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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166661
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20231115BHJP
   H02K 7/075 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H02K7/075
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077302
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】連記 宏徳
(72)【発明者】
【氏名】木内 博之
【テーマコード(参考)】
5D107
5H607
【Fターム(参考)】
5D107AA08
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD09
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB14
5H607CC01
5H607EE57
(57)【要約】
【課題】指向性のある振動を発生させることができる振動発生装置を実現する。
【解決手段】一実施形態の振動発生装置1は、モータ軸と、重心から外れた位置で前記モータ軸に固定され、かつ、磁性を有する回転体31,32と、を備える2つの振動モータ20R,20Lを有する。2つの振動モータ20R,20Lは、それぞれが備える回転体31,32が隣接するように横並びで配置される。2つの振動モータ20R,20Lは、互いの回転体31,32の同極部同士が周期的に向き合うように、それら回転体31,32を同速度で逆方向に回転させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの振動モータを有する振動発生装置であって、
それぞれの前記振動モータは、モータ軸と、重心から外れた位置で前記モータ軸に固定され、かつ、磁性を有する回転体と、を備え、
2つの前記振動モータは、互いの前記回転体が隣接するように横並びで配置されており、
2つの前記振動モータは、互いの前記回転体の同極部同士が周期的に向き合うように、それら回転体を同速度で逆方向に回転させる、振動発生装置。
【請求項2】
それぞれの前記振動モータが備える前記モータ軸の両端に、前記回転体がそれぞれ設けられている、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
それぞれの前記振動モータは、互いに連結されて一体化している、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項4】
それぞれの前記振動モータは、共通の部材に固定されて一体化している、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記回転体が永久磁石である、請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項6】
前記回転体が永久磁石を内包している、請求項1に記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な分野で振動発生装置が使われている。例えば、スマートフォン等の通信機器の多くは、電話の着信やメールの受信を知らせるための振動を発生させる振動発生装置を備えている。また、一部のゲーム機器には、遊戯性や臨場感を高めるための振動を発生させる振動発生装置が内蔵されている。さらに、自動車等の車両に、振動発生装置が発生させる振動によって運転手に危険を知らせたり、注意を促したりする安全システムが搭載されることもある。
【0003】
上記のような振動発生装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている振動発生装置は、異なる速度で同時に連続回転される2つの振動モータを備えている。それぞれの振動モータは、重心から外れた位置でモータ軸に固定された分銅(回転体)を備えている。この結果、モータ軸の回転に伴って分銅が回転すると、遠心力(向心力と逆向きで大きさが等しい力)の作用によって振動が発生する。つまり、特許文献1に記載されている振動モータは、偏心回転質量方式の振動モータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-236468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏心回転質量方式の振動モータが備える回転体を等速回転させた場合、回転体の回転に伴って遠心力の方向は変化するが、遠心力の大きさは変化しない。このため、指向性のある振動を発生させることはできない。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の振動発生装置は、モータ軸と、重心から外れた位置で前記モータ軸に固定され、かつ、磁性を有する回転体と、を備える2つの振動モータを有する。2つの前記振動モータは、互いの前記回転体が隣接するように横並びで配置される。2つの前記振動モータは、互いの前記回転体の同極部同士が周期的に向き合うように、それら回転体を同速度で逆方向に回転させる。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態の振動発生装置によれば、指向性のある振動を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】振動発生装置の外観を示す斜視図である。
図2】振動発生装置の内部構造を示す平面図である。
図3】モータユニットの拡大平面図である。
図4】分銅の拡大斜視図である。
図5】回転角度0度の分銅を示す平面図である。
図6】回転角度45度の分銅を示す平面図である。
図7】回転角度90度の分銅を示す平面図である。
図8】回転角度135度の分銅を示す平面図である。
図9】回転角度180度の分銅を示す平面図である。
図10】回転角度225度の分銅を示す平面図である。
図11】回転角度270度の分銅を示す平面図である。
図12】回転角度315度の分銅を示す平面図である。
図13】回転角度360度の分銅を示す平面図である。
図14】モータユニットに作用するY軸方向の力と分銅の回転角度との関係を示すグラフ(波形図)である。
図15】分銅の一変形例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一または実質的に同一の構成には同一の符号を用いる。また、既に説明した構成については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0011】
<振動発生装置の概要>
図1は、本実施形態に係る振動発生装置1の外観を示す斜視図である。振動発生装置1は、金属製のハウジング10を備えている。ハウジング10は、平板状のベース部材11と、ベース部材11の上に被せられたカバー部材12と、から構成されている。別の見方をすると、ベース部材11は、カバー部材12の一面に設けられている開口部を閉塞しており、ハウジング10の底面を形成している。
【0012】
以下の説明では、ベース部材11によって形成されるハウジング底面の長辺方向を“前後方向”とし、ハウジング底面の短辺方向を“左右方向”とする。また、ハウジング底面の長辺方向および短辺方向の双方と直交する方向を“上下方向”とする。
【0013】
図2は、振動発生装置1の内部構造を示す平面図である。振動発生装置1は、ハウジング10に収容された2つの振動モータ20を備えている。以下の説明では、図2中で右側に示されている振動モータ20を“振動モータ20R”と呼び、図2中で左側に示されている振動モータ20を“振動モータ20L”と呼んで区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0014】
2つの振動モータ20は、連結部材21a,21bを介して互いに連結されている。より特定的には、振動モータ20Rには、一対の連結部材21a,21bが装着され、振動モータ20Lにも一対の連結部材21a,21bが装着されている。そして、振動モータ20Rに装着されている連結部材21a,21bと、振動モータ20Lに装着されている連結部材21a,21bと、が突き合わされた状態で互いに固定されている。
【0015】
さらに、2つの振動モータ20R,20Lは、ハウジング10に固定されている。より特定的には、振動モータ20R,20Lは、ベース部材11に固定され、カバー部材12によって覆われている。つまりと、ベース部材11は、2つの振動モータ20R,20Lが固定されている共通の部材である。
【0016】
上記のように、振動モータ20R,20Lは、互いに連結されることによって一体化しており、ベース部材11に固定されることによっても一体化している。以下の説明では、一体化された2つの振動モータ20R,20Lを“モータユニット20A”と総称する場合がある。
【0017】
ここで、説明の便宜上、モータユニット20Aの中心を原点とする直交二軸座標を定める。直交二軸座標の一方の座標軸(X軸)は、モータユニット20Aの中心を通って左右に延びる軸であり、他方の座標軸(Y軸)は、モータユニット20Aの中心を通って上下に延びる軸である。
【0018】
<振動モータ>
図3は、モータユニット20Aの拡大平面図である。上記のとおり、モータユニット20Aは、一体化された2つの振動モータ20R,20Lから構成されている。もっとも、2つの振動モータ20R,20Lは、同一または実質的に同一の構造を有する。
【0019】
振動モータ20R,20Lは、円筒形のモータハウジング22と、モータハウジング22を当該モータハウジング22の長手方向(前後方向)に貫通するモータ軸23と、を含むブラシ付きDCモータである。
【0020】
図示は省略するが、モータハウジング22内には、モータ軸23が固定されたロータが収容されている。さらに、モータハウジング22の内周面上には、ロータを取り囲むように磁石が配置されている。図1に示されるプリント配線基板13を通じて入力された電圧がコンミテータやブラシを介してロータ上のコイルに印加されると、ロータ及びモータ軸23が回転する。
【0021】
モータ軸23の一端側は、モータハウジング22の一方の端面から外に突出しており、モータ軸23の他端側は、モータハウジング22の他方の端面から外に突出している。
【0022】
モータハウジング22から突出しているモータ軸23の両端には、回転体31,32がそれぞれ設けられている。回転体31,32は、モータ軸23に固定された錘であって、モータ軸23と一体的に回転する。以下の説明では、回転体31を“分銅31”と呼び、回転体32を“分銅32”と呼ぶ場合がある。
【0023】
<回転体(分銅)>
図4は、分銅31,32の拡大斜視図である。分銅31,32は、鉄などの磁性体によって柱状または棒状に形成されている。より特定的には、分銅31,32は、略扇形の断面を有する柱状または棒状に形成されている。
【0024】
分銅31,32には、それらを貫く貫通孔33が設けられている。モータ軸23の両端は、分銅31,32の貫通孔33にそれぞれ挿入され、固定されている。より特定的には、モータ軸23の一端は、分銅31の貫通孔33に挿入され、固定されている。また、モータ軸23の他端は、分銅32の貫通孔33に挿入され、固定されている。
【0025】
それぞれの貫通孔33は、分銅31,32の重心から外れた位置に設けられている。この結果、分銅31,32は、その重心から外れた位置でモータ軸23に固定されている。言い換えれば、分銅31,32の重心は、これら分銅31,32の回転中心から離れている。つまり、分銅31,32は偏心している。
【0026】
さらに、分銅31,32は、磁性を有している。より特定的には、分銅31、32の径方向の半分または略半分はN極に着磁され、残りの半分または略半分はS極に着磁されている。別の見方をすると、分銅31,32は、永久磁石である。なお、分銅31,32のN極に着磁されている部分の質量とS極に着磁されている部分の質量とは、同一または略同一である。
【0027】
図2図3に示されるように、2つの振動モータ20R,20Lは、それぞれのモータ軸23が互いに平行になるように、左右に横並びで配置されている。別の見方をすると、2つの振動モータ20R,20Lは、左右方向(X軸方向)で隣接している。この結果、それぞれの振動モータ20R,20Lが備える分銅31,32も、左右方向(X軸方向)で隣接している。より特定的には、振動モータ20Rが備える回転体31と振動モータ20Lが備える回転体31とが隣接している。また、振動モータ20Rが備える回転体32と振動モータ20Lが備える回転体32とが隣接している。
【0028】
以下の説明では、振動モータ20Rが備える分銅31,分銅32を“分銅31R”,“分銅32R”と呼び、振動モータ20Lが備える分銅31,分銅32を“分銅31L”,“分銅32L”と呼んで区別する場合がある。また、分銅31,32のN極に着磁されている部分を“N極部”と呼び、分銅31,32のS極に着磁されている部分を“S極部”と呼んで区別する場合がある。もっとも、これら区別も説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0029】
<振動発生装置の動作>
振動発生装置1が有する2つの振動モータ20は、それぞれが備える分銅31,32を回転させることによって振動を発生させる。より特定的には、2つの振動モータ20は、互いの分銅31,32を同期させて回転させることによって振動を発生させる。このとき、分銅31,32の回転に伴って発生する振動の態様(主に、振動の強さと方向)は、分銅31,32の回転角度に応じて変化する。
【0030】
以下、分銅31,32の回転角度と振動態様との関係について具体的に説明する。もっとも、振動モータ20Rは、2つの分銅31R,32Rを同方向に同速度で回転させる。また、振動モータ20Lも、2つの分銅31L,32Lを同方向に同速度で回転させる。
【0031】
そこで、振動モータ20Rの分銅31Rと振動モータ20Lの分銅31Lとを例にとって、分銅31,32の回転角度と振動態様との関係について説明する。
【0032】
図5図12は、回転角度が異なる分銅31R,31Lを示す平面図である。また、各図に示されている黒塗りの矢印は、分銅31R,31Lに作用する遠心力を模式的に示している。また、各図に示されている白抜きの矢印は、分銅31R,31Lに作用する磁力(磁気反発力)を模式的に示している。各図に示されている分銅31R,31Lには、黒塗りの矢印で示される遠心力と白抜きの矢印で示される磁力とが合わさった力(合成力)が作用する。
【0033】
<回転角度0度>
説明の便宜上、図5に示されている分銅31R,31Lの回転角度を0度と定義する。図5に示されている分銅31Rは、反時計方向(-(マイナス)方向)に連続的に回転する。一方、図5に示されている分銅31Lは、時計方向(+(プラス)方向)に連続的に回転する。また、分銅31R,31Lは、同時に同速度で回転する。つまり、2つの分銅31Rおよび分銅31Lは、同時に同速度で逆方向に回転する。
【0034】
<回転角度0度~90度>
図5に示されている分銅31R,31Lは、図6に示されている回転角度を経て図7に示されている回転角度に至る。図6に示されている分銅31Rの回転角度は-45度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+45度である。また、図7に示されている分銅31Rの回転角度は-90度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+90度である。
【0035】
図5に示されている分銅31Rが-90度回転し、同図に示されている分銅31Lが+90度回転すると、分銅31RのN極部と分銅31LのN極部とが向き合う。つまり、分銅31R,31Lの同極部同士が向き合う。
【0036】
このとき、X軸方向で隣接している分銅31R,31Lには、互いに逆向きの遠心力が作用する。より特定的には、分銅31Rには、X軸方向一方側に向かって遠心力が作用する。同時に、分銅31Lには、X軸方向他方側に向かって遠心力が作用する。すると、それぞれの分銅31R,31Lに作用する遠心力が相殺される。この結果、モータユニット20AにはX軸方向の力が作用しないか、作用したとしても、その強さ(大きさ)は、非常に弱い(小さい)ものとなる。
【0037】
<回転角度90度~180度>
図7に示されている分銅31R,31Lは、図8に示されている回転角度を経て図9に示されている回転角度に至る。図8に示されている分銅31Rの回転角度は-135度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+135度である。また、図9に示されている分銅31Rの回転角度は-180度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+180度である。
【0038】
回転角度が90度を超えて180度に至るまでの間、合成力は、Y軸方向に作用する。さらに、その合成力は、磁力(磁気反発力)の変化に伴って次第に大きくなり、回転角度135度(図8)のときに最大になる。
【0039】
この結果、モータユニット20AにY軸方向の力が作用する。より特定的には、分銅31R,31Lが磁性を有していない場合に比べて、より大きなY軸方向の力がモータユニット20Aに作用する。
【0040】
<回転角度180度~270度>
その後、図9に示されている分銅31R,31Lは、図10に示されている回転角度を経て図11に示されている回転角度に至る。図10に示されている分銅31Rの回転角度は-225度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+225度である。また、図11に示されている分銅31Rの回転角度は-270度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+270度である。
【0041】
別の見方をすると、図11に示されている分銅31R,31Lは、図7に示されている分銅31R,31Lに対して180度回転している。すると、分銅31RのS極部と分銅31LのS極部とが向き合う。つまり、分銅31R,31Lの同極部同士が再び向き合う。
【0042】
このとき、X軸方向で隣接している分銅31R,31Lには、互いに逆向きの遠心力が作用する。より特定的には、分銅31Rには、X軸方向一方側に向かって遠心力が作用する。同時に、分銅31Lには、X軸方向他方側に向かって遠心力が作用する。すると、それぞれの分銅31R,31Lに作用する遠心力が相殺される。この結果、モータユニット20AにはX軸方向の力が作用しないか、作用したとしても、その強さ(大きさ)は、非常に弱い(小さい)ものとなる。
【0043】
<回転角度270度~360度>
次いで、図11に示されている分銅31R,31Lは、図12に示されている回転角度を経て図13に示されている回転角度に至る。図12に示されている分銅31Rの回転角度は-315度であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+315度である。また、図13に示されている分銅31Rの回転角度は-360度(0度)であり、同図に示されている分銅31Lの回転角度は+360度(0度)である。
【0044】
回転角度が270度を超えて360度に至るまでの間、合成力は、Y軸方向に作用する。さらに、その合成力は、磁力(磁気反発力)の変化に伴って次第に大きくなり、回転角度315度(図12)のときに最大になる。
【0045】
この結果、モータユニット20AにY軸方向の力が作用する。より特定的には、分銅31R,31Lが磁性を有していない場合に比べて、より大きなY軸方向の力がモータユニット20Aに作用する。
【0046】
もっとも、図12に示されている分銅31Rと分銅31Lとの間の間隔は、図8に示されている分銅31Rと分銅31Lとの間の間隔よりも広い。別の見方をすると、図12に示されている分銅31Rと分銅31Lとの間の磁気抵抗は、図8に示されている分銅31Rと分銅31Lとの間の磁気抵抗よりも大きい。
【0047】
したがって、図12に示されている分銅31R,31Lに作用する合成力は、図8に示されている分銅31R,31Lに作用する合成力よりも小さい。しかし、図12に示されている分銅31R,31Lに作用する合成力は、これら分銅31R,31Lが磁性を有していない場合よりも大きい。
【0048】
図14は、モータユニット20Aに作用するY軸方向の力と分銅31,32の回転角度との関係を示すグラフ(波形図)である。
【0049】
これまでの説明および図14より、モータユニット20AにはY軸方向の力は作用するが、X軸方向の力は作用しないことが理解できる。さらに、モータユニット20Aに作用するY軸方向の力は、分銅31,32の回転角度に応じて増減することも理解できる。
【0050】
上記のように、本実施形態に係る振動発生装置1は、X軸方向で離接する2つの分銅31,32を有しており、それら分銅31,32は、同速度で逆方向に回転する。これにより、振動発生装置1は、Y軸方向の振動は発生させるが、X軸方向の振動は発生させない。言い換えれば、振動発生装置1は指向性を有する。
【0051】
また、振動発生装置1の2つの分銅31,32は磁性を有しており、同極部同士が周期的に向き合うように回転する。これにより、振動発生装置1は、磁性を有していない分銅31,32が同速度で逆方向に回転する場合よりも大きなY軸方向の振動を発生させる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、分銅31,32の構造,形状,材料などは、必要に応じて適宜変更することができる。図15は、分銅31,32の一変形例を示す拡大斜視図である。図示されている分銅31,32は、永久磁石35を内包しており、上記実施形態における分銅31,32と同様の磁性を有している。分銅31,32に内包される永久磁石35によって分銅31,32に磁性を与えることにより、分銅31、32の材料選択の自由度が向上する。例えば、常磁性体や非磁性体によって分銅31、32を形成することもできる。
【0053】
上記実施形態におけるハウジング10の構造,形状,材質などは、必要に応じて適宜変更することができる。また、振動モータ20R,20Lを連結するための部材の構造,形状,材質なども、必要に応じて適宜変更することができる。
【0054】
本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0055】
(1)
2つの振動モータを有する振動発生装置であって、
それぞれの前記振動モータは、モータ軸と、重心から外れた位置で前記モータ軸に固定され、かつ、磁性を有する回転体と、を備え、
2つの前記振動モータは、それぞれが備える前記回転体が隣接するように横並びで配置されており、
それぞれの前記回転体は、同極部同士が周期的に向き合うように、同速度で逆方向に回転される、振動発生装置。
【0056】
(2)
それぞれの前記振動モータが備える前記モータ軸の両端に、前記回転体がそれぞれ設けられている、(1)に記載の振動発生装置。
【0057】
(3)
それぞれの前記振動モータは、互いに連結されて一体化している、(1)又は(2)に記載の振動発生装置。
【0058】
(4)
それぞれの前記振動モータは、共通の部材に固定されて一体化している、(1)又は(2)に記載の振動発生装置。
【0059】
(5)
前記回転体が永久磁石である、(1)~(4)のいずれかに記載の振動発生装置。
【0060】
(6)
前記回転体が永久磁石を内包している、(1)~(4)のいずれかに記載の振動発生装置。
【符号の説明】
【0061】
1…振動発生装置、10…ハウジング、11…ベース部材、12…カバー部材、13…プリント配線基板、20,20L,20R…振動モータ、20A…モータユニット、21a,21b…連結部材、22…モータハウジング、23…モータ軸、31,32,31L,31R,32L,32R…回転体(分銅)、33…貫通孔、35…永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15