(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166615
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び放電加工方法
(51)【国際特許分類】
B23H 7/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B23H7/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158310
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2022078904の分割
【原出願日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/188,478
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/252,652
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111117037
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】寇崇善
(72)【発明者】
【氏名】葉文勇
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び方法を提供する。
【解決手段】載置ステージ及び放電加工(EDM)ユニットを含む。載置ステージは、加工対象領域が画定される被加工物を載置することに用いられる。放電加工(EDM)ユニットの放電電極を用いて少なくとも1つの加工パラメータで第1の切断方向に沿って被加工物の加工対象領域を切断し、加工パラメータは、被加工物の指定されたパラメータが第1の数値に変化した時に応じて調整されることにより、調整された加工パラメータを用いて被加工物の加工対象領域に対して第2の切断ステップを実行する。本発明は、段階的切断技術を提供し、放電加工切断の指定されたパラメータが変化するため、切断速度(Cutting speed、mm
2/min)が遅くなり、総切断時間が長くなるという問題を解決することができる。
【選択図】
図4b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断手順を実行するための加工パラメータを調整可能な放電加工装置であって、
加工対象領域が画定される少なくとも1つの被加工物を載置するための載置ステージと、
前記切断手順の第1の切断ステップで、少なくとも1つの放電電極を用いて少なくとも1つの加工パラメータで第1の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域を切断するための放電加工(EDM)ユニットであって、前記加工パラメータは、前記被加工物の指定されたパラメータが第1の数値に変化した時に応じて調整されることにより、調整された前記加工パラメータを用いて前記被加工物の前記加工対象領域に対して第2の切断ステップを実行する、放電加工(EDM)ユニットと、を含み、
前記加工対象領域には、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるように埋め材があることを特徴とする加工パラメータを調整可能な放電加工装置。
【請求項2】
前記埋め材は、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるように、熱源によって前記加工対象領域に形成される、請求項1に記載の加工パラメータを調整可能な放電加工装置。
【請求項3】
前記切断手順で前記加工対象領域の表面亀裂を前記埋め材で埋めるようにする外力外乱源をさらに含む、請求項1に記載の加工パラメータを調整可能な放電加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置及び加工方法に関し、特に加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び放電加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業が盛んに発展していることに伴い、放電加工技術は、一般的にインゴット又はウエハの加工処理に使用されている。放電加工(Electrical Discharge Machining、EDM)は、放電によって火花を発生させ、被加工物を必要な形状にする製造プロセスである。誘電体材料は、2つの電極を分離して電圧を印加し、周期的で高速に変化する電流放電を発生させて、上記被加工物を加工する。放電加工技術では、2つの電極が使用され、一方の電極は、工具電極又は放電電極と呼ばれ、他方の電極は、ワーク電極と呼ばれ、上記被加工物に接続されている。放電加工中に、放電電極とワーク電極との間が実際に接触することはない。
【0003】
2つの電極間の電位差が大きくなると、電界強度が絶縁耐力よりも高くなるまで、2つの電極間の電界も大きくなり、このとき、絶縁破壊が発生し、電流が2つの電極を流れ、材料の一部が除去される。電流が停止すると、新たな誘電体材料が電極間の電界に流れ込み、上記材料の一部が除去され、誘電体の絶縁効果が再提供される。電流が流れた後、2つの電極間の電位差が絶縁破壊の発生前に戻り、このように新たな絶縁破壊を繰り返すことができる。しかしながら、従来の放電加工技術では、切断厚さが大きいため、切断速度(すなわち、加工時の放電電極の加工物における送り速度と切断厚さとの積、mm2/min)が遅くなるという問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決するために、加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び放電加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、切断手順を実行するための加工パラメータを調整可能な放電加工装置であって、加工対象領域が画定される少なくとも1つの被加工物を載置するための載置ステージと、前記切断手順の第1の切断ステップで、少なくとも1つの放電電極を用いて少なくとも1つの加工パラメータで第1の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域を切断するための放電加工(EDM)ユニットであって、前記加工パラメータは、前記被加工物の指定されたパラメータが第1の数値に変化した時に応じて調整されることにより、調整された前記加工パラメータを用いて前記被加工物の前記加工対象領域に対して第2の切断ステップを実行する、放電加工(EDM)ユニットと、を含み、前記加工対象領域には、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるように埋め材があることを特徴とする加工パラメータを調整可能な放電加工装置を提供する。
【0006】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記加工パラメータは、配向パラメータ、放電電気的パラメータ、残渣排出パラメータ、及び、移動及び張力パラメータのうちの1つ又は複数を含む。
【0007】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記配向パラメータは、前記被加工物に対する加工方向であり、前記放電電気的パラメータは、ピーク電流、前記被加工物が前記放電電極から離れた時の電圧、放電パルス持続時間、放電パルス休止時間、及び、前記放電電極と前記被加工物との間のサーボ基準電圧のうちの1つ又は複数を含み、前記残渣排出パラメータは、前記放電電極に提供された残渣排出溶液の流速を含み、前記移動及び張力パラメータは、前記放電電極の移動速度及び前記放電電極の張力のうちの1つ又は複数を含む。
【0008】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記指定されたパラメータは、前記被加工物の第1の切断すべき厚さを含み、前記加工パラメータは、前記被加工物の前記第1の切断すべき厚さが前記第1の数値に増加した時に応じて調整されることにより、調整された前記加工パラメータを用いて前記被加工物の前記加工対象領域に対して前記第2の切断ステップを実行する。
【0009】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記加工パラメータは配向パラメータであり、前記被加工物の前記第1の切断すべき厚さが前記第1の数値に増加した時に、前記放電加工(EDM)ユニットは、前記配向パラメータを前記第1の切断方向から第2の切断方向に変更することにより、前記第2の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域に対して前記第2の切断ステップを実行する。
【0010】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第2の切断方向と前記第1の切断方向との間には、0度~360度の間の範囲の第1の夾角がある。
【0011】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第1の夾角は180度である。
【0012】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記被加工物の前記第2の切断ステップにおける第2の切断すべき厚さは、前記第1の数値よりも小さい。
【0013】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第2の切断ステップにおける前記放電電極による前記被加工物の切断速度は、前記第1の切断すべき厚さが前記第1の数値になった時の、前記放電電極による前記被加工物の切断速度よりも大きい。
【0014】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記被加工物の前記第2の切断ステップにおける第2の切断すべき厚さが第2の数値に増加した時に、前記放電加工(EDM)ユニットは、前記配向パラメータを前記第2の切断方向から第3の切断方向に変更することにより、前記第3の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域に対して第3の切断ステップを実行し、前記被加工物は、前記第3の切断ステップで第3の切断すべき厚さを有する。
【0015】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第3の切断方向と前記第2の切断方向との間には、0度~360度の間の第2の夾角がある。
【0016】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第2の夾角は90度である。
【0017】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記被加工物の前記第3の切断ステップにおける前記第3の切断すべき厚さは、前記第1の数値又は前記第2の数値よりも小さい。
【0018】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記第3の切断ステップにおける前記放電電極による前記被加工物の切断速度は、前記放電電極による前記被加工物の、前記第1の切断すべき厚さが前記第1の数値になった時の切断速度、又は前記第2の切断すべき厚さが前記第2の数値になった時の切断速度よりも大きい。
【0019】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記切断手順で前記被加工物を加熱する熱源をさらに含む。
【0020】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記放電電極は、流体中で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する。
【0021】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記加工対象領域には、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるように埋め材がある。
【0022】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記埋め材は、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるように、熱源によって前記加工対象領域に形成される。
【0023】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記切断手順で前記加工対象領域の表面亀裂を埋め材で埋めるようにする外力外乱源をさらに含む。
【0024】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記被加工物の数は、1つ又は複数である。
【0025】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記放電電極の数は、1つ又は複数である。
【0026】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工装置によると、前記放電電極は、真空環境で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する。
【0027】
前記目的を達成するために、本発明は、上記加工パラメータを調整可能な放電加工装置を用いて切断手順を実行する、ことを特徴とする加工パラメータを調整可能な放電加工方法を提供する。
【0028】
前記目的を達成するために、本発明は、切断手順を実行するための加工パラメータを調整可能な放電加工方法であって、載置ステージに載置され、加工対象領域が画定される少なくとも1つの被加工物を用意するステップと、少なくとも1つの放電電極を介して少なくとも1つの加工パラメータで第1の切断方向に沿って放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記被加工物の前記加工対象領域を切断する第1の切断ステップを実行するステップと、前記被加工物の第1の切断すべき厚さが第1の数値に増加した時に応じて、前記加工パラメータを調整する第1の調整ステップを実行するステップと、前記放電電極を介して前記第1の調整ステップで調整された前記加工パラメータで前記放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記被加工物の前記加工対象領域を切断する第2の切断ステップを実行するステップと、を含む、ことを特徴とする加工パラメータを調整可能な放電加工方法を提供する。
【0029】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記加工パラメータは配向パラメータであり、前記第1の切断ステップでは、前記被加工物の前記第1の切断すべき厚さが前記第1の数値に増加した時に、前記第1の調整ステップを実行することにより、前記配向パラメータを前記第1の切断方向から第2の切断方向に変更し、前記第2の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域に対して前記第2の切断ステップを実行する。
【0030】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記被加工物の前記第2の切断ステップにおける第2の切断すべき厚さは、前記第1の数値よりも小さい。
【0031】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記第2の切断ステップでは、前記放電電極によって切断される前記被加工物の第2の切断すべき厚さが第2の数値に増加した時に、第2の調整ステップを実行することにより、前記配向パラメータを前記第2の切断方向から第3の切断方向に変更し、前記第3の切断方向に沿って前記被加工物の前記加工対象領域に対して第3の切断ステップを実行する。
【0032】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記被加工物の前記第3の切断ステップにおける第3の切断すべき厚さは、前記第1の数値又は前記第2の数値よりも小さい。
【0033】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記第1の調整ステップは、前記被加工物の配置方向を変更して前記加工パラメータを調整する。
【0034】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記第1の調整ステップは、前記放電電極の前記被加工物に対する送り方向を変更して前記加工パラメータを調整する。
【0035】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、前記第1の調整ステップは、前記載置ステージを用いて前記被加工物の配置方向を変更して前記加工パラメータを調整する。
【0036】
本発明に係る加工パラメータを調整可能な放電加工方法によると、埋めステップを実行することにより、前記切断手順で前記加工対象領域に形成された表面亀裂を埋めるステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0037】
上記のように、本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び放電加工方法は、以下の利点を有する。
【0038】
(1)段階的切断技術により、放電加工切断厚さが大きいため、総切断時間が長くなるという問題を解決することができる。
【0039】
(2)段階的切断技術により、指定されたパラメータが設定数値に変化した時に、送り方向を直ちに変更する。
【0040】
(3)段階的切断技術により、切断すべき厚さが設定数値よりも大きい場合、送り方向を直ちに変更し、厚さの大きな切断すべき面を、複数の厚さの小さな切断面に分割することにより、放電加工切断厚さが大きいため、切断速度が遅くなるという問題を解決することができる。
【0041】
本発明の技術的特徴および達成し得る技術的効能の理解を深めるために、より良い実施例と詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工方法のステップフローチャートである。
【
図2】
図2は本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工装置の第1の実施例の模式図である。
【
図3】
図3は本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工装置の第2の実施例の模式図である。
【
図4a】
図4aは本発明の第1の切断ステップを実行する時の被加工物の正面図である。
【
図4b】
図4bは本発明の第1の切断ステップを実行する時の被加工物の断面側面図である。
【
図5a】
図5aは本発明の第2の切断ステップを実行する時の被加工物の正面図である。
【
図5b】
図5bは本発明の第2の切断ステップを実行する時の被加工物の断面側面図である。
【
図6a】
図6aは本発明の第3の切断ステップを実行する時の被加工物の正面図である。
【
図6b】
図6bは本発明の第3の切断ステップを実行する時の被加工物の断面側面図である。
【
図7a】
図7aは本発明の単一の放電電極で複数の被加工物を切断する模式図である。
【
図7b】
図7bは本発明の複数の放電電極で単一の被加工物を切断する模式図である。
【
図7c】
図7cは本発明の複数の放電電極で複数の被加工物を切断する模式図であり、
図7aの視角は、
図7b及び
図7cとは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示され、実際の比率ではない。また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。一方、理解を便利にするために、下記の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0044】
さらに、明細書全体および実用新案登録請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0045】
この記事での「第1」、「第2」、「第3」などの使用については、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するためにも使用されていない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0046】
次に、この記事で「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0047】
本発明は、段階的切断技術を提供し、好ましくは、指定されたパラメータが対応する設定数値(第1の数値、第2の数値、第3の数値、…)に変化した時に、加工パラメータを調整することにより、放電加工手順中に指定されたパラメータが変化するため、切断速度が遅くなり、総切断時間が長くなるという問題を解決することができる。
上記指定されたパラメータは、例えば、被加工物の切断すべき厚さ又は切断速度である。
指定されたパラメータが被加工物の切断すべき厚さであることを例として、放電加工手順の第1の切断ステップでは、被加工物の第1の切断すべき厚さが、第1の数値などの対応する設定数値に増加した時に、加工パラメータを調整し、調整された加工パラメータで後続の第2の切断ステップを実行し、以下同様とする。
指定されたパラメータが被加工物の切断速度であることを例として、放電加工手順の第1の切断ステップでは、被加工物の第1の切断速度が対応する設定数値(第1の数値など)に低下した時に、加工パラメータを調整し、調整された加工パラメータで後続の第2の切断ステップを実行し、以下同様とする。
【0048】
図1及び
図2を参照すると、
図1は本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工方法のステップフローチャートである。
図2は本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工装置の第1の実施例の模式図である。
本発明は、段階的切断技術を提供し、指定されたパラメータが対応する設定数値に変化した時に、加工パラメータを調整することにより、放電加工切断厚さが大きいため、切断速度が遅くなり、総切断時間が長くなるという問題を解決することができる。
本発明の第1の実施例では、本発明の放電加工装置10は、載置ステージ20及び放電加工(EDM)ユニット50を含み、被加工物100に対して切断手順などの放電加工手順を実行して、スライシング(Cutting、Slicing)又は薄型化(Thinning)効果を達成することに用いられる。
載置ステージ20には、例えば、治具22が設けられ、載置ステージ20は、可動載置ステージ又は固定載置ステージであってもよい。
【0049】
先ず、本発明の放電加工方法は、被加工物100を用意し(ステップS10)、治具22を用いてこの被加工物100を載置ステージ20に載置し、被加工物100には加工対象領域110が画定され、この加工対象領域110は、被加工物100の任意の適切な加工位置に位置してもよい。
被加工物100は、ウエハ又はインゴットなどの任意の導体又は半導体構造であってもよいが、被加工物100の断面は円形に限定されず、任意の形状であってもよい。
【0050】
本発明の放電加工装置10の放電加工(EDM)ユニット50は、少なくとも放電電極52を有し、放電電極52は、例えば、線状の導電線、板状の導電板又は他の形状の導電性構造である。
本発明の放電加工(EDM)ユニット50は、さらに選択的に送給リール56a及び巻取リール56bを有してもよく、放電電極52の両端は、それぞれ送給リール56a及び巻取リール56bに接続され、送給リール56a及び巻取リール56bは、選択的に、それぞれプーリ57a、57bを用いて放電電極52に套設されて、放電電極52を位置決めし、且つ例えば、放電電極52の張力を調整する。
【0051】
図2を引き続き参照すると、本発明の放電加工(EDM)ユニット50は、電力源54をさらに有し、電力源54は、電気回路を介して放電電極52に接続されることにより、放電電極52と被加工物100との間に電圧差を発生させ、放電エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に提供して、加工対象領域110に沿って被加工物100を切断することができる(ステップS20)。
【0052】
本発明は、加熱効果、アニール効果又は研磨効果を提供するように、マイクロ波エネルギー又は高周波エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に供給するためのマイクロ波又は高周波源60を選択的に含んでもよく、これにより表面粗さを効果的に低減させ、後続の機械的又は化学的研磨ステップを実行する必要性を回避することができる。
同様に、本発明のマイクロ波又は高周波源60は、放電電極52を介してマイクロ波エネルギー又は高周波エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に供給してもよい。
マイクロ波又は高周波源60がマイクロ波であることを例として、本発明のマイクロ波の波長範囲は、約1mm~約1mであり、周波数範囲は、約300GHz~約0.3GHzであり、電力範囲は、約200ワット~約5,000ワットである。放電電極52の材料は、例えば、銅(Copper)、黄銅(Brass)、モリブデン(Molybdenum)、タングステン(Tungsten)、グラファイト(Graphite)、鋼(Steel)、アルミニウム(Aluminum)及び亜鉛(Zinc)からなる群から選択されてもよい。放電電極52の厚さ範囲は、約300μmよりも小さく、好ましくは、約30μm~300μmである。
【0053】
詳しくは、
図2及び
図4aに示すように、ステップS20では、放電電極52は、少なくとも1つの加工パラメータで第1の切断方向D1に沿って放電エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に印加することにより、被加工物100の加工対象領域110を切断する。
被加工物100が円筒形のインゴットであることを例として、加工対象領域110は、例えば、
図4b及び
図5bの点線で示すように、インゴットの径方向に画定されており、点線は、切断されていない加工対象領域110を表し、実線は、切断された加工対象領域110を表している。
インゴットの切断すべき厚さは固定値ではないが変化し、例えば、放電電極52が上から下へ平行に切断することについて、インゴット最上部の切断すべき厚さが最小値であり、インゴットの切断すべき厚さの最大値はその直径長さである。
さらに、通常、インゴットの切断すべき厚さがある数値を超える場合、インゴットの切断速度は、その切断すべき厚さの増加に伴って非線形に低下する。
従って、本発明が提供する段階的切断技術における指定されたパラメータは、切断すべき厚さによって例示され、すなわち、被加工物100の切断すべき厚さに応じて加工パラメータを調整する。
例えば、放電電極52と被加工物100との重なり長さ(すなわち、被加工物100の切断すべき厚さ)が設定数値になった時に、加工パラメータを変更することができ、例えば、被加工物100に対する送り方向を変更するため、被加工物100の後続の切断すべき厚さをこの設定数値よりも小さくして、被加工物全体の総切断時間を最適化するという効果を達成できる。
例えば、本発明は、被加工物100の第1の切断ステップS20における第1の切断すべき厚さT1に応じて、加工パラメータを調整することができ(ステップS30)、すなわち、被加工物100の第1の切断ステップS20における第1の切断すべき厚さT1が前記設定数値(第1の数値)になるか否かを判断し、「イエス」であれば、加工パラメータを調整でき、次に、調整された加工パラメータを用いて被加工物100の加工対象領域110に対して第2の切断ステップS40を実行する。
【0054】
加工パラメータが配向パラメータ(すなわち、被加工物に対する加工方向)であることを例として、第1の切断ステップS20では、放電電極52は、少なくとも1つの加工パラメータで放電エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に印加することにより、第1の切断方向D1に沿って被加工物100を切断する。
しかしながら、被加工物100の第1の切断すべき厚さT1が設定数値(第1の数値)に増加した時に、本発明は、第1の調整ステップS30を実行することにより、上記配向パラメータを第1の切断方向D1から第2の切断方向D2に変更する。
続いて、第2の切断ステップS40を実行する。第2の切断方向D2と第1の切断方向D1との間には、180度などの第1の夾角がある。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、上記第1の夾角は、例えば、0度~360度の間の範囲である。
【0055】
同様に、第2の切断ステップS40では、放電電極52は、第2の切断方向D2で被加工物100を切断する。
第2の切断ステップS40では、放電電極52によって切断される被加工物100の第2の切断すべき厚さT2が第2の数値に増加した時に、放電加工(EDM)ユニット50は、配向パラメータを再調整することにより(S50)、配向パラメータを第2の切断方向D2から第3の切断方向D3に変更し、第3の切断方向D3に沿って前記被加工物100の加工対象領域110に対して第3の切断ステップS60を実行し、第3の切断ステップS60では、被加工物100の第3の切断方向D3における第3の切断すべき厚さT3は、第3の数値を有する。
第2の数値は、例えば、第1の数値よりも小さいか、よりも大きいか又は等しい。
上記第3の数値は、例えば、第1の数値又は第2の数値よりも小さいか、よりも大きいか又は等しい。
本発明の一実施形態では、第2の数値は、第1の数値に等しく、第3の数値は、第1の数値(第2の数値)よりも小さい。
第3の切断方向D3と第2の切断方向D2との間には第2の夾角があり、前記第2の夾角は、0度~360度の間、例えば、90度であるが、本発明はこれに限定されず、上記第2の夾角は、例えば、0度~360度の間の範囲である。
しかしながら、本発明の別の実施形態では、2段階切断を例として、第2の数値が第1の数値に等しく、放電電極52によって切断される被加工物100の第2の切断ステップS40における第2の切断すべき厚さT2がすべて第2の数値(第1の数値)に増加していない時に、本発明は、切断が完了するまで、上記第2の切断方向D2で被加工物100を切断することができる。
2段階切断では、本発明の第2の切断すべき厚さT2はすべてインゴットの直径よりも小さいため、本発明の被加工物100を切断する速度は、依然として従来の非段階的切断技術よりも速くなり、必要な総切断時間はより短くなる。
【0056】
被加工物100がインゴットであることを例として、本発明の特色としては、指定されたパラメータ(第1の切断すべき厚さT1、第2の切断すべき厚さT2及び第3の切断すべき厚さT3など)の数値がすべてインゴットの直径よりも小さくなるため、従来の放電加工技術では、切断厚さが大きいため、切断速度が遅くなるという問題を解決することができる。
さらに、上記列挙された3段階切断を例として、本発明の第3の切断すべき厚さT3の第3の数値は、第1の切断すべき厚さT1の第1の数値(すなわち、第2の切断すべき厚さT2の第2の数値)よりも小さく、勿論インゴットの直径よりも小さいため、第3の切断方向D3(左側から右側へ)に沿ってインゴットを完全に切断する場合、本発明の被加工物100を切断する速度は、従来の非段階的切断技術よりも速くなり、必要な総切断時間はより短くなる。
【0057】
上記言及されている設定数値は、例えば、計算によるものであってもよく、例えば、使用者は、先ず被加工物のサイズを測定することにより、第1の切断すべき厚さT1の第1の数値が第3の切断すべき厚さT3の第3の数値よりも大きいという条件を満たす数値を取得し、次に、これらの数値を放電加工(EDM)ユニット50に手動で入力することにより、放電加工(EDM)ユニット50が異なる切断すべき厚さ時の加工パラメータを調整し、この設定数値の設定については、切断すべき厚さと切断速度との関係に応じて最適な解決策を見つけることができる。
又は、上記第1の切断すべき厚さT1、第2の切断すべき厚さT2及び第3の切断すべき厚さT3の数値は、例えば、学習アルゴリズムによって学習されるものであってもよく、例えば、複数回の実際の加工データに応じてデータベースを作成して、学習アルゴリズムによって最適化された加工パラメータを提供することにより、異なる厚さ時の加工パラメータを自動的に調整することができる。
さらに又は、本発明は、第1の切断すべき厚さT1、第2の切断すべき厚さT2及び第3の切断すべき厚さT3の間の数値関係を考慮しなくてもよいが、使用者は、例えば、第1の切断すべき厚さT1の第1の数値及び/又は第2の切断すべき厚さT2の第2の数値を直接指定し、この第1の数値及び/又は第2の数値は、0よりも大きくインゴットの直径よりも小さい任意の数値であってもよい。
被加工物100の径方向断面が真円形であることを例とすると、上記設定数値(第1の数値)は、例えば、円内正方形の辺長と円の直径との間にあってもよい。
しかしながら、他の実施態様では、上記設定数値(第1の数値)は、例えば、円内正方形の辺長以下であってもよい。
すなわち、上記第2の切断すべき厚さT2又は第3の切断すべき厚さT3がインゴットの直径よりも小さい限り、全体的な切断速度の向上に寄与する。
例えば、他の実施態様では、放電電極52は、第1の切断ステップS20で第1の切断方向D1に沿って被加工物100の加工対象領域110を部分的に切断する場合、本発明は、例えば、被加工物100に対する加工方向を第1の切断方向D1から第2の切断方向D2に変更し、第2の切断方向D2に沿って第2の切断ステップS40を実行することができる。
同様に、放電電極52は、第2の切断ステップS40で第2の切断方向D2に沿って被加工物100の加工対象領域110を部分的に切断する場合、本発明は、例えば、被加工物100に対する加工方向を第2の切断方向D2から第3の切断方向D3に変更し、第3の切断方向D3に沿って第3の切断ステップS60を実行することができ、以下同様とする。
さらに、本発明の段階的切断技術は、3段階切断によって例示されるが、本発明は、上記列挙された3段階切断に限定されず、本発明は、2段階切断、4段階切断又はさらに多段階切断を実行してもよく、全体的な切断速度が従来の非段階的切断技術よりも速くなる限り、それらはいずれも本発明に適用できる。
【0058】
続いで、加工パラメータが配向パラメータ(すなわち、被加工物に対する加工方向)であることを例として、本発明は、例えば、被加工物100の配置方向を調整することにより、送り方向を変更するという効果を達成できる。
被加工物100の配置方向を自動的に変更することを例として、
図2に示すように、本発明の載置ステージ20は、例えば、多軸(2軸、3軸又は以上など)モータを備えた可動載置ステージであってもよく、これにより治具22の放電電極52に対する加工方向を変更し、放電電極52が前記第1の切断方向D1、第2の切断方向D2、第3の切断方向D3又は他の方向から被加工物100を切断するようにする。
又は、
図2に示すように、送給リール56a及び巻取リール56bなどの本発明の放電加工(EDM)ユニット50は、例えば、多軸(2軸、3軸又は以上など)モータを備えてもよく、放電加工(EDM)ユニット50の送り方向を調整して、放電電極52の被加工物100に対する加工方向を変更することにより、放電電極52が前記第1の切断方向D1、第2の切断方向D2、第3の切断方向D3又は他の方向から被加工物100を切断することができる。
被加工物100の配置方向を手動で変更することを例として、使用者は、例えば、載置ステージ20上の被加工物100の配置方向を手動で変更することにより、放電電極52は、前記第1の切断方向D1、第2の切断方向D2、第3の切断方向D3又は他の方向から被加工物100を切断することができる。
【0059】
また、本発明の加工パラメータは配向パラメータによって例示されるが、本発明を限定するものではない。
加工パラメータは、例えば、配向パラメータ、放電電気的パラメータ、残渣排出パラメータ、及び、移動及び張力パラメータのうちの1つ又は複数であってもよい。
詳しくは、配向パラメータは、例えば、被加工物に対する加工方向であり、放電電気的パラメータは、ピーク電流(放電中に放電電極の2つの極の間を流れる最大電流)、被加工物が放電電極から離れた時の電圧、放電パルス持続時間、放電パルス休止時間、放電電極と被加工物との間のサーボ基準電圧のうちの1つ又は複数を含み、残渣排出パラメータは、放電電極に提供された残渣排出溶液の流速を含み、残渣排出溶液は、例えば、水、好ましくは脱イオン水であり、残渣排出溶液は、例えば、放電電極の両端点の間に提供され、移動及び張力パラメータは、放電電極の移動速度及び放電電極の張力のうちの1つ又は複数を含む。
電極間電圧(放電電極とワーク電極との間の電圧)は、約0~約300Vの範囲であり、放電パルス持続時間は、約5μs~約2400μsの範囲であり、放電パルス休止時間は、約5μs~約2400μsの範囲である。
換言すると、本発明は、加工パラメータが、例えば、様々な放電加工パラメータを含んでもよいが、これらの加工パラメータのうちの1つ又は複数を調整することに限定されない。さらに、本発明は、好ましくは、異なる切断すべき厚さに応じて、上記加工パラメータを調整してもよい。
【0060】
また、
図3及び
図4bに示すように、放電電極52の表面と、被加工物100の進行方向における表面(切断面100a)及び非進行方向における表面(切断面100b、100c)との間には隙間があり、この隙間内に、誘電体材料として空気、脱イオン水又は油などの絶縁材料又は他の適切な絶縁性物質が充填される。
例えば、脱イオン水中で放電加工ステップが実行される場合、脱イオン水は上記隙間を充填する。
同様に、大気環境で放電加工ステップが実行される場合、空気は上記隙間を充填する。
また、
図3に示すように、本発明の第2の実施例では、液体タンク59a内で放電加工ステップが実行される場合、液体59bは上記隙間を充填し、液体タンク59a内の液体59bは、例えば、油などの加熱可能な液体であり、熱衝撃を低減させ、又は熱均一性を向上させることができる。
また、放電加工手順中に、本発明は、液体圧力によって被加工物100の振れを低減させ、切断面100b、100cの表面粗さを低減させることができ、放電加工品質を向上させることに寄与する。
上記のように、
図4aに示すように、本発明は、1つの放電電極52(単一の導電性構造)で1つの被加工物(すなわち、単一の固体構造)を切断することを例として説明するが、本発明はこれに限定されない。
図7aに示すように、本発明の放電電極52は、例えば、複数の被加工物100(すなわち、複数の固体構造)に対して放電加工手順を同時に実行してもよく、すなわち、放電電極52は、複数の被加工物100を同時に切断することができる。
同様に、本発明は、複数の分離された放電電極52(複数の導電性構造)で1つの被加工物100(
図7bに示される)又は複数の被加工物(
図7cに示される)に対して切断手順を同時に実行してもよい。
さらに、本発明の放電加工手順は、上記液状又はガス状などの流体中で実行されることに限定されず、真空環境で実行されてもよい。
換言すると、本発明の放電加工手順は、放電電極52で被加工物100を湿式切断できる(すなわち、液体タンク59a内で実行される)ことに加えて、放電電極52で被加工物100を乾式切断できる(すなわち、空気又は真空環境で実行される)。
本発明は、放電電極52による被加工物100の乾式切断中に、放電電極52を選択的に降温してもよく、例えば、液体又はガスなどの降温流体を用いて放電電極52を降温させ又は温度を維持させ、又は、液体又はガスなどの降温流体を用いることなく、放電電極52を放電エネルギーによって昇温させてもよい。
【0061】
また、本発明は、さらに選択的に埋めステップを実行してもよく、例えば、超音波ユニット95などの外力外乱源を用いて超音波を提供し、加工対象領域110の切断面100b、100cの表面亀裂を埋め材で埋めるようにし、これらの余分な表面亀裂の連続的な拡大を回避することにより、その構造を強化できるだけでなく、切断ステップS20、S40又はS60を高速(さらに加速)実行する効果を達成できる。
埋め材の組成は、例えば、Si、SiC、SiGe、Ge、GaAs、GaN又はInPなどの材料であってもよいが、これらに限定されず、埋め剤又は接着剤などの、亀裂を埋めるのに適する任意の材料は、いずれも本発明に適用できる。
超音波の周波数範囲は、例えば、約15KHz~約30KHzであるが、これに限定されない。
この埋めステップは、好ましくは、流体中で実行され、この流体は、例えば、油又は水などの液体59b又は空気などの伝導媒体であり、超音波は、流体中に流体液滴及び衝撃圧力波を発生させて、埋め材の材料粒子を加工対象領域110の切断面又は薄型化面の表面亀裂に埋め込むようにする。
また、本発明は、特定の構造の超音波ユニット95に限定されず、超音波ユニット95が超音波を提供する方向も特に限定されず、任意の方向であってもよく、埋め効果を達成できる限り、本発明に適用できる。
本発明は、切断手順では、熱源70を用いて被加工物を加熱してもよい。
熱源70は、例えば、前記液体タンク59a、マイクロ波又は高周波源60、又はレーザー源、及び/又は赤外線光源であってもよい。
また、本発明は、上記熱源70によって提供された熱エネルギーにより、分離又は切断された固体構造(第1の半部の構造100aなど)の表面又はその改質層120の表面を酸化し又は他の化学反応を発生させて、酸化ケイ素又は酸化物などの埋め材を形成し、さらに表面亀裂を埋めて表面亀裂の伝播を防止することができる。
【0062】
上記のように、本発明の加工パラメータを調整可能な放電加工装置及び放電加工方法は、以下の利点を有する。
【0063】
(1)段階的切断技術により、放電加工切断厚さが大きいため、総切断時間が長くなるという問題を解決することができる。
【0064】
(2)段階的切断技術により、指定されたパラメータが設定数値に変化した時に、送り方向を直ちに変更する。
【0065】
(3)段階的切断技術により、切断すべき厚さが設定数値よりも大きい場合、送り方向を直ちに変更し、厚さの大きな切断すべき面を、複数の厚さの小さな切断面に分割することにより、放電加工切断厚さが大きいため、切断速度が遅くなるという問題を解決することができる。
【0066】
以上の記述は例を挙げたものにすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、添付の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10:放電加工装置
20:載置ステージ
22:治具
50:放電加工(EDM)ユニット
52:放電電極
54:電力源
56a:送給リール
56b:巻取リール
57a、57b:プーリ
59a:液体タンク
59b:液体
60:マイクロ波又は高周波源
70:熱源
95:超音波ユニット
100:被加工物
100a、100b、100c:切断面
110:加工対象領域
S10、S20、S30、S40、S50、S60:ステップ
D1:第1の切断方向
D2:第2の切断方向
D3:第3の切断方向
T1:第1の切断すべき厚さ
T2:第2の切断すべき厚さ
T3:第3の切断すべき厚さ