(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166724
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0413 20170101AFI20231115BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20231115BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
H04B7/0413 320
H04W16/28 130
H04W4/46
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077441
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 学
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴寛
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE25
5K067KK03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】偏波MIMO多重送信の実施を制御する通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、第1移動体(車両)に搭載される第1通信装置100と、第2移動体(車両)に搭載される第2通信装置200とを備える。第2通信装置は、垂直方向及び水平方向の少なくともいずれかに空間的に離隔して配置された複数の第2直交偏波アンテナ222を含むアンテナアレーを有する。第1通信装置は、第1直交偏波アンテナ112と、第1通信装置100と第2通信装置200との間の伝搬路状況に基づいて、第1直交偏波アンテナ112による偏波MIMO多重送信の実施を制御する送信機ベースバンド部150とを、有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体に搭載される第1通信装置と、
第2移動体に搭載される第2通信装置と
を備え、
前記第2通信装置は、
垂直方向及び水平方向の少なくともいずれかに空間的に離隔して配置された複数の第2直交偏波アンテナを含むアンテナアレー
を有し、
前記第1通信装置は、
第1直交偏波アンテナと、
前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の伝搬路状況に基づいて、前記第1直交偏波アンテナによる偏波MIMO多重送信の実施を制御する制御部と
を有する、通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記伝搬路状況が、前記複数の第2直交偏波アンテナの配置によるスペースダイバーシティの効果を得られる伝搬条件を満たす場合に、前記偏波MIMO多重送信を実施するように前記第1直交偏波アンテナを制御する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第2通信装置は、
前記第1通信装置との間の伝搬路状況を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記伝搬路状況に基づくフィードバック情報を前記第1通信装置に送信するFB情報送信部と
をさらに有し、
前記第1通信装置は、
前記フィードバック情報を受信する受信機
をさらに有し、
前記制御部は、前記フィードバック情報に応じて、偏波ダイバーシティ又は前記偏波MIMO多重送信のいずれかを実施する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1通信装置と前記第2通信装置との距離として予め定められた第1の距離におけるアンテナ位置によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、空間的に離隔して配置されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1の距離は、前記第1移動体と、前記第2移動体との距離として予め定められた距離である、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1の距離は、前記第1移動体と、前記第2移動体との最大距離として予め定められた距離である、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1移動体及び前記第2移動体は、車両であり、
前記第1の距離は、前後を走行する2台の車両の車間距離として予め定められた距離である、請求項4に記載の通信システム。
【請求項8】
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1の距離におけるアンテナ横位置によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、横方向に空間的に離隔して配置される、請求項4に記載の通信システム。
【請求項9】
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1の距離におけるアンテナ高によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、高さ方向に空間的に離隔して配置される、請求項4に記載の通信システム。
【請求項10】
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1直交偏波アンテナから前記第1直交偏波アンテナが発する電波を反射する反射体への方向に沿って、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離に基づいて特定されたアンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
前記反射体は地面であり、
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記反射体と垂直となる方向に沿って、前記第1直交偏波アンテナのアンテナ高に基づいて特定された前記アンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されている、請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離と、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎のアンテナ間隔を示す距離間隔データとによって特定された前記アンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されている、請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記距離間隔データは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎に、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、一の前記第2直交偏波アンテナと前記反射体との距離及び前記第1直交偏波アンテナと前記一の第2直交偏波アンテナとの送受アンテナ距離を変化させた場合の前記複数の第2直交偏波アンテナが前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルをシミュレーションした結果に基づいて生成されたデータである、請求項12に記載の通信システム。
【請求項14】
前記距離間隔データは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎に、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、一の前記第2直交偏波アンテナと前記反射体との距離及び前記第1直交偏波アンテナと前記一の第2直交偏波アンテナとの送受アンテナ距離を変化させた場合の前記複数の第2直交偏波アンテナが前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルを実測した結果に基づいて生成されたデータである、請求項12に記載の通信システム。
【請求項15】
前記距離間隔データは、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、前記複数の第2直交偏波アンテナのうち前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルが高い方の前記レベルの最小値のうちの略極大値に基づいて生成されたデータである、請求項13に記載の通信システム。
【請求項16】
前記距離間隔データは、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、前記複数の第2直交偏波アンテナの、前記第1直交偏波アンテナからの直接波及び反射波の位相差の相関係数の略極小値に基づいて生成されたデータである、請求項12に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1および非特許文献2には、車載無線端末装置間で直接通信を行う車車間直接通信における垂直方向のアンテナ空間ダイバーシティの有効性について記載されている。非特許文献3は、無線基地局装置と無線端末装置が通信を行うセルラ移動通信における空間ダイバーシティが効果的となるアンテナ間隔について、見通し外通信を前提とし、移動局側で水平方向に半波長以上、基地局側で10波長以上離せばよいことが記載されている。
[先行技術文献]
[非特許文献]
[非特許文献1]Akihito Kato, Katsuyoshi Sato, Masayuki Fujise, and Shigeru Kawakami, "Propagation Characteristics of 60-GHz Millimeter Wave for ITS Inter-Vehicle Communications," IEICE Trans. Commun., vol.E84-B, no.9, pp.2530-2539, Sept. 2001.
[非特許文献2]唐沢好男、"ITSミリ波車車間の路面反射フェージングとスペースダイバーシチに関する基礎的検討"電子情報通信学会論文誌B, Vol.J83-B, No.4,pp.518-524, Apr. 2000.
[非特許文献3]唐沢好男、"ディジタル移動通信の電波伝搬基礎"コロナ社,改訂版第1刷, Mar. 2016.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、通信システムが提供される。前記通信システムは、第1移動体に搭載される第1通信装置と、第2移動体に搭載される第2通信装置とを備える。前記第2通信装置は、垂直方向及び水平方向の少なくともいずれかに空間的に離隔して配置された複数の第2直交偏波アンテナを含むアンテナアレーを有してよい。前記第1通信装置は、第1直交偏波アンテナを有してよい。前記第1通信装置は、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の伝搬路状況に基づいて、前記第1直交偏波アンテナによる偏波MIMO多重送信の実施を制御する制御部を有してよい。
【0004】
前記いずれかの通信システムにおいて、前記制御部は、前記伝搬路状況が、前記複数の第2直交偏波アンテナの配置によるスペースダイバーシティの効果を得られる伝搬条件を満たす場合に、前記偏波MIMO多重送信を実施するように前記第1直交偏波アンテナを制御してよい。
【0005】
前記いずれかの通信システムにおいて、前記第2通信装置は、前記第1通信装置との間の伝搬路状況を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記伝搬路状況に基づくフィードバック情報を前記第1通信装置に送信するFB情報送信部とをさらに有し、前記第1通信装置は、前記フィードバック情報を受信する受信機をさらに有し、前記制御部は、前記フィードバック情報に応じて、偏波ダイバーシティ又は前記偏波MIMO多重送信のいずれかを実施してよい。
【0006】
前記いずれかの通信システムにおいて、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1通信装置と前記第2通信装置との距離として予め定められた第1の距離におけるアンテナ位置によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、空間的に離隔して配置されていてよい。前記第1の距離は、前記第1移動体と、前記第2移動体との距離として予め定められた距離であってよい。前記第1の距離は、前記第1移動体と、前記第2移動体との最大距離として予め定められた距離であってよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記第1移動体及び前記第2移動体は、車両であってよく、前記第1の距離は、前後を走行する2台の車両の車間距離として予め定められた距離であってよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1の距離におけるアンテナ横位置によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、横方向に空間的に離隔して配置されてよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1の距離におけるアンテナ高によるレベル変動の周期の半周期の奇数倍の距離、高さ方向に空間的に離隔して配置されてよい。
【0007】
前記いずれかの通信システムにおいて、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1直交偏波アンテナから前記第1直交偏波アンテナが発する電波を反射する反射体への方向に沿って、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離に基づいて特定されたアンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されていてよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記反射体は地面であってよく、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記反射体と垂直となる方向に沿って、前記第1直交偏波アンテナのアンテナ高に基づいて特定された前記アンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されていてよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記複数の第2直交偏波アンテナは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離と、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎のアンテナ間隔を示す距離間隔データとによって特定された前記アンテナ間隔の分、空間的に離隔して配置されていてよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記距離間隔データは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎に、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、一の前記第2直交偏波アンテナと前記反射体との距離及び前記第1直交偏波アンテナと前記一の第2直交偏波アンテナとの送受アンテナ距離を変化させた場合の前記複数の第2直交偏波アンテナが前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルをシミュレーションした結果に基づいて生成されたデータであってよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記距離間隔データは、前記第1直交偏波アンテナと前記反射体との距離毎に、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、一の前記第2直交偏波アンテナと前記反射体との距離及び前記第1直交偏波アンテナと前記一の第2直交偏波アンテナとの送受アンテナ距離を変化させた場合の前記複数の第2直交偏波アンテナが前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルを実測した結果に基づいて生成されたデータであってよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記距離間隔データは、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、前記複数の第2直交偏波アンテナのうち前記第1直交偏波アンテナから受信する電波のレベルが高い方の前記レベルの最小値のうちの略極大値に基づいて生成されたデータであってよい。前記いずれかの通信システムにおいて、前記距離間隔データは、前記複数の第2直交偏波アンテナの間隔毎の、前記複数の第2直交偏波アンテナの、前記第1直交偏波アンテナからの直接波及び反射波の位相差の相関係数の略極小値に基づいて生成されたデータであってよい。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】通信装置100を搭載する車両10の一例を概略的に示す。
【
図2】通信装置100を搭載する車両10の一例を概略的に示す。
【
図3】路面反射による反射干渉成分について説明するための説明図である。
【
図4】側方反射による反射干渉成分について説明するための説明図である。
【
図5】通信装置100及び通信装置200の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図6】通信装置100の直交偏波アンテナ112及び送信機ベースバンド部150の構成の一例を概略的に示す。
【
図7】通信装置200の直交偏波アンテナ222及び受信機ベースバンド部250の構成の一例を概略的に示す。
【
図8】通信装置100の直交偏波アンテナ112及び送信機ベースバンド部150の構成の他の一例を概略的に示す。
【
図9】通信装置200の直交偏波アンテナ222及び受信機ベースバンド部250の構成の他の一例を概略的に示す。
【
図10】アンテナアレー120のアンテナ高方向及び水平位置方向における受信レべルの変動について説明するための説明図である。
【
図11】受信アンテナ高固定時の受信アンテナ水平位置によるレベル変動の一例を概略的に示す。
【
図12】受信アンテナ水平位置固定時の受信アンテナ高によるレベル変動の一例を概略的に示す。
【
図13】受信アンテナ高固定時の受信アンテナ水平位置によるレベル変動の周期L
wの一例を概略的に示す。
【
図14】受信アンテナ水平位置固定時の受信アンテナ高によるレベル変動の周期L
hの一例を概略的に示す。
【
図15】アンテナアレー120の構成の一例を概略的に示す。
【
図16】アンテナアレー120の構成の一例を概略的に示す。
【
図17】アンテナ60によって送信され、通信相手のアンテナアレー70が受信する電波について説明するための説明図である。
【
図18】受信アンテナ高毎の車間距離変化時のレベル最小値を示すグラフデータ500の一例を概略的に示す。
【
図19】受信アンテナ間隔毎の受信アンテナ高変化時のレベル最小値を示すグラフデータ520の一例を概略的に示す。
【
図20】距離間隔データ530の一例を概略的に示す。
【
図21】アンテナ60によって送信され、通信相手のアンテナアレー70が受信する電波について説明するための説明図である。
【
図22】アンテナ72での受信電力P
r1及びアンテナ74での受信電力P
r2を表す数式を示す。
【
図23】受信アンテナ間隔と位相差の相関係数との関係を示すグラフデータ540の一例を概略的に示す。
【
図24】データ処理装置800及び製造装置900の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図25】製造装置900によるアンテナアレー70の製造処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図26】通信装置100、通信装置200、データ処理装置800、又は製造装置900として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
車車間直接通信においては、送受アンテナ間の見通し伝搬となる短距離の見通し内通信が主な伝搬シナリオであるにもかかわらず、路面反射干渉や防音側壁等の側方反射干渉の影響により、送受信アンテナ間距離によって電波強度が激しく変化する。BRT(Bus Rapid Transit)やトラックの電子連結後続車自動運転をはじめとする自動運転技術への応用など、高信頼・低遅延性が要求されるユースケースでは、複数の送信又は受信アンテナを用いるアンテナ空間ダイバーシティが安定的な通信を実現する観点で非常に有効な技術と位置づけられる。ところで、アンテナ空間ダイバーシティでの最適なアンテナ間距離は、アンテナ高、見通しパスに対する反射体の距離、アンテナ間距離が車間距離に依存する。アンテナ高、見通しパスに対する反射体の距離に対して、送受信アンテナ間距離が十分に長い仮定のもと設計(準最適化)された従来のアンテナスペースダイバーシティ構成では、この仮定が成立しない条件等でのアンテナスペースダイバーシティの適用効果が必ずしも得られない。本実施形態に係る通信システムは、複数の通信装置100を備え、例えば、送受信で直交偏波アンテナを用い、送信又は受信で複数の直交偏波アンテナを用いたスペースダイバーシティに加え、送受での直交偏波送受信(偏波MIMOダイバーシティ送受信)と受信機側からのフィードバックに基づく閉ループ型プリコーディング制御を併用する。
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1及び
図2は、本実施形態に係る通信装置100を搭載する車両10の一例を概略的に示す。車両10は、移動体の一例であってよい。車両10は、自動車であってよい。
【0013】
図1は、車両10の正面を概略的に示し、
図2は、車両10の背面を概略的に示す。車両10の正面には、直交偏波アンテナ112が配置されている。車両10の背面には、複数の直交偏波アンテナで構成されるアンテナアレー120が配置されている。
【0014】
通信装置100は、直交偏波アンテナ112を備える。通信装置100は、直交偏波アンテナ112を送信用として用いてよい。
図1では、通信装置100が1つの直交偏波アンテナ112を備える場合を図示しているが、これに限らず、通信装置100は、複数の直交偏波アンテナ112を備えてもよい。また、各直交偏波アンテナ122は互いに直交する複数の単一偏波アンテナを用いて構成されてもよい。
【0015】
通信装置100は、アンテナアレー120を備える。通信装置100は、アンテナアレー120を受信用として用いてよい。
図2では、アンテナアレー120が2つの直交偏波アンテナ122で構成される場合を例示しているが、これに限らず、アンテナアレー120は、3つ以上の直交偏波アンテナ122で構成されてもよい。また、各直交偏波アンテナ122は互いに直交する複数の単一偏波アンテナを用いて構成されてもよい。
【0016】
通信装置100は、直交偏波アンテナ112及びアンテナアレー120を用いて、通信装置100が搭載されている車両10(自車と記載する場合がある。)とは異なる他の車両10に搭載された通信装置100(通信相手と記載する場合がある。)と通信する。通信装置100は、例えば、直交偏波アンテナ112及びアンテナアレー120を用いて、自車の前方を走行する他の車両10の通信装置100や、自車の後方を走行する他の車両10の通信装置100と通信する。
【0017】
複数の直交偏波アンテナ122は、垂直方向及び水平方向の少なくともいずれかに空間的に離隔して配置される。
図2では、アンテナアレー120が、2つの直交偏波アンテナ122を有しており、2つの直交偏波アンテナ122が垂直方向及び水平方向に空間的に離隔して配置されている場合を例示している。
【0018】
複数の直交偏波アンテナ122を垂直方向に空間的に離隔して配置することによって、垂直方向に存在する反射体による干渉を抑圧することができる。例えば、通信装置100が、自車の後方を走行する他の車両10に搭載された通信装置100(通信相手と記載する場合がある)と通信する場合において、複数の直交偏波アンテナ122を垂直方向に空間的に離隔して配置することによって、路面反射干渉を抑圧することができる。これは、通信相手からの直接波と、路面反射干渉によって電波の弱まる場所がアンテナ高によって異なる性質を利用することによって実現される。このような、複数のアンテナを垂直方向に空間的に離隔して配置することによるアンテナダイバーシティ無線通信技術を、垂直方向アンテナスペースダイバーシティと記載する場合がある。
【0019】
複数の直交偏波アンテナ122を水平方向に空間的に離隔して配置することによって、水平方向に存在する反射体による干渉を抑圧することができる。例えば、通信装置100が、自車の後方を走行する他の車両10に搭載された通信装置100と通信する場合において、複数の直交偏波アンテナ122を垂直方向に空間的に離隔して配置することによって、防音壁等の側方反射体からの反射干渉を抑圧することができる。これは、通信相手からの直接波と、側方反射干渉によって電波の弱まる場所が側方反射体からの距離によって異なる性質を利用することによって実現される。このような、複数のアンテナを水平方向に空間的に離隔して配置することによるアンテナダイバーシティ無線通信技術を、水平方向アンテナスペースダイバーシティと記載する場合がある。
【0020】
上述したように、路面反射干渉対策には、垂直方向アンテナスペースダイバーシティが適用効果を得やすく、側方反射干渉対策には、水平方向アンテナスペースダイバーシティが適用効果を得やすい。水平方向の位置のみでなく垂直方向の位置を変えて、すなわち斜め方向に空間的に離隔して、配置することによって、垂直方向アンテナスペースダイバーシティ効果と水平方向アンテナスペースダイバーシティ効果を同時に獲得することが期待される。これにより、アンテナ路面反射・側方反射干渉が同時に存在する環境下において、より少ないアンテナ数で効率的にアンテナダイバーシティ効果を獲得しやすくなる。
【0021】
さらに、非特許文献2によると、路面反射波干渉下における車車間直接通信でのアンテナスペースダイバーシティにおける最適アンテナ間隔は、車車間距離やアンテナ高に依存することが理論上知られている。また、同様の理論により側方反射体干渉が存在する環境下における車車間直接通信についてもアンテナスペースダイバーシティにおける最適アンテナ間隔は、アンテナ高や側方反射体からの距離に依存すると考えらえる。しかしながら、その最適アンテナ間隔は車間距離が広くなるにつれて収束する。そこで、この性質を利用して、送受アンテナ間見通しパスに対するアンテナ高や側方反射体からの距離が車間距離に比べて十分に広い場合を仮定して、アンテナ配置を最適化することもできる。ただし、単一偏波を用いてそのようにアンテナを配置したとき、車間距離が広い場合には、スペースダイバーシティ効果を十分に得られやすいが、車間距離が短い場合に、スペースダイバーシティ効果が得られにくくなり得る。
【0022】
そこで、本実施形態に係る通信装置100では、垂直・水平2つの直交偏波を同時に用いたアンテナ偏波ダイバーシティを、アンテナスペースダイバーシティと併用する。
【0023】
図3は、路面反射による反射干渉成分について説明するための説明図である。グラフ300は、送信側の後方車両40のアンテナ42と、受信側の前方車両50のアンテナ52との間の、路面30への入射角と、反射係数との関係の一例について、水平偏波302と垂直偏波304のそれぞれについて示している。
【0024】
グラフ300は、周波数29GHzにおける電磁界理論に基づいて計算されている。なお、路面における電波の反射係数に影響を与える媒質定数に関して、比透磁率は1に固定しているが、路面の状態によって導電率が変わることを考慮して、路面の導電率を0.001、0.01、0.1と変化させて計算したが、これらの値で顕著な差はなかった。
【0025】
図3からわかるように、水平偏波に比べて垂直偏波の反射係数が小さくなっている入射角範囲があることから、車車間直接通信における路面反射による反射干渉成分の信号強度は、水平偏波に比べて垂直偏波の方が小さくなる。一般的な走行環境における後方車両40と前方車両50との車間距離によると、入射角は概ね60度~90度の範囲に収まると想定されるが、特にこの入射角範囲における垂直偏波と水平偏波間の路面反射干渉の差は大きいといえる。
【0026】
以上より、車車間直接通信に用いる電波の偏波面として路面反射干渉を抑圧する観点では、車車間直接通信において垂直偏波の利用が有利であるといえる。
【0027】
図4は、側方反射による反射干渉成分について説明するための説明図である。グラフ310は、送信側の後方車両40のアンテナ42と、受信側の前方車両50のアンテナ52との間の、側方反射体32への入射角と、反射係数との関係の一例について、水平偏波312と垂直偏波314のそれぞれについて示している。グラフ310も、グラフ300と同様、電磁界理論に基づいて計算されている。なお、路側方反射体における電波の反射係数に影響を与える媒質定数に関して、比透磁率については非磁性体の場合を想定し1に固定しているが、材質等によって導電率が変化することを想定し、導電率を0.001、0.01、0.1と変化させて計算したが、これらの値で顕著な差異はなかった。
【0028】
図4に示すように、垂直偏波に比べて水平偏波の反射係数が小さくなっている入射角範囲があることから、車車間直接通信における側方反射による反射干渉成分の強度は、垂直偏波に比べて水平偏波の方が小さくなる。一般的な走行環境における後方車両40と前方車両50との車間距離によると、入射角は概ね60度~90度の範囲に収まると想定されるが、特にこの入射角範囲における垂直偏波と水平偏波間の路面反射干渉の差は大きいといえる。
【0029】
以上より、車車間直接通信に用いる電波の偏波面として側方反射干渉を抑圧する観点では、水平偏波の利用が有利であるといえる。
【0030】
上述したように、送受アンテナ間見通し内となる車車間直接通信の電波伝搬特性として、路面反射干渉の影響は水平偏波に比べて垂直偏波の方が小さく、側方反射干渉の影響は垂直偏波に比べて水平偏波の方が小さくなる傾向があると考えられる。本実施形態に係る通信装置100は、当該性質を利用して、垂直・水平の直交偏波を同時に用いたアンテナ偏波ダイバーシティを、アンテナスペースダイバーシティと併用する。これにより、車車間直接通信における通信品質の向上に貢献することができる。
【0031】
また、例えば、受信側の通信装置100において把握した伝搬路状況を、送信側の通信装置100にフィードバックして、送信側の通信装置100において、直交偏波を用いたマルチレイヤ送信とそのための伝搬路状況に基づく閉ループ制御型プリコーディングを実施するようにしてもよい。例えば、スペースダイバーシティの効果が得られにくい伝搬条件下では、偏波ダイバーシティによってダイバーシティ効果を獲得し、スペースダイバーシティの効果が得られる伝搬条件下では、偏波MIMO多重送信によって、空間多重による帯域幅あたりのスループット拡大効果を獲得する。これにより、車車間直接通信における通信品質の更なる向上に貢献することができる。
【0032】
図5は、送信側の通信装置100における送信に関する機能構成、及び受信側の通信装置200における受信に関する機能構成の一例を概略的に示す。説明の便宜上、通信装置100の送信機能と通信装置200の受信機能とを示しているが、通信装置100及び通信装置200のそれぞれは、
図5に示す送信機能と受信機能の両方を備えてよい。F部の表記は省略されている。
【0033】
通信装置100は、車両10に搭載される。通信装置100は、直交偏波アンテナ112を用いた通信を制御する送信機ベースバンド部150を備える。通信装置100は、少なくとも通信装置200からのFB(FeedBack)の情報を受信するめたのFB受信機152を備えてよい。なお、送信機ベースバンド部150と直交偏波アンテナ112の間に送信RF(Radio Frequency)部を設けるのが一般的な構成であるが、
図5ではその図示を省略している。
【0034】
通信装置200は、車両20に搭載される。通信装置200は、複数の直交偏波アンテナ222を用いた通信を制御する受信機ベースバンド部250を備える。
図5に示す例において、通信装置200は、2つの直交偏波アンテナ222を備える。2つの直交偏波アンテナ222は、垂直方向及び水平方向の少なくともいずれかに空間的に離隔して配置されてよい。本例では、2つの直交偏波アンテナ222が垂直方向及び水平方向に離隔して配置されているものとする。通信装置200は、伝搬路推定部252及びFB情報送信部254を備えてよい。なお、受信機ベースバンド部250と直交偏波アンテナ222の間に受信RF部が設けるのが一般的な構成であるが、
図5ではその図示を省略している。
【0035】
本例において、車両10は、第1移動体の一例であってよい。通信装置100は、第1通信装置の一例であってよい。直交偏波アンテナ112は、第1直交偏波アンテナの一例であってよい。車両20は、第2移動体の一例であってよい。通信装置200は、第2通信装置の一例であってよい。直交偏波アンテナ222は、第2直交偏波アンテナの一例であってよい。
【0036】
送信機ベースバンド部150は、2つの直交偏波アンテナ222の配置によるスペースダイバーシティの効果が得られにくい伝搬状況下では、偏波MIMO多重送信を実施せずに、偏波ダイバーシティを実施し、効果が得られる伝搬状況下では、偏波MIMO多重送信を実施するように構成される。
【0037】
送信機ベースバンド部150は、通信装置100と通信装置200との間の伝搬路状況に基づいて、直交偏波アンテナ112による偏波MIMO送信およびその制御を行う。送信機ベースバンド部150は、通信装置100と通信装置200との間の伝搬路状況が、2つの直交偏波アンテナ222の配置によるスペースダイバーシティの効果を得られる伝搬条件を満たす場合、偏波MIMO多重送信を実施するように直交偏波アンテナ112を制御してよい。すなわち、送信機ベースバンド部150は、直交偏波アンテナ112に含まれる垂直偏波アンテナと水平偏波アンテナのそれぞれによって異なるデータを送信するよう制御してよい。
【0038】
送信機ベースバンド部150は、通信装置100と通信装置200との間の伝搬路状況が、2つの直交偏波アンテナ222の配置によるスペースダイバーシティの効果を得られる伝搬条件を満たさない場合、偏波ダイバーシティを実施するように直交偏波アンテナ112を制御してよい。すなわち、送信機ベースバンド部150は、直交偏波アンテナ112に含まれる垂直偏波アンテナと水平偏波アンテナのそれぞれによって同じデータを送信するよう制御してよい。
【0039】
これにより、アンテナスペースダイバーシティのみでは不十分な場合に、偏波ダイバーシティによって補完し、アンテナスペースダイバーシティのみで十分な場合には、空間多重による帯域幅あたりのスループット拡大効果を獲得でき、通信品質向上に大きく貢献することができる。
【0040】
通信装置100及び通信装置200がTDD(Time Division Duplex)を用いる場合、送信機ベースバンド部150は、伝搬路の相反性を利用することによってFB受信機152受信機が通信装置100から通信装置200に至る伝搬路状況を推定してよい。そして、送信機ベースバンド部150は、推定した伝搬路状況に基づく閉ループ制御型プリコーディングを行ってよく、それによって、偏波ダイバーシティと偏波MIMO多重送信とを適切に切り替えてよい。
【0041】
通信装置100及び通信装置200がFDD(Frequency Division Duplex)を用いる場合、送信機ベースバンド部150は、通信装置200から、通信装置200が推定した伝搬路状況に基づくフィードバック情報を受信してよい。例えば、伝搬路推定部252が、通信装置100と通信装置200との間の伝搬路状況を推定し、FB情報送信部254が、伝搬路推定部252が推定した伝搬路状況に基づくフィードバック情報を通信装置100に送信し、FB受信機152が受信する。送信機ベースバンド部150は、FB受信機152が受信したFB情報に応じて、偏波ダイバーシティ又は偏波MIMO多重送信のいずれかを実施する。
【0042】
図6は、通信装置100の直交偏波アンテナ112及び送信機ベースバンド部150の構成の一例を概略的に示す。
図7は、通信装置200の直交偏波アンテナ222及び受信機ベースバンド部250の構成の一例を概略的に示す。
図6および
図7は搬送波周波数帯として準ミリ波帯以上の周波数帯を用いる場合を想定した構成例である。ただし、
図6および
図7では、一般的な無線送信機および受信機に設けられる構成要素の一部、例えば帯域外の不要波発射抑制や帯域外干渉を抑圧する目的等で設けられるフィルタ等については図示を省略している。ここでは、通信装置100が1つの直交偏波アンテナ112を備える場合を主に例に挙げて説明するが、
図6において破線で示すように、通信装置100は、複数の直交偏波アンテナ112を備えてもよい。ここでは、通信装置100及び通信装置200がFDDを用いる場合を例に挙げて説明する。
【0043】
送信機ベースバンド部150は、通信路符号化部1501、インタリーバ部1502、レートマッチング部1503、スクランブリング部1504、シンボル変調部1505、レイヤマッパ部1506、プリコーダ部1507、二次変調部1508、パイロット信号多重部1509、DAC(Digital Analog Converter)部1510、UpConverter部1511、希望信号受信レベル推定器1512、パイロット信号系列選択器1513、パイロット信号生成器1514、及びプリコーディング制御部1515を含んでよい。
【0044】
通信路符号化部1501は、畳み込み符号化、ターボ符号化、LDPC(Low Density Parity Check Code)符号化、ポーラ符号化等の誤り訂正符号化により、通信路上で電波干渉、受信機熱雑音等、希望信号劣化要因によって発生する伝送誤りを受信側での復号処理によって低減するため、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号化等により誤り検出ビット付与後の情報ビット系列に対し前方誤り訂正符号化を行う。インタリーバ部1502は、誤り訂正符号化された送信データ系列の順番をインタリーブすることによりバースト誤りをランダムし、通信路符号化による誤り訂正能力を向上させる。
【0045】
レートマッチング部1503は、周波数利用効率の高い無線伝送を行うため無線伝搬路の状態情報CSI(Channel State Information)等に応じてビット繰り返しまたはビットパンクチャリングにより、符号化された送信ビット系列に対し、選択した一次変調方式に応じて符号化率を適切に調整する。スクランブリング部1504では、レートマッチング後の送信ビット系列に対し、疑似雑音系列との排他的論理和処理等を行うことにより周辺基地局や周辺端末からの同一チャネル干渉を受信機側でランダム化するために行う。シンボル変調部1505では、CSIによって効率的な無線伝送ができるよう予め規定されたシンボル変調方式候補、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMの中から適切なシンボル変調を実施する。
【0046】
レイヤマッパ部1506およびプリコーダ部1507では、プリコーディング制御部1515からの指示に基づき、シンボル変調された送信データ系列を異なる偏波や複数のアンテナで送信させるために必要な処理を行う。プリコーダ部1507における信号出力数は、同時に送信に用いるアンテナ数分と同じになる。
【0047】
二次変調部1508は、プリコーディング後の各送信シンボル系列に対し、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア伝送のための処理を行う場合等に使用される。パイロット信号多重部1509では、受信側での復調にあたって必要な伝搬路推定のための信号を送信信号に対し多重する。
図6では、二次変調後の送信シンボルに対しパイロット信号を多重する構成となっているが、二次変調前の送信シンボルに対して多重してもよい。
【0048】
DAC部1510は、ベースバンド帯のデジタル送信信号をアナログ信号に変換し、UpConverter部1511は、ベースバンド帯のアナログ送信信号を中間周波数帯または無線周波数帯、あるいは中間周波数帯のアナログ送信信号を無線周波数帯の信号へ変換する。
【0049】
複数の高周波アンテナモジュールを用い、選択ダイバーシティ方式に基づく空間ダイバーシティを使用する場合、送信機ベースバンド部150は、
図6に例示するように、使用高周波アンテナモジュール選択制御器1516、及びセレクタ1517を含んでもよい。
【0050】
使用高周波アンテナモジュール選択制御器1516は、FB受信機152からフィードバックされたCSI情報等に基づき無線伝搬路が最も良好と判断されたアンテナモジュールを選択し、セレクタ1517に対し、使用する高周波アンテナモジュールを指示する。セレクタ1517は、使用高周波アンテナモジュール選択制御器1516からの指示に基づき、送信に使用する高周波アンテナモジュールに対し、送信信号を送り出す。各高周波アンテナモジュールは、互いに直交する複数の偏波、例えば垂直偏波と水平偏波にそれぞれ対応するUpConverter部およびアンテナを有し、各偏波に対応するベースバンド帯域または中間周波数帯の送信信号が搬送波周波数帯の高周波信号にアップコンバートされ各アンテナから送信信号が出力される。
図6に示す例においては、送信RF部&アンテナ部が、垂直偏波アンテナ113、水平偏波アンテナ114、送信RF部115、及びUpConverter部116を含んでいる。
【0051】
受信機ベースバンド部250は、DownConverter部2501、ADC(Analog Digital Converter)部2502、セレクタ又は合成部又は分離部2503、ポストコーダ&レイヤデマッパ部2504、送信ビット毎対数尤度比生成部2505、デスクランブラ部2506、デレートマッチャ部2507、デインタリーバ部2508、通信路復号部2509、伝搬路推定部252、及びFB情報送信部254を含む。
【0052】
図7に示す例においては、受信RF部&アンテナ部が、垂直偏波アンテナ223、水平偏波アンテナ224、LNA(Low Noise Amplifier)225、DownConverter部226、及びIF AMP部(Intermediate Frequency Amplifier)227を含む。LNA225は、垂直偏波アンテナ223及び水平偏波アンテナ224から入力された信号を増幅する低雑音増幅器として使用される。LNA225によって増幅された信号は、DownConverter部226によって、中間周波数帯の信号にダウンコンバートされ、IF AMP部227によって増幅される。
【0053】
DownConverter部2501は、受信RF部&アンテナ部からの信号をベースバンド帯にダウンコンバートする。ADC部2502は、DownConverter部2501から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0054】
伝搬路推定部252は、パイロット信号分の受信結果から復調処理に必要な伝搬路の振幅と位相および干渉雑音レベルを推定する。セレクタ又は合成部又は分離部2503は、選択ダイバーシティ受信方式に基づくダイバーシティを行う場合のアンテナ選択処理、EGC(Equal Gain Combining)やMRC(Maximum Ratio Combining)に基づく受信ダイバーシティ処理、MIMO空間多重における複数信号分離処理を行う。
【0055】
ポストコーダ&レイヤデマッパ部2504は、送信機ベースバンド部150側のプリコーダ部1507およびレイヤマッパ部1506で行われた処理の逆処理を行うと共に、伝搬路推定部252で得られた伝搬路の振幅および位相情報に基づき、シンボル復調を行う。送信ビット毎対数尤度比生成部2505では、シンボル復調後の受信信号と推定された干渉雑音レベルの情報に基づき、送信されたビット毎の軟判定値(ソフトビット値)に相当する対数尤度比を計算する。
【0056】
デスクランブラ部2506は、送信機ベースバンド部150側のスクランブリング部1504で行われた処理の逆処理を行うことで、受信信号ビット系列のデスクランブリングを行うと共に周辺基地局や周辺端末からの同一チャネル干渉をランダム化する。デレートマッチャ部2507は、送信機ベースバンド部150側のレートマッチング部1503でパンクチャリングされた各ビットについては対数尤度比のダミー値として0を挿入、即ち、そのパンクチャリングされた各ビットについて0となる確率と1となる確率が等しいものとし、繰り返し送信されたビットについては、対数尤度比を加算(合成)することでそのビットに対する最大比合成に相当する処理を行う。
【0057】
これらの処理により、受信系列の符号化率は、送信機ベースバンド部150における通信路符号化部1501における符号化率、すなわち原符号化率の系列に戻る。デインタリーバ部2508は、送信機ベースバンド部150におけるインタリーバ部1502の逆処理を行うことで、ビットの順番を元の符号化後系列の順番に戻すと共に、バースト誤りをランダム化する。通信路復号部2509では、デインタリーバ部2508から出力されたソフトビット系列(対数尤度比情報)処理することで、誤り訂正復号処理、送信した情報ビット系列の推定が行われる。CRC復号等の処理によりビット誤りが検出されなければ正しく送信ビットを推定できると判断される。ビット誤りが検出された場合には、送信側に対して再送を要求してもよい。
【0058】
レイヤマッパ部1506及びプリコーダ部1507は、偏波ダイバーシティ送信時には、送信アンテナ選択、ビームフォーミング、及び偏波間送信電力制御等の制御を実行してよい。レイヤマッパ部1506及びプリコーダ部1507は、偏波MIMO多重送信時には、並列送信、マルチ直交ビーム送信、及びレイヤ毎送信電力制御等の制御を実行してよい。
【0059】
伝搬路推定部252は、例えば、直交偏波アンテナ112の垂直偏波アンテナ113及び水平偏波アンテナ114によって送信されるRS(Reference Signal)を用いて、把握できるMIMO Channel Matrixから送受信手法の候補毎に伝送容量を予測・評価し、プリコーディング後の予測スループットが最大となる、最適なプリコーディング行列(送信アンテナウェイト行列)及び空間多重レイヤ数に相当するインデックス情報の候補に相当するPMI(Precoding Matrix Indicator)及びRI(Rank Indicator)を推定してよい。FB情報送信部254は、前記の適切なPMIやRIの推定結果を含むFB情報を通信装置100に送信してよい。
【0060】
偏波MIMO多重送信と偏波ダイバーシティとを含めば、RI及びPMIの割り当ては、任意に設定されてよい。例えば、RI=1が偏波ダイバーシティ送信であり、RI=2が偏波MIMO多重送信であってよい。
【0061】
例えば、RI=1のときのPMIとして、PMI=0が[1;0]に対応するプリコーディン行列であって、垂直偏波の利用であり、PMI=1が[0;1]に対応するプリコーディング行列であって、水平偏波の利用であり、PMI=2が[1;1]に対応するプリコーディング行列であって、垂直偏波及び水平偏波を同相で利用して同じデータを割り当て、PMI=3が[1;-1]に対応するプリコーディング行列であって、水平偏波を逆位相として垂直偏波及び水平偏波を利用して同じデータを割り当てる。例えば、RI=2のときのPMIとして、PMI=0が[1 1;1 -1]に対応するプリコーディング行列であって、PMI=1が[1 j;1 ―j]に対応するプリコーディング行列である。これらは一例であり、多様な組み合わせが設定され得る。
【0062】
なお、通信装置100及び通信装置200がTDDを用いており、送信方向および受信方向の伝搬路の可逆性を用い、受信機側からのFBを用いずに送信機側でCSIを直接取得する場合には、プリコーディング行列PMIに相当するパラメータ(振幅、位相)は連続的に指定可能なので、より細かな調整を実現可能である。
【0063】
図8は、通信装置100の直交偏波アンテナ112及び送信機ベースバンド部150の構成の他の一例を概略的に示す。
図9は、通信装置200の直交偏波アンテナ222及び受信機ベースバンド部250の構成の他の一例を概略的に示す。
図8および
図9は搬送波周波数帯として低SHF(Super High Frequency)帯を用いる場合を想定した構成例である。ここでは、
図6及び
図7と異なる点を主に説明する。
【0064】
送信機ベースバンド部150は、通信路符号化部1501、インタリーバ部1502、レートマッチング部1503、スクランブリング部1504、シンボル変調部1505、レイヤマッパ部1506、プリコーダ部1507、二次変調部1508、パイロット信号多重部1509、DAC部1510、UpConverter部1511、希望信号受信レベル推定器1512、パイロット信号系列選択器1513、パイロット信号生成器1514、及びプリコーディング制御部1515を含んでよい。
図8に示す例において、UpConverter部1511は、ベースバンド帯のアナログ送信信号を、RF帯の信号へ変更する。
【0065】
複数の高周波アンテナモジュールを用い、選択ダイバーシティ方式に基づく空間ダイバーシティを使用する場合、送信機ベースバンド部150は、
図8に例示するように、送信RF部選択制御器1520を含んでもよい。
【0066】
送信RF部選択制御器1520は、少なくとも同時に送信に使用するアンテナポート数分設けられ、FB受信機152からフィードバックされたCSI情報等に基づき無線伝搬路が良好と判断されたアンテナモジュールを選択し、セレクタ1521に対し、使用する高周波アンテナモジュールを指示する。セレクタ1521は、送信RF部選択制御器1520からの指示に基づき、送信に使用する高周波アンテナモジュールに対し、UpConverter部1511から、送信RF部115を介して受け付けた送信信号を送り出す。そして、各アンテナから送信信号が出力される。低SHF帯以下の周波数帯を用いる場合、送信RF部とアンテナとの間のケーブル損失の影響が比較的少ないので、
図8で例示したように、RF帯伝送としてよい。
【0067】
受信機ベースバンド部250は、LNA2510、DownConverter部2501、ADC部2502、セレクタ又は合成部又は分離部2503、ポストコーダ&レイヤデマッパ部2504、送信ビット毎対数尤度比生成部2505、デスクランブラ部2506、デレートマッチャ部2507、デインタリーバ部2508、通信路復号部2509、伝搬路推定部252、及びFB情報送信部254を含む。
図9に示す例において、DownConverter部2501は、直交偏波アンテナ222からの信号をRF帯にダウンコンバートする。
【0068】
低SHF帯以下の周波数帯を用いる場合、アンテナと受信機ベースバンド部250との間のケーブル損失の影響が比較的少ないので、
図9で例示したように、RF帯伝送としてよい。
図9において破線で示すように、受信SNRを改善すべく、直交偏波アンテナ222の直下にLNA225を配置してもよい。直交偏波アンテナ222の直下にLNA225を配置した場合、LNA2510は用いなくてもよい。
【0069】
図10は、アンテナアレー120(受信アンテナと記載する場合がある)のアンテナ高方向及び水平位置方向における受信レベルの変動について説明するための説明図である。
図11は、受信アンテナ高固定時の受信アンテナ水平位置によるレベル変動の一例を概略的に示す。
図12は、受信アンテナ水平位置固定時の受信アンテナ高によるレベル変動の一例を概略的に示す。
【0070】
受信アンテナは、自車の後方を走行する他の車両10の直交偏波アンテナ112(送信アンテナと記載する場合がある。)によって送信された電波を受信する。受信アンテナが受信する電波には、路面による路面反射波と、側方反射波とが干渉し得る。アンテナ高は、受信アンテナと地面との距離である。アンテナ水平位置は、受信アンテナと側方反射体との距離である。アンテナ水平位置は、アンテナ横位置の一例であってよい。
【0071】
図11は、自車と、通信相手の他の車両10との車間距離毎の、受信アンテナ高固定時の受信アンテナ水平位置によるレベル変動を示す。レベル変動412は車間距離が10mの場合、レベル変動414は車間距離が35mの場合、レベル変動416は車間距離が70mの場合、レベル変動418は車間距離が100mの場合を示す。
図11に示すように車間距離が長いほど、変動の周期は大きくなる。
【0072】
図12は、自車と、通信相手の他の車両10との車間距離毎の、受信アンテナ水平位置固定時の受信アンテナ高によるレベル変動を示す。レベル変動422は車間距離が10mの場合、レベル変動424は車間距離が35mの場合、レベル変動426は車間距離が70mの場合、レベル変動428は車間距離が100mの場合を示す。
図12に示すように車間距離が長いほど、変動の周期は大きくなる。
【0073】
図13は、受信アンテナ高固定時の受信アンテナ水平位置によるレベル変動の周期L
wの一例を概略的に示す。
図13に示すように、車間距離が長いほど、周期L
wは長くなる。また、側方反射体から近いほど、周期L
wは長くなる。
【0074】
図14は、受信アンテナ水平位置固定時の受信アンテナ高によるレベル変動の周期L
hの一例を概略的に示す。
図14に示すように、車間距離が長いほど、周期L
hは長くなる。また、送信アンテナ高が低いほど、周期L
hは長くなる。
【0075】
レベル変動の周期は、送信アンテナ高、送信アンテナ水平位置、車間距離に依存する。
図13及び
図14に示す特性は、実験により実測することによって、特定可能である。例えば、用いる周波数毎、車間距離毎、アンテナ高毎、水平位置毎に実測を行うことによって、それぞれの特性を特定し得る。また、
図13及び
図14に示す特性は、数式によって特定することも可能である。例えば、周期L
wは、下記数式1によって特定でき、周期L
hは、下記数式2によって特定できる。
【0076】
【0077】
【0078】
wTXは、送信アンテナと側方反射体との距離を示し、hTXは、送信アンテナ高を示す。レベルはアンテナ位置に対して周期性を有するため、アンテナ間隔を単に大きく離すだけではダイバーシティ効果を得ることができない。本実施形態では、変動周期Lの半周期の奇数倍、つまり、(2n+1)L/2間隔で複数アンテナを配置することにより、複数アンテナが同時にヌル点となることを回避する。そして、(2n+1)L/2間隔で複数アンテナを配置することにより、ダイバーシティ効果を得られる。
【0079】
図14は、アンテナアレー120の構成の一例を概略的に示す。
図15に示す例において、アンテナアレー120は、2つの直交偏波アンテナ122を含む。2つの直交偏波アンテナ122は、車間距離d
1におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期L
w1の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらして配置されている。水平方向は、横方向の一例であってよい。これにより、2つの直交偏波アンテナ122のうちの一方の直交偏波アンテナ122のレベルがヌル点となっても、もう一方の直交偏波アンテナ122のレベルが高くなるように配置されるので、同時にヌル点となる可能性を低減することができる。
【0080】
図15では、アンテナアレー120が2つの直交偏波アンテナ122を含む場合を例示しているが、アンテナアレー120は、3つ以上の直交偏波アンテナ122を含んでもよい。3つ以上の直交偏波アンテナ122は、車間距離d
1におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期L
w1の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらして配置されてよい。
【0081】
複数の直交偏波アンテナ122の間の距離は、物理的なチューニング等で調整可能であってもよい。複数の直交偏波アンテナ122の間の距離は、電子的なチューニング等で調整可能であってもよい。
【0082】
車間距離d1は、自車と、通信相手の車両10との距離として予め定められた距離であってよい。例えば、車間距離d1は、多数の車両における平均車間距離であってよい。また、例えば、車間距離d1は、通信装置100の製造者や、通信装置100を搭載した車両10の製造者等によって、設定された距離であってもよい。車間距離d1は、自車と、通信相手の車両10との最大距離として予め定められた距離であってよい。例えば、通信装置100による直交偏波アンテナ112及びアンテナアレー120を用いた無線通信の通信保証距離が100mである場合に、車間距離d1は、100mであってよい。
【0083】
複数の直交偏波アンテナ122は、水平方向にずらされるとともに、高さ方向にずらされて配置されてもよい。高さ方向とは、例えば、垂直方向であってよい。例えば、複数の直交偏波アンテナ122は、車間距離d1におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期Lw1の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらし、かつ、車間距離d1におけるアンテナ高によるレベル変動の周期Lh1の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されてよい。
【0084】
アンテナアレー120は、複数のアンテナセットを含んでもよい。アンテナアレー120は、例えば、第1のアンテナセット及び第2のアンテナセットを含む。
【0085】
第1のアンテナセットでは、複数の直交偏波アンテナ122が、車間距離d1におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期Lw1の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらして配置されてよく、第2のアンテナセットでは、複数の直交偏波アンテナ122が、車間距離d2におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期Lw2の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらして配置されてよい。
【0086】
レベル変動の周期は、車間距離に依存するので、1つのアンテナセットのみでは、対応できない車間距離が存在することになる。それに対して、アンテナアレー120が複数のアンテナセットを有することによって、対応可能な車間距離を増やすことができる。
【0087】
第1のアンテナセットの複数の直交偏波アンテナ122と、第2のアンテナセットの複数の直交偏波アンテナ122は、水平方向にずらされるとともに、高さ方向にずらされて配置されてもよい。例えば、第1のアンテナセットにおける複数の直交偏波アンテナ122は、車間距離d1におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期Lw1の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらし、かつ、車間距離d1におけるアンテナ高によるレベル変動の周期Lh1の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されてよい。また、第2のアンテナセットにおける複数の直交偏波アンテナ122は、車間距離d2におけるアンテナ水平位置によるレベル変動の周期Lw2の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらし、かつ、車間距離d2におけるアンテナ高によるレベル変動の周期Lh2の半周期の奇数倍の距離、水平方向にずらして配置されてよい。
【0088】
図16は、アンテナアレー120の構成の一例を概略的に示す。
図16に示す例において、アンテナアレー120は、2つの直交偏波アンテナ122を含む。2つの直交偏波アンテナ122は、車間距離d
1におけるアンテナ高によるレベル変動の周期L
h1の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されている。これにより、2つの直交偏波アンテナ122のうちの一方の直交偏波アンテナ122のレベルがヌル点となっても、もう一方の直交偏波アンテナ122のレベルが高くなるように配置されるので、同時にヌル点となる可能性を低減することができる。
【0089】
図16では、アンテナアレー120が2つの直交偏波アンテナ122を含む場合を例示しているが、アンテナアレー120は、3つ以上の直交偏波アンテナ122を含んでもよい。3つ以上の直交偏波アンテナ122は、車間距離d
1におけるアンテナ高によるレベル変動の周期L
h1の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されてよい。
【0090】
複数の直交偏波アンテナ122の間の距離は、物理的なチューニング等で調整可能であってもよい。複数の直交偏波アンテナ122の間の距離は、電子的なチューニング等で調整可能であってもよい。
【0091】
アンテナアレー120は、複数のアンテナセットを含んでもよい。アンテナアレー120は、例えば、第1のアンテナセット及び第2のアンテナセットを含む。第1のアンテナセットの複数の直交偏波アンテナ122は、車間距離d1におけるアンテナ高によるレベル変動の周期Lh1の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されてよく、第2のアンテナセットの複数の直交偏波アンテナ122は、車間距離d2におけるアンテナ高によるレベル変動の周期Lh2の半周期の奇数倍の距離、高さ方向にずらして配置されている。
【0092】
レベル変動の周期は、車間距離に依存するので、1つのアンテナセットのみでは、対応できない車間距離が存在することになる。それに対して、アンテナアレー120が複数のアンテナセットを有することによって、対応可能な車間距離を増やすことができる。
【0093】
図17は、アンテナ60によって送信され、通信相手のアンテナアレー70が受信する電波について説明するための説明図である。
図17に示す例において、アンテナアレー70は、アンテナ72及びアンテナ74を含む。アンテナ60は、直交偏波アンテナ112であってよい。アンテナアレー70は、アンテナアレー120であってよい。アンテナ72及びアンテナ74のそれぞれは、直交偏波アンテナ122であってよい。
【0094】
送信アンテナ高htは、アンテナ60と路面30との距離であるアンテナ高を示す。受信アンテナ高hraは、アンテナ72と路面30との距離である受信アンテナ高を示す。受信アンテナ間隔Δhrは、アンテナ72とアンテナ74との間隔を示す。車間距離は、アンテナ60と、アンテナ72及びアンテナ74との距離に相当する。
【0095】
図18は、受信アンテナ高毎の車間距離変化時のレベル最小値を示すグラフデータ500の一例を概略的に示す。
図18は、アンテナ60の送信アンテナ高htが1.5mである場合のグラフデータ500を例示している。
【0096】
グラフデータ500の横軸は、アンテナ72の受信アンテナ高hraであり、縦軸は、車間距離を変化させた場合のアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルのいずれか高い方の最小値である。レベル最小値501は、アンテナ72とアンテナ74との間隔(受信アンテナ間隔と記載する場合がある。)が0.015mの場合、レベル最小値502は0.030mの場合、レベル最小値503は0.045mの場合、レベル最小値504は0.060mの場合、レベル最小値505は0.075mの場合、レベル最小値506は0.090mの場合、レベル最小値507は0.105mの場合、レベル最小値508は0.119mの場合、レベル最小値509は0.134mの場合、レベル最小値510は0.149mの場合、レベル最小値511は0.164mの場合を示す。
【0097】
グラフデータ500は、シミュレーションによって生成することができる。グラフデータ500は、例えば、アンテナ60、アンテナ72、アンテナ74の配置及び電波設定等を指定することによってアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルを出力可能なシミュレータを用いることによって生成可能である。
【0098】
グラフデータ500は、実測によって生成することもできる。グラフデータ500は、例えば、アンテナ60、アンテナ72、アンテナ74の配置及び電波設定等を変更しながら、アンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルを測定することによって生成可能である。
【0099】
図19は、受信アンテナ間隔毎の受信アンテナ高変化時のレベル最小値を示すグラフデータ520の一例を概略的に示す。グラフデータ520は、グラフデータ500に基づいて生成可能である。
【0100】
例えば、グラフデータ500を参照して、受信アンテナ間隔Δhr毎に、受信アンテナ高hra変化時のレベル最小値の最小値を特定する。例えば、
図18におけるレベル最小値501の場合、約-116.5dBが特定される。レベル最小値501は、受信アンテナ間隔Δhrが0.015mの場合を示すので、グラフデータ520において、受信アンテナ間隔Δhr=0.015に対して、レベル最小値=約-116.5dBがプロットされている。受信アンテナ間隔Δhr毎に、同様にプロットしていくことによって、グラフデータ520が生成される。
【0101】
極大値522は、グラフデータ520におけるレベル最小値の極大値を示す。極大値522を特定することによって、車間距離及び受信アンテナ高hraが様々に変化した場合におけるレベル最小値が最も高くなる受信アンテナ間隔Δhrを特定することができる。
【0102】
図20は、距離間隔データ530の一例を概略的に示す。距離間隔データ530は、送信アンテナ高ht毎の、最適な受信アンテナ間隔を示す。
【0103】
距離間隔データ530は、複数の送信アンテナ高htに対して生成されたグラフデータ520に基づいて生成することができる。
図18及び
図19では、送信アンテナ高htが1.5mである場合のグラフデータ520を生成する場合について説明したが、同様にして、複数の送信アンテナ高htに対するグラフデータ520を生成することができる。そして、複数の送信アンテナ高htに対するグラフデータ520のそれぞれのレベル最小値の略極大値に対応する受信アンテナ間隔Δhrをプロットすることによって、距離間隔データ530を生成することができる。
【0104】
略極大値は、極大値を含み、かつ、極大値から誤差の範囲を含む。極大値に対応する受信アンテナ間隔Δhrを用いることが望ましいが、製造誤差等によって、極大値から少しずれた値に対応する受信アンテナ間隔Δhrを用いる場合になることもある。本実施形態に係るアンテナ72とアンテナ74との間隔は、このような誤差を許容する。
【0105】
図17から
図20では、シミュレーション又は実測に基づいて距離間隔データ530を生成する場合について説明したが、これに限らない。距離間隔データ530は、数式を用いて理論的に生成することもできる。
図21から
図23を用いて、距離間隔データの生成手法の他の一例を説明する。
【0106】
図21は、アンテナ60によって送信され、通信相手のアンテナアレー70が受信する電波について説明するための説明図である。
図21に示す例において、アンテナアレー70は、アンテナ72及びアンテナ74を含む。アンテナ60は、直交偏波アンテナ112であってよい。アンテナアレー70は、アンテナアレー120であってよい。アンテナ72及びアンテナ74のそれぞれは、直交偏波アンテナ122であってよい。
【0107】
Dは、路面30とアンテナ60との距離を示す。直接波接地角φ
Dは、アンテナ60からアンテナ72、アンテナ74への直接波の接地角を示す。反射波接地角φ
Rは、アンテナ60からアンテナ72、アンテナ74への反射波の接地角を示す。Δrは、アンテナ60からアンテナ72、アンテナ74への直接波と反射波の経路差を示す。
は、直接波指向性利得を示す。
は、反射波指向性利得を示す。
【0108】
図22は、アンテナ72での受信電力P
r1及びアンテナ74での受信電力P
r2を表す数式を示す。r
1は、アンテナ60からアンテナ72への直接波の経路長を示し、r
1´は、アンテナ60からアンテナ72への反射波の経路長を示し、Δr
1は、これらの経路差を示す。r
2は、アンテナ60からアンテナ74への直接波の経路長を示し、r
2´は、アンテナ60からアンテナ74への反射波の経路長を示し、Δr
2は、これらの経路差を示す。
【0109】
車間距離が十分長い場合、r1及びr2も大きくなるので、下記数式3のように近似でき、アンテナ72とアンテナ74との間でも同等と近似できる。
【0110】
【0111】
さらに、反射係数も、下記数式4のように近似できる。
【0112】
【0113】
図22に示す数式から、位相差の相関係数が-1(位相差が反転する関係)のときにダイバーシティ効果が最大になるといえる。
【0114】
図23は、受信アンテナ間隔と位相差の相関係数との関係を示すグラフデータ540の一例を概略的に示す。
図23は、送信アンテナ高htが3.5mの場合について例示している。グラフデータ540は、
図22の数式を用いることによって生成可能である。
【0115】
極小値542は、グラフデータ540における相関係数の極小値を示す。極小値542を特定することによって、ダイバーシティ効果が最大となる受信アンテナ間隔Δhrを特定することができる。
【0116】
図23では、送信アンテナ高htが3.5mである場合のグラフデータ540を生成する場合について説明したが、同様にして、複数の送信アンテナ高htに対するグラフデータ540を生成することができる。そして、複数の送信アンテナ高htに対するグラフデータ540のそれぞれの相関係数の極小値に対応する受信アンテナ間隔Δhrをプロットすることによって、距離間隔データ530を生成することができる。
【0117】
略極小値は、極小値を含み、かつ、極小値から誤差の範囲を含む。極小値に対応する受信アンテナ間隔Δhrを用いることが望ましいが、製造誤差等によって、極小値から少しずれた値に対応する受信アンテナ間隔Δhrを用いる場合になることもある。本実施形態に係る受信アンテナ間隔Δhrは、このような誤差を許容する。
【0118】
図24は、データ処理装置800及び製造装置900の機能構成の一例を概略的に示す。データ処理装置800は、距離間隔データ530を生成する。データ処理装置800は、結果取得部802、距離間隔データ生成部804、及び距離間隔データ出力部806を備える。なお、データ処理装置800がこれらの全てを備えることは必須とは限らない。
【0119】
結果取得部802は、アンテナ60、アンテナ72、アンテナ74に対するシミュレーションの結果を取得する。結果取得部802は、例えば、アンテナ60とアンテナ60が発する電波を反射する反射体との距離毎に、受信アンテナ72と受信アンテナ74との間隔毎の、アンテナ72と反射体との距離及びアンテナ60とアンテナ72との送受アンテナ距離を変化させた場合のアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルをシミュレートした結果を取得する。結果取得部802は、シミュレータから当該結果を取得してよい。結果取得部802は、人手による入力を介して当該結果を取得してもよい。
【0120】
結果取得部802は、アンテナ60、アンテナ72、アンテナ74に対する実測の結果を取得する。結果取得部802は、例えば、アンテナ60とアンテナ60が発する電波を反射する反射体との距離毎に、受信アンテナ72と受信アンテナ74との間隔毎の、アンテナ72と反射体との距離及びアンテナ60とアンテナ72との送受アンテナ距離を変化させた場合のアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルを実測した結果を取得する。結果取得部802は、人手による入力を介して当該結果を取得してもよい。
【0121】
距離間隔データ生成部804は、結果取得部802が取得した結果を用いて、距離間隔データ530を生成する。距離間隔データ生成部804は、例えば、アンテナ60とアンテナ60が発する電波を反射する反射体との距離毎に、横軸がアンテナ72と反射体との距離であり、縦軸が、送受アンテナ距離を変化させた場合のアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルのいずれか高い方の最小値である、グラフデータ500のようなデータを生成する。なお、距離間隔データ生成部804は、アンテナ72と反射体との距離と、送受アンテナ距離を変化させた場合のアンテナ72及びアンテナ74がアンテナ60から受信する電波のレベルのいずれか高い方の最小値との関係を把握可能であれば、グラフデータを生成しなくてもよい。距離間隔データ生成部804は、アンテナ72とアンテナ74との間隔毎の上記最小値のうちの略極大値に基づいて、アンテナ60と反射体との距離毎のアンテナ72とアンテナ74との受信アンテナ間隔を示す距離間隔データ530を生成してよい。距離間隔データ生成部804は、例えば、アンテナ72とアンテナ74との間隔毎に、上記最小値が最も小さいアンテナ72と反射体との距離に対応するレベル最小値を特定することによって、アンテナ72とアンテナ74との間隔毎の最小値を示す、グラフデータ520のようなデータを生成する。距離間隔データ生成部804は、アンテナ60と反射体との距離毎に生成したグラフデータ520のようなデータのそれぞれから、レベル最小値の略極大値に対応する受信アンテナ間隔を特定することによって、アンテナ60と反射体との距離毎のアンテナ72とアンテナ74との受信アンテナ間隔を示す距離間隔データ530を生成してよい。なお、距離間隔データ生成部804は、アンテナ72とアンテナ74との間隔と、上記最小値との関係を把握可能であれば、グラフデータを生成しなくてもよい。距離間隔データ生成部804は、
図17から
図20を用いて説明した手法によって距離間隔データ530を生成してよい。
【0122】
距離間隔データ生成部804は、アンテナ72とアンテナ74との間隔毎の、アンテナ72及びアンテナ74の、アンテナ60からの直接波及び反射波の位相差の相関係数の略極小値に基づいて、距離間隔データ530を生成してもよい。距離間隔データ生成部804は、
図21から
図23を用いて説明した手法によって、距離間隔データ530を生成してよい。
【0123】
距離間隔データ出力部806は、距離間隔データ生成部804が生成した距離間隔データ530を出力する。距離間隔データ出力部806は、距離間隔データ530を表示出力してよい。距離間隔データ出力部806は、距離間隔データ530を送信出力してよい。
【0124】
製造装置900は、アンテナアレー70を製造する。製造装置900は、距離間隔データ取得部902、距離間隔データ格納部904、条件取得部906、及び製造部908を備える。データ処理装置800と製造装置900とは一体であってもよい。すなわち、データ処理装置800が製造装置900の機能をさらに備えてもよい。なお、製造装置900がこれらの全てを備えることは必須とは限らない。
【0125】
距離間隔データ取得部902は、距離間隔データ530を取得する。距離間隔データ取得部902は、人手によって入力された距離間隔データ530を取得してよい。距離間隔データ取得部902は、距離間隔データ出力部806から距離間隔データ530を受信してもよい。距離間隔データ格納部904は、距離間隔データ取得部902が取得した距離間隔データ530を格納する。
【0126】
条件取得部906は、製造条件を取得する。条件取得部906は、人手による入力を介して製造条件を取得してよい。条件取得部906は、例えば、アンテナ60の送信アンテナ高を取得する。条件取得部906は、例えば、アンテナ72の受信アンテナ高を取得する。
【0127】
製造部908は、条件取得部906が取得した製造条件と、距離間隔データ格納部904に格納されている距離間隔データ530とを用いて、アンテナアレー70を製造する。製造部908は、距離間隔データ530を参照して、製造条件に含まれる送信アンテナ高に対応する、最適なアンテナ間隔を特定する。製造部908は、製造条件に含まれるアンテナ72の受信アンテナ高と、特定したアンテナ間隔とから、アンテナ72及びアンテナ74の配置を決定する。製造部908は、決定した配置に従ってアンテナ72及びアンテナ74を配置したアンテナアレー70を製造する。
【0128】
図25は、製造装置900によるアンテナアレー70の製造処理の流れの一例を概略的に示す。ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、条件取得部906が、送信アンテナ高を取得する。S104では、条件取得部906が、受信アンテナ高を取得する。
【0129】
S106では、製造部908が、距離間隔データ格納部904から距離間隔データ530を読み出す。S108では、製造部908が、S106において読み出した距離間隔データ530を参照して、S102において取得された送信アンテナ高に対応する、受信アンテナ間隔を特定する。S110では、製造部908が、S104において取得された受信アンテナ高と、S108において特定した受信アンテナ間隔とによって、アンテナ72及びアンテナ74の配置を決定する。製造部908は、決定した配置に従ってアンテナ72及びアンテナ74を配置したアンテナアレー70を製造する。
【0130】
図26は、通信装置100、通信装置200、データ処理装置800、又は製造装置900として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0131】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブ1226は、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0132】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0133】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1227等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0134】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0135】
プログラムは、DVD-ROM1227又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0136】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM1227、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0137】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ1226(DVD-ROM1227)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0138】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0139】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0140】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0141】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0142】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0143】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0144】
上記実施形態では、移動体の例として車両10を示したが、これに限らない。移動体の他の例として、鉄道車両及び無人航空機等が挙げられる。
【0145】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0146】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0147】
10 車両、20 車両、30 路面、32 側方反射体、40 車両、42 アンテナ、50 車両、52 アンテナ、60 アンテナ、70 アンテナアレー、72 アンテナ、74 アンテナ、100 通信装置、112 直交偏波アンテナ、113 垂直偏波アンテナ、114 水平偏波アンテナ、115 送信RF部、116 UpConverter部、120 アンテナアレー、122 直交偏波アンテナ、150 送信機ベースバンド部、152 受信機、20 車両、200 通信装置、222 直交偏波アンテナ、223 垂直偏波アンテナ、224 水平偏波アンテナ、225 LNA、226 DownConverter部、227 IF AMP部、250 受信機ベースバンド部、252 伝搬路推定部、254 FB情報送信部、302 水平偏波、304 垂直偏波、312 水平偏波、314 垂直偏波、412、414、416、418、422、424、426、428 レベル変動、500 グラフデータ、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511 レベル最小値、520 グラフデータ、522 極大値、530 距離間隔データ、540 グラフデータ、542 極小値、800 データ処理装置、802 結果取得部、804 距離間隔データ生成部、806 距離間隔データ出力部、900 製造装置、902 距離間隔データ取得部、904 距離間隔データ格納部、906 条件取得部、908 製造部、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ、1501 通信路符号化部、1502 インタリーバ部、1503 レートマッチング部、1504 スクランブリング部、1505 シンボル変調部、1506 レイヤマッパ部、1507 プリコーダ部、1508 二次変調部、1509 パイロット信号多重部、1510 DAC部、1511 UpConverter部、1512 希望信号受信レベル推定器、1513 パイロット信号系列選択器、1514 パイロット信号生成器、1515 プリコーディング制御部、1516 使用高周波アンテナモジュール選択制御器、1517 セレクタ、1520 送信RF部選択制御器、1521 セレクタ、2501 DownConverter部、2502 ADC部、2503 セレクタ又は合成部又は分離部、2504 ポストコーダ&レイヤデマッパ部、2505 送信ビット毎対数尤度比生成部、2506 デスクランブラ部、2507 デレートマッチャ部、2508 デインタリーバ部、2509 通信路復号部、2510 LNA