(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166654
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
H05K13/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077286
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】千葉 剛樹
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353DD12
5E353GG11
5E353GG24
5E353GG25
5E353GG31
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ03
5E353QQ15
(57)【要約】
【課題】小基板でも効率的に部品を実装することができる部品実装装置および部品実装方法を提供する。
【解決手段】部品実装装置は、停止位置E1よりも上流の小基板停止位置E2において基板を検出する第1の基板検出センサS1と、停止位置E1において基板を検出する第2の基板検出センサS2と、を備える。搬送ベルト12によって基板を搬送して停止位置E1に停止させ、停止している基板に部品を実装する部品実装方法は、その基板よりも搬送方向のサイズが小さな小基板3Sを搬送する場合、停止位置E1よりも上流の小基板停止位置E2で小基板3Sを停止させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトを駆動するベルト駆動部を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の停止位置に停止させる基板搬送部と、
前記停止位置よりも上流の位置に設けられ、前記上流の位置において前記基板を検出する第1の基板検出センサと、
前記停止位置において前記基板を検出する第2の基板検出センサと、
前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動部を制御し、前記基板を前記停止位置で停止させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記基板よりも搬送方向のサイズが小さな小基板を搬送する場合、前記第1の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動部を制御し、前記小基板を前記上流の位置で停止させる、部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置であって、
前記基板を搬送する場合、前記制御部は前記第1の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記ベルト駆動部を制御して搬送ベルトの搬送速度を減速させる、部品実装装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品実装装置であって、さらに、
部品供給部から部品を取り出し、前記基板搬送部に停止している前記基板または前記小基板に前記部品を実装する実装ヘッドと、
前記部品供給部と前記基板搬送部の間に配置され、前記実装ヘッドが保持する部品を認識する認識部と、を備え、
前記第1の基板検出センサは、前記第2の基板検出センサよりも前記認識部の近くに設けられる、部品実装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品実装装置であって、
前記上流の位置は、停止している前記小基板の少なくとも一部が、前記認識部の上方を前記搬送方向と交わる方向に移動する前記実装ヘッドの移動経路と重なる位置である、部品実装装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の部品実装装置であって、
前記第1の基板検出センサは、前記小基板の搬送方向のサイズに応じて前記搬送方向に移動可能である、部品実装装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の部品実装装置であって、さらに、
前記上流の位置よりも上流の位置に設けられ、前記小基板を検出する第3の基板検出センサを備え、
前記制御部は、前記第3の基板検出センサが前記小基板を検出すると、前記ベルト駆動部を制御して搬送ベルトの搬送速度を減速させる、部品実装装置。
【請求項7】
搬送ベルトによって基板を搬送して所定の停止位置に停止させ、停止している前記基板に部品を実装する部品実装方法であって、
前記基板よりも搬送方向のサイズが小さな小基板を搬送する場合、前記停止位置よりも上流の位置で前記小基板を停止させる、部品実装方法。
【請求項8】
請求項7に記載の部品実装方法であって、
前記基板を搬送する場合、前記基板が前記上流の位置に到達すると搬送ベルトの搬送速度を減速させる、部品実装方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の部品実装方法であって、
実装ヘッドが、部品供給部から部品を取り出し、
前記実装ヘッドが前記部品供給部と前記基板搬送部の間に配置された認識部の上方を前記搬送方向と交わる方向に移動する間に、前記実装ヘッドが保持する前記部品を前記認識部が認識し、
前記実装ヘッドが、前記停止位置で停止している前記基板または前記上流の位置で停止している前記小基板に前記部品を実装する、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送して部品を実装する部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、基板搬送部の搬送ベルトで基板を停止位置に搬送し、実装ヘッドで部品供給部から部品を取り出し、部品供給部と基板搬送部との間に配置されたカメラで実装ヘッドが保持する部品を撮像し、実装ヘッドの位置を補正して停止位置の基板に部品を実装する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品実装装置は、停止位置で基板の先端部を検出する第1の基板検出センサと、停止位置からオーバランした基板の先端部を検出する第2の基板検出センサを備えており、これら2つの基板検出センサの検出結果に基づいて基板搬送部を制御することにより、基板を停止位置に正確に位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術は、基板の先端部を常に基板搬送部に設定された停止位置に位置決めするものであり、カメラと停止位置の位置関係は固定されている。そのため、サイズが小さな小基板を停止位置に位置決めすると、カメラを経由して停止位置の小基板まで移動する実装ヘッドの移動経路が必要以上に長くなり、部品実装作業の効率が低下する場合があり、更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、小基板でも効率的に部品を実装することができる部品実装装置および部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、搬送ベルトを駆動するベルト駆動部を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の停止位置に停止させる基板搬送部と、前記停止位置よりも上流の位置に設けられ、前記上流の位置において前記基板を検出する第1の基板検出センサと、前記停止位置において前記基板を検出する第2の基板検出センサと、前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動部を制御し、前記基板を前記停止位置で停止させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記基板よりも搬送方向のサイズが小さな小基板を搬送する場合、前記第1の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動部を制御し、前記小基板を前記上流の位置で停止させる。
【0007】
本発明の部品実装方法は、搬送ベルトによって基板を搬送して所定の停止位置に停止させ、停止している前記基板に部品を実装する部品実装方法であって、前記基板よりも搬送方向のサイズが小さな小基板を搬送する場合、前記停止位置よりも上流の位置で前記小基板を停止させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小基板でも効率的に部品を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の要部の構成を示す平面図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送部の(a)平面図(b)側面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置による停止位置に停止した大基板に対する部品実装作業の説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置による小基板に対する部品実装作業において(a)停止位置に停止した場合の説明図(b)小基板停止位置に停止した場合の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置による部品実装方法のフロー図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置による大基板搬送方法のフロー図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置による小基板搬送方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、基板搬送部の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板の搬送方向のX軸(
図1における左右方向)、基板の搬送方向に直交するY軸(
図1における上下方向)が示される。
図2(b)、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(
図2(b)における上下方向)が示される。
【0011】
まず
図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1は、部品供給部から供給された部品を基板に実装して実装基板を製造する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの上部には、基板搬送部2がX軸に沿って設置されている。基板搬送部2は、上流から搬入された基板3をX軸に沿って搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送部2は、部品実装作業が完了した基板3を下流に搬出する。
【0012】
基板搬送部2の前側には、部品供給部4が設置されている。部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送部2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
【0013】
図1において、基台1aの上面におけるX軸方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア機構を備えたビーム7がY軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド8の下端部には、部品を真空吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0014】
Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8を水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させる実装ヘッド移動機構9を構成する。実装ヘッド移動機構9および実装ヘッド8は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5の部品取出し位置から部品を吸着ノズルによって取り出し、基板搬送部2に停止して保持された基板3の実装位置に部品を移送して実装する部品実装作業の一連のターンを繰り返し実行する。
【0015】
図1において、実装ヘッド8には、ビーム7の下面側に位置して実装ヘッド8とともに一体的に移動するヘッドカメラ10が装着されている。実装ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ10は基板搬送部2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像して基板3の位置を認識する。
【0016】
部品供給部4と基板搬送部2との間には、部品認識カメラ11が設置されている。部品認識カメラ11は、部品供給部4から部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ11の上方を通過する際に、吸着ノズルに保持された部品を下方から撮像する。すなわち、部品認識カメラ11は、部品供給部4と基板搬送部2の間に配置され、実装ヘッド8が保持する部品を認識する認識部である。実装ヘッド8による部品の基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ10による基板3の認識結果と部品認識カメラ11による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0017】
次に
図2を参照して、基板搬送部2の構成および機能を説明する。
図2(a)において、基板搬送部2は固定レール2aと可動レール2bに沿ってX軸方向に設置された搬送ベルト12を備えている。
図2(b)に示すように、搬送ベルト12は固定レール2aおよび可動レール2bの両端部に配置された2つのプーリ12aおよびモータを駆動源とするベルト駆動部13の駆動プーリ13aに調帯されている。ベルト駆動部13を駆動することにより、搬送ベルト12が固定レール2aおよび可動レール2bに沿って走行し、搬送ベルト12の上面に載置された基板3がX軸に沿って搬送される。
【0018】
図2(a)において、固定レール2aは、基台1aに対して位置が固定されている。一方、可動レール2bは、レール移動機構(図示省略)によって搬送ベルト12、ベルト駆動部13と一体となってY軸に沿って移動する(矢印a)。可動レール2bの位置は、基板搬送部2が搬送する基板3の幅(Y軸方向の長さ)に応じて変更される。
【0019】
図2において、基板搬送部2による搬送経路には、実装ヘッド8の移動可能な範囲、すなわち部品実装が可能な実装作業領域に対応して、実装ステージ[A]が設定されている。実装ステージ[A]には、下受け部材14aを昇降機構14bによって昇降させる(矢印b)構成の基板下受け部14が設けられている。下受け部材14aの上面には、基板3の下面に当接して下受け支持する複数の下受けピン14cが立設されている。実装ステージ[A]に搬入されて所定の実装作業位置に位置決めされた基板3に対して下受け部材14aを上昇させることにより、基板3は下面側から昇降自在な下受けピン14cによって下受け支持される。下受けピン14cの配置は、支持する基板3のサイズ、基板3の下面に実装済みの部品の位置等に対応して変更される。
【0020】
図2において、基板搬送部2は、ベルト駆動部13のモータの駆動方向を正逆反転させることで、
図2の左右のいずれの方向にも基板3を搬送することができる。以下、
図2における左側を上流、右側を下流と定義する。また、上流から下流に向かう方向を基板の搬送方向と定義する。
【0021】
固定レール2aと可動レール2bにおいて、部品実装装置1が実装可能な最大の基板(以下、「大基板3L」と称する。)が実装作業位置に停止した際に、大基板3Lの下流の端部が位置する停止位置E1(
図4参照)には、第2の基板検出センサS2が設置されている。また、固定レール2aと可動レール2bにおいて、搬送方向とは逆の方向に搬送されて実装作業位置に停止した大基板3Lの上流の端部の位置には、第3の基板検出センサS3が設置されている。すなわち、第2の基板検出センサS2と第3の基板検出センサS3は、基板搬送部2において部品認識カメラ11を挟んでY軸に対称な位置に配置されている。
【0022】
図2において、固定レール2aと可動レール2bにおいて、第2の基板検出センサS2と第3の基板検出センサS3の間には、第1の基板検出センサS1が設置されている。すなわち、第1の基板検出センサS1は、停止位置E1よりも上流の位置であり、第2の基板検出センサS2よりも部品認識カメラ11(認識部)の近くである位置に設けられている。また、第1の基板検出センサS1は、X軸に沿って設置位置が移動可能に設けられている(矢印c)。
【0023】
第1の基板検出センサS1、第2の基板検出センサS2、第3の基板検出センサS3は遮光式の光学センサであり、搬送ベルト12によって搬送される基板3の前端の中央部(固定レール2aと可動レール2bの中間の位置)が光学センサの検出光軸を通過して遮光することより基板3を検出する。このように、第2の基板検出センサS2は、停止位置E1において基板3を検出する。また、第1の基板検出センサS1は、停止位置E1よりも上流の位置において基板3を検出する。第1の基板検出センサS1、第2の基板検出センサS2、第3の基板検出センサS3による検出結果は、部品実装装置1の本体に配置された制御装置20(
図3参照)に伝達される。
【0024】
次に
図3を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について詳細に説明する。部品実装装置1が備える制御装置20には、基板搬送部2、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11、第1の基板検出センサS1、第2の基板検出センサS2、第3の基板検出センサS3が接続されている。制御装置20は、実装データ記憶部21、搬送制御部22、実装制御部23を備えている。
【0025】
実装データ記憶部21は記憶装置であり、部品データ21a、実装データ21bなどが記憶されている。部品データ21aには、部品の種類毎に、部品名(種類)、部品のサイズなどが含まれている。実装データ21bには、製造される実装基板の種類毎に、基板3のサイズ、基板3に実装される部品の部品名(種類)、実装位置(XY座標)の他、後述する基板搬送モードを特定する情報などが含まれている。
【0026】
図3において、搬送制御部22は、実装データ21bにおいて指定された基板搬送モードに従って基板搬送部2を制御し、基板3を搬送して実装作業位置に位置決めする。ここで
図4を参照しながら、搬送制御部22による具体的な制御について説明する。
図4は、大基板搬送モードによって、大基板3Lを実装作業位置に位置決めした後の状態を示している。大基板搬送モードでは、搬送制御部22(制御部)は、第1の基板検出センサS1および第2の基板検出センサS2による大基板3Lの検出結果に基づいてベルト駆動部13を制御し、大基板3Lを停止位置E1で停止させる。
【0027】
具体的には、搬送制御部22は、上流の装置から大基板3Lを受け取ると、ベルト駆動部13を作動させ、所定の搬送速度で大基板3Lを下流に向けて搬送させる。次いで搬送制御部22は、第1の基板検出センサS1が大基板3Lを検出すると、ベルト駆動部13を制御して搬送ベルト12の搬送速度を減速させる。次いで搬送制御部22は、第2の基板検出センサS2が大基板3Lを検出すると、ベルト駆動部13を制御して搬送ベルト12を停止させる。これによって、大基板3Lは、停止位置E1で停止する。
【0028】
図3において、実装制御部23は、実装データ21bに基づいて、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、部品認識カメラ11を制御して、実装ヘッド8により部品供給部4のテープフィーダ5が供給する部品を取り出し、実装作業位置に保持されている基板3の実装位置に実装する。ここで、
図4を参照しながら、実装制御部23による部品実装作業の具体的な制御について説明する。実装制御部23は、実装ヘッド8が部品供給部4から部品を取り出す際は、部品供給部4に配置された複数のテープフィーダ5の並び方向、すなわち実装制御部23は、X軸に沿って実装ヘッド8を移動させ(矢印d1)、実装ヘッド8により所定のテープフィーダ5から部品を取り出させる。
【0029】
実装ヘッド8が部品を保持すると、実装制御部23は、実装ヘッド8を部品認識カメラ11の手前で停止させる(
図4の状態)。次いで実装制御部23は、実装ヘッド8をY軸に沿って移動させて部品認識カメラ11の上方を通過させ、実装作業位置に保持されている大基板3Lの上方まで移動させる(矢印d2)。部品認識カメラ11(認識部)は、実装ヘッド8が上方を通過する際に、実装ヘッド8が保持する部品を認識する。実装ヘッド8が大基板3Lの上方まで移動すると、実装制御部23は、実装ヘッド8を大基板3Lの実装位置の上方まで移動させ、保持する部品を実装位置に実装させる。
【0030】
次に、
図5(a)を参照して、大基板搬送モードによって、大基板3Lよりもサイズが小さな小基板3Sを搬送して実装作業位置に位置決めした場合に発生する問題点について説明する。ここで、小基板3Sは、大基板3Lよりも搬送方向(X軸方向)のサイズ(長さ)が小さな基板3である。また、この例では、小基板3Sは、大基板3Lよりも搬送方向に直交する方向(Y軸方向)のサイズも小さい。小基板3Sを搬送する場合、まず、小基板3SのY軸方向のサイズ(幅)に合わせて可動レール2bの位置を移動させる。次に、上述した大基板3Lと同じ制御によって、搬送制御部22が小基板3Sを停止位置E1で停止させる。
【0031】
この状態で、実装制御部23が部品実装作業を実行させると、次の問題が発生する。すなわち、部品供給部4から部品を取り出して部品認識カメラ11の手前まで移動した実装ヘッド8は(矢印e1)、次いでY軸に沿って基板搬送部2まで移動する(矢印e2)。しかし、小基板3Sは搬送方向のサイズが小さく、部品認識カメラ11の上方からY軸に沿って移動した実装ヘッド8の位置には小基板3Sが無い。そのため、実装ヘッド8は小基板3Sの上方まで下流に沿ってさらに移動する必要があり(矢印e3)、その部分は部品実装作業に寄与しない無駄な移動経路となり、作業時間が長くなる。
【0032】
次に、
図5(b)を参照して、小基板搬送モードによって、小基板3Sを実装作業位置に搬送する制御について説明する。小基板搬送モードでは、搬送制御部22(制御部)は、第1の基板検出センサS1および第3の基板検出センサS3による小基板3Sの検出結果に基づいてベルト駆動部13を制御し、小基板3Sを停止位置E1よりも上流の位置(以下、「小基板停止位置E2」と称する。)で停止させる。
【0033】
具体的には、搬送制御部22は、上流の装置から小基板3Sを受け取ると、ベルト駆動部13を作動させ、所定の搬送速度で小基板3Sを下流に向けて搬送させる。次いで搬送制御部22は、第3の基板検出センサS3が小基板3Sを検出すると、ベルト駆動部13を制御して搬送ベルト12の搬送速度を減速させる。次いで搬送制御部22は、第1の基板検出センサS1が小基板3Sを検出すると、ベルト駆動部13を制御して搬送ベルト12を停止させる。これによって、小基板3Sは、小基板停止位置E2で停止する。このように、第3の基板検出センサS3は、停止位置E1よりも上流の位置(小基板停止位置E2)よりもさらに上流の位置に設けられ、小基板3Sを検出する。
【0034】
図5(b)において、小基板3Sを停止位置E1よりも上流の小基板停止位置E2で停止させることにより、部品実装作業において次の効果が得られる。すなわち、部品供給部4から部品を取り出して部品認識カメラ11の手前まで移動した実装ヘッド8は(矢印f1)、次いでY軸に沿って基板搬送部2まで移動する(矢印f2)。そして、実装ヘッド8が基板搬送部2まで移動した位置には小基板3Sが停止(保持)されているため、実装ヘッド8の移動経路に部品実装作業に寄与しない無駄な部分が発生せず、実装効率が向上する。
【0035】
このように、小基板停止位置E2(上流の位置)は、停止している小基板3Sの少なくとも一部が、部品認識カメラ11(認識部)の上方を搬送方向(X軸方向)と交わる方向に移動する実装ヘッド8の移動経路(矢印f2)と重なる位置である。なお、第1の基板検出センサS1はX軸に沿って移設可能であり、その設置位置は小基板停止位置E2に停止した小基板3Sに対する実装効率が高くなる位置に設定される。すなわち、第1の基板検出センサS1は、小基板3Sの搬送方向のサイズに応じて搬送方向に移動可能であり、実装ヘッド8の移動距離が短くなるように小基板3Sの搬送方向のサイズ(長さ)に応じて設定される。
【0036】
次に、
図6のフローに沿って、
図4、
図5(b)を参照しながら部品実装装置1による搬送ベルト12によって基板3を搬送して所定の停止位置に停止させ、停止している基板3に部品を実装する部品実装方法について説明する。ここでは、基板3を1枚搬送し、搬送した基板3に部品を実装する例で説明する。まず、搬送制御部22は、実装データ21bに含まれる基板3の基板搬送モードに基づいて、基板3が大基板3Lであるか、小基板3Sであるかを判断する(ST1:基板サイズ判断工程)。
【0037】
基板搬送モードが大基板搬送モードの場合(ST1においてYes)、搬送制御部22は、基板3を大基板3Lとして大基板搬送モードにより実装作業位置に搬送する(ST2:大基板搬送工程)。基板搬送モードが小基板搬送モードの場合(ST1においてNo)、搬送制御部22は、基板3を小基板3Sとして小基板搬送モードにより実装作業位置に搬送する(ST3:小基板搬送工程)。
【0038】
図6において、基板3が実装作業位置に搬送されて位置決めされると、実装制御部23によって部品実装作業が実行される。すなわち、実装ヘッド8が部品供給部4から部品を取り出して(ST3:部品取出し工程)、部品認識カメラ11の手前まで移動する(
図4の矢印d1、
図5(b)の矢印f1)。次いで実装ヘッド8が部品供給部4と基板搬送部2の間に配置された部品認識カメラ11(認識部)の上方を搬送方向(X軸方向)と交わる方向に移動する間に(
図4の矢印d2、
図5(b)の矢印f2)、実装ヘッド8が保持する部品を部品認識カメラ11が認識する(ST4:部品認識工程)。
【0039】
次いで実装ヘッド8は、所定の停止位置で停止している基板3に部品を実装する(ST5:部品実装工程)。すなわち、大基板3Lの場合は停止位置E1で停止している大基板3Lに、小基板3Sの場合は小基板停止位置E2で停止している小基板3Sに、実装ヘッド8が部品を実装する。次いで基板3に全ての部品を実装するまで部品取出し工程(ST3)、部品認識工程(ST4)、部品実装工程(ST5)が繰り返し実行される(ST6においてNo)。全ての部品が実装されると(ST6においてYes)、搬送制御部22はベルト駆動部13を駆動させて、実装作業位置の基板3を搬出させる(ST7:基板搬出工程)。
【0040】
次に
図7を参照して、大基板搬送工程(ST2)(大基板搬送方法)の詳細について説明する。まず、搬送制御部22はベルト駆動部13を作動させて、上流の装置から受け取った大基板3Lを搬送ベルト12によって下流に向けて搬入する(ST11)。次いで第1の基板検出センサS1が大基板3Lを検出すると(ST12においてYes)、搬送制御部22はベルト駆動部13を制御して大基板3Lの搬送速度を遅くする(ST13)。
【0041】
すなわち、大基板3Lを搬送する場合、大基板3Lが小基板停止位置E2(上流の位置)に到達すると搬送ベルト12の搬送速度を減速させる。次いで第2の基板検出センサS2が大基板3Lを検出すると(ST14においてYes)、搬送制御部22はベルト駆動部13を停止させる(ST15)。これにより、大基板3Lは停止位置E1で停止する。
【0042】
次に
図8を参照して、小基板搬送工程(ST3)(小基板搬送方法)の詳細について説明する。まず、搬送制御部22はベルト駆動部13を作動させて、上流の装置から受け取った小基板3Sを搬送ベルト12によって下流に向けて搬入する(ST21)。次いで第3の基板検出センサS3が小基板3Sを検出すると(ST22においてYes)、搬送制御部22はベルト駆動部13を制御して小基板3Sの搬送速度を遅くする(ST23)。
【0043】
次いで第1の基板検出センサS1が小基板3Sを検出すると(ST24においてYes)、搬送制御部22はベルト駆動部13を停止させる(ST25)。これにより、小基板3Sは小基板停止位置E2で停止する。大基板3Lよりも搬送方向のサイズが小さな小基板3Sを搬送する場合、停止位置E1よりも上流の位置(小基板停止位置E2)で小基板3Sを停止させる。これによって、小基板3Sでも効率的に部品を実装することができる。
【0044】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、搬送ベルト12を駆動するベルト駆動部13を有し、搬送ベルト12によって部品が実装される大基板3Lを搬送して所定の停止位置E1に停止させる基板搬送部2と、停止位置E1よりも上流の位置(小基板停止位置E2)に設けられ、小基板停止位置E2において大基板3Lを検出する第1の基板検出センサS1と、停止位置E1において大基板3Lを検出する第2の基板検出センサS2と、第1の基板検出センサS1および第2の基板検出センサS2の検出結果に基づいてベルト駆動部13を制御し、大基板3Lを停止位置E1で停止させる制御部(搬送制御部22)と、を備える。
【0045】
そして、制御部は、大基板3Lよりも搬送方向のサイズが小さな小基板3Sを搬送する場合、第1の基板検出センサS1の検出結果に基づいてベルト駆動部13を制御し、小基板3Sを小基板停止位置E2(上流の位置)で停止させる。これによって、小基板3Sでも効率的に部品を実装することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の部品実装装置および部品実装方法は、小基板でも効率的に部品を実装することができる、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 部品実装装置
2 基板搬送部
3 基板
3L 大基板
3S 小基板
8 実装ヘッド
11 部品認識カメラ(認識部)
12 搬送ベルト
13 ベルト駆動部
E1 停止位置
E2 小基板停止位置(上流の位置)
S1 第1の基板検出センサ
S2 第2の基板検出センサ
S3 第3の基板検出センサ