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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166667
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】吊持支持金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
E04B9/18 A
E04B9/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077312
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】510153618
【氏名又は名称】株式会社サワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 稔裕
(57)【要約】
【課題】様々な天井梁材のサイズに対応することができる吊持支持金具を提供する。
【解決手段】天井梁材のH形鋼Fの下部フランジ片F1を押圧する押圧ボルトB1が挿通可能な第1突部5と、
側方へ第1突部5が一体的に突出して設けられている第1側部2と、
H形鋼Fの下部フランジ片F1を押圧する押圧ボルトB1が挿通可能な第2突部6と、
側方へ第2突部6が一体的に突出して設けられている第2側部3と、
第1側部2と、第2側部3とを連結する連結部4と、を有し、
第1突部5と第2突部6とは、平行で、且つ、対向配置されている。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井梁材のフランジ部を押圧する押圧ボルトが挿通可能な第1突部と、
側方へ前記第1突部が一体的に突出して設けられている第1側部と、
天井梁材のフランジ部を押圧する押圧ボルトが挿通可能な第2突部と、
側方へ前記第2突部が一体的に突出して設けられている第2側部と、
前記第1側部と、前記第2側部とを連結する連結部と、を有し、
前記第1突部と前記第2突部とは、平行で、且つ、対向配置されている吊持支持金具。
【請求項2】
前記第1側部の幅方向の長さは、前記第2側部の幅方向の長さよりも短くなっている請求項1に記載の吊持支持金具。
【請求項3】
前記第1側部には、複数の第1ビス挿通孔が設けられ、
前記第2側部には、複数の第2ビス挿通孔が設けられ、てなり、
前記第1ビス挿通孔の孔の径は、前記第2ビス挿通孔の孔の径よりも径小になっている請求項1又は2に記載の吊持支持金具。
【請求項4】
前記第1突部,前記第2突部には、前記押圧ボルトが挿通可能なボルト挿通孔と、ビスが挿通可能な第3ビス挿通孔が設けられてなる請求項1又は2に記載の吊持支持金具。
【請求項5】
前記連結部には、ビスが挿通可能な複数の第4ビス挿通孔が設けられてなる請求項1に記載の吊持支持金具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊持支持金具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井梁材であるH形鋼を利用してこれに吊り部材を介して天井下地材を取り付けるものとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の発明は、吊り部材としたL形鋼棒を吊持支持する吊持支持金具が開示されており、この吊持支持金具は、押圧ボルトをねじ込む上片部と上片部の両端部から下向きコ字状に折曲一体形成される左右側片部とを有し、左右側片部には、H形鋼の下部フランジ片に挿入する左右挿入溝部と、L形鋼棒の上端部をビス止めしてL形鋼棒を吊持支持するための左右ビス止め部とを有し、左右挿入溝部に挿入された下部フランジ片を上片部にねじ込まれた押圧ボルトによって吊持支持金具をH形鋼の下部フランジ片に支持させ、左右ビス止め部に設けたビス挿通孔から固定ビスをねじ込んでL形鋼棒を垂下状に吊持支持させ、L形鋼棒の下端部に天井下地材を取り付けるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-204926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような吊持支持金具は、強大な地震等の外部振動や衝撃を受けても、これに十分に耐えることができるものであるものの、取り付けられる天井梁材であるH形鋼のサイズに制限があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、様々な天井梁材のサイズに対応することができる吊持支持金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、天井梁材のフランジ部(H形鋼(F)の下部フランジ片(F1),C形鋼(G)の下部フランジ片(G1))を押圧する押圧ボルト(B1)が挿通可能な第1突部(5)と、
側方へ前記第1突部(5)が一体的に突出して設けられている第1側部(2)と、
天井梁材のフランジ部(H形鋼(F)の下部フランジ片(F1),C形鋼(G)の下部フランジ片(G1))を押圧する押圧ボルト(B1)が挿通可能な第2突部(6)と、
側方へ前記第2突部(6)が一体的に突出して設けられている第2側部(3)と、
前記第1側部(2)と、前記第2側部(3)とを連結する連結部(4)と、を有し、
前記第1突部(5)と前記第2突部(6)とは、平行で、且つ、対向配置されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の吊持支持金具において、前記第1側部(2)の幅方向の長さ(W1)は、前記第2側部(3)の幅方向の長さ(W2)よりも短くなっていることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の吊持支持金具において、
前記第1側部(2)には、複数の第1ビス挿通孔(ビス挿通孔2a)が設けられ、
前記第2側部(3)には、複数の第2ビス挿通孔(ビス挿通孔3a)が設けられ、てなり、
前記第1ビス挿通孔(ビス挿通孔2a)の孔の径は、前記第2ビス挿通孔(ビス挿通孔3a)の孔の径よりも径小になっていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の吊持支持金具において、
前記第1突部(5),前記第2突部(6)には、前記押圧ボルト(B1)が挿通可能なボルト挿通孔(5c,6c)と、ビス(B5)が挿通可能な第3ビス挿通孔(ビス挿通孔5d,ビス挿通孔6d)が設けられてなることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明によれば、上記請求項1に記載の吊持支持金具において、前記連結部(4)には、ビス(B4)が挿通可能な複数の第4ビス挿通孔(ビス挿通孔4b)が設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、天井梁材のフランジ部(H形鋼(F)の下部フランジ片(F1),C形鋼(G)の下部フランジ片(G1))を押圧する押圧ボルト(B1)が挿通可能な第1突部(5)と、第2突部(6)とが、平行で、且つ、対向配置されているから、天井梁材のフランジ部(H形鋼(F)の下部フランジ片(F1),C形鋼(G)の下部フランジ片(G1))を上下方向から押圧ボルト(B1)で押圧可能となる。それゆえ、様々な天井梁材のサイズに対応することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、野縁受け(Na)と野縁(Nb)を用いて天井を組み立てる場合、及び、野縁受け(Na)を利用せず、野縁(Nb)だけで天井を組み立てる場合の両方に対応することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、最適なビスを選択して、野縁受け(Na)又は野縁(Nb)を固定することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、天井梁材のフランジ部(C形鋼(G)の下部フランジ片(G1))に吊持支持金具(1)をしっかりと固定することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、連結部(4)に用途に応じて様々な部材(例えば、間柱(MA))を取り付け固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る吊持支持金具の斜視図である。
図2】(a)は同実施形態に係る吊持支持金具の展開正面図、(b)は同実施形態に係る吊持支持金具の側面図である。
図3】同実施形態に係る吊持支持金具を使用して天井梁材であるH形鋼の下部フランジ片の表裏面を押圧ボルトで押圧することにより、下部フランジ片に吊持支持金具を取り付けている状態を示す正面図である。
図4】同実施形態に係る吊持支持金具を使用して天井梁材であるH形鋼と、天井下地材である野縁受けを接続し、天井を組み立てた状態を示す斜視図である。
図5】同実施形態に係る吊持支持金具を使用して天井梁材であるH形鋼と、天井下地材である野縁を接続し、天井を組み立てた状態を示す斜視図である。
図6】同実施形態に係る吊持支持金具に間柱を取り付けた状態を示す斜視図である。
図7】同実施形態に係る吊持支持金具を使用して天井梁材であるC形鋼と、天井下地材である野縁受けを接続し、天井を組み立てた状態を示す斜視図である。
図8】同実施形態に係る吊持支持金具を使用して天井梁材であるC形鋼と、天井下地材である野縁を接続し、天井を組み立てた状態を示す斜視図である。
図9】同実施形態に係る吊持支持金具に間柱を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る吊持支持金具の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0020】
<吊持支持金具の説明>
図1に示すように、本実施形態に係る吊持支持金具1は、略コ字状に形成されており、第1側部2と、第2側部3と、第1側部2と第2側部3とを連結する連結部4と、第1突部5と、第2突部6と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0021】
<第1側部の説明>
第1側部2は、図1及び図2(a)に示すように、上部側に位置しており、左右方向に延びて設けられた正面視横長矩形状に形成され、図2(a)に示すように幅方向(上下方向)の長さがW1に形成されている。そして、この第1側部2には、図1及び図2(a)に示すように、ビスが挿通される複数のビス挿通孔2aが長手方向(左右方向に)沿って、一定間隔置きに、円形状に貫通して設けられている。なお、このビス挿通孔2aの直径d1は、例えば、φ4.5に形成されている。
【0022】
<第2側部の説明>
第2側部3は、図1及び図2(a)に示すように、下部側に位置しており、左右方向に延びて設けられた正面視横長矩形状に形成されると共に、第1側部2と平行となるように形成され、さらに、図1に示すように、第1側部2と第2側部3との間に空間Kが形成されるように形成されている。そしてさらに、図2(a)に示すように幅方向(上下方向)の長さがW2に形成されている。なお、長さW2は、長さW1よりも長く形成されている。
【0023】
またさらに、この第2側部3には、図1及び図2(a)に示すように、ビスが挿通される複数のビス挿通孔3aが長手方向(左右方向に)沿って、一定間隔置きに、円形状に貫通して設けられている。なお、このビス挿通孔3aの直径d2(図2(a)参照)は、例えば、φ5.2に形成され、ビス挿通孔2aの直径d1よりも径大に形成されている。
【0024】
<連結部の説明>
連結部4は、図1及び図2(a)に示すように、左右方向と直交する方向である上下方向に延びて設けられた正面視縦長矩形状に形成されると共に、第1側部2の下側面2bと第2側部3の上側面3bとが左側面4aと一体的に連なって設けられている。これにより、連結部4は、第1側部2と第2側部3とを連結できることとなる。かくして、このような連結部4には、図1及び図2(a)に示すように、ビスが挿通される複数のビス挿通孔4bが長手方向(上下方向に)沿って、一定間隔置きに、円形状に貫通して設けられている。なお、このビス挿通孔4bの直径d3は、例えば、φ5.2に形成されている。
【0025】
<第1突部の説明>
第1突部5は、図2(b)に示すように、側面視矩形状に形成されており、図1に示すように、第1側部2より、図示前方に向かって突出して設けられている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、第1突部5は、第1側部2の下側面2b側に一体的に設けられており、折り曲げ線O1に沿って、折り曲げ加工されることにより、第1側部2より、図1に示す前方に向かって突出して設けられてることとなる。なお、第1突部5には、図1及び図2(a)に示すように、左側面5a及び右側面5b側に、それぞれ、ボルトが挿通されるボルト挿通孔5cが円形状に貫通して設けられ、この一対のボルト挿通孔5cの間にビスが挿通されるビス挿通孔5dが円形状に貫通して設けられている。
【0026】
<第2突部の説明>
第2突部6は、図2(b)に示すように、側面視矩形状に形成されており、図1に示すように、第2側部3より、図示前方に向かって突出して設けられている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、第2突部6は、第2側部3の上側面3b側に一体的に設けられており、折り曲げ線O2に沿って、折り曲げ加工されることにより、第2側部3より、図1に示す前方に向かって突出して設けられてることとなる。なお、第2突部6には、図1及び図2(a)に示すように、左側面6a及び右側面6b側に、それぞれ、ボルトが挿通されるボルト挿通孔6cが円形状に貫通して設けられ、この一対のボルト挿通孔6cの間にビスが挿通されるビス挿通孔6dが円形状に貫通して設けられている。
【0027】
ところで、第1突部5と第2突部6は、図1及び図2(b)に示すように、平行で、且つ、対向配置されている。このようにすれば、例えば、図3に示すように、天井部Sの下面に取り付けられている天井梁材であるH形鋼Fの下部フランジ片F1に、吊持支持金具1を取り付けるにあたって、幅が大きな下部フランジ片F1であれば、図3に示すように、第1突部5の一対のボルト挿通孔5cにそれぞれ押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片F1の表面F1aを押圧することができる。そしてさらに、第2突部6の一対のボルト挿通孔6cにそれぞれ押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片F1の裏面F1bを押圧することができる。これにより、幅が大きな下部フランジ片F1であっても、吊持支持金具1を取り付けることが可能となる。また一方、幅が大きくない下部フランジ片F1であれば、従来と同様、第1突部5の一対のボルト挿通孔5cのみにそれぞれ押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片F1の表面を押圧することができる。
【0028】
しかして、このようにすれば、様々なH形鋼のサイズに適応することが可能となり、もって、様々な天井梁材のサイズに対応することができる。なお、押圧ボルトB1には、図3に示すように、押圧ボルトB1の位置を固定するため、ナットB1aが螺合されている。
【0029】
<吊持支持金具の使用例の説明>
次に、上記のように構成される吊持支持金具1の使用例について、図4図9を参照して具体的に説明する。なお、以下説明する使用例については、理解を容易にするため、第1突部5、第2突部6の何れか一方にのみ押圧ボルトB1を使用する例しか示していないが、勿論、両方に押圧ボルトB1を使用しても良い。
【0030】
図4に示す使用例は、野縁受けNaと野縁Nbを用いて天井を組み立てる際の使用例を示している。すなわち、図4に示すように、天井部Sの下面に天井梁材であるH形鋼Fが取り付けられている。そして、吊持支持金具1の第1側部2を上側にし、第2側部3を下側にした状態で、H形鋼Fの下部フランジ片F1を、第1側部2と第2側部3とで挟み込み、第1突部5(図1及び図2参照)の一対のボルト挿通孔5c(図1及び図2(a)参照)にそれぞれ押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片F1の表面F1aを押圧する。なお、押圧ボルトB1には、図4に示すように、押圧ボルトB1の位置を固定するため、ナットB1aが螺合されている。
【0031】
次いで、図4に示すように、第2側部3に設けられているビス挿通孔3aを利用して、ビスB2にて天井下地材である野縁受けNaを第2側部3に固定する。そして、図4に示すように、この野縁受けNaに、周知のクリップCによって、天井下地材である野縁Nbが、野縁受けNaに直交して取り付けられ、この野縁Nbの下面に、ビス又は接着剤によって、天井ボードTが固着されることとなる。これにより、天井が組み立てられることとなる。
【0032】
図5に示す使用例は、野縁受けNaを利用せず、野縁Nbだけで天井を組み立てる際の使用例を示している。すなわち、図5に示すように、天井部Sの下面に天井梁材であるH形鋼Fが取り付けられている。そして、吊持支持金具1の第1側部2を下側にし、第2側部3を上側にした状態で、H形鋼Fの下部フランジ片F1を、第1側部2と第2側部3とで挟み込み、第2突部6の一対のボルト挿通孔6c(図1及び図2(a)参照)にそれぞれ押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片F1の表面F1aを押圧する。なお、押圧ボルトB1には、図5に示すように、押圧ボルトB1の位置を固定するため、ナットB1aが螺合されている。
【0033】
次いで、図5に示すように、第1側部2に設けられているビス挿通孔2aを利用して、ビスB3にて天井下地材である野縁Nbを第1側部2に固定する。そして、この野縁Nbの下面に、ビス又は接着剤によって、天井ボードTが固着されることとなる。これにより、天井が組み立てられることとなる。
【0034】
かくして、本実施形態においては、上記説明したように、第1側部2の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW1が、第2側部3の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW2よりも短くなっている。これは、第1側部2に野縁Nbを固定する(図5参照)にあたって、野縁Nbのサイズに合うようにするためである。このようにすれば、野縁Nbの下面に、ビス又は接着剤によって、天井ボードTを固着するにあたって、第1側部2が邪魔になるという事が無くなる。
【0035】
また、第2側部3の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW2が、第1側部2の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW1よりも長くなっている。これは、第1側部2に野縁受けNaを固定する(図5参照)にあたって、野縁受けNaのサイズに合うようにするためである。このようにすれば、第1側部2に野縁受けNaを安定して固定することができる。
【0036】
なお、言うまでもないが、第1側部2に取り付ける箇所の野縁Nbの幅は、第2側部3に取り付ける箇所の野縁受けNaの幅よりも狭くなっている。
【0037】
しかして、このように第1側部2の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW1と、第2側部3の幅方向(図2(a)に示す上下方向)の長さW2を異なるようにすれば、野縁受けNaと野縁Nbを用いて天井を組み立てる場合、及び、野縁受けNaを利用せず、野縁Nbだけで天井を組み立てる場合の両方に対応することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態においては、第1側部2に設けられているビス挿通孔2aの直径d1は、第2側部3に設けられているビス挿通孔3aの直径d2よりも径小に形成されている。これは、第1側部2を野縁Nbに取り付け固定する際に最適なビスB3のサイズに合うようにし、さらに、第2側部3を野縁受けNaに取り付け固定する際に最適なビスB2のサイズに合うようにするためである。しかるに、このようにすれば、最適なビスを選択して、野縁受けNa又は野縁Nbを固定することができることとなる。
【0039】
ところで、上記説明したように連結部4にもビス挿通孔4bが設けられている。それゆえ、図6に示すように、H形鋼Fの下部フランジ片F1に、吊持支持金具1を取り付けている状態で、ビス挿通孔4bを利用して、ビスB4にて間柱MHなど、用途に応じて様々な部材を取り付け固定することができる。
【0040】
一方、図4図6に示した使用例では、天井梁材としてH形鋼Fを例示したが、それに限らず、C形鋼にも適用することができる。この点、以下、詳しく説明することとする。
【0041】
図7に示す使用例は、野縁受けNaと野縁Nbを用いて天井を組み立てる際の使用例を示している。すなわち、図7に示すように、天井部Sの下面に天井梁材であるC形鋼Gが取り付けられている。そして、吊持支持金具1の第1側部2を上側にし、第2側部3を下側にした状態で、C形鋼Gの下部フランジ片G1を、第1側部2と第2側部3とで挟み込み、第1突部5の一対のボルト挿通孔5c(図1及び図2(a)参照)の何れか1つに押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片G1の表面G1aを押圧する。この際、図7に示すように、第2突部6に設けられているビス挿通孔6dにビスB5を挿通し、第2突部6を下部フランジ片G1に取り付け固定する。これにより、C形鋼Gの下部フランジ片G1に吊持支持金具1がしっかりと固定されることとなる。なお、押圧ボルトB1には、図7に示すように、押圧ボルトB1の位置を固定するため、ナットB1aが螺合されている。
【0042】
次いで、図7に示すように、第2側部3に設けられているビス挿通孔3aを利用して、ビスB2にて天井下地材である野縁受けNaを第2側部3に固定する。そして、図7に示すように、この野縁受けNaに、周知のクリップCによって、天井下地材である野縁Nbが、野縁受けNaに直交して取り付けられ、この野縁Nbの下面に、ビス又は接着剤によって、天井ボードTが固着されることとなる。これにより、天井が組み立てられることとなる。
【0043】
図8に示す使用例は、野縁受けNaを利用せず、野縁Nbだけで天井を組み立てる際の使用例を示している。すなわち、図8に示すように、天井部Sの下面に天井梁材であるC形鋼Gが取り付けられている。そして、吊持支持金具1の第1側部2を下側にし、第2側部3を上側にした状態で、C形鋼Gの下部フランジ片G1を、第1側部2と第2側部3とで挟み込み、第2突部6の一対のボルト挿通孔6c(図1及び図2(a)参照)の何れか1つに押圧ボルトB1をねじ込み、その押圧ボルトB1の先端部にて、下部フランジ片G1の表面G1aを押圧する。この際、図8に示すように、第1突部5に設けられているビス挿通孔5dにビスB5を挿通し、第1突部5を下部フランジ片G1に取り付け固定する。これにより、C形鋼Gの下部フランジ片G1に吊持支持金具1がしっかりと固定されることとなる。なお、押圧ボルトB1には、図8に示すように、押圧ボルトB1の位置を固定するため、ナットB1aが螺合されている。
【0044】
次いで、図8に示すように、第1側部2に設けられているビス挿通孔2aを利用して、ビスB3にて天井下地材である野縁Nbを第1側部2に固定する。そして、この野縁Nbの下面に、ビス又は接着剤によって、天井ボードTが固着されることとなる。これにより、天井が組み立てられることとなる。
【0045】
しかして、上記説明したように、本実施形態における吊持支持金具1は、C形鋼Gにも使用することができる。
【0046】
なお、上記説明したように連結部4にもビス挿通孔4bが設けられている。それゆえ、C形鋼においても、図9に示すように、C形鋼Gの下部フランジ片G1に、吊持支持金具1を取り付けている状態で、ビス挿通孔4bを利用して、ビスB4にて間柱MHなど、用途に応じて様々な部材を取り付け固定することもできる。
【0047】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、様々な天井梁材のサイズに対応することができる。
【0048】
なお、本実施形態において示した吊持支持金具1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、C形鋼Gの下部フランジ片G1に吊持支持金具1を支持するにあたって、1本の押圧ボルトB1を使用する例を示したが、複数でも良い。
【符号の説明】
【0049】
1 吊持支持金具
2 第1側部
2a ビス挿通孔(第1ビス挿通孔)
3 第2側部
3a ビス挿通孔(第2ビス挿通孔)
4 連結部
4b ビス挿通孔(第4ビス挿通孔)
5 第1突部
5c ボルト挿通孔
5d ビス挿通孔(第3ビス挿通孔)
6 第2突部
6c ボルト挿通孔
6d ビス挿通孔(第3ビス挿通孔)
B1 押圧ボルト
B2~B5 ビス
W1 (第1側部の幅方向の)長さ
W2 (第2側部の幅方向の)長さ
F H形鋼
F1 下部フランジ片(フランジ部)
G C形鋼
G1 下部フランジ片(フランジ部)
Na 野縁受け
Nb 野縁
T 天井ボード
MA 間柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9