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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166585
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】サイトカインモジュレーション
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231114BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20231114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231114BHJP
   C07K 9/00 20060101ALN20231114BHJP
   C07K 14/475 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P9/00 ZNA
A61K31/353
A61K45/06
A61K38/10
A61K38/08
A61P43/00 121
A61P43/00 105
C07K9/00
C07K14/475
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023151704
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2020502296の分割
【原出願日】2018-07-19
(31)【優先権主張番号】62/534,595
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】508037005
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】517062333
【氏名又は名称】オキュネクシス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コリン リチャード グリーン
(72)【発明者】
【氏名】オドゥナヨ オモローラ ボルワリン ムギショー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード ダフト
(57)【要約】
【課題】サイトカインモジュレーションを提供すること。
【解決手段】本発明は、対象において、血管新生性サイトカインVEGFを含むサイトカインレベル、ならびにそれらの産生、分泌および/または放出をモジュレートするためのヘミチャネル遮断剤の使用、ならびに血管新生および/または血管漏出によって全体的にまたは部分的に特徴付けられる状態におけるものを含む、サイトカイン活性を低減または平準化するためのヘミチャネル遮断剤の使用に関する。本発明は、例えば、対象においてサイトカイン活性をモジュレートするための方法であって、有効量のヘミチャネル遮断剤を前記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、0217年7月19日出願の米国仮特許出願第62/534,595号に対する優先権を主張する。
分野
本発明は、コネキシン43ヘミチャネルを含むコネキシンヘミチャネル、ならびにVEGF、IL-6、IL-8、MCP-1およびsICAM-1を含むサイトカインに、一般に関する。
【0002】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての米国特許、米国特許出願公開公報、外国特許、外国およびPCTの公開された出願、論文ならびに他の文書、参考文献および刊行物、ならびに本明細書に由来する任意の特許(単数または複数)において引用された参考文献として列挙された全てのものは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた情報は、テキストおよび他の内容の全てが本出願において繰り返されるかのように事実上本出願の一部であり、出願時の本出願のテキストおよび内容の一部として扱われる。
【背景技術】
【0003】
背景
以下は、本発明を理解する際に有用であり得る情報を含む。これは、本明細書で具体的または黙示的に言及される情報、刊行物または文書のいずれかが、本明細書で記載されるまたは特許請求される発明の先行技術であることの告白でも、本明細書で記載されるまたは特許請求される発明にとって必須であることの告白でもない。
【0004】
血管新生性サイトカインである血管内皮増殖因子(VEGF)は、ヒトの成長および発達、ならびに血管維持において、中心的な役割を果たす。しかし、血管新生が、種々の障害の病理発生において重要な役割を果たすことも、現在十分に確立されている。VEGF媒介性の血管新生は、腫瘍成長、ならびに滲出性加齢黄斑変性(AMD)、例えば、増殖性糖尿病性網膜症および未熟児網膜症にとって重要であることが報告され、これらは全て、異常な新血管新生によって特徴付けられる。固形腫瘍の場合、新血管新生は、正常細胞と比較して、腫瘍細胞が成長上の利点および増殖自律性を獲得するのを可能にする。腫瘍切片中の微小血管の密度と、乳がんならびにいくつかの他の腫瘍における患者生存との間には、相関が観察されている。Weidner et al., Tumor Angiogenesis and Metastasis - Correlation in Invasive Breast Carcinoma. N Engl J Med 324:1-6 (1991);Horak et al., Angiogenesis, assessed by platelet/endothelial cell adhesion molecule antibodies, an indicator of node metastases and survival in breast cancer. Lancet 340:1120-1124 (1992);およびMacchiarini et al., Relation of neovascularization to metastasis of non-small lung cell cancer. Lancet 340:145-146 (1992)。虚血および炎症は、血液網膜関門のVEGF媒介性の崩壊をもたらし、これが、視力を低下させる黄斑浮腫を引き起こすことが報告されている。Folkman et al. J. Biol. Chem. 267:10931-10934 (1992);Klagsbrun et al. Annu. Rev. Physiol. 53:217-239 (1991):およびGarner A, Vascular diseases. In: Pathobiology of ocular disease. A dynamic approach. Garner A, Klintworth G K, Eds. 2nd Edition Marcel Dekker, N.Y., pp 1625-1710 (1994)。これらの効果に対処するために、抗VEGF薬物(例えば、抗体、アプタマーおよびチロシンキナーゼ阻害剤)が、全身的使用および局所的(眼球内)使用の両方のために開発されてきた。
【0005】
網膜障害に関して、抗VEGF剤の全体的な臨床的成功にもかかわらず、一部のAMD患者は、疾患を制御下に保持するために、頻繁な注射をなおも必要とする。長時間作用性の製剤または徐放テクノロジーが、そのような症例のために必要とされることが述べられている。Ferrara, N and Adamis AP, Ten years of anti-vascular endothelial growth factor therapy. Nature Reviews Drug Discovery 15:385-403 (2016)を参照のこと。さらに、新生血管AMDを有する患者のおよそ40%は、20/40未満の視力として定義される、最適以下の処置応答を示す。Rosenfeld, PJ et al., Ranibizumab for neovascular age-related macular degeneration. N. Engl. J. Med. 355:1419-1431 (2006)。第3相研究からのデータは、現在承認されている用量が、AMDおよび糖尿病黄斑浮腫(DME)についての用量応答曲線の頂点またはその近傍にあることを示しているので、より高い用量は、役に立たない可能性がある。Busbee, BG, et al., Twelve-month efficacy and safety of 0.5 mg or 2.0 mg ranibizumab in patients with subfoveal neovascular age-related macular degeneration. Ophthalmology 120:1046-1056 (2013)。がんに関して、VEGF阻害剤の影響は、他の血管新生阻害剤を用いた一部の早期前臨床研究において予測された目覚ましい有効性には達していない。Boehm, T, et al. Antiangiogenic therapy of experimental cancer does not induce acquired drug resistance. Nature 390:404-407 (1997)。それにもかかわらず、VEGF阻害剤は、進行した処置困難な悪性腫瘍を有する患者において利益を示しており、現在、いくつかの転移性がんの処置のための標準治療である。しかし、臨床応答には不均一性が存在する。Ferrara, N., Pathways mediating VEGF-independent tumor angiogenesis. Cytokine Growth Factor Rev. 21:21-26 (2010)。
【0006】
インターロイキン-6(IL-6)は、免疫系だけではなく種々の生物学的プロセスにおいても重要な役割を果たす多機能性サイトカインである。調節不全の持続性のインターロイキンIL-6産生は、種々の自己免疫性の慢性炎症性疾患およびさらにはがんの発達に関連づけられてきた。これは、急性および慢性の両方の炎症の主要な調節因子である。IL-6の顕著な上昇が、例えば、不応性/慢性ブドウ膜炎患者に由来する眼液において見出されており、IL-6は、IL-6ノックアウトマウスを用いた実験的自己免疫性ブドウ膜炎モデルにおいて、炎症を誘導するために必要とされることが示されている。組換えヒト化抗IL-6受容体抗体であるActemra(登録商標)(トシリズマブ)は、ブドウ膜炎を含むいくつかの自己免疫性疾患の処置において使用されてきた。トシリズマブ治療の有効性および安全性の概要については、Mesquida, M, et al., Interleukin-6 blockade in ocular inflammatory diseases. Clin Exp Immunol. 176:301-309 (2-14)を参照のこと。抗IL-6受容体抗体は、キャッスルマン病を含む自己免疫性障害に対しても使用されてきた。
【0007】
インターロイキン-8(IL-8)および/またはその受容体の増加した発現は、COPDを含む多くの慢性炎症性状態、ならびに多くのがんにおいて特徴付けられており、その上方調節は、疾患活性と相関する場合が多い。IL-8は、多くのヒトがんにおいて過剰発現される血管新生促進性サイトカインである。IL-8に対する受容体は、正常および種々の腫瘍細胞上で広く発現され、IL-8は、多くの病理において炎症促進性、走化性およびマトリックス分解性応答を誘導することが報告されている。Qazi et al., Recent Advances in Underlying Pathologies Provide Insight into Interleukin-8 Expression-Mediated Inflammation and Angiogenesis, International Journal of Inflammation Volume 2011 (2011), Article ID 908468によって概説される。がん細胞においてIL-8シグナル伝達を間接的に減弱させるための戦略の発見の希望が示されてきたが、この望みは、従来の治療介入に対してがん細胞を感作させることを目的としたものであった。Campbell, LM, et al., Rationale and Means to Target Pro-Inflammatory Interleukin-8 (CXCL8) Signaling in Cancer. Pharmaceuticals (Basel) 6:929-959 (2013)。
【0008】
単球走化性タンパク質-1(MCP-1/CCL2)は、単球/マクロファージの遊走および浸潤を調節する重要なケモカインの1つである。MCP-1およびその受容体は共に、多発性硬化症(MCP-1と軸索損傷との間の相関)、二次性多発性硬化症および侵害受容(ニューロンのMCP-1媒介性の脱分極による)、腫瘍新生血管(マクロファージ浸潤に対するMCP-1の影響による)およびインスリン抵抗性(増加したMCP-1)を含む種々の疾患および状態において誘導されることおよびそれに関与することが報告されている。MCP-1産生に影響を与える薬物の発見が、組織、例えば、慢性炎症を経験している組織において標的化され得ることが注目されてきたが、提供される唯一の可能性は、RNAiテクノロジーを使用してMCP-1遺伝子をサイレンシングすることなどの技術であった。上方調節されたケモカイン受容体を遮断する薬物の発見が、それらがMCP-1発現の上流にある場合に有効であることを証明し得ることを述べている、Deshmane, SL, et al., Monocyte Chemoattractant Protein-1 (MCP-1): An Overview, J Interferon Cytokine Res. 29:313-326 (2009) Id. at 321を参照のこと。
【0009】
免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーのメンバーであるICAM-1は、異なる型の細胞上で低レベルで構成的に発現される、単鎖細胞表面糖タンパク質である。血漿中の可溶性ICAM-1(sICAM-1)のレベルは、冠動脈心疾患および他の血管疾患と関連づけられてきた。Ridker PM, et al., Plasma concentration of soluble intercellular adhesion molecule 1 and risks of future myocardial infarction in apparently healthy men. Lancet 351:88-92 (1998)。sICAM-1の血漿濃度は、急性心筋梗塞および不安定狭心症を有する患者において顕著に上昇することが報告されているが、安定狭心症を有する患者では報告されていない(Pellegatta, F. et al., J. Cardiovasc. Pharmacol. 30:455-460 (1997);Miwa, K. et al., Cardiovasc. Res. 36:37-44, 1997;Ghaisas, N. K. et al., Am. J. Cardiol. 80:617-619 (1997);Ogawa, H. et al., Am. J. Cardiol. 83:38-42 (1999))。sICAM-1の血漿濃度の上昇は、がんおよび多発性硬化症にも関連すると報告されている(Kim, J. S., J. Neurol. Sci. 137:69-78 (1996);Laskowitz, D. T. et al., J. Stroke Cerebrovasc. Dis. 7:234-241 (1998))。Ghoらは、sICAM-1が明らかに、血管新生を促進し、腫瘍細胞成長を刺激できることを報告している。Gho YS, et al. Angiogenic activity of human soluble intercellular adhesion molecule-1. Cancer Res 59:5128-32 (1999);Gho YS, et al., Stimulation of tumor growth by human soluble intercellular adhesion molecule-1. Cancer Res 61:4253-7 (2001)。上昇したsICAM-1レベルは、種々の悪性腫瘍を有する患者においても報告されており、疾患進行および腫瘍転移と相関すると考えられている。別の論文は、炎症因子(VEGF、IL-6、MCP-1およびsICAM-1)が、黄斑浮腫を有する患者において、血管透過性の増加を誘導し、血液房水関門を破壊し得ることを報告している。Noma, H, et al., Role of inflammation in previously untreated macular edema with branch retinal vein occlusion. BMC Ophthalmol. 14:67 (2014)。
【0010】
コネキシンチャネルは、遍在しており、細胞間での分子の移動のための経路(ギャップジャンクションチャネル)および細胞外環境中への分子エフェクターの放出のための経路(原形質膜ギャップジャンクションヘミチャネル)を提供する。ギャップジャンクションは、特殊化した細胞間接続であり、ほとんどの動物細胞型において見出される。これらは、成熟骨格筋ならびに可動性の細胞型、例えば精子および赤血球を除く、身体の事実上全ての組織において発現される。ギャップジャンクションは、2つの細胞の細胞質を直接接続し、種々の分子、イオンおよび電気インパルスが、細胞間の調節されたゲートを直接通過することを可能にする。1つのギャップジャンクションは、2つのコネクソン(即ち、ヘミチャネル)から構成され、これらは、隣接する細胞間の細胞間空間を横切って接続し、これらの細胞間を細胞内分子が流れるのを可能にする。ギャップジャンクションの各コネクソンは、隣接する細胞膜中に存在し、6つの個々のコネキシン(「Cx」)タンパク質の共有結合オリゴマー化によって形成される。機能的ギャップジャンクションの形成のための要件は、ヘミチャネルへのコネキシンタンパク質のアセンブリ、および膜中へのそれらの挿入である。細胞間連絡のために、1つの細胞由来のヘミチャネルは、一方の細胞から他方の細胞へのギャップジャンクションを介したシグナルの伝達を可能にするために、隣接する細胞の対向する膜上のそれらの対応物とドッキングする必要がある。
ギャップジャンクションおよびヘミチャネルは、分子質量が最大で約1kDaの種々の小分子、例えば、イオン、小さい代謝物、cAMP、ATP、IP3、プロスタグランジンなどの移行に関与する。Burra S and Jiang JX, Regulation of cellular function by connexin hemichannels, Int J Biochem Mol Biol. 2(2): 119-128 (2011)。生理的条件下で、ほとんどのコネキシンは、原形質膜中でヘミチャネルを形成し、これらは、ギャップジャンクション形成の間にドッキングして細胞-細胞チャネルを形成するまで閉口される。いくつかの例外はあるが、コネキシンヘミチャネル電流は、強い脱分極または0.5mMより下への細胞外カルシウムの低減によって活性化される傾向がある。従って、内因性コネキシンヘミチャネルの活性は、正常な生理的条件下では顕著でない可能性がある。しかし、表面露出された場合、ドッキングされていないヘミチャネルは、細胞質ゾルと細胞外空間との間での分子の交換を媒介できることが報告されている。従って、ヘミチャネルは、デフォルトでは閉口されるが、それらの開口を誘導するいくつかの合図、例えば、細胞外Ca2+濃度における低下(Evans et al., The gap junction cellular internet: connexin hemichannels enter the signaling limelight. Biochem J 397(1): 1-14 (2006))または腸内病原体による感染(Puhar et al., A Shigella Effector Dampens Inflammation by Regulating Epithelial Release of Danger Signal ATP through Production of the Lipid Mediator PtdIns5P, Immunity 39(6): 1121- 1131 (2013);Tran Van Nhieu et al., Connexin-dependent inter-cellular communication increases invasion and dissemination of Shigella in epithelial cells, Nat Cell Biol 5(8): 720-726 (2003))が記載されている。Puhar A and Sansonetti PJ, Dye-uptake Experiment through Connexin Hemichannels, Bio-protocol 4(17): e1221 (Sept. 2014)を参照のこと。ギャップジャンクション、ヘミチャネルおよびコネキシン調節因子は、種々の治療的使用のために提唱されてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Weidner et al., Tumor Angiogenesis and Metastasis - Correlation in Invasive Breast Carcinoma. N Engl J Med 324:1-6 (1991)
【非特許文献2】Horak et al., Angiogenesis, assessed by platelet/endothelial cell adhesion molecule antibodies, an indicator of node metastases and survival in breast cancer. Lancet 340:1120-1124 (1992)
【非特許文献3】Macchiarini et al., Relation of neovascularization to metastasis of non-small lung cell cancer. Lancet 340:145-146 (1992)
【非特許文献4】Folkman et al. J. Biol. Chem. 267:10931-10934 (1992)
【非特許文献5】Klagsbrun et al. Annu. Rev. Physiol. 53:217-239 (1991)
【非特許文献6】Garner A, Vascular diseases. In: Pathobiology of ocular disease. A dynamic approach. Garner A, Klintworth G K, Eds. 2nd Edition Marcel Dekker, N.Y., pp 1625-1710 (1994)
【非特許文献7】Ferrara, N and Adamis AP, Ten years of anti-vascular endothelial growth factor therapy. Nature Reviews Drug Discovery 15:385-403 (2016)
【非特許文献8】Rosenfeld, PJ et al., Ranibizumab for neovascular age-related macular degeneration. N. Engl. J. Med. 355:1419-1431 (2006)
【非特許文献9】Busbee, BG, et al., Twelve-month efficacy and safety of 0.5 mg or 2.0 mg ranibizumab in patients with subfoveal neovascular age-related macular degeneration. Ophthalmology 120:1046-1056 (2013)
【非特許文献10】Boehm, T, et al. Antiangiogenic therapy of experimental cancer does not induce acquired drug resistance. Nature 390:404-407 (1997)
【非特許文献11】Ferrara, N., Pathways mediating VEGF-independent tumor angiogenesis. Cytokine Growth Factor Rev. 21:21-26 (2010)
【非特許文献12】Mesquida, M, et al., Interleukin-6 blockade in ocular inflammatory diseases. Clin Exp Immunol. 176:301-309 (2-14)
【非特許文献13】Qazi et al., Recent Advances in Underlying Pathologies Provide Insight into Interleukin-8 Expression-Mediated Inflammation and Angiogenesis, International Journal of Inflammation Volume 2011 (2011), Article ID 908468
【非特許文献14】Campbell, LM, et al., Rationale and Means to Target Pro-Inflammatory Interleukin-8 (CXCL8) Signaling in Cancer. Pharmaceuticals (Basel) 6:929-959 (2013)
【非特許文献15】Deshmane, SL, et al., Monocyte Chemoattractant Protein-1 (MCP-1): An Overview, J Interferon Cytokine Res. 29:313-326 (2009) Id. at 321
【非特許文献16】Ridker PM, et al., Plasma concentration of soluble intercellular adhesion molecule 1 and risks of future myocardial infarction in apparently healthy men. Lancet 351:88-92 (1998)
【非特許文献17】Pellegatta, F. et al., J. Cardiovasc. Pharmacol. 30:455-460 (1997)
【非特許文献18】Miwa, K. et al., Cardiovasc. Res. 36:37-44, 1997
【非特許文献19】Ghaisas, N. K. et al., Am. J. Cardiol. 80:617-619 (1997)
【非特許文献20】Ogawa, H. et al., Am. J. Cardiol. 83:38-42 (1999)
【非特許文献21】Kim, J. S., J. Neurol. Sci. 137:69-78 (1996)
【非特許文献22】Laskowitz, D. T. et al., J. Stroke Cerebrovasc. Dis. 7:234-241 (1998)
【非特許文献23】Gho YS, et al. Angiogenic activity of human soluble intercellular adhesion molecule-1. Cancer Res 59:5128-32 (1999)
【非特許文献24】Gho YS, et al., Stimulation of tumor growth by human soluble intercellular adhesion molecule-1. Cancer Res 61:4253-7 (2001)
【非特許文献25】Noma, H, et al., Role of inflammation in previously untreated macular edema with branch retinal vein occlusion. BMC Ophthalmol. 14:67 (2014)
【非特許文献26】Burra S and Jiang JX, Regulation of cellular function by connexin hemichannels, Int J Biochem Mol Biol. 2(2): 119-128 (2011)
【非特許文献27】Evans et al., The gap junction cellular internet: connexin hemichannels enter the signaling limelight. Biochem J 397(1): 1-14 (2006)
【非特許文献28】Puhar et al., A Shigella Effector Dampens Inflammation by Regulating Epithelial Release of Danger Signal ATP through Production of the Lipid Mediator PtdIns5P, Immunity 39(6): 1121- 1131 (2013)
【非特許文献29】Tran Van Nhieu et al., Connexin-dependent inter-cellular communication increases invasion and dissemination of Shigella in epithelial cells, Nat Cell Biol 5(8): 720-726 (2003)
【非特許文献30】Puhar A and Sansonetti PJ, Dye-uptake Experiment through Connexin Hemichannels, Bio-protocol 4(17): e1221 (Sept. 2014)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡単な要旨
本明細書で記載され特許請求される発明は、この発明の概要に示されるまたは記載されるまたは言及されるものが含まれるがそれらに限定されない多くの性状および実施形態を有する。本発明は、包括的であることは意図しておらず、本明細書で記載され特許請求される発明は、限定ではなく例示のみを目的として含まれる、この導入部において同定された特色または実施形態に限定されることも、それらによって限定されることもない。
【0013】
本特許は、サイトカインの産生および放出を減弱させるためのヘミチャネル遮断剤の使用を記載する。サイトカインは、いくつかの疾患、障害および状態に関与する。従って、重要なことに、ヘミチャネル遮断剤は、例えば、抗VEFG抗体、VEFG受容体遮断剤およびIL-6受容体遮断剤ならびに他の調節因子、ならびにIL-8、MCP-1およびsICAM-1を含む他のサイトカインおよび/またはそれらの受容体の調節因子を含む、現行の治療アプローチの上流で作用する。
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、約1kDaの分子サイズ通過制限を有するヘミチャネルの以前に記載された特性を考慮して、ヘミチャネルをモジュレートまたは遮断することで、ヘミチャネル遮断剤の投与後のIL-6、IL-8、MCP-1およびsICAM-1における低減、ならびに血管新生性サイトカインVEGFの存在または量における低減によって明らかなように、炎症性サイトカインの産生、分泌および/または放出を低減または停止させることができることを、ここで発見した。これらの分子は、サイズが約11kDa(MCP-1およびIL-8)~90kDa(sICAM-1)の範囲である。ヘミチャネルは、水、小分子およびイオン、例えばCa2+(40Da)、ならびに小さいシグナル伝達分子、例えば、ATP、cAMP、NAD、IP、プロスタグランジンおよびグルタメート(140~700Da)の通過のみを可能にする。
【0015】
いずれの理論によって束縛されることも意図しないが、本明細書の研究は、コネキシンヘミチャネル媒介性のサイトカインフィードバックループを増幅および永続化させ、本明細書で言及される状態および疾患、ならびに例えば望ましくないレベルのVEGFならびに/またはIL-6、IL-8、MCP-1および/もしくはsICAM-1を含む他のサイトカインによって少なくとも一部特徴付けられる他の状態および疾患への基礎を形成することによって、コネキシンヘミチャネルが疾患プロセスにおいて重要な役割を果たすというアイデアを支持する。炎症促進性サイトカインの全身的および局所的放出は、例えば、真性糖尿病および糖尿病性腎症の発達および進行に関与する。これらの結果は、背景技術および本明細書の他の場所で言及したものを含む疾患、ならびに、例えば、心不全(Butts, B., et al. Journal of Cardiac Failure, 21:586-593 (2015)を参照のこと);筋ジストロフィー(Cea, LA, et al. (2013). De novo expression of connexin hemichannels in denervated fast skeletal muscles leads to atrophy. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110:16229-16234 (2013)を参照のこと);代謝疾患(de Torre-Minguela, C., et al. Frontiers in Immunology, Article 43 (January 27, 2017)を参照のこと);慢性呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患、即ちCOPD(Hosseinian, N, et al., Therapeutic advances in respiratory disease, 9:188-197 (2015)を参照のこと);真性糖尿病および糖尿病性腎症、ならびにインスリン抵抗性、インスリン分泌障害および腎不全を生じる臓器不全(Wada, J. and Makino, H. Innate immunity in diabetes and diabetic nephropathy. Nature Reviews Nephrology, 12:13-26 (2016)を参照のこと);ならびに脳腫瘍(Zhou, K., et al. Journal of Immunology Research, 2016: 9238290)を参照のこと)に影響を有する。
【0016】
本発明は、一態様では、例えば、対象において、血管新生性サイトカインVEGFを含むサイトカインレベル、ならびにそれらの産生、分泌および/または放出をモジュレートするためのヘミチャネル遮断剤の使用、ならびに血管新生および/または血管漏出によって全体的にまたは部分的に特徴付けられる状態におけるものを含む、サイトカイン活性を低減または平準化するためのヘミチャネル遮断剤の使用に関する。
【0017】
一態様では、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1を含むサイトカインの産生、放出および/または分泌を低減させるための方法が提供される。
【0018】
別の態様では、VEGFの産生、放出および/または分泌を低減させるための方法が提供される。一実施形態では、VEGFは、VEGF-Aである。
【0019】
別の態様では、背景技術中を含む本明細書で記載または言及される疾患、障害および状態におけるものを含む、対象において所望されずに増幅および永続化されたコネキシンヘミチャネル媒介性のサイトカインフィードバックループをモジュレートするための方法が提供される。
【0020】
別の態様では、背景技術中を含む本明細書で記載または言及される疾患、障害および状態におけるものを含む、対象において所望されずに増幅および永続化されたコネキシン43ヘミチャネル媒介性の自己分泌フィードバックループをモジュレートするための方法が提供される。
【0021】
別の態様では、新たな血管の血管新生性形成と関連する新生物または腫瘍成長によって少なくとも一部特徴付けられる疾患、障害および状態においてサイトカインの産生、分泌および/または放出を低減させるための、コネキシン43ヘミチャネル媒介性のものを含むコネキシンヘミチャネル媒介性の自己分泌サイトカインフィードバックループをモジュレートするための方法が提供される。
【0022】
本特許は一部、サイトカイン放出を遮断またはモジュレートするために、コネキシン43ヘミチャネルを含むコネキシンヘミチャネルをモジュレートするための化合物および方法の使用を記載する。とりわけ、本特許は、慢性疾患のメディエーターのサイクルを壊すために使用され得る組成物および方法を記載する。
【0023】
本発明の方法は、それから利益を得る対象へのコネキシンヘミチャネル遮断剤の投与によって、対象において異常な、上昇した、調節不全のおよび/または他の点で望ましくないレベルのサイトカインを減弱させる際に有用である。サイトカインには、例えば、IL-6、IL-8、sICAM-1、MCP-1およびVEGF、例えば、VEGF-Aが含まれる。
【0024】
本発明は一部、ヘミチャネル遮断剤、例えば、ペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagon(ペプチド5)などおよび/または小分子ヘミチャネル遮断剤、例えば、Xiflam(トナベルサット)などの投与を含む、それから本質的になる、またはそれからなる、サイトカインおよび/またはサイトカイン活性を低減させるための方法を対象とする。これらの方法は、例えば、病的なまたは他の点で不要な血管新生、2型(非インスリン依存性)真性糖尿病と関連する困難、ならびに例えば、固形腫瘍およびがん、ならびに背景技術中を含む本明細書で記載または言及される他の疾患、障害および状態と関連するVEGF(例えば、VEGF-A)レベルの処置において有用である。
【0025】
方法は、例えば、不要なまたは病的なレベルのインターロイキン-6(IL-6)、種々のヒト炎症性疾患、例えば、キャッスルマン病と関連する状態、ならびに背景技術中を含む本明細書で記載または言及される他の疾患、障害および状態の処置においても有用である。
【0026】
方法は、例えば、不要なまたは病的なレベルのインターロイキン-8(IL-8)、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、嚢胞性線維症、ANCA関連血管炎(ウェゲナー肉芽腫症)、血液悪性腫瘍、ならびに他のがん、例えば、肝細胞癌、軟部組織肉腫ならびに早期および転移性乳がんを含む種々の疾患と関連する状態、ならびに背景技術中を含む本明細書で記載または言及される他の疾患、障害および状態の処置において有用である。
【0027】
方法は、例えば、不要なまたは病的なレベルのsICAM-1、ループス腎炎、視神経脊髄炎(NMO)、全身性エリテマトーデス(SLE)と、ならびに歯肉炎、成人性歯周炎および急速進行性歯周炎を有する患者におけるものを含む、歯垢の蓄積および炎症と関連する歯肉支持細胞と、ならびに非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者におけるものを含む、腫瘍細胞の転移挙動と関連する病理学的プロセスを含む、種々の急性および慢性の炎症性疾患と関連する状態、ならびに背景技術中を含む本明細書で記載または言及される他の疾患、障害および状態の処置においても有用である。
【0028】
方法は、例えば、不要なまたは病的なレベルのMCP-1、自己免疫性障害(例えば、多発性硬化症および二次性多発性硬化症)、肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、がん、ならびにインスリン抵抗性、腫瘍新生血管を含むいくつかの疾患の病理に関与する状態、ならびに背景技術中を含む本明細書で記載または言及される他の疾患、障害および状態の処置においても有用である。
【0029】
別の態様では、本特許は、有効量のヘミチャネル遮断剤を対象に投与することによって、前記対象においてIL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1を含むサイトカインを有利に調節する方法を特色とする。一実施形態では、本発明の方法は、VEGF-Aが含まれるがこれに限定されないVEGFを低減または調節することを対象とする。別の実施形態では、本発明は、血管新生を低減または調節する方法を対象とする。
【0030】
別の態様では、本発明は、ヘミチャネル遮断剤を対象に投与することによって、対象においてVEGFを低減または調節する方法を対象とする。一実施形態では、VEGFは、VEGF-Aである。
【0031】
本特許は、例えば、血管新生によっておよび/またはVEGF-Aが含まれるがこれに限定されないVEGFによって少なくとも一部特徴付けられるまたは媒介される疾患、障害および状態を処置するための、VEGFの産生、分泌および/または放出を低減させるための組成物および方法の使用を記載する。
【0032】
従って、一態様では、本発明は、VEGF、例えば、VEGF-Aを低減または調節するためにヘミチャネル開口を遮断または低減させるための方法、ならびにVEGFおよび/または他のサイトカインのモジュレーションが有益であり得る障害の処置のための方法に関する。
【0033】
別の態様では、本発明は、ヘミチャネル遮断剤を対象に投与することによって、乳がん、非小細胞肺がん(non-small lung cell cancer)または糖尿病を有する対象において、VEGFを調節するまたは低減させる方法を対象とする。一実施形態では、調節または低減されるVEGFは、VEGF-Aである。
【0034】
ヘミチャネル遮断剤組成物および方法は、単独で、または抗VEGF抗体、バリアント抗VEGF抗体、VEGF-trap、ならびにVEGFおよび/もしくはVEGF受容体(VEGFR)の活性を阻害する他の薬剤を含む、1つもしくは複数のさらなる抗VEGF治療剤と組み合わせて、使用され得る。一実施形態では、VEGF治療剤は、VEGF-Aアンタゴニストもしくは遮断剤またはVEGF-A受容体アンタゴニストもしくは遮断剤である。
【0035】
それを必要とする対象において、サイトカイン、例えば、VEGF、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1、ならびにVEGF-Aを含むそれらのアイソフォームの産生、分泌および/または放出もしくは分泌を低減させるためのヘミチャネルのモジュレーションのためのそれらの使用および産生のための、化合物、組成物、製剤、キットおよび方法を提供することが、本発明の目的である。
【0036】
それから利益を得る対象へのコネキシンヘミチャネル遮断剤の投与によって、対象において異常な、上昇した、調節不全のおよび/または他の点で望ましくないレベルのサイトカインを減弱させるための方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0037】
サイトカインのモジュレーションから利益を得る疾患、障害および状態の処置のための化合物、組成物、製剤、キットおよび方法を提供することが、本発明の別の目的である。低減されたサイトカイン、低減されたサイトカインレベルおよび/または低減されたサイトカイン活性から利益を得る疾患、障害および状態の処置のための化合物、組成物、製剤、キットおよび方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0038】
一部の態様では、処置の方法は、哺乳動物、例えばヒトに適用される。
【0039】
別の態様では、本発明は、ヘミチャネルのモジュレーションが有益なものであり得る障害の処置における使用のための、ギャップジャンクションヘミチャネル遮断剤、例えば、小分子、例えば、Xiflamおよび/またはそのアナログもしくはプロドラッグ、あるいはペプチド模倣物、例えば、Peptagonおよび/またはそのアナログもしくはプロドラッグ、あるいは別のヘミチャネル遮断剤またはそのプロドラッグを提供する。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、毎日、毎週、毎月、隔月もしくは年四回、またはこれらの期間の任意の組合せで、投与される。例えば、処置は、ある期間毎日投与され得、その後、毎週および/または毎月投与され得るなどである。
【0040】
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の疾患、障害および状態の処置のためのヘミチャネル遮断剤を提供する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の疾患、障害または状態は、例えば、ウェゲナー肉芽腫症(Wegner's granulomatosis);キャッスルマン病;不安定狭心症を含む狭心症;腎不全;多発性硬化症;筋ジストロフィー;二次性多発性硬化症;ループス腎炎;腫瘍新生血管;COPD;PAOD;2型(非インスリン依存性)真性糖尿病を含む糖尿病;インスリン抵抗性;糖尿病性腎症;心不全;脳腫瘍を含む固形腫瘍;乳がん、非小細胞肺がん、血液悪性腫瘍を含むがん;肝細胞癌、軟部組織肉腫、早期乳がんおよび転移性乳がんを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる群から選択される。
【0041】
本発明において有用なヘミチャネル遮断剤は、単独で、または標的疾患、障害もしくは状態を処置する際に有用な別の治療剤と組み合わせて、投与され得る。一部の態様では、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび/または上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグ、あるいはペプチド模倣物、例えば、Peptagonまたはそのアナログもしくはプロドラッグ、あるいは別のヘミチャネル遮断剤は、ヘミチャネルのモジュレーションが有益なものであり得る障害の処置のために、サイトカインアンタゴニストと一緒に使用され得る。ヘミチャネル遮断剤の投与は、サイトカインアンタゴニストの投与と同時に、それと逐次的に、またはその前であり得る。
【0042】
従って、ヘミチャネル遮断剤は、例えば、VEGFまたは他のサイトカインアンタゴニストと共投与され得る。ヘミチャネル遮断剤と、サイトカイン遮断剤もしくはアンタゴニスト、例えば、VEGFアンタゴニスト、例えば、抗VEGF抗体もしくはVEGF受容体遮断剤、またはIL-6受容体遮断剤などとの共投与を含む、それから本質的になる、またはそれからなる方法では、ヘミチャネル遮断剤の共投与は、サイトカイン遮断剤またはアンタゴニストの投与と同時、それと逐次的、またはその前であり得る。VEGF-AおよびVEGF-A受容体アンタゴニストが、本発明において好ましい。
【0043】
なお他の態様では、種々のサイトカイン関連障害は、ヘミチャネル遮断剤単独によるまたはサイトカインアンタゴニストと併せた処置の方法を含む、本発明の組成物および方法によって処置され得る。これらの障害には、本明細書で記載または言及される障害が含まれるがそれらに限定されない。
【0044】
言及されるように、本発明は、患者を処置するための方法であって、小分子またはペプチドもしくはペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤の投与に加えて、治療的処置として、抗VEGF剤および/または抗サイトカイン剤を患者に投与するステップを含む方法も特色とする。一態様では、VEGFアンタゴニストまたは別の抗サイトカイン剤は、患者を処置するのに十分な量で、ヘミチャネル遮断剤の投与と同時に、またはその約1~5、10、30、45、60、75、90もしくは100~180日以内に、患者に投与される。本発明の方法の特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、ヘミチャネル遮断剤と同時に投与される。一部の態様では、例として、VEGFアンタゴニストは、VEGFを阻害および/もしくは遮断する化合物、またはVEGFの上流アゴニストを阻害および/もしくは遮断する化合物であり得る。一部の態様では、VEGFアンタゴニストには、例えば、VEGFに結合しそれを阻害するアンタゴニスト、VEGFの発現を阻害する化合物、および/あるいはVEGF阻害剤を含む、またはVEGFを遮断もしくは阻害するタンパク質もしくはアンチセンスポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターが含まれる。一部の態様では、VEGFおよび/またはVEGFの上流アゴニストを阻害する薬剤は、例として、抗体もしくは抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣物、受容体断片、組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子または単鎖可変断片(scFv)であり得る。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGF-Aアンタゴニストである。別の例示的な実施形態では、VEGFアンタゴニストは、核酸分子、アプタマー、アンチセンスRNA分子、リボザイム、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体、抗体断片の結合性断片、糖、ポリマーまたは小分子である。一実施形態では、本発明のこの方法は、アプタマー、例えば、EYE001アプタマーであるVEGFアンタゴニストの投与を含む。別の実施形態では、本発明のこの方法は、抗体またはその結合性断片、例えば、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)またはLucentis(登録商標)(ラニビズマブ)であるVEGFアンタゴニストの投与を含む。別の実施形態では、本発明のこの方法は、IL-6受容体アンタゴニスト、例えば、Actemra(登録商標)(トシリズマブ)の投与を含む。
【0045】
血管新生性サイトカインVEFGのレベルまたは活性を含む、サイトカインのレベルまたは活性のモジュレーション/低減のためのヘミチャネル遮断剤には、本明細書で記載もしくは言及されるまたは参照により本明細書に組み込まれるヘミチャネル遮断剤化合物が含まれる。
【0046】
一部の好ましいヘミチャネル遮断剤には、小分子ヘミチャネル遮断剤(例えば、Xiflam(トナベルサット))が含まれる。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、Xiflam以外の小分子、例えば、Colin Greenらの名において出願された米国特許出願公開第20160177298号中に式Iまたは式IIで記載されるヘミチャネル遮断剤であり、その開示は、上で言及されるように、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。種々の好ましい実施形態は、本明細書で記載または言及されるものを含む、異常な、上昇した、調節不全のおよび/または他の点で望ましくない、不要なもしくは有害なレベルまたは活性のサイトカインによって少なくとも一部特徴付けられる疾患、障害および状態を処置するための、ヘミチャネル開口を遮断もしくは改善するまたは他の方法でアンタゴナイズもしくは阻害する小分子の使用を含む。種々の実施形態では、ヘミチャネル開口を遮断または改善または阻害する小分子は、Xiflamのプロドラッグまたはそのアナログである。
【0047】
他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤には、ペプチドおよびペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤(例えば、Peptagon、VDCFLSRPTEKT、ペプチド模倣物)、ならびにアミノ酸配列SRPTEKTを含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる他のペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤が含まれる。本発明の態様のいずれかでは、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域およびコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物を含む、コネキシンペプチドまたはペプチド模倣物である。コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、改変されていても未改変でもよい。コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、化学的に、合成により作製されるか、または他の方法で製造される。一部の実施形態では、コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、Cx43ペプチドまたはペプチド模倣物である。一部の態様では、治療的に有効な改変されたまたは未改変のペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシン、例えば、Cx43またはCx45の細胞外または膜貫通ドメインの一部分、例えば、Cx43細胞外ループ2の一部分およびCx45細胞外ループ2の一部分を含む、コネキシン細胞外ループ2の一部分を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載されるまたは言及される1つまたは複数の疾患、障害および状態の処置における使用のための医薬の製造における、ヘミチャネル遮断剤の使用を提供する。医薬は、ヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、医薬は、ペプチドヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、医薬は、ペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、医薬は、小分子ヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、医薬は、米国特許出願公開第20160177298号中の式Iまたは式IIに従う化合物を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、医薬は、Xiflam(トナベルサット)を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。「含む(including)」、「含有する(containing)」または「~によって特徴付けられる」と同義である「含む(comprising)」という用語は、包括的またはオープンエンドであり、医薬から、さらなる列挙されていない要素または成分(または方法の場合にはステップ)を排除しない。語句「~からなる」は、医薬において特定されていない任意の要素、ステップまたは成分(または方法の場合にはステップ)を排除する。語句「~から本質的になる」は、特定された材料、ならびに医薬の基本的および新規の特徴(または方法の場合にはステップ)に実質的に影響を与えない材料を指す。本発明の基本的および新規の特徴は、本明細書全体を通じて記載されており、これには、本発明の医薬および方法の、コネキシンギャップジャンクションヘミチャネルを遮断またはモジュレートする、およびサイトカイン(例えば、VEGFサイトカインを含む)の産生、放出または活性を減弱させる能力が含まれる。本明細書で記載される医薬および方法を含む本発明の基本的および新規の特徴における実質的な変化には、ヘミチャネルモジュレーションおよび/またはサイトカイン減弱の、不要なまたは臨床的に望ましくない、有害な、不利なもしくは有害な減退が含まれる。一実施形態では、医薬は、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤、例えば、ペプチド模倣物または小分子コネキシン43ヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。
【0049】
別の態様では、本発明は、ヘミチャネルのモジュレーションならびに/または本明細書で記載されるもしくは言及される疾患、障害および/もしくは状態のいずれかの処置のための医薬(または使用のための使用説明書ありもしくはなしの、1つもしくは複数の医薬および/もしくはコンテナを含有するパッケージもしくはキット)の製造におけるヘミチャネル遮断剤の使用を提供する。一態様では、例えば、本発明は、ヘミチャネルのモジュレーションが有益なものであり得る障害の処置のための医薬またはパッケージまたはキットの製造における、例えば、Xiflamおよび/もしくはそのアナログまたはPeptagonもしくはそのアナログを含むコネキシンヘミチャネル遮断剤の使用を提供する。一実施形態では、医薬は、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤、例えば、ペプチド模倣物または小分子コネキシン43ヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、本発明において有用なヘミチャネル遮断剤組成物は、薬学的に許容される担体を含み得、例えば、丸剤、溶液剤、ミクロスフェア、ナノ粒子、インプラント、マトリックスもしくはヒドロゲル製剤として製剤化され得、または凍結乾燥形態で提供され得る。
【0050】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、ヘミチャネルおよびサイトカインのモジュレーションが有益なものである障害の処置のための医薬の製造において、サイトカインアンタゴニスト、例えば、VEGFアンタゴニストと一緒に共投与または使用され得る。
【0051】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、本明細書で言及される1つまたは複数の疾患、障害および状態の処置のための別々の医薬または組合せ医薬の製造において、サイトカインアンタゴニスト、例えば、VEGFアンタゴニストと一緒に使用され得る。
【0052】
種々の実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、コネキシン23(Cx23)、コネキシン25(Cx25)、コネキシン26(Cx26)、コネキシン30(Cx30)、コネキシン30.2(Cx30.2)、コネキシン30.3(Cx30.3)、コネキシン31(Cx31)、コネキシン31.1(Cx31.1)、コネキシン31.9(Cx31.9)、コネキシン32(Cx32)、コネキシン36(Cx36)、コネキシン37(Cx37)、コネキシン40(Cx40)、コネキシン40.1(Cx40.1)、コネキシン43(Cs43)、コネキシン45(Cx45)、コネキシン46(Cx46)、コネキシン47(Cx47)、コネキシン50(Cx50)、コネキシン57(Cx57)、コネキシン59(Cx59)およびコネキシン62(Cx62)の1つまたは複数を含む。一実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、Cx26、Cx30、Cx32、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45および/またはCx47タンパク質の1つまたは複数を含む。特定の一実施形態では、ヘミチャネルおよび/またはモジュレートされているヘミチャネルは、Cx37、Cx40およびCx43の1つまたは複数を含む。特定の一実施形態では、ヘミチャネルおよび/またはモジュレートされているヘミチャネルは、Cx30、Cx37、Cx40、Cx43およびCx45の1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、上述のコネキシンのいずれかを含むかまたは排除し得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、Cx37ヘミチャネル、Cx43ヘミチャネル、Cx40ヘミチャネルおよび/またはCx45ヘミチャネルの遮断剤である。ある特定の好ましい実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤である。本明細書で特色とされる使用のいずれかのための本発明の医薬組成物は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50もしくはCx57、または任意の他のコネキシン、またはコネキシンヘミチャネルを阻害または遮断し得るヘミチャネル遮断剤も含み得る。別の実施形態では、本明細書で特色とされる使用およびコネキシンのいずれかのための本発明の方法および製造における使用のための医薬組成物は、一緒にまたは別々に提供される少なくとも1つのサイトカインアンタゴニストも含み得る。一部の実施形態では、遮断剤は、上述のコネキシンのいずれかを含むかまたは排除し得る。一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、血管中のコネキシンヘミチャネルを遮断する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、微小血管中のコネキシンヘミチャネルを遮断する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、毛細血管中のコネキシンヘミチャネルを遮断する。
【0053】
一実施形態では、本発明の投与、共投与、組成物、キットまたは処置の方法のいずれかにおいて使用されるヘミチャネル遮断剤は、Cx43ヘミチャネル遮断剤である。他の実施形態は、Cx45ヘミチャネル遮断剤、ならびにCx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50および/もしくはCx57ヘミチャネル、または上記および本明細書で言及される任意の他のコネキシンを含む、それから本質的になる、もしくはそれからなるヘミチャネルの遮断剤を含む。一部の実施形態では、遮断剤は、上述のコネキシンのいずれか、または本特許で言及される他のコネキシンを含むかまたは排除し得る。一部の実施形態では、遮断されるコネキシンヘミチャネルは、ヘテロマー性ヘミチャネル(即ち、混合された非同一のコネキシンを含有するヘミチャネル)である。
【0054】
本発明のこの態様の別の実施形態は、小分子または他のヘミチャネル遮断剤と一緒にVEGFまたは他のサイトカインアンタゴニストを含む医薬品パックを提供する。この態様の一実施形態では、医薬品パックは、VEGF-AアンタゴニストであるVEGFアンタゴニストを含む。別の実施形態では、医薬品パックのヘミチャネル遮断剤およびVEGFアンタゴニストは、別々に、かつ個々の投薬量で製剤化される。なお別の実施形態では、医薬品パックのヘミチャネル遮断剤およびVEGFアンタゴニストは、一緒に製剤化される。一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、Xiflamである。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、Peptagonである。
【0055】
本発明の別の態様では、対象におけるヘミチャネル遮断剤処置の効果は、サイトカインタンパク質アッセイを使用して評価またはモニタリングされる。サイトカインタンパク質レベルは、本明細書で記載されるものを含む、対象由来の試料中のタンパク質を検出および定量するのを可能にする任意の従来の方法によって定量され得る。
【0056】
本発明は、ヘミチャネル遮断剤で処置された対象の臨床転帰を予測する、ならびにヘミチャネル遮断剤処置を開始する、ヘミチャネル遮断剤処置を中止する、ヘミチャネル遮断剤処置を改変する、またはヘミチャネル遮断剤および/もしくはサイトカインアンタゴニストで前記対象をさらに処置するための、in vitro方法を含む。本発明のこの特色の種々の実施形態が、本明細書で記載される。
【0057】
ヘミチャネル遮断剤の活性は、ある特定の生物学的アッセイを使用して評価され得る。分子運動性に対する公知のまたは候補ヘミチャネル遮断剤の効果は、以下の実施例に記載される方法、またはコネキシンヘミチャネルを介した化合物の通過を決定するための他の当該分野で公知のもしくは等価な方法を使用するために、同定、評価またはスクリーニングされ得る。色素移行実験、例えば、検出可能なマーカーで標識された分子の移行、ならびにヘミチャネルの機能的状態を研究するために広く使用されてきた小さい蛍光透過性トレーサーの膜貫通通過を含む種々の方法が、当該分野で公知である。ヘミチャネルを遮断する化合物の能力を同定または評価する際の使用のための方法であって、(a)試験試料および試験システムを一緒にするステップであり、前記試験試料が、1つまたは複数の試験化合物を含み、前記試験システムが、ヘミチャネル遮断を評価するためのシステムを含み、前記システムが、例えば、前記システムへの低酸素もしくは虚血の導入、炎症のメディエーター、またはヘミチャネル開口を誘導する他の化合物もしくは事象、例えば、細胞外Ca2+における低下に応答した、例えば、色素または標識された代謝物の上昇した移行を示すという点で、特徴付けられる、ステップと;(b)例えば、前記システム中の色素または他の標識された代謝物における上昇の存在または量を決定するステップとを含む、方法を含む、本発明のこの態様の種々の実施形態が、本明細書で記載される。陽性および/または陰性対照も同様に使用され得る。必要に応じて、所定の量のヘミチャネル遮断剤(例えば、PeptagonまたはXiflam)が、試験システムに添加され得る。本明細書で言及されるように、一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、PeptagonおよびXiflamは、例えば、in vitroアッセイにおいて、約1~5nM未満、好ましくは約10nM未満、より好ましくは約50pM未満ほどの活性を示す。in vivoアッセイでは、これらの化合物は、好ましくは、約10~100マイクロモル濃度(μM)未満の濃度で、より好ましくは、約50μM未満の濃度で、ヘミチャネル遮断を示す。他のヘミチャネル遮断剤は、これらの範囲内、および約200pM未満の範囲内でもあり得る。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
対象においてサイトカイン活性をモジュレートするための方法であって、有効量のヘミチャネル遮断剤を前記対象に投与するステップを含む、方法。
(項目2)
前記サイトカインの存在または量が減少される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記サイトカインの存在または量における増加が阻害される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記サイトカインが、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)および可溶性細胞内接着分子-1(sICAM-1)からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記サイトカインが、血管内皮増殖因子である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記血管内皮増殖因子が、血管内皮増殖因子Aである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記ヘミチャネル遮断剤が、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記ヘミチャネル遮断剤が、小分子ヘミチャネル遮断剤である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記小分子ヘミチャネル遮断剤が、N-[(3S,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-3-クロロ-4-フルオロベンズアミド(Xiflam)である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記ヘミチャネル遮断剤が、コネキシンペプチド模倣物である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記ヘミチャネル遮断剤が、VDCFLSRPTEKT(配列番号1)である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ヘミチャネル遮断剤が、SRPTEKT(配列番号2)から本質的になる、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記ヘミチャネル遮断剤が、ADCFLSRPTEKT(配列番号3)、VACFLSRPTEKT(配列番号4)、VDCFLSRPTAKT(配列番号5)、VDCFLSRPTEAT(配列番号6)、CFLSRPTEKT(配列番号7)、およびLSRPTEKT(配列番号8)から本質的になるペプチドからなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目14)
VEGFアンタゴニストまたはVEGF受容体アンタゴニストを投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記VEGFが、VEGF-Aである、項目14に記載の方法。
(項目16)
IL-6アンタゴニストまたはIL-6受容体アンタゴニストを投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
IL-8アンタゴニスト、MCP-1アンタゴニストまたはsICAM-1アンタゴニストの1つまたは複数を投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記ヘミチャネル遮断剤が、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤である、項目15に記載の方法。
(項目19)
血管新生が、低減または減弱される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ヘミチャネル遮断剤が、注射によって投与される、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記ヘミチャネル遮断剤が、経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記ヘミチャネル遮断剤が、PRNでもしくは所定のスケジュールで、またはその両方で投与される、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記対象が、ヒトである、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記ヘミチャネル遮断剤が、改変されたペプチド模倣物である、項目10に記載の方法。
(項目25)
前記改変が、C12-C12-VDCFLSRPTEKT(配列番号171)を含む、項目25に記載の方法。
(項目26)
前記対象が、病理学的な、異常な、不要な、または望ましくない量のサイトカイン活性を有する、項目1に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、基底条件下での、ならびに高グルコース(HG)条件に応答する、サイトカイン、およびHGとサイトカインの同時適用に応答する、IL-6、sICAM-1、MCP-1、およびIL-8の分泌を示す。HG単独ではなく、サイトカイン単独の投与は、IL-6放出を誘導した。サイトカイン単独でも、HG単独でも、sICAM-1の分泌を誘導しなかった。しかしながら、HGとサイトカインの同時適用は、基底レベルと比較して、高いIL-6およびsICAM-1放出をもたらした。サイトカインは、MCP-1およびIL-8放出を誘導した。HGとの共投与は、より高レベルのMCP-1およびIL-8をもたらした。結果は平均±SDとして表される;統計分析を、Tukeyの多重比較検定と共に一元配置分散分析を使用して実行した;N=3;t=24h;ns=有意でない;***p≦0.001;****p≦0.0001。
【0059】
図2図2は、基底条件下での、ヘミチャネル遮断剤(Peptagon)およびATP添加による処置後の、HG、サイトカイン、およびHGとサイトカインの同時適用に応答する、VEGF分泌を示す。HGとサイトカインの共投与は、VEGF放出を誘導したが(p≦0.0001)、Peptagon処置は、VEGF分泌を基底レベルまで回復させた。外因性ATPの添加は、VEGF放出に対するヘミチャネル遮断剤媒介性保護を無効化した。結果は平均±SDとして表される;統計分析を、Tukeyの多重比較検定と共に一元配置分散分析を使用して実行した;N=3;t=24h;n.s.=有意でない;**p≦0.01;****p≦0.0001。
【0060】
図3図3は、HGとサイトカインの同時適用後の、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1の発現のPeptagon媒介性減少を示す。HGとサイトカインの同時適用は、ARPE-19細胞によるIL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1放出を誘導し、5μM、10μM、25μMおよび50μMのヘミチャネル遮断剤(Peptagon)による処置は、濃度依存的様式でIL-6、IL-8、およびMCP-1のレベルを低下させた。結果は平均±SDとして表される;統計分析を、Dunnettの多重比較検定と共に一元配置分散分析を使用して実行した。全ての処置は、高グルコースとサイトカインの同時適用と有意に異なっていた(全事例においてp<0.0001)。N=3;t=24h。
【0061】
図4図4は、HGとサイトカインによって誘導されるATP放出に対して保護するヘミチャネル遮断剤(Peptagon)の効果を示す。HGとサイトカインの同時適用は、基底条件と比較してATP放出の増加をもたらす。ペプチド5は、HG+サイトカインによって媒介されるATP放出を防止した。重要なことに、Peptagon処置群と基底条件との間で統計的有意差はなかった。統計分析を、Tukeyの多重比較検定と共に一元配置分散分析を使用して実行した。N=3;t=24h;n.s.=有意でない;p≦0.05;***p≦0.001。
【0062】
図5図5は、ATPが、sICAM-1ではなく、IL-6、MCP-1およびIL-8の発現において、Peptagonを用いたヘミチャネル遮断剤媒介性減少を逆転させたことを示す。HGとサイトカインの同時適用は、ARPE-19細胞によるIL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1放出を誘導したが、25μMのコネキシンペプチド模倣物(Peptagon)によるヘミチャネル遮断剤処置はサイトカインの分泌を低下させた。細胞外ATP(10nM)は、sICAM-1ではなく、IL-6、MCP-1、およびIL-8放出に対するPeptagon媒介性保護を逆転させた。結果は平均±SDとして表される;統計分析を、Tukeyの多重比較検定と共に一元配置分散分析を使用して実行した。N=3;t=24h;ns=有意でない;p≦0.05;**p≦0.01;***p≦0.001;****p<0.0001。
【0063】
図6図6は、NLRP3複合体の免疫組織化学的標識化を示す。不活性NLRP3は、通常、細胞質内に分散するが、高グルコースおよび炎症性サイトカインによるインフラマソーム活性化の際に、オリゴマー化はインフラマソーム複合体内に複数のNLRP3コピーを濃縮し、それらを小さいスポット(矢印、A)として可視化させた。コネキシンペプチド模倣物ヘミチャネル遮断剤(Peptagon)の添加は、インフラマソーム集合を遮断し、わずか数個の複合体スポットが見られた(B)。この抗体を用いた高核バックグラウンド標識が、全ての条件下で存在していた。外因性10nM ATPの添加は、ヘミチャネル遮断剤処置を覆し、インフラマソーム複合体が細胞質内で再び形成された(C)。結果は平均±SDとして表される;N=3;t=24h;スケールバー=50μm。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
定義
「小分子」は、約600~900ダルトン未満の分子量を有すると本明細書で定義され、一般に、有機化合物である。小分子は、ヘミチャネル遮断剤プロドラッグの活性薬剤であり得る。一実施形態では、小分子は、600ダルトン未満である。別の実施形態では、小分子は、900ダルトン未満である。
【0065】
本明細書で使用される場合、「処置」(およびその文法的変形形態、例えば、「処置する」または「処置すること」)は、処置されている個体、組織または細胞の自然経過を変更させる臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理の間のいずれかに実施され得る。処置の望ましい効果には、疾患、障害または状態の発生または再発を予防すること、徴候または症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的帰結の低下、疾患進行の速度を減少させること、疾患状態の寛解または緩和、および軽快または改善された予後が含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、本発明の化合物、方法および組成物は、疾患、障害もしくは状態の発達を遅延させるため、または疾患、障害もしくは状態の進行を緩徐化するために使用され得る。用語は、対象が完全回復まで処置されることを必ずしも含意しない。従って、「処置」は、特定の疾患、障害もしくは状態の症状もしくは重症度を低減、軽減もしくは寛解させること、または特定の疾患、障害もしくは状態を発達させるリスクを予防もしくは他の方法で低減させることを含む。処置は、状態の完全または部分的な軽快の状態を維持または促進することも含み得る。「処置」は、本明細書で使用される場合、ヘミチャネル遮断剤の投与後に、対象におけるサイトカインレベルまたは活性、例えば、IL-6、IL-8、MCP-1およびsICAM-1のレベルおよび/または活性を低減、軽減または寛解させること、ならびに血管新生性サイトカインVEGFの存在または量における低減も含む。
【0066】
疾患および状態を含む「サイトカイン障害を処置する」などの用語は、障害、疾患もしくは状態、ならびに/または例えば、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1ならびに/もしくはVEGFを含むサイトカインのレベルもしくは活性を、予防、緩徐化、低減、減少、停止および/もしくは逆転させることを指し得る。
【0067】
「予防する」という用語は、全体的もしくは部分的に予防すること、または寛解もしくは制御することを意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、所望の治療または予防結果を達成するために必要な投薬量および期間での、有効な量を指す。例えば、限定ではなく、「有効量」は、サイトカインが関与する疾患、障害もしくは状態の徴候および/もしくは症状を処置することができる本明細書で開示される化合物もしくは組成物の量、または例えば、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1ならびに/もしくはVEGFを含むサイトカインの産生、分泌および/もしくは放出を有利にモジュレートすることができるヘミチャネル化合物もしくは組成物の量を指し得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、本発明の物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストが、個体において所望の応答を惹起する能力などの因子に従って変動し得る。治療有効量は、好ましくは、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの任意の毒性または有害な効果を、治療的に有益な効果が上回り得る量でもある。治療有効量のヘミチャネル遮断剤は、対象においてサイトカインレベルまたは活性の増加を減少または阻害する。治療有効量のヘミチャネル遮断剤は、対象においてサイトカインレベルまたは活性をモジュレートする。
【0070】
本明細書で使用される場合、「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要な投薬量および期間での、有効な量を指す。典型的には、必ずではないが、予防用量は、疾患、障害もしくは状態の前に、またはその初期段階において対象において使用されるので、予防有効量は、治療有効量未満である。
【0071】
「医薬製剤」という用語は、その中に含有される活性成分、例えば、ヘミチャネル遮断剤の生物活性を有効にさせるような形態にあり、製剤が投与される対象にとって許容できないほどに毒性であるさらなる構成成分を含有しない、調製物を指す。
【0072】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書で使用される場合、対象に安全に投与することができる、医薬製剤中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤および防腐剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「個体」および「患者」を含む「対象」などの用語は、全て本明細書で相互交換可能に使用され得、ヒト、飼育動物および家畜、ならびに動物園、野生動物公園、スポーツまたはペット動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシなどを含む任意の哺乳動物を指す。好ましい哺乳動物は、成人、小児および高齢者を含むヒトである。好ましいスポーツ動物は、ウマおよびイヌである。好ましいペット動物は、イヌおよびネコである。対象は、例えば、水族館動物、例えば、イルカ、クジラ、アシカまたはセイウチであり得る。ある特定の実施形態では、対象、個体または患者は、ヒトである。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ヘミチャネル」という用語は、ギャップジャンクションの一部であり(2つのヘミチャネルまたはコネクソンが、隣接する細胞間の細胞間空間を横断して接続して、ギャップジャンクションを形成する)、2つの隣接する細胞の細胞質間にギャップジャンクションのための孔を形成する、いくつかのコネキシンタンパク質、典型的には、同種または異種の、即ち、ホモマー性もしくはヘテロマー性の、コネキシンタンパク質のヘキサマーから構成される。ヘミチャネルは、1つの細胞によってジャンクションの一方の側に供給され、通常は、対向する細胞由来の2つのヘミチャネルが一緒になって、完全な細胞間ヘミチャネルを形成する。しかし、一部の細胞では、およびある種の状況下にある細胞では、ヘミチャネル自体が、細胞質と細胞外空間との間の導管として活性であり、イオンおよび小分子の移行を可能にする。
【0075】
式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび/または上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグは、ヘミチャネル、好ましくは、任意の型のコネキシンタンパク質を含むヘミチャネルの、機能および/または活性をモジュレートできる。従って、「ヘミチャネル」に対する言及は、文脈が他を要求しない限り、いくつかの異なるコネキシンタンパク質の任意の1つまたは複数を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるヘミチャネルを広く含むと解釈すべきである。しかし、例として、ヘミチャネルは、コネキシン23、25、26、30、30.2、30.3、31、31.1、31.9、32、36、37、40、40.1、43、45、46、47、50、59および62タンパク質の1つまたは複数を含み得る。一実施形態では、ヘミチャネルは、上述のコネキシンの1つからなる。一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン26、30、32、36、37、40、45および47の1つまたは複数を含む。一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン26、30、32、36、37、40、45または47の1つからなる。一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン37、40または43の1つからなる。一実施形態では、ヘミチャネルは、血管ヘミチャネルである。一実施形態では、ヘミチャネルは、血管内皮細胞中に見出されるコネキシンヘミチャネルである。一実施形態では、ヘミチャネルは、血管平滑筋細胞中に見出されるコネキシンヘミチャネルである。特定の一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン30、37およびコネキシン43の1つまたは複数を含む。特定の一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン30からなる。特定の一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン37からなる。特定の一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン43からなる。特定の一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン45またはコネキシン46またはコネキシン50の1つからなる。一実施形態では、ヘミチャネルは、コネキシン26を除く1つまたは複数のコネキシンを含む。一実施形態では、組成物は、上述のものを含む任意のコネキシンのヘミチャネル遮断剤を含むかまたは排除し得る。
【0076】
ヘミチャネルおよびヘミチャネルは、任意の型の細胞中に存在し得る。従って、「ヘミチャネル」に対する言及または「ヘミチャネル」は、文脈が他を要求しない限り、任意の細胞型中に存在するヘミチャネルに対する言及またはヘミチャネルを含むと解釈すべきである。本発明の一実施形態では、ヘミチャネルまたはヘミチャネルは、臓器中の、またはがんもしくは腫瘍中の細胞中に存在する。一実施形態では、ヘミチャネルは、血管ヘミチャネルである。一実施形態では、ヘミチャネルは、血管内皮細胞および/または血管平滑筋細胞中に見出されるコネキシンヘミチャネルである。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ヘミチャネルのモジュレーション」は、ヘミチャネルの1つまたは複数の機能および/または活性、典型的には、ヘミチャネルを介した細胞間の分子の流れのモジュレーションである。そのような機能および活性には、例えば、ヘミチャネルを介した細胞外空間もしくは環境から細胞中への分子の流れ、および/またはヘミチャネルを介した細胞の細胞内空間もしくは環境から細胞外空間もしくは環境中への分子の流れが含まれる。ヘミチャネルのモジュレーションに有用な化合物は、「ヘミチャネルモジュレーター」と呼ばれ得る。
【0078】
ヘミチャネルの機能のモジュレーションは、任意の手段によって行われ得る。しかし、例のみとして、モジュレーションは、ヘミチャネルの閉口を誘導または促進すること;ヘミチャネル開口を予防、遮断、阻害または減少させること;ヘミチャネルおよび/またはギャップジャンクションの細胞内在化を誘発、誘導または促進することの1つまたは複数によって行われ得る。例えば、「遮断する」、「阻害する」、「予防する」、「減少させる」および「アンタゴナイズする」などの単語の使用は、完全な遮断、阻害、予防またはアンタゴニズムを含意すると解釈されることが好ましい場合があるが、そうでなくてもよく、ヘミチャネルの機能もしくは活性および/またはヘミチャネルを少なくとも低減させる、部分的な遮断、阻害、予防またはアンタゴニズムを含むと解釈すべきである。同様に、「誘導する」または「促進する」は、ヘミチャネル(またはヘミチャネルの群)の完全な内在化を含意すると解釈すべきではなく、ヘミチャネルの機能または活性を少なくとも低減させる、部分的な内在化を含むと解釈すべきである。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ヘミチャネル遮断剤」という用語は、コネキシンヘミチャネルを介した分子の通過を妨害する化合物である。ヘミチャネル遮断剤は、ヘミチャネル開口を遮断もしくは減少させ、ヘミチャネルを介した細胞外空間への分子の放出を遮断もしくは低減させ、および/またはヘミチャネルを介した細胞内空間中への分子の進入を遮断もしくは低減させ得る。ヘミチャネル遮断剤には、ヘミチャネル漏出、または細胞外空間へのもしくは細胞外空間からの分子の通過を、完全にまたは部分的に遮断する化合物が含まれる。ヘミチャネル遮断剤には、ヘミチャネルの開口確率を減少させる化合物も含まれる。開口確率は、閉口している状態と対比した、チャネルが開口したままである時間のパーセンテージの尺度である(Goldberg GS, et al., Selective permeability of gap junction channels Biochimica et Biophysica Acta 1662 (2004) 96-101において概説される)。ヘミチャネル遮断剤の例には、ペプチド、小分子、抗体および抗体断片が含まれる。ヘミチャネル遮断剤には、ヘミチャネルモジュレーターが含まれる。ヘミチャネル遮断剤は、コネキシンヘミチャネルを介した分子の通過を、直接的または直接的に妨害し得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「サイトカインのモジュレーション」および「サイトカイン活性をモジュレートする」という用語は、血管新生性サイトカインVEGFを含むサイトカインの産生、分泌および/または放出の低減、減少、平準化または平滑化を指す。本明細書で使用される場合、「サイトカインのモジュレーション」および「サイトカイン活性をモジュレートする」は、血管新生性サイトカインVEGFの活性を含むサイトカイン活性の低減、減少、平準化または平滑化を含む。サイトカインモジュレーションは、ヘミチャネル遮断剤を用いて達成され、血管新生および/または血管漏出によって全体的にまたは部分的に特徴付けられる疾患、障害または状態におけるものを含む、病理学的な、異常なまたは他の点で不要なもしくは望ましくないサイトカイン活性によって全体的にまたは部分的に特徴付けられる疾患、障害および状態の処置において有用である。サイトカインのモジュレーションのために有用な化合物は、「サイトカインモジュレーター」と呼ばれ得る。本発明の化合物は、病理学的な、異常なまたは他の点で不要なもしくは望ましくないサイトカイン活性によって全体的にまたは部分的に特徴付けられる疾患、障害または状態の処置の方法においてを含む、サイトカイン活性をモジュレートするための処置の方法において使用され得、ここで、サイトカイン活性はモジュレートされ、例えば、このとき、サイトカイン活性は、低減、減少、平準化および/または平滑化される。サイトカイン活性の平準化または平滑化は、サイトカインの存在もしくは量またはサイトカイン活性における実質的な増加を平らにするおよび/または阻害することを含む。
【0081】
インフラマソームは、カスパーゼ1、PYCARD、NALPおよび必要に応じてカスパーゼ5(カスパーゼ11またはICH-3としても公知)を含むマルチタンパク質複合体である。インフラマソームの正確な組成は、インフラマソームアセンブリを開始させる活性化因子に依存する。インフラマソームは、炎症性サイトカインインターロイキン1β(IL-1β)およびインターロイキン18(IL-18)の成熟化を促進する。本発明に従うヘミチャネル遮断剤は、インフラマソーム活性およびインフラマソーム経路の活性化をモジュレートまたは調節し得る。ヘミチャネル遮断剤についての標的インフラマソームには、NLRP3インフラマソームが含まれる。
【0082】
「ペプチド」、「ペプチド模倣物」および「模倣物」という用語は、それらが模倣するタンパク質領域の実質的に同じ構造的および機能的特徴を有し得る、合成のまたは遺伝子操作された化学化合物を含む。コネキシンヘミチャネルの場合、これらは、例えば、ヘミチャネルコネキシンの細胞外ループを模倣し得る。
【0083】
本明細書で使用される場合、「ペプチドアナログ」という用語は、鋳型ペプチドの特性と類似した特性を有する化合物を指し、非ペプチド薬物であり得る。ペプチドおよびペプチドベースの化合物が含まれる「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」(ペプチド模倣物(peptide mimetics)としても公知)は、そのような非ペプチドベースの化合物、例えば、ペプチドアナログも含む。治療的に有用なペプチドと構造的に類似のペプチド模倣物は、等価なまたは増強された治療または予防効果を生じさせるために使用され得る。ペプチドおよびペプチド模倣物は、一部の態様では、改変されていても未改変でもよい。一般に、ペプチド模倣物は、規範ポリペプチド(即ち、生物学的または薬理学的な機能または活性を有するポリペプチド)に対する構造的または機能的模倣物(例えば、それと同一または類似)であるが、例えば、-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-COCH-、-CH(OH)CH-および-CHSO-からなる群から選択される連結によって必要に応じて置き換えられる1つまたは複数のペプチド連結も有し得る。模倣物は、天然のアミノ酸、合成化学化合物、アミノ酸の非天然のアナログのいずれかから全体的に構成され得、または部分的に天然のペプチドアミノ酸とアミノ酸の部分的に非天然のアナログとのキメラ分子である。模倣物は、そのような置換が模倣物活性も実質的に変更しない限り、任意の量の天然のアミノ酸の保存的置換も含み得る。コネキシンヘミチャネルの場合、これらは、例えば、コネクソン-コネクソンドッキングおよび細胞-細胞チャネル形成に関与するヘミチャネル細胞外ループを模倣できる。ペプチド模倣物は、本明細書で記載されるもの、ならびに現在公知であれ後に開発されるものであれ、当該分野で公知であり得るものを包含する。ペプチドおよびペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤は、安定性を増加させる、バイオアベイラビリティを改善するため、および/または細胞膜透過性を増加させるためにも、改変され得る。
【0084】
本特許は、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1ならびに血管新生性サイトカインVEGFを含むサイトカインをモジュレートするための新たな方法を記載している。これらのサイトカインの1つまたは複数の存在または量は、いくつかの疾患、障害または状態において、上昇され、異常であり、調節不全であり、障害され、または他の点で不要なもしくは望ましくない、それらの一部は、不要なまたは病的な血管新生によって特徴付けられる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「アンタゴニスト」という用語は、その存在が、タンパク質の生物活性の大きさにおける減少を生じる、化合物を指す。ある特定の実施形態では、アンタゴニストの存在は、タンパク質の生物活性を遮断するまたは弱める、即ち、その完全なまたは部分的な阻害を生じる。ある特定の記述では、アンタゴニストは、阻害剤またはモジュレーターと呼ばれ得る。従って、サイトカイン「アンタゴニスト」は、サイトカインの活性または機能、例えば、VEGFの活性または機能、好ましくは血管新生活性を、全体的にまたは部分的に阻害する化合物(単数または複数)を指す。サイトカイン「受容体アンタゴニスト」は、サイトカイン受容体、例えばVEGF受容体の活性化または機能を全体的にまたは部分的に阻害する化合物(単数または複数)を意味する。
【0086】
ヘミチャネル遮断剤を含む、ヘミチャネル開口の遮断剤には、小さいペプチドおよび小分子遮断剤が含まれる。遮断剤は、血管新生および/または慢性炎症によって特徴付けられる疾患、障害または状態を含む、本明細書で記載される疾患、障害または状態を処置するために、単独で、または互いとおよび/もしくは他の治療剤と組み合わせて、使用され得る。
【0087】
本明細書で記載される場合、ヘミチャネル遮断剤の使用を、炎症の種々のメディエーター、炎症促進性サイトカインIL-1βおよびTNF-α、ならびにIL-1βおよびTNF-αと、炎症性サイトカイン放出を相乗的に増加させる高グルコースとの組合せに曝露させた細胞系において評価した。種々のサイトカインの放出を測定するために使用される分析は、VEGFならびにIL-6、IL-8、MCP-1、sICAM-1の増加した分泌を示した。図1は、それを増加させる添加されたグルコースを含む組合せと併せた、炎症(IL-1βおよびTNF-α)のみの存在下でのサイトカイン放出を示す。ヘミチャネル遮断剤の適用は、サイトカイン放出を減少させ、正常なギャップジャンクションパターン形成を回復した。外因性ATPは、ヘミチャネル遮断剤保護を逆転させ、サイトカインの効果がコネキシンヘミチャネル媒介性であることが確認された。
【0088】
本発明は、VEGFレベルまたは活性のモジュレーションを含む、サイトカイン産生、分泌および/または放出のモジュレーションに関する。言及されるように、ヘミチャネル遮断剤には、例えば、小さいペプチド模倣物および小分子遮断剤が含まれる。ヘミチャネル遮断剤は、急性および慢性の炎症性疾患を含む、本明細書で記載される疾患、障害または状態を処置するために、単独で、または他の薬剤、例えばサイトカインアンタゴニストと組み合わせて使用され得る。
【0089】
本発明は、VEGF、IL-6、IL-8、MCP-1、sICAM-1を含むサイトカインの上昇したもしくは望ましくないレベルおよび/または活性によって少なくとも一部特徴付けられる疾患および状態を含むサイトカイン障害を処置するための、ならびにVEGFおよびIL-6、IL-8、MCP-1、sICAM-1を含むサイトカインの産生、分泌および/または放出を予防、緩徐化、低減、減少、停止および/または逆転させるための方法を提供する。サイトカイン障害を有する対象は、治療有効量のヘミチャネル遮断剤で処置される。
【0090】
本発明は、とりわけ、サイトカイン産生、分泌および/または放出を低下させるためのモジュレーションが有益なものであり得る疾患、障害または状態の処置のための、ヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagonおよび/またはそのアナログ、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび/または上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグの投与による、サイトカイン産生、分泌および/または放出のモジュレーションのための方法を提供する。
【0091】
ある特定の実施形態では、本発明者らは、本明細書で記載もしくは言及される、またはサイトカイン産生、分泌および/もしくは放出を減弱させることが有益であり得る疾患、障害または状態の処置における使用のための本発明の方法を企図する。疾患、障害または状態には、例えば、ウェゲナー肉芽腫症;キャッスルマン病;腎不全;不安定狭心症を含む狭心症;多発性硬化症;筋ジストロフィー;二次性多発性硬化症;ループス腎炎;腫瘍新生血管;COPD;PAOD;2型(非インスリン依存性)真性糖尿病を含む糖尿病;インスリン抵抗性;糖尿病性腎症;心不全;固形腫瘍;脳腫瘍;乳がん、非小細胞肺がん、血液悪性腫瘍を含むがん;肝細胞癌、軟部組織肉腫、早期乳がんおよび転移性乳がんが含まれる。
【0092】
一部の実施形態では、本発明は、Cx43ヘミチャネルを直接的かつ即時に遮断するため、ならびにサイトカイン産生、分泌および/または放出における濃度および時間依存的低減を引き起こすための、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび/または上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグの使用を特色とする。
コネキシン
【0093】
種々の実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、コネキシン23(Cx23)ヘミチャネル、コネキシン25(Cx25)ヘミチャネル、コネキシン26(Cx26)ヘミチャネル、コネキシン30(Cx30)ヘミチャネル、コネキシン30.2(Cx30.2)ヘミチャネル、コネキシン30.3(Cx30.3)ヘミチャネル、コネキシン31(Cx31)ヘミチャネル、コネキシン31.1(Cx31.1)ヘミチャネル、コネキシン31.9(Cx31.9)ヘミチャネル、コネキシン32(Cx32)ヘミチャネル、コネキシン36(Cx36)ヘミチャネル、コネキシン37(Cx37)ヘミチャネル、コネキシン40(Cx40)ヘミチャネル、コネキシン40.1(Cx40.1)ヘミチャネル、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネル、コネキシン45(Cx45)ヘミチャネル、コネキシン46(Cx46)ヘミチャネル、コネキシン47(Cx47)ヘミチャネル、コネキシン50(Cx50)ヘミチャネル、コネキシン57(Cx57)ヘミチャネル、コネキシン59(Cx59)ヘミチャネルおよびコネキシン62(Cx62)ヘミチャネルである。一実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、Cx26、Cx30、Cx32、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx45および/またはCx47タンパク質の1つまたは複数を含む。特定の一実施形態では、ヘミチャネルおよび/またはモジュレートされているヘミチャネルは、Cx37および/またはCx40および/またはCx43ヘミチャネルである。特定の一実施形態では、ヘミチャネルおよび/またはモジュレートされているヘミチャネルは、Cx30および/またはCx43および/またはCx45ヘミチャネルである。一部の実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、上述のコネキシンタンパク質のいずれかを含むかまたは排除し得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、Cx43ヘミチャネル、Cx40ヘミチャネルおよび/またはCx45ヘミチャネルの遮断剤である。ある特定の好ましい実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43遮断剤である。本明細書で特色とされる使用のいずれかのための本発明の医薬組成物は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50もしくはCx57ヘミチャネル、または任意の他のコネキシンヘミチャネル(同種および異種のヘミチャネルを含む)を阻害または遮断し得るヘミチャネル遮断剤も含み得る。別の実施形態では、本明細書で特色とされる使用およびコネキシンのいずれかのための本発明の方法および製造における使用のための医薬組成物は、一緒にまたは別々に提供される少なくとも1つのサイトカインアンタゴニストも含み得る。一部の実施形態では、モジュレートされているヘミチャネルは、上述のコネキシンヘミチャネルのいずれかを含むもしくは排除し得、またはヘテロマー性ヘミチャネルであり得る。
【0094】
本発明の投与、共投与、組成物、キットまたは処置の方法のいずれかにおいて使用されるヘミチャネル遮断剤は、一実施形態では、Cx43ヘミチャネル遮断剤である。他の実施形態は、Cx45ヘミチャネル遮断剤、Cx30ヘミチャネル遮断剤、Cx37ヘミチャネル遮断剤、Cx40ヘミチャネル遮断剤、ならびにCx26、Cx31.1、Cx36、Cx50および/もしくはCx57ヘミチャネル、または上もしくは本明細書で言及される任意の他のコネキシンを含む、それから本質的になる、もしくはそれからなるヘミチャネルの遮断剤を含む。一部の実施形態は、上述のコネキシンもしくはヘミチャネル、または本特許で言及される他のもののいずれかを含むかまたは排除し得る。
ヘミチャネル遮断剤
【0095】
ヘミチャネル遮断剤は、例えば、VEGFならびにIL-6、IL-8、MCP-1、sICAM-1を含むサイトカインをモジュレートするために、本発明の方法において使用される。
小分子ヘミチャネル遮断剤
【0096】
ヘミチャネル遮断剤の例には、小分子ヘミチャネル遮断剤(例えば、Xiflam(トナベルサット))が含まれる。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、Xiflam以外の小分子、例えば、Colin Greenらの名において出願された米国特許出願公開第20160177298号中に式Iで記載されるヘミチャネル遮断剤であり、その開示は、上で言及されるように、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。種々の好ましい実施形態は、本明細書で記載または言及される疾患、障害および状態を処置するために、ヘミチャネル開口を遮断もしくは改善するまたは他の方法でアンタゴナイズもしくは阻害する小分子の使用を含む。種々の実施形態では、ヘミチャネル開口を遮断または改善または阻害する小分子は、Xiflamのプロドラッグまたはそのアナログである。
【0097】
一部の実施形態では、本発明は、例えば、Cx43ヘミチャネルを遮断するため、ならびにサイトカイン産生、分泌および/または放出における濃度および時間依存的低減を引き起こすための、例えば、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび/または上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグを含む小分子ヘミチャネル遮断剤の使用を特色とする。
【0098】
例として、ヘミチャネル遮断剤Xiflamは、IUPAC名N-[(3S,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドまたは(3S-シス)-N-(6-アセチル-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-2,2-(ジメチル-d6)-2H-1-ベンゾピラン-4-イル)-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドによって公知であり得る。
【0099】
一実施形態では、Xiflamおよび/またはそのアナログもしくはプロドラッグは、式I:
【化1】

[式中、
Yは、C-Rであり;
は、アセチルであり;
は、水素、C3~8シクロアルキル、必要に応じて酸素によって割り込まれたもしくはヒドロキシによって置換されているC1~6アルキル、C1~6アルコキシもしくは置換されているアミノカルボニル、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルコキシカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチルまたはCFS;あるいは基CF-A-(式中、Aは、-CF-、-CO-、-CH-、CH(OH)、SO、SO、CH-O-またはCONHである);あるいは基CFH-A’-(式中、A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1~6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2~6アルキルスルホニル、C1~6アルキルスルホニル、C1~6アルコキシスルフィニル、C1~6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニルもしくはヘテロアリールスルホニル(ここで、任意の芳香族部分は、必要に応じて置換されている)、C1~6アルキルカルボニルアミノ、C1~6アルコキシカルボニルアミノ、C1~6アルキル-チオカルボニル、C1~6アルコキシ-チオカルボニル、C1~6アルキル-チオカルボニルオキシ、1-メルカプトC2~7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルもしくはアミノカルボニル(ここで、任意のアミノ部分は、1つまたは2つのC1~6アルキル基によって必要に応じて置換されている)、またはC1~6アルキルスルフィニルアミノ、C1~6アルキルスルホニルアミノ、C1~6アルコキシスルフィニルアミノもしくはC1~6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1~6アルキルカルボニル、ニトロもしくはシアノによって末端置換されているエチレニル、または-C(C1~6アルキル)NOHもしくは-C(C1~6アルキル)NNH;あるいは1つもしくは2つのC1~6アルキルによってまたはC2~7アルカノイルによって必要に応じて置換されているアミノであり;RおよびRの一方は、水素またはC1~4アルキルであり、他方は、C1~4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1~4アルコキシ、ヒドロキシ、C1~4アルキルカルボニルオキシ、-S-C1~4アルキル、ニトロ、1つもしくは2つのC1~4アルキル基によって必要に応じて置換されているアミノ、シアノまたはC1~4アルコキシカルボニルであるか;あるいはRおよびRは一緒になって、C1~4アルキルによって必要に応じて置換されているC2~5ポリメチレンであり;
は、C1~6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシもしくはC1~6アルコキシであり、RおよびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素もしくはC1~2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、これらは共に、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1~4アルキルによって1度もしくは2度必要に応じて置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1~4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子によって、1回または複数回が独立して必要に応じて置換されており;
は、水素、C1~6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、式中、R11は、水素、C1~6アルキル、ホルミル、C1~6アルカノイル、アロイルまたはアリール-C1~6アルキルであり、R10は、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、モノもしくはジC1~6アルキルアミノ、アミノ、アミノ-C1~6アルキル、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル、C1~6アシルオキシ-C1~6アルキル、C1~6アルコキシカルボニル-C1~6-アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R-N-CO-R基は、R基に対してシスであり;Xは、酸素またはNR12であり、式中、R12は、水素またはC1~6アルキルである]
を有する化合物の群から選択される。
【0100】
上に示されるマーカッシュ群のいずれかについて、その群は、その群について列挙された種のいずれかを含むかまたは排除し得る。本発明の方法における使用のためのヘミチャネル遮断剤は、これらの化合物のいずれかを含むかまたは排除し得る。
【0101】
別の実施形態では、式Iのアナログは、化合物カラベルサット(carabersat)(N-[(3R,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-4-フルオロベンズアミド)またはトランス-(+)-6-アセチル-4-(S)-(4-フルオロベンゾイルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,2-ジメチル-2H-1-ベンゾ[b]ピラン-3R-オール半水和物である。
【0102】
ある特定の実施形態では、Xiflamおよび/またはそのアナログは、遊離塩基または薬学的に許容される塩の形態である。他の実施形態では、Xiflamおよび/またはそのアナログの1つもしくは複数の多形、1つもしくは複数の異性体および/または1つもしくは複数の溶媒和物が使用され得る。
【0103】
他の種々の小分子は、ヘミチャネル活性を阻害する際に有用であると報告されている。Greenら、米国特許出願公開第20160177298号、式II;Savoryら、米国特許出願公開第20160318891号;およびSavoryら、米国特許出願公開第20160318892号を参照のこと。これらは全て、上で言及したように、それらの全体が参照により組み込まれる。本発明の方法における使用のためのヘミチャネル遮断剤は、これらの化合物のいずれかを含むかまたは排除し得る。
ペプチドおよびペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤
【0104】
他の実施形態では、本発明は、コネキシンヘミチャネルを遮断するため、ならびにサイトカイン産生、分泌および/または放出における濃度および時間依存的低減を引き起こすための、ペプチドヘミチャネル遮断剤、例えばペプチド模倣性化合物、例えばPeptagonの使用を特色とする。ヘミチャネル遮断剤は、E1の保存されたQPGおよびSHVRモチーフ(Gap26ペプチド)およびE2中のSRPTEKモチーフ(Gap27ペプチド)を含む細胞外ループE1およびE2ならびに細胞質ループ(Gap19ペプチド)内の特定の配列に対応するペプチドを含み得る。本発明の方法における使用のためのヘミチャネル遮断剤は、「Gap」化合物のいずれかを含むかまたは排除し得る。最も強力なペプチド模倣物は、Peptagon(VDCFLSRPTEKT)(配列番号1)である。好ましいペプチド模倣性化合物は、7マーのモチーフであるSRPTEKTを含む。
【0105】
一部の実施形態では、ペプチドおよび/またはペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤(例えば、Peptagon)は、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域およびコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む。コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、改変されていても未改変でもよい。コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、化学的に、合成により作製されるか、または他の方法で製造される。一部の実施形態では、コネキシンヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物は、Cx43ペプチドまたはペプチド模倣物である。一部の態様では、治療的に有効な改変されたまたは未改変のペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシン、例えば、Cx43またはCx45の細胞外または膜貫通ドメインの一部分、例えば、Cx43細胞外ループ2の一部分およびCx45細胞外ループ2の一部分を含む、コネキシン細胞外ループ2の一部分を含む。一部の態様では、ペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシンCx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または本明細書で言及される別のコネキシンの細胞外または膜貫通ドメインの一部分を含む。Cx43細胞外ループ2の一部分に対応するペプチド模倣物が、本発明において好ましい。
【0106】
Peptagonは、用量依存的様式で動作し得るヘミチャネル遮断剤であり、より低い用量は、ギャップジャンクションヘミチャネル開口を遮断し、より高い用量は、細胞間のギャップジャンクションを脱共役させる。例えば、O'Carroll et al., 2008を参照のこと。持続性の低用量適用を用いると、ヘミチャネルドッキングのペプチド妨害とみなされる、ギャップジャンクション共役の漸進的喪失も存在する(正常な代謝回転の間の既存のギャップジャンクションの漸進的除去と並行する)。Peptagonは、いくつかのin vitro、ex vivoおよびin vivo(動物)研究において有効であることが証明されている(例えば、Davidson et al, 2012;Danesh-Meyer et al, 2012;O'Carroll et al, 2013を参照のこと)。
【0107】
一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、Cx43ヘミチャネル遮断剤は、ペプチドを含み得る。ヘミチャネル遮断剤ペプチド配列は、例えば、以下の配列の1つまたは複数を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得る:SRPTEKT「Mod3」(配列番号2)、「ペプチド1」ADCFLSRPTEKT(配列番号3)、「ペプチド2」VACFLSRPTEKT(配列番号4)、「ペプチド11」VDCFLSRPTAKT(配列番号5)、「ペプチド12」VDCFLSRPTEAT(配列番号6)、「ペプチド5」VDCFLSRPTEKT(配列番号1)、「Mod1」CFLSRPTEKT(配列番号7)、「Mod2」LSRPTEKT(配列番号8)。一部の実施形態では、カルボキシ末端は、改変され得る。一部の態様では、カルボキシ末端改変は、水素または他の部分に必要に応じてさらに連結され得る、n-アルキル鎖を含み得る。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤ペプチドは、上に列挙されたまたは本明細書に開示されたペプチドのいずれかを含むかまたは排除し得る。
【0108】
一態様では、本発明は、本明細書で言及される疾患、障害または状態、ならびにIL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1ならびに血管新生性サイトカインVEGFを含む増加したもしくは障害されたまたは他の点で不要なもしくは望ましくないサイトカインあるいは血管新生によって特徴付けられる疾患、障害または状態を処置するための方法における、単独での、またはキット、パッケージもしくは他の製造物品内の医薬組成物の使用に関する。本明細書の方法は、IL-6、IL-8、sICAM-1およびMCP-1ならびに/またはVEGFの産生、分泌および/または放出を低減させるために十分な量のヘミチャネル遮断剤による対象の処置を提供する。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤である。他のコネキシンヘミチャネルの遮断剤は、言及されるように、本発明の範囲内である。
【0109】
一部の実施形態では、「プロ部分(promoiety)」は、活性薬剤内の官能基をマスクする保護基として作用し、それによって活性薬剤をプロドラッグへと変換する種を指す。典型的には、プロ部分は、酵素的または非酵素的手段によってin vivoで切断され、それによって、プロドラッグをその活性形態に変換する結合を介して薬物に付着される。一部の実施形態では、プロ部分も、活性薬剤であり得る。一部の実施形態では、プロ部分は、ヘミチャネル遮断剤に結合され得る。一部の実施形態では、プロ部分は、例えば、ペプチドもしくはペプチド模倣物または小分子ヘミチャネル遮断剤のいずれかに結合され得る。一部の実施形態では、プロ部分は、式Iの化合物に結合され得る。一部の実施形態では、プロドラッグは、別のヘミチャネル化合物、例えば、Greenら、米国特許出願公開第20160177298号;Savoryら、米国特許出願公開第20160318891号;またはSavoryら、米国特許出願公開第20160318892号に記載される化合物であり得る。
【0110】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤には、例えば、コネキシンヘミチャネルに結合する抗体もしくは抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣物、組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子または単鎖可変断片(scFv)、および本明細書で言及された他のものが含まれる。本発明において好ましい一実施形態では、コネキシンヘミチャネルは、Cx43ヘミチャネルである。
【0111】
他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、ヘミチャネル遮断性のペプチドまたはペプチド模倣物と呼ばれる場合もあるコネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣物であり、これには、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域およびコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる改変されたまたは未改変のCxペプチドまたはペプチド模倣物が含まれる。一部の態様では、治療的に有効な改変されたまたは未改変のペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシン43またはコネキシン45の細胞外または膜貫通ドメインの一部分を含む。コネキシン43のタンパク質配列は、以下に示される。
コネキシン43(配列番号9)
【化2-1】

【化2-2】
【0112】
表1は、コネキシン43およびコネキシン45についての細胞外ループを示す。一部の実施形態では、治療的に有効な改変されたまたは未改変のペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシン、例えば、コネキシン43またはコネキシン45、好ましくはコネキシン43のE2細胞外ドメイン(細胞外ループ2)の一部分を含む。一部の実施形態では、治療的に有効な改変されたまたは未改変のペプチドまたはペプチド模倣物は、コネキシン、例えば、コネキシン43またはコネキシン45、好ましくはコネキシン43のC末端ドメインの一部分を含む。ペプチドまたはペプチド模倣性遮断剤が、コネキシンの細胞内ドメインの一部分を含む場合、ペプチドは、一部の実施形態では、細胞内在化トランスポーターにコンジュゲートされ得、一部の例では、コネキシン43への密着帯(ZO-1)結合を遮断し得る。
【表1】
【0113】
表2中で太字で示されるペプチド配列番号14およびペプチド配列番号15に対して相同なアミノ酸を有する、異なるコネキシンアイソタイプのE2ドメインの配列が示される。ペプチド配列番号15の最後の4アミノ酸は、4番目の膜ドメインの一部であることに留意のこと。
【0114】
表2は、本明細書で記載されるペプチドヘミチャネル遮断剤を調製するために使用され得る、コネキシンファミリーメンバーの細胞外ドメインを提供する。表2に提供されるペプチドおよびその断片は、ある特定の非限定的な実施形態において、ペプチドヘミチャネル遮断剤として使用される。他の非限定的な実施形態では、この表中のペプチドの約8~約15または約11~約13連続するアミノ酸を含む、それから本質的になる、またはそれからなるヘミチャネル遮断剤ペプチドが、本発明のペプチドヘミチャネル遮断剤である。他の実施形態では、保存的アミノ酸変化が、ペプチドまたはその断片に対してなされる。
【表2】
【0115】
他のペプチドヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43の細胞質ループ(アミノ酸119~144)L2ペプチドおよびコネキシン43のL2ペプチドの下位部分由来である。一部の実施形態では、これらのペプチドは、例えば、Gap19の9アミノ酸配列、KQIEIKKFK(配列番号19);ネイティブGap19配列、DGVNVEMHLKQIEIKKFKYGIEEHGK(配列番号20);Shibayama(Shibayama, J. et al., Biophys. J. 91, 405404063, 2006)によって報告されたGap19のHis144→Glu L2誘導体、DGVNVEMHLKQIEIKKFKYGIEEQGK(配列番号21);TAT-Gap19配列、YGRKKRRQRRRKQIEIKKFK(配列番号22);SH3結合性ドメイン、CSSPTAPLSPMSPPGYK(配列番号23)、またはその下位部分PTAPLSPMSPP(配列番号24);細胞透過を増加させるためのTATリーダー配列ありまたはなしのCT9またはCT10ペプチドのC末端配列RPRDDEI(配列番号25)、SRPRDDLEI(配列番号26)、YGRKKRRQRRRSRPRDDEI(配列番号27)またはYGRKKRRQRRRRPRDDEI(配列番号28)を含むかまたは排除し得る。本明細書に開示される方法、キットまたは製造物品における使用のための組成物中に含まれるかまたは排除され得る他のペプチド模倣物配列は、Dhein(Dhein, S., Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharm., 350: 174-184, 1994)によって報告されたもの;AAP10ペプチド、HN-Gly-Ala-Gly-4Hyp-Pro Tyr-CONH(配列番号29)およびZP123ペプチド(ロチガプチド(rotigapeptide))、Ac-D-Tyr-Pro-D-4Hyp-Gly-D-Ala-Gly-NH(配列番号310)(Dhein, S., et al. Cell Commun. Adhes. 10, 371-378, 2013)である。ロチガプチドは、ネイティブL-形態のペプチドを超える増強された有効性のための、D-形態のペプチドから構成される。
【0116】
本開示のある特定の実施形態中に含まれるかまたは排除され得る例示的なコネキシン43(Cx43)またはCx26、Cx30、Cx30.3、Cx31、Cx31.1、Cx32、Cx36、Cx37、Cx40.1、Cx43、Cx46、Cx46.6もしくはCx40ペプチド遮断剤は、以下の表3に提供される(E2およびT2は、例えば、2番目の細胞外ドメインまたは2番目の膜貫通ドメイン中のペプチドの位置を指す)。
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】

【表3-4】
【0117】
一部の実施形態では、コネキシン43遮断剤は、例えば、例えば配列番号2(SRPTEKT)を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物を含み得る。ペプチドまたはペプチド模倣物はまた、例えば配列番号1(VDCFLSRPTEKT)を含み得る。ペプチドは、バイオアベイラビリティを改善するために、または細胞膜を横切る透過を増加させるために、1つもしくは複数の改変されたアミノ酸、アミノ酸アナログを含有し得、または他の方法で改変され得る。例えば、配列番号1は、配列番号20~25および27を得るために改変され得る。一部の態様では、例えば配列番号2(SRPTEKT)または配列番号2(VDCFLSRPTEKT)を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物は、7~40個のアミノ酸またはアミノ酸アナログを含み、C末端ペプチドを含まない。一部の実施形態では、ペプチドは、プロ部分としても使用され得る。
【0118】
一部の態様では、コネキシン45遮断剤は、コネキシン-コネキシン相互作用をアンタゴナイズまたは阻害または遮断するコネキシン45タンパク質の部分を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。コネキシン45ペプチドおよびペプチド模倣性遮断剤の例示的なペプチド配列は、表4に提供される。
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【0119】
一部の実施形態では、コネキシン45遮断剤は、例えば、コネキシン45のE2またはC末端ドメインの一部分を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物、例えば、配列番号150(SRPTEKT)を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物を含み得る。ペプチドまたはペプチド模倣物はまた、例えば配列番号149(DCFISRPTEKT)を含み得る。一部の実施形態では、ペプチドは、SRL、PCH、LCP、CHP、IYY、SKF、QPC、VCY、APL、HVRを含む3アミノ酸だけ、またはそれよりも長い長さであり得る。
【0120】
一部の態様では、コネキシン40ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン40タンパク質の部分を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。一部の実施形態では、コネキシン43遮断剤は、例えば、配列番号2(SRPTEKT)、配列番号1(VDCFLSRPTEKT)、またはリンカーを介してN末端において2つのドデシル基にコンジュゲートされた配列番号1を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得る。ペプチドは、1つもしくは複数の改変されたアミノ酸、アミノ酸アナログを含有し得る、または他の方法で改変される、例えば、細胞内在化トランスポーターにコンジュゲートまたは結合され得る。
【0121】
別の非限定的であるが好ましい実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン、例えば、Cx43もしくはCx45、またはCx26、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57の膜貫通領域の一部分に対応するアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドを含む。特定の非限定的な実施形態では、抗コネキシン化合物は、コネキシン、例えば、コネキシン43もしくは45タンパク質配列の約3~約30連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、コネキシンタンパク質配列の約5~約20連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、コネキシンタンパク質配列の約8~約15連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、またはコネキシンタンパク質配列の約11、12もしくは13連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである。他の非限定的な実施形態は、コネキシンタンパク質配列の少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25または30連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン化合物を含む。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、上述のいずれかを含むかまたは排除し得る。
【0122】
他の抗コネキシン化合物では、模倣性ペプチドは、コネキシン43タンパク質配列の37~76位および178~208位のアミノ酸に対応するコネキシン43の細胞外ドメインに基づく。従って、本明細書で記載されるある特定のペプチドは、コネキシン43タンパク質配列の37~76位および178~208位の領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、コネキシン43タンパク質配列のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、本明細書で記載され、当該分野で他の公知のアッセイにおいてペプチドが結合活性または機能的活性を保持するような保存的アミノ酸変化がなされ得る。他の実施形態では、模倣性ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質内のペプチド標的領域(例えば、37~76位および178~208位に対応しないコネキシン43タンパク質配列の部分)に基づく。
【0123】
非限定的ではあるが好ましい実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン45の膜貫通領域またはコネキシン45のC末端領域の一部分に対応するアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドを含む、それから本質的になる、またはそれからなる。特定の非限定的な実施形態では、例えば、抗コネキシン化合物は、公知のコネキシン45配列の約3~約30連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、公知のコネキシン45配列の約5~約20連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、公知のコネキシン45配列の約8~約15連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または公知のコネキシン45配列の約11、12もしくは13連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである。他の非限定的な実施形態は、公知のコネキシン45配列の少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25または30連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン化合物を含む。本明細書で提供されるある特定の抗コネキシン化合物では、模倣性ペプチドは、公知のコネキシン45配列の46~75位および199~228位のアミノ酸に対応するコネキシン45の細胞外ドメインに基づく。従って、本明細書で記載されるある特定のペプチドは、公知のコネキシン45配列の46~75位および199~228位の領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、公知のコネキシン45配列のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はない。本明細書で記載され、当該分野で他の公知のアッセイにおいてペプチドが結合活性または機能的活性を保持するような保存的アミノ酸変化がなされ得る。他の実施形態では、模倣性ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質内のペプチド標的領域(例えば、46~75位および199~228位に対応しない公知のコネキシン45配列の部分)に基づく。種々のコネキシン配列を開示するWO2006/134494は、その全体が参照により組み込まれる。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、上述のいずれかを含むかまたは排除し得る。
他のコネキシンヘミチャネル遮断剤
【0124】
ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、抗体断片などを含むヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43または45遮断剤も、適切なヘミチャネル遮断剤である。例示的なヘミチャネル遮断剤には、限定なしに、ポリペプチド(例えば、抗体、その結合性断片、および合成構築物)、および他のギャップジャンクション遮断剤(blocking agent)、およびギャップジャンクションタンパク質リン酸化剤が含まれ得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx50、Cx57の遮断剤である。ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43または45遮断剤には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2およびFv断片を含む);単鎖抗体;単鎖Fv;ならびに単鎖結合性分子、例えば、結合性ドメイン、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるものなど、特定の抗体または他の結合性分子と接触する抗原決定基(即ち、一般にエピトープと呼ばれる分子の部分)を結合することが可能な組換え抗体および抗体断片が含まれる。抗体、抗体断片などを含むこれらの結合性タンパク質は、キメラであるか、もしくはヒト化されるか、または他の方法で、これらが投与される対象においてあまり免疫原性でなくされ得、合成されるか、組換え産生されるか、または発現ライブラリーにおいて産生され得る。当該分野で公知のまたは後に発見される任意の結合性分子、例えば、本明細書で言及されるものおよび/または当該分野でさらに詳細に記載されるものが想定される。例えば、結合性タンパク質には、抗体などだけでなく、標的(例えば、コネキシン、ヘミチャネル、または会合した分子)に結合するリガンド、受容体、ペプチド模倣物、または他の結合性断片もしくは分子(例えば、ファージディスプレイによって産生される)も含まれる。
【0125】
結合性分子は、一般に、結合特異性が含まれるがこれに限定されない所望の特異性、および所望の親和性を有する。例えば、親和性は、約10M-1よりも高いかまたはそれと等しい、約10M-1よりも高いかまたはそれと等しい、約10M-1よりも高いかまたはそれと等しい、約10M-1よりも高いかまたはそれと等しいKaであり得る。約10M-1よりもさらに高い親和性、例えば、約10M-1、約1010M-1、約1011M-1および約1012M-1と等しいかまたはそれよりも高い親和性が適切である。本発明に従う結合性タンパク質の親和性は、従来の技術、例えば、Scatchard et al., (1949) Ann. N.Y. Acad. Sci. 51: 660に記載されるものを使用して、容易に決定され得る。
【0126】
ギャップジャンクションを閉口させる(例えば、コネキシン43のチロシンおよび/またはセリン残基をリン酸化する)ために使用される例示的な化合物は、米国特許第7,153,822号および米国特許第7,250,397号に報告されている。例示的なペプチドおよびペプチド模倣物は、Greenら、WO2006134494に報告されている。WO2006069181およびWO2003032964も参照のこと。ギャップジャンクションを閉口させるために使用される他の薬剤の例には、抗コネキシン剤、例えば抗コネキシンポリヌクレオチド(例えば、コネキシン阻害剤、例えば、アルファ-lコネキシンオリゴデオキシヌクレオチド)、抗コネキシンペプチド(例えば、抗体および抗体結合性断片)およびペプチド模倣物(例えば、アルファ-l抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣物)、ギャップジャンクション閉口性または遮断性化合物、ヘミチャネル閉口性または遮断性化合物、ならびにコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド、例えば、ZO-1またはZO-1結合部位に結合するポリペプチドが含まれる。
【0127】
本発明において有用な他のヘミチャネル遮断剤はまた、コネキシンヘミチャネルを遮断するがコネキシンギャップジャンクション機能を維持する化合物を含み、またはそれと組み合わされ得る。例えば、直鎖ペプチドRRNYRRNY、環状ペプチドCyRP-71およびペプチド模倣性分子ZP2519は、Cx43カルボキシ末端ドメインを標的化すること、および低いpH条件下でCx43ベースのギャップジャンクション閉口を予防することが実証されている(Verma V, et al. Design and characterization of the first peptidomimetic molecule that prevents acidification-induced closure of cardiac gap junctions. Heart Rhythm 7:1491-1498 (2010);Verma V, et al. Novel pharmacophores of connexin43 based on the "RXP" series of Cx43-binding peptides. Circ. Res. 105:176-184 (2009))。これらの物質は、ギャップジャンクション閉口を予防するために、潜在的な実用化の価値がある。さらに、これらの分子は、潜在的なヘミチャネル遮断剤であり、従って、ギャップジャンクション閉口を予防することだけでなくヘミチャネル開口を阻害することを対象とする二面的な作用を有し得る。
【0128】
抗コネキシン剤には、コネキシンタンパク質、例えばコネキシン43の約5~20連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号19)、コネキシン43の約8~15連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、またはコネキシン43の約11~13連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。他の抗コネキシン剤には、コネキシン43の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25または少なくとも約30連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。他の抗コネキシン43遮断剤は、コネキシン43の細胞外ドメイン、例えば、SRPTEKTまたはVDCFLSRPTEKTを含む、それから本質的になる、またはそれからなるペプチドまたはペプチド模倣物を含む。他の抗コネキシン43遮断剤は、コネキシン43のC末端領域(WO2006/069181を参照のこと)、またはその改変されたバージョンを含む。
ペプチド化学改変
【0129】
ある特定の実施形態では、本発明のコネキシン43遮断剤ペプチドは、細胞内在化トランスポーターに、アミノまたはカルボキシ末端において連結され得る。本発明のコネキシン43遮断剤ペプチドに連結される細胞内在化トランスポーターは、当該分野で公知のもしくは当該分野で新たに発見される任意の内在化配列、またはその保存的バリアントであり得る。細胞内在化トランスポーターおよび配列の非限定的な例には、アンテナペディア配列、TAT、HIV-Tat、ペネトラチン、Antp-3A(Antp変異体)、ブフォリンII、トランスポータン、MAP(モデル両親媒性ペプチド)、K-FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep-1、SynB1、Pep-7、HN-1、BGSC(ビス-グアニジウム-スペルミジン-コレステロール)およびBGTC(ビスグアニジウム-トレン-コレステロール)が含まれる。
【0130】
例示的な細胞内在化ペプチドの他の配列は、以下の表5に提供される。
【表5】
【0131】
本発明の一実施形態では、コネキシン43遮断剤ペプチドのアミノ酸配列は、本明細書に列挙される任意のペプチド配列番号、またはその保存的バリアントからなる群から選択され得る。本発明のさらなる実施形態では、コネキシン43遮断剤ペプチドは、配列番号30~90のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得る。本発明の別の実施形態では、コネキシン43遮断剤ペプチドは、細胞内在化トランスポーターをさらに含む。さらなる実施形態では、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤ペプチドは、細胞内在化トランスポーターに、アミノ末端において連結され得る。
【0132】
特定のタンパク質が本明細書で言及される場合、誘導体、バリアントおよび断片が企図される。タンパク質誘導体およびバリアントは、当業者に十分に理解され、アミノ酸配列改変を含み得る。例えば、アミノ酸配列改変は、3つのクラス:挿入、置換または欠失バリアントの1つまたは複数に入り得る。挿入には、アミノおよび/またはカルボキシル末端融合ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。挿入は、例えば、約1~4残基の、アミノまたはカルボキシル末端融合の挿入よりも小さい挿入であり得る。欠失は、タンパク質配列からの1つまたは複数のアミノ酸残基の除去によって特徴付けられる。置換、欠失、挿入またはそれらの任意の組合せが、最終構築物に到達するために組み合わされ得る。置換バリアントは、少なくとも1つの残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたバリアントである。そのような置換は、保存的置換と呼ばれる。1つのアミノ酸残基の、生物学的および/または化学的に類似した別のアミノ酸残基による置き換えは、保存的置換として当業者に公知である。保存的置換は、1つの疎水性残基を別の疎水性残基に置き換えるか、または1つの極性残基を別の極性残基に置き換えることができる。各明示的に開示された配列の保存的に置換されている変形形態は、本明細書に提供されるペプチドの範囲内に含まれる。保存的置換は、典型的には、結果として得られたポリペプチドの生物活性に対して、ほとんど~全く影響を有さない。保存的置換は、ペプチドの生物学的機能に実質的に影響を与えない、ペプチド中のアミノ酸置換であり得る。ペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸置換、2~10個の保存的置換、2~5個の保存的置換、または4~9個の保存的置換を含み得る。
化学構造改変
【0133】
ある特定の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤ペプチドまたはペプチド模倣物の化学構造は、活性または半減期を増加させるために、合成により改変され得る。例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物は、一部の実施形態ではリンカー部分を介して、ペプチドを疎水性化合物にコンジュゲートすることによって改変され得る。疎水性化合物は、例えば、例えばC6~C14アルキル基であり得る1つまたは複数のn-アルキル基であり得る。一部の実施形態では、ペプチドは、参照により本明細書に組み込まれるChen, YS et al., J.Pharm. Sci., 102: 2322-2331 (2013)に記載されるように、1つまたは2つのドデシル(C12)基に、N末端においてコンジュゲートされ得る。一実施形態では、ペプチド配列CFLSRPTEKTまたはVDCFLSRPTEKTは、コネキシン43をモジュレートし得る改変されたペプチド「C12-C12-Cxn43 MP」(配列番号171)を創出するために、2つのドデシル基にコンジュゲートされ得る。結果として得られた構造は、以下に示される。
【化3】

構造:C12-C12-Cxn43 MP(配列番号171)の構造。RおよびRは、水素またはアルキル基であり得る。一部の態様では、R=R=n-ドデシル鎖。
化学的送達改変
【0134】
本発明においてサイトカイン産生、分泌および/または放出を低減または停止させるために有用なヘミチャネル遮断剤はまた、マイクロ粒子(ミクロスフェア、Mp)もしくはナノ粒子(ナノスフェア、Np)製剤、またはその両方へと製剤化され得る。粒状薬物送達システムには、ナノ粒子(1~1,000nm)およびマイクロ粒子(1~1,000μm)が含まれ、これらは、ナノスフェアおよびミクロスフェアならびにナノカプセルおよびマイクロカプセルとしてさらに分類される。ナノカプセルおよびマイクロカプセルでは、薬物粒子または液滴が、ポリマー性の膜中に封入される。粒状システムは、注射による送達の利点を有し、それらのサイズおよびポリマー組成は、in vivoでのそれらの生物学的挙動に顕著に影響を与える。ミクロスフェアは、ナノスフェアよりもかなり長い期間硝子体中にとどまり得、従って、マイクロ粒子は、注射後にレザーバのように作用する。ナノ粒子は、迅速に拡散し、組織および細胞において内在化される。
【0135】
ヘミチャネル遮断剤活性を評価する
種々の方法が、ヘミチャネル遮断剤の活性または有効性を評価するために使用され得る。本発明の一態様では、対象におけるヘミチャネル遮断剤処置の効果は、サイトカインタンパク質アッセイを使用して評価またはモニタリングされる。サイトカインタンパク質レベルは、対象由来の試料中のタンパク質を検出および定量するのを可能にする任意の従来の方法によって定量され得る。非限定的な例示として、サイトカインタンパク質レベルは、例えば、サイトカイン結合能を有する抗体(または抗原決定基を含有するその断片)および形成された複合体の引き続く定量を使用することによって定量され得る。これらのアッセイにおいて使用される抗体は、標識されてもされなくてもよい。使用され得るマーカーの例示的な例には、放射性同位体、酵素、フルオロフォア、化学発光試薬、酵素基質または補因子、酵素阻害剤、粒子、色素などが含まれる。未標識の抗体(一次抗体)および標識された抗体(二次抗体)を使用する、本発明で使用され得る広範な公知のアッセイが存在する。これらの技術には、ウエスタンブロットまたはウエスタントランスファー、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、競合的EIA(競合的酵素イムノアッセイ)、DAS-ELISA(二重抗体サンドイッチELISA)、免疫細胞化学的および免疫組織化学的技術、特異的抗体を含むタンパク質マイクロアレイもしくはバイオチップの使用に基づく技術、または尿試験紙などの形式のコロイド沈殿に基づくアッセイが含まれる。サイトカインを検出および定量するための他の方法には、親和性クロマトグラフィー技術、リガンド結合アッセイなどが含まれる。免疫学的方法が使用される場合、高い親和性でサイトカインタンパク質に結合することが公知の任意の抗体または試薬が、その量を検出するために使用され得る。それにもかかわらず、抗体、例えば、ポリクローナル血清、ハイブリドーマの上清またはモノクローナル抗体、抗体断片、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、ヒト化ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ナノボディ、アルファボディ(alphabody)、ステープル(stapled)ペプチド、シクロペプチドならびに抗体の使用が好ましい。いくつかの営利会社によって提供される、本発明に関して使用され得る、市販の抗サイトカインタンパク質抗体が市場にある。
【0136】
本発明は、ヘミチャネル遮断剤で処置された対象の臨床転帰を予測する、ならびにヘミチャネル遮断剤処置を開始する、ヘミチャネル遮断剤処置を中止する、ヘミチャネル遮断剤処置を改変する、またはヘミチャネル遮断剤および/もしくはサイトカインアンタゴニストで前記対象をさらに処置するための、in vitro方法を含む。一実施形態では、方法は、前記対象の試料中の1つまたは複数のサイトカイン、例えばVEGF-Aを検出するステップであって、上昇したサイトカインレベルまたはプロファイルまたは活性が、不良なまたは不適切な臨床転帰を示す、ステップと、治療有効量のヘミチャネル遮断剤、即ち、小分子ヘミチャネル遮断剤、ペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤、ならびに前記対象において疾患または疾患進行を回避および/または予防することが可能なヘミチャネル遮断剤(blocker agent)として機能する他の化合物からなる群から選択される、不要なまたは望ましくないサイトカインレベルおよび/または活性を予防および/または処置することを目的とした治療による対象の処置を開始するステップとを含む。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤処置は、中止される、または所定の期間中止される。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤処置は、例えば、用量もしくは用量頻度を変更することによって、または別の治療剤、例えば、サイトカインアンタゴニスト(例えば、例として、抗VEGF抗体またはVEGFR遮断剤)の別々の投与によって、改変される。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤処置は、継続される、または所定の期間継続される。本発明において好ましい小分子ヘミチャネル遮断剤には、Xiflamが含まれる。本発明において好ましいペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤には、Peptagonが含まれる。
【0137】
ヘミチャネル遮断剤の活性はまた、ある特定の生物学的アッセイを使用して評価され得る。分子運動性に対する公知のまたは候補ヘミチャネル遮断剤の効果は、以下の実施例に記載される方法、またはコネキシンヘミチャネルを介した化合物の通過を決定するための他の当該分野で公知のもしくは等価な方法を使用するために、同定、評価またはスクリーニングされ得る。色素移行実験、例えば、検出可能なマーカーで標識された分子の移行、ならびにヘミチャネルの機能的状態を研究するために広く使用されてきた小さい蛍光透過性トレーサーの膜貫通通過を含む種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、Schlaper, KA, et al. Currently Used Methods for Identification and Characterization of Hemichannels. Cell Communication and Adhesion 15:207-218 (2008)を参照のこと。in vivo方法も使用され得る。例えば、Danesh-Meyer, HV, et al. Connexin43 mimetic peptide reduces vascular leak and retinal ganglion cell death following retinal ischaemia. Brain, 135:506-520 (2012);Davidson, JO, et al. (2012). Connexin hemichannel blockade improves outcomes in a model of fetal ischemia. Annals of Neurology 71:121-132 (2012)の方法を参照のこと。
【0138】
ヘミチャネルを遮断する化合物の能力を同定または評価する際の使用のための1つの方法は、(a)試験試料および試験システムを一緒にするステップであって、前記試験試料が、1つまたは複数の試験化合物を含み、前記試験システムが、ヘミチャネル遮断を評価するためのシステムを含み、前記システムが、例えば、前記システムへの低酸素もしくは虚血の導入、炎症のメディエーター、またはヘミチャネル開口を誘導する他の化合物もしくは事象、例えば、細胞外Ca2+における低下に応答した、例えば、色素または標識された代謝物の上昇した移行を示すという点で、特徴付けられる、ステップと;(b)例えば、前記システム中の色素または他の標識された代謝物における上昇の存在または量を決定するステップとを含む。陽性および/または陰性対照も同様に使用され得る。必要に応じて、所定の量のヘミチャネル遮断剤(例えば、PeptagonまたはXiflam)が、試験システムに添加され得る。
【0139】
好ましくは、ヘミチャネル遮断剤、例えば、PeptagonおよびXiflamは、例えば、in vitroアッセイにおいて、約1~5nM未満、好ましくは約10nM未満、より好ましくは約50pM未満ほどの活性を示す。in vivoアッセイでは、これらの化合物は、好ましくは、約10~100マイクロモル濃度(μM)未満の濃度で、より好ましくは、約50μM未満の濃度で、ヘミチャネル遮断を示す。他のヘミチャネル遮断剤は、これらの範囲内、および約200pM未満の範囲内であり得る。
共投与
【0140】
医薬組成物はまた、組合せ調製物の形態で、例えば、改変されていても未改変でもよい2つもしくはそれよりも多くのヘミチャネル遮断剤の混和物、または1つもしくは複数のヘミチャネル遮断剤および1つもしくは複数のサイトカインアンタゴニストとして、共投与のために提供される。
【0141】
「組合せ調製物」という用語は、医薬品形態であれ、ドレッシング/マトリックス形態であれ、その両方であれ、上で定義した組合せパートナーが、独立して、または識別される量の組合せパートナー(a)および(b)との異なる固定された組合せの使用によって、即ち、同時に、別々にもしくは逐次的に投薬され得るという意味で、「パーツのキット」または「製造物品」を含む。次いで、キットのパーツは、例えば、同時に投与されるか、または時系列で交互にされ得る、即ち、パーツのキットの任意のパーツについて、異なる時点で、かつ等しいまたは異なる時間間隔であり得る。
【0142】
一実施形態では、組合せ調製物が投与され、このとき、2つまたはそれよりも多くの別々の遮断剤組成物が対象に投与され、ここで、第1の組成物は、治療有効量の遮断剤、例えば、ヘミチャネル遮断剤、例えば、抗コネキシン43ペプチド、ペプチド模倣物、または小分子ヘミチャネル閉口性化合物を含み、第2の組成物は、治療有効量の第2の遮断剤、例えば、抗サイトカイン剤、例えば、抗VEGF抗体を含む。
【0143】
単一の、組み合わされた、同時の、別々の、逐次のまたは持続性の投与のための医薬組成物が、本明細書で記載される方法およびキットにおいて使用され得る。一実施形態では、1つまたは複数のヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる組成物は、1つまたは複数の時点における投与のために、1つまたは複数の所望の用量で、投与または提供される。別の実施形態では、1つまたは複数のヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる組成物は、1つまたは複数のサイトカインアンタゴニストとほぼ同時に投与される。組成物が異なる時点で投与される場合、それらは、例えば、30分、1時間、1日、1週間、1ヶ月もしくは3ヶ月以内離れて、または列挙された期間のいずれか2つの間の任意の時間間隔で、投与され得る。
【0144】
一実施形態では、1つまたは複数のヘミチャネル遮断剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなる組成物は、1つまたは複数のサイトカインアンタゴニストの少なくとも約30~60分以内に投与される。単独で、またはサイトカイン(cytiokine)アンタゴニスト用量(組み合わされたまたは別々の製剤で)と一緒でのヘミチャネル遮断剤用量は、QD、BID、TID、QIDで、または毎週の用量、例えば、QIW、BIW QWで投与され得る。これらは、PRN(即ち、必要に応じて)およびHS(睡眠前、即ち、就寝時刻に)でも投与され得る。
剤形および製剤ならびに投与
【0145】
明示的に特記されない限り、投薬に関する全ての記載は、本発明のヘミチャネル遮断剤に適用される。
【0146】
ヘミチャネル遮断剤は、本明細書で記載されるように投薬、投与または製剤化され得る。
【0147】
ヘミチャネル遮断剤は、処置を必要とする対象に投与され得る。従って、本発明によれば、コネキシンヘミチャネル、例えば、コネキシン43ヘミチャネルまたはコネキシン45ヘミチャネルが一過的または部位特異的様式でその開口確率を減少させるようにモジュレートされ得る製剤が、提供される。
【0148】
ヘミチャネル遮断剤は、実質的に単離された形態で製剤中に存在し得る。製品は、製品の意図した目的を妨害しない担体または希釈剤と混合され、なおも実質的に単離されているとみなされ得ることが理解される。本発明の製品はまた、実質的に精製された形態であり得、この場合、本発明の製品は、一般に、約80%、85%もしくは90%、例えば、少なくとも約88%、少なくとも約90、95もしくは98%、または少なくとも約99%の、例えばペプチド模倣物もしくは小分子ヘミチャネル遮断剤、または乾燥質量の調製物を含む。
【0149】
対象へのヘミチャネル遮断剤の投与は、対象の身体内の標的部位に薬剤を送達することが可能な任意の手段によって行われ得る。例として、ヘミチャネル遮断剤および/またはサイトカインアンタゴニストは、以下の経路の1つによって投与され得る:経口、外用、全身(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、経皮、鼻腔内で、または坐剤による)、非経口(例えば、筋肉内、皮下、または静脈内もしくは動脈内注射)、移植による、およびデバイス、例えば、浸透圧ポンプ、経皮パッチなどを介した注入による。例示的な投与経路は、Binghe, W. and B. Wang (2005). Drug delivery: principles and applications, Binghe Wang, Teruna Siahaan, Richard Soltero, Hoboken, N.J. Wiley-Interscience, c2005にも概説されている。一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、全身投与される。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、経口投与される。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、例えば、外用で、または目的の臓器、がんもしくは腫瘍に直接、投与される。
【0150】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、インプラントとして、またはインプラントと併せて提供され得る。一部の態様では、持続性の送達を提供し得る。一部の実施形態では、マイクロニードル、針、イオン導入デバイスまたはインプラントが、ヘミチャネル遮断剤の投与に使用され得る。インプラントは、例えば、S. Pflugfelder et al., ACS Nano, 9 (2), pp 1749-1758 (2015)に記載されるものなどの溶解可能な椎間板材料であり得る。一部の態様では、本発明のヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、脳室内および/またはくも膜下腔内および/または硬膜外(extradural)および/または硬膜下および/または硬膜外(epidural)経路を介して投与され得る。
【0151】
ヘミチャネル遮断剤は、1回、または1回よりも多く、または定期的に投与され得る。ヘミチャネル遮断剤は、PRN(必要に応じて)で、もしくは所定のスケジュールで、またはその両方でも投与され得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、毎日、毎週、毎月、隔月もしくは年四回、またはこれらの期間の任意の組合せで、投与される。例えば、処置は、ある期間毎日、その後、毎週および/または毎月投与され得るなどである。遮断剤を投与する他の方法は、本明細書で特色とされる。一態様では、ヘミチャネル遮断剤は、患者を処置するのに十分な量で、1~5、10、30、45、60、75、90日目もしくは100~180日目の時点で、またはそれらの間に、患者に投与される。
【0152】
ヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagonおよび/またはそのアナログもしくはプロドラッグ、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグなどは、単独で、または1つもしくは複数のさらなる成分と組み合わせて投与され得、1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/もしくは担体を含む医薬組成物へと製剤化され得る。
【0153】
「薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤」は、医薬組成物を調製する際に有用であり、意図した機能をそれが実行するのを可能にしながら、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログと共に共投与され得、一般に安全で非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないことがない、物質を含むことが意図される。薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤には、獣医学使用ならびにヒト医薬品使用に適切なものが含まれる。適切な担体および/または賦形剤は、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログの性質を考慮して、当業者に容易に理解される。しかし、例として、希釈剤、担体および/または賦形剤には、溶液、溶媒、分散媒、遅延剤、ポリマー性および脂質性の薬剤、エマルジョンなどが含まれる。さらなる例として、特に注射可能な溶液のための適切な液体担体には、水、生理食塩水溶液、デキストロース水溶液などが含まれ、等張溶液が、静脈内、脊髄内および大槽内投与のために好ましく、ビヒクル、例えばリポソームも、薬剤の投与に特に適切である。
【0154】
組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体剤、散剤、徐放性製剤、溶液剤、懸濁液剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、注射用液剤、ゲル剤、クリーム剤、経皮送達デバイス(例えば、経皮パッチ)、挿入物、例えば、臓器挿入物、例えば、眼、または任意の他の適切な組成物を含む、任意の標準的な公知の剤形の形態をとり得る。本発明が関連する分野の当業者は、任意の過度の実験なしに、処置される状態および使用される活性薬剤の性質を考慮して、最も適切な剤形を容易に理解する。ヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagonおよび/もしくはそのアナログ、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログ、ならびに/またはサイトカインアンタゴニストの1つまたは複数が、単一の組成物へと製剤化され得ることを理解すべきである。ある特定の実施形態では、好ましい剤形には、注射可能な溶液剤および経口製剤が含まれる。
【0155】
本発明において有用な組成物は、剤形および投与様式を考慮して、任意の適切なレベルのヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagonおよび/もしくはそのアナログ、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログ、ならびに/またはサイトカインアンタゴニストなどを含有し得る。しかし、例として、本発明における使用のための組成物は、投与の方法に依存して、およそ0.1重量%~およそ99重量%、好ましくは、およそ1%~およそ60%のヘミチャネル遮断剤を含有し得る。
【0156】
標準的な希釈剤、担体および/または賦形剤に加えて、本発明に従う組成物は、1つまたは複数のさらなる構成要素と共に、あるいは、例えば、ヘミチャネル遮断剤、例えば、Peptagonおよび/もしくはそのアナログ、式Iの化合物、例えば、Xiflamおよび上述の化合物のいずれかのアナログ、ならびに/またはサイトカインアンタゴニストの活性またはバイオアベイラビリティを増強する、その完全性を守るまたはその半減期もしくは有効期間を増加させることを助ける、対象への投与の際に緩徐放出を可能にする、あるいは他の望ましい利益を提供するような様式で、製剤化され得る。例えば、緩徐放出ビヒクルには、マクロマー、ポリ(エチレングリコール)、ヒアルロン酸、ポリ(ビニルピロリドン)またはヒドロゲルが含まれる。さらなる例として、組成物は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、緩衝剤なども含み得る。本発明が関連する分野の当業者は、特定の目的のために望ましい場合がある添加剤を同定できる。
【0157】
ヘミチャネル遮断剤は、徐放性システムによって投与され得る。徐放性組成物の適切な例には、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスが含まれる。徐放性マトリックスには、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号;EP58,481)、L-グルタミン酸およびガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、エチレン酢酸ビニルまたはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が含まれる。徐放性組成物は、リポソーム封入された化合物も含む。ヘミチャネル遮断剤を含有するリポソームは、例えば、DE3,218,121;EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号;ならびにEP102,324に記載されるものを含む公知の方法によって調製され得る。通常、リポソームは、脂質含量が約30モルパーセントよりも多いコレステロールである小さい(または約200~800オングストロームの)単層型のものであり、選択された割合が、最も効果的な治療のために調整される。例えば、PGLAナノ粒子もしくはマイクロ粒子またはin situイオン活性化ゲル化システムを使用する緩徐放出送達も使用され得る。
【0158】
さらに、本発明に従う使用のためのヘミチャネル遮断剤医薬組成物は、特定の場合には、対象にとって治療的にまたは他の点で有益なものであり得るさらなる活性成分または薬剤を用いて製剤化され得ることが企図される。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書の発明の説明および処置される障害の性質を考慮して、適切なさらなる活性成分を理解する。
【0159】
組成物は、例えば、Gennaro AR: Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 2000などの標準的な参考文献中に見出され得る標準的な技術に従って製剤化され得る。しかし、さらなる例として、US2013/0281524またはUS5948811中に提供される情報が使用され得る。
【0160】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)ヘミチャネル遮断剤および(b)1つまたは複数のさらなる活性薬剤、例えば、サイトカインアンタゴニストを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる組合せ製品であって、構成成分(a)および(b)が、同時または逐次的な投与のために適応される、製品を提供する。
【0161】
本発明の特定の実施形態では、本発明に従う組合せ製品は、処置されている対象に対して他の構成成分がなおも効果を有しつつ、構成成分の少なくとも1つが投与されるような様式で使用される。
【0162】
医薬組成物を貯蔵および/または投与するのに適切な任意のコンテナが、本発明の方法における使用のためのヘミチャネル遮断剤製品のために使用され得る。
【0163】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、投与の部位への制御されたおよび/または区画化された放出を提供するように製剤化され得る。本発明の一部の態様では、製剤は、即時放出または延長放出もしくは徐放性剤形であり得る。一部の態様では、剤形は、延長放出および/または徐放性剤形と組み合わせた即時放出剤形の両方を含み得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤の即時放出ならびに徐放および/または延長放出は共に、即時放出形態の、例えば、改変されたもしくは未改変のペプチドもしくはペプチド模倣物、または他のヘミチャネル遮断剤を組み合わせることによって、得ることができる。本発明の一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、例えば、コネキシン43遮断剤または本開示の他のヘミチャネル遮断剤である。本発明の一部の態様では、剤形は、インプラント、例えば、生分解性または非生分解性インプラントであり得る。
【0164】
本発明の一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、例えば、粒子のサイズまたはコーティングを調整することによって、遮断剤の区画化された放出のために製剤化され得る。例えば、一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43遮断剤の粒子製剤は、本発明の方法における使用のために投与され得る。一部の態様では、粒子を含む薬物送達システムは、1,000nm未満、例えば、1~1000nmの平均直径を有するナノ粒子および/または1~1,000μmの間の平均直径を有するマイクロ粒子を含み得る。ナノ粒子またはマイクロ粒子は、例えば、ナノスフェアもしくはミクロスフェア、またはヘミチャネル遮断剤がポリマー性コーティング中にカプセル封入された、カプセル封入されたナノカプセルおよびマイクロカプセルであり得る。粒子製剤は、リポソームも含み得る。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン45、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50もしくはCx57ヘミチャネルまたは血管中の任意の他のコネキシンヘミチャネルの遮断剤を含んでいてもよいし、またはそれらを含んでいなくてもよい。
【0165】
本発明は、種々の障害の処置のためにヘミチャネルの機能をモジュレートするための方法を含む。本発明の方法は、所望に応じて、単独で、または1つもしくは複数の他の薬剤(例えば、活性サイトカインアンタゴニスト剤を含む)もしくは治療薬と組み合わせて、ヘミチャネル遮断剤を投与するステップを含む。
【0166】
別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、式Iの化合物、例えば、Xiflam、またはペプチドもしくはペプチド模倣性ヘミチャネル遮断剤は、最終循環濃度が、およそ0.001~およそ150マイクロモル濃度、または最高200、300、400、500、600、700、800、900もしくは1000マイクロモル濃度のより高い濃度であるように、例えば、静脈内、動脈内または腹腔内投与によって、全身投与され得る。最終循環濃度は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、100、110、120、130、140、もしくは150マイクロモル濃度、または2つの列挙された数のいずれかの間の任意の濃度、または上記のようなそれよりも高い、および言及された範囲内の任意の濃度であり得る。本明細書で言及される場合、本発明は、1つまたは複数のさらなる活性薬剤も対象に投与される組合せ治療も含む。当業者は、その薬剤の性質および本明細書で以前に議論した原理を考慮して、1つまたは複数の活性薬剤についての望ましい投薬量を理解する。
【0167】
ヘミチャネル遮断剤、および必要に応じて1つまたは複数の他の活性薬剤の投与は、障害の進行の間の任意の時点で、あるいは障害、または障害の1つもしくは複数の症状の発達の前またはその後に、行われ得る。一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、症状の進行中の管理を補助するために、延長された期間定期的に投与される。別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、障害を予防するまたは障害の発達を遅延させるために、延長された期間または一生涯、定期的に投与される。
【0168】
一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、1つまたは複数の粒子を含む医薬組成物として投与され得る。一部の態様では、医薬組成物は、例えば、即時放出製剤または制御放出製剤、例えば、遅延放出粒子であり得る。他の態様では、ヘミチャネル遮断剤は、処置される領域への選択的送達のために、1つまたは複数の粒子の粒状製剤中に製剤化され得る。一部の実施形態では、粒子は、例えば、ナノ粒子、ナノスフェア、ナノカプセル、リポソーム、ポリマー性ミセルまたはデンドリマーであり得る。一部の実施形態では、粒子は、マイクロ粒子である得る。ナノ粒子またはマイクロ粒子は、生分解性ポリマーを含み得る。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、インプラントもしくはマトリックスとして調製もしくは投与されるか、または投与の部位への区画化された放出を提供するために製剤化される。
【0169】
一部の実施形態では、製剤化されたヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43またはコネキシン45ヘミチャネル遮断剤、好ましくはコネキシン43ヘミチャネル遮断剤である。本明細書で使用される場合、「マトリックス」には、例えば、ポリマー性マトリックス、生分解性または非生分解性マトリックスなどのマトリックス、およびヘミチャネル遮断剤を送達するためのインプラントまたは応用構造を作製するために有用な他の担体が含まれる。インプラントには、レザーバインプラントおよび生分解性マトリックスインプラントが含まれる。
【0170】
一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、例えば、マイクロニードル、マイクロニードルアレイ、針を使用して対象に投与されて、治療有効量のコネキシン43ヘミチャネル遮断剤を提供するか、またはインプラントが、ヘミチャネル遮断剤の投与に使用され得る。一部の実施形態では、マイクロニードルが、ヘミチャネル遮断剤を投与するために使用され得る。一部の実施形態では、マイクロニードルの貫通は、組織または臓器または臓器区画内の所望の深さに制御され得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、単独で、または他の薬物剤と共に、ヘミチャネル遮断剤でコーティングされ得る。一部の態様では、マイクロニードルによって投与されるヘミチャネル遮断剤および/または薬物剤の体積は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40 41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、295、もしくは300μlから、または列挙された数のいずれか2つの間の任意の範囲の体積、または任意の2つの列挙された数間の任意の体積であり得る。例えば、ナノ粒子もしくはマイクロ粒子製剤、またはマイクロニードルによって注射可能な他の製剤を含む、本発明の任意の適切な製剤が、マイクロニードル注射によって投与され得る。
コネキシンヘミチャネル遮断剤と、サイトカイン阻害剤または他の薬剤との組合せ
【0171】
一部の態様では、本発明における使用のためのVEGFアンタゴニストは、VEGFを阻害および/もしくは遮断する、またはVEGFの上流のアゴニストもしくはその受容体を阻害および/もしくは遮断する化合物または組成物である。一部の態様では、VEGFアンタゴニストとしては、例えば、VEGFに結合し、それを阻害するアンタゴニスト、VEGFの発現を阻害する化合物、および/またはVEGF阻害剤を含むか、またはVEGFもしくはVEGFRを遮断もしくは阻害するタンパク質もしくはアンチセンスポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターが挙げられる。一部の態様では、VEGFアンタゴニストは、例えば、抗体もしくは抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣物、受容体断片、組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子、または一本鎖可変断片(scFv)である。一部の態様では、VEGFアンタゴニスト抗体は、例えば、Lucentis(商標)(ラニビズマブ)、および/またはAvastin(商標)(ベバシズマブ)である。
【0172】
一部の態様では、VEGFに結合し、したがって、それを阻害するVEGF種の上流のアゴニストに対してアンチセンスであるVEGFアンタゴニストは、RTP801阻害剤またはREDD1ブロッカーであってもよい。一部の態様では、RTP801阻害剤またはREDD1ブロッカーは、REDD14NPまたはRTP801iとしても知られる、PF-655(Quark PharmaceuticalsおよびPfizerによる)であってもよい。一部の態様では、REDD1ブロッカーは、mRNA配列5’-AGCUGCAUCAGGUUGGCAC-3’(配列番号172)を有してもよい。
【0173】
本発明の一部の態様では、VEGFアンタゴニストは、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物、例えば、ペガプタニブナトリウム(Macugen(商標))、およびAGN-150998である。Macugen(商標)は、改変RNA配列、((2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Gm-Gm-A-A-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Am-Gm-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Gm-Am-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Gm-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Gm-(3’→3’)-dT)、α,α’-[4,12-ジオキソ-6-[[[5-(ホスホノオキシ)ペンチル]アミノ]カルボニル]-3,13-ジオキサ-5,11-ジアザ-1,15-ペンタデカンジイル]ビス[ω-メトキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)]との5’-エステル、ナトリウム塩(配列番号173)である。AGN-150998/MP0112は、VEGFに結合する小さいタンパク質である、抗VEGF DARPinである。
【0174】
本発明の一部の態様では、VEGFアンタゴニストは、例えば、アフリベルセプト(Eyelea(商標))またはコンベルセプトなどの組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは、ヒトIgG1のFc部分に融合したヒトVEGF受容体1および2の細胞外ドメインの部分からなる組換え融合タンパク質である。コンベルセプトは、ヒトIgG1の定常領域(Fc)に融合したVEGFR1の第2のIgドメインならびにVEGFR2の第3および第4のIgドメインから構成される組換え融合タンパク質である。
【0175】
一部の態様では、scFv VEGFアンタゴニストは、例えば、ESBA1008である。ESBA1008は、VEGFAを標的とするヒト化モノクローナル一本鎖FV(scFv)抗体断片である。
【0176】
一部の態様では、ウイルスベクターVEGFアンタゴニストは、AAV-sFLT01(「AVA-101」としても知られる)であってもよい。AAV2-sFlt01は、VEGFに結合する分泌型キメラタンパク質-sFLT01のための遺伝子構築物を担持するアデノ随伴ウイルスベクターである。sFLT01は、ヒト免疫グロブリンG重鎖Fc断片に連結されたFlt-1(sFlt01)のドメイン2からなるVEGF結合タンパク質であり、アデノ随伴ウイルス(AAV)と組合わされて、AAV2-sFlt01をもたらす。
【0177】
本発明の一部の態様では、VEGFアンタゴニストは、小分子、例えば、バタラニブ、セジラニブ、AL39324、パゾパニブ、TG100572、またはTG100801である。バタラニブ(N-(4-クロロフェニル)-4-(ピリジン-4-イルメチル)フタラジン-1-アミン)は、PTK787、PTK/ZK、またはCGP79787としても知られる。AZD2171、Recentin(商標)、ZD2171、またはCAS番号288383-20-0としても知られるセジラニブは、4-[(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ]-6-メトキシ-7-[3-(1-ピロリジニル)プロポキシ]-キナゾリンとしても知られる。リニファニブ、CAS番号796967-16-3、1145655-58-8(HCl塩として)、または796967-17-4(トリフルオロ酢酸塩として)としても知られるAL39324は、1-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-3-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)ウレアとしても知られる。Votrient(商標)、Armala(商標)、またはPatorma(商標)としても知られるパゾパニブは、5-[[4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸としても知られる。TG100801は、TG100572のプロドラッグバージョンであり、4-クロロ-3-(5-メチル-3-((4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-アミノ)ベンゾ[e][1,2,4]トリアジン-7-イル)p;4-クロロ-3-[5-メチル-3-[[4-[2-(1-ピロリジニル)エトキシ]フェニル]アミノ]-1,2,4-ベンゾトリアジン-7-イル]フェノール1-安息香酸としても知られる。
【0178】
一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、および抗サイトカイン処置剤を、共投与のために同時製剤化することができる。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤、および抗サイトカイン処置剤の製剤は、丸剤、液剤、ゲル剤、予め充填されたシリンジ、錠剤、点眼剤、または粒子に基づく製剤の一部であってもよい。
【0179】
ヘミチャネル遮断剤、例えば、比較的短いペプチドおよびペプチド模倣物を用いた場合、本発明の方法は、初期の高用量/高速開始用量(急速放出)、次いで、持続的維持低用量も想定する。別々の、または共通の投与については、急速もしくは減速放出;即時放出、遅延放出、徐放、もしくは持続放出;またはその組合せを提供するように製剤を調製することができる。製剤は、液体、溶液、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、滴下剤(限定されるものではないが、点眼剤など)、錠剤、顆粒剤、散剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油、フォーム、スプレー剤、ミスト剤、またはエアロゾル剤の形態にあってもよい。
コネキシンヘミチャネル遮断剤と、サイトカイン阻害剤または他の薬剤との組合せの製品/キット
【0180】
本発明の別の実施形態では、上記の疾患および障害を処置するのに有用な材料を含有する製品、または「キット」が提供される。キットは、サイトカイン阻害剤およびコネキシンヘミチャネル遮断剤を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる容器を含む。キットは、容器上の、またはこれに付随したラベルまたは添付文書をさらに含んでもよい。用語「添付文書」は、適応症、使用、投薬量、投与、禁忌および/または治療薬製品の使用に関する警告に関する情報を含有する、そのような治療薬製品の商業的パッケージに習慣的に含まれる使用説明書を指すために使用される。好適な容器としては、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどが挙げられる。容器を、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成させることができる。容器は、状態を処置するのに有効であるヘミチャネル遮断剤および/もしくはサイトカインアンタゴニスト、またはその製剤を保持することができ、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1種の活性剤は、ヘミチャネル遮断剤である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、本明細書に記載または言及される疾患、障害および/または状態のいずれかなどの選択された状態を処置するために使用されることを示す。ラベルまたは添付文書はまた、組成物を他の障害を処置するために使用することができることを示してもよい。あるいは、またはさらに、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、充填剤、針、およびシリンジを含む、商業的観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0181】
キットは、ヘミチャネル遮断剤、および存在する場合、サイトカイン阻害剤またはヘミチャネルモジュレーションに由来する別々の機構に対して作用して、本明細書に記載の対象を処置する他の薬剤の投与のための指示書をさらに含んでもよい。例えば、キットが、コネキシンヘミチャネル遮断剤を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる第1の組成物、および第2の医薬製剤を含む場合、キットは、それを必要とする患者への、第1および第2の医薬組成物の同時的、逐次的または別々の投与のための指示書をさらに含んでもよい。
【0182】
一態様では、キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝剤を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる第3の容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、充填剤、針、およびシリンジを含む、商業的観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0183】
一部の態様では、キットの第1および第2(および必要に応じて、第3)の組成物を、組み合わせて投与することができる、同時に投与することができる、別々に投与することができる、逐次的に投与することができる、または持続的様式で投与することができる。
【0184】
このようにして、1つまたは複数のコネキシンヘミチャネル遮断剤ペプチドもしくはペプチド模倣物および/または小分子ヘミチャネル遮断剤などの他の抗コネキシン剤を、単独で、またはモジュレーティング剤のいずれかと組み合わせて、医薬の製造、またはキットにおいて使用することもできる。好適なヘミチャネル遮断剤は、例えば、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx45、Cx50、Cx57または本明細書に記載される任意の他のコネキシンのブロッカーである。記載のように、キットは、パッケージングおよび使用説明書と一緒に、別々の容器中に、または分割した容器中に、1つまたは複数の医薬組成物を含んでもよい。キットはまた、薬学的に許容される担体を含んでもよい。一部の実施形態では、キットはまた、医薬組成物を投与するための成分、例えば、シリンジ、針、微小針、搭載可能な埋込み体、またはイオン導入デバイスを含んでもよい。コネキシンヘミチャネル遮断剤および本明細書に記載の処置パートナーを、独立に、または識別された量の組合せパートナー(a)および(b)との異なる固定された組合せの使用によって、すなわち、医薬品形態にあっても、ドレッシング/マトリックス形態にあっても、もしくはその両方にあっても、同時的に、別々に、もしくは逐次的に投与することができる。次いで、キットのパーツを、例えば、同時的に投与するか、またはキットパーツの任意の部分について異なる時点および等しいか、もしくは異なる時間間隔である、時間的に交互に投与することができる。
【0185】
ヘミチャネル遮断剤化合物、組成物または製剤および対象の処置のための使用のための使用説明書を含有する容器を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる製品も提供される。例えば、別の態様では、本発明は、対象の処置のための使用を含む、使用のための使用説明書と一緒に、治療有効量の1つまたは複数のコネキシンヘミチャネル遮断剤ペプチドもしくはペプチド模倣物および/または他のヘミチャネル遮断剤を、単独で、または任意の抗サイトカイン剤の組合せ中に含有する容器を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる製品を含む。
【0186】
一部の態様では、製品は、1つまたは複数のコネキシンヘミチャネル遮断剤ペプチドもしくはペプチド模倣物または小分子ヘミチャネル遮断剤などの別のヘミチャネル遮断剤を、単独で、または組み合わせて含むマトリックスを含んでもよい。好適なコネキシンヘミチャネル遮断剤は、例えば、抗コネキシン43または45ヘミチャネル遮断剤であってもよい。
用量、量および濃度
【0187】
理解されるように、投与されるヘミチャネル遮断剤の用量、投与の期間、および一般的な投与レジメンは、それが送達される標的部位、処置しようとする対象の任意の症状の重症度、処置しようとする障害の種類、単位用量のサイズ、選択される投与方式、ならびに対象の年齢、性別および/または一般的な健康および当業者に公知の他の因子などの変数に応じて対象間で異なっていてもよい。
【0188】
本明細書に記載の疾患、障害または状態の処置のために使用することができる有効用量の例が記載される。一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤の治療有効量は、約0.001~約1.0マイクログラム/ml、もしくは約0.001~約0.01mg/ml、もしくは約0.1mg/mL~約100mg/mLの濃度もしくはそれより高い濃度、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲もしくは任意の2つの記載された数の間の任意の用量である。用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg/mlまたは任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された数の間の任意の用量であってもよい。一部の実施形態では、治療有効量のヘミチャネル遮断剤は、約0.5~約50mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.3~約30mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.1または1.0~約10mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.1または1.0~約0.3または3.0mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約3.0mg/mLの濃度で存在する。
【0189】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤を、約0.001~約100mg/kg、約0.001~約0.01mg/kg、約0.01~約0.1mg/kg、0.1~約1mg/kg、約1~約10mg/kg、または約10~約100mg/kgの治療有効量、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の用量で投与することができる。一部の態様では、用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg/mlまたは任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された数の間の任意の用量であってもよい。
【0190】
投与は、必要に応じて、単回1日用量、いくつかの個別の分割用量の投与、または連続投与を含んでもよいことが理解されるべきである。例として、単位用量を、1日あたり1回または1回より多く、例えば、1日に1、2、3、4、5または6回投与して、所望の合計1日用量を達成することができる。例として、ヘミチャネル遮断剤の単位用量を、単回1日用量もしくはいくつかの個別用量で、または連続的に投与して、およそ0.1~10mg、10~100mg、100~1000mg、1000~2000mg、または2000mg~5000mg、0.1~およそ2000mg、およそ0.1~およそ1000mg、およそ1~およそ500mg、およそ1~およそ200mg、およそ1~およそ100mg、およそ1~およそ50mg、またはおよそ1~およそ25mgの1日用量、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の用量を達成することができる。
【0191】
さらなる例として、ヘミチャネル遮断剤の単位用量を、合計1日用量が、およそ1~およそ1000mg、例えば、およそ1~およそ500mg、または500mg~1000mg、1000~2000mg、または2000mg~5000mgの範囲、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の用量(70kgの成人について)にあるように、1日1回または1回より多く(例えば、1日1、2、3、4、5または6回、典型的には、1~4回)投与することができる。例えば、Peptagonなどのヘミチャネル遮断剤、および/またはそのアナログ、式Iの化合物、例えば、Xiflam、および上記化合物のいずれかのアナログを、およそ0.01~およそ15mg/kg/日、例えば、およそ0.1~およそ6mg/kg/日、例えば、およそ1~およそ6mg/kg/日、例えば、6mg/kg/日~100mg/kg/日の用量範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の用量で対象に投与することができる。一実施形態では、Xiflamを、1日1回、およそ2mg~およそ40mgの用量で経口投与することができる。
【0192】
一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤の用量は、作用部位でおよそ0.001マイクロモル濃度~0.1マイクロモル濃度、0.1マイクロモル濃度~最大およそ200マイクロモル濃度であるか、または作用部位でこれらの濃度を達成するために循環中ではより高い。例として、用量は、(限定されるものではないが)約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500マイクロモル濃度の最終循環濃度、または任意の2つの記載された濃度の間の任意の範囲、または任意の2つの記載された数の間の任意の濃度であってもよい。非共役ギャップジャンクションではなく、ヘミチャネルを遮断すると予想される用量のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれる、O'Carroll et al, 2008に記載されている。一部の実施形態では、Xiflamを、より低用量で、例えば、0.001~20マイクロモル濃度で使用することができる。低用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20マイクロモル濃度であってもよい。
【0193】
一実施形態では、Peptagonなどのヘミチャネル遮断剤および/またはそのアナログの用量は、作用部位でおよそ0.001マイクロモル濃度~最大およそ200マイクロモル濃度、または200~2000もしくは5000マイクロモル濃度、または作用部位でこれらの濃度を達成するために循環中ではより高い。例として、用量は、(限定されるものではないが)約1、5、10、20、50、100、200、250、500、1000、2000、3000、4000、もしくは5000マイクロモル濃度の最終循環濃度、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の用量であってもよい。非共役ギャップジャンクションではなく、ヘミチャネルを遮断するのに有効なPeptagonの用量は、O'Carroll et al, 2008で考察されている。
【0194】
一部の実施形態では、Xiflamを、より低用量で、例えば、1~20マイクロモル濃度、1~50マイクロモル濃度、20~30、30~40または40~50マイクロモル濃度で使用することができる。低用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20マイクロモル濃度であってもよい。
【0195】
一部の実施形態では、そのヘミチャネル遮断剤の好適な治療有効用量は、少なくとも約1.0mg/mLのヘミチャネル遮断剤であってもよい。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤の治療有効用量は、約0.001mg/mL~0.01mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、または約0.1mg/mL~約100mg/mLであってもよい。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤の好適な治療有効用量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0、52.5、55.0、57.5、60.0、62.5、65.0、67.5、70.0、72.5、75.0、77.5、80.0、82.5、85.0、87.5、90.0、92.5、95.0、97.5、もしくは約100.0μg/mL、または任意の2つの記載された用量の間の任意の範囲もしくはサブ範囲、または約0.1~約100μg/mLの範囲内にある任意の用量であってもよい。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤の好適な治療有効用量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0、52.5、55.0、57.5、60.0、62.5、65.0、67.5、70.0、72.5、75.0、77.5、80.0、82.5、85.0、87.5、90.0、92.5、95.0、97.5、もしくは約100.0mg/mL、または任意の2つの記載された用量の間の任意の範囲もしくはサブ範囲、または約0.1~約100mg/mLの範囲内にある任意の用量であってもよい。一部の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.5~約50mg/mLの範囲の濃度で存在する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.3~約30mg/mLの範囲の濃度で存在する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.1または1.0~約10mg/mLの範囲の濃度で存在する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約0.1または1.0~約0.3または3.0mg/mLの範囲の濃度で存在する。他の実施形態では、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤、および/またはコネキシン45ヘミチャネル遮断剤などのヘミチャネル遮断剤は、約3.0mg/mLの濃度で存在する。これらの態様のいずれかにおいて、ヘミチャネル遮断剤は、コネキシン43またはコネキシン45ヘミチャネル遮断剤であってもよい。ヘミチャネル遮断剤が改変または非改変ペプチドまたはペプチド模倣物である場合、その用量は、1~10、25~50、100~200、または1000倍減少してもよい。
【0196】
ある特定の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤を、処置部位で、および/または処置部位に隣接して、約0.001マイクロモル濃度(μM)または0.05μM~約200μM、または最大300μMまたは最大1000μMまたは最大2000μMまたは最大3200μMまたはそれより高い、例えば、最大約10mM、20mM、または30mMの最終濃度で、ならびにこれらの用量の数値内の任意の用量および用量範囲で投与することができる。一実施形態では、ヘミチャネル遮断剤組成物は、約1000μMより高い濃度で適用される。好ましくは、ヘミチャネル遮断剤組成物は、約1000μM~約10mMの最終濃度で適用され、より好ましくは、抗コネキシン剤組成物は、約3mM~約10mMの最終濃度で適用され、より好ましくは、ヘミチャネル遮断剤組成物は、約1~3mM~約5~10mMの最終濃度で適用される。ヘミチャネル遮断剤濃度は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100マイクロモル濃度;または0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100ミリモル濃度、または任意の2つの記載された投薬量の間の任意の範囲または任意の2つの記載された数の間の任意の用量であってもよい。
【0197】
さらに、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、約1μM~約50μMの最終濃度で製剤中に存在してもよく、あるいは、コネキシン43ヘミチャネル遮断剤は、例えば、約5μM~約20μMの最終濃度で、または約10~約15μMの最終濃度で存在する。ある特定の他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約10μMの最終濃度で存在する。さらに別の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約1~15μMの最終濃度で存在する。他の実施形態では、ヘミチャネル遮断剤は、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、10~200μM、200~300μM、300~400μM、400~500μM、500~600μM、600~700μM、700~800μM、800~900μM、900~1000もしくは1000~1500μM、または1500μM~2000μM、2000μM~3000μM、3000μM~4000μM、4000μM~5000μM、5000μM~6000μM、6000μM~7000μM、7000μM~8000μM、8000μM~9000μM、9000μM~10,000μM、10,000μM~11,000μM、11,000μM~12,000μM、12,000μM~13,000μM、13,000μM~14,000μM、14,000μM~15,000μM、15,000μM~20,000μM、20,000μM~30,000μM、30,000μM~50,000μM、もしくはそれより高い濃度、または任意の2つの記載された用量の間の任意の範囲もしくはサブ範囲、または約20μM~約50,000μMの範囲内にある任意の用量で存在する。
【0198】
さらに他の用量レベルは、約1ナノグラム(mg)/kg~約1mg/kg体重/日の本明細書に記載のそれぞれのヘミチャネル遮断剤である。ある特定の実施形態では、対象となる化合物のそれぞれの投薬量は、一般的には、約1ng~約1マイクログラム/kg体重、約1ng~約0.1マイクログラム/kg体重、約1ng~約10ng/kg体重、約10ng~約0.1マイクログラム/kg体重、約0.1マイクログラム~約1マイクログラム/kg体重、約20ng~約100ng/kg体重、約0.001mg~約0.01mg/kg体重、約0.01mg~約0.1mg/kg体重、または約0.1mg~約1mg/kg体重の範囲にある。ある特定の実施形態では、対象となる化合物のそれぞれの投薬量は、一般的には、約0.001mg~約0.01mg/kg体重、約0.01mg~約0.1mg/kg体重、約0.1mg~約1mg/kg体重の範囲にある。1つより多いヘミチャネル遮断剤が使用される場合、それぞれのヘミチャネル遮断剤の投薬量は、他のものと同じ範囲にある必要はない。例えば、あるコネキシンヘミチャネル遮断剤の投薬量は、約0.01mg~約10mg/kg体重であってよく、別のコネキシンヘミチャネル遮断剤の投薬量は、約0.1mg~約1mg/kg体重、0.1~約10、0.1~約20、0.1~約30、0.1~約40、または約0.1~約50mg/kg体重であってもよい。投薬量はまた、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg/kg体重、または任意の2つの記載された用量の間の任意の範囲もしくはサブ範囲、または約0.001~約100mg/kg体重の範囲内にある任意の用量であってもよい。
【0199】
上記のように、ヘミチャネル遮断剤、例えば、コネキシン43または45ヘミチャネル遮断剤の用量を、単回適用または分割適用で投与することができる。用量を、1回投与するか、または適用を繰り返すことができる。典型的には、適用は、本明細書に記載の任意の疾患、障害または状態を防止する、減速させる、または処置するのに必要とされる通り、毎週、2週毎、または3週毎、1ヶ月毎、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24ヶ月毎に、またはそれより多く繰り返される。サイトカインレベルまたは活性が望まれていない、または望ましくないレベルまで増加する場合、用量を、繰り返す、および/または増加もしくは減少させてもよい。用量はまた、12時間毎~7日空けて、またはそれより長く空けて適用してもよい。例えば、用量を、12時間、または1、2、3、4、5、6、もしくは7日空けて、またはこれらの時間の任意の2つの間もしくは12時間~7日間にある任意の時間間隔で適用してもよい。コネキシン43ヘミチャネル遮断剤を、例えば、最大4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24または26週にわたって投与してもよい。一部の適応症については、より頻繁な投薬を用いることができる。
組合せ製品
【0200】
一部の態様では、ヘミチャネル遮断剤を、本明細書に記載の1つまたは複数の疾患、障害および状態の処置のための別々の医薬または組合せ医薬の製造において、サイトカインアンタゴニストと一緒に使用することができる。
【0201】
本発明において有用なヘミチャネル遮断剤を、単独で、または標的疾患、障害または状態を処置するのに有用な別の治療剤と組み合わせて投与することができる。一部の態様では、式Iの化合物、例えば、Xiflam、および/または上記化合物のいずれかのアナログもしくはプロドラッグ、またはPeptagonまたはそのアナログもしくはプロドラッグなどのペプチド模倣物、または別のヘミチャネル遮断剤を、ヘミチャネルのモジュレーションが有益であり得る障害の処置のためのサイトカインアンタゴニストと一緒に使用することができる。ヘミチャネル遮断剤の投与は、サイトカインアンタゴニストの投与と同時、その後、またはその前であってもよい。
【0202】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)ヘミチャネル遮断剤および(b)サイトカインアンタゴニストなどの1つまたは複数のさらなる活性剤を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる組合せ製品であって、成分(a)および(b)が同時的または逐次的投与のために適合化されている、組合せ製品を提供する。ヘミチャネル遮断剤とさらなる活性剤が同じか、または別々の容器中にある、医薬組成物を保存および/または投与するのに好適な任意の容器を、本発明のヘミチャネル遮断剤組合せ製品のために使用することができる。
【0203】
本発明の特定の実施形態では、本発明による組合せ製品は、少なくとも1つの成分が投与されるが、他の成分が処置される対象に対する効果を依然として有しているような様式で使用される。
製造および純度
【0204】
抗体および結合断片ならびにペプチド模倣物およびペプチドアナログを含む、ペプチドおよびポリペプチドを合成する方法を、好適な方法を使用して実施することができる。例えば、Lihu Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1; 95(18): 10836-10841 (Sept 1 1998);Harlow and Lane (1988) "Antibodies: A Laboratory Manuel" Cold Spring Harbor Publications, New York;Harlow and Lane (1999) "Using Antibodies" A Laboratory Manuel, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照されたい。
【0205】
一部の実施形態では、本発明の製剤は、実質的に純粋である。実質的に純粋とは、製剤が、約10%、5%、または1%未満、好ましくは、約0.1%未満の任意の不純物を含むことを意味する。一部の実施形態では、コネキシン43モジュレーティング剤の代謝物を含む総不純物は、1~15%以下である。一部の実施形態では、コネキシン43モジュレーティング剤の代謝物を含む総不純物は、2~12%以下である。一部の実施形態では、コネキシン43モジュレーティング剤の代謝物を含む総不純物は、3~11%以下である。他の実施形態では、コネキシン43モジュレーティング剤の代謝物を含む総不純物は、4~10%以下である。
【実施例0206】
これらの実施例に記載される研究は、不死化ヒト網膜色素上皮細胞系(ARPE-19)を使用して、サイトカイン放出ならびにコネキシン43の発現および局在化に対する高グルコースおよび炎症の作用を評価するために行われた。細胞を、強力な炎症性サイトカインであるIL-1βとTNF-αの組合せに曝露することによって、炎症を誘導した。Zhou, J., et al. Role of intravitreal inflammatory cytokines and angiogenic factors in proliferative diabetic retinopathy. Current Eye Research, 37:416-420 (2012)。試験された放出されたサイトカインは、IL-6(炎症性サイトカイン)、IL-8(好中球走化性因子)、MCP-1(単球化学誘引物質)およびsICAM-1(白血球内皮細胞接着因子)、文献中で広く研究されているサイトカイン(概説については、Tang, J, and Kern, TS. Inflammation in diabetic retinopathy. Progress in Retinal and Eye Research, 30(5), 343-358 (2011)を参照されたい)、ならびにVEGF(血管形成の刺激因子)を含み、それらは全て、糖尿病性網膜症患者の硝子体において上昇していることがわかった(Zhou et al. supra;Abu El Asrar, A. M., et al. (1992). Cytokines in the Vitreous of Patients With Proliferative Diabetic Retinopathy. American Journal of Ophthalmology, 114:731-736 (1972))。次いで、疾患プロセスにおけるコネキシンヘミチャネルの役割を、ヘミチャネル開口を阻害するコネキシン43ヘミチャネル遮断剤を使用して評価した。
(実施例1)
方法
【0207】
細胞培養-ヒト成人網膜色素上皮細胞(ARPE-19;American Type
Culture Collection、Manassas、VA)を、加湿5%COインキュベータ中、37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS;Invitrogen)および1×抗生物質および抗真菌剤混合物(AA、100×ストック)を補充したダルベッコ改変イーグル培地栄養混合物F-12培地(DMEM-F12;Thermofisher Scientific Inc.、USA)中で培養した。細胞をT75フラスコ中で増殖させ、集密および実験の準備が整うまで週あたり2回、培地を交換した。
【0208】
高グルコースおよび/またはサイトカイン攻撃-6~12回の継代で、免疫組織化学的試験のためには8ウェルチャンバースライドまたはATP放出アッセイおよびサイトメトリービーズアレイ分析のためには24ウェルプレート中、2.5×10細胞/mLで細胞を播種した。一度集密に達したら、培養培地を、1×AAを含有する無血清DMEM-F12中での処置に交換した。一部の培養物を、15mMグルコース(高グルコース(高グルコース)群)、炎症性サイトカイン10ng/mLのTNF-α(Peprotech、USA)と10ng/mLのIL-1β(Peprotech、USA)の組合せ(サイトカイン群)、または高グルコース、10ng/mLのTNF-αおよび10ng/mLのIL-1βの組合せ(高グルコース+サイトカイン群)で攻撃した。未処置群は、さらなる処置を受けずに培地交換を受けた(基底群)。全ての評価を、処置の24h後に行った。
【0209】
ヘミチャネル遮断剤処置-ペプチド5(H-Val-As-Cys-Phe-Leu-Ser-Arg-Pro-Thr-Glu-Lys-Thr-OH;China Peptides、China)を、高グルコースおよび炎症性サイトカインで攻撃した細胞に投与した。濃度依存的効果を、24h後、5、10、25および50μMのPeptagonで試験した。これらの濃度は、ギャップジャンクション細胞間共役に対する最小限の効果でコネキシン43ヘミチャネルを遮断することが示された。O'Carroll, SJ, et al. Connexin43 mimetic peptides reduce swelling, astrogliosis, and neuronal cell death after spinal cord injury. Cell communication & adhesion, 15:27-42 (2008)。
【0210】
サイトメトリービーズアレイを使用するサイトカインおよびケモカイン測定-ARPE-19インキュベーション培地中の可溶性サイトカインおよびケモカインを、多重化ビーズ系イムノアッセイであるサイトメトリービーズアレイ(CBA、BD Biosciences、USA)を使用して同時的に測定した。50μL容量の3回分の試験を、24h後に24ウェルプレート中の2連の培養物から採取し、96ウェルプレート中に移し、CBAアッセイのために使用した。分析は、1群あたり6回の試験を含んでいた。アッセイを、製造業者の使用説明書に従って行った。簡単に述べると、それぞれのサイトカインについて0~5000pg/mLの範囲の10点標準曲線を、各キット中に提供されたサイトカイン標準を使用して調製した。測定されたサイトカインは、ヒト可溶性CD54(sICAM-1、カタログ番号560269、BD Biosciences、USA)、IL-6(カタログ番号558276)、IL-8(カタログ番号558227)、およびMCP-1(カタログ番号558287)であった。試料およびサイトカイン標準を、捕捉ビーズ混合物中で1hインキュベートし、各サイトカインに対するフィコエリトリン(PE)コンジュゲート化抗体を、室温で2hインキュベーションのために試料-ビーズ混合物に添加した。使用した全ての緩衝剤は、CBAヒト可溶性タンパク質マスター緩衝剤キット(カタログ番号558265、BD Biosciences、USA)からのものであった。ビーズを洗浄し、Accuri C6フローサイトメーター(BD Biosciences、USA)を使用して分析した。それぞれのビーズクラスターに関する平均蛍光強度を、以前に記載されたように(O'Carroll et al., 2015)FCAP Array(商標)ソフトウェア(BDバージョン3.1)を使用して10点標準曲線に基づいてサイトカイン濃度に変換した。
【0211】
ATP放出アッセイ-処置培地中で24hインキュベートした後、24ウェルプレートの2連のウェルから採取した50μLの培養培地を使用して3連で、ATP放出を測定した。試料のサイズは1群あたり6であり、別の実験において3回反復した。培養培地中に放出されたATPを、製造業者の使用説明書に従ってATPlite Luminescence ATP Detection Assay System(PerkinElmer、USA)を使用して測定した。ペプチド5により処置された培養物(処置群)中でのATP放出(%)を、式:(処置群のOD490-傷害群のOD490)/(傷害群のOD490)×100%を使用して、高グルコースおよびサイトカインで処置した細胞(傷害群)に対して算出した。
【0212】
免疫組織化学分析-処置培地中で24hインキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、リン酸緩衝食塩水(PBS)中の0.1%Triton X-100を用いて10分間透過処理した。次いで、細胞を、マウス抗NLRP3(1:100;Abcam、USA)と共に4℃で一晩インキュベートした後、PBS中で15分間、3回洗浄した。ヤギ抗マウスCy3(1:500;Jackson Immuno Research、USA)二次抗体を、スライドに適用し、室温で3hインキュベートした。二次抗体のみの対照は、非特異的標識化を示さなかった。細胞核を、DAPI(1:1000;Sigma-Aldrich、USA)で染色した。細胞を洗浄し、Citifluor(商標)蛍光減衰防止試薬を使用してマウントし、カバースリップをマニキュア液で密封した。標識化を、別の実験において3回反復した。
【0213】
画像分析-全ての画像を、オリンパスFV1000共焦点レーザー走査顕微鏡(オリンパス株式会社、日本国東京)上で撮影し、FV-10 ASW 3.0 ViewerおよびImageJソフトウェアバージョン1.46r(National Institutes of Health、USA)を使用してプロセシングした。
【0214】
NLRP3免疫標識の定量化-NLRP3免疫組織化学分析のために、ウェルあたり4つの画像を分析し、全実験を3回反復した。
【0215】
ImageJを使用して、各画像をそのRGBチャネルに分割したが、NLRP3については赤色チャネルおよびDAPIについては青色チャネルで示される。それぞれのNLRP3画像を、バイナリー画像に変換し、等しい閾値を全画像に適用して、バックグラウンドを低減させた。鮮鋭化フィルターを使用して、NLRP3複合体のみ、およびノイズスペックリングとは関係なくインフラマソーム計数を可能にするように設定された上下サイズ閾値、およびより大きい核を強調した。NLPR3スポットの数を、各画像について計数した。
【0216】
統計分析-データを、算術平均±標準偏差として表す。群間の統計比較を、一元配置分散分析を使用して行った。それぞれのデータ点を、他の全てのデータ点と一連に比較する場合、ポストホックTukey多重比較検定を使用した。それぞれのデータ点を、1つのデータ点のみと比較する場合、ポストホックDunnett多重比較検定を使用した。それぞれのデータセットについて使用した特定の統計的方法を、図の凡例に提示する。P<0.05を、統計的に有意と考えた。全ての統計分析を、GraphPad Prism 6を使用して実施した。
(実施例2)
高グルコース+サイトカインの同時適用は、IL-6、sICAM-1、MCP-1、IL-8およびVEGF分泌を増加させた。
【0217】
炎症経路のサイトカインの分泌に対する、高グルコースおよび炎症性サイトカインの個別的適用または組合せ適用の効果を評価した。高グルコースは、基底レベルと比較してIL-6またはsICAM-1、MCP-1またはIL-8の放出を刺激しなかった(図1)。サイトカイン単独では、基底条件と比較して、sICAM-1レベルの有意な変化を誘導しなかったが、より高レベルのIL-6(p≦0.0001)、MCP-1(p=0.0002)およびIL-8(p≦0.0001)を誘導した。しかしながら、高グルコースとサイトカインの両方の同時適用は、基底、高グルコースのみ、およびサイトカインのみと比較して、はるかにより高いIL-6、sICAM-1、MCP-1およびIL-8放出をもたらした(全部についてp≦0.0001)(図1)。この増加は、炎症サイトカインのみを用いた場合よりも2~3倍高かった。
【0218】
VEGFの分泌も評価した。別々に添加した場合、炎症サイトカインも、高グルコースも、基底レベルと比較して、VEGFに対する有意な効果を有していなかった(図2)。しかしながら、炎症サイトカインと高グルコースの組合せは、VEGF放出を有意に増加させ(p<0.0001)、VEGF濃度はそのベースラインレベルの2倍を超えていた。
(実施例3)
コネキシンヘミチャネル遮断は、高グルコースとサイトカインの同時適用後にIL-6、IL-8、sICAM-1、MCP-1およびVEGFの発現を減少させる
【0219】
高グルコースおよびサイトカインにより媒介される病理におけるコネキシン43ヘミチャネルの役割を評価するために、細胞を、コネキシンヘミチャネルのよく確立されたブロッカーであるPeptagonに曝露した。結果は、Peptagonが、IL-6、IL-8、sICAM-1、およびMCP-1の分泌を有意に低下させたことを示す(図3、全部についてp<0.0001)。Peptagon処置に関してIL-6、IL-8およびMCP-1分泌における濃度依存的減少に向かうわずかな傾向があったが、sICAM-1については、全てのペプチド濃度が同じ効果を有していた。さらに、コネキシンヘミチャネル遮断剤を添加した場合、VEGF放出も完全に停止し、細胞外濃度はほぼベースラインレベルまで低下し、ベースラインと、高グルコース+サイトカイン+ペプチド5処置群との間に統計的有意性はなかった(p=0.98)(図2)。
(実施例4)
コネキシンヘミチャネル遮断は、高グルコース+サイトカインにより誘導されるATP放出を停止させる
【0220】
サイトカインはコネキシンヘミチャネルを通過するには大きすぎ、本発明者らの研究室における以前の研究は、開いたコネキシン43ヘミチャネルがATPを放出させることを示唆した。ATP放出の増加は、インフラマソーム活性化およびサイトカイン放出を引き起こし、ATP放出を、高グルコースおよびサイトカイン傷害後に、ならびに追加のペプチド5処置に応答して評価した。結果は、24hで、高グルコースとサイトカインの同時適用が高レベルのATP放出をもたらし(図4)、基本的にはARPE-19細胞によって放出されたレベルの2倍である(p=0.0003)ことを示した。Peptagonを用いたヘミチャネル遮断剤処置は、高グルコースおよびサイトカインと比較してATP放出を有意に低下させ(p=0.0171)、Peptagon処置群と、基底条件との間に統計的有意差はなかった(p=0.1119)。
(実施例5)
外因性細胞外ATPはIL-6、sICAM-1、MCP-1、IL-8またはVEGF放出を誘導しないが、IL-6、IL-8およびVEGF放出に対するコネキシンヘミチャネル遮断保護を逆転させる。
【0221】
放出されたATPを、高グルコースとサイトカインの同時適用後に評価して、ATPが単独でサイトカイン放出を誘導するのに十分であるかどうかを決定した。表Aに示されるように、結果は、ARPE-19細胞を10nMの外因性ATPに曝露することにより、IL-6、sICAM-1、IL-8またはVEGF分泌の変化は起こらなかったが、基底条件と比較してMCP-1放出の減少は引き起こされた(p≦0.0001)ことを示した。
【表A】
【0222】
10nMの外因性ATPがサイトカイン放出を単独で誘導するのに十分ではなかったことを考慮して、さらなる実験を行って、細胞を高グルコース、サイトカインおよびPeptagonに曝露しながら、同じ濃度のATPを細胞外環境に添加することが、炎症サイトカイン分泌のPeptagon媒介性遮断を覆し得るかどうかを決定した。結果は、IL-6、MCP1およびIL-8放出に関して肯定的であり、外因性ATPの存在は、傷害レベルに向かって戻るサイトカインの分泌をもたらした(図5)。外因性ATPの存在下ではsICAM-1放出の増加に向かう傾向があったが、それは統計的有意性には達しなかった。しかしながら、外因性細胞外ATPの添加は、VEGF放出に対するPeptagonヘミチャネル遮断の効果を完全に覆し、VEGFレベルは再び有意に増加した(図2)。
【0223】
これらの結果がインフラマソーム複合体集合の調節によるものであるという事実を、NLRP3インフラマソーム複合体の免疫組織化学的標識化を使用して示した。不活性NLRP3は、通常、細胞質内に分散するが、インフラマソーム活性化の際に、オリゴマー化はインフラマソーム複合体内に複数のNLRP3コピーを濃縮し、それらを、免疫組織化学的標識化を用いて可視化させる。高グルコースと炎症サイトカインの添加の際に、複数の複合体が、ARPE-19細胞内で標識された(図6A中の小さいスポット)。順に、Peptagonヘミチャネル遮断剤の添加は、インフラマソーム集合を遮断し(図6B)、細胞質中でわずかな標識化が見られた(注:この抗体は全ての条件下で高核バックグラウンドを与える)が、外因性ATPの添加は、処置を覆し、インフラマソーム複合体は再び細胞質内で形成することが見られた(図6Cにおいて定量化された)。
考察
【0224】
これらの実施例は、ヘミチャネルモジュレーションによるサイトカインの産生および放出または分泌に対する直接的かつ即時的効果を含むヘミチャネル遮断の新規作用の驚くべき発見を示す。驚くべきことに、コネキシンヘミチャネルがサイトカイン放出において媒介し、重要な役割を果たすことが発見され、その発見は、全体的または部分的に、サイトカイン活性による、重要なことに、VEGFを介する血管新生サイトカイン活性によることを特徴とする様々な疾患、障害および状態の処置において重要な関係を有する。
【0225】
さらに、驚くべきことに、ヘミチャネル遮断剤が炎症メディエーターであるIL-6、sICAM-1、MCP-1およびIL-8の放出を低下させることができることも発見された。IL-6およびsICAM-1の放出は、細胞ストレスおよび炎症のレベルの変化を示す。炎症性サイトカインであるIL-6は、「死」シグナルであり、その発現は、細胞が炎症ストレスに曝露される時に増加する(Planck et al., 1992)。他方、sICAM-1は、細胞表面から切断され、細胞表面への白血球付着を制御する調節分子として作用することができる(Miyamoto et al., 2000)。MCP-1およびIL-8は、白血球の動員に関与し、炎症応答を悪化させる。総合すると、これらの実施例および本明細書における知見は、5μM程度の濃度のヘミチャネル遮断剤の使用が、炎症メディエーターの分泌の統計的に有意な減少をもたらすという考えを支持する。しかしながら、これらの分子は約1kDaのサイズ制限を有するギャップジャンクションヘミチャネルを通って移動するには大きすぎるため、コネキシンヘミチャネルによるサイトカイン放出の調節は、直接的ではない。
【0226】
最後に、ヘミチャネル遮断剤の1回の使用が、VEGF放出をベースラインレベルまで低下させたことは重要である。このようにして、それは第1の例において過剰のVEGF(および他の炎症サイトカイン)放出を防止する新しい上流の手法を提供し、例えば、慢性炎症疾患の処置のための基礎を形成する。
引用文献
【化4-1】

【化4-2】

【化4-3】

【化4-4】

【化4-5】

【化4-6】

【化4-7】
【0227】
本明細書に記載され、特許請求される発明は、限定されるものではないが、この詳細な開示で説明または記載または参照されたものを含む多くの属性および実施形態を含む。これは包括的であると意図するものではなく、本明細書に記載され、特許請求される発明は、この詳細な開示で確認される特徴または実施形態に限定されないか、またはそれによって限定されず、このような特徴または実施形態は、単に例示の目的で含まれ、限定ではない。当業者であれば、多くの成分およびパラメーターが、ある程度変化するか、もしくは改変されてもよく、または本発明の範囲から逸脱することなく、公知の等価物に置換されてもよいことを容易に認識するであろう。そのような改変および等価物はあたかも個別に説明されたかのように本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。本発明はまた、本明細書で言及されたか、または示された全てのステップ、特徴、組成物および化合物を、個別的または集合的に含み、また、任意の2つまたはそれより多い前記ステップまたは特徴の任意かつ全ての組合せを含む。
【0228】
本明細書で参照または記載される全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、ならびにその他の文献および材料は、本発明が属する当業者の技術レベルを示し、それぞれのそのような参照された文献および材料は、あたかもその全体が個別的に参照により本明細書に組み込まれたか、またはその全体が本明細書に記載されたのと同じ程度で、これにより参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、任意のそのような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手できる情報、およびその他の参照された材料または文献に由来する任意かつ全ての材料および情報を、本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。本明細書における任意の出願、特許および刊行物に対する参照は、それらが正当な先行技術を構成するか、または世界の任意の国における共通の一般知識の一部を形成するとの承認でも、いかなる形態の示唆でもなく、またそう取られるべきでもない。
【0229】
本明細書に記載の特定の方法および組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であり、本発明の範囲に対する限定と意図されるものではない。本明細書を考慮する当業者であれば、他の目的、態様および実施形態を想到し、それらは特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の中に包含される。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される発明に対して、様々な置換および改変を加えることができることが、当業者に容易に明らかとなるであろう。好適には、本明細書に例示的に記載される発明を、本明細書に必須であると具体的に開示されない、任意の要素もしくは複数の要素、または限定もしくは複数の限定の非存在下で実施することができる。このようにして、例えば、本明細書のそれぞれの例において、また、本発明の実施形態または実施例において、用語「含む」、「本質的にからなる」、および「からなる」のいずれかを、本明細書において他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。好適には、本明細書に例示的に記載される方法およびプロセスを、異なるステップの順序で実施することができ、それらは本明細書または特許請求の範囲に示されるステップの順序に必ずしも限定されない。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、本文が別途明確に記述しない限り、複数の参照を含む。いかなる状況でも、特許は、本明細書に具体的に開示される特定の実施例または実施形態または方法に限定されると解釈されてはならない。いかなる状況においても、特許は、米国特許商標庁のいずれの審査官またはその他の役人もしくは従業員によってなされた陳述が、具体的かつ無制限または無条件に出願人による応答文書で明示的に採用されない限り、このようないずれの陳述によっても限定されないと解釈される。さらに、表題、見出しなどは、本文献の読者の理解を促進するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定すると読まれるべきではない。本明細書に記載の本発明の態様、実施形態または成分の例はいずれも、非限定的であると考えられるべきである。
【0230】
使用されてきた用語および表現は、限定の用語ではなく、説明の用語として使用されるものであり、示され、記載された特徴またはその一部の任意の等価物を排除する意図は、そのような用語および表現の使用にはないが、様々な改変が、特許請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。このようにして、本発明を好ましい実施形態および必要に応じた特徴によって具体的に開示してきたが、当業者であれば、本明細書に開示される概念の改変および変形形態を頼ることができ、そのような改変および変形形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるであろう。
【0231】
本発明は、本明細書に広く、かつ一般的に記載されてきた。一般的開示内にあるより狭い種および亜属群のそれぞれも、本発明の一部を形成する。これは、切り出された材料が本明細書に具体的に記載されるか否かに関係なく、属に由来する任意の主題を除去する条件付きで、または負の限定で、本発明の一般的記載を含む。
【0232】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群の形態で記載される場合、当業者であれば、本発明がまた、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの形態で記載されることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2023166585000001.app
【外国語明細書】