(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166631
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】発券システム
(51)【国際特許分類】
G07B 1/00 20060101AFI20231115BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
G07B1/00 A
G07B1/00 E
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151439
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】520349218
【氏名又は名称】高橋 昌央
(71)【出願人】
【識別番号】520349229
【氏名又は名称】塚本 忠男
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌央
【テーマコード(参考)】
3E026
5L049
【Fターム(参考)】
3E026AA10
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】搭乗券や入場券等のチケットに,利用客の体調や病歴等の情報を格納した図形コードを印刷して発券する発券システムを提供する。
【解決手段】本発明の発券システム1は,利用客にチケットを自動で発券する自動発券装置100を有する発券システム1であって,前記自動発券装置100が,利用客の現在の体調又は病歴に関する情報を含む利用客情報Aを取得する利用客情報取得手段160と,取得された前記利用客情報Aが格納された図形コードを生成する図形コード生成手段121と,前記図形コードをチケットに印刷する印刷手段170と,前記印刷手段170により印刷されたチケットを発券するチケット発券手段180と,を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客にチケットを自動で発券する自動発券装置を有する発券システムであって,
前記自動発券装置が,
利用客の現在の体調又は病歴に関する情報を含む利用客情報を取得する利用客情報取得手段と,
取得された前記利用客情報が格納された図形コードを生成する図形コード生成手段と,
前記図形コードをチケットに印刷する印刷手段と,
前記印刷手段により印刷されたチケットを発券するチケット発券手段と,を備えたことを特徴とする発券システム。
【請求項2】
前記利用客情報取得手段が,利用客の体温データを取得する体温測定機能を有することを特徴とする請求項1記載の発券システム。
【請求項3】
前記利用客情報取得手段が,前記利用客に対する質問の回答を取得する質問機能を有することを特徴とする請求項1又は2記載の発券システム。
【請求項4】
前記自動発券装置が,利用客のID情報を取得するID情報取得手段を備え,取得された前記利用客のID情報が前記図形コードに含まれていることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の発券システム。
【請求項5】
前記図形コードが,2次元コードであることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の発券システム。
【請求項6】
前記自動発券装置が,前記利用客情報に異常があるか否かを判断し,異常の有無に基づいてチケット発券の可否を判定する判定手段を有することを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の発券システム。
【請求項7】
前記自動発券装置が,現在の日時を計測する時計手段と,前記利用客情報が取得された日時を前記時計手段から取得する日時取得手段を備え,前記利用客情報が取得された日時の情報が前記図形コードに含まれていることを特徴とする請求項1~6いずれか1項記載の発券システム。
【請求項8】
前記チケットが,航空機の搭乗券であることを特徴とする請求項1~7いずれか1項記載の発券システム。
【請求項9】
前記図形コード生成手段が,前記利用客情報を渡航先の現地語に変換する機能を有し,前記現地語に変換された前記利用客情報が格納された図形コードを生成することを特徴とする請求項8記載の発券システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,航空機の搭乗券等のチケットに,利用客の検温結果や病歴等の情報を格納した図形コードを印刷して発券する発券システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や重症急性呼吸器症候群(SARS)等に代表される新規感染症が発生した場合,発生後暫くは有効なワクチン(抗ウイルス薬)がないことから,新規感染症の感染拡大を防ぐためには,例えば,感染者の早期検出,感染者の移動の制限等の措置を取る必要がある。また,感染者の感染経路を把握することが,感染拡大を防止する一助となることが知られている。
【0003】
なお,以下に挙げるような,感染拡大を防止するためのシステムが発明されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には,感染症に感染した旅行者に関する情報を適切に管理できる感染情報管理システムであって,より詳しくは,旅行者の旅行スケジュールに関する情報を取得する旅行情報取得手段と,当該旅行者から採取した検体に基づく感染症検査の検査結果を,当該旅行者と対応付けて取得する検査結果取得手段と,前記検査結果取得手段により取得された当該検査結果に関する所定の情報の現在の通知先を,前記旅行情報取得手段により取得された当該旅行者の前記旅行スケジュールに関する情報に基づいて判断する通知先判断手段と,を備えることを特徴とする感染者情報管理システムに係る発明が開示されている。なお,前記感染症検査は空港内で行うことが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に見られるように,新規感染症が世界規模で発生している状況下で,例えば,航空機を利用して海外へ渡航する者がいる場合,該渡航者が,第1国(出発国)を出発する際に感染症の症状が発症していることが分かれば,感染拡大を防ぐためにも渡航を許可しない措置が取れる。
【0007】
しかし,前記渡航者が,第1国を出発する前には発症していなかったが,渡航先の第2国(到着国)で感染して発症したり,第1国で感染していたがウイルスの潜伏期間により第2国で発症することがある。
【0008】
この場合,前記渡航者は,第2国内の病院や検査機関等にて検査や問診を受けることになる。そこでは,感染経路を特定するために,第1国にて既に症状が発生していたか否かを含めた質問が前記渡航者になされるが,前記渡航者が例えば現地語に不慣れである場合,受け答えが難しくなることが予想される。このように,外国からの渡航者の場合,意思疎通がうまくいかないことで,感染経路の特定が困難となる恐れがある。
【0009】
そこで,上述の特許文献1に記載のシステムを利用して前記渡航者がいる病院や検査機関に,前もって,感染症検査の検査結果が通知されていると,前記渡航者は第1国を出発する時点において感染していなかったことの説明を省略でき,好ましい。
【0010】
しかしながら,渡航者の旅行スケジュールから判断された通知先の病院や検査機関に,前記渡航者が実際に掛かることになるとは限らない。そもそも,旅行スケジュールから渡航者が実際に掛かることになる病院や検査機関を判断することは難しい。
【0011】
また,仮に,通知先の病院等に掛かることになったとしても,前記渡航者の検査結果の情報を検索する作業,検索後に当該情報が本人のものであるか照合するための作業や,該照合作業のための渡航者とのやり取り等の手間が生じる問題がある。
【0012】
そこで,第1国を出発する際の前記渡航者の体調等を証明するものが手元にあれば,第1国では症状が発症していなかったことの説明が簡単となり,好ましい場合がある。
【0013】
また,上述したような海外に渡航する場合以外であっても,ある時点における体調を証明するものであって携帯できるものがあると,症状が発生した場合に,いつ症状が発症したかの判断等に役立つ場合が多々あるものと考えられる。
【0014】
また,新規感染症発生の場合に限らず,個人の病歴を把握できるものが手元にあると,渡航先等において,便利である場合があるものと考えられる。
【0015】
なお,特許文献1に記載のシステムは,利用客全員に検体を採取して行う感染症検査を実施するが,このような感染症検査は対面で行う必要があるため感染のリスクがあり,また,利用者全員に対する感染症検査は時間や費用を要する問題がある。なお,感染症検査をする前に症状が発症しているか否かを把握できれば,検査までする必要がない場合がある。
【0016】
以上の問題点に鑑み,本発明は,チケットに,利用客の体調や病歴等の情報を格納した図形コードを印刷して発券する発券システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために記載したものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0018】
本発明は,叙上の課題を解決するために開発されたもので,本発明の発券システム1は,
利用客にチケットを自動で発券する自動発券装置100を有する発券システム1であって,
前記自動発券装置100が,
利用客の現在の体調又は病歴に関する情報を含む利用客情報Aを取得する利用客情報取得手段160と,
取得された前記利用客情報Aが格納された図形コード(例えば,1次元バーコード,2次元コード,カラーコード,3次元コード,その他の多次元コード等)を生成する図形コード生成手段121と,
前記図形コードをチケットに印刷する印刷手段170と,
前記印刷手段170により印刷されたチケットを発券するチケット発券手段180と,を備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0019】
なお,前記利用客情報取得手段160が,利用客の体温データを取得する体温測定機能を有すると好適である(請求項2)。また,前記利用客情報取得手段160が,前記利用客に対する質問の回答を取得する質問機能を有するものであってもよい(請求項3)。
【0020】
また,前記自動発券装置100が,利用客のID情報Bを取得するID情報取得手段140を備え,取得された前記利用客のID情報Bが前記図形コードに含まれていると好適である(請求項4)。
【0021】
なお,前記図形コードが,2次元コードであることが好ましい(請求項5)。
【0022】
前記自動発券装置100が,前記利用客情報Aに異常があるか否かを判断し,異常の有無に基づいてチケット発券の可否を判定する判定手段122を有するものであっても良い(請求項6)。
【0023】
また,前記自動発券装置100が,現在の日時を計測する時計手段123と,前記利用客情報Aが取得された日時を前記時計手段123から取得する日時取得手段124を備え,前記利用客情報Aが取得された日時の情報が前記図形コードに含まれていると好適である(請求項7)。
【0024】
前記チケットが,航空機の搭乗券であっても良い(請求項8)。
【0025】
なお,前記チケットが前記搭乗券である場合,前記図形コード生成手段121が,前記利用客情報Aを渡航先の現地語に変換する機能を有し,前記現地語に変換された前記利用客情報Aが格納された図形コードを生成することが好ましい(請求項9)。
【発明の効果】
【0026】
本発明の発券システム1は,自動発券装置100を用いることにより非対面でチケットを発券できる。
【0027】
また,本発明の発券システム1で発券されたチケットが,発券時の利用客の体調や病歴(利用客情報A)の証明となる。
【0028】
前記利用客情報Aは,コード化されているので,スキャンで読み取られるまでプライバシーの保護が図れる。
【0029】
また,本発明の発券システム1は,感染症検査まではしないので,発券に時間や費用がかからない。
【0030】
また,本発明の発券システム1は,判定手段122を設け,利用客情報Aに異常がある者(例えば,感染の疑いがある者と推定できる。)にはチケットを発券させないことで,感染の拡大を未然に防止することが可能となる。
【0031】
また,前記利用客情報Aの取得日時が,前記図形コードに含まれていると,利用客にとって,前記利用客情報Aがいつ取得されたものなのかの説明や証明の手間を省略でき好ましい。
【0032】
また,本発明の発券システムで発券されるチケットが搭乗券の場合,サイズもそれ程大きくないため,渡航先にて貴重品であるパスポートと共に携帯することができる。また,前記利用客情報Aが渡航先の現地語に変換されて前記図形コードに格納されていると,渡航先において利便性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例1の発券システム1で使用される,搭乗券を発券する自動発券装置100の概略構成を示すブロック図。
【
図3】実施例1の自動発券装置100の画面表示を示す説明図。
【
図4】実施例1の発券システム1における動作を示す説明図。
【
図5】実施例1の変形例の制御手段120の内部構成図。
【
図6】実施例2の自動発券装置100の画面表示を示す説明図。
【
図7】利用客の病歴について質問する際の自動発券装置100の画面表示を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の発券システム1は,非対面で行えるように自動発券装置100を用いるものであって,チケットを発券する際に,利用客の現在の体調又は病歴に関する情報を含む利用客情報を取得し,該利用客情報が格納された図形コードをチケットに印刷して発券するものである。
【0035】
本発明の発券システム1にて発券できるチケットは,例えば,遊園地,水族館,美術館,映画館,スタジアム等の入場券や,空港で発券される搭乗券等にも応用でき,特に限定されるものではない。なお,前記チケットは,単に,紙片に前記図形コードが印刷されたものであっても良い。
【0036】
本発明の発券システム1に用いられる前記自動発券装置100は,少なくとも,利用客情報取得手段160と,図形コード生成手段121と,印刷手段170と,発券手段180と,を備えたものである。
【0037】
前記利用客情報取得手段160は,利用客の現在の体調又は病歴に関する情報を含む利用客情報Aを取得する機能を有するものである。なお,前記体調に関する情報については,例えば,後述するように,利用客の体温データであっても良い。
【0038】
また,前記利用客情報取得手段160は,利用客情報Aを取得する機能として,例えば,後述するように,利用客の体温を測定し体温データを取得する体温測定機能を有するものであってもよく,この他,予め用意した病歴等に関する質問に利用客がYes/Noで回答するか,直接テキストで入力することで前記利用客情報Aを取得する質問機能を有するものであっても良い。なお,前記利用客情報取得手段160は,前記体温測定機能と前記質問機能の両方を有するものであっても良い。
【0039】
次に,前記図形コード生成手段121は,取得した利用客情報を図形パターンで表した,例えば,1次元バーコード,2次元コードや,カラーバーコード(その他のカラーコードを含む。),PMコードに代表される3次元コードや,その他の多次元コード等の図形コードを生成する機能を有するものである。なお,図形コードは,特に限定されるものではないが,多くの文字情報を格納できる2次元コードであることが好ましい。また,2次元コードとしては,例えば,QRコード(登録商標),PDF417,AztecCode等が挙げられるが,これらに限定されるものではない。
【0040】
なお,前記図形コードには,前記利用客情報Aに加え,後述するID情報取得手段140で取得した氏名等の利用客のID情報(識別情報)Bを含ませて紐付け(対応付け)できるようにしても良い。
【0041】
また,前記印刷手段170は,前記図形コード生成手段121で生成された図形コードや,その他必要事項をチケットに印刷する機能を有する。前記必要事項は,発券するチケットにより異なるものである。なお,チケットに利用客の氏名等の前記利用客のID情報Bを文字印刷して,紐付けるものであっても良い。
【0042】
そして,前記発券手段180は,前記印刷手段170により図形コード等が印刷されたチケットを発券する機能を有するものである。
【0043】
以下,本発明の実施例を挙げながら,本発明の発券システム1について説明する。
【実施例0044】
本実施例では,空港内でチェックイン時に発券される搭乗券に係る発券システム1について説明する。
【0045】
(自動発券装置100)
図1は,本実施例の発券システム1で使用される,搭乗券を発券する自動発券装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
自動発券装置100は,
図1に示すように,表示手段110と,制御手段120と,記憶手段130と,ID情報取得手段140と,コード読取手段150と,利用客情報取得手段160と,印刷手段170と,発券手段180とを備えて構成されている。また,本実施例では,
図2に示すように,制御手段120に,図形コード生成手段121と判定手段122が組み込まれている。
【0047】
表示手段110は,自動発券装置100を利用する利用客に対して種々の情報を表示する機能を有する。なお,表示手段110は,本実施例のように,画面に指などを触れることで情報の入力が行えるタッチパネル式を採用することが好ましい。
【0048】
制御手段120は,自動発券装置100の各構成要素の制御を行う機能を有する。
【0049】
前記図形コード生成手段121は,後述する利用客情報取得手段160により取得した利用客情報A(本実施例では体温データ。)と,ID情報取得手段140から取得された利用客のID情報B(本実施例では,利用客の氏名,パスポート番号及び顔写真データ)とが格納された2次元コードを生成するものである。
【0050】
なお,図形コード生成手段121は,図形コードを生成する際,図形コードに格納される利用客情報A等を英語や渡航先の現地語に変換し,変換後のデータをコード化する機能を有するものであっても良い。
【0051】
また,判定手段122は,前記取得した利用客情報Aに異常があるか否かを判断し,発券可否を判定する機能を有する。本実施例では,後述するように,利用客情報取得手段160により取得した利用客の体温データが,予め設定された基準温度(本実施例では,37.5℃)以上か否かを確認し,体温データが基準温度以上である場合,利用客情報Aに異常があると判断し,発券不可と判定し,基準温度未満の場合,利用客情報Aは異常がないと判断し,発券可と判定する。なお,前記基準温度は適宜変えられる。
【0052】
記憶手段130は,各種情報を記憶・保持する機能を有する。記憶手段130に保持される情報には,搭乗券を発券するために用いられる情報として,初期設定で組み込まれる情報の他,自動発券装置100と利用客との間でやりとりされる情報や,自動発券装置100と後述するサーバ200との間でやりとりされる情報が含まれる。
【0053】
ID情報取得手段140は,氏名等の利用客のID情報Bを取得するものであり,本実施例においては,パスポートから前記利用客のID情報Bが含まれたパスポート情報を読み取る機能を備え,さらに,これをもとにパスポートの真贋をチェックする機能を有する。なお,前記パスポート情報としては,例えばパスポート番号,氏名,パスポートの有効期限などがある。
【0054】
また,前記パスポート情報は,パスポートに貼着された磁気テープやICチップなどから読み取られるものであっても良く,また,パスポートに印刷された文字,又はこれらをコード化した数字,記号,バーコード等を読み取るものであっても構わない。さらに,ID情報取得手段140は,パスポートに貼着された顔写真から顔写真データを前記利用客のID情報Bとして取得しても構わない(パスポートに貼着された磁気テープやICチップから顔データを読み取っても構わない)。
【0055】
なお,上述のとおり,本実施例におけるID情報取得手段140は,パスポートを読み取って利用客のID情報Bを取得しているが,これに限定されず,例えば,タッチパネル式の前記表示手段110にID情報入力画面を表示して,利用客のID情報Bをタッチパネルから直接入力させるものであってもよい。また,パスポート情報や顔写真データ等の個人情報が記録された磁気カードやICカードなどから取得するようにしてもよい。
【0056】
コード読取手段150は,2次元コード等のコードで表現された搭乗予約内容を読み取る機能を有する。例えば,eチケットの控えとして携帯端末の画面や紙媒体に表示された2次元コードをコード読取手段150で読み取ることで,搭乗予約内容を取り込むことができる。なお,搭乗予約内容の入力は,これに限定されるものではなく,予約内容入力画面を表示してタッチパネルから入力する等でも構わない。
【0057】
また,コード読取手段150が読み取った搭乗予約内容をもとに,制御手段120は,サーバ200に対し,搭乗券発券の可否情報及び搭乗券情報Cの取得依頼を行う。そして,制御手段120は,サーバ200から,発券可否情報及び搭乗券情報C(氏名,性別,搭乗日,便名,座席番号,クラス,出発地,到着地,搭乗時刻,eチケット番号等が含まれる。)を併せて取得する。
【0058】
なお,搭乗券の他,手荷物引換券を発行する場合は,前記制御手段120は,前記サーバ200から手荷物引換券情報を併せて取得するようにしても良い。前記手荷物引換券情報には,荷物の有無,受取用コード,搭乗日,氏名,便名などの情報が含まれる。
【0059】
本実施例の利用客情報取得手段160は,利用客情報Aとして利用客の現在の体調に関する情報,本実施例では,利用客の体温データを取得する体温測定機能を有する。
【0060】
具体的には,本実施例の利用客情報取得手段160は,利用客の体温を測定するために,利用客の皮膚の赤外線放射量を赤外線センサーで測定することにより体温を測ることが可能な非接触型体温計を採用し,前記センサーが自動発券装置100のタッチパネル付近に備え付けられている。
【0061】
印刷手段170は,取得した情報に基づき搭乗券に印刷する機能を有し,搭乗券には,前記搭乗券情報Cの文字表記に加え,前記図形コード生成手段121により生成された2次元コード(利用客情報Aと利用客のID情報Bを含む。)が印刷される。
【0062】
発券手段180は,前記印刷手段170により前記2次元コードを含む所定の情報が印刷された搭乗券を発券する機能を有する。
【0063】
(サーバ200)
サーバ200は,搭乗予約に関する情報および搭乗に関する情報が蓄積されたデータベースを備える。サーバ200のデータベースには,参照コードをキーに,便名・行き先・座席番号・クラス番号等からなる搭乗情報と,これに対応する利用客の氏名や性別等からなる利用客の識別情報とが格納されている。サーバ200は,上述の通り,自動発券装置100の制御手段120から搭乗券発券の可否情報及び搭乗券情報Cの取得の依頼を受けて,予約の有無及び既に発券されているか否かを確認した上で,発券可否情報及び搭乗券情報Cを送信する。なお,搭乗券の他,前記手荷物引換券を発行する場合は,手荷物引換券情報を併せて送信する。
【0064】
次いで,本実施例の発券システム1の動作について説明する。
【0065】
図3は,搭乗券発券時における自動発券装置100の画面表示の一例を示す説明図である。また,
図4は,搭乗券発券時の動作の一例を示す説明図である。
【0066】
まず,自動発券装置100の表示手段(タッチパネル)110には,
図3(a)に示すように,『チェックインをご希望のお客様は「チェックイン」を押してください』などと表示され,利用客が画面上の「チェックイン」ボタンに触れることで,搭乗券発券動作が始まる。
【0067】
そして,自動発券装置100の表示手段110に,搭乗予約券としてeチケット(携帯端末や紙媒体)に表示された2次元コードの読み取り操作を促す表示がなされる(ステップS1)。具体的には,
図3(b)に示すように,例えば,『搭乗予約券の2次元コードを読取口へかざしてください』などと表示され,搭乗予約券の2次元コードをかざすべき読取口(コード読取手段150)が表示される。
【0068】
利用客は,
図3(b)の画面に従い,搭乗予約券の2次元コードの読み取り操作を行う(ステップS2)。そして,コード読取手段150により2次元コードの読み取りが行われ(ステップS3),読み込まれた前記搭乗予約内容のデータは,制御手段120に送られる(ステップS4)。
【0069】
そして,制御手段120は,サーバ200に対し,搭乗券発券の可否情報及び搭乗券情報Cの取得の依頼を行う(ステップS5)。この際,前記搭乗券情報Cのキーとなる参照コードを送信し,送られた参照コードを基にサーバ200は,搭乗券情報Cの検出,予約の有無及び既に発券されているか否かの有無等を確認する。
【0070】
そして,制御手段120は,サーバ200から発券可否情報(OK/NG)と共に,搭乗券情報Cが送信される(ステップS6)。なお,サーバ200は,前記搭乗券情報Cの送信により,発券有無情報を更新する。
【0071】
制御手段120は,サーバ200から取得した発券可否情報に基づき,発券可否を判断する(ステップS7)。発券不可(NG)と判断した場合には,表示手段110に有人カウンタへの誘導表示(図示せず。)を行い,利用客を有人カウンタへ誘導する(ステップS8)。一方,発券可(OK)と判断した場合には,利用客に前記搭乗券情報Cを確認させるために,
図3(c)に示すように,表示手段110には『予約情報を確認後,「確認」を押してください』などと表示するとともに,搭乗券情報Cを表示する(ステップS9)。利用客は,
図3(c)の画面に従い,搭乗券情報C(
図3(c)中の予約情報)を確認し,正しいと判断した場合に確認ボタンを押下する操作を行う(ステップS10)。
【0072】
次いで,制御手段120は,パスポートの読み取り操作を促す画面の表示指示を表示手段110に出す(ステップS11)。表示手段110には,パスポートの読み取りを誘導する表示がなされる(ステップS12)。具体的には,
図3(d)に示すように,『パスポートを読取口に置いてください。』などと表示され,パスポートを置く場所が表示される。
【0073】
利用客は,
図3(d)の画面に従い,パスポートを読取口(ID情報取得手段140)に置いて読み取り操作をする(ステップS13)。ID情報取得手段140により,パスポートからは,パスポート番号,氏名,有効期限などのパスポート情報の読み取りを行う(ステップS14)。また,本実施例においては,利用客のID情報Bに顔写真データを含ませるため,画像取得機能によりパスポートの顔写真から顔写真データを同時に読み取る。
【0074】
次に,ID情報取得手段140は,読み取ったパスポート情報のチェックを行う(ステップS15)。この際,パスポート情報のチェックは,有効期限等から有効性を確認し,また,読み取ったパスポート情報や顔写真データは,制御手段120により登録される(ステップS16)。
【0075】
次いで,制御手段120は,前記利用客情報Aとしての体温データの取得誘導画面の表示指示を表示手段110に出す(ステップS17)。表示手段110には,体温データを取得する操作を促す表示,具体的には,
図3(e)に示したように,『体温を測定します。「測定」ボタンを押して,センサーに顔を向けてください。測定終了を知らせる測定完了音が「ピー」と鳴り終わったら,画面に測定値が表示されます。』等と表示される(ステップS18)。そして,利用客が画面上の「測定」ボタンに触れることで,利用客情報取得手段160が動作し,体温の測定が始まる(ステップ19)と共に,
図3(f)に示したように『体温を測定しております。センサーに顔を向けてください。』などと表示される。利用客情報取得手段160により,体温データを取得する(ステップS20)と,取得された体温データは,制御手段120に送られる(ステップS21)。
【0076】
そして,制御手段120に組み込まれている判定手段122は,取得された利用客の体温データが,基準温度(本実施例では,37.5℃)以上であれば発券不可と判定し,基準温度未満であれば発券可と判定する(ステップS22)。発券不可と判定した場合,表示手段110により,例えば,より正確な感染症検査が可能な特設の検査室への誘導表示(図示せず。)を行い,利用客を該検査室へ誘導する(ステップS23)。一方,発券可と判定した場合には,制御手段120に組み込まれている図形コード生成手段121により,前記利用客情報A(体温データ)と,前記利用客のID情報B(利用客の氏名,パスポート番号及び顔写真データ)とが格納された2次元コードを生成する(ステップS24)。
【0077】
次に,制御手段120は,印刷手段170と発券手段180に対し,搭乗券発券指示を出す(ステップS25)。そして,印刷手段170と発券手段180により,前記搭乗券情報Cの文字表記に加え,前記図形コード生成手段121が生成した2次元コードが印刷された搭乗券を発券する(ステップS26)。
【0078】
なお,搭乗券の他,手荷物引換券を発行する場合は,制御手段120は,印刷手段170に対し,手荷物引換券の印刷指示を出し,さらに,発券手段180に手荷物引換券を発券させることができる。
【0079】
また,制御手段120は,前記搭乗券の発券指示を出した後,搭乗券受け取りに関する表示指示を表示手段110に出す(ステップS27)。そして,表示手段110には,
図3(g)に示すように,『搭乗券をお受け取りください。』等と表示される(ステップS28)。
【0080】
利用客は,
図3(g)の指示に従い,搭乗券(及び手荷物引換券)を受け取る。
【0081】
この際,表示手段110に搭乗券に関する情報が表示されるものとしても良い(図示せず。)。また,表示手段110に,例えば,前記体温データを搭乗券にコード化して印刷した旨,発券された搭乗券が搭乗券発券時の利用客の体温データを証明するものとなる旨及び,手続完了の旨等が同時に表示されても良い(図示せず)。
【0082】
以上で述べた一連のステップを経て,本実施例の発券システム1より,搭乗券が発券される。
【0083】
なお,
図5に示すように,本実施例の制御手段120に,現在の日時を計測する時計手段123と,前記利用客情報Aが取得された日時を前記時計手段123から取得する日時取得手段124を組み込ませても良い。この場合,前記ステップS21にて,利用客情報取得手段160により取得された利用客情報Aが制御手段120に送られる日時を前記日時取得手段124が前記時計手段123から取得でき,これにより,前記利用客情報Aが取得された日時の情報を含む前記2次元コードを前記図形コード生成手段121より生成することができる。
【0084】
また,本実施例では,自動発券装置100に判定手段122を有するが,自動発券装置100が前記判定手段122を有さない場合は,例えば,搭乗や保安検査の際に利用客が通るゲート装置に,搭乗券に印刷された図形コードを読み取ることで前記利用客情報A(ここでは,本実施例と同様,体温データとする。)を取りこむ機能を有する図形コード読取手段と,取り込まれた利用客情報Aに異常があるか否か(ここでは,体温データが前記基準温度以上か否か)を判断し,ゲートの通過可否を判定する機能を有する通過可否判定手段と,判定結果に基づいてゲートを開閉するゲート開閉手段とを設け,ゲート通過時に,搭乗券のチェックとともに前記図形コードを読み取り,利用客の体温データが基準温度以上の場合にはゲートを閉じるようにして,利用客を通過させないようにしても良い。
本実施例の発券システム1は,前記利用客情報取得手段160が,前記体温測定機能の代わりに,質問機能を有するものである点以外は,実施例1と同じ構成である。なお,実施例1と同様の構成については,説明を省略する。
前記質問機能は,予め用意した利用客の体調や病歴等に関する質問に利用客が「はい/いいえ」で回答することで前記利用客情報Aを取得する質問機能を有するものである。
発券不可と判定した場合,実施例1と同様,表示手段110により,より正確な感染症検査が可能な特設の検査室への誘導表示(図示せず。)を行い,利用客を該検査室へ誘導する。一方,発券可と判定した場合には,制御手段120に組み込まれている図形コード生成手段121により,利用客情報Aとして前記回答データ(質問事項を含む。)と,前記ID情報取得手段140から得られた利用客のID情報とが格納された2次元コードを生成する。