IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-噴霧装置 図1
  • 特開-噴霧装置 図2
  • 特開-噴霧装置 図3
  • 特開-噴霧装置 図4
  • 特開-噴霧装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166611
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20231114BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20231114BHJP
   A47K 13/10 20060101ALI20231114BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E03D9/00 C
E03D9/08 A
A47K13/10
E03D11/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158154
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2021149975の分割
【原出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 浩和
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 嵩正
(72)【発明者】
【氏名】山口 純平
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】森 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
(57)【要約】
【課題】使い勝手を良くできる噴霧装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置Rに備えられ、便鉢部13を有する便器本体10及び前記便器本体10の上面に配置される便座装置40の少なくともどちらかの第1の所定領域にミストを噴霧する噴霧装置47であって、前記便座装置40は便座11を有し、前記噴霧装置47を制御する制御装置49は、前記便座11が、倒伏状態から起立状態へ回転移動したときに、前記噴霧装置47を停止した状態、及び、前記第1の所定領域よりも上端位置が低い第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ装置に備えられ、便鉢部を有する便器本体及び前記便器本体の上面に配置される便座装置の少なくともどちらかの第1の所定領域にミストを噴霧する噴霧装置であって、
前記便座装置は便座を有し、
前記噴霧装置を制御する制御装置は、前記便座が、倒伏状態から起立状態へ回転移動したときに、前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第1の所定領域よりも上端位置が低い第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする、噴霧装置。
【請求項2】
前記便器本体に備えられたリモコンが操作されたときにも前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
ミストの噴霧中に前記便鉢部を洗浄する洗浄装置の作動の指示を受けると、前記洗浄装置を作動させるとともに、前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項4】
ミストの噴霧中に前記便鉢部を洗浄する洗浄装置の指示を受けると、ミストの噴霧を終了させてから、前記洗浄装置を作動させる、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項5】
ミストの噴霧中に前記便鉢部を洗浄する洗浄装置の作動の指示を受けると、前記噴霧装置に噴霧を継続させたまま、前記洗浄装置を作動させる、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項6】
前記便座装置のケーシングは、上昇及び下降するものであり、前記制御装置は、前記便座装置のケーシングが上昇したときにも前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項7】
使用者が前記便座に着座したときに、前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第1の所定領域よりも上端位置が低い第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにする、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項8】
前記便座装置が前記便鉢部の上側を覆う便蓋を有している場合において、
前記第1の所定領域は、前記便蓋によって前記便鉢部を覆った状態における前記便蓋よりも下側のいずれかの領域である、請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項9】
前記第1の所定領域は、前記便座を含む領域である、請求項1に記載の噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されているように、便器本体の所定領域にミストを噴霧する噴霧装置を備えたトイレ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-112922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなトイレ装置において、ミストが人にかかることを抑制し、使い勝手を良くしたいという要望がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、使い勝手を良くできる噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の噴霧装置は、トイレ装置に備えられ、便鉢部を有する便器本体及び前記便器本体の上面に配置される便座装置の少なくともどちらかの第1の所定領域にミストを噴霧する噴霧装置であって、前記便座装置は便座を有し、前記噴霧装置を制御する制御装置は、前記便座が、倒伏状態から起立状態へ回転移動したときに、前記噴霧装置を停止した状態、及び、前記第1の所定領域よりも上端位置が低い第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかにするものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレ装置であって、トイレ室に設置した状態を示す斜視図
図2】トイレ装置の一部を切り欠いて示す一部切欠断面図
図3】トイレ装置の一部構成を示すブロック図
図4】条件1における制御パターンを示すタイムチャート
図5】条件6における制御パターンを示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
トイレ装置Rは、水洗式大便器である。トイレ装置Rは、図1に示すように、トイレ室の床面に設置される。トイレ装置Rは、便器本体10と、便座装置40と、便器洗浄装置46と、操作部20と、検知部30と、を備えている(図3参照)。便座装置40は、便座11、便蓋12、ケーシング41及び手洗い器25を有している。便器洗浄装置46は、図示しない洗浄タンクを有している。洗浄タンクはケーシング41にカバーされている。
【0009】
各構成部材において、トイレ装置Rがトイレ室に設置された状態における上側を上側、下側を下側、トイレ装置Rに通常の姿勢で座った人から見て前側を前側、後側を後側、左側を左側、右側を右側として説明する。図1のZ軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、X軸の正方向側は左側、X軸の負方向側は右側を示す。
【0010】
便座11及び便蓋12は、それぞれ、便器本体10の上面16に沿っている倒伏状態と、便器本体10の上面から上方に立っている起立状態とに回転移動する。便蓋12は、蓋部12Aと、周縁部12Bとを有している。便蓋12の倒伏状態において、蓋部12Aは便座11の上面を覆い、周縁部12Bは便座11の外周面を覆う(図2参照)。
【0011】
便器本体10は、図2に示すように、便鉢部13を備えている。便鉢部13は、汚物を受ける汚物受け面14を有している。便鉢部13には、水が溜められる。便鉢部13は、倒伏状態の便蓋12によって上側を覆われる。
【0012】
便鉢部13の上縁部は、リム部15である。リム部15は、平面視、環状をなしている。リム部15は、上面16と内面17とを有している。リム部15の上面16は、倒伏状態の便座11の下面と向き合う。リム部15の内面17は、汚物受け面14の上側に連続している。リム部15の内面17は、汚物受け面14よりも垂直に近い角度で立ち上がっている。
【0013】
リム部15には、洗浄水を吐出する吐出口18が設けられている。吐出口18は、便鉢部13の後側に配置されている。吐出口18から吐き出された洗浄水は、リム部15の内面17に沿って流れ、便鉢部13を旋回する。
【0014】
便座装置40は、図2に示すように、便器本体10の後部上面に配置されている。便座装置40は、手動及び電動のいずれかによって、便器本体10の上面から上昇したり、便器本体10の上面に下降したりする。手動で便座装置40を上昇させる場合、使用者は、便座装置40に備えられたロック部23(図1参照)を押し操作してロックを解除し、手で便座装置40を持ち上げる。手動で便座装置40を下降させる場合、使用者は、手で便座装置40をゆっくり押し下げる。電動で便座装置40を上昇及び下降させる場合、使用者は、後述する第一操作部21を操作する。第一操作部21を操作することによって後述する昇降装置42が作動し、便座装置40は上昇及び下降する。
【0015】
トイレ装置Rは、図3に示すように、各種装置を備えている。各種装置は、昇降装置42、便座用駆動装置43、便蓋用駆動装置44、局部洗浄装置45、便器洗浄装置46、噴霧装置47及び制御装置49などである。昇降装置42、便座用駆動装置43、便蓋用駆動装置44、局部洗浄装置45、便器洗浄装置46及び噴霧装置47は、制御装置49によって制御されている。制御装置49は、操作部20の操作情報及び検知部30の検知情報に基づいて、これら装置を制御する。
【0016】
操作部20は、各種装置を操作するために設けられている。使用者が操作部20を操作すると、操作信号が制御装置49に送られる。制御装置49は、送られた操作信号に基づいて各種装置を制御する。使用者は、操作部20を操作することによって、任意のタイミングで各種装置を作動できる。
【0017】
操作部20は、図1に示すように、トイレ装置Rから離れた場所にある第一操作部21と、トイレ装置R自身に備えられた第二操作部22とを備えている。第一操作部21は、例えばトイレ室の壁面に取り付けられたリモコンである。第一操作部21は、各種装置に対応した複数のスイッチを備えている。スイッチは、局部洗浄スイッチ、便器洗浄スイッチ、ミストスイッチ、昇降スイッチ等を有している。第二操作部22は、例えば便座装置40に設けられた洗浄ハンドルやレバーである。
【0018】
検知部30は、図3に示すように、人体検知部31及び着座検知部32を有している。人体検知部31は、便器本体10の前方に存在する使用者を検知する。人体検知部31は、上側検知部及び下側検知部を備えている。上側検知部は、便蓋12の倒伏状態において便器本体10の前方に存在する使用者を検知する。下側検知部は、便蓋12の起立状態において便器本体10の前方に存在する使用者を検知する。着座検知部32は、便座11への使用者の着座の有無を検知する。
【0019】
昇降装置42は、便座装置40のケーシング41を支持している。昇降装置42は、便器本体10に固定されている。昇降装置42は、制御装置49からの指令に基づいて、電動で便座装置40を上昇及び下降させる。ケーシング41の下面は、便座装置40の上昇によって、便器本体10の後部上面から上側に浮いた状態になる。
【0020】
便座11及び便蓋12は、手動及び自動のいずれかによって回転移動する。手動の場合、便座11及び便蓋12は、使用者の手で押されて回転移動する。自動の場合、便座11及び便蓋12は、便座用駆動装置43及び便蓋用駆動装置44の作動によって回転移動する。便座用駆動装置43及び便蓋用駆動装置44は、ケーシング41に固定されている。便座用駆動装置43は、制御装置49からの指令に基づいて、電動で便座11を回転移動させる。便蓋用駆動装置44は、制御装置49からの指令に基づいて、電動で便蓋12を回転移動させる。便蓋用駆動装置44は、便座11に着座する前の使用者が便器本体10の近傍に接近すると、自動的に作動し、便蓋12を倒伏状態から起立状態に回転移動させる。便蓋用駆動装置44は、便座11から立ち上がった使用者が便器本体10から離れると、自動的に作動し、便蓋12を起立状態から倒伏状態に回転移動させる。
【0021】
局部洗浄装置45は、制御装置49からの指令に基づいて、使用者の局部を洗浄する。局部洗浄装置45は、局部洗浄用の水を吐出するノズル45Aを備えている。使用者は、第一操作部21を操作することによって、任意のタイミングで局部洗浄装置45を作動し、局部を洗浄できる。
【0022】
便器洗浄装置46は、吐出口18を介して便鉢部13に洗浄水を供給し、便鉢部13を洗浄する。便器洗浄装置46は、手動及び自動のいずれかによって作動する。手動の場合、便器洗浄装置46は、第一操作部21および第二操作部22のいずれかの操作によって作動する。使用者は、第一操作部21および第二操作部22のいずれかを操作することによって、任意のタイミングで便器洗浄装置46を作動できる。自動の場合、便器洗浄装置46は、制御装置49からの指令に基づいて作動する。便器洗浄装置46は、使用者が便座11から立ち上がると自動的に作動し、便鉢部13を洗浄する。
【0023】
噴霧装置47は、便器本体10及び便座装置40の所定領域にミストを噴霧する。ミストは、気体中に浮遊する霧状の液体である。液体は、水道水や除菌水などである。液体は、次亜塩素酸などを含む除菌水、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水、アルカリ水などであってもよい。
【0024】
噴霧装置47は、ミストを噴霧するノズル47Aを備えている。ノズル47Aは、倒伏状態の便座11よりも下方に配置されている。ノズル47Aは、局部洗浄装置45のノズル45Aの近傍に備えられている。ノズル47Aは、局部洗浄装置45のベースプレートに取り付けられている。
【0025】
噴霧装置47は、便器本体10及び便座装置40の少なくともどちらかの第1の所定領域にミストを噴霧する。第1の所定領域は、所定条件でない通常の条件において、噴霧装置47によってミストを付着させる領域である。第1の所定領域は、第一領域のうちのいずれかである。第一領域は、便蓋12によって便鉢部13を覆った状態における便蓋12よりも下側の領域である。便蓋12によって便鉢部13を覆った状態における便蓋12よりも下側の領域とは、図2に示すように、倒伏状態の便蓋12の蓋部12Aに沿って広がる仮想面Hよりも下側の領域である。仮想面Hは、便蓋12が起立状態であるか倒伏状態であるかを問わない基準面である。仮想面Hよりも下側の領域は、具体的には、リム部15の上面16、リム部15の内面17、汚物受け面14、倒伏状態の便座11の上面及び下面、倒伏状態の便蓋12の下面、便器本体10の便蓋12によって覆われた外側面などを含む。第1の所定領域は、便鉢部13の領域の全体、便鉢部13と便座11、便鉢部13と便座11と便蓋12などである。
【0026】
噴霧装置47は、第1の所定領域とは別に、第二領域や第三領域にミストを噴霧するようにしても良い。第二領域は、汚物が飛散、付着しやすい領域である。具体的には、第二領域は、例えば便鉢部13の後側のリム部15などである。第三領域は、洗浄水が流れにくい領域である。具体的には、第三領域は、例えばリム部15の内面17の吐出口18より上側の領域や、リム部15の内面17の吐出口18とは反対側の領域などである。
【0027】
噴霧装置47は送風装置を備えても良い。この場合、送風装置によって便鉢部13の内部に気流を発生させ、ミストを上昇させることができる。これによって、噴霧装置47は、便器本体10の便座11、便蓋12にミストを飛ばすことができる。
【0028】
噴霧装置47は、手動及び自動のいずれかによって作動する。手動の場合、噴霧装置47は、第一操作部21の操作によって作動する。使用者は、第一操作部21を操作することによって、任意のタイミングで噴霧装置47を作動し、ミストを噴霧できる。自動の場合、噴霧装置47は、制御装置49からの指令に基づいて作動する。制御装置49は、予め設定されたタイミングで噴霧装置47にミストを噴霧させる。具体的には、噴霧装置47は、使用者がトイレ装置Rを使用する前、使用者がトイレ装置Rを使用した後、及びトイレ装置Rの使用の有無にかかわらず定期的にミストを噴霧する。トイレ装置Rの使用前に噴霧されるミストをプレミスト、トイレ装置Rの使用後に噴霧されるミストをアフターミスト、使用の有無にかかわらず定期的に噴霧されるミストを定期ミストと称する。手動ミスト、プレミスト、アフターミスト及び定期ミストは、それぞれ所定時間Tにわたり噴霧される。所定時間Tは、ミスト毎に適宜設定してもよい。所定時間Tは、ミスト毎に異なってもよい。
【0029】
制御装置49による噴霧装置47の制御パターンについて具体例をいくつか説明する。制御装置49は、第一操作部21のミストスイッチの操作信号を受け取ると、噴霧装置47に手動ミストを噴霧させる。
【0030】
制御装置49は、人体検知部31の検知情報に基づいて、使用者を検知していない状態から使用者を検知している状態になったことを判別すると、噴霧装置47にプレミストを噴霧させる。プレミストの噴霧領域は、便座11の上面を除く領域などである。
【0031】
制御装置49は、人体検知部31の検知情報に基づいて、使用者を検知している状態から使用者を検知していない状態になったことを判別すると、噴霧装置47にアフターミストを噴霧させる。アフターミストの噴霧領域は、トイレ装置Rの広範囲にわたってもよく、例えば便座11の上面を含んでもよい。
【0032】
制御装置49は、予め決められたタイミングで、噴霧装置47に定期ミストを噴霧させる。定期ミストのタイミングは、例えば、予め決められた曜日や時間であってもよいし、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、及び定期ミストのいずれか最後のミスト終了後、所定時間経過したときであってもよい。定期ミストの噴霧領域は、第二領域及び第三領域としてもよい。これによって、第二領域及び第三領域の乾燥を抑制し、水垢や汚れの固着を防止できる。
【0033】
制御装置49は、所定条件において噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。第一状態において噴霧装置47は停止する。第一状態は、作動中の噴霧装置47が直ちに停止した状態、作動中の噴霧装置47が所定時間Tよりも短い時間で停止した状態、及び停止中の噴霧装置47が停止を継続する状態を含む。第二状態において第1の所定領域よりも下側の第2の所定領域にミストを噴霧する。第2の所定領域の上端は、第1の所定領域の上端よりも低い。第2の所定領域は、例えば便鉢部13の汚物受け面14より下側であったり、便鉢部13の水面に近い領域であったりしてもよい。ミストの噴霧領域を第1の所定領域から第2の所定領域にする手段は、例えば噴霧する液体の量を少なくしたり、送風装置の気流の方向を変えたり、噴霧の勢いをなくしたり、ミストの粒径を変えたり、ノズル47Aのミストの噴出方向を変えたり、ノズル47Aをトイレ装置Rの上部と下部とに設け、下部のノズル47Aのみから噴出させたりする等であってもよい。
【0034】
所定条件は、便器本体10の近傍に人が近付いているときである。所定条件として、具体的には、次のような条件1、条件2、条件3、条件4、条件5、条件6及び条件7がある。条件1は、便座11に着座する前の使用者が便器本体10の近傍に接近したときである。条件2は、便蓋12の起立状態において使用者が便器本体10の近傍に存在するときである。条件3は、使用者が便座11に着座したときである。条件4は、便座11及び便蓋12のいずれかが倒伏状態から起立状態になったときである。条件5は、操作部20が操作されたときである。条件6は、便器洗浄装置46の作動が指示されたときである。条件7は、便座装置40の上昇が指示されたとき、である。
【0035】
各条件における制御パターンを説明する。
(1)条件1:便座11に着座する前の使用者が便器本体10の近傍に接近したとき
条件1として、手動ミスト、アフターミスト及び定期ミストのいずれかの噴霧中に、便座11に着座する前の使用者が便器本体10の近傍に接近する場合がある。その場合の制御パターンは、図4に示すように、第一制御パターン、第二制御パターン、及び第三制御パターンを有している。
【0036】
(1-1)第一制御パターン
制御装置49は、人体検知部31の検知情報に基づいて、使用者を検知していない状態から使用者を検知している状態になったことを判別しても、便蓋用駆動装置44を作動させない。制御装置49は、噴霧装置47に手動ミスト、アフターミスト、定期ミストを所定時間Tが終了するまで噴霧させる。制御装置49は、手動ミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧を終了した後も便蓋用駆動装置44を作動させない。第一制御パターンでは、着座前の使用者が便器本体10に接近しても、便蓋12は起立状態にならない。この構成によれば、ミストの噴霧中、便蓋用駆動装置44は停止する。これによってミスト噴霧中に使用者が便座11に着座することが防止されるから、人にミストがかかりにくくできる。
【0037】
(1-2)第二制御パターン
制御装置49は、人体検知部31の検知情報に基づいて、使用者を検知していない状態から使用者を検知している状態になったことを判別すると、便蓋用駆動装置44を作動させるとともに、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。第二制御パターンでは、手動ミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧時間が所定時間Tよりも短くなるか、手動ミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧される領域が第1の所定領域から第2の所定領域になる。したがって、便座11に着座する前の使用者が便器本体10の近傍に接近したとき、人にミストがかかりにくくできる。
【0038】
(1-3)第三制御パターン
制御装置49は、人体検知部31の検知情報に基づいて、使用者を検知していない状態から使用者を検知している状態になったことを判別しても、便蓋用駆動装置44を作動させず、噴霧装置47に手動ミスト、アフターミスト、定期ミストを所定時間Tが終了するまで噴霧させる。制御装置49は、手動ミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧を終了した後に、便蓋用駆動装置44を作動させる。第三制御パターンでは、ミストの噴霧は所定時間Tの終了まで実行される。着座前の使用者が便器本体10に接近すると、ミストの噴霧時間だけ遅れて便蓋12は起立状態になる。
【0039】
(2)条件2:便蓋12の起立状態において使用者が便器本体10の近傍に存在するとき
条件2として、定期ミストの噴霧中、便蓋12が倒伏状態になる前に、次の使用者が便器本体10の近傍に接近する場合の制御について説明する。
【0040】
制御装置49は、定期ミストの噴霧中に、人体検知部31の下側検知部の検知情報に基づいて、使用者を検知していない状態から使用者を検知している状態になったことを判別すると、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。
【0041】
制御装置49は、手動ミスト及びプレミストの噴霧中に、便座11から立ち上がった使用者が便器本体10の近傍に存在することを判別した場合には、噴霧装置47に所定時間Tが終了するまで噴霧させてもよい。
【0042】
(3)条件3:使用者が便座11に着座したとき
制御装置49は、手動ミスト、アフターミスト及び定期ミストのいずれかの噴霧中に、便座11に使用者が着座したことを判別すると、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。
【0043】
この構成によれば、使用者が便座11に着座したとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、使用者の臀部にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0044】
制御装置49は、プレミストの噴霧中に、便座11に使用者が着座したことを判別した場合には、噴霧装置47に所定時間Tが終了するまでプレミストを噴霧させてもよい。
【0045】
(4)条件4:便座11及び便蓋12のいずれかが倒伏状態から起立状態になったとき
条件4は、手動で起立状態になる場合と、自動で起立状態になる場合とがある。自動で起立状態になる場合は、条件1や条件5に含まれる。条件4は、手動で倒伏状態から起立状態になる場合について説明する。
【0046】
制御装置49は、手動ミスト、アフターミスト及び定期ミストのいずれかの噴霧中に、便座11及び便蓋12のいずれかが手動で起立状態になったことを判別すると、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。
【0047】
この構成によれば、便座11及び便蓋12のいずれかが手動で倒伏状態から起立状態になったとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、使用者の手にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0048】
制御装置49は、プレミストの噴霧中に、便座11及び便蓋12のいずれかが手動で起立状態になったことを判別した場合には、噴霧装置47に所定時間Tが終了するまでプレミストを噴霧させてもよい。
【0049】
(5)条件5:操作部20が操作されたとき
着座していない使用者によって操作部20が操作されたときは、条件1に含まれる。便器洗浄装置46の操作は条件6に含まれる。昇降装置42の操作は条件7に含まれる。条件5は、着座している使用者によって局部洗浄装置45の操作がなされた場合について説明する。
【0050】
制御装置49は、手動ミスト、アフターミスト及び定期ミストのいずれかの噴霧中に、第一操作部21の局部洗浄スイッチの操作信号を受け取ると、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。この構成によれば、操作部20を操作する使用者にミストがかかりにくくできる。
【0051】
制御装置49は、プレミストの噴霧中に、第一操作部21の局部洗浄スイッチの操作信号を受け取った場合には、噴霧装置47に所定時間Tが終了するまで噴霧させてもよい。
【0052】
(6)条件6:便器洗浄装置46の作動が指示されたとき
便器洗浄装置46の作動の指示は、手動による指示及び自動的な指示がある。手動による指示は、操作部20の操作によってなされる。自動的な指示は、制御装置49が、着座検知部32の検知情報に基づいて、使用者が便座11から立ち上がったことを判別することによってなされる。
【0053】
条件6は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧中に、便器洗浄装置46の作動が指示された場合について説明する。その場合の制御パターンは、図5に示すように、第一制御パターン、第二制御パターン、第三制御パターン及び第四制御パターンを有している。
【0054】
(6-1)第一制御パターン
制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧中に便器洗浄装置46の作動の指示を受けても、便器洗浄装置46を作動させない。制御装置49は、そのまま噴霧装置47に手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストを所定時間Tの終了まで噴霧させる。制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧を終了させてから、便器洗浄装置46を作動させる。第一制御パターンでは、便器洗浄装置46の作動の指示があったタイミングよりも、ミストの噴霧時間だけ遅れて便器洗浄装置46が作動し、便鉢部13が洗浄される。
【0055】
(6-2)第二制御パターン
制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧中に便器洗浄装置46の作動の指示を受けると、便器洗浄装置46を作動させるとともに、噴霧装置47を第一状態及び第二状態のいずれかにする。第二制御パターンでは、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧時間は、所定時間Tよりも短くなるか、ミストの噴霧領域が第2の所定領域になる。便器洗浄装置46の作動の指示があったタイミングで、便器洗浄装置46は作動し、便鉢部13が洗浄される。この構成によれば、便器本体10の近傍に立つ使用者にミストがかかりにくくできる。
【0056】
(6-3)第三制御パターン
制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧中に便器洗浄装置46の作動の指示を受けると、噴霧装置47に手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧を継続させたまま、便器洗浄装置46を作動させる。第三制御パターンでは、ミストの噴霧と便鉢部13の洗浄とが同時になされる。この構成によれば、ミストの噴霧中に便鉢部13を洗浄できるから、使い勝手を良くできる。
【0057】
(6-4)第四制御パターン
制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧中に便器洗浄装置46の作動の指示を受けても、便器洗浄装置46を作動させない。制御装置49は、噴霧装置47に手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストを所定時間Tが終了するまで噴霧させる。制御装置49は、噴霧装置47に手動ミスト、プレミスト、アフターミスト、定期ミストの噴霧を終了させた後も便器洗浄装置46を作動させない。第四制御パターンでは、ミストの噴霧は所定時間Tの終了まで実行される。便器洗浄装置46の作動の指示があっても、便鉢部13は洗浄されない。
【0058】
(7)条件7:便座装置40の上昇が指示されたとき
条件7は、ミスト噴霧中に便座装置40の上昇が指示される第一ケースと、便座装置40が上昇しているときにミスト噴霧のタイミングになる第二ケースとがある。
【0059】
第一ケースにおいて、制御装置49は、手動ミスト、プレミスト、アフターミスト及び定期ミストのいずれかを噴霧中に、第一操作部21の上昇操作の操作信号を受け取ると、便座装置40の上昇の指示をキャンセルし、噴霧装置47に所定時間Tが終了するまで噴霧させる。ミスト噴霧中は、第一操作部21の上昇操作をしても、便座装置40は上昇しない。
【0060】
第二ケースにおいて、制御装置49は、便座装置40が上昇している状態でミスト噴霧のタイミングになると、ミスト噴霧の指示をキャンセルする。これによって、便座装置40を上昇させて掃除している人にミストがかかることを防止できる。
【0061】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。トイレ装置Rは、便器本体10と、便座装置40と、噴霧装置47と、制御装置49と、を有している。便器本体10は、便鉢部13を有している。便座装置40は、便器本体10の上面に配置される。噴霧装置47は、便器本体10及び便座装置40の少なくともどちらかの第1の所定領域にミストを噴霧する。制御装置49は、所定条件において、噴霧装置47が停止した状態、及び、噴霧装置47が第1の所定領域よりも上端位置が低い第2の所定領域にミストを噴霧する状態の何れかに噴霧装置47を制御する。この構成によれば、所定条件において噴霧装置47は停止するか、第1の所定領域よりも低い第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0062】
便座装置40は、便鉢部13の上側を覆う便蓋12を有している。第1の所定領域は、便蓋12によって便鉢部13を覆った状態における便蓋12よりも下側のいずれかの領域である。この構成によれば、ミストは、便鉢部13を覆った状態の便蓋12よりも下側のいずれかの領域に噴霧されるから、人にミストがかかりにくくできる。
【0063】
所定条件は、便器本体10の近傍に人が近付いたときである。この構成によれば、便器本体10の近傍に使用者が近付いたときに、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0064】
トイレ装置Rは、便座11を有している。所定条件は、使用者が便座11に着座したときである。この構成によれば、使用者が便座11に着座したとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0065】
便座11及び便蓋12は、便鉢部13の上面16に沿っている倒伏状態と便鉢部13の上面16から上方に立っている起立状態とに回転移動する。所定条件は、便座11及び便蓋12の少なくともいずれかが、倒伏状態から起立状態へ回転移動したときである。この構成によれば、便座11及び便蓋12の少なくともいずれかが倒伏状態から起立状態になったとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0066】
トイレ装置Rは、各種装置を操作する操作部20を有している。所定条件は、操作部20が操作されたときである。この構成によれば、操作部20が操作されたとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0067】
トイレ装置Rは、便鉢部13を洗浄する便器洗浄装置46を有している。所定条件は、便器洗浄装置46の作動が指示されたときである。この構成によれば、便器洗浄装置46の作動が指示されると、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0068】
制御装置49は、噴霧装置47の作動中に便器洗浄装置46を作動する。この構成によれば、ミストの噴霧中に便鉢部13を洗浄できるから、使い勝手を良くできる。
【0069】
便座装置40は、便器本体10の上面に配置され、上昇及び下降する。所定条件は、便座装置40が上昇したときである。この構成によれば、便座装置40が上昇したとき、噴霧装置47は停止するか、便器本体10の第2の所定領域にミストを噴霧する。したがって、所定条件において人にミストがかかりにくくできるから、使い勝手を良くできる。
【0070】
制御装置49は、噴霧装置47の作動中、便器本体10に設けられた他の装置を停止状態にする。この構成によれば、ミストの噴霧中は、便器本体10の他の装置は停止するから、人にミストがかかりにくくできる。
【0071】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態における制御装置49は、便鉢部13の外周側を覆う側面カバー部を備えてもよい。
(2)上記実施形態における制御装置49は、ミストの継続時間を任意の時間に設定してもよい。
(3)上記実施形態において噴霧装置47は、仮想面Hよりも第2の所定領域にミストを噴霧する。これに限らず、噴霧装置は、仮想面よりも上側の領域にミストを噴霧してもよい。
(4)上記実施形態において第1の所定領域は、第一領域、第二領域及び第三領域を有している。第1の所定領域は、第一領域、第二領域及び第三領域以外の領域を有してもよい。例えば、第1の所定領域は、起立状態の便蓋を含んでもよい。この場合、第2の所定領域は、便鉢部の上部を含んでもよい。
(5)上記実施形態において噴霧装置47のノズル47Aは、局部洗浄装置45のベースプレートに取り付けられている。これに限らず、噴霧装置のノズルは、局部洗浄装置の進退するノズルに設けてもよいし、便座の上部から噴霧するような位置に設けてもよい。
(6)上記実施形態では、所定条件の具体例を複数示した。所定条件は、上記実施形態において示した複数の条件を満たすものでも良いし、上記実施形態において示していない条件と組み合わせたものであっても良い。
【符号の説明】
【0072】
R…トイレ装置、10…便器本体、11…便座、12…便蓋、13…便鉢部、 20…操作部、32…着座検知部、40…便座装置、46…便器洗浄装置(洗浄装置)、47…噴霧装置、49…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5