IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡田 悦雄の特許一覧

<>
  • 特開-接合構造 図1
  • 特開-接合構造 図2
  • 特開-接合構造 図3
  • 特開-接合構造 図4
  • 特開-接合構造 図5
  • 特開-接合構造 図6
  • 特開-接合構造 図7
  • 特開-接合構造 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166677
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20231115BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
E04B1/58 505L
E04B1/26 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077334
(22)【出願日】2022-05-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】515055719
【氏名又は名称】岡田 悦雄
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悦雄
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA02
2E125AA12
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG03
2E125BB08
2E125BB16
2E125CA78
2E125CA91
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金具等を用いることなく、組立及び分解が容易な構造を提供する。
【解決手段】第一の木材100と、第二の木材200と、第三の木材300と、蟻形の薄板と、を備え、第一の木材と第二の木材と第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合する接合構造であって、第一の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、第二の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、第三の木材は、蟻ほぞと、蟻溝形成部と、を有し、第一の木材の相欠部と第二の木材の相欠部とを重ね合わせ、第三の木材の蟻ほぞを、第一の木材の蟻ほぞ穴形成部と第二の木材の蟻ほぞ穴形成部とにより形成された蟻ほぞ穴に嵌め込み、蟻形の薄板400を、第一の木材の蟻溝形成部と第二の木材の蟻溝形成部と第三の木材の蟻溝形成部とにより形成された蟻溝に嵌め込むことにより、第一の木材と第二の木材と第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の木材と、第二の木材と、第三の木材と、蟻形の薄板と、を備え、
前記第一の木材と前記第二の木材と前記第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合する接合構造であって、
前記第一の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、
前記第二の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、
前記第三の木材は、蟻ほぞと、蟻溝形成部と、を有し、
前記第一の木材の相欠部と前記第二の木材の相欠部とを重ね合わせ、前記第三の木材の蟻ほぞを、前記第一の木材の蟻ほぞ穴形成部と前記第二の木材の蟻ほぞ穴形成部とにより形成された蟻ほぞ穴に嵌め込み、前記蟻形の薄板を、前記第一の木材の蟻溝形成部と前記第二の木材の蟻溝形成部と前記第三の木材の蟻溝形成部とにより形成された蟻溝に嵌め込むことにより、前記第一の木材と前記第二の木材と前記第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合することを特徴とする接合構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金具等を必要としない木材の接合構造が広く用いられている。
【0003】
このような従来技術として、特許文献1には、一対の木材を交差させて相欠き仕口により接合する接合構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-57577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する接合構造は、縦材と横材とを交差させて相互に嵌め合わせる構造であるため、面格子壁を構成することはできるものの、3つの木材をそれぞれ交差させた状態で接合することはできず、例えば、箱形の枠等を構成することはできないものであった。また、特許文献1が開示する接合構造は、圧縮木材からなる隙間埋め材を用いるため、分解が困難なものであった。
【0006】
本発明に係る接合構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、金具等を用いることなく、3つの木材をそれぞれ交差させた状態で接合することを可能とし、さらに、組立及び分解を容易に行うことができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る接合構造は、第一の木材と、第二の木材と、第三の木材と、蟻形の薄板と、を備え、第一の木材と第二の木材と第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合する接合構造であって、第一の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、第二の木材は、相欠部と、蟻ほぞ穴形成部と、蟻溝形成部と、を有し、第三の木材は、蟻ほぞと、蟻溝形成部と、を有し、第一の木材の相欠部と第二の木材の相欠部とを重ね合わせ、第三の木材の蟻ほぞを、第一の木材の蟻ほぞ穴形成部と第二の木材の蟻ほぞ穴形成部とにより形成された蟻ほぞ穴に嵌め込み、蟻形の薄板を、第一の木材の蟻溝形成部と第二の木材の蟻溝形成部と第三の木材の蟻溝形成部とにより形成された蟻溝に嵌め込むことにより、第一の木材と第二の木材と第三の木材とをそれぞれ交差させた状態で接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る接合構造によれば、金具等を用いることなく、3つの木材をそれぞれ交差させた状態で接合することが可能となる。また、作業者は、本発明に係る接合構造の組立及び分解を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る接合構造の一例を示す分解図である。
図2】本例の接合構造を示す一部分解図である。
図3】本例の接合構造を示す一部分解図である。
図4】本例の接合構造を示す斜視図である。
図5】本例の接合構造の第一の木材を示す(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)平面図、(f)底面図である。
図6】本例の接合構造の第二の木材を示す(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)平面図、(f)底面図である。
図7】本例の接合構造の第三の木材を示す(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)平面図、(f)底面図である。
図8】本例の接合構造により構成された箱形の枠を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面において、x軸は左右方向を示し、y軸は前後方向を示し、z軸は上下方向を示している。本例においては、x軸正側を「右」、x軸負側を「左」、y軸正側を「前」、y軸負側を「後」、z軸正側を「上」、z軸負側を「下」として説明する。
【0011】
図1~4に示すように、本例の接合構造は、第一の木材100と、第二の木材200と、第三の木材300と、薄板400と、を備える。
【0012】
本例においては、第一の木材100のうち、下側の端部を基端とし、上側の端部を先端とし、第二の木材200のうち、右側の端部を基端とし、左側の端部を先端とし、第三の木材300のうち、前側の端部を基端とし、後側の端部を先端として説明する。
【0013】
図1~4に示すように、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300は、先端が加工された細長い角材である。本例の接合構造において、第一の木材100は、上下方向を長さ方向とし、第二の木材200は、左右方向を長さ方向とし、第三の木材300は、前後方向を長さ方向としている。第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300の幅及び厚さは同一である。
【0014】
図1~4に示すように、薄板400は、蟻形に加工された細長い薄板である。本例の接合構造において、薄板400は、左右方向を長さ方向としている。薄板400は、上方から下方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0015】
図1~5に示すように、第一の木材100は、相欠部110と、蟻ほぞ穴形成部120と、蟻溝形成部130と、を有する。
【0016】
図1~5に示すように、相欠部110は、細長い角材の先端を段状に切り欠いて形成された部分からなる。第一の木材100のうち、相欠部110の長さは、相欠部110が設けられていない部分の幅及び厚さと同一である。第一の木材100のうち、相欠部110の厚さは、相欠部110が設けられていない部分の厚さより小さい。第一の木材100のうち、相欠部110の厚さは、相欠部110が設けられていない部分の厚さの半分である。
【0017】
図1~5に示すように、蟻ほぞ穴形成部120は、相欠部110の上部を平面視で蟻形に切り欠いて形成された端面からなる。蟻ほぞ穴形成部120は、前方から後方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0018】
図1~5に示すように、蟻溝形成部130は、相欠部110の上部を側面視で薄板400の半体と同形に切り欠いて形成された端面からなる。
【0019】
図1~4、及び6に示すように、第二の木材200は、相欠部210と、蟻ほぞ穴形成部220と、蟻溝形成部230と、を有する。
【0020】
図1~4、及び6に示すように、相欠部210は、細長い角材の先端を段状に切り欠いて形成された部分からなる。第二の木材200のうち、相欠部210の長さは、相欠部210が設けられていない部分の幅及び厚さと同一である。第二の木材200のうち、相欠部210の厚さは、相欠部210が設けられていない部分の厚さより小さい。第二の木材200のうち、相欠部210の厚さは、相欠部210が設けられていない部分の厚さの半分である。
【0021】
図1~4、及び6に示すように、蟻ほぞ穴形成部220は、相欠部210の上部を平面視で蟻形に切り欠いて形成された端面からなる。蟻ほぞ穴形成部220は、前方から後方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0022】
図1~4、及び6に示すように、蟻溝形成部230は、相欠部210の上部を側面視で薄板400の半体と同形に切り欠いて形成された端面と、第二の木材200のうち、相欠部210が設けられていない部分を側面視で薄板400の全体と同形に切り欠いて形成された端面と、からなる。
【0023】
図1~4、及び7に示すように、第三の木材300は、蟻ほぞ310と、蟻溝形成部320と、を有する。
【0024】
図1~4、及び7に示すように、蟻ほぞ310は、細長い角材の先端を切り欠いて形成された平面視で蟻形の突起からなる。第三の木材300のうち、蟻ほぞ310の長さは、蟻ほぞ310が設けられていない部分の幅及び厚さと同一である。第三の木材300のうち、蟻ほぞ310の厚さは、蟻ほぞ310が設けられていない部分の厚さより小さい。第三の木材300のうち、蟻ほぞ310の厚さは、蟻ほぞ310が設けられていない部分の厚さの半分である。蟻ほぞ310は、前方から後方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0025】
図1~4、及び7に示すように、蟻溝形成部320は、蟻ほぞ310の上部を側面視で薄板400の全体と同形に切り欠いて形成された端面からなる。
【0026】
図1及び2に示すように、第一の木材100の相欠部110と第二の木材200の相欠部210とを重ね合わせることにより、第一の木材100と第二の木材200は、直角に交差する位置関係となる。このとき、第一の木材100の蟻ほぞ穴形成部120と第二の木材200の蟻ほぞ穴形成部220は、一続きの蟻ほぞ穴500を形成する。
【0027】
図2に示すように、蟻ほぞ穴500は、第三の木材300の蟻ほぞ310と同形のほぞ穴であり、前方から後方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0028】
図2及び3に示すように、第三の木材300の蟻ほぞ310を、蟻ほぞ穴500に嵌め込むことにより、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300は、それぞれ直角に交差する位置関係となる。このとき、第一の木材100の蟻ほぞ穴形成部120には、第三の木材300の蟻ほぞ310の先端側が嵌め込まれ、第二の木材200の蟻ほぞ穴形成部220には、第三の木材300の蟻ほぞ310の基端側が嵌め込まれる。また、このとき、第一の木材100の蟻溝形成部130と第二の木材200の蟻溝形成部230と第三の木材300の蟻溝形成部320は、一続きの蟻溝600を形成する。
【0029】
図3に示すように、蟻溝600は、側面視で薄板400と同形の溝であり、上方から下方へ向かって先太りの蟻形となっている。
【0030】
図3及び4に示すように、薄板400を、蟻溝600に嵌め込むことにより、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300は、それぞれ直角に交差した状態で接合される。
【0031】
図1~4に示すように、本例の接合構造において、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300は、蟻ほぞ310が蟻ほぞ穴500に嵌め込まれ、薄板400が蟻溝600に嵌め込まれた状態で固く接合されているため、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300をいずれの方向へ引っ張った場合においても、接合状態が解除されることはない。
【0032】
図1~4に示すように、作業者は、相欠部110と相欠部210とを重ね合わせ、蟻ほぞ310を蟻ほぞ穴500に嵌め込み、薄板400を蟻溝600に嵌め込むことにより、第一の木材100と第二の木材200と第三の木材300とをそれぞれ交差させた状態で接合することができる。このように、作業者は、本例の接合構造の組立を容易に行うことができる。
【0033】
図1~4に示すように、第一の木材100と第二の木材200と第三の木材300が接合された状態から、作業者は、薄板400を蟻溝600から引き抜き、蟻ほぞ310を蟻ほぞ穴500から引き抜き、相欠部210と相欠部310との重なりを解除することにより、本例の接合構造を分解することできる。このように、作業者は、本例の接合構造の分解を容易に行うことができる。
【0034】
本例の接合構造は、金具等を用いることなく、3つの木材をそれぞれ交差させた状態で接合することができるため、製造に必要なコストが低く、意匠性が高い。
【0035】
図8に示すように、第一の木材100と第二の木材200と第三の木材300とを、直方体の頂点となる部分において接合することにより、本例の接合構造は、箱形の枠を構成することができる。
【0036】
図8に示す例において、第一の木材100は、相欠部110と、蟻ほぞ穴形成部120と、蟻溝形成部130と、を基端及び先端にそれぞれ有し、第二の木材200は、相欠部210と、蟻ほぞ穴形成部220と、蟻溝形成部230と、を基端及び先端にそれぞれ有し、第三の木材300は、蟻ほぞ310と、蟻溝形成部320と、を基端及び先端にそれぞれ有する。
【0037】
図1~4、及び8に示すように、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300は、蟻ほぞ310が蟻ほぞ穴500に嵌め込まれ、薄板400が蟻溝600に嵌め込まれた状態で固く接合されているため、第一の木材100、第二の木材200、及び第三の木材300をいずれの方向へ引っ張った場合においても、接合状態が解除されることはない。
【0038】
図1~4、及び8に示すように、作業者は、相欠部110と相欠部210とを重ね合わせ、蟻ほぞ310を蟻ほぞ穴500に嵌め込み、薄板400を蟻溝600に嵌め込むことにより、第一の木材100と第二の木材200と第三の木材300とをそれぞれ交差させた状態で接合することができる。このような作業を繰り返すことにより、作業者は、箱形の枠の組立を容易に行うことができる。
【0039】
図1~4、及び8に示すように、第一の木材100と第二の木材200と第三の木材300が接合された状態から、作業者は、薄板400を蟻溝600から引き抜き、蟻ほぞ310を蟻ほぞ穴500から引き抜き、相欠部210と相欠部310との重なりを解除することにより、本例の接合構造を分解することできる。このような作業を繰り返す事により、作業者は、箱形の枠の分解を容易に行うことができる。
【0040】
図8に示すように、本例の接合構造により構成された箱形の枠は、金具等を用いないため、製造に必要なコストが低く、意匠性が高い。
【0041】
本発明の接合構造において、第一の木材、第二の木材、第三の木材、及び薄板の形状は、本例に限定されない。例えば、第一の木材、第二の木材、第三の木材、及び薄板の長さ、幅、厚さ、及び蟻形の角度は、本例に限定されない。また、例えば、第一の木材、第二の木材、及び第三の木材が交差する角度は、直角でなくともよい。また、例えば、第一の木材の蟻ほぞ穴形成部と第二の木材の蟻ほぞ穴形成部とにより形成された蟻ほぞ穴のうち、第一の木材の蟻ほぞ穴形成部に第三の木材の蟻ほぞの基端側が嵌め込まれ、第二の木材の蟻ほぞ穴形成部に第三の木材の蟻ほぞの先端側が嵌め込まれる構造としてもよい。また、例えば、本発明の接合構造により構成された箱形の枠の形状は、図8に示す例に限定されない。
【符号の説明】
【0042】
100 第一の木材
110 相欠部
120 蟻ほぞ穴形成部
130 蟻溝形成部
200 第二の木材
210 相欠部
220 蟻ほぞ穴形成部
230 蟻溝形成部
300 第三の木材
310 蟻ほぞ
320 蟻溝形成部
400 薄板
500 蟻ほぞ穴
600 蟻溝

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8