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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166619
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20231114BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231114BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20231114BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20231114BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
A24F40/50
A24F40/60
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023159970
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2021554571の分割
【原出願日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】62/816,264
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バイデルマン, キース ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブランディノ, トーマス ポール
(72)【発明者】
【氏名】サイエド, アシュレイ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク ジェームズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾル供給デバイスが提供される。
【解決手段】デバイスは、複数の電気的構成要素と、エアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリと、複数の電気的構成要素及び加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーとを具備する。使用中において、複数の電気的構成要素の電力消費は、約0.25W未満である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスであって、
複数の電気的構成要素と、
誘導加熱回路と、加熱セッションにわたってエアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素とを備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーであり、供給電圧を供給するバッテリーと
を具備し、
前記複数の電気的構成要素がコントローラを備え、
前記コントローラは、前記誘導加熱回路への電力の供給を制御するように構成され、
前記供給電圧が変化する場合に、前記コントローラは、前記誘導加熱回路に供給される制御電圧を変化させて、目標電力と等しい電力の供給を維持するように構成されている、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記目標電力は、前記加熱セッションにわたって一定である、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記目標電力は、第1の期間における第1の一定値から第2の期間における第2の一定値に減少する、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記バッテリーから引き込まれる電流が、前記コントローラによって測定され、前記電力の供給を決定するために使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、前記電力の供給が前記目標電力に等しくないときに、前記目標電力へ前記電力の供給を調整するために、所定の時間間隔にわたって所定の量だけ前記制御電圧を調整するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
エアロゾル供給デバイスであって、
複数の電気的構成要素と、
誘導加熱回路と、加熱セッションにわたってエアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素とを備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーであり、供給電圧を供給するバッテリーと
を具備し、
前記複数の電気的構成要素がコントローラを備え、
前記コントローラは、前記誘導加熱回路への電力の供給を制御するように構成され、
前記コントローラは、前記加熱セッションの開始時に、前記誘導加熱回路に供給される制御電圧を所定の初期値に設定するように構成され、
前記コントローラは、前記電力の供給が目標電力に達するまで、所定の間隔にわたって所定の量だけ前記制御電圧を繰り返し増加させるように構成されている、エアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記目標電力は、前記加熱セッションにわたって一定である、請求項6に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記目標電力は、第1の期間における第1の一定値から第2の期間における第2の一定値に減少する、請求項6に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記バッテリーから引き込まれる電流が、前記コントローラによって測定され、前記電力の供給を決定するために使用される、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
エアロゾル供給デバイスであって、
複数の電気的構成要素と、
誘導加熱回路と、加熱セッションにわたってエアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素とを備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーであり、供給電圧を供給するバッテリーと
を具備し、
前記複数の電気的構成要素がコントローラを備え、
前記コントローラは、前記誘導加熱回路への電力の供給を制御するように構成され、
前記コントローラは、前記誘導加熱回路に供給される制御電圧を変化させて、目標電力と等しい電力の供給を維持するように構成され、
前記目標電力は、第1の期間における第1の一定値から第2の期間における第2の一定値に減少する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記バッテリーから引き込まれる電流が、前記コントローラによって測定され、前記電力の供給を決定するために使用される、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記コントローラは、前記電力の供給が前記目標電力に等しくないときに、前記目標電力へ前記電力の供給を調整するために、所定の時間間隔にわたって所定の量だけ前記制御電圧を調整するように構成されている、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が約0.25W未満である、請求項1、6又は10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】

使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が、前記加熱アセンブリの電力消費の約1%未満である、請求項1、6又は10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記複数の電気的構成要素の電力消費が約50mW未満である、請求項13又は14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記複数の電気的構成要素の電力消費が約40mW未満である、請求項13又は14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記コントローラがアクティブである場合に、前記コントローラの電力消費が約10mW~約20mWの間であり、前記コントローラが非アクティブである場合に、前記複数の電気的構成要素の電力消費が約0.5mW未満である、請求項13又は14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記複数の電気的構成要素は、視覚インジケータを含み、前記視覚インジケータは、アクティブ時に約0.05W未満を消費する、請求項13または14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
使用中において、前記ヒータアセンブリの電力消費が約15W~約25Wの間である、請求項13又は14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
前記誘導加熱回路が、前記ヒータ構成要素を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルをさらに備える、請求項1、6又10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項21】
前記ヒータアセンブリが、前記ヒータ構成要素を加熱するように構成された第1のコイル及び第2のコイルを備える、請求項1、6又は10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項22】
使用中において、前記エアロゾル供給デバイスの外面が約48℃未満に留まる、請求項16又は10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項23】
請求項1、6又は10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品と
を具備するエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル供給システムに関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガー及び同様のものなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を発生させる。燃焼なしに化合物を放出する製品を創出することにより、タバコを燃焼させるこれらの物品の代替物を提供するための試みがなされてきた。そのような製品の例としては、材料を燃焼させずに加熱することにより化合物を放出する加熱デバイスがある。材料は、例えば、ニコチンを含有してもしなくてもよいタバコ又は他の非タバコ製品であってもよい。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、
複数の電気的構成要素と、
エアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーと
を具備するエアロゾル供給デバイスであって、
使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が約0.25W未満である、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、
複数の電気的構成要素と、
エアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーと
を具備するエアロゾル供給デバイスであって、
使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が、前記加熱アセンブリの電力消費の約1%未満である、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、
第1の態様に係るエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品と
を具備するエアロゾル供給システムが提供される。
【0006】
本発明のさらなる特徴及び利点が、添付の図面を参照してなされる、単に例として与えられる本発明の好適な実施形態についての以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、エアロゾル生成デバイスの例の正面図を示す。
図2図2は、外カバーが除去された図1のエアロゾル生成デバイスの正面図を示す。
図3図3は、図1のエアロゾル生成デバイスの断面図を示す。
図4図4は、図2のエアロゾル生成デバイスの分解組立図を示す。
図5図5Aは、エアロゾル生成デバイス内の加熱アセンブリの断面図を示す。図5Bは、図5Aの加熱アセンブリの一部分の拡大図を示す。
図6図6は、図1から図5Bのエアロゾル生成デバイスのための例示的な誘導加熱回路の模式図を示す。
図7A図7Aは、図6の例示的な誘導加熱回路のインダクタを通る電流の模式図を示す。
図7B図7Bは、図6の例示的な誘導加熱回路の電流検知抵抗器の両端の電圧の模式図を示す。
図8図8は、図6の回路のスイッチング構成体の両端の電圧の模式図を示す。
図9図9は、図1から図5Bのデバイスのための例示的な誘導加熱回路の別の模式図を示す。
図10図10~13は、前出の図によって表されている例示的な誘導加熱回路のための例示的な制御構成体の様々な部分を示す。
図11図10~13は、前出の図によって表されている例示的な誘導加熱回路のための例示的な制御構成体の様々な部分を示す。
図12図10~13は、前出の図によって表されている例示的な誘導加熱回路のための例示的な制御構成体の様々な部分を示す。
図13図10~13は、前出の図によって表されている例示的な誘導加熱回路のための例示的な制御構成体の様々な部分を示す。
図14図14は、例示的な誘導加熱回路の各局面を制御する例示的方法のフローチャート図を示す。
図15図15は、例示的な誘導加熱回路の各局面を制御する別の例示的方法のフローチャート図を示す。
図16図16は、例示的な誘導加熱回路の動作中におけるインダクタの温度及びインダクタに供給されるべき目標電力の模式図を示す。
【詳細な説明】
【0008】
本明細書において用いられる場合、「エアロゾル生成材料」との用語は、加熱したときに揮発成分を典型的にはエアロゾルの形態で提供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでもよい。エアロゾル生成材料はさらに、製品によってニコチンを含有してもしなくてもよい他の非タバコ製品を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス又は同様のものの形態であってもよい。エアロゾル生成材料はさらに、例えば、複数の材料の組み合わせ又は混合物であってもよい。エアロゾル生成材料はさらに、「喫煙材」として知られるものであってもよい。
【0009】
エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には、エアロゾル生成材料を燃焼又は発火させることなく、吸入可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。そのような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」若しくは「タバコ加熱デバイス」又は類似のものとして説明される場合がある。同様に、典型的には、ニコチンを含有してもしなくてもよい液体の形態のエアロゾル生成材料を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスも存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ若しくはカセット又は同様のものの形態であってもよい、又はその一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱及び揮発させるためのヒータが、装置の「固定的な」部品として提供されてもよい。
【0010】
エアロゾル供給デバイスは、加熱のためにエアロゾル生成材料を含む物品を受けることができる。この文脈における「物品」とは、エアロゾル生成材料を揮発させるために加熱される、エアロゾル生成材料を使用中に含む又は含有し、任意選択的に他の構成要素を使用中に含む又は含有する構成要素である。ユーザは、ユーザが後に吸入するエアロゾルを生成するために物品が加熱される前に、物品をエアロゾル供給デバイスに挿入してもよい。物品は、例えば、物品を受けるようにサイズ調整されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された所定の又は特定のサイズのものであってもよい。
【0011】
本開示は、複数の電気的構成要素と、エアロゾル生成材料を加熱するための少なくとも1つのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリとを具備するエアロゾル供給デバイスについて説明する。ヒータアセンブリは、抵抗加熱又は誘導加熱を用いてもよい。特定の例において、加熱アセンブリは、少なくとも1つのコイルを備える。コイルは、例えばインダクタコイルであってもよい。したがって、ヒータ構成要素はサセプタであってもよく、コイルはサセプタを加熱することができ、そしてサセプタがエアロゾル生成材料を加熱する。コイルはインダクタ、又はインダクタコイルであってもよい。
【0012】
デバイスは、複数の電気的構成要素及び加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーをさらに備える。使用中において、複数の電気的構成要素の電力消費は、約0.25W未満である。
【0013】
したがって、デバイスは、エアロゾル生成材料を加熱するように構成された加熱アセンブリと、複数の他の電気的構成要素とを備える。複数の電気的構成要素は、マイクロプロセッサなどのコントローラと、例えば複数のLEDを備える視覚インジケータとを備えてもよい。複数の電気的構成要素は、ヒータ構成要素及び(1つ又は複数の)コイルなどのヒータアセンブリを含まない。
【0014】
複数の電気的構成要素の電力消費は、好ましくは約0.1W未満である。電気的構成要素の電力消費を0.1W未満に保つことで、デバイスの表面温度を低減するとともに、全体的なエネルギー効率に貢献することができることが見出されている。例えば、デバイスの表面温度を約48℃未満又は約43℃未満に維持することが望ましい場合がある。電気的構成要素は、加熱構成要素よりも表面近くに配置される場合があり、より断熱される度合いが低い場合があるため、表面温度に対して想定以上の影響を及ぼし得る。エネルギー効率の高い構成要素を用いることにより、デバイスの表面温度を低減することができる。加えて、電気的構成要素が約0.1W未満を消費する場合、バッテリーを再充電する必要が生じる前に、デバイスをより長期間にわたって使用することができる。
【0015】
バッテリーは、DC電源であってもよい。バッテリーは、バッテリーのモジュール、又はバッテリーアセンブリであってもよい。バッテリーは、3~4Vバッテリーであってもよい。
【0016】
複数の電気的構成要素の電力消費は、約0.05W未満若しくは約0.04W未満、又は約0.01W未満であってもよい。
【0017】
一例において、複数の電気的構成要素はコントローラを備え、コントローラがアクティブである場合に、コントローラの電力消費は約10mW~約20mWの間であり、コントローラが非アクティブである場合に、複数の電気的構成要素の電力消費は約0.5mW未満である。
【0018】
一例において、複数の電気的構成要素は複数のLEDを備え、各LEDは、最大明度又は最大強度において約0.01W未満の電力消費を有する。一例において、4つのLEDが存在し、4つのLEDの電力消費は、最大明度において約0.04W未満である。例えば、4つのLEDの電力消費は、約0.03Wであってもよい。
【0019】
よって、複数の電気的構成要素は4つのLED及びコントローラを備えてもよく、コントローラが非アクティブであり、LEDがスイッチオフされている場合、電気的構成要素の電力消費は約0.5mW未満である。コントローラがアクティブであり、LEDがスイッチオンされている場合、電気的構成要素の電力消費は約0.05W未満である。例えば、コントローラがアクティブであり、LEDがスイッチオンされている場合、電気的構成要素の電力消費は、約0.03W~約0.05Wの間であってもよい。
【0020】
加熱セッション中、加熱アセンブリは、約15W~約25Wを消費してもよい。例えば、使用中において、ヒータアセンブリの電力消費は、約15W~約25Wの間である。ヒータアセンブリの電力消費は、約20W~約23Wの間など、約20W~約25Wの間であることが好ましい。
【0021】
いくつかの例において、複数の電気的構成要素は、WiFiインターフェース及び/又はBluetooth(登録商標)インターフェース及び/又はNFCインターフェースを含む。
【0022】
いくつかの例において、複数の電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリの電力消費の約1%未満である。別の例において、複数の電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリの電力消費の約0.5%未満である。電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリの電力消費の約0.2%未満であることが好ましい。例えば、複数の電気的構成要素の電力消費は約0.05Wであってもよく、ヒータアセンブリの電力消費は約20Wであってもよい。
【0023】
バッテリーは、約30000J~35000Jの間のバッテリー容量を有してもよい。
【0024】
ヒータアセンブリは、約3分~約5分の期間にわたって動作するように構成されてもよく、その期間中に約1000J~約1400Jを消費するように構成されてもよい。したがって、バッテリーは、約20~約35回の期間にわたってヒータアセンブリに電力供給するように構成されてもよい。各期間は、加熱セッションとして知られるものであってもよい。この期間中、1つ又は複数のインダクタコイルが断続的に動作されてもよい。
【0025】
デバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られるタバコ加熱デバイスであることが好ましい。
【0026】
上記にて簡単に述べたように、いくつかの例において、(1つ又は複数の)コイルは、使用中において、少なくとも1つの導電性加熱構成要素/要素(ヒータ構成要素/要素としても知られる)の加熱を引き起こすことで、熱エネルギーを少なくとも1つの導電性加熱構成要素からエアロゾル生成材料に伝導可能とし、以てエアロゾル生成材料の加熱を引き起こすように構成される。
【0027】
いくつかの例において、(1つ又は複数の)コイルは、使用中において、少なくとも1つの加熱構成要素/要素に貫通させるための変動磁界を生成し、以て少なくとも1つの加熱構成要素の誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を引き起こすように構成される。そのような構成体において、この加熱構成要素又は各加熱構成要素は、「サセプタ」と称されてもよい。使用中において、少なくとも1つの導電性加熱構成要素に貫通させるための変動磁界を生成し、以て少なくとも1つの導電性加熱構成要素の誘導加熱を引き起こすように構成されるコイルは、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と称されてもよい。
【0028】
デバイスは、例えば(1つ又は複数の)導電性加熱構成要素のような(1つ又は複数の)加熱構成要素を含んでもよく、(1つ又は複数の)加熱構成要素は、(1つ又は複数の)加熱構成要素のそのような加熱を可能とするように(1つ又は複数の)コイルに対して適当に配置され又は配置可能であってもよい。(1つ又は複数の)加熱構成要素は、(1つ又は複数の)コイルに対して固定の位置にあってもよい。代替的に、例えば少なくとも1つの導電性加熱構成要素のような少なくとも1つの加熱構成要素は、デバイスの加熱ゾーンへの挿入のための物品に含まれてもよく、当該物品は、エアロゾル生成材料をさらに含み、使用後に加熱ゾーンから取り出し可能である。代替的に、デバイス及びそのような物品の両方が、例えば少なくとも1つの導電性加熱構成要素のような少なくとも1つのそれぞれの加熱構成要素を備えてもよく、(1つ又は複数の)コイルは、物品が加熱ゾーンにある場合に、デバイス及び物品の各々の(1つ又は複数の)加熱構成要素の加熱を引き起こすようになっていてもよい。
【0029】
いくつかの例において、(1つ又は複数の)コイルは螺旋状である。いくつかの例において、(1つ又は複数の)コイルは、エアロゾル生成材料を受けるように構成されたデバイスの加熱ゾーンの少なくとも一部を囲む。いくつかの例において、(1つ又は複数の)コイルは、加熱ゾーンの少なくとも一部を囲む螺旋状の(1つ又は複数の)コイルである。加熱ゾーンは、エアロゾル生成材料を受ける形状とされた容器であってもよい。
【0030】
いくつかの例において、デバイスは、加熱ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む導電性加熱構成要素を備え、(1つ又は複数の)コイルは、導電性加熱構成要素の少なくとも一部を囲む螺旋状の(1つ又は複数の)コイルである。いくつかの例において、導電性加熱構成要素は管状である。いくつかの例において、コイルはインダクタコイルである。
【0031】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の例を示す。概略として、デバイス100は、デバイス100のユーザによって吸入されるエアロゾル又は他の吸入可能媒体を生成するように、エアロゾル生成媒体を含む交換可能物品110を加熱するために用いられてもよい。
【0032】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲んで収容する(外カバーの形態の)筐体102を備える。デバイス100は、加熱アセンブリによる加熱のために物品110が挿入され得る開口部104を一端部に有する。使用中において、物品110は、ヒータアセンブリの1つ又は複数の構成要素によって加熱され得るような位置で、加熱アセンブリに完全に又は部分的に挿入されてもよい。
【0033】
本例のデバイス100は、物品110が定位置にないときに開口部104を閉じるために第1の端部部材106に対して移動可能である蓋108を備える第1の端部部材106を備える。図1において、蓋108は開いた状態で示されているが、閉じた状態となるようにキャップ108が移動してもよい。例えば、ユーザは、蓋108を矢印「A」の方向にスライドさせてもよい。
【0034】
デバイス100は、押下された場合にデバイス100を動作させる、ボタン又はスイッチなどの、ユーザによる操作が可能な制御要素112をさらに含んでもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112を操作することにより、デバイス100をターンオンしてもよい。
【0035】
デバイス100は、デバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを受けることが可能なソケット/ポート114などの電気的構成要素をさらに備えてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。いくつかの例において、ソケット114は、追加的に又は代替的に、デバイス100とコンピューティングデバイスなどの別のデバイスとの間でデータを転送するために用いられてもよい。
【0036】
図2は、外カバー102が除去された図1のデバイス100を図示する。デバイス100は、長手方向軸線134を画定する。
【0037】
図2に示すように、第1の端部部材106はデバイス100の一端部に配置され、第2の端部部材116がデバイス100の反対側の端部に配置される。第1及び第2の端部部材106、116は共に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外カバー102の縁部も、端面の一部分を画定してもよい。本例においては、蓋108もデバイス100の上面の一部分を画定する。図2は、制御要素112内に関連付けられた第2のプリント回路基板138をさらに示す。
【0038】
開口部104に最も近いデバイスの端部は、使用中においてユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は口側端部)として知られるものであってもよい。使用中において、ユーザは、物品110を開口部104に挿入し、エアロゾル生成材料を加熱し始めるようユーザ制御部112を操作し、デバイスに生成されたエアロゾルを吸い込む。これにより、エアロゾルが、デバイス100の近位端に向かう流路に沿ってデバイス100を通って流れる。
【0039】
開口部104から最も遠いデバイスの他端部は、使用中においてユーザの口から最も遠い端部であるため、デバイス100の遠位端として知られるものであってもよい。ユーザがデバイスに生成されたエアロゾルを吸い込むことに伴い、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れるように流れる。
【0040】
デバイス100は、電力源118をさらに備える。電力源118は、例えば、再充電式バッテリー又は非再充電式バッテリーなどのバッテリーであってもよい。適当なバッテリーの例としては、例えば、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが挙げられる。バッテリーは、必要な場合に及びコントローラ(不図示)の制御の下で電力を供給してエアロゾル生成材料を加熱するために、加熱アセンブリに電気的に結合される。本例において、バッテリーは、バッテリー118を定位置に保持する中央サポート120に接続される。電力源118は、DC電圧源118であってもよい。
【0041】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えばプリント回路基板(PCB)を備えてもよい。PCB 122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ、及びメモリを支持してもよい。PCB 122は、デバイス100の様々な電子的構成要素を共に電気的に接続するための1つ又は複数の電気的配線をさらに備えてもよい。例えば、電力をデバイス100全体にわたって分配することができるように、バッテリー端子がPCB 122に電気的に接続されてもよい。ソケット114も、電気的配線を介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0042】
例示的デバイス100において、加熱アセンブリは、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、例えば1つ又は複数のインダクタコイルのような誘導素子と、交流電流などの変動電流を誘導素子に流すためのデバイスとを備えてもよい。誘導素子における変動電流は、変動磁界を生じさせる。変動磁界は、誘導素子に対して適当に位置付けられたサセプタを貫通し、サセプタ内部に渦電流を生成する。サセプタは渦電流に対する電気的抵抗を有し、ゆえに、この抵抗に抗する渦電流の流れにより、サセプタがジュール熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタにおける磁気ヒステリシス損によって、すなわち、磁性材料の磁気双極子の向きが変動磁界と並ぶ結果として変動することによっても、熱が生成される場合がある。例えば伝導による加熱と比較して、誘導加熱では、サセプタ内部に熱が生成されることで、急速な加熱が可能となる。さらに、誘導ヒータとサセプタとの間のいかなる物理的接触も必要でなく、構造及び応用の自由度の向上が可能となる。
【0043】
例示的デバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書では「サセプタ」と称する)、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。本例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状のインダクタコイル124、126を形成するように螺旋状に巻回されたリッツ線/ケーブルから作製される。リッツ線は、個々に絶縁され、単一の線を形成するようにねじり合わせられた複数の個々の線を含む。リッツ線は、導体における表皮効果損失を低減するように設計される。例示的デバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に円形の断面を有する銅リッツ線から作製される。他の例において、リッツ線は、矩形などの他の形状の断面を有し得る。
【0044】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1のセクションを加熱するための第1の変動磁界を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2のセクションを加熱するための第2の変動磁界を生成するように構成される。ここで、サセプタ132の第1のセクションを第1のサセプタゾーン132aと称し、サセプタ132の第2のセクションを第2のサセプタゾーン132bと称する。本例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿った方向において第2のインダクタコイル126に隣接する(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は重ならない)。本例において、サセプタ構成体132は、2つのゾーンを有する単一のサセプタを備えるが、他の例において、サセプタ構成体132は、2つ以上の別個のサセプタを備えてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続される。
【0045】
第1及び第2のインダクタコイル124、126は、いくつかの例において、互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよいことは理解されよう。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より具体的には、一例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なるインダクタンス値を有してもよい。図2において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124が第2のインダクタコイル126よりも小さいサセプタ132のセクションにわたって巻回されるように、長さが異なる。よって、第1のインダクタコイル124は、(個々の巻きの間の間隔は実質的に同じであると仮定して)第2のインダクタコイル126とは異なる巻き数を有してもよい。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126に対して異なる材料から作製されてもよい。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0046】
本例において、インダクタコイル124、126は、互いと同じ方向に巻回される。すなわち、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は共に左巻き螺旋である。別の例において、インダクタコイル124、126は共に右巻き螺旋であってもよい。さらに別の例(不図示)において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻回される。これは、それらのインダクタコイルが異なる時点でアクティブである場合に有用であり得る。例えば、最初に、第1のインダクタコイル124が物品110の第1のセクションを加熱するように動作していてもよく、その後、第2のインダクタコイル126が物品110の第2のセクションを加熱するように動作していてもよい。コイルを反対方向に巻回することで、特定のタイプの制御回路と組み合わせて用いた場合に、非アクティブなコイルに誘起される電流を低減する一助となる。コイル124、126が異なる方向に巻回される一例(不図示)において、第1のインダクタコイル124は右巻き螺旋であってもよく、第2のインダクタコイル126は左巻き螺旋であってもよい。別のそのような実施形態において、第1のインダクタコイル124は左巻き螺旋であってもよく、第2のインダクタコイル126は右巻き螺旋であってもよい。
【0047】
本例のサセプタ132は、中空状であり、したがって、エアロゾル生成材料が受けられる容器を画定する。例えば、物品110は、サセプタ132に挿入され得る。本例において、サセプタ132は、円形の断面を有する管状である。
【0048】
図2のデバイス100は、概して管状でサセプタ132を少なくとも部分的に取り囲んでもよい断熱部材128をさらに備える。断熱部材128は、例えばプラスチック材料などの任意の断熱材料から構成されてもよい。この特定の例において、断熱部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。断熱部材128は、サセプタ132に生成される熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱する一助となってもよい。
【0049】
断熱部材128はさらに、第1及び第2のインダクタコイル124、126を完全に又は部分的に支持し得る。例えば、図2に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断熱部材128の周りに位置付けられ、断熱部材128の径方向外方の面と接触する。いくつかの例において、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126に当接しない。例えば、断熱部材128の外面と第1及び第2のインダクタコイル124、126の内面との間に小さな間隙が存在していてもよい。
【0050】
ある特定の例において、サセプタ132、断熱部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央の長手方向軸線周りで同軸となっている。
【0051】
図3は、デバイス100の側面図を部分的に断面で示す。外カバー102は、本例においてもやはり提示されていない。第1及び第2のインダクタコイル124、126の円形の断面形状は、図3においてより明確に視認可能である。
【0052】
デバイス100は、サセプタ132を定位置に保持するようにサセプタ132の一端部と係合するサポート136をさらに備える。サポート136は、第2の端部部材116に接続される。
【0053】
デバイス100は、デバイス100の遠位端側に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、サセプタ132へのアクセスを提供するために第2の蓋140が開くことを可能とする。ユーザは、例えば、第2の蓋140を開けてサセプタ132及び/又はサポート136を清掃してもよい。
【0054】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口部104に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。デバイス100内に受けられたときの物品110に当接し物品110を保持する保持クリップ146が、少なくとも部分的に拡張チャンバ144内に配置される。拡張チャンバ144は、端部部材106に接続される。
【0055】
図4は、やはり外カバー102が省略された図1のデバイス100の分解組立図である。
【0056】
図5Aは、図1のデバイス100の一部分の断面を図示する。図5Bは、図5Aの一領域の拡大図を図示する。図5A及び図5Bは、サセプタ132内に受けられた物品110を示し、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面に当接するような寸法とされている。これにより、加熱が最も効率的になることが確実となる。本例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に位置付けられる。物品110は、フィルター、包装材及び/又は冷却構造などの他の構成要素をさらに備えてもよい。
【0057】
図5Bは、サセプタ132の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測定して距離150だけ、インダクタコイル124、126の内面から離隔されていることを示す。特定の一例において、距離150は、約3mm~4mm、約3mm~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0058】
図5Bは、断熱部材128の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測定して距離152だけ、インダクタコイル124、126の内面から離隔されていることをさらに示す。特定の一例において、距離152は約0.05mmである。別の例において、距離152は、インダクタコイル124、126が断熱部材128に当接し接触するように、実質的に0mmである。
【0059】
一例において、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの肉厚154を有する。
【0060】
一例において、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0061】
一例において、断熱部材128は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの肉厚156を有する。
【0062】
上記で説明したように、例示的デバイス100の加熱アセンブリは、誘導加熱プロセスを通して物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える誘導加熱アセンブリである。特に、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、エアロゾル生成材料を加熱しエアロゾルを生成するために、サセプタ132のそれぞれの第1のゾーン132a及び第2のゾーン132bを加熱するために用いられる。以下、図6図12を参照して、第1及び第2のインダクタコイル124、126を用いてサセプタ構成体132を誘導加熱する際のデバイス100の動作について詳細に説明する。
【0063】
デバイス100の誘導加熱アセンブリは、LC回路を備える。LC回路は、誘導素子によって形成されるインダクタンスL、及びキャパシタによって形成されるキャパシタンスCを有する。以下で論じるように、デバイス100において、インダクタンスLは第1及び第2のインダクタコイル124、126によって形成され、キャパシタンスCは複数のキャパシタによって形成される。インダクタンスL及びキャパシタンスCを有する誘導ヒータ回路は、いくつかの場合において、抵抗器によって形成される抵抗Rを有するRLC回路として表されてもよい。いくつかの場合において、抵抗は、インダクタ及びキャパシタを接続する回路の部分のオーミック抵抗によって形成され、ゆえに回路は、そのような場合には抵抗器を必ずしも含む必要はない。そのような回路は、回路素子のインピーダンス又はアドミタンスの虚部が互いに打ち消し合う場合に特定の共振周波数で生じる電気的共振を呈する場合がある。
【0064】
LC回路の一例として、インダクタ及びキャパシタが直列に接続された直列回路がある。LC回路の別の例として、インダクタ及びキャパシタが並列に接続された並列LC回路がある。LC回路において共振が生じるのは、インダクタの急落する磁界が、キャパシタを充電する電流をインダクタの巻線に生成し、一方で、放電するキャパシタが、インダクタの磁界を増加させる電流を形成するためである。並列LC回路が共振周波数で駆動された場合、(インダクタのリアクタンスがキャパシタのリアクタンスと等しくなることに伴って)回路の動的インピーダンスは最大となり、回路電流は最小となる。しかしながら、並列LC回路では、並列なインダクタ及びキャパシタのループが、(ループ内の電流を、したがってインダクタを通過する電流を実効的に増倍させる)電流増倍器として動作する。したがって、回路がサセプタを加熱するように動作している時間の少なくとも一部にわたってRLC又はLC回路が共振周波数で動作することを可能とすることで、サセプタを貫通する磁界の値を最大化することにより、効果的及び/又は効率的な誘導加熱をもたらし得る。
【0065】
サセプタ132を加熱するためにデバイス100によって用いられるLC回路は、以下で説明するように、スイッチング構成体として動作する1つ又は複数のトランジスタを利用してもよい。トランジスタは、電子的信号をスイッチングするための半導体デバイスである。トランジスタは、典型的には、電子回路への接続のための少なくとも3つの端子を備える。電界効果トランジスタ(FET)は、印加される電界の効果が、トランジスタの実効コンダクタンスを変動させるために用いられ得るトランジスタである。電界効果トランジスタは、ボディ、ソース端子S、ドレイン端子D、及びゲート端子Gを備えていてもよい。電界効果トランジスタは、電子又は正孔の電荷キャリアがソースSとドレインDとの間を流れ得る半導体を含む活性チャネルを有する。チャネルの伝導度、すなわちドレイン端子Dとソース端子Sとの間の伝導度は、例えばゲート端子Gに印加される電位によって生成される、ゲート端子Gとソース端子Sとの間の電位差の関数である。エンハンスメント型FETにおいて、FETは、ゲートGからソースSへの電圧が実質的にゼロである場合にはOFFであり得(すなわち、電流がFETを通過することを実質的に防止し得)、ゲートGからソースSへの電圧が実質的に非ゼロである場合にはONとなり得る(すなわち、電流がFETを通って流れることを実質的に可能とし得る)。
【0066】
デバイス100の回路において用いられ得るトランジスタの一タイプとして、nチャネル(又はn型)電界効果トランジスタ(n-FET)がある。n-FETは、そのチャネルが、電子が多数キャリアであり正孔が少数キャリアであるn型半導体を含む電界効果トランジスタである。例えば、n型半導体は、ドナー不純物(例えばリンなど)がドーピングされた真性半導体(例えばシリコンなど)を含み得る。nチャネルFETでは、ドレイン端子Dがソース端子Sよりも高電位に配置される(すなわち、ドレイン-ソース電圧が正である、又は換言するとソース-ドレイン電圧が負である)。nチャネルFETを「オン」にする(すなわち電流がnチャネルFETを通過することを可能とする)ために、ソース端子Sの電位よりも高いスイッチング電位がゲート端子Gに印加される。
【0067】
デバイス100において用いられ得るトランジスタの別のタイプとして、pチャネル(又はp型)電界効果トランジスタ(p-FET)がある。p-FETは、そのチャネルが、正孔が多数キャリアであり電子が少数キャリアであるp型半導体を含む電界効果トランジスタである。例えば、p型半導体は、アクセプタ不純物(例えばホウ素など)がドーピングされた真性半導体(例えばシリコンなど)を含み得る。pチャネルFETでは、ソース端子Sがドレイン端子Dよりも高電位に配置される(すなわち、ドレイン-ソース電圧が負である、又は換言するとソース-ドレイン電圧が正である)。pチャネルFETを「オン」にする(すなわち電流がpチャネルFETを通過することを可能とする)ために、ソース端子Sの電位よりも低い(かつ、例えばドレイン端子Dの電位よりも高い場合がある)スイッチング電位がゲート端子Gに印加される。
【0068】
例として、デバイス100において用いられるFETのうちの1つ又は複数が、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であってもよい。MOSFETは、そのゲート端子Gが絶縁層によって半導体チャネルから電気的に絶縁される電界効果トランジスタである。いくつかの例において、ゲート端子Gは金属であってもよく、絶縁層は酸化物(例えば二酸化ケイ素など)であってもよく、ゆえに「金属酸化物半導体」である。しかしながら、他の例において、ゲートはポリシリコンなどの金属以外の材料から作製されていてもよく、及び/又は、絶縁層は誘電体材料などの酸化物以外の材料から作製されていてもよい。そのようなデバイスは、それでもなお典型的には金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFETs)と称され、本明細書において用いる場合、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ又はMOSFETとの用語は、そのようなデバイスを含むものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0069】
MOSFETは、半導体がn型であるnチャネル(又はn型)MOSFETであってもよい。nチャネルMOSFET(n-MOSFET)は、nチャネルFETについて上記で説明したのと同様に動作されてもよい。別の例として、MOSFETは、半導体がp型であるpチャネル(又はp型)MOSFETであってもよい。pチャネルMOSFET(p-MOSFET)は、pチャネルFETについて上記で説明したのと同様に動作されてもよい。n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETのものよりも低いソース-ドレイン抵抗を有する。ゆえに、「オン」(すなわち電流が通過している)状態において、n-MOSFETは、p-MOSFETと比較して生成する熱が少なく、ゆえにp-MOSFETよりも動作中に消費するエネルギーが少ない場合がある。さらに、n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETと比較してより短いスイッチング時間(すなわち、ゲート端子Gに供給されるスイッチング電位の変化から、MOSFETが電流を通過させるか否かを変化させるまでの特性的な応答時間)を有する。これにより、スイッチングレートの高速化及びスイッチング制御の向上を可能とすることができる。
【0070】
ここで図6を参照して、デバイス100による誘導加熱のための回路について説明する。図6は、エアロゾル生成デバイス100の誘導加熱回路600の一部の簡略化された模式図を示す。図6は、変動電流が第1のインダクタコイル124を通って流れるときに第1のサセプタゾーン132aを加熱するための第1のインダクタコイル124を備える誘導加熱回路600の一部を示す。第1のサセプタゾーン132aは、サセプタ132が第1のインダクタ124と誘導結合し、渦電流の生成によって加熱される様子を表すために、誘導素子及び抵抗素子を有するものとして図6において表されている。デバイス100は、図6では不図示の第2のインダクタコイル126を追加的に備えることに留意されよう。第2のインダクタコイル126はさらに、誘導加熱回路600の一部であり、以下で説明するように第2のサセプタゾーン132bを加熱するように制御される。しかしながら、明確性のために、まずは図6に示される特徴に関して回路600を説明する。
【0071】
回路600は、第1の共振器セクション601と、第1の共振器セクション601にDC電圧を供給するためのDC電圧供給部118と、回路600を制御するための制御構成体とを備える。第1の共振器セクション601は、第1のインダクタ124と、第1のFET 608を備えるスイッチング構成体とを含み、制御構成体は、以下でより詳細に説明するように、回路600において検出される電圧状況に応答してFET 608を第1の状態と第2の状態との間でスイッチングして、第1のインダクタ124を動作させるように構成される。回路600は、サセプタ132を除いて、デバイス100のPCB 122に配置され、インダクタコイル124は、第1の端部130a及び第2の端部130bにおいてPCB 122に接続される。
【0072】
第1の共振器セクション601は、第1のキャパシタ606及び第2のキャパシタ610を含み、その両方が、第1の共振器セクション601が共振することを可能とされた場合に、交流電流が第1のキャパシタ606と第2のキャパシタ610との間に、そしてインダクタ124を通って流れるように、第1のインダクタ124と並列に配置される。上記で述べたように、第1のFET 608は、本例においてはnチャネルMOSFETであり、第1の共振器セクション601におけるスイッチング構成体として動作するように配置されている。
【0073】
他の例において、共振器セクション601は、例えば第1のキャパシタ606の位置において、又は第2のキャパシタ610の位置に、1つのキャパシタのみを備えてもよいことに留意されたい。他の例において、共振器セクション601は、3つ以上のキャパシタなどの任意の他の数のキャパシタを備えてもよい。例えば、第1のキャパシタ606及び第2のキャパシタ610のいずれか又は両方が、互いと並列に配置された2つ以上のキャパシタによって置き換えられてもよい。よく理解されるであろうように、共振器セクション601は、共振器セクション601のインダクタンスL及びキャパシタンスCに依存する共振周波数を有する。共振セクション601におけるキャパシタの数、タイプ及び配置は、回路600において用いられる電力レベル及び回路600の所望の動作周波数を考慮することに基づいて選択されてもよい。例えば、個々のキャパシタ及び前記キャパシタの配置は、電流を処理する前記キャパシタの能力に対する制限に加えて、等価直列抵抗(ESR)を有するように検討され得ることが理解されよう。そのような特徴が、共振器セクション601におけるキャパシタンスを形成するキャパシタの配置を決定する際に考慮されてもよい。例えば、所望の電力レベル及び動作周波数によっては、より高いキャパシタンス又はより低いESRをもたらすために、複数のキャパシタを並列に設けることが有利である場合がある。本例において、第1及び第2のキャパシタ606、610は共に、各々が100nF程度のキャパシタンスを有するセラミックC0Gキャパシタである。他の例において、本段落において概説した検討事項に従って、他のタイプのキャパシタ及び/又は他のキャパシタンス値を有するキャパシタ、例えばキャパシタンス値の等しくないキャパシタが用いられてもよい。
【0074】
第1の共振器セクション601には、例えば上記で説明したようにバッテリーによって供給される電圧である、DC電圧がDC電圧供給部118によって供給される。図6に示すように、DC電圧供給部118は、正端子118a及び負端子118bを備える。一例において、DC電圧供給部118は、4.2V程度のDC電圧を第1の共振器セクション601に供給する。他の例において、DC電圧供給部118は、例えば2~10V、又は3~5V程度の電圧を供給してもよい。
【0075】
コントローラ1001は、回路600の動作を制御するように構成される。コントローラ1001は、複数の入力及び出力を有する、例えばマイクロ処理ユニット(MPU)のようなマイクロコントローラを備えてもよい。一例において、コントローラ1001は、STM32L051C8T6モデルMPUである。いくつかの例において、回路600に設けられるDC電圧供給部118は、コントローラ1001からの出力によって提供され、コントローラ1001自体は、バッテリー又は他の電力源から電力を受け取る。
【0076】
DC電圧源118の正端子118aは、第1のノード600Aに電気的に接続される。一例において、DC電圧源118は、コントローラ1001を介してノード600Aに接続され、コントローラ1001は、DC電圧源118から電力を受け取り、DC電圧源によって供給される電圧を、回路600を含むデバイスの構成要素に供給する。第1のノード600Aは、第1のキャパシタ606の第1の端部606a及び第1のインダクタ124の第1の端部130aに電気的に接続される。第1のインダクタ124の第2の端部130bは、図6においては回路図における電気的に等価な2つの点として表されている第2のノード600Bに電気的に接続される。第2のノード600Bは、FET 608のドレイン端子608Dに電気的に接続される。本例において、第2のノード600Bは、第2のキャパシタ610の第1の端部610aにも電気的に接続される。引き続き回路を辿ると、第1のFET 608のソース端子608Sは、第3のノード600Cに電気的に接続される。第3のノード600Cは、グラウンド616に、そして本例においては第2のキャパシタ610の第2の端部610bに電気的に接続される。第3のノード600Cは、電流検知抵抗器615を介して第4のノード600Dに電気的に接続され、第4のノード600Dは、DC電圧源118の負端子118bに電気的に接続され、負端子118bは、正端子と同様に、一例においてコントローラ1001を介して供給される。
【0077】
第2のキャパシタ610が存在しない例において、第3のノード600Cは、第1のFETソース端子608S、グラウンド616及び電流検知抵抗器615への3つの電気的接続部のみを有してもよいことに留意されたい。
【0078】
上記で述べたように、第1のFET 608は、第1の共振器セクション601におけるスイッチング構成体として動作する。第1のFET 608は、第1の状態すなわち「ON」状態と、第2の状態すなわち「OFF」状態との間で設定可能である。当業者にはよく理解されるであろうように、nチャネルFETは、OFF状態である場合(すなわち適切な制御電圧がそのゲートに印加されていない場合)、実効的にダイオードとして動作する。図6において、第1のFET 608がOFF状態である場合に呈するダイオード機能が、第1のダイオード608aによって表されている。すなわち、FET 608がOFF状態である場合、第1のダイオード608aは、ドレイン端子608Dからソース端子608Sへと流れる電流を主に防止するように動作するが、ダイオード608aが適切に順バイアスされる場合にはソース端子608Sからドレイン端子608Dへと電流が流れることを可能とする。nチャネルFETは、適切な制御電圧がゲートに印加されることでドレインDとソースSとの間に導電経路が生じる場合に、ON状態となる。そのため、第1のFET 608は、ON状態である場合、第1の共振器セクション601における閉スイッチのように動作する。
【0079】
上記で述べたように、回路600は、第1の共振器セクション601及び追加の制御構成体を備えるものと考えられてもよい。制御構成体は、コンパレータ618、ゼロ電圧検出器621、及びフリップフロップ622を備え、第1の共振器セクション601内の電圧状況を検出し、検出された電圧状況に応答して第1のFET 608を制御するように構成される。ここで、制御構成体による第1のFET 608のこの制御について、より詳細に説明する。
【0080】
第2のノード600Bにおいて、ゼロ電圧検出器621が接続される回路600の点における電圧状況、すなわち接地電圧に対して0V又は0V付近の電圧を検出するように構成されたゼロ電圧検出器621が電気的に接続されている。ゼロ電圧検出器621は、FET 608の状態のスイッチングを制御するための信号を出力するように構成される。すなわち、ゼロ電圧検出器621は、信号をフリップフロップ622に出力するように構成される。フリップフロップ622は、2つの安定な状態の間で設定可能な電気回路である。フリップフロップ622は、フリップフロップの状態に依存して第1のFETゲート端子608Gに電圧を供給するように構成された第1のゲートドライバ623に電気的に接続される。すなわち、第1のゲートドライバ623は、フリップフロップが一方の状態である場合にはFET 608をON状態にスイッチングするよう適切な電圧を第1のFETゲート端子608Gに供給するように構成されるが、フリップフロップ622が他方の状態である場合にはFET 608をON状態に維持するための適切な電圧を供給しないように構成される。例えば、第1のゲートドライバ623は、フリップフロップ622が状態「1」である場合にはFET 608をONにスイッチングするよう適切なゲート・ソース電圧を第1のFETゲート608Gに供給するように構成されてもよく、第1のゲートドライバ623は、フリップフロップ622が状態「0」である場合にはこのゲート・ソース電圧を供給しないように構成されてもよい。したがって、フリップフロップ手段622の状態は、第1のFET 608がオンであるかオフであるかを制御する。
【0081】
本例において、制御構成体のゼロ電圧検出器621及び第1のゲートドライバ623は、コントローラ1001からそれぞれの信号1011、1021を受け取るように構成され、これらの信号により、コントローラ1001は、以下でより詳細に論じるように、回路600の動作を開始及び制御することができる。
【0082】
第4のノード600Dにおいて、制御電圧ライン619が電気的に接続されている。制御電圧ライン619は、抵抗器617aを介して第5のノード600Eに電気的に接続され、第5のノード600Eは、電圧コンパレータ618(以下コンパレータ618)に電気的に接続される。第5のノード600Eは、コンパレータ618の正端子に電気的に接続される。コンパレータ618の負端子は、グラウンド616に接続される。本例において、コンパレータ618は、第5のノード600Eにおける電圧の接地電圧との比較に基づいて信号を出力するように構成される。コンパレータ618の出力信号は、フリップフロップ622に送られる。制御電圧1031が、本例においてはコントローラ1001から、第2の抵抗器617bを介して制御電圧ライン619に供給される。
【0083】
上記で述べたように、コンパレータ618は、出力をフリップフロップ622に供給するように電気的に接続される。フリップフロップ622は、コンパレータ618からの出力信号がフリップフロップ622の状態を変化させ、以て第1のドライバ623に第1のFET 608の状態を変化させ得るように構成される。
【0084】
ここで、第1のインダクタコイル124が第1のサセプタゾーン132aを加熱するように動作されるように第1の共振器セクション601がコントローラ1001によってアクティブ化されることに関連して、例示的回路600の働きをより詳細に説明する。
【0085】
始めに、第1のFET 608は、OFF状態に設定されており、よって、インダクタ124を通って流れる電流を防止するダイオード608aとして動作している。コントローラ1001は、FET 608をOFF状態からON状態にスイッチングさせることにより、第1のサセプタゾーン132aを加熱するための回路600の動作を開始する。本例において、コントローラは、START信号1011をゼロ電圧検出器621に供給することにより、回路600の動作を開始する。以て、フリップフロップ622は、状態を変化させられ、第1のゲートドライバ623に、FETをON状態にスイッチングするための信号をFETゲート端子608Gに供給させる。
【0086】
FET 608がON状態にスイッチングされると、回路600の自励振動加熱サイクルと称され得るものが始まる。このときON状態となっているFET 608は、DC電流がDC電圧源正端子118aから第1のインダクタ124を通り電流検知抵抗器615を経由してDC電圧源負端子118bに戻るように流れ始めることを可能とする閉スイッチとして動作する。第1のインダクタ124は、よく知られているように、この電流の初期的増大に抗して、ファラデーの法則及びレンツの法則によって逆起電力を生成する。ON状態において、ドレイン端子608Dとソース端子608Sとの間の電圧は、実質的にゼロである。
【0087】
図7Aは、FET 608が時刻tでスイッチオンされたときから開始する時間tに対する、第1のインダクタ124を通って流れる電流の模式的グラフ表示を示す。時刻tにおいて、DC電流が、インダクタ124のインダクタンスL1及び回路600のDC抵抗に依存する率でゼロからインダクタ124において増加を始める。一例において、電流検知抵抗器615は、2mΩ程度の抵抗を有し、一方でインダクタ124は、2~15mΩ、若しくは4~10mΩ又は本例においては5.2mΩ程度のDC抵抗を有する。インダクタにおける電流のこの増加は、インダクタ124による磁気エネルギーの蓄積に対応しており、インダクタ124によって蓄積され得る磁気エネルギー量は、よく理解されるであろうように、そのインダクタンスL1に依存する。
【0088】
図7Bは、やはりFET 608がターンオンされる時刻tからの時間tに対する電流検知抵抗器615の両端の電圧の簡略化された表示を示す。FET 608がターンオンされた後間もなく、インダクタ124の両端に大きな電圧が現れ、これは、インダクタが電流の増大に抗することに伴ってインダクタ124によって生成される逆起電力である。したがって、このとき、図7Bに示すように、電流検知抵抗器615の両端の電圧は小さい。これは、DC供給部118によって提供される電圧差のほぼ全てがインダクタ124の両端で降下するためである。次いで、インダクタ124を通る電流が増大しインダクタ124の逆起電力が減衰するにつれて、電流検知抵抗器615の両端の電圧が増大する。これは、図7Bに示すように、電流検知抵抗器615の両端の負電圧の出現として見られる。すなわち、電流検知抵抗器615の両端の電圧は、FET 608がオンである時間の長さと共に負方向に増大する。
【0089】
電流検知抵抗器615の両端の電圧の負方向への増大は、インダクタ124を通る電流の増大に対応するので、電流検知抵抗器615の両端の電圧の大きさは、インダクタ124を通って流れる電流の指標となる。FET 608がオンに留まっている間、インダクタ124を通る電流及び電流検知抵抗器615の両端の電圧は、インダクタンスL1及び回路600のDC抵抗に依存する時定数で、(DC供給部118によって供給されるDC電圧及び回路600のDC抵抗に依存する)それぞれの最大値Imax、Vmaxに向かって実質的に線形的に増大する。時刻tの後にインダクタ124を通る電流が変動することに伴い、第1のインダクタ124を通るDC電流が増加する間に、サセプタ132のいくらかの誘導加熱が生じてもよいことに留意されたい。
【0090】
回路600は、FET 608がスイッチオンされている時間に第1のインダクタ124に蓄積されるエネルギー量が、制御構成体によって決定され、コントローラ1001によって制御され得るように構成される。すなわち、コントローラ1001は、ここから説明するように、インダクタ124において増加することが許容されるDC電流の量を(よって磁気エネルギーの量を)制御する。
【0091】
上記で説明したように、制御電圧1031が制御電圧ライン619に印加される。本例において、制御電圧1031は正電圧であり、コンパレータ618の正端子に入力される電圧(すなわち第5のノード600Eにおける電圧)は、常に制御電圧1031の値及び第4のノード600Dにおける電圧に依存する。電流検知抵抗器615の両端の負電圧は、特定の値に達した場合、第5のノード600Eにおいて正の制御電圧1031を打ち消し、第5のノード600Eにおいて0Vの電圧(すなわち接地電圧)を生じさせる。本例において、抵抗器617aは、2mΩの抵抗を有する。抵抗器617bは、70kΩのコントローラ1001に対する実効抵抗を表す。第5のノード600Eにおける電圧は、電流検知抵抗器615の両端の負電圧が制御電圧1031と同じ大きさを有する場合に、0Vに達する。
【0092】
コンパレータ618は、その正端子における電圧を、その負端子に接続されたグラウンド616の電圧と比較し、信号を結果として出力するように構成される。一例において、コンパレータは、On-Semiconductorから入手され得る規格部品FAN156である。よって、第5のノード600Eにおける電圧が0Vに達した場合、コンパレータ618は、その正端子に0V信号を受け取り、コンパレータ618による比較の結果は、正端子の電圧が負端子の電圧に等しいというものになる。コンパレータ618は、その結果として信号をフリップフロップ622に出力し、FET 608をスイッチオフさせる。そのため、FET 608のスイッチオフは、回路600において検出される電圧状況に依存する。すなわち、本例において、コンパレータ618が、その端子の両端の電圧の比較により、時刻tにおいて生じる、電流検知抵抗器615の両端の負電圧が制御電圧1031と同じ大きさに達したことを検出すると、FET 608がスイッチオフされる。図7Aにおいて、FET 608がスイッチオフされる時刻tにおいてインダクタ124を通って流れるDC電流をIと表記している。
【0093】
時刻tにおいてFET 608がターンオフされると、FET 608は、共振器セクション601において閉スイッチのような動作からダイオード608aのような動作に、そしてDC供給部118からの供給の面では実効的に開スイッチのような動作に切り替わる。時刻tにおいて、インダクタ124を通ってグラウンド616へと至るDC電流の経路は、FET 608によって遮断される。これが、第1のインダクタ124を流れる電流の減少(これは図7Aでは不図示)を引き起こし、インダクタ124は、誘導電圧を生成することによりこの電流の変化に抗する。よって、電流が、第1の共振器セクション601の共振周波数でインダクタ124とキャパシタ606、608との間を行き来する振動を始める。
【0094】
同様に、インダクタ124の両端の電圧、そしてその結果として第1のFETのドレイン端子608Dとソース端子608Sとの間の電圧が、第1の共振器セクション601の共振周波数で振動し始める。インダクタ124を通る電流及びインダクタ124の両端の電圧が振動し始めることに伴い、サセプタ132が誘導加熱される。したがって、FET 608をOFF状態にスイッチングすることは、時刻tにおいてインダクタ124に蓄積された磁気エネルギーを放出して、サセプタ132を加熱する働きをする。
【0095】
図8は、時刻tからtまでFET 608がON状態であるときから開始する、第1のFET 608の両端の電圧の波形800を示す。図8に示されている時間にわたって、第1のFET 608は2回ターンオフ及びターンオンされる。
【0096】
電圧波形800は、第1のFET 608がONである時刻t~tの間の第1のセクション800aと、第1のFET 608がスイッチオフされる第2のセクション800b~800dとを含む。800eにおいて、FET 608は再度スイッチオンされ、第1のFET 608がオンに留まっている間、第1のセクション800aに相当する第3のセクション800fが始まり、上記で説明した、インダクタ124を通るDC電流の増加のプロセスが繰り返し生じる。図8はさらに、第1のFET 608が再度スイッチオフされてFET 608の両端の電圧の振動が可能となる第4のセクション800gと、第1のFET 608がその後再度スイッチオンされる第5のセクション800hとを示す。
【0097】
セクション800a、800f及び800hにおいて第1のFET 608がオンであるとき、第1のFET 608の両端の電圧はゼロである。セクション800b~800d、さらにセクション800gによって示されるように、第1のFET 608がターンオフされると、第1のインダクタ124は、磁界(この磁界は、第1のFET 608がオンであったときに増加したDC電流の結果である)に蓄積されたエネルギーを用いて、第1のFET 608がオフとなった結果としての、第1のインダクタ124を通って流れる電流の降下に抗する電圧を誘起する。第1のインダクタ124に誘起される電圧は、第1のFET 608の両端の電圧の対応する変動を生じさせる。この電圧の変動中、第1のインダクタ124及びキャパシタ606、610は、正弦波形で互いと共振し始める。電圧波形800により示されている電圧は、最初に、第1のFET 608がオフとなったことに起因する電流の降下に抗するように第1のインダクタ124における誘起電圧が増大することに伴って増大し(例えば800bを参照)、ピークに達し(例えば800cを参照)、次いで、第1のインダクタ124の磁界に蓄積されたエネルギーが漸減するにつれて、再びゼロまで減少する(例えば800d参照)。
【0098】
変動する電圧800b~800d及び800gは、対応する変動電流(不図示)を生じさせ、第1のFET 608のオフの時間中、キャパシタ606、610及び第1のインダクタ124は共振LC回路として動作するので、第1のインダクタ124及びキャパシタ606、610の組み合わせの合計インピーダンスは、この時間中に最小となる。したがって、第1のインダクタ124を通って流れる変動電流の最大の大きさは比較的大きくなることが理解されるであろう。よって、この比較的大きい変動電流は、サセプタ132に熱を生成させる、第1のインダクタ124における比較的大きい変動磁界を生じさせる。本例においてセクション800b~800d及びセクション800gによって示されるように第1のFET 608の両端の電圧が変動する期間は、第1の共振器セクション601の共振周波数に依存する。
【0099】
ここで図6及び図8を参照すると、回路600は、第1のFET 608がオフとなり第1のFET 608の両端の電圧が再び0Vに向かって減少するとき、ゼロ電圧検出器621がこの電圧状況を検出し、第1のFET 608を再びON状態にスイッチングさせる信号をフリップフロップ622に出力するように構成される。すなわち、第1の共振器セクション601内で検出されるこの電圧状況に応答して、FET 608がOFF状態からON状態にスイッチングされる。ゼロ電圧検出器621は、FET 608がスイッチオフされてから誘導素子と容量素子との間の電流振動のサイクルの所与の割合が完了したことを示す電圧状況を検出すると考えられてもよい。すなわち、FET 608の両端の電圧が0V又はほぼ0Vに戻ったことをゼロ電圧検出器621が検出することにより、ゼロ電圧検出器621は、第1の共振器セクション601の共振周波数での電流(及び電圧)振動の半サイクルが完了したことを検出する。
【0100】
いくつかの例において、ゼロ電圧検出器621は、第1のFET 608の両端の電圧が電圧レベル801に又は電圧レベル801未満に戻ったことを検出してもよく、そのような場合には、FET 608の両端の電圧が厳密に0Vに達する前に、FET 608の状態のスイッチングを引き起こす信号を出力してもよい。図8により示されているように、ゼロ電圧検出器621の動作は、半サイクルの後に共振器セクション601における電圧の振動を短縮し、よって、第1のFET 608の両端の実質的に半正弦波の電圧プロファイルを結果としてもたらす。ゼロ電圧検出器621の動作のさらなる詳細について、図9を参照して以下で説明する。
【0101】
ポイント800eにおいて第1のFET 608が再びスイッチオンされると、DC源118によって駆動されるDC電流が、第1のインダクタ124を通って再度増加する。次いで、第1のインダクタ124は、第1のFET 608が次にスイッチオフされて第1の共振器セクション601内での共振を開始するときに放出されることとなる磁界の形態で、エネルギーを再び蓄積し得る。このようにして第1のFET 608が繰り返しスイッチオン及びスイッチオフされることに伴い、上述のプロセスが連続的に繰り返されてサセプタ132を加熱する。
【0102】
図7A及び図7Bを参照して説明された、インダクタ124を通る電流の上述の増加は、コントローラ1001からのSTART信号1011に応答してFET 608が最初にターンオンされたときと、ゼロ電圧検出器621によって検出されるゼロ電圧状況によってFET 608がその後スイッチオンされたときとの両方で生じることに留意されたい。第1の事例では、START信号1011に応答して、インダクタ124の電流が0から実質的に線形的に増加する。第2の事例では、ポイント800eでのゼロ電圧状況の検出に応答してFET 608が再びターンオンされたときに、(例えばFET 608のスイッチオン及びスイッチオフの前のサイクルから)いくらかの余剰電流が回路600を循環している。ゼロ電圧状況の検出後にFET 608が再びターンオンされることに伴い、再循環電流が、FET 608を通る初期的な負電流を生じさせる。次いで、FET 608がオンに留まっている間、FET 608及びインダクタ124を通る電流は、再循環電流によって生じる初期的な負電流の値から実質的に線形的に増加する。インダクタ124を通る電流が増加するにつれて、電流検知抵抗器615の両端の電圧は、上記で説明したように、それに対応して負方向に増大する。
【0103】
例において、FET 608のスイッチオン及びスイッチオフは、100kHz~2MHz程度、若しくは500kHz~1MHz程度、又は300kHz程度の周波数で生じてもよい。FET 608のスイッチオン及びスイッチオフが生じる周波数は、インダクタンスL、キャパシタンスC、供給部618によって供給されるDC供給電圧、並びに、さらには電流が共振器セクション601を通って再循環し続ける度合い及びサセプタ132の負荷効果に依存する。例えば、DC供給電圧が3.6Vに等しく、インダクタ124のインダクタンスが140nHであり、共振器セクション601のキャパシタンスが100nFである場合、FET 608がオンに留まる時間は2700ns程度であり得、FET 608がオフとなる振動の半サイクルの完了までにかかる時間は675ns程度であり得る。これらの値は、20W程度の電力がDC電圧供給部118から共振器セクション601に供給されることに対応する。FET 608がオンに留まる時間の上記の値は、回路を再循環する電流の量によって影響を受ける。その理由は、上記で説明したように、この再循環電流が、FET 608のスイッチオンの際にインダクタを通る初期的な負電流を生じさせるためである。FET 608のスイッチオフを引き起こす値まで電流が増加するのにかかる時間は、インダクタ124の抵抗にも少なくとも部分的に依存するが、これがその時間に及ぼす影響は、共振器セクション601のインダクタンスの影響と比較すると比較的軽微であることにも留意されたい。振動の半サイクルが完了するまでに時間(本例では675ns)は、共振器セクション601の共振周波数に依存し、共振周波数は、それぞれインダクタ124及びキャパシタ606、610のインダクタンス及びキャパシタンスの値のみならず、サセプタ132によるインダクタ124に対する負荷によって形成される実効抵抗の影響も受ける。
【0104】
ここまで、回路600を、1つのインダクタすなわち第1のインダクタ124によってサセプタ132を加熱するその動作に関して説明し、よってデバイス100により用いられる回路600の一部のみについて説明してきた。しかしながら、上記で説明したように、デバイス100は、サセプタ132の第2のゾーン132bを加熱するための第2のインダクタ126をさらに備える。図9は、第1のインダクタ124に加えて第2のインダクタ126を備える回路600の簡略化された模式図を示す。
【0105】
図9に示すように、図6図8を参照して説明した特徴に加え、回路600は、第2のインダクタコイル126と、第3のキャパシタ706と、第4のキャパシタ710と、ドレイン端子708D、ソース端子708S、及びゲート端子708Gを有する第2のFET 708とを含む第2の共振器セクション701を備える。加えて、回路600は、第2のFETゲート端子708Gにゲート・ソース電圧を供給するように構成された第2のゲートドライバ723を備える。コントローラ1001は図9では不図示であるが、コントローラ1001は、図6図8を参照して説明したように回路600を制御し、加えて、第2のゲートドライバ723に制御信号1012を供給するように構成される。明確性のために、図6を参照して既に説明した回路600の特徴の一部の参照番号を、図9では省略している。
【0106】
上記で説明したように、第1のインダクタ124は、サセプタ132の第1のゾーン132aを加熱するように配置され、第2のインダクタ126は、サセプタ132の第2のゾーン132bを加熱するように配置される。第2のインダクタ126、第3及び第4のキャパシタ706、710、並びに第2のFET 708は、第1のインダクタ124、第1及び第2のキャパシタ606、610、並びに第1のFET 608が第1の共振器セクション601を形成するように配置されるのと同じように、第2の共振器セクション701を形成するように配置される。一例において、第3及び第4のキャパシタ706、710もC0Gキャパシタであり、100nF程度のキャパシタンスを有してもよい。一例において、第2のインダクタ126は、8mΩ程度のDC抵抗を有する。第2の共振器セクション701は、アクティブであるとき、第1の共振器セクション601について上記で説明したのと同様にサセプタ132を加熱するように動作し、この説明はここでは繰り返さない。
【0107】
インダクタ124、126において、より高いDC抵抗はより高い抵抗損失をもたらすので、インダクタ124、126のDC抵抗の値は回路600の効率に影響を及ぼすことになり、そのため、例えば巻き数を変化させることによりインダクタDC抵抗を、又はインダクタ124、126の断面を最小化することが望ましい場合があることが理解されるであろう。さらに、インダクタ124のAC抵抗は、表皮効果に起因してDC抵抗と比較して大きくなることが理解されるであろう。そのため、例としてリッツ線を用いることで、表皮効果を低減し、以てインダクタ124、126からのAC抵抗及びそれに伴う抵抗損失を低減することが可能となる。一例を挙げると、第1のインダクタ124が5mΩ程度のDC抵抗を有し、第2のインダクタ126が8mΩ程度のDC抵抗を有し、回路が300kHz程度で動作する場合、コイルを形成するリッツ線の特定の配置により、インダクタ124、126の実効抵抗がそのDC抵抗値の1.14倍程度となる。
【0108】
第2の共振器セクション701におけるノード700Aは、第1の共振器セクション601の第1のノード600Aに相当し、第1のノード600Aに、そしてその結果としてDC供給部118の正端子118aに電気的に接続される。ノード700Cは、第1の共振器セクション601の第3のノード600Cと同等の、第2の共振器セクション701における位置にあり、ノード700Cは同様にグラウンド616に接続される。
【0109】
回路600は、常に共振器セクション601、701のうちの一方のみがアクティブであるようにコントローラ1001によって動作されるように構成されることに留意することが重要である。この動作の例を以下でより詳細に説明する。
【0110】
共振器セクション601、701のうちの一方のアクティブ化の間、ゼロ電圧検出器621は、アクティブな共振器セクション601、701におけるゼロ電圧状況を検出し、よってアクティブな共振器セクション601、701のそれぞれのFET 608、708のスイッチングを制御するように構成される。ゼロ電圧検出器621は、アクティブな共振器セクション601、701のそれぞれのFET 608、708がいつ再びスイッチオンされるか(ポイント800eなど)を制御し、ここでこの例について図8図10を参照してより詳細に説明する。
【0111】
回路600において、ゼロ電圧検出器621は、第1の共振器セクション601の第2のノード600Bにおける、又は第2の共振器セクション701の同等のノード700Bにおけるゼロ電圧状況を検出するように構成される。第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701の一方がアクティブである場合、ゼロ電圧検出器621は、それぞれのFET 608、708がスイッチオフされるたびに、そのFET 608、708の両端の電圧がゼロに戻った(例えば図8のポイント800e)、又はゼロに近い、例えばレベル801未満であることを検出する。ゼロ電圧検出器621がこの検出を行うことに応答して、フリップフロップ622の状態を変化させるための信号が出力される。次いで、動作中であるそれぞれのゲートドライバ623は、ゲート・ソース電圧を出力して、それぞれのFETを再びON状態にスイッチングする。
【0112】
第1の小信号ダイオード725は、ゼロ電圧検出器621を第1の共振器セクションの第2のノード600Bに接続し、第2の小信号ダイオード726は、ゼロ電圧検出器621を第2の共振器セクション701の同等のノード700Bに接続する。具体的には、第1の小信号ダイオード725及び第2の小信号ダイオードのアノードは、共通のノード701Bを介してゼロ電圧検出器621の入力に接続され、一方でダイオード725、726のカソードは、ノード600B、700Bにそれぞれ接続される。
【0113】
ここで、図10を参照して、特定の例におけるゼロ電圧検出器621の動作を説明する。図10は、ゼロ電圧検出器621及びフリップフロップ622を示す。図10において、ゼロ電圧検出器621を構成する構成要素を点線の枠で囲っている。第1及び第2の小信号ダイオード725、726のアノードに接続されたノード701Bが示されている。図13では、コントローラ1001からゼロ電圧検出器621への開始信号1011も見ることができる。
【0114】
本例におけるゼロ電圧検出器621は、ノード701Bからの入力2と、フリップフロップ622の入力に接続された出力4とを有するインバータゲートU103を備える。インバータゲートU103は、接続部5及び3によって電力供給され、キャパシタC108は、接続部5をグラウンドから分離する。本例では2.5Vのロジック電力供給621aが、入力5に、そしてプルアップ抵抗器R111を介してインバータゲートU103の入力2に印加される。ロジック電力供給621aは、本例では、コントローラ1001から供給される。インバータゲートU103は、START信号1011及びノード701Bからのゼロ電圧検出信号についてのORゲートとして動作するように構成される。すなわち、インバータゲートU103は、回路600aの動作を開始するためのコントローラ1001からのSTART信号1011の形態で論理ロー信号を受け取るように構成される。START信号1011は、コントローラ1001の「オープンドレイン」信号ピンによって供給されてもよい。インバータゲートU103は、以下で説明するように、ノード600B、700Bの一方がゼロボルト又はゼロボルト付近であることに起因して、第1及び第2の信号ダイオード725、726の一方が順バイアスされるときに、ノード701Bから論理ロー信号を受け取るようにさらに構成される。これらの論理ロー信号の一方又は両方がインバータゲート入力2により受け取られると、インバータゲートU103は、受け取った信号を反転し、論理ハイ信号をフリップフロップ622に出力する。
【0115】
第1のインダクタ124がサセプタ132を加熱するように動作されているとき、第2のFET 708はオフに留まる。第2のFET 708がオフに留まっているとき、第2の小信号ダイオード726は、ロジック電力源及びDC供給部118における電圧に依存して、バイアスされない又は逆バイアスされるのいずれかである、すなわち、第2の小信号ダイオード726の(ノード700Bに最も近い)カソード端部における電圧は、第2の小信号ダイオード726の(ゼロ電圧検出器621に最も近い)アノード端部における電圧と実質的に同じ又はそれよりも高いのいずれかである。
【0116】
第1の共振器セクション601の動作中、第1のFET 608がオフでありその両端の電圧が図8の800b~dによって示されるように変動する場合、第1の小信号ダイオード725は逆バイアスされる。この電圧変動の終了時、電圧が800eによって示されるように0Vに達する、又は0Vに近くなる(例えばレベル801又はそれ未満)と、第1の小信号ダイオード725は順バイアスとなる。よって、第1の小信号ダイオード725が800eにおいて順バイアスされるとき、抵抗器R111の両端で信号621aから電圧降下が生じるので、インバータゲートU103の入力2に供給される信号は論理ロー信号となる。そのため、この論理ロー信号がインバータゲートU103により反転されると、論理ハイ信号がインバータゲートU103の出力4において供給される。
【0117】
上記の説明では、ゼロ電圧検出器621の働きを第1のFET 608のスイッチングの制御に関して説明しているが、ゼロ電圧検出器621は、第2のFET 708を制御するために第1の小信号ダイオード725に代えて第2の小信号ダイオード726を用いて同様に機能することが理解されるであろう。
【0118】
引き続き図10を参照して、フリップフロップ622は、クロック入力CLK、リセット入力/RST、及び出力Qを備える。フリップフロップ622は、電力を供給するためのさらなる入力D及びVCCをさらに備え、本例においてフリップフロップは、インバータゲートU103が受け取るのと同じ2.5Vのロジック電力供給621aをコントローラ1001から受け取る。クロック入力CLKは、インバータゲートU103の出力4に接続され、そこから信号を受け取るように構成される。(上記で説明したように、検出されたゼロ電圧状況又はSTART信号1011をインバータゲートU103の入力2が受け取ったことに起因して)インバータゲートU103の出力4が論理ローから論理ハイにスイッチングすると、フリップフロップ622のクロック入力CLKは、フリップフロップ622を「クロック制御」しフリップフロップ出力Qの状態をハイにする論理ハイ立ち上がりエッジ信号を受け取る。フリップフロップ622は、コンパレータ618がフリップフロップ621の状態を変化させてフリップフロップ出力Qをハイにすることができる信号をコンパレータ618の出力から受け取るように構成されたさらなる入力/RSTを備える。フリップフロップ出力Qは、第1及び第2のゲートドライバ623、723に接続され、フリップフロップ出力Qからハイ出力を受け取ると、(上記で説明したように信号1021、1022を受け取ることに起因して)ゲートドライバ623、723のどちらがアクティブであっても、そのそれぞれのFET 608、708にゲートドライバ信号を供給する。
【0119】
特定の一例において、フリップフロップ622は、ロジック電力源621aの電圧の半分、すなわち本例では1.25Vでスイッチングしてもよい。これは、第1のFET 608がスイッチオンされるためには、第1の小信号ダイオード725の順バイアス電圧と第1のFETドレイン608Dにおける電圧との合計が1.25Vでなければならないことを意味する。したがって、本例において、第1のFET 608は、そのドレイン608Dが厳密に0Vではなく0.55Vとなったときにスイッチオンされる。理想的な場合として、効率の最大化のためにFET 608の両端が0Vでスイッチングが生じてもよいことに留意されたい。このゼロ電圧スイッチングは、第1のFET 608がキャパシタ606、610を放電し、以て前記キャパシタ606、610に蓄積されたエネルギーを消費することを防止する点が有利である。
【0120】
図11は、第1及び第2のゲートドライバ623、723と、それらの、それぞれのFET 608、708のゲート608G、708Gへの接続部とをより詳細に示す。ゲートドライバ623、723の各々は、コントローラ1001から供給されるヒータアクティブ化信号1021、1022に依存する信号を受け取るように構成された入力INを有する。加えて、ゲートドライバ623、723の入力INによって受け取られる信号は、フリップフロップ出力Qによって出力される信号がハイであるか否かに依存する。入力INは、本例では各々2kΩの値を有するそれぞれの抵抗器R125、R128を介してフリップフロップ622の出力Qに接続される。
【0121】
ゲートドライバ623、723は各々、2つのさらなる入力VDD及びXREFを有し、各入力VDDは6Vの電力供給をコントローラ1001から受け取り、XREFは、本例ではコントローラ1001によってフリップフロップ622及びインバータゲートU103に供給される同じロジック電圧である2.5Vのロジック電圧を受け取る。第1及び第2のゲートドライバ623、723の各々の入力VDDは、6Vの供給電圧に接続され、入力VDDは、2つのバッファキャパシタC120、C121を介してグラウンドに接続される。ゲートドライバ623、723はさらに、各々、グラウンドに接続された端子GNDを有し、端子VDD及びGNDは、ゲートドライバ623、723に電力を供給するように動作する。本例において、キャパシタC120、C121は各々、1μFの値を有する。ゲートドライバ623、723は、それぞれの出力OUTからゲート駆動電圧を出力するように構成される。ゲートドライバ623、723の出力OUTは、本例では各々4.99Ωの抵抗を有する抵抗器R114、R115を介して、FETゲート608G、708Gにそれぞれ接続される。
【0122】
各ゲートドライバ623、723は、その入力INにおいて、フリップフロップ出力Qから論理ハイ信号が供給されコントローラ1001からヒータアクティブ化信号1021、1022が受け取られている間にのみゲートドライバをアクティブ化させる信号を受け取るように構成される。信号1021、1022を供給するように構成された「オープンドレイン」信号ピンが、コントローラ1001に設けられてもよい。一例において、
【0123】
例として、共振器セクション601、701の一方による加熱のための回路600の始動は、コントローラ1001がまずゲートドライバ623、723のうち所望の一方をヒータ始動信号1021、1022のそれぞれ一方によって始動することにより進行する。コントローラ1001は次いで、START信号1011をゼロ電圧検出器621に供給する。START信号1011の持続時間は、アクティブな共振器セクション601、701による振動のサイクルの半分の期間よりも短いものであるべきである(この期間を「共振フライバック期間」と称する場合がある)。これにより、検出されたゼロ電圧状況に応答して回路が適正に自励振動を始めることが可能となる。別の例において、START信号1011及びそれぞれのヒータイネーブル信号1021、1022の順序は、まずSTART信号1011がフリップフロップQ出力をハイに設定するように印加され、次いでヒータ始動信号1021、1022の一方が、信号1021、1022が供給されるヒータに対応する共振器セクション601、701の自励振動を始めるように印加されるように、逆転されてもよい。
【0124】
回路600を制御するための制御構成体のより詳細な説明を続けると、図12は、コンパレータ618及び関連する構成要素を備える制御構成体の一部分を示す。図12において、DC電源118の正端子118aは、それぞれ第1及び第2の共振器セクション601、701のノード600A、700Aに接続されるノード1500Aに接続するものとして示されている。DC電源の負端子118bは、図6に示すノード600Dに相当するノード1500Bに接続される。ノード1500Bは、電流検知抵抗器615を介してグラウンド616に接続する。ノード1500A及び1500Bの間には、本例では各々100μFのキャパシタンスを有するキャパシタC111、C112、C115及びC116の構成体が並列に接続され、ノード1500A及び1500Bの間のバッファ作用を提供する。
【0125】
図12は、アクティブなインダクタ124又は126を通る電流が所与のレベルに達したことを検出するためのコンパレータ618の働きに関連する構成要素をより詳細に示す。前出の図を参照して説明したように、コンパレータ618は、アクティブなインダクタ(124又は126)を流れるDC電流の量を示す電圧を、コントローラ1001から発生する制御電圧1031と比較するように動作する。コンパレータ618は、本例ではコントローラ1001によって供給される2.5Vのロジック電力信号、及びフリップフロップ622によって受け取られる信号621aと同じロジック信号に100Ωの抵抗器R116を介して接続された入力6を介して、電力を受け取る。コンパレータ電力入力6は、10nFのキャパシタC119を介してグラウンドに接続される。コンパレータ618のさらなる端子2は、グラウンドに直接接続される。
【0126】
いくつかの例において、コントローラ1001は、制御電圧1031を生じさせる信号を生成するためのタイマ(不図示)を備えたマイクロ処理ユニットである。本例において、制御電圧1031は、コントローラ1001によって生成されたパルス幅変調信号PWM_DACにより生じさせられる。コントローラ1001のタイマは、例えば2.5V程度の大きさ及び20kHz程度の周波数を有し、特定のデューティ比を有する、パルス幅変調された方形波を生成する。パルス幅変調信号PWM_DACは、コントローラ1001が制御電圧1031を制御する周波数(例えば例として64Hz程度)において実質的に一定な制御電圧1031を生成するように、10nFのキャパシタC127及びC128、並びに2つの49.9kΩの抵抗器R121、R123及び10kΩの抵抗器R124によってフィルタリングされる。制御電圧1031を調節するために、コントローラ1001は、例として、回路600に印加されるパルス幅変調信号PWM_DACのデューティ比を調節するように構成される。そのため、コンパレータ618の入力PWM_DACと正端子との間に位置付けられる構成要素は、制御電圧1031がパルス波変調信号によって生じさせられ、制御電圧1031の大きさがこのパルス波変調信号のデューティ比を調節することにより調節されることを効果的に可能とする。よって、図6及び図9に示す制御電圧ライン619がこれらの構成要素によって置き換えられてもよい。しかしながら、他の例において、制御電圧1031は、例えばコントローラ1001によって供給される、実質的に一定の電圧により生じさせてもよい。そのような例において、信号PWM_DACをフィルタリングするための図12に示す構成要素の一部又は全てが存在しなくてもよい。
【0127】
コンパレータ618の正入力に入力されるノード1500Bは、上記で述べたように、回路600のノード600Dに相当する。図6に示す簡略化された模式図を参照して説明したように、ノード1500Bは、抵抗器617aを介してコンパレータ618の正入力に接続されることが、図12から見ることができる。そのため、コンパレータ618の動作は、上記で説明したように、その正端子において、制御電圧1031及び電流検知抵抗器615の両端の電圧に依存する入力を受け取ることである。コンパレータ618の正端子における電圧が接地電圧に達すると、信号/FF RSTが抵抗器R118を介してフリップフロップ622の入力/RSTに出力されて、フリップフロップ622の状態を変化させ、以てアクティブなFET 608/708をスイッチオフする。
【0128】
図13は、回路600の制御構成体の特定の例についてのさらなる構成要素を示す。図13に示す構成要素は、回路600の動作中にDC電圧供給部118から引き込まれる電流の量を示す信号I_SENSEを供給するための電流検知装置1300を規定する。この信号から、コントローラ1001は、電圧供給118から引き込まれる電流を決定してもよく、これを、DC電圧供給部118によって供給される電圧の値と共に用いて、回路600に供給される電力についての値を決定してもよい。いくつかの例において、以下で説明するように、電力の決定された値は、回路600を制御するためにコントローラ1001によって用いられてもよい。
【0129】
電流検知装置1300への入力1301は、図12に示す抵抗器R120を介して提供される。したがって、入力は、抵抗器R120を介してノード1500Bに接続され、電流検知抵抗器615の両端の電圧を示す電圧を受け取る。電流検知装置1300は、回路600のためのローサイド電流検知装置として動作する。その点に関して、電流検知装置1300は、よく理解されるであろうように、電流検知抵抗器615を用いたローサイド電流検知用に設定されたオペアンプU110(部品タイプTS507)の入力5に供給される3.8Vの電圧で動作するオペアンプU110を備える。内蔵バイアス抵抗器付きのトランジスタU109(部品タイプRN4986)は、コントローラ1001によって供給される2.5VをオペアンプU110用に3.8V供給に上昇して切り替えるように動作する。トランジスタ構成要素U109からの電源ラインは、10nFのキャパシタC132を介してグラウンドに接続される。さらに、1kΩの抵抗器R130が、オペアンプU110の正入力とグラウンドとの間に接続され、412kΩの抵抗器R129が、コントローラ1001からの2.5V入力とコンパレータU110の正入力との間に接続される。オペアンプU110の負端子は、電流検知抵抗器615の両端の電圧に依存する電圧を受け取る。直列な抵抗器R131及びキャパシタC133は、入力1301を介して受け取られる電圧信号のフィルタリングを行う。オペアンプが閉ループモードで動作するように、(本例では97.6kΩの抵抗を有する)さらなる抵抗器R133及び10nFのキャパシタC134が、オペアンプU110の負端子への入力とオペアンプU110の出力との間に並列に接続される。
【0130】
オペアンプU110は、電流検知抵抗器615を通る電流を示す電圧信号I_SENSEをコントローラ1001に出力するように動作し、よって、回路600を通してDC電圧供給部118から引き込まれる電流をコントローラ1001が決定することを可能とする。
【0131】
第1及び第2のFET 608及び708、並びに回路600のトポロジーを考慮して、第1及び第2のインダクタコイル124及び126の互いに対する位相関係は、第1のインダクタコイル124が動作されているときに、サセプタ132の著しい加熱を引き起こすのに十分な電流が第2のインダクタコイル126に流れることが防止され、第2のインダクタコイル126が動作されているときに、サセプタ132の著しい加熱を引き起こすのに十分な電流が第1のインダクタコイル124に流れることが防止されるように選択されてもよいことに留意されたい。
【0132】
上記で説明したように、第1のFET 608及び第2のFET 708は、スイッチオフされているとき、実効的にダイオード608a、708aとして動作し、そのため、順バイアスされた場合には電流を伝導し得る(すなわち、FETは完全なスイッチではない)。よって、例として、回路600は、第1のインダクタコイル124及びインダクタコイル126の一方がサセプタ132を加熱するようにアクティブであるとき、他方の非アクティブなインダクタコイルの両端に誘起される電圧が、その非アクティブなインダクタコイルに関連付けられたFETの固有ダイオードを順バイアスせずに逆バイアスするように構成されてもよい。
【0133】
上述の制御構成体が、検出された電圧状況に応答して回路600のスイッチング構成体608、708を制御するように構成されることの効果は、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701の一方がアクティブである(すなわち、そのゲートドライバ623、723がコントローラ1001によってアクティブ化される)場合、その共振器セクションが「自励振動」し、他方のセクションが非アクティブに留まることである。すなわち、(コンパレータ618によって検出される)第1の電圧状況によってFETがオンからオフにスイッチングされ、(ゼロ電圧検出器621によって検出される)第2の電圧状況によってFETがオフからオンにスイッチングされることに伴って、共振器セクション601、701におけるそれぞれのFET 608、708のスイッチングが高い周波数で繰り返し生じる。
【0134】
コントローラ1001は、常に第1のインダクタ124及び第2のインダクタ126の一方のみがアクティブであるように、デバイス100の誘導加熱回路600を制御するように構成される。コントローラ1001は、第1のインダクタ124及び第2のインダクタ126のどちらをアクティブ化するかを所定の周波数で決定するように構成される。
【0135】
例として、デバイス100の使用中、コントローラ1001は、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701のどちらをアクティブ化するかを、所定の周波数で、すなわち、複数の所定の時間間隔ごとに一度決定する。一例において、コントローラ1001が第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701のどちらをアクティブ化するかを決定する度に、コントローラ1001は、次の所定の間隔の持続時間にわたってサセプタ132を加熱するように、その共振器セクションをアクティブ化することを決定してもよい。すなわち、所定の周波数(「遮断レート」と称する場合がある)が例えば64Hzである場合、コントローラ1001は、1/64sの所定の間隔で、後続の1/64s間隔の終了時にどちらの共振器セクション601、701かについての次の決定をコントローラが行うまでの後続の1/64sの持続時間にわたってどちらの共振器セクション601、701をアクティブ化するかを決定してもよい。他の例において、遮断レートは、例えば20Hz~80Hzであってもよく、又は、それに対応して、所定の間隔は1/80s~1/20sの長さであってもよい。どちらのインダクタ124、126が所定の間隔にわたってアクティブ化されるべきかを決定するために、コントローラ1001は、どちらのサセプタゾーン132a、132bがその所定の間隔にわたって加熱されるべきであるかを決定する。例として、コントローラ1001は、以下で説明するように、サセプタゾーン132a、132bの測定された温度を参照して、どちらのサセプタゾーン132a、132bが加熱されるべきであるかを決定する。
【0136】
図14は、2つの共振器セクション601、701のどちらが特定の所定の間隔にわたってアクティブ化されるべきであるかを決定する例示的方法のフローチャート図を示す。本例において、コントローラ1001は、第1のインダクタ124によって加熱される第1のサセプタゾーン132aの現在の温度T1と、第2のインダクタ126によって加熱される第2のサセプタゾーン132bの現在の温度T2とに基づいて、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701のどちらを所定の間隔にわたってアクティブ化するかを決定する。一例において、第1のサセプタゾーン132a及び第2のサセプタゾーン132bの現在の温度T1及びT2は、サセプタ132の各ゾーンに取り付けられたそれぞれの熱電対(不図示)によって測定されてもよい。熱電対は、コントローラ1001が温度T1、T2を決定することを可能とする入力をコントローラ1001に提供する。他の例において、サセプタゾーン132a、132bのそれぞれの温度を決定するために他の適当な手段が用いられてもよい。
【0137】
ブロック1051において、コントローラ1001は、温度T1の現在の値を決定し、これを、第1のインダクタ124によって加熱されるように配置された第1のゾーン132aについての目標温度target1と比較する。第1のゾーン132aの目標温度target1は、回路600を用いるデバイスの使用セッションの全体にわたって変動し得る値を有する。例えば、デバイス100の使用セッションの全体にわたってtarget1についての値を規定する温度プロファイルが第1のゾーンについて規定されてもよい。
【0138】
ブロック1052において、コントローラ1001は、ブロック1051において第1のインダクタ124について行われたのと同じ動作を行い、第2のゾーン132bの現在の温度T2がこの時点で第2のゾーン132bについての目標温度target2未満であるか否かを決定する。やはり、第2のゾーン132bの目標温度は、使用セッションの全体にわたってtarget2の値を規定する温度プロファイルによって規定されてもよい。第2のゾーン132bの温度は、第1のゾーン132aと同様に、熱電対などの任意の適当な手段によって測定されてもよい。
【0139】
ブロック1051及びブロック1052における答えが共に「いいえ」である場合、すなわち、サセプタゾーン132a、132bの両方が現在においてそれぞれの目標温度target1、target2以上である場合、コントローラ1001は、第1及び第2の共振器セクション601、701のいずれも次の所定の間隔にわたってアクティブ化されるべきでないと決定する。
【0140】
ブロック1051における答えが「いいえ」であり、ブロック1052における答えが「はい」である場合、すなわち、第1のゾーン132aがその目標温度target1以上であるが、第2のゾーン132bがその目標温度target2未満である場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたって第2のゾーン132bを加熱するように第2の共振器セクション701がアクティブ化されるべきであると決定する。
【0141】
ブロック1051における答えが「はい」であり、ブロック1052における答えが「いいえ」である場合、すなわち、第1のゾーン132aがその目標温度target1未満であり、第2のゾーン132bがその目標温度target2以上である場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたって第1のゾーン132aを加熱するように第1の共振器セクション601がアクティブ化されるべきであると決定する。
【0142】
ブロック1051における答えが「はい」であり、ブロック1052における答えが「はい」である場合、すなわち、第1のゾーン132a及び第2のゾーン132bの両方がそれぞれの目標温度target1、target2未満である場合、コントローラ1001はブロック1053に進む。ブロック1053において、コントローラ1001は、ゾーン132a、132bの両方がそれぞれの目標温度未満に留まる各所定の間隔にわたって、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701のアクティブ化を交互に行うように実効的に動作する。
【0143】
一例において、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701を交互にアクティブ化するために、ブロック1053において、コントローラ1001は、いくつかの例において、セッションの開始から偶数回の所定の間隔が経過したかを決定する。セッションの開始から偶数回の所定の間隔が経過した場合、コントローラ1001は、第1の共振器セクション601が次の間隔にわたってアクティブ化されるべきであると決定する。セッションの開始から奇数回の所定の間隔が経過した場合、コントローラ1001は、第2の共振器セクション701が次の間隔にわたってアクティブ化されるべきであると決定する。他の例において、コントローラ1001は、代わりに、偶数回の間隔が経過したときに第2の共振器セクション701をアクティブ化し、奇数回の間隔が経過したときに第1の共振器セクション601をアクティブ化してもよいことが理解されるべきである。
【0144】
特定の例において、回路600は、ゲートドライバ623、624の一方における信号1021又は1022の受け取りによって共振器セクション601、701の一方がアクティブ化されると、その共振器セクション601/701が、例えばその共振器セクション601/701のゲートドライバに異なる信号を供給することによりコントローラ1001によって非アクティブ化されるまで、動作すなわち自励振動を続けるように構成される。そのため、所与の間隔中に共振器セクション601、701のどちらをアクティブ化するかを決定し次第、コントローラ1001は、このアクティブ化を開始するために、前の間隔中にアクティブであった共振器セクション601、701の一方を非アクティブ化してもよい。
【0145】
図14に示す方法1050が1/64sの間隔で行われるブロック1053の例を示すと、ゾーン132a、132bの両方がそれぞれの目標温度target1、target2未満であり、デバイス100の使用セッションの開始から偶数回の1/64s間隔が経過したとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の1/64s間隔にわたって第1の共振器セクション601をアクティブ化し、一方で第2の共振器セクション701は非アクティブとされ、これは例としてコントローラ1001が第2の共振器セクション701を非アクティブ化することを必要とする。この次の1/64sの間隔の後、ゾーン132a、132bの両方がそれぞれの目標温度target1、taget2未満に留まる場合、後続の1/64s間隔にわたって、コントローラ1001は、第2の共振器セクション701をアクティブ化し、一方で第1の共振器セクション601は非アクティブとされ、これは例としてコントローラ1001が第2の共振器セクション701を非アクティブ化することを必要とする。ゾーン132a、132bの両方がそれぞれの目標温度未満に留まる各間隔にわたって、第1の共振器セクション601と第2の共振器セクション701とのこの交互のアクティブ化が続く。
【0146】
全体として、方法1050は、2つのインダクタ124、126が決して同時にアクティブ化されない効果を有する。インダクタ124、126の両方が、それぞれのゾーン132a、132bを目標温度に至らせるためにアクティブ化を必要としていると決定された場合、コントローラ1001は、ゾーン132a、132bの両方をそれぞれの目標温度まで上げるために、所定の周波数でインダクタ124、126への電力の供給を交互に行う。したがって、例えば、第1のゾーン132aが実質的にその目標温度未満であり第2のゾーン132bがその目標温度以上である複数の間隔を含む使用セッションの期間中において、方法1050は、電力がこの期間のほぼ100%にわたって第1の共振器セクション601に供給され得る効果を有することがわかる。しかしながら、ゾーン132a、132bの両方がその目標温度未満である複数の間隔を含む使用セッションの期間にわたって、各インダクタは、この期間のおよそ50%にわたって電力を受け取ってもよい。
【0147】
述べたように、ゾーン132a、132bの両方がその目標温度である場合、電力がいずれのインダクタにも供給されなくてもよい。特定の例において、所定の期間(3、3.5、4又は4.5分など)続く加熱セッション中、いずれのインダクタも当該時間の約75%超又は当該時間の約80%超にわたって電力を受け取っていてもよい。換言すると、電力の常時供給が必要でないように、両方のインダクタが、当該時間の75%超、又は当該時間の80%超にわたって、目標温度であってもよい。代わりに、ゾーン132a、132bの温度がそれぞれの目標温度未満となるときにのみ、電力が供給される。特定の例において、加熱セッションは260秒の期間にわたって続き、第1のインダクタ124は加熱セッション中に合計約25秒にわたって電力を受け取り、第2のインダクタコイル126は加熱セッション中に合計約19秒にわたって電力を受け取る。より一般的に、各インダクタは、加熱セッション中の時間の約7%~15%にわたって電力を受け取ってもよく、これは、インダクタが当該時間の約14%~30%にわたって動作していることを意味する。
【0148】
各1/64s間隔にわたって供給される電力は、この間隔中のDC供給部118の両端のDC電圧と、当該間隔中のDC供給部118から引き込まれる平均DC電流との積として決定することができる。特定の例において、インダクタが一間隔中に動作されている場合、電力は、約15W~約25Wの間、又はより好ましくは約20W~約23Wの間であってもよい。
【0149】
当該間隔中にインダクタによって消費されるエネルギーは、電力に間隔の長さを掛けた積によって決定される。よって、当該間隔中にインダクタによって消費されるエネルギーは、約0.31J~約0.36Jの間であってもよい。(ゾーン132a、132bが目標温度であるために)インダクタが動作されていない場合、インダクタに供給される電力、及びインダクタによって消費されるエネルギーは、無視できるものであってもよい。例えば、インダクタによって消費されるエネルギーは、約0.01J未満であってもよい。
【0150】
第1及び第2のインダクタ124、126は、ヒータ/加熱アセンブリと総称される場合がある。上記で述べたように、インダクタがヒータセッション中の時間の約25%のみにわたってアクティブ化されると仮定すると、当該セッション中にインダクタによって消費される総エネルギーは、約1200J~約1400Jの間である。インダクタがヒータセッション中の時間の約20%のみにわたってアクティブ化されると仮定すると、インダクタによって消費される総エネルギーは、約1000J~約1150Jの間である。ヒータアセンブリの特性、環境、及びデバイスに受けられる物品に依存して、インダクタによって消費される総エネルギーは、約1000J~約1400Jの間であってもよい。
【0151】
一例において、DC供給部118(すなわちバッテリー)は、約3000mAhのバッテリー容量及び3~4V程度の電圧を有し、これは約30,000J~約35,000Jの間の容量をもたらす。特定の例において、バッテリー容量は約33,000Jである。これにより、DC供給部118が約25~30回の加熱セッションにわたって電力を供給することが可能となる。
【0152】
特定の例において、デバイスが非アクティブであるとき、電流引き込み量は約0.1mAである。この電流引き込み量の大部分は、DC供給部118の電圧調整器によって引き込まれる静止電流である。一例において、調整器は2.5Vの調整器である。この電流の一部は、充電ソケット114に関連する集積回路などの、デバイスに存在する任意の追加の電力供給される集積回路における小さな漏れ電流に起因するものであり得る。バッテリーが約3.7Vの電圧を有すると仮定すると、デバイスが非アクティブであるときに消費する電力は、約0.370mWであってもよい。非アクティブなデバイス100は、約1mW未満、又は約0.5mW未満又は約0.4mW未満を消費することが好ましい。
【0153】
コントローラ1001がアクティブである場合、電流引き込み量は約3mAであってもよい。したがって、コントローラ1001は、使用中に約0.01Wを消費する。一例において、コントローラ1001は、16MHzのクロックを有する。コントローラ1001は、約0.05W未満、又は約0.03W未満又は約0.01W未満を消費することが好ましい。
【0154】
デバイス100は、複数のLEDなどの視覚インジケータをさらに備えてもよい。上記で簡単に述べたように、図2は、第2のプリント回路基板138を示す。4つのLEDが第2のプリント回路基板138に搭載されている。LEDは、デバイスの使用準備が完了している場合などの特定のイベントをユーザに示すために点灯され得る。各LEDは、最大明度又は最大強度において、約2mAの電流を引き込んでもよい。4つのLEDは、全てが最大明度であるとき、合算で約0.03Wの電力を消費する。視覚インジケータは、約0.05W未満、又は約0.04W未満又は約0.03W未満を消費することが好ましい。LEDは、例えば加熱セッション中に点灯されてもよい。
【0155】
よって、加熱セッション中、加熱アセンブリは、約15W~約25Wを消費してもよい。デバイス内の他の電気的構成要素(すなわちインダクタ124、126を除く全ての構成要素)は、合計で約0.04W(LEDで約0.03W、電圧調整器、コントローラ1001及び他の漏れ電流で約0.01W)の電力を消費してもよい。電気的構成要素の電力消費は、約0.1W未満、又は約0.05W未満であることが好ましい。
【0156】
上記の例において、電力はバッテリー118の電圧に応じて変化するであろうことが理解されよう。上記の例において、バッテリー118の電圧は約3.7Vであると仮定する。
【0157】
一例において、電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリ(すなわちインダクタ)の電力消費の約0.5%未満である。電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリの電力消費の約0.2%未満であることが好ましい。例えば、ヒータアセンブリ(すなわちインダクタ)の電力消費は約20Wであってもよく、他の電気的構成要素の電力消費は約0.04Wである。よって、電気的構成要素の電力消費は、加熱アセンブリの電力消費の約0.2%である。
【0158】
例として、コントローラ1001は、例として方法1050が行われる所定の間隔と一致する所定の間隔で、DC供給部118から共振器セクション601、701の一方に供給されている電力を決定するようにさらに構成される。
【0159】
特に図9図11を参照して上記で説明したように、常に第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701のどちらがアクティブであるかを制御するために、コントローラ1001は、回路600の動作を開始するためのSTART信号1001を送信することに加えて、第1の共振器セクション601をアクティブ化するための第1のゲートドライバ623への第1のヒータ動作信号1011又は第2の共振器セクション701をアクティブ化するための第2のゲートドライバ723への第2のヒータ動作信号1012を選択的に送信するように構成される。
【0160】
例えば、コントローラ1001が回路600の動作を開始し、コントローラ1001が第1のヒータ動作信号1011を送信したとき、回路600は、上記で説明したように、第1のサセプタゾーン132aを加熱するために第1のインダクタ124をアクティブ化するように動作する。コントローラ1001が第2のヒータ動作信号1012を送信したとき、回路600は、第2のサセプタゾーン132bを加熱するために第2のインダクタ126をアクティブ化するように動作する。コントローラ1001が第1のヒータ信号1011及び第2のヒータ信号1012のいずれも送信しない場合、インダクタ124、126のいずれもアクティブ化されず、サセプタ132は加熱されない。
【0161】
コントローラ1001は、回路600に供給される電力の測定値と目標電力との比較に基づいて、サセプタ132の誘導加熱のためにDC電圧供給部118から回路600に供給される電力を制御するように構成される。コントローラ1001は、回路600のスイッチング構成体を制御することにより、すなわちFET 608、708のスイッチングを制御することにより、回路600に供給される電力を制御するように構成される。コントローラ1001は、制御電圧1031を設定することにより、FET 608、708のスイッチングを制御してもよい。制御電圧1031は、FET 608、708がスイッチオフされる前にそのFET 608、708に対応するインダクタ124、126において増加することが許容されるDC電流を決定する。
【0162】
図15は、回路600に供給される電力を制御するためにコントローラ1001によって実行される例示的方法1100を示す。ブロック1101において、コントローラ1001は、DC供給部118から回路600に供給される電力Pを決定する。例えば、コントローラ1001は、前の所定の間隔中に回路600に供給される電力の平均値を決定してもよい。例として、一間隔中に回路600に供給されている電力Pは、共振器セクション601、701のうちの所与の一方の両端の電圧及びそれを通して駆動されているDC電流の測定によって決定されてもよい。次いで、コントローラ1001は、共振器セクション601、701の所与の一方に供給される電力Pを決定するために、その共振器セクション601、701の両端の電圧とそれを通るDC電流との積を決定してもよい。
【0163】
例として、決定された電力Pは、DC供給部118の両端の平均DC電圧と、前の間隔にわたってDC供給部118から引き込まれる平均DC電流との積を決定することにより決定され得る所定の間隔にわたってDC供給部118から供給される平均電力である。
【0164】
例示的デバイス100において、DC供給部118は、コントローラ1001に接続されたバッテリーであり、そしてコントローラ1001は、DC供給部118の電圧を回路600に出力する。コントローラ1001は、バッテリー118によって供給されるDC電圧を決定するように構成される。バッテリー118から引き込まれる電流は、電流検知装置1300の動作によって決定される。コントローラ1001は、1/64s間隔ごとに一回、DC電圧及びDC電流を決定する。DC電圧は、この短い期間にわたって実質上一定であると考えられることができる。しかしながら、電流は、回路のスイッチオン及びスイッチオフの高速レートに依存するレートで変動している。上記で説明したように、これは、いくつかの例において、300kHz程度である。電流検知装置1300は、図13を参照して上記で説明したように、この300kHz程度の信号を除去するようにフィルタリングされた信号I_SENSEを出力する。したがって、1/64s間隔にわたる平均DC電流は、このフィルタリング済み信号I_SENSEの測定を行うことにより得られ、I_SENSEの測定は、フィルターからの信号が整定することを可能とするために1/64s間隔の終了直前に行われる。その結果、コントローラ1001は、1/64s間隔にわたるDC電圧及びDC電流の測定値を得、これらの値の積を算出して、決定された電力Pを得ることができる。この決定された電力Pは、1/64s間隔にわたってDC供給部118によって供給される電力の平均値であると考えられてもよい。
【0165】
ブロック1102において、ブロック1101において決定された供給電力Pが、目標電力と比較される。決定された電力Pが所定の間隔にわたる平均電力である場合、目標電力は、同じ間隔にわたる目標平均電力である。一例において、目標電力は、所定の間隔にわたって供給される平均電力についての目標値であり、10~25Wの間、若しくは15~23Wの間、又は20W程度の値を有してもよい。本例において、目標電力は、例えば20~21W又は15~25Wの範囲である。よって、コントローラ1001は、ブロック1102において、ブロック1101において決定された供給電力値Pを目標範囲と比較し、供給電力が当該範囲未満であるか、目標範囲内であるか、又は目標範囲を超えるかを決定してもよい。例えば、目標範囲が20~21Wである場合、ブロック1102において、コントローラ1001は、P<20Wであるか、又は20W≦P≦21Wであるか、又はP>21Wであるかを決定する。
【0166】
供給電力Pの目標範囲との比較に基づいて、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたってアクティブなインダクタ124又は126に供給される実際の電力を目標電力範囲に近付ける目的で、次の所定の間隔にわたる電力を調節するか否か及びその方法を決定する。すなわち、供給電力Pが目標範囲未満である場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたって回路600に供給される電力を増大することを決定する。供給電力Pが目標範囲を超える場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたって回路600に供給される電力を減少させることを決定する。供給電力Pが目標範囲未満である場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔にわたって回路600に供給される電力を調節しないことを決定する。
【0167】
上記で説明した回路600の構成に起因して、所与の所定の間隔にわたる供給電力Pは、その間隔にわたる制御電圧1031の値に依存する。第1の共振器セクション601がアクティブである1つの1/64s間隔を例に取ると、この1/64s間隔は、電圧波形800のセクション800a~800e及びその繰り返しを含む多数の繰り返しサイクルを含む。時刻t~tの期間中の各サイクルにわたって、共振器セクション601は共振することを可能とされ、この期間はFET 608がオフであるので、第1の共振器セクション601を通してDC供給部118から引き込まれる電力がない。よって、共振器セクション601に電力供給するために所与の1/64s間隔中にDC供給部118から引き込まれる電力の実質的に全てが、インダクタ124に電流が「通電」している、すなわちFET 608がオンであるt~tの間の期間中に引き込まれる。t~tの間の時間は、第1の共振器セクション601の共振周波数によって決定される。この共振周波数は、(コイル及びサセプタの温度並びにバッテリー電圧への依存性に起因して回路600の動作の期間にわたって変動してもよいが)少なくとも所与の1/64s間隔の全体にわたって実質的に一定に留まってもよい。時刻t~tの長さは、制御電圧1031の値、並びにDC供給部118によって供給されるDC電圧並びに第1の共振器セクション601の抵抗及びインダクタンスによって決定される(第2の共振器セクション701についても同様)。すなわち、所与のDC供給電圧について、制御電圧1031は、t~tの間にインダクタ124において増加することが許容される電流Iを設定するが、DC供給電圧が低減した場合、所与の値のIまで増加するのに必要な時間が増大する。そのため、1/64s間隔中に供給される平均電力は、制御電圧1031の値に依存する。
【0168】
したがって、例として、次の間隔中に回路600に供給される電力を制御するために、コントローラ1001は、次の間隔にわたる制御電圧1031の値を設定する。例として、共振器セクション601、701の一方がアクティブである所定の間隔にわたる所与のDC供給部118について、制御電圧1031の値が正方向に大きいほど、より大きい値の電力Pが回路600に送達されることになる。したがって、そのような例において、前の間隔にわたって供給電力Pが目標範囲を超えていたとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の間隔にわたって制御電圧1031を低減する。前の間隔にわたって供給電力Pが目標範囲未満であったとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の間隔にわたって制御電圧1031を増大する。前の間隔にわたって供給電力Pが目標範囲を超えていたとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の間隔にわたって制御電圧1031を不変のままとする。
【0169】
上記方法1100の一例において、ブロック1101において決定される供給される電力Pは、共振器セクション601、701の特定の一方に供給される電力であることに留意されたい。例えば、電力Pは、第1の共振器セクション601の両端の電圧及び第1の共振器セクション601を通るDC電流を測定することにより決定されてもよい。そのような一例において、第1の共振器セクション601に供給される電力Pが、制御電圧1031を制御するために用いられる。所与の制御電圧1031について、いくつかの例において、それぞれの共振器セクション601、701がアクティブであるときにインダクタ124、126の各々に供給される電力は異なっていてもよいことにも留意されるべきである。これは、例えば、インダクタ124、126がインダクタンス若しくはDC抵抗の異なる値を有する、又は2つの共振器セクション601、701のキャパシタンスが等しくないためであり得る。したがって、本例において、所与の所定の間隔中、目標電力範囲外の目標電力が第2の共振器セクション701に供給されてもよいが、制御電圧1031は第1の共振器セクション601に供給される電力Pに基づいて制御されるので、本例において、コントローラ1001は、制御電圧1031を調節しなくてもよい。
【0170】
例えば、制御電圧1031の所与の値について、コントローラ1001は、ブロック1101において、所与の間隔にわたって20Wの平均電力が第1の共振器セクション601に供給されたと決定してもよく、目標電圧は本例では20~21Wである。ブロック1102において、コントローラ1001は、供給電圧が目標範囲内であったと決定し、よってコントローラ1001は、制御電圧1031を調節しないことを決定する。次の所定の間隔にわたって、第2の共振器セクション701がアクティブ化されるべきであり、第1の共振器セクション601がアクティブ化されるべきでないとコントローラ1001が(例示的方法1050によって)決定することを考える。制御電圧1031の所与の値について、本例において、第1の共振器セクション601及び第2の共振器セクション701の電気的性質の差異に起因して22.5Wが送達される。しかしながら、本例では、ブロック1102において、コントローラ1001は、第1の共振器セクション601に送達される電力Pの最後に測定された値を比較し、したがって、ブロック1103において、制御電圧1031を調節しないことを決定する。そのため、方法1100の一例において、回路600に供給される電力は、目標範囲外であってもよい。しかしながら、これにより、共振器セクション601、701の一方に供給される電力Pのみを測定することにより、インダクタ124、126に供給される電力を制御することが可能となり得る。これは、例えば共振器セクション601、701及びその構成要素がおよそ同様の電気的特質を有する場合に、回路600に供給される電力を許容可能な範囲内に維持するための簡単かつ有用な解決策を提供し得る。
【0171】
上記で述べたように、いくつかの例において、DC供給部118は、2~10V、若しくは3~5V程度、又は一例では4.2V程度の電圧を有するバッテリーである。いくつかの例において、DC供給部118により生じさせられるDC電圧は、回路600が動作される時間にわたって変化、例えば減少してもよい。例えば、DC電圧源118がバッテリーである場合、バッテリーは、初期的には4.2Vの電圧を供給し得るが、バッテリーによって供給される電圧は、バッテリーが消耗するにつれて低下する場合がある。したがって、所与の期間の後、DC電圧源118は、初期の4.2Vではなく例えば3.5Vを供給してもよい。
【0172】
上記で説明したように、所与の供給電圧において、制御電圧1031の値は、それぞれのFET 608/708がスイッチオフされる前にアクティブなインダクタ124/126において増加することが許容される電流の量を制御する。FET 608、708がオンであるときにDC電流の増加を可能とすることによりアクティブなインダクタ124/126に「通電」するために、電力がDC電圧供給部118から供給される。これも上記で説明したように、FET 608/708のスイッチングを引き起こす値まで電流が増加するのにかかる時間tは、DC電圧供給に依存する。したがって、例えば、DC供給部118によって供給される電圧が低減した場合、インダクタコイル124において電流が増加する率が低減し、回路600に供給される電力Pが低減することになる。
【0173】
例示的方法1100は、DC供給部118からの供給電圧が変化した場合であっても、目標電力が維持されることを可能としてもよい。すなわち、実際の供給電力Pが決定され、制御電圧1031を制御するために用いられるので、コントローラ1001は、制御電圧1031を調節することにより目標電力を維持するように動作し得る。例えば、バッテリーレベルが消耗した場合、コントローラ1001は、所与の制御電圧1031で回路600に供給される電力Pが低減したことを測定し、制御電圧1031を増大させることにより回路に供給される電力Pを増大させるように動作する。そのため、回路600に電力供給するために用いられるバッテリーが消耗する一方で、目標電力レベルは維持され得る。これは、目標電力レベルの維持によって誘導加熱回路600の動作の効率が最適化され得るので有利である。例えば、供給される電力を実質的に一定に維持することで、供給電圧に関わらず、エアロゾル化可能材料110aの安定した加熱が可能となる。同様に、例示的方法1100は、サセプタ132の温度が増大したときにサセプタ132によってもたらされる回路600への異なる負荷などの、送達される電力の量に影響し得る回路の他の変化する要因に関わらず、実質的に一定の電力を供給することを可能とする。これは、例えば、一吸い目までの安定した時間、すなわちデバイス100がアクティブ化されてからユーザによって吸入されるようにエアロゾルを提供する準備が整うまでの安定した時間を提供することにより、安定して良好な経験を消費者に提供する。
【0174】
別の例において、制御電圧1031の制御の基準となる、測定される電力値Pは、使用セッションの全体にわたって変化される。例えば、特定の使用セッション中、使用セッションの第1の部分(例えば、使用セッションの最初の約60s)では、温度プロファイルは、第1のインダクタ124が主にアクティブであり、一方で第2のインダクタ126が非アクティブであるようなものであってもよい。使用セッションのこの第1の部分では、制御電圧1031の制御を、第1の共振器セクション601に送達される電力の測定に基づかせることが適切であり得る。しかしながら、セッションのそれ以降では、やはり例えばセッションの温度プロファイルに起因して、第2のインダクタ126が主にアクティブであり、一方で第1のインダクタ124がより少ない時間アクティブである場合がある。よって、使用セッションの第2の部分(例えば約60s以降)では、第2の共振器セクション701に送達される電力の測定に基づいて制御電圧1031を制御することが有利であり得る。よってコントローラ1001は、制御電圧1031の制御を第1の共振器セクション601に供給される電力の測定に基づかせることから、制御電圧1031の制御を第2の共振器セクション701に供給される電力の測定に基づかせることに切り替えてもよい。このようにすることで、例えば、制御電圧1031はアクティブなインダクタ124、126に送達されている実際の電力の目標電力範囲との比較に基づいて設定されているので、使用セッションの全体にわたって目標電力がより厳守され得る。
【0175】
いくつかの例において、電力が調節されるべきであるとブロック1103においてコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、所定のステップで制御電圧1031を調節してもよい。例えば、コントローラ1001は、所定の時間間隔ごとに制御電圧1031を所定量だけ調節するように構成されてもよい。ブロック1102において、供給電力Pが目標電力範囲未満であったとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔で制御電圧1031を所定のボルト数だけ増大させてもよい。反対に、ブロック1102において、供給電力が目標電力範囲を超えていたとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔で制御電圧1031を所定量だけ増大させてもよい。
【0176】
特に図12を参照して上記で説明した例において、制御電圧1031は、パルス波変調信号PWM_DACによって生じさせられる。上記で説明したように、信号PWM_DACは2.5Vの矩形波形を有する。信号PWM_DACのデューティ信号は、PWM_DACのデューティ比について0~800の値を設定するコントローラ1001によって制御可能である。この値は、0のとき0%、800のとき100%のデューティ比に対応する。フィルタリングされた信号PWM_DACは、実質的に一定の制御電圧1031をもたらし、したがって、PWM_DAC信号のデューティ比の0~800の設定により、制御電圧1031が0~2.5Vの大きさを有することとなる。本例において、コントローラ1031は、各所定の間隔について、PWM_DAC信号のデューティ比設定を800のうちの8などの設定量だけ調節し、又は設定を不変のままとしてもよい。別の例において、コントローラ1001は、制御電圧1031が何らかの他の手段によって調節されることを可能としてもよく、制御電圧1031が調節されるべきであるとコントローラ1001が決定した場合、コントローラ1001は、次の所定の間隔について、例えば制御電圧1031の最大値の1%、又は2%、又は5%だけ制御電圧1031を調節してもよい。
【0177】
いくつかの例において、回路600の動作がコントローラ1001によって開始されて、例えば回路600を備えるデバイス100の使用セッションが開始されたときに、制御電圧1031は、所定の初期値に設定される。一例において、目標電力レベルに対応する制御電圧1031の値(例えば、この制御電圧1031の値をもたらす信号PWM_DACのデューティ比設定)は、回路600の設定中に決定される。すなわち、回路600に送達される電力は、例えば較正曲線を作成するために、制御電圧1031の複数の値について決定(例えば測定又は理論的に決定)されてもよい。次いで、目標電力に対応する制御電圧1031の値が決定されてもよい。一例において、DC供給部118は4.2Vを供給してもよく、20Wの目標電力を実現するために、コントローラ1001は、一例において、800のうちの344程度のPWM_DAC信号設定のデューティ比についての較正値を決定してもよい。
【0178】
一例において、コントローラ1001は、制御電圧1031のこの決定された値に基づく初期値に制御電圧1031を設定するように構成される。例えば、制御電圧1031を決定するPWM_DACのデューティ比の初期値は、目標電力に対応する決定された値の半分に設定されてもよい。例えば、目標電力に対応することがわかっている制御電圧1031についてのデューティ比設定が800のうちの344である場合、コントローラ1001は、設定が800のうちの152に設定された状態でセッションを始め、測定される電力Pが目標範囲内となるまで所定の間隔ごとに設定を所定量だけ増大させてもよい。これは、使用セッションの開始時に、送達済み電力が目標電力を十分に下回り、次いで送達済み電力が目標電力範囲に達するまで(コントローラ1001による制御電圧1031の増加により)増加し得るという効果を有し得る。この送達済み電力の初期的増加は、回路600の動作における安全性の向上をもたらし、セッションの開始時におけるサセプタの過熱が防止され、回路600がコントローラ1001によって決定される実際の供給電力に応答することが可能となる。
【0179】
一例において、所定の間隔は、第1のインダクタ124及び第2のインダクタ126のどちらをアクティブ化するかを決定する方法1050においてコントローラ1001によって用いられるのと同じ所定の間隔である。そのような一例において、上記で述べたように、所定の間隔は1/64sの長さである。所定の間隔の長さ(すなわち遮断レート)は、コントローラが回路を監視し適宜パラメータを調節することが可能となる有利な時間間隔を提供するように選択されてもよい。例えば、64Hz、又は約10~100Hzの範囲内の遮断レートが用いられてもよい。これらの例示的な遮断レートにおいて、コントローラ1001は、サセプタ132のゾーン132a、132bがその目標温度を大幅に超えて増大し得る前に特定のインダクタ124、126による加熱を停止することを決定し得るのに十分に高いレートで、サセプタゾーンの温度の増大を測定してもよい。同様に、遮断レートについて挙げられている例は、インダクタ124、126に供給される電力を安全な目標範囲内に適切に制御することを可能とするように制御電圧1031が調節され得る有利な周波数をもたらし得る。
【0180】
回路600の動作の例示的方法において、回路600に送達される電力を制御する際にコントローラ1001が用いるための目標電力は、予定される使用セッションの特性に基づいて予め決定される。例えば、目標電力範囲は、使用セッションの全体にわたって調節されてもよい。
【0181】
図16は、本例では単一のサセプタゾーン132aについての目標温度である、使用セッションの一部分についての温度プロファイルtarget1の模式的な例を示す。本例において、最初、使用セッションの当該部分の第1の部分1201において、第1のゾーン132aは、実質的にその目標温度target1未満である。この第1の部分1201において、回路600は、第1のゾーン132aを目標温度target1まで上げるように動作している。使用セッションのそのような例示的部分において、目標電力P1は、例えば20~21Wの値の範囲を有してもよい。セッションの第1の部分1201中の目標電力は、サセプタ132を、そしてしたがってエアロゾル化可能材料110aを、ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生じさせるのに適当な温度まで迅速に上げるために、比較的高くてもよい。
【0182】
使用セッションが進行するにつれて、第1のゾーン132aは実質的にその目標温度target1に達する。使用セッションの第2の部分1202が、第1のゾーン132aがその目標温度target1に達した後間もなく始まるものとして定義されてもよい。例として、使用セッションのこの部分1202にわたって、第1のゾーン132aは実質的に、例えば250℃であるその目標温度target1であってもよく、方法1050に従って目標温度target1に維持されていてもよい。同様に、これは図16では不図示であるが、第2のゾーン132bは、方法1050によってその目標温度target2に維持されていてもよい(第2のゾーン132bの目標温度target2は、target1によって規定されるものとは異なる温度プロファイルを規定してもよい)。
【0183】
使用セッションにおける第1のゾーン132aが実質的に温度target1に達した後の部分1202は、コントローラ1001が、第1の部分1201のように第1のゾーン132aの温度をその目標値target1まで上げるのではなく、第1のゾーン132a(又はゾーン132a、132bの両方)の温度を維持するように動作していることを特徴としてもよい。そのため、使用セッションの部分1202中、サセプタゾーン132aを目標温度target1まで上げるために必要な電力と比較すると、目標温度target1を維持するためにサセプタゾーン132aに供給される必要がある電力は比較的少なくてもよい。使用セッションの第2の部分1202では、部分1201における目標電力P1の値と比較して、目標電力P1の値を低減することが有利であり得る。一例において、目標電力レベルP1は、使用セッションの部分1202中、部分1201における20~21Wから15W程度まで低減されてもよい。このように目標電力P1を低減することは、いくつかの例において、より低いレベルの電力エネルギーを使用することにより回路における損失が低減され得、よって効率が増大し得るので、有利であり得る。
【0184】
使用セッションの第3の部分1203では、目標温度target1の値は0である、すなわち、第1のインダクタ124はアクティブ化されない。この時点において、使用セッションが終了している場合は、目標電力P1も0に低減されてもよく、又は、第2のインダクタ126が依然としてアクティブ化されている場合は、第2のインダクタ126がアクティブ化されている間、目標電力P1は非ゼロ値に留まっていてもよい。よって、目標電力は、使用セッションの任意時点において、ゾーン132a、132bの両方の温度プロファイルを考慮してもよい。使用セッションの一部が、例えば一方のゾーンの温度が著しく増大することを必要とする場合は、比較的高い目標電力が適切であり得る。反対に、ゾーン132a、132bのいずれも大幅な加熱を必要としない使用セッション部分では、比較的低い目標電力が用いられてもよい。
【0185】
上記で述べたように、使用セッションの特定の期間中のより低い電力レベルの使用は、セッションの持続時間にわたってエネルギーの節約が実現され得るという利点をもたらし得る。例えば、目標電力レベルが第2の期間において第1の期間における20~21Wから15W程度まで低減された場合、いくつかの例において、より低い電力で動作する回路600におけるエネルギー損失の低減に起因して、5~10%程度のエネルギーの節約が実現され得る。一例において、長さ260s程度の典型的なセッションの過程において、セッションの全持続時間にわたって目標電力を20W程度に維持することで、エネルギー使用量は1000J程度となり得る。しかしながら、第1のゾーン132aが最初にその設定温度に達し次第、目標電力を15W程度に低減し、実質的に同じ長さのセッションの残り期間にわたって目標電力レベルを15Wに維持することで、エネルギー使用量は900~950Jの間となり得る。例として、デバイスにより使用される電力のほぼ全てが、サセプタ132を加熱するために供給されるエネルギーに起因する。例えばLEDインジケータ及びマイクロコントローラといった加熱回路以外の電気的構成要素の電力使用量は、0.1W程度未満であってもよく、いくつかの例においては0.01W程度未満であってもよい。
【0186】
本明細書において説明した特定の方法は、非一時的記憶媒体に格納可能な非一時的コンピュータプログラムコードとして実現されてもよい。例えば、特定の例において、コントローラ1001は、コンピュータ可読命令のセットが格納された非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、コントローラ1001により実行された場合に本明細書において説明した方法を行うプロセッサとを備えてもよい。コントローラ1001は、1つ又は複数のプロセッサを備えてもよい。例えば、いくつかの例において、上記で説明したように、コントローラ1001はプログラム可能なマイクロ処理ユニットである。コントローラ1001は、コントローラ1001により実行された場合に本明細書において説明した方法を行わせる、例えばコンピュータコードの形態の機械可読命令のセットを含む記憶媒体を備えてもよい。
【0187】
2つのインダクタコイルを備える回路を上記で説明したが、誘導加熱回路に供給される電力を制御するためのものなどの、上記で説明した態様は、1つ又は2つよりも多くのコイルなど、異なる数のコイルを有する回路に適用されてもよいことに留意されたい。さらに、本明細書の説明ではインダクタコイルを備える誘導回路について説明したが、本明細書において説明した態様は、インダクタンスを有し、サセプタ構成体を加熱するための変動磁界を生成するのに適当な他のタイプの誘導素子を用いた誘導回路にも等しく適用されてもよい。加えて、上記の回路を誘導加熱に関して説明したが、電気的構成要素及び加熱構成要素の電力消費に関する特徴は、抵抗加熱を用いた実施形態にも等しく適用する。
【0188】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例として理解されるべきである。本発明のさらなる実施形態が想定される。任意の一実施形態に関して説明されている任意の特徴が、単独で、又は他の説明されている特徴と組み合わせて用いられてもよく、さらに、任意の他の実施形態、又は任意の他の実施形態の任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴と組み合わせて用いられてもよいことが理解されるべきである。さらに、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、上記で説明されていない均等例及び変形例が採用されてもよい。
[発明の項目]
[項目1]
エアロゾル供給デバイスであって、
複数の電気的構成要素と、
エアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーと
を具備し、
使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が約0.25W未満である、エアロゾル供給デバイス。
[項目2]
前記複数の電気的構成要素の電力消費が約50mW未満である、項目1に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目3]
前記複数の電気的構成要素の電力消費が約40mW未満である、項目2に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目4]
前記複数の電気的構成要素がコントローラを備え、前記コントローラがアクティブである場合に、前記コントローラの電力消費が約10mW~約20mWの間であり、前記コントローラが非アクティブである場合に、前記複数の電気的構成要素の電力消費が約0.5mW未満である、項目1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目5]
前記複数の電気的構成要素が複数のLEDを備え、各LEDが最大強度において約10mW未満の電力消費を有する、項目1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目6]
エアロゾル供給デバイスであって、
複数の電気的構成要素と、
エアロゾル生成材料を加熱するためのヒータ構成要素を備える加熱アセンブリと、
前記複数の電気的構成要素及び前記加熱アセンブリに電力供給するためのバッテリーと
を具備し、
使用中において、前記複数の電気的構成要素の電力消費が、前記加熱アセンブリの電力消費の約1%未満である、エアロゾル供給デバイス。
[項目7]
使用中において、前記ヒータアセンブリの電力消費が約15W~約25Wの間である、項目1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目8]
前記バッテリーが約30000J~35000Jの間のバッテリー容量を有する、項目1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目9]
前記ヒータアセンブリが、約3分~約5分の期間にわたって動作するように構成され、前記期間中に約1000J~約1400Jを消費するように構成される、項目1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目10]
前記ヒータアセンブリが、前記ヒータ構成要素を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルをさらに備える、項目1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目11]
前記ヒータアセンブリが、前記ヒータ構成要素を加熱するように構成された第1のコイル及び第2のコイルを備える、項目10に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目12]
使用中において、前記エアロゾル供給デバイスの外面が約48℃未満に留まる、項目1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目13]
項目1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品と
を具備するエアロゾル供給システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】