(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166622
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】空気調和制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/63 20180101AFI20231114BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20231114BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20231114BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20231114BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20231114BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/64
F24F120:14
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160070
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2019549324の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】201710978216.9
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】506259634
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Qinghuayuan,Haidian District,Beijing 100084,China
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】王 福林
(72)【発明者】
【氏名】前田 敏行
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザーの満足度合いを向上させる空気調和制御装置を提供することにある。
【解決手段】空気調和制御装置100は、制御部150と、皮膚温度測定部110と、情報取得部120と、決定部140とを備えている。制御部150は、ユーザーが居る部屋200を空気調和する空気調和機210の制御を行う。皮膚温度測定部110は、ユーザーの皮膚温度を測定する。情報取得部120は、ユーザーの所在空間に対する熱感覚情報を取得する。決定部140は、熱感覚情報の発生時点におけるユーザーの皮膚温度に基づいて、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定する。また、制御部150は、決定部140が決定した皮膚温度域に基づいて、空気調和機210の制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが居る空間(200)を空気調和する空気調和機(210)の制御を行う、制御部(150)と、
前記ユーザーの皮膚温度を測定する、皮膚温度測定部(110)と、
前記ユーザーの所在空間に対する熱感覚情報を取得する、情報取得部(120)と、
前記熱感覚情報の発生時点における前記ユーザーの皮膚温度に基づいて、前記ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定する、決定部(140)と、
を備え、
前記制御部(150)は、前記決定部が決定した前記快適皮膚温度域に基づいて、前記空気調和機の制御を行う、
空気調和制御装置(100)。
【請求項2】
前記制御部(150)は、さらに現在の前記ユーザーの皮膚温度に基づいて、前記空気調和機の制御を行う、
請求項1に記載の空気調和制御装置。
【請求項3】
前記ユーザーが居る空間の空気の温度及び/又は湿度を計測する、計測部(130)、
をさらに備え、
前記制御部(150)は、さらに前記計測部の計測値に基づいて、前記空気調和機の制御を行う、
請求項1に記載の空気調和制御装置。
【請求項4】
前記皮膚温度測定部(110)は、前記ユーザーから放射される赤外線を分析する赤外線サーモグラフィー(112)を有する、
請求項1に記載の空気調和制御装置。
【請求項5】
前記皮膚温度測定部(110)は、少なくとも5分間に1回、前記ユーザーの皮膚温度を測定し、
前記制御部(150)は、前記決定部が決定した前記快適皮膚温度域、現在の前記ユーザーの皮膚温度、及び、前記ユーザーの皮膚温度の変化率に基づいて、前記ユーザーの現在の熱感覚を予測し、その予測した前記ユーザーの現在の熱感覚に基づいて前記空気調和機の制御を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和制御装置。
【請求項6】
前記皮膚温度測定部(110)は、少なくとも5分間に1回、前記ユーザーの皮膚温度を測定し、
前記決定部(140)は、前記熱感覚情報を取得したときに、前記快適皮膚温度域を更新する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和制御装置。
【請求項7】
前記決定部(140)は、
前記快適皮膚温度域の下限を、31℃~33℃の範囲から選択し、
前記快適皮膚温度域の上限を、33℃~35℃の範囲から選択する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和制御装置。
【請求項8】
前記決定部(140)は、前記快適皮膚温度域の初期値を有しており、前記初期値を季節あるいは時期に応じて変える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和制御装置。
【請求項9】
前記皮膚温度測定部は、複数の前記ユーザーの皮膚温度を測定し、
前記情報取得部は、複数の前記ユーザーの前記熱感覚情報を取得し、
前記決定部は、複数の前記ユーザーの前記快適皮膚温度域を決定し、
前記制御部は、前記空気調和機が空気調和する前記空間に複数の前記ユーザーが存在する場合に、
複数の前記ユーザーの前記快適皮膚温度域に基づいて、複数の前記ユーザーの快適感の総和が高くなるように、前記空気調和機の制御を行う、
又は
複数の前記ユーザーの前記快適皮膚温度域に基づいて、複数の前記ユーザーのうち快適感が最も低い前記ユーザーの快適感が上がるように、前記空気調和機の制御を行う、
又は
複数の前記ユーザーの前記快適皮膚温度域、および、複数の前記ユーザーそれぞれに設定されている優先順位、に基づいて、前記空気調和機の制御を行う、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空気調和制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御を行う空気調和制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気調和を行う空気調和機は、内蔵あるいは別に設けられる制御装置によって制御される。ユーザーによって室内温度の設定値がセットされると、CPUやメモリ等から成る制御装置は、その設定値に基づいて空気調和機の各機器の制御を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、室内温度の設定値に基づく空気調和機の制御を行うだけでは、ユーザーの快適性を向上させることができなかったり、無駄にエネルギーを消費してしまったり、いろいろな問題が生じることがある。これらの問題に対処するため、PMV(予測温冷感申告)やSET(標準有効温度)等の室内熱環境に関する指標を使い、空気調和機を制御することもあるが、ユーザーのニーズを十分に満足させるものではない。
【0004】
本発明の課題は、ユーザーの満足度合いを向上させる空気調和制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る空気調和制御装置は、制御部と、皮膚温度測定部と、情報取得部と、決定部とを備えている。制御部は、ユーザーが居る空間を空気調和する空気調和機の制御を行う。皮膚温度測定部は、ユーザーの皮膚温度を測定する。情報取得部は、ユーザーの所在空間に対する熱感覚情報を取得する。決定部は、熱感覚情報の発生時点におけるユーザーの皮膚温度に基づいて、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定する。また、制御部は、決定部が決定した快適皮膚温度域に基づいて、空気調和機の制御を行う。
【0006】
本発明によれば、暑い、寒いといったユーザーの熱感覚情報を取得し、その情報の発生時点におけるユーザーの皮膚温度に基づいて、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域が決定される。そして、その快適皮膚温度域に基づいて空気調和機の制御が行われるため、ユーザーの空気調和に関する満足度合いが向上する。
【0007】
なお、制御部は、決定部が決定した快適皮膚温度域に加えて、さらに現在のユーザーの皮膚温度に基づいて空気調和機の制御を行うことが好ましい。
【0008】
また、空気調和制御装置は、ユーザーが居る空間の空気の温度及び/又は湿度を計測する計測部を、更に備えていることが好ましい。この場合、制御部は、さらに計測部の計測値に基づいて、空気調和機の制御を行うことが好ましい。
【0009】
また、好ましくは、皮膚温度測定部は、ユーザーから放射される赤外線を分析する赤外線サーモグラフィーを有する。
【0010】
また、好ましくは、皮膚温度測定部は、少なくとも5分間に1回、前記ユーザーの皮膚温度を測定する。この場合、制御部は、決定部が決定した快適皮膚温度域、現在のユーザーの皮膚温度、及び、ユーザーの皮膚温度の変化率に基づいて、ユーザーの現在の熱感覚を予測し、その予測したユーザーの現在の熱感覚に基づいて空気調和機の制御を行うことが好ましい。決定部は、ユーザーの熱感覚情報が発生したときに、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を更新することが好ましい。
【0011】
また、好ましくは、決定部は、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域の下限を、31℃~33℃の範囲から選択し、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域の上限を、33℃~35℃の範囲から選択する。
【0012】
また、好ましくは、決定部は、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域の初期値を有しており、初期値を季節あるいは時期に応じて変える。
【0013】
また、複数のユーザーが存在する場合に、制御部は、複数のユーザーの快適皮膚温度域に基づく空気調和機の制御を、複数のユーザーの快適感の総和が高くなるように、又は、複数のユーザーのうち快適感が最も低いユーザーの快適感が上がるように、又は、複数のユーザーそれぞれに設定されている優先順位にしたがって、実行することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】空気調和制御装置の構成を示す概略ブロック図。
【
図2】ユーザーが快適だと感じる快適皮膚温度域の決定・更新のフロー。
【
図4】ファジー論理を用いた室温設定値の決定方法を示す表。
【
図5】赤外線サーモグラフィーが撮ったユーザーの皮膚温度を含む画像。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)空気調和制御装置の構成
図1に、ユーザーが居る部屋(空間)200の冷房、暖房、換気などを行う空気調和機210の制御装置である、空気調和制御装置100を示す。空気調和制御装置100は、制御部150と、皮膚温度測定部110と、情報取得部120と、決定部140と、計測部130とを備えている。
【0016】
皮膚温度測定部110は、ユーザーから放射される赤外線を分析する赤外線サーモグラフィー112を有する。赤外線サーモグラフィー112を用いれば、
図5に示すような画像が得られる。この画像から、皮膚温度測定部110は、ユーザーの皮膚温度を測定する。
【0017】
情報取得部120は、ユーザーの熱感覚情報を取得する。情報取得部120は、例えば、タッチパネル機能付きのディスプレイ(マンマシン相互装置)やキーボードなどの入力機器であって、ユーザーが入力した熱感覚情報を、有線あるいは無線でコンピュータ220に伝える。情報取得部120としてタッチパネル機能付きのディスプレイを採用する場合には、その機器にアプリケーションをインストールさせ、ソフトウェアによってユーザーによる入力を支援することが好ましい。また、情報取得部120として、機械式の複数の入力ボタンを採用し、暑い、寒いといった熱感覚情報をユーザーに手入力させるようにすれば、入力機器の費用を抑制することも可能である。
【0018】
なお、ここでは、情報取得部120としてタッチパネル機能付きのディスプレイを採用しており、それが、ユーザーによる部屋の温度の目標値や湿度の目標値を入力する機器を兼ねている。
【0019】
決定部140および制御部150は、コンピュータ220が実行するプログラムにより機能する機能部である。決定部140は、熱感覚情報の発生時点の皮膚温度、すなわち、ここではユーザーによる熱感覚情報の入力時点におけるユーザーの皮膚温度に基づいて、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定する。また、制御部150は、決定部140が決定した快適皮膚温度域に基づいて、空気調和機210の制御を行う。
【0020】
コンピュータ220は、CPU、メモリ、プログラムを収納した記憶装置、などから成り、空調制御のためのプログラムが実行されることで、制御部150として機能したり、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定するためのプログラムが実行されることで、決定部140として機能したりする。コンピュータ220で実行されるプログラムは、多数のロジック機能や、プロセス執行指令を実現するプログラムコードのモジュールを含む。
【0021】
計測部130は、ユーザーが居る部屋200の空気の温度、湿度、二酸化炭素(CO2)濃度などを計測する。具体的には、温度センサーや湿度センサーなど、複数のセンサーが計測部130を構成している。
【0022】
計測部130の計測値は、制御部150による空気調和機210の制御において使用される。詳しくは後述する。
【0023】
(2)決定部が行う、ユーザーが快適だと感じる快適皮膚温度域の決定・更新
図2に、決定部140の動作、すなわち、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域の決定、更新に関するフローを示す。
【0024】
決定部140は、入力機器である情報取得部120からユーザーの熱感覚情報、例えば暑いとか寒いといった入力情報が送られてきていないか、常に監視している(ステップS31)。そして、ステップS31において、ユーザーの熱感覚情報が発生していない、すなわち入力がないと判断した場合、決定部140は、そのまま待機する。ステップS31で決定部140がユーザーの熱感覚情報が発生したと判断すると、ステップS32に移行し、ユーザーの皮膚温度を測定あるいは取得する。このユーザーの皮膚温度は、ユーザーの熱感覚情報が発生する(入力される)少し前に測定したものを採用してもよいし、発生後すぐに測定したものを用いてもよい。
【0025】
なお、皮膚温度測定部110は、少なくとも5分間に1回、ここでは1分に1回、ユーザーの皮膚温度を測定している。
【0026】
決定部140は、ステップS33において、機械学習モデルにおけるアルゴリズムの1つであるオンライン学習法によって、ユーザーの熱感覚と、ユーザーの皮膚温度とを使用して、ユーザーが快適だと感じる快適皮膚温度域を決定する。また、既に快適皮膚温度域が存在する場合、その決定した快適皮膚温度域を、それまでの古い快適皮膚温度域のデータと入れ替える(更新する)。
【0027】
オンライン学習法により、具体的には、決定部140は、暑いと感じていることをユーザーが入力すると、快適皮膚温度の上限値を、ユーザーが入力した時点におけるユーザーの皮膚温度に置き換える。一方、寒いと感じていることをユーザーが入力すると、決定部140は、快適皮膚温度の下限値を、ユーザーが入力した時点におけるユーザーの皮膚温度に置き換える。
【0028】
なお、多数の人間の熱感覚に関する調査結果に基づき、ここでは、決定部140が、快適皮膚温度域の下限(快適皮膚温度の下限値)を、31℃~33℃の範囲から選択している。また、決定部140は、快適皮膚温度域の上限(快適皮膚温度の上限値)を、33℃~35℃の範囲から選択している。
【0029】
(3)制御部が行う、空調制御
上述のように、空調制御は、制御部150により実行される。制御部150は、決定部140が決定した快適皮膚温度域に基づいて、空調制御を行う。また、制御部150は、この快適皮膚温度域に加え、現在のユーザーの皮膚温度と、ユーザーの皮膚温度の変化率とに基づいて、ユーザーの現在の熱感覚を予測し、その予測したユーザーの現在の熱感覚に基づいて空気制御を行う。
【0030】
図3は、制御部150による空調制御のフローを示している。まず、ステップS41では、快適皮膚温度域が変化したか否かが判断される。快適皮膚温度域が変わっていれば、その快適皮膚温度域を制御部150が読み込み(ステップS42)、変わっていなければステップS43に移行する。ステップS43では、計測部130によって、部屋200の空気の温度、湿度、CO2の濃度の測定値が読み込まれる。そして、制御部150は、ステップS44において、ファジー論理(ロジック)によって、部屋の温度、湿度、CO2濃度、それぞれの目標値を決定し、PID制御を使って空気調和機210を制御する。以下、一例として、部屋の温度の目標値の決定方法について詳述する。
【0031】
図4は、ユーザーの現在の皮膚温度によるユーザーの熱感覚の予測と、それに基づく室温設定値(部屋の温度の目標値)の調整ロジックを示す表である。制御部150は、上述のようにして決定部140が求めた快適皮膚温度の上限値および下限値を用いて各係数を演算し、さらに現在のユーザーの皮膚温度(t skin)を使って、ユーザーの皮膚温度の変化率(dt/dτ)を求める。そして、その皮膚温度の変化率と、現在のユーザーの皮膚温度と快適皮膚温度(快適皮膚温度の上限値と下限値との和を2で除した値)との差と、に応じて、制御部150は室温設定値を調整する。そして、制御部150は、室温設定値と、現在の部屋の温度(室温)とに基づき、室温が室温設定値に近づくように、空気調和機210の圧縮機の出力を増減する等の空調制御を行う。
【0032】
(4)空気調和制御装置の特徴
上述の、空気調和制御装置100によれば、暑い、寒いといったユーザーの熱感覚情報を情報取得部120が取得し、その情報の発生時点におけるユーザーの皮膚温度に基づいて、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域が決定される。そして、その快適皮膚温度域に基づく空気調和機210の制御が制御部150によって行われるため、ユーザーの空気調和に関する満足度合いが向上する。
【0033】
(5)空気調和制御装置の変形例
以上、空気調和制御装置の一例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0034】
例えば、決定部140は、ユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域の初期値を、季節あるいは時期に応じて変えてもよい。季節に関しては、夏期には、初期値を31.5℃~33.5℃にセットし、冬期には、初期値を32.5℃~34.5℃にセットすることが考えられる。時期に関しては、雨の多い時期には、初期値を低めにセットし、乾期には、初期値を高めにセットすることが考えられる。
【0035】
また、上記実施形態では、情報取得部120として、ユーザーに手動入力を行わせるタッチパネル機能付きのディスプレイを採用しているが、これに代えて、ユーザーの汗、心拍、発声、などを測定してユーザーの熱感覚情報を取得する機器を採用することも可能である。この場合には、ユーザーが手入力を行う手間が省かれる。
【0036】
また、上記実施形態では、計測部130が温度、湿度、CO2濃度を測定し、それぞれの環境パラメータが目標値に近づくように空調制御を行っているが、温度だけを測定し、目標温度値だけを調整する空調制御を行う装置であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、1分に1回、皮膚温度測定部110がユーザーの皮膚温度を測定しているが、赤外線サーモグラフィー112によってリアルタイムに測定を行うと、より精密な空調制御が可能となる。
【0038】
また、上記実施形態では、
図2や
図3に示すフローを一例として説明したが、コンピュータ220が実行するプログラムは、各ロジック機能やプログラムコードのモジュールが反対の順序で実施されたり、同時並行で実施されたりしてもよい。このことは、本技術領域の技術者によって理解される。
【0039】
また、上記実施形態では、空気調和制御装置100の主要部分が、ハードウェア、ソフトウェア、ユニット又はそれらの組合せにより実現されている。すなわち、多数のプロセス又は方法が、記憶装置に記憶され適切な指令執行システムのソフトウェア又はユニットによって実現されている。しかし、これに代えて、例えば、データ信号によりロジック機能を実現するロジックゲート回路、離散ロジック回路、ロジックゲートの専用集成回路、プログラマブルゲートアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、等を採用することも可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、冷房や暖房の対象である部屋に1人のユーザーが存在する場合について説明したが、部屋に複数のユーザーが存在する場合にも1又は複数のユーザーの空気調和に関する満足度合いを向上させることが可能である。それぞれのユーザーが快適であると感じる快適皮膚温度域を決定した後、空気調和制御装置は、それらの快適皮膚温度域に基づいて、例えば、ユーザーの快適感を点数化して(点数が高いほど快適感が高いことを表す)、部屋に居るユーザーの点数の総和が最も高くなるように空気調和機の制御を行うことができる。それ以外にも、部屋に居るユーザーのうち最も点数の低い(快適感が最も低い)ユーザーの快適感が上がるように空調制御を行ったり、予め設定された各ユーザーの優先順位に基づいて優先順位の高いユーザーの快適感が上がるように空調制御を行ったりすることができる。
【符号の説明】
【0041】
100 空気調和制御装置
110 皮膚温度測定部
112 赤外線サーモグラフィー
120 情報取得部
130 計測部
140 決定部
150 制御部
200 部屋
210 空気調和機
220 コンピュータ