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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166650
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20231115BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20231115BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20231115BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B26D1/08
B26D7/02 Z
B26D7/22 A
B26D3/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077281
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000161884
【氏名又は名称】アスカカンパニー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今野 健治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則行
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021CC01
3C021HA02
3C027JJ02
3C027JJ07
3C027JJ08
3C027JJ13
3C027JJ15
(57)【要約】
【課題】操作者の手動操作で成形品のキャップなどを、容易に且つ切断面がきれいに切断することができる安価な切断装置を提供する。
【解決手段】
切断対象物を保持する保持手段3と、切断刃5を前記一方向に沿って移動させる移動手段4と、前記移動手段4によって移動させられるホルダ6と、前記ホルダ6に取り付けられ、前記切断刃5の側面を吸着保持する吸着手段7を有すると、からなる切断装置Aであって、前記治具3fは前記切断刃5が前記切断対象物に切入した時に、前記切断刃5の厚み分、前記治具3fが左右に開く切断装置Aである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を保持する保持手段と、
所定の一方向に沿って移動可能に設けられた切断刃と、
前記切断刃を前記一方向に沿って移動させる移動手段と、
前記移動手段によって移動させられるホルダと、
前記ホルダに取り付けられ、前記切断刃の側面を吸着保持する吸着手段と、
からなる切断装置であって、
前記保持手段は、前記切断対象物を左右に挟み込んで保持する治具を有し、
前記治具は前記切断刃が前記切断対象物に切入した時に、
前記切断刃の厚み分、前記治具が左右に開くことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記保持手段には滑り部が固定されており、
前記滑り部の上を滑走し、前記切断刃の真下まで移動する載置台を形成し、
前記載置台の上に前記治具が載置した時に、互いに嵌め込みできるように複数の凹凸嵌合部が前記載置台と前記治具の両面に形成していることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記治具は正六面体を形成した2つ以上の治具で構成されており、
前記治具同士を重ね合わせて切断対象物を挟み込んだ前記治具の向かい合う面同士は、前記切断対象物の外径状にフィットするようにくり抜かれた外径部を形成しており、前記治具の他面側にも異なる切断対象物の外径状にくり抜かれた外径部を形成し、複数の異なる切断対象物を一対の前記治具の重ね合わせる面を変更することで、複数の異なる切断対象物を切断できることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記ホルダは前記移動手段によって移動するホルダ本体と、
ホルダ本体に取り付けられ前記切断刃の端面を支持する支持部を有し、
前記ホルダの下端と前記支持部の下端から前記切断刃の端部が露出しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断装置。
【請求項5】
前記ホルダは前記移動手段によって移動するホルダ本体と、
ホルダ本体に取り付けられ前記切断刃の端面を支持する支持部を有し、
前記ホルダの下端と前記支持部の下端から前記切断刃の端部が露出しないことを特徴とする請求項3に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柔らかいプラスチックやゴムの試料を切断する装置として、特許文献1に記載の一方が移動自在な一対のチャックを設け、該一対のチャックに把持させた試料片に直交して離間する位置に剃刀装着用の刃物ホルダーを配置し、該刃物ホルダーを前記剃刀の刃先角度を調整可能に回動可動にすると共に、前記試料片に向けて移動可能に構成した試料切断装置が提案されている。また、軟質部材を切断する装置として、特許文献2の切断刃の刃先の長手方向が、当該切断刃の移動方向と直交する面に対して所定角度で傾斜しており、ステージの載置面が上記傾斜した刃先と略平行に設定されている切断装置が提案されている。この様に、柔らかいプラスチックやゴムなどの軟質部材を切断する装置としてはすでに提案されている。
【0003】
一方、プラスチックやアルミで成形したキャップなどの成形品は、定期的に製品の抜き取りを行い、製品の断面形状を測定し、寸法形状に誤差が発生していないかなどの、品質管理を実施している。そのため、少量抜き取った製品を、都度切断する必要がある。以前は弊社でも、カッターナイフなどを使用して作業者が手作業でプラスチックなどの成形品の切断を行っていたが、安全面から特許文献3に記載の切断装置を開発し使用している。特許文献3に記載の切断装置は、切断対象物を保持する保持手段と、一方向に沿って移動可能に設けられた切断刃を、操作者の手動操作によって一方向に移動させる移動手段を有する切断装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全平4-70495号公報
【特許文献2】特開2016-16460号公報
【特許文献3】特開2019-42892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ゴムやプラスチックなどの柔らかい素材でできた板状の試料片を切断し、顕微鏡観察用として試料片の観測面を平滑に形成するように切断できる試料切断装置であるが、切断するものを伸長変形させた状態で切断することで、切断面が平滑されるものであり、成形されたキャップの成形品を切断する物ではない。また、特許文献1の試料切断装置は、切断対象物を刃物で押切る構造である。特許文献1の試料切断装置を使用して成形品を刃物で押切って切断する場合に、切断面は大きくわけて4層構造となる。最初に刃物で板材が押されることで板材が圧縮されて滑らかなR形状のダレが発生する。次に刃物の先で押されることで板材の切断が開始し、切断途中から板材が割れだし、最後の押しきりで板材の下面付近でバリが発生する。このように、押し切りだけでは、成形品を平滑に切断することができない。
【0006】
また、特許文献2も特許文献1と同様に柔らかい素材を切断する装置であり、具体的には、電線の導体を覆うポリエチレン製の絶縁被覆体や、車両の窓開口部に沿って取り付けられるゴム製のウエザーストリップ等を切断するための切断装置である。前記切断装置の構造としては、市販のカッターやカミソリの刃などの直線刃を使用するもので、前記直線刃の刃先が長手方向に対して斜めになるように取り付けられている切断装置である。これにより、直線刃が斜めに傾斜した状態のままで真下に刃が下りるので、切断対象物には、刃の押切り効果の他に傾斜による引き切り効果が作用していると説明されている。しかしながら、直線刃を斜めに設置して真下に刃を下ろす構造だけでは、プラスチックやアルミなどの成形品は、切断途中から刃が曲がったりしてうまく切断することができないものがあった。
【0007】
更に、従来のやり方のカッターナイフなどを使用して作業者が手作業で、引き切り作用を有しながら切断を行っていく場合でも、切断対象物の成形品が肉厚であったりした場合に、硬すぎてなかなか切断することができないため、余計に、カッターナイフの刃を切断対象物に押し当てる力が入りすぎて、切断対象物から押し当てていたカッターナイフの刃がズレてしまい、手指などを怪我してしまうなど、操作者の安全性の部分でも課題があった。
【0008】
以上のような課題を解決するために、弊社では特許文献3に記載の切断装置の開発を行った。プラスチックのキャップなどの成形品については、操作者の手動操作で安全に容易にかつ、切断面がきれいに切断することができる切断装置となっている。しかしながら、切断対象物の成形品が肉厚であったり、成形品が硬めの樹脂で成形したりした場合に、依然、切断途中から刃が曲ったり、また切断途中から切断対象物が割れたりする場合があり、切断装置の改良の余地が残っていた。
【0009】
本発明の目的は、以上のような課題を解決するため、操作者の手動操作でキャップなどの成形品が容易に且つ安全に、切断面がきれいに切断することができる安価な切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、切断対象物を保持する保持手段と、所定の一方向に沿って移動可能に設けられた切断刃と、前記切断刃を前記一方向に沿って移動させる移動手段と、前記移動手段によって移動させられるホルダと、前記ホルダに取り付けられ、前記切断刃の側面を吸着保持する吸着手段と、からなる切断装置であって、前記保持手段は、前記切断対象物を左右に挟み込んで保持する治具を有し、前記治具は前記切断刃が前記切断対象物に切入した時に、前記切断刃の厚み分、前記治具が左右に開く切断装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記保持手段には滑り部が固定されており、前記滑り部の上を滑走し、前記切断刃の真下まで移動する載置台を形成し、前記載置台の上に前記治具が載置した時に、互いに嵌め込みできるように複数の凹凸嵌合部が前記載置台と前記治具の両面に形成している切断装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記治具は正六面体を形成した2つ以上の治具で構成されており、前記治具同士を重ね合わせて切断対象物を挟み込んだ前記治具の向かい合う面同士は、前記切断対象物の外径状にフィットするようにくり抜かれた外径部を形成しており、前記治具の他面側にも異なる切断対象物の外径状にくり抜かれた外径部を形成し、複数の異なる切断対象物を一対の前記治具の重ね合わせる面を変更することで、複数の異なる切断対象物を切断できる切断装置である。
【0013】
請求項4または請求項5に記載の発明は、前記ホルダは前記移動手段によって移動するホルダ本体と、ホルダ本体に取り付けられ前記切断刃の端面を支持する支持部を有し、前記ホルダの下端と前記支持部の下端から前記切断刃の端部が露出しない切断装置である。
【発明の効果】
【0014】
操作者の手動操作で成形品を、容易に且つ安全に、切断面が綺麗に切断できる安価な切断装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の切断装置の斜視図である。
図2図1に示す切断装置を真横からみた側面図である。
図3図1に示す切断装置を斜めから見上げた斜視図である。
図4】切断対象物を固定するための治具を示した斜視図である。
図5】本発明の切断装置から第一のカバーと治具保持部と手動レバーを取り外した状態を示した側面図である。
図6図5に示すW部を拡大した拡大図である。
図7図6の切断刃とレール溝が当接している状態を示した断面のイメージ図である。
図8図7の切断刃と第二レール板の当接状態を正面からみたイメージ図である。
図9図3のホルダに吸着手段である磁石を嵌め込む位置を示したイメージ図である。
図10図3のV部を拡大した拡大図である。
図11図4の治具を載置台に載置した状態の切断装置を示した斜視図である。
図12図11に示す切断装置を真横からみた側面図である。
図13図11に示す切断装置を正面からみた正面図である。
図14図11の状態からの載置台を移動させて治具を切断刃の下へ設置した状態の切断装置を示す斜視図である。
図15図14に示す切断装置を真横からみた側面図である。
図16図15の切断装置の手動レバーを動かし、切断刃が切断対象物を切断する途中を示した側面図である。
図17図16に示す切断装置を正面からみた正面図である。
図18図16の切断装置の手動レバーを動かし、切断刃が切断対象物を切断した状態を示した側面図である。
図19図18に示す切断装置を正面からみた正面図である。
図20図15に示すX部を拡大した拡大図である。
図21図16に示すY部を拡大した拡大図である。
図22図18に示すZ部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の切断装置Aの実施形態を説明する。図1乃至図3に示すように、本発明の切断装置Aは、土台1の上に垂直に直立した支柱2を有し、土台1には、切断対象物を保持する保持手段3を備えている。また、本発明の切断装置Aは、操作者が手動操作をすることにより、一方向に沿って移動する移動手段4が備えられており、移動手段4へ切断刃5を取り付けたものを基本構造としている。前記移動手段4としては手動プレス機の構造を利用すると良いが、本発明の切断装置Aは手動プレス機の構造に限定されるものではない。
【0017】
これより、本発明の切断装置Aについて、手動プレス機の構造を基本構造として利用した場合を例として説明していく。図1に示すように土台1の上には、保持手段3を構成するために、第一レール板3aが設置されている。前記第一レール板3aの上面は、図1に示すように、本発明の切断装置Aを正面からみて水平方向となる位置に複数のレール溝3bが形成されている。また、前記第一レール板3aの上には、図1及び図2に示すように、切断対象物を固定する専用の治具を載置するための載置台3dを、切断刃5の下まで移動させることができる線路の役目を有する滑り部3cが設置されている。
【0018】
前記滑り部3cの基部3caを第一レール板3aに取り付ける時は、ボルトやナットなどの部材を使用して、第一レール板3aのレール溝3bへ簡単にネジ止めして取り付けすることができる。尚、レール溝3bについては、一直線の溝に限定されるものではなく、例えば、途中でレール溝3bが途切れていたり、レール溝3bが丸型や四角型などにくり抜かれた複数の穴が連続して配置している状態であってもよい。
【0019】
図4に示す二つの正六面体は、切断対象物の成形品を固定するための専用の治具3fである。切断したい箇所を境目として、左側の治具3fと右側の治具3fで成形品を挟み込こめるようになっている。すなわち、成形品を挟み込む前記治具3fの面体には、切断対象物の外径状にくり抜かれた外径部3hを形成している。また、残り五面の各々にも、異なる外径の外径部3h1を形成することで、1セット(左側の治具3fと右側の治具3fの組み合わせ)のみで、6種類の異なる形状の切断対象物を切断することができる治具3fを提供することができる。更に、左側の治具3fと右側の治具3fの挟み込む面の向きが間違わないように、図4に示すように、番号などの目印を左側の治具3fと右側の治具3fの両方に表記することで、同じ番号同士が合うように組み合わせするだけで間違わずに組み合わせできるようになっている。
【0020】
また、図1及び図4に示すように、前記治具3fの正六面体の各面体の四隅には、前記載置台3dに前記治具3fを載置した時に、前記載置台3dの天面に設置した柱状の嵌合凸部3eと嵌め合し保持できるように、嵌合凹部3gが形成されている。前記嵌合凸部3eに前記嵌合凹部3gを嵌め込み、前記治具3fを前記前記載置台3dの上にセットした状態が図11で示した状態である。
【0021】
前記載置台3dに載置した一対の前記治具3fは、切断対象物を切断するために前記切断刃5を切断対象物に切入すると、右側に載置した右側治具3fと左側に載置した左側治具3fの間は切断刃5の厚み分、隙間が開くようになっている。すなわち、前記嵌合凹部3gの形状は、左右方向に移動できるように、前記嵌合凸部3eの外径よりも前記切断刃5の厚みの半分の厚み幅分、左右に長くなるような長穴形状に加工している。
【0022】
次に、移動手段4の構造について説明する。図1乃至図3に示すように、操作者が手動操作で動かすために、移動手段4であるラム4cには複数のネジ溝4bが形成されている。また、前記ラム4cは支柱2と連結部8で連結されており、手動レバー4aを動かすと前記手動レバー4aの動作と連動した歯車構造を有するピニオンギヤがネジ溝4bと噛み合い、昇降動作が作動するようになっている。尚、本発明の切断装置Aの移動手段4は、手動プレス機で用いられているラック・アンド・ピニオン式で説明を行っているが、ラック・アンド・ピニオン式に限定されるものではない。また、移動手段4については、前後または、左右に動作する構造の装置であっても良い。
【0023】
図1乃至図3に示すように、前記ラム4cの下端側には第二レール板4dが取り付けられており、第二レール板4dは第一レール板3aの上面と水平となるように取り付けられている。また、前記第二レール板4dの下面側には、本発明の切断装置Aを正面からみて水平方向となる位置に複数のレール溝4eが形成されている。
【0024】
図5及び図6は切断刃5とレール溝4eが当接している状態を示した図であり、図7図6の当接状態を断面図として表したイメージ図である。また図8は、切断刃5と第二レール板4dの当接状態を正面からみたイメージ図である。図7に示すように、前記切断刃5の端面に係合して、切断刃5の回動方向の位置決めを行う位置決め用凹部4fの役目をレール溝4eは有している。具体的には、切断刃5の上端側がレール溝4eと直交しながら当接することで切断刃5の位置決めができるようになるので、適正な位置で保持することができる。また、切断動作を繰り返すうちに使用劣化により切断刃5の一部が欠けたり、切断対象物Bの切れ味が悪くなった際は、切断刃5を回動方向に移動させて付け直すことができ、切断刃5の交換時期を遅らせることができるので経済的である。
【0025】
また、図6乃至図9に示すように、前記ホルダ6は、前記切断刃5の側面をホルダ本体6aと支持部6bの2枚のプレートで挟み込みできるものである。また、前記ホルダ本体6aと支持部6bの接する側面側を開通させた第一取付部6cに、ボルトやナットなどを使用してネジ止めすることで切断刃5がホルダ6によって保持できるようになる。このように、前記切断刃5の左右2ヶ所をホルダ6で回動不能に保持することで、切断刃5が動かないように固定することができる。また、異なる厚みの切断刃5も、取り付けすることができる。
【0026】
これにより図6に示すように、切断刃5をホルダ6で挟み込んで取り付けているため、切断刃5の側面の縦方向中心付近には、切断時に邪魔になるものがなく、縦長の切断対象物を縦方向に切断することも可能となる。更に、直径サイズの異なる切断刃5を付け替えする場合に、図9に示すように、前記ホルダ6は、第二取付部6dの穴をホルダ本体6aの上面側に複数個、形成しておくことで、レール溝4eと第二取付部6dの穴の設置位置を移動させることができるので、大きさが異なる様々なサイズの切断刃5を容易に付け替えることができる。
【0027】
また、図9はホルダ本体6aへ吸着手段7である磁石を嵌め込む位置を示したイメージ図である。切れ味が悪くなった箇所の切断刃5を、回動方向に移動させて付け直す時に、第一取付部6cにボルトやナットなどでネジ止めされているネジを緩める必要がある。その際、切断刃5が誤って落下してしまう危険があるため、ホルダ6のネジを緩めても切断刃5が落下しないように、ホルダ本体6aに取り付けられ、切断刃5の側面を吸着保持するための磁石などの吸着手段7を有している。
【0028】
具体的には、切断刃5とホルダ本体6aとが当接する面のホルダ本体6a側の一部に、図9に示すように、吸着物設置部6eを形成している。前記吸着物設置部6eには、前記切断刃5の落下を防止するための磁石などの吸着物を嵌め込んでいる。尚、図7では、左右2ヶ所のホルダ本体6a位置に磁石などの吸着物を装着するための前記吸着物設置部6eを形成しているが、嵌め込む磁石などは、左右2ヶ所の両方のホルダ本体6aに嵌め込んでもよく、また、どちらか一方のホルダ本体6aに嵌め込んだだけでも良い。
【0029】
更に、本発明の切断装置Aは、引き切り効果を加えるために切断刃5は丸刃を装着している。尚、引き切り効果が加われば良いため、本発明の切断装置Aには丸刃以外に、図示はしていないが、平面刃の左右の一方の高さ方向を上下にずらして刃先を斜めして取り付けても良い。また、刃先の先端が略Vの字を形成した五角形刃や六角形刃などの多角形を有する切断刃を、略Vの字を下方にむくようにし、刃先が斜めになるように取り付けても良い。これにより、刃を下方に移動させるだけで、引き切り効果を加えた切断を実施することができる。
【0030】
図10図3に示すV部を拡大した図であるが、本発明の切断装置Aには、前記治具3fに挟み込まれた切断対象物に、前記切断刃5が切入した時、図16及び図17に示すように、前記治具3fを左右から挟み込んで保持する役目を有する治具保持部4gが、第二レール板4dの下面側から下方に垂れるように取り付けられている。また、図10に示すように前記治具保持部4gには、前記治具3fと前記治具保持部4gが接する面側に、複数のボールプランジャ4hが嵌めこまれている。前記ボールプランジャ4hとは、先端にボールを備え、内蔵されたバネにより先端の前記ボールに荷重がかかると、前記ボールがプランジャの中に入り込んだり、外方へ出てきたりする部品のことを言う。
【0031】
図10に示す前記ボールプランジャ4hのボールが図16乃至図17に示すように、前記治具3fの表面を転がりながら前記治具3fを挟み込んでホールドする。前記切断対象物に前記切断刃5が切入していくと、切断対象物が比較的硬い樹脂であった場合は、前記切断刃5の刃の厚み分、前記治具3fが左右に開くように移動する構造になっている。そのため、前記治具3fが左右に開いた場合でも、前記治具3fをしっかりと挟んでホールドできるように、前記ボールプランジャ4hに内蔵されているバネの力で前記治具3fを左右で挟み込んでホールドし、ガタつかせないようにしている。これにより、前記切断刃5は、前記切断対象物が比較的硬い樹脂材などであっても、まっすぐな状態で前記切断刃5を切入させながら、まっすぐな状態で切断していくことが可能となる。
【0032】
図1乃至図3に示すように本発明の切断装置Aには、第二レール板4dの外周の近い位置に、切断刃5に一体移動可能に設けられて、切断刃5の周囲を包囲する第一のカバー9が取り付けられている。また、前記切断刃5と前記保持手段3との間には、図14及び図15に示すように、手動レバー4aが動作する前の状態において、切断刃5の刃先が外へ飛び出ない位置に、第二のカバー10が取り付けられている。第二のカバー10は手動レバー4aを動作させることで、図3に示す第二のカバー10に設けられた開口部10aから切断刃5を通過させることができる。
【0033】
更に、本発明の切断装置Aには図14及び図15に示すように、ラム4cの円柱上端近傍に前記ラム4cの円柱径より大きい径を有する筒状のストッパーキャップ11を取りつけている。また、図15のX部を拡大した図を図20で示してしているが、手動レバー4aの動作前の状態の時は、ストッパーキャップ11の下端側に当接して引っかかる位置に、安全ストッパー12のピン12bがくるように設置している。これにより、手動レバー4aを動かそうとしても、ピン12bがストッパーキャップ11の下端側に引っかかり、切断刃5の刃先が第二のカバー10の開口部10aから飛び出る心配がないので、安全に使用することができる。
【0034】
次に、図16のY部を拡大した拡大図を図21に示す。また、図18のZ部を拡大した拡大図を図22に示している。図20乃至図22は、ストッパーキャップ11周辺の操作動作を示した状態の図であるが、図20の状態から、安全ストッパー12のノブ12aを手前に引く操作をすることで、ピン12bが内側に引っ込み、図21に示すように、ストッパーキャップ11の側面に乗り上がるようになっている。そのため、安全ストッパー12は、ピン12bの出し入れ構造をもつインデックスプランジャなどを取り付けると良い。これにより、手動レバー4aが意図せず動作した場合であっても、ストッパーキャップ11の下端側にピン12bが引っかかるためロックがかかり、切断刃5の降下を防ぐことができる。
【0035】
更に、図22に示すとおり、ストッパーキャップ11の上端周壁の角面をコーナーRにして丸めておくことで、手動レバー4aを回した後、手動レバー4aを元の位置に戻す時は、ピン12bの先端の球面とストッパーキャップ11の上端周壁のコーナーRが接し合いながら、コーナーRのカーブ面にピン12bの先端が押されることになるので、ピン12bの先端は徐々に引っ込みながらストッパーキャップ11の側壁面を通過していくため、ノブ12aの出し入れ操作をしなくても良い。
【0036】
これより、本発明の切断装置Aを使用して、切断対象物を切断する操作の流れを簡単に説明する。図1及び図2の状態から、切断対象物を挟み込んだ前記治具3fを図11乃至図13に示すように、前記載置台3dの上にセットする。前記治具3fをのせた前記載置台3dは、滑り部3cによって切断刃5の真下までスライド移動させ、図14及び図15の位置で前記載置台3dはロックがかかり静止した状態になる。
【0037】
次に、図15に示す安全ストッパー12を手指でつまんで手前に引くと、図20に示すノブ12aが引っ込んだ状態となる。この状態で図15に示す手動レバー4aを回していくと第二レール板4dに取り付けられた前記切断刃5が降下を開始し、図16及び図17に示すように前記治具3fに挟まれて保持されている切断対象物の切断が開始されることになる。更に、手動レバー4aを回すと図18及び図19に示すように前記切断刃5が更に降下し、切断対象物を真っ二つに切断することができる。
【0038】
前記切断対象物の切断が完了したら、図18に示す前記手動レバー4aを、降下させるために回した方向とは逆の方向に回して、図15に示した位置まで前記手動レバー4aを元の位置に戻していく。前記載置台3dをスライドさせて図12に示した位置まで移動させ、前記治具3fを前記載置台3dから取り外し、前記治具3fに挟まれていた切断済みの切断対象物を取り出す。以上の流れで、簡単に成形品などを安全な状態でキレイに切断することができる。
【0039】
本発明で使用する切断刃5は、市販の丸刃を購入して取り付けることができるものである。切断刃5の刃先の断面は、中心線に対してそれぞれ等しい角度を有するものを使用することで、切れる際に切断刃5の刃先が真っ直ぐに切断対象物Bへ突き刺さり真っ直ぐ進んでいくようになり切断面が綺麗に切断することができる。また、刃先は鋭利であれば更に切れ味を増すことができる。
【0040】
本発明の切断装置Aは、プラスチックやアルミなどで成形した容器やキャップなどの成形品の品質管理をするために、少量の成形品を定期的に抜き取って断面の寸法形状の測定を行う際に、容易に且つ切断面が綺麗に成形品を切断できる切断装置Aして発明したものである。そのため、構造的にも簡単で、低コストで安全性に優れた手動式切断装置Aを提供することができる。尚、本発明は成形品の切断用に発案した製品ではあるが、切断対象物は成形品に限定されるわけではなく、例えば塩化ビニールやポリエチレンなどの樹脂やゴム製パイプや電線など、様々な切断対象物に対して、切断バリの発生を抑えて、切断面が綺麗な切断装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 土台
2 支柱
3 保持手段
3a 第一レール板
3b レール溝
3c 滑り部
3ca 基部
3d 載置台
3e 嵌合凸部
3f 治具
3g 嵌合凹部
3h 外径部
3h1 外径部
4 移動手段
4a 手動レバー
4b ネジ溝
4c ラム
4d 第二レール板
4e レール溝
4f 位置決め用凹部
4g 治具保持部
4h ボールプランジャ
5 切断刃
6 ホルダ
6a ホルダ本体
6b 支持部
6c 第一取付部
6d 第二取付部
6e 吸着物設置部
7 吸着手段
8 連結部
9 第一のカバー
10 第二のカバー
10a 開口部
11 ストッパーキャップ
12 安全ストッパー
12a ノブ
12b ピン
A 切断装置
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