IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 電気化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-蛍光体、及び発光装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166644
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】蛍光体、及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/64 20060101AFI20231115BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20231115BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20231115BHJP
【FI】
C09K11/64
C09K11/08 G
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172412
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】武田 雄介
【テーマコード(参考)】
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
4H001CA02
4H001CC08
4H001XA03
4H001XA07
4H001XA13
4H001XA38
4H001YA63
5F142AA02
5F142DA02
5F142DA43
5F142DA53
5F142DA55
5F142DA63
5F142DA73
5F142GA21
(57)【要約】
【課題】光学特性に優れた蛍光体を提供する。
【解決手段】本発明の蛍光体は、SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有する蛍光体であって、Cu-Kα線を用いて測定した当該蛍光体のX線回折パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとしたとき、I、Iが、0.025≦I/I≦0.045を満たすように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有する蛍光体であって、
Cu-Kα線を用いて測定した当該蛍光体のX線回折パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとしたとき、
、Iが、0.025≦I/I≦0.045を満たす、蛍光体。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光体であって、
粒子状の前記無機化合物の表面が被覆部で被覆された被覆蛍光体粒子を含む、蛍光体。
【請求項3】
請求項2に記載の蛍光体であって、
前記被覆部がAlFを含む、蛍光体。
【請求項4】
請求項3に記載の蛍光体であって、
Cu-Kα線を用いて測定した当該蛍光体のX線回折パターンにおいて、回折角2θが14.0°以上15.0°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとしたとき、
、Iが、0.50≦I/I≦0.90を満たす、蛍光体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の蛍光体であって、
波長455nmの青色光で励起した場合、ピーク波長が640nm以上670nm以下の範囲にあり、半値幅が45nm以上60nm以下である、蛍光体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体であって、
455nmの青色光における吸収率が70%以上である、蛍光体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の蛍光体であって、
前記蛍光体は、粒子状であり、
レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、累積値が50%となる粒子径をD50としたとき、
D50が、1μm以上30μm以下である、蛍光体。
【請求項8】
請求項7に記載の蛍光体であって、
レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、累積値が10%となる粒子径をD10、累積値が90%となる粒子径をD90としたとき、
(D90-D10)/D50が、1以上5以下である、蛍光体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の蛍光体であって、
波長455nmの青色光で励起したとき、発光色の色純度がCIE-xy色度図において、x値が0.68≦x≦0.735を満たす、蛍光体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の蛍光体を含む、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体、及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでSrLiAl:Eu蛍光体(SLAN蛍光体)について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、原料混合物を焼成、熱処理してなるSLAN蛍光体が記載されている(特許文献1の段落0065等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-008130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のSLAN蛍光体において、光学特性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有する蛍光体、いわゆるSLAN蛍光体において鋭意研究したところ、SLAN蛍光体のX線回折分析パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度Iと、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度Iとのピーク強度比(I/I)を指標とすることで光学特性を安定的に評価でき、さらに指標I/Iを所定範囲内とすることによって、SLAN蛍光体の外部量子効率等の光学特性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、
SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有する蛍光体であって、
Cu-Kα線を用いて測定した当該蛍光体のX線回折パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとしたとき、
、Iが、0.025≦I/I≦0.045を満たす、蛍光体が提供される。
【0007】
また本発明によれば、
上記の蛍光体を含む、発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学特性に優れた蛍光体、及びそれを用いた発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1、2、比較例1、2のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の蛍光体を概説する。
【0011】
本実施形態の蛍光体は、SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有する蛍光体である。この蛍光体は、Cu-Kα線を用いて測定したX線回折パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとしたとき、I、Iが、0.025≦I/I≦0.045を満たすように構成される。
【0012】
本発明者は、SLAN蛍光体のX線回折分析パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度Iと、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度Iとのピーク強度比(I/I)を指標とし、指標I/Iを上記下限以上かつ上記上限以下の所定範囲内とすることによって、SLAN蛍光体の外部量子効率等の光学特性を向上できることが見出した。
【0013】
本実施形態によれば、光学特性に優れた蛍光体を実現できる。
【0014】
以下、本実施形態の蛍光体を詳述する。
【0015】
本実施形態の蛍光体は、SrLiAlで示される結晶、又はSrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶にEuが賦活剤として固溶された無機化合物を含有するSLAN蛍光体である。Euは、結晶中のSrに置換される賦活物質である。
【0016】
本明細書中、「SrLiAlで示される結晶と同一の結晶構造」とは、特許6335884号で定義されるKLiGeOホスト格子構造を有することを意味する。
KLiGeO構造は、空間群P-1の三斜晶系結晶構造を有する。
KLiGeO構造で結晶化するものとして、化学量論組成M1-x-y-zDN4-n:ES,REを有する化合物が挙げられる。
ここで、Mは、Ca、Sr及びBaから成る群より選択され、
Zは、一価のNa、K及びRbから成る群より選択され、
Bは、三価のAl及びGaから成る群より選択され、
Dは、一価のLi及びCuから成る群より選択され、
ESは、二価のEuであり、
REは、三価のCe、Pr、Sm、Gd、Tb及びDyから成る群より選択され、
0<x≦0.2;0≦y≦0.2;0<x+y≦0.4;y/x<0.1;
0≦z<1;
0≦n≦0.1;である。
KLiGeO構造型の具体例の一つは、Sr1-x[LiAl]N:Euが挙げられる。
ただし、Sr1-x[LiAl]N:Eu中、Nの一部がOに置換されてもよく、Alの一部がLiに置換されてもよく、Euの一部がCeに置換されてもよい。
【0017】
蛍光体は、表面が被覆部で被覆された蛍光体粒子を含むように構成されてもよい。
【0018】
被覆部は、蛍光体を含む粒子(蛍光体粒子)の最表面の少なくとも一部を構成する。
被覆部は、フッ素元素及びアルミニウム元素を含有するフッ素含有化合物を含むように構成されてもよい。被覆部に含まれるフッ素含有化合物は、例えば、フッ素元素及びアルミニウム元素を含有する単一の化合物や、フッ素元素とアルミニウム元素とが直接に共有結合した化合物を含み、好ましくは、AlFを含む。
【0019】
フッ素含有化合物を含む被覆部が蛍光体粒子の最表面の少なくとも一部を構成することにより、粒子を構成する蛍光体の耐湿性を向上させることができる。なお、蛍光体の耐湿性をより一層向上させる観点から、被覆部がAlFを含むことがより好ましい。
【0020】
被覆部の態様は特に制限されない。被覆部の態様として、例えば、粒子状のフッ素含有化合物が蛍光体を含む粒子の表面に多数分布(散在)している態様や、フッ素含有化合物が蛍光体を含む粒子の表面を連続的に被覆する態様が挙げられる。被覆部は、粒子表面の一部又は全体を覆うように構成してもよい。
【0021】
本実施形態において、Cu-Kα線を用いて測定した蛍光体のX線回折パターンにおいて、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、回折角2θが14.0°以上15.0°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとする。
【0022】
本実施形態の蛍光体は、I、Iが、0.025≦I/I≦0.045を満たすように構成される。
【0023】
/Iの上限は、0.045以下であり、好ましくは0.042以下、より好ましくは0.040以下である。これにより、内部量子効率及び外部量子効率を向上できる。
一方、I/Iの下限は、0.025以上、好ましくは0.026以上、より好ましくは0.027以上である。これにより、吸収率及び外部量子効率を向上できる。
【0024】
また、本実施形態の蛍光体は、I、Iが、0.50≦I/I≦0.90を満たすように構成されてもよい。
【0025】
/Iの上限は、例えば、0.90以下であり、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.70以下である。これにより、内部量子効率及び外部量子効率を向上できる。
一方、I/Iの下限は、例えば、0.50以上、好ましくは0.51以上である。これにより、吸収率及び外部量子効率を向上できる。
【0026】
ここで、最大強度Iに対応するピークは、主相であるSrLiAl(SLAN)に帰属される。最大強度Iに対応するピークは、Sr0に帰属される。最大強度Iに対応するピークは、AlFに帰属される。
【0027】
本実施形態では、例えば蛍光体中に含まれる各成分の種類や配合量、蛍光体の調製方法等を適切に選択することにより、上記I/I及びI/Iを制御することが可能である。これらの中でも、例えば、蛍光体の製造において、酸処理における酸の種類、酸濃度、含水率、及び撹拌時間を適切に制御すること、フッ素元素を含むフラックスを使用すること等が、上記I/I及びI/Iを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
【0028】
詳細なメカニズムは定かではないが、蛍光体に含まれるSrOは、酸処理を施さないと除去され難いが、酸処理の洗浄条件が強いと過度に除去される恐れがある、と考えられる。この酸処理の洗浄条件は、酸濃度、含水率、酸処理時間(撹拌時間)の3つの因子の組み合わせ等で、その強さを制御できる。
【0029】
蛍光体を波長455nmの青色光で励起したときの発光スペクトルにおいて、ピーク波長が、例えば640nm以上670nm以下の範囲にあり、その半値幅が、例えば、45nm以上60nm以下の範囲にあるように構成されてもよい。半値幅の上限は、例えば、60nm以下であり、好ましくは57nm以下、より好ましくは55nm以下である。一方、半値幅の下限は、例えば、45nm以上、好ましくは47nm以上、より好ましくは50nm以上である。このような特性を蛍光体が備えることにより、優れた演色性や色再現性が期待できる。
【0030】
蛍光体を波長455nmの青色光を照射したときの吸収率が、例えば、70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。これにより、蛍光体の発光効率を高められる。
【0031】
蛍光体を波長455nmの青色光で励起した場合、CIE-xy色度図におけるx値が、例えば、0.68≦x≦0.735を満たすように構成されてもよい。このような特性を蛍光体が備えることにより、優れた演色性や色再現性が期待できる。x値の下限は、例えば、0.68以上、好ましくは0.69以上、より好ましくは0.70以上である。これにより、色純度の良い赤色発光をさらに期待できる。x値の上限は、例えば、0.735以下、好ましくは0.720以下、より好ましくは0.715以下である。x値を上記上限値以下とすることにより、明るさ指標(視感度)を考慮した輝度(光束)が低下することを抑制できる。
【0032】
粉体状の蛍光体について、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積頻度粒度分布において、累積値が50%となる粒子径をD50、累積値が10%となる粒子径をD10、累積値が90%となる粒子径をD90とする。
【0033】
D50は、例えば、1μm以上30μm以下、好ましくは3μm以上25μm以下、より好ましくは5μm以上20μm以下である。上記の範囲内とすることで、発光特性のバランスを図ることができる。
【0034】
((D90-D10)/D50)の下限は、例えば、1以上、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。一方、((D90-D10)/D50)の上限は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。上記の範囲内とすることで、発光特性のバランスを図ることができる。
【0035】
本実施形態の蛍光体粒子の製造方法について説明する。
【0036】
蛍光体粒子の製造方法の一例は、蛍光体の組成を構成する各元素を含む原料を混合し原料混合粉末を得る混合工程と、原料混合粉末を焼成して焼成物を得る焼成工程と、焼成物を粉砕する粉砕工程と、粉砕物を酸処理する酸処理工程と、酸処理後における焼成物を、フッ化水素を含む溶液に接触させるフッ素処理工程と、を含む。
以下、各工程について詳述する。
【0037】
(混合工程)
混合工程では、蛍光体の組成を構成する各元素を含む原料混合物と、フラックスとしてLiF等のフッ素元素含有化合物とを混合して混合物を得る。例えば、目的とする蛍光体粒子が得られるように秤量した各原料を混合して粉末状の混合物を得てもよい。
【0038】
原料を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、V型混合機、遊星ミル等の混合装置を用いて十分に混合する方法がある。なお、空気中の水分や酸素と激しく反応する窒化ストロンチウム、窒化リチウム等は、内部が不活性雰囲気で置換されたグローブボックス内や混合装置を用いて取り扱うことが適切である。
【0039】
混合工程において、Alの仕込み量をモル比で3としたときのSrの仕込み量がモル比で1.10以上であることが好ましい。Srの仕込み量をモル比で1.10以上とすることにより、焼成工程中のSrの揮発等により蛍光体中のSrが不足することが抑制され、Srの欠陥が生じにくくなり、結晶性が良好に保たれる。この結果、狭帯域の蛍光スペクトルが得られ、発光強度を高めることができると推測される。また、混合工程において、Alの仕込み量をモル比で3としたときのSrの仕込み量がモル比で1.20以下であることが好ましい。Srの仕込み量をモル比で1.20以下とすることにより、Srを含む異相の増加を抑制し、酸処理工程により異相の除去が容易になり、発光強度を高めることができる。同様の理由で、Liの仕込み量も、量論組成比よりも多い組成比で仕込むことが好ましい。
【0040】
混合工程において用いられる各原料は、蛍光体の組成に含まれる金属元素の金属単体及び当該金属元素を含む金属化合物からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。金属化合物としては、窒化物、水素化物、フッ化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。このうち、蛍光体の発光強度を向上させる観点から、窒化物が好ましく用いられる。具体的には、Srを含む金属化合物として、Sr、SrN、SrN等が挙げられる。Liを含む金属化合物として、LiN、LiN等が挙げられる。Euを含む金属化合物としては、Eu、EuN、EuFが挙げられる。Alを含む金属化合物としては、AlN、AlH、AlF、LiAlH等が挙げられる。
【0041】
混合工程において、フラックスの添加量の下限は、フラックスと原料混合物との合計100質量%に対して、例えば、1.5質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。一方、フラックスの添加量の上限は、フラックスと原料混合物との合計100質量%に対して、例えば、10質量%以下でもよく、好ましくは5質量%以下でもよい。フラックスとして、LiF単独で使用してもよいが、他のフラックスと併用して使用してもよい。
【0042】
(焼成工程)
焼成工程では、上述した混合物を焼成する。例えば焼成容器の内部に充填した混合物を焼成してもよい。
【0043】
焼成容器は、気密性を高められる構造を備えていることが好ましい。焼成容器は、高温の雰囲気ガス下において安定で、原料の混合体及びその反応生成物と反応しにくい材質で構成されることが好ましく、例えば、窒化ホウ素製、カーボン製の容器や、モリブデンやタンタルやタングステン等の高融点金属製の容器を使用することが好ましい。
【0044】
[焼成温度]
焼成工程における焼成温度の下限は、900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1100℃以上がさらに好ましい。一方、焼成温度の上限は、1500℃以下が好ましく、1400℃以下がより好ましく、1300℃以下がさらに好ましい。焼成温度を上記範囲とすることにより、焼成工程終了後の未反応原料を少なくでき、また主結晶相の分解を抑制することができる。
【0045】
[焼成雰囲気ガスの種類]
焼成工程における焼成雰囲気ガスの種類としては、例えば元素としての窒素を含むガスを好ましく用いることができる。具体的には、窒素及び/又はアンモニアを挙げることができ、特に窒素が好ましい。また同様に、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスも好ましく用いることができる。なお焼成雰囲気ガスは1種類のガスで構成されていても、複数の種類のガスの混合ガスであっても構わない。
【0046】
[焼成雰囲気ガスの圧力]
焼成雰囲気ガスの圧力は、焼成温度に応じて選択されるが、通常0.1MPa・G以上10MPa・G以下の範囲の加圧状態である。焼成雰囲気ガスの圧力が高いほど、蛍光体の分解温度は高くなるが、工業的生産性を考慮すると0.5MPa・G以上1MPa・G以下とすることが好ましい。
【0047】
[焼成時間]
焼成工程における焼成時間は、未反応物が多く存在したり、蛍光体の粒子が成長不足であったり、或いは生産性の低下という不都合が生じない時間範囲が選択される。焼成時間の下限は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、焼成時間の上限は、48時間以下が好ましく、36時間以下がより好ましく、24時間以下がさらに好ましい。
【0048】
(粉砕工程)
粉砕工程では、焼成工程後の原料混合物(焼成物)を、粉砕して粉砕物を得る。
【0049】
焼成工程により得られる焼成物の状態は、原料配合や焼成条件によって、粉体状、塊状と様々である。解砕・粉砕工程及び/又は分級操作工程によって、焼成物を、所定のサイズの粉末状にできる。
【0050】
上述の解砕・粉砕工程では、その処理に由来する不純物の混入を防ぐため、焼成物と接触する機器の部材が、窒化ケイ素、アルミナ、サイアロンといったセラミックス製であることが好ましい。
【0051】
なお、粉砕物の平均粒子径は、蛍光体粒子の平均粒子径D50が1μm以上30μm以下となるように調整されてもよい。平均粒子径の上限は、例えば、30μm以下であり、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下である。一方、平均粒子径の下限は、例えば、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。これによって、蛍光体粒子は、励起光の吸収効率及び発光効率に優れたものとなるため、LED用等に好適に用いることができる。
【0052】
(酸処理工程)
酸処理工程では、粉砕物に対して、酸とアルコールと含む混合液を用いて酸処理する。酸処理は、酸とアルコールと含む混合液中に粉砕物に加えてもよく、アルコール中の粉砕物に酸を加えてもよい。酸処理中、混合液を静置してもよいが、適当な条件で撹拌してもよい。また、酸処理後、必要に応じて、アルコールを用いてデカンテーション(固液分離処理)を施してもよい。デカンテーションは、1回又は2回以上行ってもよい。これにより、粉砕物中から酸を洗浄除去できる。その後、粉砕物を、ろ過、乾燥する。
【0053】
酸は、例えば、無機酸を使用してもよく、具体的には、硝酸、塩酸、硫酸、及びリン酸等が挙げられる。無機酸の中でも、硝酸又は塩酸の少なくとも一方を含むことが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
混合液は、水溶媒を含んでもよい。水の含有量は1.5質量%~20質量%、好ましくは12質量%~17質量%である。これによって異相の除去が容易になり、発光強度を高めることができるので好ましい。
【0055】
アルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が用いられる。
【0056】
混合液中の酸の濃度が、例えば、0.1質量%~5質量%、好ましくは0.5質量%~3質量%となるようにアルコールと酸とを混合してもよい。
【0057】
酸処理によって、原料に含まれる不純物元素、焼成容器に由来する不純物元素、焼成工程で生じた異相、粉砕工程にて混入した不純物元素を溶解除去できる。これにより、蛍光体の内部量子効率を向上できる。
【0058】
酸処理の一例として、酸とアルコールとを含む混合液に、例えば0.5時間以上5時間以下程度、粉砕物を分散・浸漬させてもよい。
【0059】
(フッ素処理工程)
フッ素処理では、酸処理工程後における粉砕物等の酸処理物に、フッ素処理を施す。
【0060】
フッ素処理には、フッ化水素(HF)を含む溶液として、フッ化水素を含む水溶液、いわゆるフッ化水素酸(フッ酸)が好ましく用いられる。
【0061】
フッ化水素を含む溶液中のフッ化水素の濃度の下限は、例えば、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。一方、上記フッ化水素の濃度の上限は、例えば、60%質量以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。フッ化水素の濃度を上記下限値以上とすることにより、蛍光体を含む粒子の最表面の少なくとも一部に(NHAlFを含む被覆部を形成することができる。一方、フッ化水素の濃度を上記上限値以下とすることにより、粒子とフッ化水素フッ酸との反応が激しくなり過ぎることを抑制することができる。
【0062】
フッ素処理において、液相処理する方法が採用でき、例えば、フッ化水素を含む溶液中に粉砕物を加えてもよく、粉砕物にフッ化水素を含む溶液を加えてもよい。液相処理は、気相処理する方法と比べて、生産性を高められる。
【0063】
粉砕物と溶液とを含む混合液を、所定時間静置してもよいが、公知の手段で撹拌させてもよい。
粉砕物とフッ化水素を含む溶液との混合は、スターラー等の撹拌手段により行うことができる。
混合時間の下限は、5分以上が好ましく10分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましい。一方、上記の混合時間の上限は、30分以下が好ましく、25分以下がより好ましく、20分以下がさらに好ましい。混合時間を上記範囲とすることにより、蛍光体を含む粒子の最表面の少なくとも一部に(NHAlFを含む被覆部を安定的に形成することができる。
【0064】
本実施形態において、酸処理工程における酸及び溶媒の種類、酸の濃度、フッ素処理工程における、HF濃度、フッ素処理の時間、フッ素処理後に行う加熱処理工程における加熱温度及び加熱時間等を適切に調整することにより、蛍光体を含む粒子の表面を被覆する被覆部を形成できる。
【0065】
(加熱処理工程)
加熱処理では、フッ素処理後の粉砕物を加熱する。
【0066】
フッ素処理により得られる結果物が被覆部として(NHAlFを含む場合、加熱処理工程を実施することにより、(NHAlFの一部又は全部を、AlFに変更できる。
【0067】
加熱処理工程における加熱温度の下限は、220℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限は、380℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、330℃以下がさらに好ましい。
【0068】
加熱温度を上記下限以上とすることにより、下記反応式(1)を進行させることにより、(NHAlFをAlFに変えることができる。
(NHAlF→AlF+3NH+3HF・・・(1)
【0069】
一方、加熱温度を上記上限以下とすることにより、蛍光体の結晶構造を良好に維持し、発光強度を高めることができる。
【0070】
加熱時間の下限は、1時間以上が好ましく、1.5時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。一方、加熱時間の上限は、6時間以下が好ましく、5.5時間以下がより好ましく、5時間以下がさらに好ましい。加熱時間を上記範囲とすることにより、(NHAlFを耐湿性がより高いAlFに確実に変えることができる。
【0071】
なお、加熱処理工程は大気中あるいは窒素雰囲気下で実施することが好ましい。これによれば、加熱雰囲気の物質自身が上記の反応式(1)を阻害することなく、目的の物質を生成することができる。
【0072】
以下、本実施形態に係る発光装置について説明する。
本実施形態に係る発光装置は、上記蛍光体を有する。
【0073】
発光素子として、紫外LED、青色LED、蛍光ランプの単体又はこれらの組み合わせを用いることができる。発光素子は、250nm以上550nm以下の波長の光を発するものが望ましく、なかでも420nm以上500nm以下の青色LED発光素子が好ましい。
【0074】
蛍光体粒子として、蛍光体粒子の他に、他の発光色を持つ蛍光体粒子を併用してもよい。他の発光色の蛍光体粒子として、青色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子、黄色発光蛍光体粒子、橙色発光蛍光体粒子、赤色蛍光体があり、例えば、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、β-SiAlON:Eu、YAl12:Ce、TbAl12:Ce、(Sr、Ca、Ba)SiO:Eu、LaSi11:Ce、α-SiAlON:Eu、SrSi:Eu等が挙げられる。
【0075】
他の蛍光体粒子は、特に限定されるものではなく、発光装置に要求される輝度や演色性等に応じて適宜選択可能である。蛍光体粒子と他の発光色の蛍光体粒子とを混在させることにより、昼白色や電球色等の様々な色温度の白色を実現することができる。
【0076】
発光装置の具体例として、例えば、照明装置、バックライト装置、画像表示装置、信号装置等が挙げられる。
【0077】
発光装置は、蛍光体粒子を備えることにより、高い発光強度を実現しつつ、信頼性を高めることができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0079】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0080】
<蛍光体の製造>
(実施例1)
[混合工程]
大気中で、AlN(トクヤマ社製)、Eu(信越化学工業社製)及びLiF(富士フィルム和光純薬製)を秤量、混合したのち、目開き150μmのナイロン篩で凝集を解砕し、プレ混合物を得た。
プレ混合物を、水分1ppm以下、酸素1ppm以下とした不活性雰囲気を保持しているグローブボックス中に移動させた。その後、一般式:M Al4-d(ただし、M=Sr、M=Li、M=Eu)において、化学量論比(a=1、b=1)でaの値が15%過剰、bの値が20%過剰になるように、Sr(太平洋セメント社製)及びLiN(Materion社製)を秤量後、追加配合して混合後、目開き150μmのナイロン篩で凝集を解砕して蛍光体の原料混合物を得た。Sr及びLiは焼成中に飛散しやすいため、理論値より多めに配合した。
ここで、Alのモル比を3としたときのSrの仕込み量をモル比で1.15とするとともに、Euの仕込み量をモル比で0.01とした。原料混合物とフラックスの合計量100質量%に対して、4.5質量%のLiFを添加した。
【0081】
[焼成工程]
次いで、得られた原料混合物を蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(デンカ株式会社製)に充填した。
次いで、原料混合物を充填した容器をグローブボックスから取り出した後、グラファイト断熱材を備えたカーボンヒーター付きの電気炉(富士電波工業社製)にセットし、焼成工程を実施した。
焼成工程の開始にあっては、電気炉内を真空状態まで一旦脱ガスしたのち、室温から0.8MPa・Gの加圧窒素雰囲気下で焼成を開始した。電気炉内の温度が1100℃に到達後は、8時間温度を保ちながら焼成を続け、その後室温まで冷却した。
【0082】
[粉砕工程]
得られた焼成物は乳鉢で粉砕後、目開き75μmのナイロン篩で分級し、回収した。
【0083】
[酸処理工程]
メタノール(純度99%)(国産化学社製)に硝酸(HNO濃度60%)(和光純薬社製)及び蒸留水を加え、HNO濃度が0.23mol/L、含水率が15%の硝酸溶液を調製し、調製した硝酸溶液中に得られた焼成物の粉体を加えて1時間撹拌して酸処理を施し、その後、分級し、蛍光体粉末を得た。
【0084】
[フッ素処理工程]
フッ化水素(HF)を蒸留水に混合し、HF濃度が10.7mol/Lのフッ酸を調製し、調製したフッ酸中に蛍光体粉末を加え、15分間撹拌することによりフッ素処理を実施した。
フッ素処理工程の後、メタノールによるデカンテーションで溶液が中性になるまで洗浄し、濾過による固液分離を行った後、固形分を乾燥し、それを目開き45μmの篩を全通させることで、凝集物を解砕し、蛍光体粒子を得た。
【0085】
[加熱処理工程]
フッ素処理後における蛍光体粒子を、大気雰囲気下で300℃、4時間の加熱処理を施し、実施例1の蛍光体粒子を得た。
【0086】
(実施例2)
上記[酸処理工程]において、硝酸溶液の含水率を1%、撹拌時間を3時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の蛍光体粒子を得た。
【0087】
(比較例1)
上記[酸処理工程]において、硝酸溶液のHNO濃度を3.00mol/Lに変更し、[フッ素処理工程]及び[加熱処理工程]を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の蛍光体粒子を得た。
【0088】
(比較例2)
上記[酸処理工程][フッ素処理工程]及び[加熱処理工程]を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の蛍光体粒子を得た。
【0089】
【表1】
【0090】
得られた蛍光体粒子について、以下の評価を実施した。
【0091】
<X線回折法による分析>
得られた蛍光体粒子、AlF、Sr(NO、SrO、及びSrLiAl(SLAN)について、X線回折装置(株式会社リガク製UltimaIV)を用い、Cu-Kα線を用いて、下記の測定条件でX線回折パターンを測定した。X線回折パターンを図1に示す。
(測定条件)
X線源:Cu-Kα線(λ=1.54184Å)、
出力設定:40kV・40mA
光学系:集中法
検出器:半導体検出器
測定時光学条件:発散スリット=2/3°
散乱スリット=8mm
受光スリット=開放
回折ピークの位置=2θ(回折角)
測定範囲:2θ=20°~70°
スキャン速度:2度(2θ)/sec,連続スキャン
走査軸:2θ/θ
試料調製:粉末状の蛍光体粒子をサンプルホルダーに載せた。
ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値とした。
【0092】
回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、2θが34.4°以上34.8°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、及び2θが14.0°以上15.0°以下の範囲内にあるピークの最大強度をIとし、Iの値を100として規格化した。
実施例1、2の蛍光体粒子において、回折角2θが36.5°以上38.5°以下の範囲にSLANに帰属するピーク、2θが34.4°以上34.8°以下の範囲にSrOに帰属するピーク、及び2θが14.0°以上15.0°以下の範囲にAlFに帰属するピークが、それぞれ確認された。
なお、比較例1、比較例2の蛍光体粒子において、14.0°以上15.0°以下の範囲にAlFに帰属されるピークが確認されなかった。
【0093】
また、得られたX線回折パターンから蛍光体粒子の結晶構造を確認した。実施例1、2の蛍光体粒子は、いずれも、SrLiAlで表される結晶相の組成を有する蛍光体であることを確認した。
【0094】
<XPSによる表面分析>
得られた実施例1、2蛍光体粒子について、XPSによる表面分析を実施した。
実施例1、2の蛍光体粒子の最表面において、AlとFとが存在し、AlとFとが共有結合していることが確認された。
XPSによる表面分析結果と、上記のX線回折法による分析により、次のことが示された。
実施例1、2の蛍光体粒子の最表面の少なくとも一部をAlFで被覆した表面被覆蛍光体粒子であった。
【0095】
また、得られた実施例1、2蛍光体粒子について、SEM断面観察を行った、蛍光体粒子の最表面に単層の被覆層が形成されることが確認された。
【0096】
<光学特性>
(吸収率、内部量子効率、外部量子効率、ピーク波長、半値幅、色度x,y)
積分球(φ60mm)の側面開口部(φ10mm)に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、スペクトラロン)をセットした。この積分球に、発光光源としてのXeランプから455nmの波長に分光した単色光を光ファイバーにより導入し、反射光のスペクトルを分光光度計(大塚電子社製、MCPD-7000)により測定した。その際、450~465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。次に、凹型のセルに表面が平滑になるように、得られた蛍光体粒子を充填したものを積分球の開口部にセットし、波長455nmの単色光を照射し、励起の反射光及び蛍光スペクトルを分光光度計により測定した。
得られたスペクトルデータから励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は、465~800nmの範囲で算出した。
得られた三種類のフォトン数から、下記の式に基づいて、455nm光吸収率、内部量子効率、及び外部量子効率を求めた。
455nm光吸収率(%)=((Qex-Qref)/Qex)×100
内部量子効率=Qem/(Qex-Qref)×100
外部量子効率(%)=(Qem/Qex)×100
また、この測定で得られた蛍光スペクトルからピーク波長、半値幅、色度x値及び色度y値を求めた。
なお、色度はJIS Z 8724(色の測定方法-光源色-)に準じた方法で、JIS Z 8701に規定されるXYZ表色系における算出法により、色度座標(x、y)を算出した。但し、色度座標算出に用いる波長範囲は550~780nmとした。
【0097】
<粒度分布>
【0098】
蛍光体粒子の粒子径分布を、レーザー回折・散乱法の粒子径分布測定装置(ベックマン・コールター社製、LC13 320)で測定した。測定溶媒にはエタノールを使用した。分散剤としてエタノールに少量の蛍光体粉末を投入し、ホーン式の超音波ホモジナイザー(出力300W、ホーン径26mm)で分散処理を行い、粒子径分布を測定した。得られた体積頻度粒度分布曲線から、10体積%径(D10)、50体積%径(D50)、90体積%径(D90)を求め、得られた値から粒子径分布のスパン値((D90-D10)/D50)を求めた。
【0099】
実施例1、2の蛍光体は、比較例1、2の蛍光体と比べて外部量子効率が高く、光学特性に優れる結果を示した。
図1