Next Ultra(商標)II末端修復/dAテール付加モジュールにより個別に処理して、5’リン酸および3’デオキシアデノシンオーバーハングを付加し、それらをライゲーションのために調製した。調製した基質を、DNA Clean and Concentrator-5スピンカラム(Zymo Research)を使用して製造業者の指示に従って個別にクリーンアップした。40nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを使用してライゲーションを実施した。リガーゼを添加して反応を開始し、15分後にHiPrep(商標)PCR SPRIビーズ(MagBio Genomics、100μlの反応物中に80μl)の添加によってクエンチし、製造業者の指示に従って調製した。試料を25ulのヌクレアーゼ不含TE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA)に溶出し、実施例6に記載される方法を使用してキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換は、
図3にプロットされている。
(実施例12)
リガーゼ濃度の関数としての変換
【0206】
実施例7に記載の方法に従って精製された2~4000nM最終濃度の範囲のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速);Enzymatics)を使用して、実施例5に記載されたようなクラウディング剤を補充した1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl
2、1mM DTT、6%PEG
6000(w/v))中でライゲーション反応を実施した。DNA基質は、実施例6に記載される10ngのAテール160マーPCR生成物および40nMまたは200nMの、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを含んでいた。リガーゼを添加して反応を開始し、15分後にHiPrep(商標)PCR SPRIビーズ(MagBio Genomics、100μlの反応物中に80μl)の添加によってクエンチした。試料を25ulのEB緩衝液に溶出し、実施例6に記載される方法を使用してキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換は、
図4にプロットされている。
(実施例13)
アダプター濃度の関数としての変換
【0207】
実施例7に記載の方法に従って精製された855nMの最終濃度のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速);Enzymatics)を使用して、実施例5に記載されたようなクラウディング剤を補充した1×ライゲーション緩衝液(66mM Tris、pH7.5、10mM MgCl
2、1mM DTT、6%PEG
6000(w/v))中でライゲーション反応を実施した。DNA基質は、実施例6に記載される10ngまたは100ngのAテール160マーPCR生成物および3~400nM滴定の、2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを含んでいた。リガーゼを添加して反応を開始し、15分後にHiPrep(商標)PCR SPRIビーズ(MagBio Genomics、100μlの反応物中に80μl)の添加によってクエンチし、次いで、製造業者のプロトコールに従ってクリーンアップした。試料を25ulのEB緩衝液に溶出し、実施例6に記載される方法を使用してキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換パーセントは、
図5にプロットされている。
(実施例14)
細胞不含DNA基質の変換
【0208】
ヒト血清(BioChain)から単離された細胞不含DNA試料を、反応あたり10ngのDNA試料を使用して、製造業者の指示に従って60μl容量でNEB Next(登録商標)Ultra II(商標)末端修復/Aテール付加モジュールを使用してライゲーションのために調製した。末端修復/Aテール付加反応の生成物にライゲーションモジュールを直接添加し、その結果、追加の反応構成成分の最終濃度が、7mM Tris pH7.5、9mM MgCl2、1mM DTTおよび10%PEG6000であった。2つのオリゴヌクレオチド(実施例4に記載されるようにアニーリングされた、配列番号17および配列番号18)で構成されるアダプターを、40nMまたは200nMの最終濃度まで添加した。93.5ulの最終総容量について、実施例7に記載の方法に従って精製された855nMの最終濃度のバリアントリガーゼ(配列番号38)または野生型T4 DNAリガーゼの市販の調製物(「超純粋」T4 DNAリガーゼ(迅速);Enzymatics)を用いて反応を実施した。リガーゼを添加して反応を開始し、15分後にHiPrep(商標)PCR SPRIビーズ(MagBio Genomics、93.5μlの反応物中に75μl)の添加によってクエンチし、次いで、製造業者のプロトコールに従ってクリーンアップした。試料を25ulのTE緩衝液(10mM Tris、pH7.5、1mM EDTA)に溶出し、実施例6に記載される方法を使用してキャピラリー電気泳動によって分析した。二重に末端がライゲーションされた生成物への変換パーセントは、
図6に示されている。
【0209】
具体的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、単一のまたは複数のプロセスステップに適応するために、さまざまな変更を行い、同等のものに置換することができ、それにより、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の利点を達成できる。
【0210】
アメリカ合衆国におけるすべての目的のために、本開示で引用されたありとあらゆる刊行物および特許文書は、あたかもそのような刊行物または文書各々が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように参照により本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文書の引用は、任意のそのような文書が適切な先行技術であることを示すものではなく、その内容または日付に関する承認を構成するものでもない。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
配列番号2、6、32、34および/または38の参照配列もしくはその機能的断片に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するポリペプチド配列を含む遺伝子操作されたリガーゼであって、そのポリペプチド配列中に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、前記ポリペプチド配列のアミノ酸位置は、配列番号2、6、32、34または38に関して番号付けされている、遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目2)
少なくとも1つの置換または置換セットが、52/56/404、52/56/404/412、127/207、127/213、127/213/276/339、140/181/234、165/181/299、165/181/281/299、238/241/404/412/462および462ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択され、前記アミノ酸位置が、配列番号2に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目3)
少なくとも1つの置換または置換セットが、52/127/140/181/462、52/127/140/181/238、52/127/181/462、52/127/276/372/462、52/127/404、52/140/181/238/276/293/404、52/140/181/276/299/404/462、52/140/207/299/372/404/462、52/140/238/276/299/372/404、52/181、52/181/238/276、52/181/238/299/404、52/181/293、52/207/238/293/299/404/462、52/276/299/404、52/238/404/462、52/293/299/404/462、52/404/462、58/63/89、58/88/89/226/440、58/88/199/225/226、58/88/226/306、58/88/306/470、58/440/470、58/451、63/88/89、63/88/451、63/89/226/440/451、63/89/451、63/199/297/375、88/225/440/451、88/306/440/451、88/470、89、127、127/140/238、127/140/276、127/140/299/372/462、127/181/207、127/181/238/372、127/181/276、127/181/404、127/207/238/372、127/238/293/462、127/238/293/299/372/404、127/238/293/299/404、127/238/372/462、127/293、127/293/372/462、127/293/404/462、127/462、140/238/372/462、140/276/293/404、140/285/293/404、140/299/372/404/462、140/372、140,181/207/238、181/207/238/276/293/372/404、181/207/238/372、181/238/276、181/238/299/404、181,/238/462、
181/276、181/293、181/462、238/293/299/372/462、238/293/372、238/299/404、238/404/462、276/293/462、276/404、293/372、299/372/462、299/404/462、372、372/462、404、451、および462ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号6に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目4)
少なくとも1つの置換または置換セットが、19、19/127/199、19/127/306、19/238、89、89/127、89/127/238/306、127、127/133/238/375、127/177/238/293/306、127/238、127/306、127/385、176/244/247/373/438、176/250/373/438/480、238、 238/306/372、244、244/247、244/247/250、244/250/438、244/438、247/373/427/438、297、306、372、404、および438ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号32に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目5)
少なくとも1つの置換または置換セットが、51、56、60、63、86、149、174、184、199、207、233、237、238、240、314、329、371、373、385、427、438、439、446、448、451、452、453、454、461、466、476、および485ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号32に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目6)
少なくとも1つの置換または置換セットが、7、17、52、54、59、74、85、183、199、240、241、242、280、321、235、237、371、404、405、451、452、453、454、462、および483ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号32に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目7)
少なくとも1つの置換または置換セットが、7、11、13、14、54、62、89、149、183、184、185、186、231、232、233、238、239、240、385、386、413、および453ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号6に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目8)
少なくとも1つの置換または置換セットが、19/63/233/237/371/452、19/237/453、63/89/448/452/453、63/149/240/371/452、63/233/240/452/454、86/89/149/233/237/240、86/89/149/233/237/314/452、86/89/233/237/240/448、89/233/237/240/448/453/454、89/240/454、149/233/237/454、149/237/240、149/237/240/329/404/453、233/237/371/404/452/454および233/237/404ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号34に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目9)
少なくとも1つの置換または置換セットが、13/89/183/231、13/89/183/232/386/451、13/183/232/329/453/466、13/183/232/386/451、13/232/385/451、89/183/329/451/453、149/183、183、183/207/386、183/207/386/427/453、183/207/439、183/231/373、183/231/385/427、183/231/427/466、183/373/386、183/385、183/385/427、183/413/427、183/427/451、および385/453/466ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号38に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目10)
少なくとも1つの置換または置換セットが、13/19/63/88/127/183/225/232/233/237/329/371/440/451/452/453/466、13/19/63/88/127/183/225/232/233/237/371/386/440/451/452、19/63/88/127/183/225/231/233/237/371/427/440/451/452/466、19/63/88/127/183/225/233/237/371/373/386/440/451/452、19/63/88/127/225/233/237/371/385/440/451/452/453/466、19/63/88/127/225/233/237/371/440/451/452、63/88/127/149/225/240/371/440/451/452、86/88/89/127/149/225/233/237/240/440/451、88/89/127/225/233/237/240/440/448/451/453/454、88/127/149/225/233/237/440/451/454、88/127/225/440/451、および88/225/440/451ならびに/またはそれらの任意の組合せから選択されるアミノ酸位置での置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号6に関して番号付けされている、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目11)
前記遺伝子操作されたリガーゼが、表4.1、4.2、4.3、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5および/または6.1に示される少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼバリアントの配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリペプチド配列を含む、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目12)
前記遺伝子操作されたリガーゼが、表4.1、4.2、4.3、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5および/または6.1に提供されるバリアントの遺伝子操作されたリガーゼである、項目1に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目13)
DNAリガーゼ活性を有する、項目1から12のいずれかに記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目14)
野生型T4 DNAリガーゼと比較して少なくとも1つの改善された特性を有する、項目1から13のいずれかに記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目15)
野生型T4 DNAリガーゼと比較して少なくとも1つの改善された特性を有し、前記改善された特性が、低DNA基質濃度を用いる場合よりも大きな活性を示すことおよびより少ないアダプター二量体の生成から選択される、項目14に記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目16)
野生型T4 DNAリガーゼよりも熱安定性である、項目1から15のいずれかに記載
の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目17)
野生型T4 DNAリガーゼよりも広いpH安定性の範囲を示す、項目1から16のいずれかに記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目18)
前記ポリペプチドが精製されている、項目1から17のいずれかに記載の遺伝子操作されたリガーゼ。
(項目19)
項目1から18のいずれかに記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼをコードするポリヌクレオチド配列。
(項目20)
配列番号2、6、32、34および/または38の参照配列もしくはその機能的断片に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を含む少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼをコードするポリヌクレオチド配列であって、前記遺伝子操作されたポリペプチドが、1つまたは複数のアミノ酸位置に少なくとも1つの置換を含む、ポリヌクレオチド配列。
(項目21)
配列番号1、5、31、33および/または37の参照配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む、項目19および/または20に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目22)
配列番号1、5、31、33および/または37を含む、項目21に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目23)
制御配列に作動可能に連結されている、項目19から22のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列。
(項目24)
コドン最適化されている、項目19から22のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列。
(項目25)
項目19から24のいずれかに記載の少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む、発現ベクター。
(項目26)
項目25に記載の少なくとも発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
(項目27)
宿主細胞において遺伝子操作されたリガーゼポリペプチドを生成する方法であって、少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼが生成されるように、適した培養条件下で項目26に記載の宿主細胞を培養するステップを含む、方法。
(項目28)
培養物および/または前記宿主細胞から少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを回収するステップをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを精製するステップをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
項目1から18のいずれかに記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼを含む組成物。
(項目31)
ライゲーション生成物を生成する方法であって、項目1から18に記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、少なくとも2種の核酸断片を含む基質と、反応混合物とを提供するステップと、前記核酸断片のライゲーションが生じ、少なくとも1種のライゲーション生成物が生成されるような条件下で、前記少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、前記基質と、前記反応混合物とを組み合わせるステップを含む、方法。
(項目32)
DNAライブラリーを生成する方法であって、項目1から18に記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAを含む基質と、少なくとも1種のTテールアダプターオリゴヌクレオチド、アデノシンおよび反応緩衝液を含む反応混合物組成物とを提供するステップと、アデノシンが前記DNAの両鎖の3’末端に付加されるような条件下で、前記少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、前記基質と、前記反応混合物とを組み合わせるステップと、前記Tテールアダプターを前記投入DNAの前記末端とライゲーションして、DNAライブラリーを含む生成物を生成するステップとを含む、方法。
(項目33)
前記投入二本鎖DNAが、平滑末端DNA断片を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
シーケンシングに適した複数のDNA断片を生成する方法であって、項目1から18に記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAを含む基質と、一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を含むオリゴヌクレオチドならびにライゲーション適合末端に5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を含むアダプターオリゴヌクレオチドを含む反応混合物とを提供するステップと、前記オリゴヌクレオチド、アダプターオリゴヌクレオチドおよび投入二本鎖DNAのライゲーションが生じるような条件下で、前記少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、前記基質および前記反応混合物を組み合わせるステップと、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成するステップとを含む、方法。
(項目35)
シーケンシングに適した複数のDNA断片を生成する方法であって、項目1から18に記載の少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼと、投入二本鎖DNAを含む基質と、一塩基デオキシアデニン3’オーバーハングおよび5’一リン酸末端を含むオリゴヌクレオチドならびにライゲーション適合末端に5’デオキシチミジンオーバーハングおよび5’リン酸を含むアダプターオリゴヌクレオチドを含む反応混合物とを提供するステップと、前記オリゴヌクレオチド、アダプターオリゴヌクレオチドおよび投入二本鎖DNAのライゲーションが生じるような条件下で、前記少なくとも1種の遺伝子操作されたリガーゼ、前記基質および前記反応混合物を組み合わせるステップと、シーケンシングに適した複数のDNA断片を含む生成物を生成するステップとを含み、前記反応混合物中の前記アダプターオリゴヌクレオチドの濃度が、前記基質濃度の20倍未満モル過剰である、方法。(項目36)
曝露することが、クラウディング剤の存在下で実施される、項目31から35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記生成物を、前記生成物の熱不活性化後にE.coliに形質転換する、項目31から36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記生成物を使用して、DNA分子のライブラリーを作製する、項目31から37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
DNA分子の前記ライブラリーをシーケンシングに付す、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記反応混合物が、ライゲーションを阻害する少なくとも1種の化合物を含む、項目3
1から39のいずれかに記載の方法。
(項目41)
ライゲーションを阻害する前記少なくとも1種の化合物が、ライゲーションにとって最適以下の緩衝液を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
野生型T4 DNAリガーゼを含む同一方法よりも多くの生成物を生成する、項目31から41のいずれかに記載の方法。
(項目43)
前記反応混合物が、少なくとも1種の酵素を含む、項目31から42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
前記酵素が、ポリメラーゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼおよびシチジンデアミナーゼから選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記投入二本鎖DNA濃度が、100nM未満、50nM未満、10nM未満、1nM未満または100pM未満である、項目31から44のいずれかに記載の方法。
(項目46)
前記アダプター濃度が、反応物中の挿入物の濃度の10倍未満、5倍未満、3倍未満または2倍未満過剰である、項目31から45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
前記生成物を増幅するステップをさらに含む、項目31から46のいずれかに記載の方法。
(項目48)
前記生成物をシーケンシングするステップをさらに含む、項目31から47のいずれかに記載の方法。
(項目49)
前記生成物を増幅し、シーケンシングするステップをさらに含む、項目31から48のいずれかに記載の方法。
(項目50)
前記生成物からアダプター二量体を除去するためのステップをとらない、項目31から49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
前記基質が、単離された細胞不含DNA、循環腫瘍DNA、白血病細胞から単離されたDNA、リンパ腫細胞から単離されたDNA、循環腫瘍細胞から単離されたDNA、ウイルス感染細胞から単離されたDNA、循環胎児DNAおよび穿刺吸引液から選択される、項目31から40のいずれかに記載の方法。
(項目52)
前記基質が、粗試料で提供された投入二本鎖DNAを含む、項目31から51のいずれかに記載の方法。
(項目53)
前記基質が、前記反応混合物中に含める前に精製される投入二本鎖DNAを含む、項目31から51のいずれかに記載の方法。
(項目54)
マイクロ流体デバイスおよび/または液滴を利用する条件下で実施する、項目31から53のいずれかに記載の方法。
(項目55)
前記反応混合物および前記遺伝子操作されたリガーゼの組合せの容量が、5000pL未満、1000pL未満、100pL未満、10pL未満または1pL未満である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記基質が、固定化された二本鎖投入DNAを含む、項目31から55のいずれかに記載の方法。
(項目57)
前記遺伝子操作されたリガーゼを固定化する、項目31から56のいずれかに記載の方法。
(項目58)
二本鎖投入DNAおよび前記遺伝子操作されたリガーゼを含む前記基質を固定化する、項目31から57のいずれかに記載の方法。
(項目59)
前記反応混合物中の少なくとも1種の化合物を固定化する、項目31から55のいずれかに記載の方法。
(項目60)
前記生成物を使用して、DNAシーケンシング、ハイスループットスクリーニング、遺伝子選択、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細胞ベースのアッセイ、生化学的アッセイ、イメージングベースのハイコンテントスクリーニングまたはクロマチンコンホメーション捕捉(C3)のためのライブラリーを作製する、項目31から59のいずれかに記載の方法。
(項目61)
前記組み合わせるステップの時間の長さが、30分未満である、項目31から60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記組み合わせるステップの時間の長さが、15分未満である、項目31から61のいずれかに記載の方法。
(項目63)
前記組み合わせるステップの時間の長さが、10、9、8、7、6、5、4、3または2分未満である。項目62に記載の方法。
(項目64)
前記組み合わせるステップの時間の長さが、5分未満である、項目63に記載の方法。(項目65)
前記生成物が、前記組み合わせるステップの時間の長さが15分またはそれより長いライゲーション方法よりも少ないアダプター二量体を含む、項目31から64のいずれかに記載の方法。
(項目66)
細胞不含である、項目31から65のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記基質が、患者から得た流体から抽出した細胞不含DNAである、項目31から66のいずれかに記載の方法。
(項目68)
前記流体が、血清または血漿を含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記基質が、その3’および5’末端に異なる配列を有する核酸を含む、項目31から68のいずれかに記載の方法。
(項目70)
前記ライゲーションにおいて低バイアスを達成する、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記組み合わせるステップを、10°から40℃の間の範囲の温度で実施する、項目31から70のいずれかに記載の方法。
(項目72)
前記温度範囲が、16°から37℃である、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記組み合わせるステップを、pH7からpH10の範囲のpHで実施する、項目31から72のいずれかに記載の方法。
(項目74)
前記組み合わせるステップを、7.5から9の間のpHで実施する、項目73に記載の方法。