(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016670
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】キャリアテープ装填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 15/04 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
B65B15/04 C
B65B15/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199872
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2021120330
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591137787
【氏名又は名称】株式会社ヒューブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
(57)【要約】
【課題】数ミリ以下のサイズとなった極小のワークをポケットに精度良く高速に装填することが困難な点を課題とする。
【解決手段】キャリアテープ装填装置1は、所定間隔を空けてワークが装填されるポケットPが形成されたキャリアテープTを断続的に複数の該ポケットP分ずつタクト搬送するテープ搬送機構2と、装填されるワークを整列配置したワーク供給部3と、テープ搬送機構2へ複数個のワークを一括して移載するワーク移載機構4と、を備え、ワーク移載機構4は、面全域で複数個のワークを同時に吸引し、吸引解除により複数個のワークを同時に装填する構成とした。
【効果】複数ワークを一括して移載するが、吸引中心とワークの重心との位置合わせ等に時間を要することがなく、短時間でワークをキャリアテープに装填することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々が極小サイズのワークをキャリアテープに装填する装置であって、所定間隔を空けてワークが装填されるポケットが形成されたキャリアテープを断続的に複数の該ポケット分ずつタクト搬送するテープ搬送機構と、このテープ搬送機構の近傍に配置され、装填されるワークを整列配置したワーク供給部と、このワーク供給部から前記テープ搬送機構へ複数個のワークを一括して移載するワーク移載機構と、を備え、前記ワーク移載機構は、面全域で複数個のワークを同時に吸引し、吸引解除により複数個のワークを同時に装填する構成であるキャリアテープ装填装置。
【請求項2】
前記ワーク供給部はキャリアテープのポケットとほぼ同サイズで同間隔とされた複数のピットが形成された構成である請求項1記載のキャリアテープ装填装置。
【請求項3】
前記テープ搬送機構の前記ワーク移載機構によりワークが移載される位置に、前記キャリアテープのポケットと同間隔で若干大きいサイズのガイド孔が形成されたガイド部材を設けた請求項1又は2記載のキャリアテープ装填装置。
【請求項4】
前記ガイド部材を前記キャリアテープの搬送方向に前後移動可能とするガイド部材移動機構が設けられた請求項3記載のキャリアテープ装填装置。
【請求項5】
前記テープ搬送機構の前記ワーク移載機構によりワークが移載される位置の上方に、キャリアテープの搬送状況と、該キャリアテープのポケットにワークを装填する状況とを撮像する撮像手段を設けた請求項1~4のいずれかに記載のキャリアテープ装填装置。
【請求項6】
前記テープ搬送機構と前記ワーク供給部との間に、ワークの画像検査用の撮像手段を設けた請求項1~5のいずれかに記載のキャリアテープ装填装置。
【請求項7】
前記テープ搬送機構の前記キャリアテープにおける前記ワーク装填位置と、該装填位置から該ワークの該キャリアテープへの装填を阻害しない退避位置と、の間で移動可能で、かつ、装填位置でワークに接触又は非接触となるよう移動可能とされた、導通検査部を設けた請求項1~6のいずれかに記載のキャリアテープ装填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々が極小サイズのワークを効率良くキャリアテープのポケットに装填するキャリアテープ装填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2001-18911号公報)には、ワークをノズルで吸着して移載する該ノズルを複数設けたユニットをキャリアテープ上に移動させる構成が記載されている。また、この特許文献1には、前記ユニットにおける全てのノズルでワークを吸着できず、キャリアテープの挿入できなかった収納ポケット(以下、ポケットと記す)に対して、ワークを補填する補填手段を、キャリアテープの搬送方向における前記ユニットによるワークの移載位置より下流に設けることも記載されている。
【0003】
ところで、昨今の電子部品は小型化が進み、厚みや縦横寸法が数ミリ以下の基板もある。よってそのような極小のワークについて、既存の技術、設備では、出荷用のキャリアテープのポケットにワークを収納することが困難、又は可能としてもハンドリング又はピッキング時にワークの把持に失敗するといったような事態が頻繁になってきている。また、キャリアテープのエンボスに対して精度よくワークを挿入することも機械制御的に困難となってきている。
【0004】
特許文献1においても上記問題は顕在化してきており、ノズルでワークを吸引するとしてもワークの重心を精度よくノズルの中心に位置させることが困難か、あるいは、今までの大きさのワークを吸引するような速度で精度よく吸引し、移載することが極めて困難となってきている。したがって、キャリアテープのポケットにワークを装填する工程の長時間となるといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題は、従来のキャリアテープ装填装置では、数ミリ以下のサイズとなった極小のワークをポケットに精度良く高速に装填することが困難な点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のキャリアテープ装填装置は、所定間隔を空けてワークが装填されるポケットが形成されたキャリアテープを断続的に複数の該ポケット分ずつタクト搬送するテープ搬送機構と、このテープ搬送機構の近傍に配置され、装填されるワークを整列配置したワーク供給部と、このワーク供給部から前記テープ搬送機構へ複数個のワークを一括して移載するワーク移載機構と、を備え、前記ワーク移載機構は、面全域で複数個のワークを同時に吸引し、吸引解除により複数個のワークを同時に装填する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ワーク供給部において整列配置した複数のワークをワーク移載機構によりその面全域で一括して吸引してテープ搬送機構へ移載して吸引を解除することでキャリアテープのポケットに装填するようにしているから、複数ワークを一括して移載するが、従来のように1個に対応するノズルではないので、吸引中心とワークの重心との位置合わせ等に時間を要することがなく、短時間でワークをキャリアテープに装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のキャリアテープ装填装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明のキャリアテープ装填装置のワーク供給部を示し、(a)は平面(上方から見た)図、(b)は(a)のA-A線断面図、である。
【
図3】本発明のキャリアテープ装填装置のワーク移載機構を示し、(a)は底面(下方から見た図、(b)は(a)のB-B線断面図、である。
【
図4】本発明のキャリアテープ装填装置のガイド部材を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のC-C線断面図、である。
【
図5】(a)~(c)は本発明のキャリアテープ装填装置のワーク移載機構によりワーク供給部からワークを移載する直前の状況を示す図である。
【
図6】(a)~(d)は本発明のキャリアテープ装填装置のガイド部材の動作を説明するための図である。
【
図7】(a)~(c)は本発明のキャリアテープ装填装置のガイド部材の動作を説明するための図である。
【
図8】本発明のキャリアテープ装填装置の変形例を示す斜視図である。
【
図9】(a)(b)は本発明のキャリアテープ装填装置における導通検査部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、個々が極小サイズのワークをキャリアテープに装填する装置において、極小のワークをポケットに精度良く高速に装填することが困難な点を、所定間隔を空けてワークが装填されるポケットが形成されたキャリアテープを断続的に複数の該ポケット分ずつタクト搬送するテープ搬送機構と、このテープ搬送機構の近傍に配置され、装填されるワークを整列配置したワーク供給部と、このワーク供給部から前記テープ搬送機構へ複数個のワークを一括して移載するワーク移載機構と、を備え、前記ワーク移載機構は、面全域で複数個のワークを同時に吸引し、吸引解除により複数個のワークを同時に装填する構成とすることで解決した。
【0011】
また、本発明は、上記構成において、前記ワーク供給部はキャリアテープのポケットとほぼ同サイズで同間隔とされた複数のピットが形成された構成としてもよい。こうすることで、ワーク供給部のポケットに装填された複数のワークの1列分をワーク移載機構で一括して移載することができ、また、ワーク移載機構の吸引を解除するだけでキャリアテープのポケットワークを装填することができ、さらなる時間の短縮を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明は、前記テープ搬送機構の前記ワーク移載機構によりワークが移載される位置に、前記キャリアテープのポケットと同間隔で若干大きいサイズのガイド孔が形成されたガイド部材を設けた構成としてもよい。このガイド部材は、キャリアテープの蛇行をガイドすると共にワークをポケットにガイドする。これにより、該キャリアテープの蛇行によるポケットの位置ずれが生じにくく、また、ポケットにワークを装填しやすくなり、装填ミスの発生を抑制できる。
【0013】
また、本発明は、上記構成において、前記ガイド部材を前記キャリアテープの搬送方向に前後移動可能とするガイド部材移動機構が設けられた構成としてもよい。このガイド部材移動機構は、キャリアテープのポケットにワークが挿入された後、ガイド部材をキャリアテープの搬送方向に、ガイド孔とポケットとの位置をずらしてガイド孔間がポケット上に位置するように移動させ、この状態で、キャリアテープと共に所定長さ分並走する。
【0014】
こうすることで、キャリアテープのポケットに挿入されたばかりのワークが、ポケットに挿入された際のバウンドで、又はキャリアテープの搬送開始に伴って、ポケットから飛び出したり位置ずれが生じたりすることを抑制できる。
【0015】
さらに、本発明は、上記構成において、前記テープ搬送機構の前記ワーク移載機構によりワークが移載される位置の上方に、キャリアテープの搬送状況と、該キャリアテープのポケットにワークを装填する状況とを撮像する撮像手段を設けた構成としてもよい。このようにすることで、キャリアテープのポケットの位置とワーク移載機構における個々のワークの位置合わせが可能となり、ワークの装填ミスが抑制できる。
【0016】
また、本発明は、上記構成において、前記テープ搬送機構と前記ワーク供給部との間に、ワークの画像検査用の撮像手段を設けた構成としてもよい。このようにすることで、テープ搬送機構とワーク供給部との間で、ワークを移載する僅かな時間でワークの外観検査を行うことができる。
【0017】
さらに、本発明は、上記構成において、前記テープ搬送機構の前記キャリアテープにおける前記ワーク装填位置と、該装填位置から該ワークの該キャリアテープへの装填を阻害しない退避位置と、の間で移動可能で、かつ、装填位置でワークに接触又は非接触となるよう移動可能とされた、導通検査部を設けた構成としてもよい。
【0018】
こうすることで、キャリアテープへのワークの装填のみならず、装填効率を落とすことなく、また、別工程とせずに異種ワークの混入や不良品の混入を検出でき、出荷テープの品質が向上する。
【実施例0019】
以下、
図1~
図9を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。1は、個々が極小サイズのワークWをキャリアテープTに装填するキャリアテープ装填装置であり、次のように構成されている。
【0020】
2は、キャリアテープTを搬送するテープ搬送機構である。テープ搬送機構2は、1回の搬送駆動で複数ポケットP(
図1に示す本例では例えば7ポケット分)分だけキャリアテープTを送った後、所定時間停止し、また搬送駆動するというタクト搬送を行う。
【0021】
3は、キャリアテープTのポケットPに装填するべきワークWを供給するワーク供給部である。このワーク供給部3は、
図2に示すように、例えば本例では、搬送方向(以下、Y方向ともいう)にキャリアテープTのポケットP同士の間隔と同間隔で7行、該Y方向と直交する方向(以下、X方向ともいう)に所定間隔で6列、のピット3Aが形成されたポーラスプレート3Bと、このポーラスプレート3Bの下部に設けた14により構成されている。
【0022】
14は、6面のうち上面1面が開放され、この開放面にポーラスプレート3Bが設けられる。また、14は不図示のポンプと弁を介して接続されている。さらに、14は、ワーク移載機構4によりワークWを移載する際を除き、つまりキャリアテープ装填装置1に至るまでの上流工程でワークWをピット3Aに挿入する際にだけポンプにより内部に送気されて正圧状態とされ、必要に応じて弁の開閉が制御されることで、正圧状態と正圧解除状態とすることができるように構成されている。
【0023】
ポーラスプレート3Bは、全面的に無数のワークWより寸法の小さい孔(ポーラス)が形成された通気性のあるセラミックまたは金属製でなる、ある程度の剛性を有したプレートである。本例では、このポーラスプレート3BにワークWが挿入するピット3Aが設けられている。また、このポーラスプレート3Bは、ワークWやポケットPのサイズや間隔に対応できるように、サイズや間隔が異なるものを多種類用意しておけばよい。
【0024】
ワーク供給部3は、キャリアテープ装填装置1に至るまでの上流工程でピット3AにワークWを挿入しておくが、本例では、例えばワーク供給部3は、その正圧機能を利用して次のようにしてワークWをピット3Aに挿入する。すなわち、ワーク供給部3は、
図1に示すテーブルDに対してX方向、Y方向に移動可能、かつ、X方向又はY方向の一端に向けて傾斜可能とされ、テーブルDとは別の場所にて、ピット3Aを上向きとしたワーク供給部3に対してワークWを例えばホッパーなどから散布する。このとき、ワーク供給部3の14は正圧状態としておくと共に14ごと全体を傾斜させておく。
【0025】
ポーラスプレート3B上にワークWを散布すると、積層状態にあるワークWは正圧によりポーラスプレート3B上で単層化しつつ、空いたピット3Aに入り込む。一旦ピット3Aに入ったワークWは、ピット3A内で踊る(上下左右に移動する状態)が該ピット3Aからは飛び出さない。
【0026】
一方、ピット3Aに入ったワークWの上に積層したワークWや、未だピット3Aに入らないワークWは、ポーラスプレート3Bの全面から送気(正圧状態)されていることと傾斜していることで、傾斜下方に滑り落ちる。この結果、ピット3AにだけワークWが入った状態とすることができる。この後、テーブルDまで移動させる。また、ワーク供給部3を少なくとも2機用意することで、上記のピット3AにワークWを挿入する作業を、別のワーク供給部3からワークWをキャリアテープTに移載している間に行うことができ、効率的となる。
【0027】
また、ワーク供給部3は、本例では、ワークWをキャリアテープTに移載する際において、後述のワーク移載機構4のチャンバ4aがピット3Aの未移載列に向けてX方向に移動するように構成するが、これに代えて、ワーク移載機構4のチャンバ4aのX方向の移動ストロークを固定として、ワーク供給部3がX方向に1列分移動するように構成してもよい。
【0028】
4は、ワーク供給部3からキャリアテープTに向けて、1列分のワークWを一括して移載させるワーク移載機構である。ワーク移載機構4は、
図3に示すように、チャンバ4aの6面のうち下面が開放され、この下面にポーラスフィルム4Aが設けられている。チャンバ4aは、ポンプにより内部が吸引されて負圧状態とされ、必要に応じて弁の開閉が制御されることで、負圧状態と負圧解除状態とすることができるように構成されている。
【0029】
ポーラスフィルム4Aは、本例では例えば、ワーク供給部3のピット3Aより大きい寸法でかつY方向のピット3Aの1列分を覆う大きさとされている。本例では、ポーラスフィルム4Aを採用したが、フィルムよりも剛性の高いポーラスシートを採用してもよい。なお、以下の説明でワーク移載機構4を移動主体とする際には、チャンバ4aということとするが、移動主体としてチャンバ4aというときはポーラスフィルム4A等が一体となった状態を意味する(補填ワーク移動機構9のチャンバ9aも同じ)。
【0030】
ワーク移載機構4は、その上面にX方向送り機構4xが設けられている(
図3では図示省略)。このX方向送り機構4xは、本例では、例えばケース内にモータとこのモータの出力軸に設けたギヤが内蔵され、X方向にワーク供給部3とテープ移載機構2のキャリアテープTとの間に延設されたX軸ねじが該ギヤと噛合する構成とされている。また、このX方向送り機構4xとチャンバ4aとの間には高さ方向(以下、Z方向ともいう)にチャンバ4aを昇降移動させるZ方向昇降機構4zが設けられている。
【0031】
また、ワーク移載機構4は、本例では、例えばテープ搬送機構2をX方向に超えた上記X軸ねじのテープ搬送機構2側の端部にY方向送り機構4yが設けられている。このY方向送り機構4yは、本例では、例えばケース内にモータとこのモータの出力軸に設けたギヤが内蔵され、Y方向にテープ移載機構2のキャリアテープTと平行に延設されたY軸ねじが該ギヤと噛合する構成とされている。
【0032】
5は、テープ搬送機構2におけるキャリアテープTの搬送面を覆うガイド部材である。このガイド部材5は、
図4に示すように、断面逆凹字状とされてワーク移載機構4により一括して移載可能なワークWの個数分のガイド孔5Aが、キャリアテープTのポケットPと同間隔で設けられている。また、ガイド部材5の表面の高さ位置は、ワーク供給部3におけるポーラスプレート3Bの表面の高さ位置と、同じ高さとされている。
【0033】
ガイド部材5におけるガイド孔5Aの上部開口縁部には、上方に向けて上り勾配のテーパ5Bが形成されている。また、ガイド部材5は、その断面逆凹字状の内側で対向する壁面5aの下縁部に、キャリアテープTのX方向両端縁部がY方向に挿通されて、該キャリアテープの蛇行と浮き上がりを抑制及び矯正する浮き防止部5bが形成されている。
【0034】
ガイド部材5は、ワーク移載機構4により一括して移載可能なワークWの個数分のガイド孔5Aが上面に設けられて、断面逆凹字状でY方向に長尺とされた形状であるため、内部で対向する壁面5a,5a及び浮き防止部5b,5bに案内されてキャリアテープTの僅かな蛇行も直線状に矯正することができ、また、搬送面からの僅かな浮き上がりも抑制、矯正することができる。
【0035】
したがって、ガイド部材5のガイド孔5AはキャリアテープTのポケットPとの位置を高精度に一致させることができ、また、ガイド孔5Aにはテーパ5Bが形成されているので、ワークWは、テーパ5Bに案内されて確実にポケットPに装填させることができる。
【0036】
また、本例では、ガイド部材5には、ガイド部材移動機構5Cが設けられている。このガイド部材移動機構5Cは、ガイド部材5をキャリアテープTの搬送方向に、該キャリアテープTと並走させるためのものである。
【0037】
6は、ガイド部材5の一部に設けた振動部である。この振動部6は、ガイド部材5の上面すなわちガイド孔5Aを例えばX方向に極めて微細に振動させて、該ガイド孔5AからポケットPにワークWを速やかに移動させるためのものである。
【0038】
なお、振動部6は、ガイド孔5AとポケットPの位置が、ワークWがポケットPに入らない状態となるほど大きく振動することはなく、実際にはワークWの寸法に対して設けられたポケットPのクリアランスの範囲内で極めて微細に振動する。
【0039】
7は、ガイド部材5の上方に設けられ、ガイド部材5における全てのガイド孔5Aを視野に捉える撮像手段としてのカメラである。このカメラ7は、前記視野領域を撮像したデータを不図示の制御部に出力する。
【0040】
制御部では、撮像データに基づいて、本例では、例えばキャリアテープTがワークW移載位置に搬送された際に、ガイド部材5におけるガイド孔5Aと空のポケットPとの位置が一致しているか、ワークWをキャリアテープTに移載後に、各ポケットP全てにワークWが装填されているか、を判別し、前記前者で位置がずれていた場合は本例では例えばキャリアテープTを前進・後退させて微調整を行うようテープ搬送機構2を制御し、前記後者で空のポケットPの存在を検知した場合は空のポケットPの位置に向けてワークWを補填するよう別構成の補填機構を制御する。
【0041】
以上が、本発明の基本構成となるが、本例のキャリアテープ装填装置1では、ワークWをキャリアテープTに移載後に、カメラ7による撮像データに基づいて制御部がワークWの装填されていないポケットPを検知した場合に、該空のポケットPに対してワークWを補填する構成として以下の
図1に示すワーク補填構成を、キャリアテープTの搬送方向におけるワークWの移載位置より下流位置に備えている。
【0042】
本例におけるワーク補填構成は、例えば、ワーク補填部8、補填ワーク移動機構9、補填ワークガイド部材10、振動部11及びカメラ12、とから構成されている。以下に、これらについて、ワーク供給部3、ワーク移載機構4、ガイド部材5、振動部6、カメラ7と比較して個別に説明する。
【0043】
すなわち、ワーク補填部8は、Y方向に1行(X方向に6列は同じ)にワークWを挿入する構成であること以外はワーク供給部3と同じ構成である。
【0044】
補填ワーク移動機構9は、Y方向に1行のワークWを1個吸引する構成であること以外はワーク移載機構4と同じ構成であるが、Y方向送り機構9yに関しては移動範囲がワーク移載機構4と比べて広い。この点は後述する。
【0045】
補填ワークガイド部材10は1個のポケットPに対応して設けられている構成であること以外はガイド部材5と同じ構成であり、また、振動部11は補填ワークガイド部材10に対応すること以外は振動部6と同じであるが、補填ワークガイド部材10及び振動部11は、Y方向送り機構9yと連動可能に設けられている点が上記ガイド部材5と振動部6が固定的に設けられていた点とは異なる。
【0046】
カメラ12は、カメラ7で視野とする位置から下流に配置されているだけでポケット6個分を視野とする点ではカメラ7と同じであるが、撮像したデータの制御部における扱いが異なる。すなわち、カメラ7による撮像データに基づいて制御部がワークWの存在しない空のポケットPを検出したとき、制御部は、その空のポケットPが次の搬送停止時に搬送経路のどこに位置するかを特定し、その位置へチャンバ9aと共に補填ワークガイド部材10及び振動部11をY方向に移動させる。
【0047】
このとき、カメラ12は、チャンバ9aと共に補填ワークガイド部材10及び振動部11がY方向移動する状況を撮像して制御部によりモニタしており、この点でカメラ7の撮像データと、制御部における扱いが異なっている。制御部はこのカメラ12の撮像データに基づいて当該位置に到達するようにY方向送り機構9yを制御し、当該位置に到達した後には、ワークWを空のポケットPに補填するようチャンバ9aの負圧解除や振動部11のオンなどを制御する。
【0048】
以上の構成とされた本例のキャリアテープ装填装置1は、次のように動作する。ワーク供給部3、ワーク補填部8は、予めピット3A、8AにワークWが上流工程において挿入されており、ワーク供給部3、ワーク補填部8の正圧状態は解除されている。
【0049】
ワーク移載機構4はチャンバ4aをワーク供給部3側でテープ搬送機構2側の最初の一列のピット3A列を塞がない位置に、補填ワーク移動機構9はチャンバ9aをワーク補填部8側でテープ搬送機構2側の最初の一列のピット8A列を塞がない位置で待機している。この初期状態において、テープ搬送機構2により、キャリアテープTにおけるポケットPの6個分を送る時間だけキャリアテープTを送り、所定時間だけ搬送を停止するタクト搬送を開始する。
【0050】
キャリアテープTが、ガイド部材5内でキャリアテープTのポケットPが該ガイド部材5の全てのガイド孔5Aに対応するように搬送されるまでの間に、ワーク移載機構4はチャンバ4a内を負圧状態とし、さらに、Z方向昇降機構4zによりチャンバ4aをポーラスフィルム4Aがワーク供給部2のポーラスプレート3Bの表面にほぼ接触する位置に下降させて、ワーク供給部3の移載対象とする列のピット3Aに向けてX方向にチャンバ4aを移動させる。
【0051】
そして、ワーク供給部3の移載対象とする列のピット3Aへとチャンバ4aをX方向に移動させると、
図5(a)に示すように、ピット3Aの開口とポーラスフィルム4Aが重なった直後に、ピット3A内のワークWはポーラスフィルム4Aに吸引される。
【0052】
さらにチャンバ4aをワーク供給部3側へX方向に移動させると、
図5(b)に示すように、該ピット3A内のワークWがワーク供給部3側の壁面に当接する。その後、
図5(c)に示すように、チャンバ4aを本例では例えば搬送方向へY方向に移動させると、該ピット3A内のワークWが今度は搬送方向の壁面に当接し、最終的に1列のワークWが全てそれぞれポーラスフィルム4Aにおいて整列された状態となる。
【0053】
この状態で、Z方向昇降機構4zによりチャンバ4aを上昇させ、テープ搬送機構2側へチャンバ4aをX方向に移動させる。一方、この間に、テープ搬送機構2は、キャリアテープTを、ガイド部材5における全てのガイド孔5Aと該キャリアテープTにおけるガイド孔5Aに対応するポケットPとの位置が一致するように搬送させて、位置が一致した後、搬送を所定時間停止する。
【0054】
なお、このガイド孔5AとポケットPとの位置状況はカメラ7により把握されており、位置がずれている場合は即座に位置を合わせるように制御部がテープ搬送機構2によりキャリアテープTを前後に搬送制御し、ガイド孔5Aに対応するポケットPとの位置が一致するように搬送した後、搬送を所定時間停止するようにしている。
【0055】
ちなみに、本例では、ガイド孔5AとポケットPとの位置状況はカメラ7により把握されているが、キャリアテープTの搬送に関しては、ガイド部材5の浮き防止部5bがキャリアテープのX方向の両縁部をガイドしているので、キャリアテープTが蛇行して搬送されたり、搬送面から浮いたりすることが抑制されているから、位置がずれる可能性は極めて低い。
【0056】
テープ搬送機構2が所定時間停止するまでの間に、チャンバ4aがガイド部材5上方で、ポーラスフィルム4Aに吸引されているワークWとガイド孔5Aが一致した位置まで移動している。チャンバ4aが当該位置まで移動すると、該チャンバ4a内の負圧状態が解除され、ガイド孔5A内に向けてワークWが落下する。本例では、(予め駆動させていてもよいが)例えば、チャンバ4aが当該位置まで移動してきたときに振動部6を駆動してガイド部材5を微振動させる。
【0057】
ポーラスフィルム4AからワークWが落下すると、ガイド孔5Aにはテーパ5Bが形成されているので、テーパ5Bにより開口面積の大きい表面から開口面積の小さいポケットPへとワークWが振動部6の振動と相俟って速やかに案内され、何等かの理由で姿勢が崩れてガイド孔5Aに引っかかったりすることを抑制できる。
【0058】
ワーク移載機構4は、ポーラスフィルム4AからワークWを落下させた直後に、チャンバ4aをZ方向に上昇させつつワーク供給部3側の次の列へX方向に移動させるよう制御される。また、ガイド部材5上からチャンバ4aが前記のように移動すると、制御部はカメラ7における撮像データを画像処理し、ワークWが存在しないポケットPを検出する。
【0059】
制御部はカメラ7によりガイド孔5Aを介したポケットPの状況を撮像した後、テープ搬送機構2は、キャリアテープTを、ワークWを装填したポケットPの6個分だけ下流に搬送する(つまり、ガイド部材5内には次の6個分の空のポケットP分のキャリアテープTが搬送される)。
【0060】
テープ搬送機構2によりキャリアテープTを、今ワークWが装填された分だけ下流に搬送する所定時間の間に、ワーク移載機構4は、ワーク供給部3側へチャンバ4aを移動させて、該ワーク供給部3における次の列のピット3Aに挿入されているワークWを整列し、吸引し、そして、次のキャリアテープTの搬送停止までに、チャンバ4aがガイド部材5上方で、ポーラスフィルム4Aに吸引されているワークWとガイド孔5Aが一致した位置まで移動して、以降、ここまでの動作を繰り返す。
【0061】
ワークWがワーク供給部3からキャリアテープTのポケットPに挿入されて、下流に搬送される間において、ガイド部材移動機構5Cは、次のように動作する。
図6(a)
図7(a)に示すように、未だワーク移載機構4からワークWがテープ搬送機構2に移載されてきていない状態では、当然ながら、キャリアテープTのポケットPにワークWは存在せず(図示白抜き)、テープ搬送機構2におけるワークWの移載位置にはガイド部材5が位置している。
【0062】
図6(b)に示すように、ワークWがキャリアテープTのポケットPに挿入された後、本例では
図6(c)
図7(b)に示すように、ガイド部材5はガイド部材移動機構5Cによってガイド孔5A,5Aの間、つまりガイド孔5Aの形成されていない位置でポケットPを塞ぐ分だけ搬送方向に移動する。
【0063】
この後、
図6(d)
図7(c)に示すように、ガイド孔5Aの形成されていない位置でワークWの挿入されたポケットPを塞いだ状態のまま、所定長さ分だけ、キャリアテープTのテープ搬送機構2と同調してガイド部材5がガイド部材移動機構5Cによって移動する。こうすることで、ワークWは安定してポケットPに挿入された状態で搬送することが可能となる。
【0064】
なお、上記において、ワーク供給部3における最後の列のワークWを移載したときには、その14をテーブルDから退避させると共に、ワークWが全ピット3Aに挿入された状態で用意された次のワーク供給部3をテーブルDに載置し、今、退避させたワーク供給部3について、ワークWを全ピット3Aに装填して用意しておく。
【0065】
今、本例における説明では、上記ワーク移載機構4により一括して6個のワークWをキャリアテープTのポケットPに搬送されているならば、すなわち制御部がカメラ7における撮像データを画像処理して、ワークWが存在しないポケットPを検出しなかった場合は、ワークWを補填する必要はないが、仮に一列、6個分のポケットPのうちにワークWが存在しない空のポケットPが存在することを検知した場合は、次のように動作する。
【0066】
カメラ7による撮像データに基づいて制御部がワークWの存在しない空のポケットPを検出すると、制御部は空のポケットPが次の搬送停止時にY方向のどの位置に停止するかを特定する。そして、制御部は、空のポケットPの停止位置の特定し終えた後、キャリアテープTの搬送中に、その位置へチャンバ9aと共に補填ワークガイド部材10及び振動部11をY方向に移動させる。
【0067】
上記、チャンバ9a、補填ワークガイド部材10及び振動部11のY方向の移動は、カメラ12による撮像データに基づいて制御部によりモニタしている。そして、制御部はカメラ12の撮像データに基づいて当該位置に到達するようにY方向送り機構9yを制御し、当該位置に到達した後には、チャンバ9aの負圧解除や振動部11のオンを制御して空のポケットPにワークWを補填する。
【0068】
さらに、本発明は、上記実施例において、キャリアテープTにワークWを装填するだけでなく、品質検査を行う構成とすることもできる。以下、
図8及び
図9を参照して、上記実施例と異なる構成について説明し、重複する部材の説明は省略する。なお、重複する部材については同じ参照符号を付している。
【0069】
13は、テープ搬送機構2とワーク供給部3との間に設けた、ワークWの画像検査、本例では外観検査用の撮像手段としてのカメラである。このカメラ13は前記のとおり、ワークWの外観の物理的欠陥等を検査するためのものである。
【0070】
カメラ13は、本例の場合は、ワーク供給部3のテーブルDの高さ位置で言うとポーラスプレート3Bの位置より低い位置に設けられ、この位置からワーク移載機構4のポーラスフィルム4Aに吸引されたワークWの下面を撮像する。
【0071】
14は、本例において電子部品を対象としたワークWについて通電して容量や耐電圧等の電気特性検査をするための導通検査部である。この導通検査部14は、テープ搬送機構2のキャリアテープTにおけるワークWの装填位置と、該装填位置から該ワークWの該キャリアテープTへの装填を阻害しない退避位置と、の間で移動可能で、かつ、装填位置でワークWに接触又は非接触となるよう移動可能とされている。
【0072】
具体的には、導通検査部14は、本体14Aの下面において、ガイド部材5のガイド孔5A(ポケットP)1つにつき、1対の電極ピン14a,14aが設けられている。本体14Aは腕部14bに支持されている。この腕部14bの本体14Aを支持した側と反対側は、本例ではガイド部材移動機構5Cと干渉しない位置に設けた導通検査部移動機構14Bに支持されている。導通検査部移動機構14Bは、該腕部14bを上下方向とキャリアテープTの搬送方向と同一平面で直交する方向とに移動させるものである。
【0073】
この構成におけるキャリアテープ装填装置1の動作は、上記において、ワークWが、ワーク供給部3からワーク移載装置4によりテープ搬送機構2へ向かうときに、カメラ13によりワークWの下面を撮像する。外観に欠陥のあるワークについては、不図示の制御部により管理して、図示しないが、テープ搬送機構2のキャリアテープTの搬送経路におけるワーク補填部8までに設けた、ピックアップ部によりキャリアテープTのポケットPから排除するようにすればよい。
【0074】
そして、ピックアップ部でワークWが不在となったポケットPもまた制御部で管理しておいて、ワーク補填部8において、ワークWを補填するようにすればよい。なお、キャリアテープ装填装置1は、ワークWの出荷直前工程に配備されるので、上流工程において既に外観検査や導通検査を通過した良品だけが搬送されてきている。よって、カメラ13による外観検査も、導通検査も、位置付としては(良品前提の)最終確認である。
【0075】
ワークWがポケットPに装填され、ガイド部材5によってポケットPを塞ぐ前、つまり
図6(b)の後(
図7(b)の前)、において、導通検査部移動機構14Bが、本体14Aを、ガイド部材5の上方に移動(X方向)させ、
図9(a)に示すように、電極ピン14a,14aがガイド部材5のガイド孔5A(ポケットP)の各々に位置させた後、下降させてそれぞれの電極ピン14a,14aを各ガイド孔5A(ポケットP)に挿入し、
図9(b)に示すように、ワークWの電極と電極ピン14a,14aを接触させる。
【0076】
ワークWの電極と電極ピン14a,14aを接触させて、導通検査を行った際、電気特性上の不良があったワークWは上記のとおり制御部で管理し、外観検査不良品と同じくピックアップ部でピックアップ部によりキャリアテープTのポケットPから排除し、ワーク補填部8において、ワークWを補填するようにする。
【0077】
なお、導通検査部14は、電極ピン14a,14aが各ガイド孔5A(ポケットP)に挿入することで、ポケットP内で不安定な姿勢にあるワークWを正しい姿勢に矯正するといった効果もある。
【0078】
そして、導通検査が完了すると、導通検査部移動機構14Bは、電極ピン14a,14aが完全にガイド孔5Aから抜け出た状態となるまで本体14を上昇させ、ワークWのキャリアテープTへの装填を阻害しないX方向の退避位置まで移動する。
【0079】
本体14Aが退避した後、上記の
図6(c)、
図7(b)に示すように、ガイド部材5によってポケットPを塞ぎ、なお、ピックアップ部を介在させた場合は、不良品のピックアップを済ませて、以降、上記と同様の動作を行う。
【0080】
なお、上記実施例では、テープ搬送機構2はキャリアテープTをタクト送りする構成としていたが、例えばワークWのポケットPからの飛び出しを確実に防止するならば、上記ワークの外観又は導通不良品を検出した際に、この不良品を排除するピックアップ部を除いて、ワークWをポケットPの挿入方向に吸気する構成とすればよい。
【0081】
以上のとおり、本発明によれば、予めある程度整列配置した状態でワークWを供給するワーク供給部3、及びその全面で複数のワークWを一括して負圧吸引するワーク移載機構4によって、極小サイズであることに起因した複数のワークWを一括してキャリアテープTに向けて移載し、ポケットPに装填する作業の困難性及び非効率性を克服・改善することができ、さらには作業時間を短縮化できる。
【0082】
なお、例えば搬送2秒と停止1秒で、1サイクルを3秒とした場合、本例の場合、1分で120個(=6個×20)、1時間で7200個のワークWを確実にキャリアテープTのポケットPに装填できることになる。そして、ワーク供給部3の1列におけるワークWの挿入個数を増やし、及び前記ワーク供給部3の1列の個数に対応したチャンバ4aのY方向の長さを長くすれば、さらに単位時間あたりにおいてキャリアテープTのポケットPにワークWを装填できる個数が増えることは言うまでもない。