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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166715
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20231115BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20231115BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20231115BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20231115BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20231115BHJP
   H01Q 13/22 20060101ALI20231115BHJP
   H01Q 21/00 20060101ALI20231115BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20231115BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H04B1/38
H01Q1/42
H01Q1/22 Z
H01Q13/10
H01Q13/22
H01Q21/00
H01Q5/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077418
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳弘
(72)【発明者】
【氏名】石野 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】箟 耕治
(72)【発明者】
【氏名】坂井 敏文
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J046
5J047
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021AA11
5J021AA13
5J021AB05
5J021GA07
5J021GA08
5J021JA03
5J021JA07
5J045AA05
5J045AA21
5J045AB05
5J045DA04
5J046AA15
5J046RA03
5J047AA04
5J047AA09
5J047AA12
5J047AA15
5J047AB01
5J047AB06
5J047AB08
5J047EF00
5K011AA06
(57)【要約】
【課題】所望位置に容易に設置でき、所望方向に高利得を実現できる無線通信装置を実現する。
【解決手段】
無線通信装置10は、所定形状のアクセスポイント装置20、アンテナ41、42、および、筐体50を備える。アンテナ41、42は、アクセスポイント装置20に接続し、アクセスポイント装置20に並んで配置され、アクセスポイント装置20側と反対側の方向に主たる指向性を有する。筐体50は、アクセスポイント装置20とアンテナ41、42とを収容し、電波を透過可能で持ち運び可能な形状である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状のアクセスポイント装置と、
前記アクセスポイント装置に接続し、前記アクセスポイント装置に並んで配置され、前記アクセスポイント装置側と反対側の方向に主たる指向性を有するアンテナと、
前記アクセスポイント装置と前記アンテナとを収容し、電波を透過可能で持ち運び可能な筐体と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記アンテナは複数であり、
前記複数のアンテナは、前記アクセスポイント装置を間に挟む位置に配置される、
無線通信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線通信装置であって、
前記アクセスポイント装置は、
側面視した面積が平面視した面積よりも小さく、
前記側面視した形状が、長手方向と短手方向とを有する形状であり、
前記アンテナは、
前記長手方向に沿って延びる導波管スロットアンテナである、
無線通信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無線通信装置であって、
前記アクセスポイント装置における複数種類の高周波信号の入出力端子と、前記アンテナとの間に接続される合成器を備え、
前記合成器は、前記筐体内に配置される、
無線通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無線通信装置であって、
前記アクセスポイント装置に接続される無指向性アンテナを備え、
前記無指向性アンテナは、前記アクセスポイント装置における前記アンテナが配置される側面と異なる側面に配置される、
無線通信装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の無線通信装置であって、
前記アクセスポイント装置および前記アンテナに物理的に接続する固定治具を備え、
前記固定治具は、平板であり、前記筐体に物理的に固定される、
無線通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の無線通信装置であって、
前記筐体は、防塵性および防水性を有する、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスポイント装置とアンテナとを備える無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トンネル内に中継器を備えたLAN拡張システムが記載されている。中継器は、トンネルの延びる方向に間隔を空けて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6766285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来の構成では、所望位置に容易に設置し、且つ、所望方向に高い利得を有することは、難しかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、所望位置に容易に設置でき、所望方向に高利得を実現できる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の無線通信装置は、所定形状のアクセスポイント装置、アンテナ、および、筐体を備える。アンテナは、アクセスポイント装置に接続し、アクセスポイント装置に並んで配置され、アクセスポイント装置側と反対側の方向に主たる指向性を有する。筐体は、アクセスポイント装置とアンテナとを収容し、電波を透過可能で持ち運び可能な形状である。
【0007】
この構成では、筐体を所望の位置で所望の向きに配置するだけで、筐体から所望方向に高い利得の電波を放射できる。これにより、無線通信装置は、所望位置に容易に設置でき、所望方向に高利得を実現できる。
【0008】
また、この発明の無線通信装置では、アンテナは複数であり、複数のアンテナは、アクセスポイント装置を間に挟む位置に配置される。
【0009】
この構成では、アクセスポイント装置を基準にした両側に高利得の電波を放射できる。したがって、アクセスポイント装置の電波を受波可能な範囲に配置する無線通信装置の個数を少なくできる。
【0010】
また、この発明の無線通信装置では、アクセスポイント装置は、側面視した面積が平面視した面積よりも小さく、側面視した形状が、長手方向と短手方向とを有する形状である。アンテナは、長手方向に沿って延びる導波管スロットアンテナである。
【0011】
この構成では、アクセスポイント装置とアンテナとを、所定方向の寸法が短い(例えば、厚みが小さい)筐体に収容できる。これにより、無線通信装置の設置面積を小さくできる。特に、アクセスポイント装置とアンテナとが並ぶ方向に視て、無線通信装置を薄くできる。
【0012】
また、この発明の無線通信装置では、アクセスポイント装置における複数種類の高周波信号の入出力端子と、アンテナとの間に接続される合成器を備える。合成器は、筐体内に配置される。
【0013】
この構成では、複数種類の高周波信号を放射できる。すなわち、複数種類の高周波信号の放射を実現しながら、所望方向に高利得を実現し、所望位置に容易に設置できる。
【0014】
また、この発明の無線通信装置では、アクセスポイント装置に接続される無指向性アンテナを備える。無指向性アンテナは、アクセスポイント装置におけるアンテナが配置される側面と異なる側面に配置される。
【0015】
この構成では、筐体の形状が大きくなることを抑制しながら、無線通信装置の近傍の電波強度を所定レベルに確保できる。
【0016】
また、この発明の無線通信装置では、アクセスポイント装置およびアンテナに物理的に接続する固定治具を備え、固定治具は、平板であり、筐体に物理的に固定される。
【0017】
この構成では、筐体の形状が大きくなることを抑制しながら、アクセスポイント装置とアンテナとを筐体により確実に固定できる。
【0018】
また、この発明の無線通信装置では、筐体は、防塵性、および、防水性を有する。
【0019】
この構成では、アクセスポイント装置およびアンテナを、塵埃、水分から、より確実に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(A)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の外観斜視図であり、図1(B)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の蓋52を無くした状態の外観斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る無線通信装置の平面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る無線通信装置の側面断面図である。
図4図4(A)、図4(B)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の側面断面図である。
図5図5は、アクセスポイント装置とアンテナとの配置を示す斜視図である。
図6図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)は、アクセスポイント装置とアンテナの配置を示す平面図、および複数の側面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る無線通信装置の機能ブロック図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る無線通信装置の設置態様の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る無線通信装置の機能ブロック図である。
図10図10(A)は、第2の実施形態に係る無線通信装置の平面図であり、図10(B)は、第2の実施形態に係る無線通信装置の側面断面図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る無線通信装置の設置態様の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に用いるアンテナの別態様の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に用いるアンテナの別態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置について、図を参照して説明する。
【0022】
図1(A)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の外観斜視図であり、図1(B)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の蓋52を無くした状態の外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る無線通信装置の平面図である。図3図4(A)、図4(B)は、第1の実施形態に係る無線通信装置の側面断面図である。図2図3図4(A)、図4(B)は、蓋を開いた状態を示している。
【0023】
図5は、アクセスポイント装置とアンテナとの配置を示す斜視図である。図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)は、アクセスポイント装置とアンテナの配置を示す平面図、および複数の側面図である。図7は、第1の実施形態に係る無線通信装置の機能ブロック図である。
【0024】
(無線通信装置10の機能構成(回路構成))
図7に示すように、無線通信装置10は、アクセスポイント装置20、合成器31、合成器32、アンテナ41、アンテナ42、伝送線路291、伝送線路292、伝送線路293、伝送線路294、伝送線路391、および、伝送線路392を備える。
【0025】
アクセスポイント装置20は、複数周波数(ここでは2種類の周波数)を送受信可能なアクセスポイント機能(AP機能)を有する。例えば、アクセスポイント装置20は、Wifi通信に利用する2.4GHz帯の高周波信号および5.0GHz帯の高周波信号の送受信が可能である。
【0026】
アンテナ41とアンテナ42とは、所定方向に高い利得を有するアンテナである。言い換えれば、アンテナ41とアンテナ42とは、無指向性ではなく、アンテナ41またはアンテナ42を基準として特定方向に高い利得を有し、他の方向には、特定方向よりも低い利得を有する。アンテナ41とアンテナ42との仕様は、アクセスポイント装置20で送受信する高周波信号の周波数に応じて決定される。
【0027】
アクセスポイント装置20と合成器31とは、伝送線路291および伝送線路292によってそれぞれ接続される。合成器31とアンテナ41とは、伝送線路391によって接続される。
【0028】
アクセスポイント装置20と合成器32とは、伝送線路293および伝送線路294によってそれぞれ接続される。合成器32とアンテナ42とは、伝送線路392によって接続される。
【0029】
伝送線路291、伝送線路292、伝送線路293、伝送線路294、伝送線路391、および、伝送線路392は、例えば、同軸ケーブルからなる。
【0030】
アクセスポイント装置20は、第1周波数の第1高周波信号を、伝送線路291を通じて合成器31に出力する。また、アクセスポイント装置20は、第2周波数(第1周波数と異なる周波数)の第2高周波信号を、伝送線路292を通じて合成器31に出力する。
【0031】
合成器31は、第1高周波信号と第2高周波信号とを合成する。合成器31は、合成信号を、伝送線路391を通じてアンテナ41に給電する。アンテナ41は、給電された合成信号を、所定方向に高利得の指向性で放射する。
【0032】
アクセスポイント装置20は、第1周波数の第1高周波信号を、伝送線路293を通じて合成器32に出力する。また、アクセスポイント装置20は、第2周波数の第2高周波信号を、伝送線路294を通じて合成器32に出力する。
【0033】
合成器32は、第1高周波信号と第2高周波信号とを合成する。合成器32は、合成信号を、伝送線路392を通じてアンテナ42に給電する。アンテナ42は、給電された合成信号を、所定方向に高利得の指向性で放射する。
【0034】
このような構成によって、無線通信装置10は、複数周波数に対応し、所定の指向性を実現できる。
【0035】
(無線通信装置10の構造)
次に、無線通信装置10を構成する各構成要素の形状等を、図1(A)、図1(B)、図2図3図4(A)、図4(B)、図5図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)を参照して説明する。
【0036】
(アクセスポイント装置20、アンテナ41、アンテナ42の構造)
アクセスポイント装置20は、直方体形状である。より具体的には、アクセスポイント装置20では、平面視した面積(図のz軸方向に視た面積)は、側面視した面積(図のx軸方向に見た面積および図のy軸方向に見た面積)よりも大きい。また、アクセスポイント装置20の側面形状は、長手方向と短手方向を有する形状である。具体的に、各図を参照すると、アクセスポイント装置20は、x軸方向およびy軸方向を長手方向とし、z軸方向を短手方向とする。なお、アクセスポイント装置20は、平面視した面積と側面視した面積とが上述の関係にあり、側面視した形状が長手方向と短手方向を有する形状であれば、直方体形状に限らない。
【0037】
アンテナ41は、方形導波管を用いたスロットアンテナ(導波管スロットアンテナ)である。アンテナ41は、方形導波管411とホーン412とを備える。方形導波管411は、一方向に延びる形状である。方形導波管411には、延びる方向に間隔をおいて複数のスロット410が形成されている。ホーン412は、方形導波管411における複数のスロット410が形成された壁面の外側に配置されている。これにより、アンテナ41は、複数のスロット410が形成される面から直交する方向に主たる指向性を有するように電波を放射する(後述の図8参照)。
【0038】
アンテナ41は、アクセスポイント装置20の第1側面に隣接して配置される。この際、アンテナ41は、アンテナ41の延びる方向(方形導波管411が延びる方向)がアクセスポイント装置20の第1側面の長手方向に平行になるように配置される。なお、ここでの平行は、完全な平行に限らず、装着時の誤差等を含むものであってもよい。
【0039】
アンテナ42は、方形導波管を用いたスロットアンテナ(導波管スロットアンテナ)である。アンテナ42は、方形導波管421とホーン422とを備える。方形導波管421は、一方向に延びる形状である。方形導波管421には、延びる方向に間隔をおいて複数のスロット420が形成されている。ホーン422は、方形導波管421における複数のスロット420が形成された壁面の外側に配置されている。これにより、アンテナ42は、複数のスロット420が形成される面から直交する方向に主たる指向性を有するように電波を放射する(後述の図8参照)。
【0040】
アンテナ42は、アクセスポイント装置20の第2側面に隣接して配置される。第2側面は、第1側面に対向する面である。この際、アンテナ42は、アンテナ42の延びる方向(方形導波管421が延びる方向)がアクセスポイント装置20の第2側面の長手方向に平行になるように配置される。なお、ここでの平行は、完全な平行に限らず、装着時の誤差等を含むものであってもよい。
【0041】
すなわち、アンテナ41とアンテナ42とは、アクセスポイント装置20を間に挟んで配置される。また、アンテナ41とアンテナ42とは、それぞれの延びる方向が平行になるように配置される。なお、ここでの平行も、完全な平行に限らず、装着時の誤差等を含むものであってもよい。
【0042】
このような構成によって、アクセスポイント装置20、アンテナ41、および、アンテナ42からなる複合体は、z軸方向の寸法が、x軸方向の寸法およびy軸方向の寸法より小さい形状となる。言い換えれば、この複合体は、z軸方向に省スペース化された実現できる。
【0043】
さらに、アンテナ41とアンテナ42とは、主たる指向性の方向がアクセスポイント装置20側と反対側になるように配置される。このような構成によって、無線通信装置10は、複合体を基準として、両側(各図におけるx軸方向の両側)に、高い利得の電波を放射できる。言い換えれば、無指向性アンテナを用いた場合と比較して、無線通信装置10は、複合体の両側のより遠い位置まで電波を放射できる。
【0044】
(アクセスポイント装置20、アンテナ41、アンテナ42の固定構造)
アクセスポイント装置20、アンテナ41、および、アンテナ42は、固定治具60によって、互いの位置関係が固定される。固定治具60は、平板であり、一体形成された第1部分、第2部分、および、第3部分を備える。第1部分は、アクセスポイント装置20に接続し、第2部分は、アンテナ41に接続し、第3部分は、アンテナ42に接続する。
【0045】
より具体的には、アクセスポイント装置20の一主面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)、アンテナ41の方形導波管411の一面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)、および、アンテナ42の方形導波管421の一面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)は、面一である。言い換えれば、アクセスポイント装置20の一主面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)、アンテナ41の方形導波管411の一面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)、および、アンテナ42の方形導波管421の一面(x軸方向およびy軸方向に平行な一面)は、z軸方向における位置が略同じである。
【0046】
これに対して、第1部分は、アクセスポイント装置20の一主面に当接してネジ600等によって物理的に固定され、第2部分は、アンテナ41の一面に当接してネジ600等によって物理的に固定され、第3部分は、アンテナ41の一面に当接してネジ600等によって物理的に固定される。これにより、アクセスポイント装置20に対して、アンテナ41およびアンテナ42の位置が物理的に固定される。
【0047】
(筐体50の構造)
筐体50は、本体51と蓋52とを備える。本体51および蓋52は、樹脂製であり、防塵性および防水性を備える。筐体50は、電波透過性を有する。
【0048】
本体51は、主壁511、側壁512、側壁513、側壁514、および、側壁515を備える箱状である。側壁512、側壁513、側壁514、および、側壁515は、主壁511の外周に沿って配置され、主壁511から立設している。側壁512と側壁513とは対向し、側壁514と側壁515とは対向する。これにより、本体51は、主壁511、側壁512、側壁513、側壁514、および、側壁515で囲まれる空間510を有する。
【0049】
側壁512と側壁513との距離は、側壁514と側壁515との距離よりも長い。すなわち、側壁512と側壁513とが並ぶ方向が本体51(筐体50)の長手方向であり、側壁514と側壁515とが並ぶ方向が本体51(筐体50)の短手方向である。
【0050】
蓋52は、側壁515の先端(主壁511に接続する側と反対側の端)に、ヒンジ等によって回動可能に固定される。蓋52を回動させて、本体51の開口面を塞ぐことで、空間510は、密閉される。これにより、空間510に埃や塵が入ること、水分が入ることを抑制できる。
【0051】
(アクセスポイント装置20、アンテナ41、および、アンテナ42の筐体50への固定構造)
アクセスポイント装置20、アンテナ41、および、アンテナ42の複合体は、この複合体の長手方向が筐体50の本体51の長手方向と一致するように(平行になるように)、本体51の空間510内に収容される。
【0052】
さらに、筐体50(本体51)の短手方向は、アンテナ41およびアンテナ42の長手方向に平行であり、筐体の短手方向の長さは、アンテナ41およびアンテナ42の延びる方向の長さと同程度で、複合体を空間510内に収容可能な長さである。
【0053】
さらに、空間510の深さは、複合体の高さと同程度である。ここで、複合体の高さとは、アンテナ41、アクセスポイント装置20、および、アンテナ42が並ぶ方向と、アンテナ41およびアンテナ42の延びる方向との両方に直交する方向であり、各図で言えば、z軸方向の寸法である。
【0054】
このような構成によって、筐体50(本体51)の大きさを、複合体の収容可能な範囲内で、できる限り小さくできる。すなわち、筐体50は、複合体を収容可能にしながら、小型化を実現できる。
【0055】
さらに、複合体の高さ(z軸方向の寸法)は、複合体の他の方向(x軸方向の寸法、および、y軸方向の寸法)よりも小さい。そして、複合体の高さと本体51の空間510の深さが同程度である。したがって、本体51の空間510の深さを浅くでき、筐体50は、薄型化を実現できる。
【0056】
なお、このような複合体は、固定治具60を用いて筐体50に固定される。より具体的には、固定治具60の一部は、筐体50の本体51の側壁514および側壁515まで達する形状である。この固定治具60と側壁514および側壁515とが重なる部分において、固定治具60は、ネジ600等によって側壁514および側壁515に物理的に固定される。
【0057】
以上のような構成によって、無線通信装置10は、筐体50の長手方向に平行な方向で、筐体50の両側に高い利得を有する電波を放射できる。さらに、筐体50が小型、薄型であるので、無線通信装置10の持ち運びや設置は、容易になる。したがって、無線通信装置10は、所望位置に容易に設置でき、所望方向に高利得を実現できる無線通信装置を提供することにある。
【0058】
なお、無線通信装置10の筐体50は、持ち手53を備えていることが好ましいが、持ち手53は、省略することができる。持ち手53を備えることによって、無線通信装置10の持ち運び易さは、向上する。また、後述するように、持ち手53は、無線通信装置10の設置に利用することもできる。
【0059】
また、無線通信装置10のアンテナ41およびアンテナ42は、方形導波管411および方形導波管421の端部の中央に導体板を備えているとよい。このような構成によって、方形導波管411および方形導波管421から外部に漏洩する電波を抑制でき、アンテナ41およびアンテナ42は、より効率的に電波を放射できる。
【0060】
なお、無線通信装置10では、アクセスポイント装置20を挟んでアンテナ41とアンテナ42とを配置している。しかしながら、アンテナ41とアンテナ42の少なくとも一方が配置されていればよい。さらには、アクセスポイント装置20の各側面(例えば4つの側面)のそれぞれにアンテナを配置することも可能である。
【0061】
(無線通信装置の設置態様の一例)
図8は、第1の実施形態に係る無線通信装置の設置態様の一例を示す図である。なお、図8では、無線通信装置10の大きさを誇張して大きめに記載しているが、無線通信装置10は、人が持ち運び可能な大きさである。また、図8で示す各電波は、指向性のイメージを示すものであり、実際の指向性と完全に一致しているものとは限らない。
【0062】
複数の無線通信装置10X1、10X2、10X3は、トンネル90内に設置される。なお、複数の無線通信装置10X1、10X2、10X3は、それぞれに、上述の無線通信装置10の構成を備える。
【0063】
無線通信装置10X1、10X2、10X3は、トンネル90の延びる方向に沿って、所定間隔で設置される。なお、この設置間隔は、一定であっても異なっていてもよい。また、設置される無線通信装置の個数は3個に限らず、トンネル90内で必要とする無線環境を構築するために、必要個数を適宜設置すればよい。
【0064】
無線通信装置10X1、10X2、10X3は、それぞれの持ち手53を、トンネル90の壁における路面91から離間した位置の突起等に掛ける。これにより、無線通信装置10X1、10X2、10X3は、トンネル90内の所定位置に容易に設置できる。
【0065】
さらに、無線通信装置10X1、10X2、10X3は、最も寸法の短い方向が、トンネル90の幅方向と同じになる。これにより、無線通信装置10X1、10X2、10X3を設置しても、トンネル90内の幅方向に大きな場所を取らず、作業の邪魔になることを抑制できる。
【0066】
また、無線通信装置10X1、10X2、10X3では、各アンテナの電波強度の強い方向が、トンネル90の延びる方向と同じになる。例えば、図8の例であれば、無線通信装置10X1のアンテナ41X1の電波RF41X1およびアンテナ42X1の電波RF42X1、無線通信装置10X2のアンテナ41X2の電波RF41X2およびアンテナ42X2の電波RF42X2、無線通信装置10X3のアンテナ41X3の電波RF41X3およびアンテナ42X3の電波RF42X3のそれぞれの電波強度が強い方向は、トンネル90の延びる方向と同じになる。
【0067】
これにより、例えば、無線通信装置10X1と無線通信装置10X2との間は、アンテナ42X1から放射されるトンネル90の延びる方向に強い指向性の電波RF42X1と、アンテナ41X2から放射されるトンネル90の延びる方向に強い指向性の電波RF41X2とで通信可能な電波の到達範囲がカバーされる。また、無線通信装置10X2と無線通信装置10X3との間は、アンテナ42X2から放射されるトンネル90の延びる方向に強い指向性の電波RF42X2とアンテナ41X3から放射されるトンネル90の延びる方向に強い指向性の電波RF41X3とで通信可能な電波の到達範囲をカバーできる。
【0068】
したがって、無線通信装置10X1と無線通信装置10X2との距離が離れていても、これら無線通信装置10X1と無線通信装置10X2との間で、無線通信装置10X1のアクセスポイント装置20または無線通信装置10X2のアクセスポイント装置20にアクセス可能になる。同様に、無線通信装置10X2と無線通信装置10X3との距離が離れていても、これら無線通信装置10X2と無線通信装置10X3との間で、無線通信装置10X2のアクセスポイント装置20または無線通信装置10X3のアクセスポイント装置20にアクセス可能になる。
【0069】
このように、本実施形態の無線通信装置10を用いることで、従来一般的であった無指向性アンテナを用いたアクセスポイントを用いるよりも、複数の無線通信装置10(10X1、10X2、10X3)間の距離を長くできる。したがって、トンネル90内の同じ距離区間を電波の到達範囲と設定した場合、無線通信装置の設定数を少なくできる。
【0070】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置について、図を参照して説明する。図9は、第2の実施形態に係る無線通信装置の機能ブロック図である。図10(A)は、第2の実施形態に係る無線通信装置の平面図であり、図10(B)は、第2の実施形態に係る無線通信装置の側面断面図である。
【0071】
図9図10(A)、図10(B)に示すように、第2の実施形態に係る無線通信装置10Aは、第1の実施形態に係る無線通信装置10に対して、無指向性アンテナ70を備える点で異なる。第2の実施形態に係る無線通信装置10Aの他の構成は、第1の実施形態に係る無線通信装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0072】
無線通信装置10Aは、無指向性アンテナ70を備える。無指向性アンテナ70は、外形形状が棒状である。無指向性アンテナ70は、アクセスポイント装置20に対して直接に物理的かつ電気的に接続される。無指向性アンテナ70は、アンテナ41およびアンテナ42と同様の周波数の電波を放射する。
【0073】
無指向性アンテナ70は、アクセスポイント装置20におけるアンテナ41が隣接する側面およびアンテナ42が隣接する側面と異なる側面に沿って配置される。このような構成によって、無指向性アンテナ70は、筐体50の空間510内に収容される。
【0074】
このように、無指向性アンテナ70を備えることで、無線通信装置10Aの近傍の電波強度を高くできる。
【0075】
図11は、第2の実施形態に係る無線通信装置の設置態様の一例を示す図である。図11は、図8に示した無線通信装置10X1、10X2、10X3を、無線通信装置10Aと同様の構成を備える無線通信装置10AX1、10AX2、10AX3に置き換えたものである。
【0076】
図11に示すように、無線通信装置10AX1の近傍は、無指向性アンテナ70による電波RF70X1によって、無線通信装置10AX1のアクセスポイント装置20との通信がより確実になる。同様に、無線通信装置10AX2、10AX3の近傍は、それぞれの無指向性アンテナ70による電波RF70X2、RF70X3によって、無線通信装置10AX2、10AX3のアクセスポイント装置20との通信がより確実になる。
【0077】
これにより、トンネル90内での電波強度の高い領域を、より確実に増やすことができる。
【0078】
[アンテナの別態様]
図12図13は、本発明の実施形態に用いるアンテナの別態様の一例をそれぞれに示す図である。
【0079】
図12に示すように、アンテナ48は、直方体形状の空洞共振器481を備える。空洞共振器481の一壁面には、それぞれ複数のスロット482、483が形成されている。複数のスロット482と複数のスロット483とは、延びる方向が直交する。複数のスロット482と複数のスロット483は、空洞共振器481の一壁面に、所定パターンで二次元配列されている。
【0080】
このような構成によって、アンテナ48は、直交二成分(例えば、垂直偏波成分と水平偏波成分)の電波を放射でき、斜め偏波(複数のスロット482、483の形成面に対して直交せず、平行でない偏波)を放射できる。これにより、アンテナ48は、特定方向(所望方向)に高い指向性を実現でき、この方向に高利得の電波を放射できる。
【0081】
なお、このような形状のアンテナ48は、例えば、放射面(複数のスロット482、483が形成される面)が、アクセスポイント装置20の主面(他の面と比較して面積の大きな面)に平行になるように配置するとよい。これにより、筐体50の空間510を効率的に利用してアンテナ48を収容でき、筐体50の大型化を抑制できる。
【0082】
図13に示すように、アンテナ49は、導波管スロットアンテナを応用したアンテナである。アンテナ49は、方形導波管491、複数のスロット490、および、2枚の導体板492を備える。
【0083】
複数のスロット490は、方形導波管491の延びる方向に沿って、所定間隔で形成される。2枚の導体板492は、方形導波管491における複数のスロット490の配列の一方端から所定距離離れた位置に配置される。2枚の導体板492は、方形導波管491に電気的、物理的に接続している。2枚の導体板492の平板面は、方形導波管491の延びる方向に直交する。
【0084】
2枚の導体板492は、方形導波管491の延びる方向に、アンテナ49が放射する電波の波長の略1/4の間隔で配置される。この構成によって、2枚の導体板492は、複数のスロット490から放射された電波を反射する。これにより、アンテナ49は、方形導波管491の延びる方向で、2枚の導体板492の無い方向に高い指向性を有する電波を放射できる。したがって、アンテナ49は、特定方向(所望方向)に高い指向性を実現でき、この方向に高利得の電波を放射できる。
【0085】
なお、この際、アンテナ49は、方形導波管491に凹み493を有するとよい。凹み493は、方形導波管491における複数のスロット490が主として形成される面と反対側の面の中央部に形成される。これにより、アンテナ49の放射特性は向上する。
【0086】
このように、本実施形態の無線通信装置では、特定方向(所望方向)に高い指向性を実現できるアンテナであれば、その放射方式、および、形状は任意に選択できる。ただし、上述の説明のように、一方向の長さが他の方向の長さよりも短い形状(例えば、立方体よりも平板に近いような形状)であれば、筐体50の空間510内において特定方向の長さを短くできるので、アクセスポイント装置の面に沿わせて配置し易い。これにより、筐体の大型化を抑制でき、より好適である。
【符号の説明】
【0087】
RF41X1、RF41X2、RF41X3、RF42X1、RF42X2、RF42X3、RF70X1、RF70X2:電波
10、10A、10AX1、10AX2、10X1、10X2、10X3:無線通信装置
20:アクセスポイント装置
31、32:合成器
41、41X1、41X2、41X3、42、42X1、42X2、42X3、48、49:アンテナ
50:筐体
51:本体
52:蓋
53:持ち手
60:固定治具
70:無指向性アンテナ
90:トンネル
91:路面
291、292、293、294、391、392:伝送線路
410、420、482、483、490:スロット
411、421、491:方形導波管
412、422:ホーン
481:空洞共振器
492:導体板
493:凹み
510:空間
511:主壁
512、513、514、515:側壁
600:ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13