(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166738
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/483 20070101AFI20231115BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231115BHJP
【FI】
H02M7/483
H02M7/48 R
H02M7/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077469
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】花村 賢治
(72)【発明者】
【氏名】狩野 秀行
(72)【発明者】
【氏名】藤居 直章
(72)【発明者】
【氏名】廣田 翔吾
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770BA01
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA04
5H770CA05
5H770DA03
5H770DA31
5H770DA37
5H770DA41
5H770EA01
5H770JA10X
5H770JA11X
(57)【要約】
【課題】低損失化、小型化、軽量化、低コスト化が可能な、フライングキャパシタを用いた電力変換装置を提供する。
【解決手段】インバータ回路(10)は、直流電源(2)に並列接続された第1レグ回路(11u)、第2レグ回路(11v)、及び第3レグ回路(11w)を有する。直流電源(2)の電圧をEとするとき、制御回路(30)は、各レグ回路(11x)の交流出力点と直流電源(2)の中点間の電圧が、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを有する疑似正弦波になるように、第1スイッチング素子(Qx1)-第12スイッチング素子(Qx12)を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から出力される直流電圧をもとに、マルチレベルの電圧を有する擬似正弦波を生成するインバータ回路と、
前記インバータ回路に含まれる複数のスイッチング素子を制御する制御回路と、を備え、
前記インバータ回路は、前記直流電源に並列接続された第1レグ回路、第2レグ回路、及び第3レグ回路を有し、
各レグ回路は、
前記直流電源の両端間に直列接続された第1スイッチング素子-第8スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と並列接続された第1フライングキャパシタと、
前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と並列接続された第2フライングキャパシタと、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との接続点と、前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子との接続点との間に直列接続された第9スイッチング素子-第12スイッチング素子又は第9スイッチング素子-第10スイッチング素子と、を有し、
前記第10スイッチング素子と前記第11スイッチング素子との接続点、又は前記第9スイッチング素子と前記第10スイッチング素子との接続点が、交流出力点となり、負荷又は電力系統に接続され、
前記直流電源の電圧をEとするとき、
前記制御回路は、前記交流出力点と前記直流電源の中点間の電圧が、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを有する疑似正弦波になるように、前記第1スイッチング素子-前記第12スイッチング素子又は前記第1スイッチング素子-前記第10スイッチング素子を制御する、
電力変換装置。
【請求項2】
前記直流電源の両端間に、前記直流電源の電圧を1/2に分圧するように直列接続された第1コンデンサと第2コンデンサをさらに備え、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点と、各レグ回路の前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子との接続点が接続される、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1フライングキャパシタと前記第2フライングキャパシタの各電圧が1/4Eになるように、前記インバータ回路に含まれる複数のスイッチング素子を制御する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との接続点と、前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子との接続点との間に、直列接続された前記第9スイッチング素子-前記第12スイッチング素子が接続され、
前記制御回路は、前記第1レグ回路、前記第2レグ回路、及び前記第3レグ回路にそれぞれ含まれる前記第1スイッチング素子-前記第12スイッチング素子を、それぞれ独立した3組の相補PWM信号で制御する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
一つの前記レグ回路において、
前記第1スイッチング素子と前記第5スイッチング素子を第1PWM信号で制御し、
前記第4スイッチング素子と前記第8スイッチング素子を、前記第1PWM信号と相補関係にある第2PWM信号で制御し、
前記第2スイッチング素子と前記第6スイッチング素子を第3PWM信号で制御し、
前記第3スイッチング素子と前記第7スイッチング素子を、前記第3PWM信号と相補関係にある第4PWM信号で制御し、
前記第9スイッチング素子と前記第10スイッチング素子を第5PWM信号で制御し、
前記第11スイッチング素子と前記第12スイッチング素子を、前記第5PWM信号と相補関係にある第6PWM信号で制御する、
請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
一つの前記レグ回路において、
前記第1スイッチング素子-前記第8スイッチング素子を、搬送波周期でスイッチング制御し、
前記第9スイッチング素子-前記第12スイッチング素子を、基本波周期でスイッチング制御する、
請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記基本波周期は、
前記交流出力点の接続先がモータの場合、前記モータの電気角周波数であり、
前記交流出力点の接続先が前記電力系統の場合、50Hz/60Hzの電力系統周波数である、
請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1レグ回路、前記第2レグ回路、及び前記第3レグ回路の操作対象の検出値と目標値の偏差をもとに、前記第1レグ回路、前記第2レグ回路、及び前記第3レグ回路のデューティ信号をそれぞれ生成し、
第1搬送波、及び前記第1搬送波を180°位相シフトさせた第2搬送波と、前記第1レグ回路、前記第2レグ回路、及び前記第3レグ回路のデューティ信号をもとに、前記第1PWM信号-前記第6PWM信号を生成する、
請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記デューティ信号がゼロより大きいか否かを示す大小信号を生成し、
前記大小信号を反転した値と前記デューティ信号を加算して、変換デューティ信号を生成し、
前記第1搬送波、及び前記第2搬送波と、前記第1レグ回路、前記第2レグ回路、及び前記第3レグ回路の前記変換デューティ信号をそれぞれ比較して、前記第1PWM信号-前記第4PWM信号を生成し、
前記大小信号から前記第5PWM信号-前記第6PWM信号を生成する、
請求項8に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、定置型蓄電池、車載蓄電池などの電力を制御するパワーコンディショナで使用されるインバータは、高効率(低損失)な電力変換と小型設計が望まれる。特に、三相で系統連系するパワーコンディショナは、定格電力が10kW以上と大きいため、損失の絶対値が大きくなり、発熱も大きくなる。そこで、パワーコンディショナの特にインバータ部分の損失低減のために、フライングキャパシタを使ったマルチレベルインバータが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。マルチレベルインバータでは、パワーデバイス一つ当たりの印加電圧を下げることで、スイッチング損失を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-230357号公報
【特許文献2】特開2017-169250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、従来のフライングキャパシタ型5レベルインバータから、半導体素子数を減らし、かつ、電流の半導体通過数を減らすことで、さらなる低損失化、小型化、軽量化、低コスト化が可能なフライングキャパシタ型5レベルインバータを開発した。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、低損失化、小型化、軽量化、低コスト化が可能な、フライングキャパシタを用いた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電力変換装置は、直流電源から出力される直流電圧をもとに、マルチレベルの電圧を有する擬似正弦波を生成するインバータ回路と、前記インバータ回路に含まれる複数のスイッチング素子を制御する制御回路と、を備える。前記インバータ回路は、前記直流電源に並列接続された第1レグ回路、第2レグ回路、及び第3レグ回路を有する。各レグ回路は、前記直流電源の両端間に直列接続された第1スイッチング素子-第8スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と並列接続された第1フライングキャパシタと、前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と並列接続された第2フライングキャパシタと、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との接続点と、前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子との接続点との間に直列接続された第9スイッチング素子-第12スイッチング素子又は第9スイッチング素子-第10スイッチング素子と、を有する。前記第10スイッチング素子と前記第11スイッチング素子との接続点、又は前記第9スイッチング素子と前記第10スイッチング素子との接続点が、交流出力点となり、負荷又は電力系統に接続され、前記直流電源の電圧をEとするとき、前記制御回路は、前記交流出力点と前記直流電源の中点間の電圧が、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを有する疑似正弦波になるように、前記第1スイッチング素子-前記第12スイッチング素子又は前記第1スイッチング素子-前記第10スイッチング素子を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低損失化、小型化、軽量化、低コスト化が可能な、フライングキャパシタを用いた電力変換装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る電力変換装置の構成を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る電力変換装置の一つのレグ回路に含まれる第1スイッチング素子-第12スイッチング素子のスイッチングパターンをまとめた図である。
【
図3】
図3(a)-(d)は、
図2に示すスイッチングパターンの基本波周期の正の半周期のスイッチングパターンを示す回路図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、
図2に示すスイッチングパターンの基本波周期の負の半周期のスイッチングパターンを示す回路図である。
【
図5】三相交流の系統線間電圧、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号、及び各レグ回路の出力端子-中点間電圧のシミュレーション波形を示す図である。
【
図6】三相交流の系統線間電圧、各レグ回路の出力端子-中点間電圧、及び三相交流の出力端子間電圧のシミュレーション波形を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る電力変換装置1の制御回路に含まれるduty信号生成部の構成例を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る電力変換装置の制御回路に含まれるPWM信号生成部の構成例を示す図である。
【
図9】搬送波A、搬送波B、U相duty信号、V相duty信号、W相duty信号、U相大小信号、V相大小信号、W相大小信号、変換U相duty信号、変換V相duty信号、及び変換W相duty信号のシミュレーション波形を示す図である。
【
図10】比較例1に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【
図11】比較例2に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【
図12】比較例3に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【
図13】比較例1-比較例3、実施例に係る電力変換装置の特性例をまとめたグラフを示す図である。
【
図14】変形例1に係る電力変換装置の構成を説明するための図である。
【
図15】変形例2に係る電力変換装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施の形態に係る電力変換装置1の構成を説明するための図である。電力変換装置1は、直流電源2から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力系統3に出力する。直流電源2は例えば、分散型電源(太陽電池、蓄電池、燃料電池など)と、当該分散型電源の出力を制御可能なDC/DCコンバータ(不図示)により構成される。当該DC/DCコンバータと電力変換装置1との間は、直流バスで接続される。なお直流電源2は、分散型電源とDC/DCコンバータの組が複数、並列接続されて構成されていてもよい。
【0010】
電力変換装置1は、インバータ回路10、出力フィルタ20及び制御回路30を含む。インバータ回路10は、直流電源2から供給される直流電圧Eをもとに、出力端子-中点間電圧で5レベル、出力端子間電圧で9レベルの電圧を有する疑似正弦波を生成することにより、直流電圧Eを交流電圧に変換する。インバータ回路10は、直流電源2に並列接続されたU相レグ回路11u、V相レグ回路11v及びW相レグ回路11wを有する。
【0011】
U相レグ回路11uは、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、及び第1U相フライングキャパシタCu1-第2U相フライングキャパシタCu2を含む。第1U相スイッチング素子Qu1-第8U相スイッチング素子Qu8は、直流電源2の両端間に、直列接続される。
【0012】
第1U相フライングキャパシタCu1は、第2U相スイッチング素子Qu2と第3U相スイッチング素子Qu3と並列接続される。より具体的には、第1U相フライングキャパシタCu1は、第1U相スイッチング素子Qu1と第2U相スイッチング素子Qu2の接続点と、第3U相スイッチング素子Qu3と第4U相スイッチング素子Qu4の接続点との間に接続される。
【0013】
第2U相フライングキャパシタCu2は、第6U相スイッチング素子Qu6と第7U相スイッチング素子Qu7と並列接続される。より具体的には、第2U相フライングキャパシタCu2は、第5U相スイッチング素子Qu5と第6U相スイッチング素子Qu6の接続点と、第7U相スイッチング素子Qu7と第8U相スイッチング素子Qu8の接続点との間に接続される。
【0014】
第9U相スイッチング素子Qu9-第12U相スイッチング素子Qu12は、第2U相スイッチング素子Qu2と第3U相スイッチング素子Qu3との接続点と、第6U相スイッチング素子Qu6と第7U相スイッチング素子Qu7との接続点との間に、直列接続される。第10U相スイッチング素子Qu10と第11U相スイッチング素子Qu11との接続点が、U相レグ回路11uの交流出力点となり、出力フィルタ20を介して電力系統3に接続される。
【0015】
以下、本明細書では、第1U相スイッチング素子Qu1-第8U相スイッチング素子Qu8、及び第1U相フライングキャパシタCu1-第2U相フライングキャパシタCu2を総称してU相直列フライングキャパシタ回路と呼ぶ。第9U相スイッチング素子Qu9-第12U相スイッチング素子Qu12を総称してU相電圧符号切替回路と呼ぶ。
【0016】
V相レグ回路11vは、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1V相フライングキャパシタCv1-第2V相フライングキャパシタCv2を含む。これらの構成部品の接続関係はU相レグ回路11uと同様である。
【0017】
W相レグ回路11wは、第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12、及び第1W相フライングキャパシタCw1-第2W相フライングキャパシタCw2を含む。これらの構成部品の接続関係もU相レグ回路11uと同様である。
【0018】
直流電源2の両端間に、第1分割コンデンサC1と第2分割コンデンサC2が直列接続される。第1分割コンデンサC1及び第2分割コンデンサC2は、直流電圧Eを1/2に分圧する作用、インバータ回路10内で発生するサージ電圧を抑制するためのスナバコンデンサとしての作用を有する。
【0019】
第1分割コンデンサC1と第2分割コンデンサC2との接続点(中点M)、U相レグ回路11uの第4U相スイッチング素子Qu4と第5U相スイッチング素子Qu5の接続点、V相レグ回路11vの第4V相スイッチング素子Qv4と第5V相スイッチング素子Qv5の接続点、及びW相レグ回路11wの第4W相スイッチング素子Qw4と第5W相スイッチング素子Qw5の接続点が中間配線で接続される。これにより、各相の直列フライングキャパシタ回路の中点電位を、直流電源2の中点電位に安定させて、各スイッチング素子に印加される電圧をバランスさせることができる。
【0020】
第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12にはそれぞれ、ダイオードが逆並列に形成又は接続される。以下、本実施の形態では第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12に、150V耐圧のNチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を使用する例を想定する。NチャネルMOSFETでは、ソースからドレイン方向に寄生ダイオードが形成される。
【0021】
なお、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やバイポーラトランジスタを使用してもよい。その場合、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12に寄生ダイオードは形成されず、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12にそれぞれ外付けダイオードが逆並列に接続される。
【0022】
なお、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12に、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)、ダイヤモンド(C)などを使用したワイドバンドギャップ半導体で構成されたスイッチング素子を使用してもよい。
【0023】
出力フィルタ20は、U相レグ回路11u、V相レグ回路11v及びW相レグ回路11wからそれぞれ出力されるマルチレベル(中点Mを基準とした場合、5レベル)の疑似正弦波電圧及び疑似正弦波電流の高調波成分を減衰させて、電力系統3の正弦波と同期した正弦波に近づける。出力フィルタ20は、U相リアクトルLu、V相リアクトルLv、W相リアクトルLw、U-V相間コンデンサCuv、V-W相間コンデンサCvw及びW-U相間コンデンサCwuを含む。
【0024】
U相リアクトルLuは、3相3線式の配電線のU相電圧線に挿入される。第V相リアクトルLvは、3相3線式の配電線のV相電圧線に挿入される。W相リアクトルLwは、3相3線式の配電線のW相電圧線に接続される。U-V相間コンデンサCuvは、U相電圧線とV相電圧線との間に接続される。V-W相間コンデンサCvwは、V相電圧線とW相電圧線との間に接続される。W-U相間コンデンサCwuは、W相電圧線とU相電圧線との間に接続される。
【0025】
制御回路30は、電力変換装置1を統括的に制御する。制御回路30は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、FPGA、ASIC、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0026】
制御回路30は、インバータ回路10に含まれる第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12を制御する。より具体的には制御回路30は、各レグ回路の交流出力点と直流電源2の中点M間の電圧が、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを有する疑似正弦波になるように、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12を制御する。
【0027】
制御回路30は、U相レグ回路11uに含まれる第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、V相レグ回路11vに含まれる第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及びW相レグ回路11wに含まれる第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12を、それぞれ相ごとに独立した3組の相補PWM信号で制御する。つまり、全体で9組18ポートのPWM信号を使用する。
【0028】
図2は、実施の形態に係る電力変換装置1の一つのレグ回路に含まれる第1スイッチング素子Qx1-第12スイッチング素子Qx12のスイッチングパターンをまとめた図である。xは、u、v、wのいずれかをとる。以下、U相のスイッチングパターンを例に説明するが、V相もW相のスイッチングパターンも同様である。
【0029】
U相レグ回路11uにおいて、制御回路30は、第1U相スイッチング素子Qu1と第5U相スイッチング素子Qu5を第1U相PWM信号1Auで制御し、第4U相スイッチング素子Qu4と第8U相スイッチング素子Qu8を第2U相PWM信号1Buで制御する。第1U相PWM信号1Auと第2U相PWM信号1Buは相補関係にある。
【0030】
制御回路30は、第2U相スイッチング素子Qu2と第6U相スイッチング素子Qu6を第3U相PWM信号2Auで制御し、第3U相スイッチング素子Qu3と第7U相スイッチング素子Qu7を第4U相PWM信号2Buで制御する。第3U相PWM信号2Auと第4U相PWM信号2Buは相補関係にある。
【0031】
制御回路30は、第9U相スイッチング素子Qu9と第10U相スイッチング素子Qu10を第5U相PWM信号3Auで制御し、第11U相スイッチング素子Qu11と第12U相スイッチング素子Qu12を第6U相PWM信号3Buで制御する。第5U相PWM信号3Auと第6U相PWM信号3Buは相補関係にある。
【0032】
制御回路30は、U相直列フライングキャパシタ回路の第1U相スイッチング素子Qu1-第8U相スイッチング素子Qu8を、搬送波(キャリア)周期でスイッチング制御し、U相電圧符号切替回路の第9U相スイッチング素子Qu9-第12U相スイッチング素子Qu12を、基本波周期でスイッチング制御する。搬送波周期は例えば、10kHz-50kHz程度に設定される。基本波周期は、電力系統3の周波数(50Hz/60Hz)に設定される。
【0033】
図3(a)-(d)は、
図2に示すスイッチングパターンの基本波周期の正の半周期のスイッチングパターンを示す回路図である。
図4(a)-(d)は、
図2に示すスイッチングパターンの基本波周期の負の半周期のスイッチングパターンを示す回路図である。なお、図面の簡略化のためMOSFETを単純なスイッチ記号で描いている。
【0034】
図3(a)に示すように、直流電源2から流れてくる電流を出力端子に流して、U相レグ回路11uから中点M基準で+1/2Eを出力する場合、制御回路30は、第1U相スイッチング素子Qu1、第2U相スイッチング素子Qu2、第5U相スイッチング素子Qu5、第6U相スイッチング素子Qu6、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオン状態に制御し、第3U相スイッチング素子Qu3、第4U相スイッチング素子Qu4、第7U相スイッチング素子Qu7、第8U相スイッチング素子Qu8、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオフ状態に制御する。
【0035】
図3(b)に示すように、直流電源2から流れてくる電流で第1U相フライングキャパシタCu1を充電しつつ、U相レグ回路11uから中点M基準で+1/4Eを出力する場合、制御回路30は、第1U相スイッチング素子Qu1、第3U相スイッチング素子Qu3、第5U相スイッチング素子Qu5、第7U相スイッチング素子Qu7、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオン状態に制御し、第2U相スイッチング素子Qu2、第4U相スイッチング素子Qu4、第6U相スイッチング素子Qu6、第8U相スイッチング素子Qu8、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオフ状態に制御する。
【0036】
図3(c)に示すように、V相レグ回路11v又はW相レグ回路11wの中点Mから流れてくる電流で放電された第1U相フライングキャパシタCu1から電力系統3に放電しつつ、U相レグ回路11uから中点M基準で+1/4Eを出力する場合、制御回路30は、第2U相スイッチング素子Qu2、第4U相スイッチング素子Qu4、第6U相スイッチング素子Qu6、第8U相スイッチング素子Qu8、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオン状態に制御し、第1U相スイッチング素子Qu1、第3U相スイッチング素子Qu3、第5U相スイッチング素子Qu5、第7U相スイッチング素子Qu7、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオフ状態に制御する。
【0037】
制御回路30は、
図3(b)に示すスイッチングパターンと、
図3(c)に示すスイッチングパターンを交互に繰り返すことにより、第1U相フライングキャパシタCu1の充放電電荷を一定にしながら、U相レグ回路11uから+1/4Eを出力させることができる。
【0038】
図3(d)に示すように、V相レグ回路11v又はW相レグ回路11wの中点Mから流れてくる電流を出力端子に流して、U相レグ回路11uから中点M基準で+0Eを出力する場合、制御回路30は、第3U相スイッチング素子Qu3、第4U相スイッチング素子Qu4、第7U相スイッチング素子Qu7、第8U相スイッチング素子Qu8、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオン状態に制御し、第1U相スイッチング素子Qu1、第2U相スイッチング素子Qu2、第5U相スイッチング素子Qu5、第6U相スイッチング素子Qu6、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオフ状態に制御する。
【0039】
図4(a)に示すように、出力端子に流れ込んでくる電流を直流電源2に流して、U相レグ回路11uから中点M基準で-1/2Eを出力する場合、制御回路30は、第3U相スイッチング素子Qu3、第4U相スイッチング素子Qu4、第7U相スイッチング素子Qu7、第8U相スイッチング素子Qu8、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオン状態に制御し、第1U相スイッチング素子Qu1、第2U相スイッチング素子Qu2、第5U相スイッチング素子Qu5、第6U相スイッチング素子Qu6、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオフ状態に制御する。
【0040】
図4(b)に示すように、出力端子に流れ込んでくる電流で第2U相フライングキャパシタCu2を充電しつつ、U相レグ回路11uから中点M基準で-1/4Eを出力する場合、制御回路30は、第2U相スイッチング素子Qu2、第4U相スイッチング素子Qu4、第6U相スイッチング素子Qu6、第8U相スイッチング素子Qu8、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオン状態に制御し、第1U相スイッチング素子Qu1、第3U相スイッチング素子Qu3、第5U相スイッチング素子Qu5、第7U相スイッチング素子Qu7、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオフ状態に制御する。
【0041】
図4(c)に示すように、出力端子に流れ込んでくる電流で放電された第2U相フライングキャパシタCu2からV相レグ回路11v又はW相レグ回路11wの中点Mに放電しつつ、U相レグ回路11uから中点M基準で-1/4Eを出力する場合、制御回路30は、第1U相スイッチング素子Qu1、第3U相スイッチング素子Qu3、第5U相スイッチング素子Qu5、第7U相スイッチング素子Qu7、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオン状態に制御し、第2U相スイッチング素子Qu2、第4U相スイッチング素子Qu4、第6U相スイッチング素子Qu6、第8U相スイッチング素子Qu8、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオフ状態に制御する。
【0042】
制御回路30は、
図4(b)に示すスイッチングパターンと、
図4(c)に示すスイッチングパターンを交互に繰り返すことにより、第2U相フライングキャパシタCu2の充放電電荷を一定にしながら、U相レグ回路11uから-1/4Eを出力させることができる。
【0043】
図4(d)に示すように、出力端子に流れ込んでくる電流をV相レグ回路11v又はW相レグ回路11wの中点Mに流して、U相レグ回路11uから中点M基準で-0Eを出力する場合、制御回路30は、第1U相スイッチング素子Qu1、第2U相スイッチング素子Qu2、第5U相スイッチング素子Qu5、第6U相スイッチング素子Qu6、第11U相スイッチング素子Qu11及び第12U相スイッチング素子Qu12をオン状態に制御し、第3U相スイッチング素子Qu3、第4U相スイッチング素子Qu4、第7U相スイッチング素子Qu7、第8U相スイッチング素子Qu8、第9U相スイッチング素子Qu9及び第10U相スイッチング素子Qu10をオフ状態に制御する。
【0044】
図5は、三相交流の系統線間電圧、U相PWM信号、V相PWM信号、W相PWM信号、及び各レグ回路の出力端子-中点間電圧のシミュレーション波形を示す図である。
図5に示すシミュレーションでは、三相200V、周波数50Hzの電力系統3に接続されている状態を前提とする。したがって、基本波周期は20msになる。
【0045】
U-V相系統線間電圧Vuv、V-W相系統線間電圧Vvw、W-U相系統線間電圧Vwvは、位相が120度ずつずれている。U-V相系統線間電圧Vuv、V-W相系統線間電圧Vvw、W-U相系統線間電圧Vwvを足し合わせた合計電圧は、どの時点においても0Vとなる。
【0046】
第1U相PWM信号1Auと第2U相PWM信号1Buは、0(ローレベル)又は1(ハイレベル)をとり、相補関係に生成される。第3U相PWM信号2Auと第4U相PWM信号2Buは、2(ローレベル)又は3(ハイレベル)をとり、相補関係に生成される。波形を見やすくするため便宜的に+2している。第5U相PWM信号3Auと第6U相PWM信号3Buは、4(ローレベル)又は5(ハイレベル)をとり、相補関係に生成される。波形を見やすくするため便宜的に+4している。V相PWM信号は、U相PWM信号から位相が120度遅れた信号である。W相PWM信号はU相PWM信号から位相が240度遅れた信号である。
【0047】
制御回路30は、U相レグ回路11uの交流出力端子から、+1/2Eと+1/4Eを交互に出力する期間、+1/4Eと0を交互に出力する期間、0と-1/4Eを交互に出力する期間、-1/4Eと-1/2Eを交互に出力する期間を繰り返すことで、5レベルの電圧を有する疑似正弦波(U相交流出力端子-中点間電圧Vinv_um)を、U相レグ回路11uの交流出力端子から出力させる。
【0048】
同様に制御回路30は、V相レグ回路11vの交流出力端子から、+1/2Eと+1/4Eを交互に出力する期間、+1/4Eと0を交互に出力する期間、0と-1/4Eを交互に出力する期間、-1/4Eと-1/2Eを交互に出力する期間を繰り返すことで、5レベルの電圧を有する疑似正弦波(V相交流出力端子-中点間電圧Vinv_vm)を、V相レグ回路11vの交流出力端子から出力させる。
【0049】
同様に制御回路30は、W相レグ回路11wの交流出力端子から、+1/2Eと+1/4Eを交互に出力する期間、+1/4Eと0を交互に出力する期間、0と-1/4Eを交互に出力する期間、-1/4Eと-1/2Eを交互に出力する期間を繰り返すことで、5レベルの電圧を有する疑似正弦波(W相交流出力端子-中点間電圧Vinv_wm)を、W相レグ回路11wの交流出力端子から出力させる。
【0050】
図6は、三相交流の系統線間電圧、各レグ回路の出力端子-中点間電圧、及び三相交流の出力端子間電圧のシミュレーション波形を示す図である。三相交流の系統線間電圧と各レグ回路の出力端子-中点間電圧は、
図5と同様である。U-V相出力端子間電圧Vinv_uv、V-W相出力端子間電圧Vinv_vw、W-U相出力端子間電圧Vinv_wuのそれぞれは、9レベル(+E、+3/4E、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2E、-3/4E、-E)の電圧を有する疑似正弦波となる。
【0051】
図7は、実施の形態に係る電力変換装置1の制御回路30に含まれるduty信号生成部30dxの構成例を示す図である。duty信号生成部30dxは相ごとに、ACリアクトル電流/出力電圧制御部301x及びFC電圧制御部302xを含む。以下、U相を例に説明する。
【0052】
電力変換装置1を系統連系モードで運転させる場合、U相ACリアクトル電流/出力電圧制御部301xは、U相リアクトルLuに流れる電流ILu(フィードバック値)と、目標値とする電流指令値との偏差をPI補償又はPID補償してU相duty信号を生成する。
【0053】
電力変換装置1を自立運転モードで運転させる場合、U相ACリアクトル電流/出力電圧制御部301xは、U相の自立出力電圧(フィードバック値)と、目標値とする電圧指令値との偏差をPI補償又はPID補償してU相duty信号を生成する。なお、U相の自立出力電圧のフィードバックループの内部ループとして、U相リアクトルLuに流れる電流ILuのフィードバックループを設けてもよい。
【0054】
U相FC電圧制御部302xは、基本波周期の正の半周期において、第1U相フライングキャパシタCu1の電圧(フィードバック値)と、目標値とする電圧指令値(1/4E)との偏差をPI補償又はPID補償してU相FC電圧補正用duty信号を生成する。U相FC電圧制御部302xは、基本波周期の負の半周期において、第2U相フライングキャパシタCu2の電圧(フィードバック値)と、目標値とする電圧指令値(1/4E)との偏差をPI補償又はPID補償してU相FC電圧補正用duty信号を生成する。基本波周期が正の半周期にあるか負の半周期にあるかは、U相duty信号をもとに判定される。
【0055】
U相duty信号とU相FC電圧補正用duty信号は、
図8に示すPWM信号生成部30pxに入力される。本実施の形態では、U相duty信号は、-1~+1の範囲の値をとるように設計される。
【0056】
図8は、実施の形態に係る電力変換装置1の制御回路30に含まれるPWM信号生成部30pxの構成例を示す図である。PWM信号生成部30pxは相ごとに、第1比較部31x、反転部32x、第1加算部33x、第2加算部39x、第2比較部34x、第3比較部35x、第1相補PWMデッドタイムブロック回路36x、第2相補PWMデッドタイムブロック回路37x及び第3相補PWMデッドタイムブロック回路38xを含む。以下、U相を例に説明する。
【0057】
第1比較部31xは、U相duty信号生成部30dxで生成されたU相duty信号とゼロを比較し、U相duty信号がゼロより大きいか否かを示す大小信号を生成する。U相大小信号は、U相duty信号がゼロより大きい場合は1をとり、ゼロ以下の場合は0をとる。反転部32xは、第1比較部31xから入力されるU相大小信号を論理反転して加算部33xに出力する。
【0058】
第1加算部33xは、U相duty信号に、反転部32xから入力されるU相反転大小信号を加算して、変換U相duty信号を生成する。U相duty信号がゼロより大きい場合、U相duty信号と変換U相duty信号は一致する。U相duty信号がゼロ以下の場合、変換U相duty信号は、U相duty信号に1をオフセット加算した信号となる。つまり、変換U相duty信号は、U相duty信号の負の領域(0~-1)が、正の領域(+1~0)に持ち上げられた信号となる。
【0059】
第2加算部39xは、第1加算部33xから入力される変換U相duty信号と、U相duty信号生成部30dxから入力されるU相FC電圧補正用duty信号を加算して、変換U相補正duty信号を生成する。
【0060】
第2比較部34xは、第2加算部39xから入力される変換U相補正duty信号と、第1搬送波Aを比較して、第1比較結果信号を出力する。第1比較結果信号は、変換U相補正duty信号が第1搬送波Aより大きい場合は1をとり、第1搬送波A以下の場合は0をとる。
【0061】
第1相補PWMデッドタイムブロック回路36xは、第2比較部34xから入力される第1比較結果信号を第3U相PWM信号2Auとして出力する。第1相補PWMデッドタイムブロック回路36xは、第2比較部34xから入力される第1比較結果信号を論理反転して、第4U相PWM信号2Buとして出力する。第1相補PWMデッドタイムブロック回路36xは、第3U相PWM信号2Auと第4U相PWM信号2Buの値が反転する際、第3U相PWM信号2Auと第4U相PWM信号2Buが同時に0をとるデッドタイムを両者に挿入する。
【0062】
第3比較部35xは、第1加算部33xから入力される変換U相duty信号と、第2搬送波Bを比較して、第2比較結果信号を出力する。第2搬送波Bは、第1搬送波Aより位相が180°遅れた信号である。第2比較結果信号は、変換U相duty信号が第2搬送波Bより大きい場合は1をとり、第2搬送波B以下の場合は0をとる。
【0063】
第2相補PWMデッドタイムブロック回路37xは、第3比較部35xから入力される第2比較結果信号を第1U相PWM信号1Auとして出力する。第2相補PWMデッドタイムブロック回路37xは、第3比較部35xから入力される第2比較結果信号を論理反転して、第2U相PWM信号1Buとして出力する。第2相補PWMデッドタイムブロック回路37xは、第1U相PWM信号1Auと第2U相PWM信号1Buの値が反転する際、第1U相PWM信号1Auと第2U相PWM信号1Buが同時に0をとるデッドタイムを両者に挿入する。
【0064】
第3相補PWMデッドタイムブロック回路38xは、第1比較部31xから入力されるU相大小信号を第5U相PWM信号3Auとして出力する。第3相補PWMデッドタイムブロック回路38xは、第1比較部31xから入力されるU相大小信号を論理反転して、第6U相PWM信号3Buとして出力する。第3相補PWMデッドタイムブロック回路38xは、第5U相PWM信号3Auと第6U相PWM信号3Buの値が反転する際、第5U相PWM信号3Auと第6U相PWM信号3Buが同時に0をとるデッドタイムを両者に挿入する。
【0065】
なお、第2加算部39xは第3比較部35xの前段に設けられてもよい。また、変換U相duty信号からU相FC電圧補正用duty信号を減算するFC電圧の補償方法を採用してもよい。
【0066】
以上、U相PWM信号生成部の構成について説明したが、V相PWM信号生成部の構成とW相PWM信号生成部の構成は、U相PWM信号生成部と同様であるため説明を省略する。
【0067】
このように制御回路30は、U相レグ回路11u、V相レグ回路11v及びW相レグ回路11wの操作対象の検出値と目標値の偏差をもとに、U相duty信号、V相duty信号及びW相duty信号をそれぞれ生成する。U相レグ回路11u、V相レグ回路11v及びW相レグ回路11wの操作対象には、第1U相フライングキャパシタCu1-第2U相フライングキャパシタCu2、第1V相フライングキャパシタCv1-第2V相フライングキャパシタCv2、及び第1W相フライングキャパシタCw1-第2W相フライングキャパシタCw2の電圧が含まれる。
【0068】
制御回路30は、第1U相フライングキャパシタCu1-第2U相フライングキャパシタCu2、第1V相フライングキャパシタCv1-第2V相フライングキャパシタCv2、及び第1W相フライングキャパシタCw1-第2W相フライングキャパシタCw2の各電圧が、1/4Eになるように、第1U相スイッチング素子Qu1-第12U相スイッチング素子Qu12、第1V相スイッチング素子Qv1-第12V相スイッチング素子Qv12、及び第1W相スイッチング素子Qw1-第12W相スイッチング素子Qw12を制御する。
【0069】
制御回路30は、第1搬送波A及び第2搬送波Bと、U相duty信号、V相duty信号及びW相duty信号をもとに、第1U相PWM信号1Au-第6U相PWM信号3Bu、第1V相PWM信号1Av-第6V相PWM信号3Bv、及び第1W相PWM信号1Aw-第6W相PWM信号3Bwを生成する。
【0070】
より具体的には制御回路30は、第1搬送波A及び第2搬送波Bと、変換U相duty信号、変換V相duty信号及び変換W相duty信号をそれぞれ比較して、第1U相PWM信号1Au-第4U相PWM信号2Bu、第1V相PWM信号1Av-第4V相PWM信号2Bv、及び第1W相PWM信号1Aw-第4W相PWM信号2Bwを生成する。制御回路30は、U相大小信号、V相大小信号及びW相大小信号から、第5U相PWM信号3Au-第6U相PWM信号3Bu、第5V相PWM信号3Av-第6V相PWM信号3Bv、及び第5W相PWM信号3Aw-第6W相PWM信号3Bwをそれぞれ生成する。
【0071】
図9は、搬送波A、搬送波B、U相duty信号、V相duty信号、W相duty信号、U相大小信号、V相大小信号、W相大小信号、変換U相duty信号、変換V相duty信号、及び変換W相duty信号のシミュレーション波形を示す図である。
図9に示すように180°位相シフトダブルキャリア方式で各PWM信号を生成することで、各フライングキャパシタへの充電と放電のスイッチングパターンを統一的に生成している。これにより、各フライングキャパシタへの充放電による電荷の変動を一定にすることができ、各フライングキャパシタの電圧が安定する。また、Duty信号の正負によって、PWM信号の生成方法を変更することで、インバータ回路10の出力電圧が正の時と負の時で所望のスイッチングパターンを生成できる。
【0072】
図10は、比較例1に係る電力変換装置1の構成を示す図である。比較例1に係る電力変換装置1は、一般的な三相2レベルインバータである。
図11は、比較例2に係る電力変換装置1の構成を示す図である。比較例2に係る電力変換装置1は、フライングキャパシタ型三相3レベルインバータの一例である(上記特許文献1参照)。
図12は、比較例3に係る電力変換装置1の構成を示す図である。比較例2に係る電力変換装置1は、フライングキャパシタ型三相5レベルインバータの一例である(上記特許文献2参照)。
図11には1相分の回路構成だけを記載している。
【0073】
図13は、比較例1-比較例3、実施例に係る電力変換装置1の特性例をまとめたグラフを示す図である。この例では、直流電源2とインバータ回路10の間の直流バスに最大450Vdcが印加される電力変換装置1を想定している。また、パワースイッチング素子としてMOSFETを使用し、比較例1が品番A、比較例2が品番B、比較例3が品番C、実施例が品番Cを使用することを想定している。
【0074】
インバータ回路10の出力電圧は、比較例1が±1/2E(2レベル)、比較例2が±1/2E、0(3レベル)、比較例3が±1/2E、±1/4E、0(5レベル)、実施例が±1/2E、±1/4E、0(5レベル)である。各フライングキャパシタの電圧は、比較例1が不使用、比較例2が1/2E、比較例3が1/4E、実施例が1/4Eである。使用する1相分の半導体個数は、比較例1がMOSFET:2個、ダイオード:0個、比較例2がMOSFET:4個、ダイオード:0個、比較例3がMOSFET:18個、ダイオード:4個、実施例がMOSFET:12個、ダイオード:0個である。
【0075】
MOSFETの耐圧は、比較例1が600V、比較例2が300V、比較例3が150V、実施例が150Vである。一つのMOSFETのスイッチング損失に比例する一つのMOSFETに印加される電圧は、比較例1がE、比較例2が1/2E、比較例3が1/4E、実施例が1/4Eである。一つのMOSFETのオン抵抗は、比較例1が15mΩ(@Id=58A)、比較例2が16mΩ(@Id=45A)、比較例3が3.3mΩ(@Id=50A)、実施例が3.3mΩ(@Id=50A)である。一般的に、MOSFETのスイッチング損失は、ドレイン-ソース間電圧が高いほど、ドレイン電流が大きいほど、スイッチングスピードが遅いほと、スイッチング周波数が高いほど増加する。
【0076】
電流が通過する1相分の半導体通過数は、比較例1が1個、比較例2が2個、比較例3が4個又は6個、実施例が4個である。比較例3では、±E出力時と0出力時の1相分の半導体通過数が4個、±1/2E出力時の1相分の半導体通過数が6個となる。+E出力時には電流は、第13U相スイッチング素子Qu13、第17U相スイッチング素子Qu17、第9U相スイッチング素子Qu9、第10U相スイッチング素子Qu10を通過する。0出力時には電流は、第2U相ダイオードDu2、第1U相ダイオードDu1、第9U相スイッチング素子Qu9、第10U相スイッチング素子Qu10を通過する。+1/2E出力時には電流は、第1U相スイッチング素子Qu1、第3U相スイッチング素子Qu3、第14U相スイッチング素子Qu14、第17U相スイッチング素子Qu17、第9U相スイッチング素子Qu9、第10U相スイッチング素子Qu10を通過する。
【0077】
一つのMOSFETのオン抵抗と、電流が通過する1相分の半導体通過数を掛けた1相分の総オン抵抗は、比較例1が15mΩ、比較例2が32mΩ、比較例3が13.2mΩ又は19.8mΩ、実施例が13.2mΩである。MOSFETのスイッチングスピードtr/tfは、比較例1が35ns/8ns(@Id=22A)、比較例2が44ns/32ns(@Id=45A)、比較例3が4.5ns/5.4ns(@Id=50A)、実施例が4.5ns/5.4ns(@Id=50A)である。
【0078】
MOSFETの寄生ダイオードの順方向電圧Vfは、比較例1が1.0V(@If=58A)、比較例2が1.2V(@If=45A)、比較例3が0.8V(@If=50A)、実施例が0.8V(@If=50A)である。MOSFETの寄生ダイオードのリカバリ電荷Qrrは、比較例1が1.6μC(@If=22A)、比較例2が0.52μC(@If=45A)、比較例3が0.07μC(@If=50A)、実施例が0.07μC(@If=50A)である。
【0079】
このように、オン抵抗、スイッチングスピード、ダイオード順方向電圧、ダイオードリカバリ電荷共に、5レベルインバータで採用できる150V耐圧のMOSFETが最も高性能であることが分かる。つまり、5レベルインバータ化により、低損失化が可能となることが分かる。
【0080】
フライングキャパシタ型三相5レベルインバータであっても、回路トポロジにより回路構成が異なる。比較例3に係る5レベル方式では、1相分でMOSFET数が18個、ダイオード数が4個、合計22個の半導体素子が必要になる。また、電流の半導体通過数が6個というスイッチングパターンがある。また、1相分の総オン抵抗で実施例1に係る2レベル方式に劣後する状態がある。
【0081】
これに対して実施例に係る5レベル方式では、1相分でMOSFET数が12個、ダイオード数が0個、合計12個の半導体素子で足りる。また、電流の半導体通過数が常に4個である。また、1相分の総オン抵抗で実施例1に係る2レベル方式に劣後する状態は発生しない。
【0082】
このように実施例に係る電力変換装置1によれば、比較例3に係る5レベル方式から半導体素子数を減らし、かつ、電流の半導体通過数を減らすことができ、さらなる低損失化、小型化、軽量化、低コスト化が可能となる。
【0083】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0084】
図14は、変形例1に係る電力変換装置1の構成を説明するための図である。変形例1では、U相レグ回路11uの交流出力点、V相レグ回路11vの交流出力点、及びW相レグ回路11wの交流出力点が三相同期モータ3aに接続される。三相同期モータ3aはブラシレスDCモータである。電力変換装置1が電力系統3ではなく、三相同期モータ3aに接続される場合、出力フィルタ20は省略される。各相のインダクタ成分は三相同期モータ3aに内蔵される。基本波周期は、三相同期モータ3aの電気角周波数に設定される。
【0085】
図15は、変形例2に係る電力変換装置1の構成を説明するための図である。変形例2に係る電力変換装置1では、150V耐圧の第9U相スイッチング素子Qu9-第10U相スイッチング素子Qu10の代わりに、300V耐圧の第9U相スイッチング素子Qu9が使用され、150V耐圧の第11U相スイッチング素子Qu11-第12U相スイッチング素子Qu12の代わりに、300V耐圧の第10U相スイッチング素子Qu10が使用される。V相とW相も同様である。
【0086】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0087】
[項目1]
直流電源(2)から出力される直流電圧をもとに、マルチレベルの電圧を有する擬似正弦波を生成するインバータ回路(10)と、
前記インバータ回路(10)に含まれる複数のスイッチング素子(Qx1-Qx12)を制御する制御回路(30)と、を備え、
前記インバータ回路(10)は、前記直流電源(2)に並列接続された第1レグ回路(11u)、第2レグ回路(11v)、及び第3レグ回路(11w)を有し、
各レグ回路(11x)は、
前記直流電源(2)の両端間に直列接続された第1スイッチング素子(Qx1)-第8スイッチング素子(Qx8)と、
前記第2スイッチング素子(Qx2)と前記第3スイッチング素子(Qx3)と並列接続された第1フライングキャパシタ(Cx1)と、
前記第6スイッチング素子(Qx6)と前記第7スイッチング素子(Qx7)と並列接続された第2フライングキャパシタ(Cx2)と、
前記第2スイッチング素子(Qx2)と前記第3スイッチング素子(Qx3)との接続点と、前記第6スイッチング素子(Qx6)と前記第7スイッチング素子(Qx7)との接続点との間に直列接続された第9スイッチング素子(Qx9)-第12スイッチング素子(Qx12)又は第9スイッチング素子(Qx9)-第10スイッチング素子(Qx10)と、を有し、
前記第10スイッチング素子(Qx10)と前記第11スイッチング素子(Qx11)との接続点、又は前記第9スイッチング素子(Qx9)と前記第10スイッチング素子(Qx10)との接続点が、交流出力点となり、負荷(3a)又は電力系統(3)に接続され、
前記直流電源(2)の電圧をEとするとき、
前記制御回路(30)は、前記交流出力点と前記直流電源(2)の中点間の電圧が、+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを有する疑似正弦波になるように、前記第1スイッチング素子(Qx1)-前記第12スイッチング素子(Qx12)又は前記第1スイッチング素子(Qx1)-前記第10スイッチング素子(Qx10)を制御する、
電力変換装置(1)。
これによれば、少ないスイッチング素子数で三相5レベルインバータを実現でき、低損失、小型、軽量、低コストを同時に実現できる。
[項目2]
前記直流電源(2)の両端間に、前記直流電源(2)の電圧を1/2に分圧するように直列接続された第1コンデンサ(C1)と第2コンデンサ(C2)をさらに備え、
前記第1コンデンサ(C1)と前記第2コンデンサ(C2)との接続点と、各レグ回路(11x)の前記第4スイッチング素子(Qx4)と前記第5スイッチング素子(Qx5)との接続点が接続される、
項目1に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、各レグ回路(11x)の中点電位を直流電源(2)の中点電位に安定させることで、各スイッチング素子(Qx1-Qx12)に印加される電圧をバランスさせることができる。
[項目3]
前記制御回路(30)は、前記第1フライングキャパシタ(Cx1)と前記第2フライングキャパシタ(Cx2)の各電圧が1/4Eになるように、前記インバータ回路(10)に含まれる複数のスイッチング素子(Qx1-Qx12)を制御する、
項目1に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、交流出力点に+1/2E、+1/4E、0、-1/4E、-1/2Eの5レベルを生成することができる。
[項目4]
前記第2スイッチング素子(Qx2)と前記第3スイッチング素子(Qx3)との接続点と、前記第6スイッチング素子(Qx6)と前記第7スイッチング素子(Qx7)との接続点との間に、直列接続された前記第9スイッチング素子(Qx9)-前記第12スイッチング素子(Qx12)が接続され、
前記制御回路(30)は、前記第1レグ回路(11u)、前記第2レグ回路(11v)、及び前記第3レグ回路(11w)にそれぞれ含まれる前記第1スイッチング素子(Qx1)-前記第12スイッチング素子(Qx12)を、それぞれ独立した3組の相補PWM信号で制御する、
項目1に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、最小のPWMポート数で電力変換装置(1)を実装することができる。
[項目5]
前記制御回路(30)は、
一つの前記レグ回路(11x)において、
前記第1スイッチング素子(Qx1)と前記第5スイッチング素子(Qx5)を第1PWM信号で制御し、
前記第4スイッチング素子(Qx4)と前記第8スイッチング素子(Qx8)を、前記第1PWM信号と相補関係にある第2PWM信号で制御し、
前記第2スイッチング素子(Qx2)と前記第6スイッチング素子(Qx6)を第3PWM信号で制御し、
前記第3スイッチング素子(Qx3)と前記第7スイッチング素子(Qx7)を、前記第3PWM信号と相補関係にある第4PWM信号で制御し、
前記第9スイッチング素子(Qx9)と前記第10スイッチング素子(Qx10)を第5PWM信号で制御し、
前記第11スイッチング素子(Qx11)と前記第12スイッチング素子(Qx12)を、前記第5PWM信号と相補関係にある第6PWM信号で制御する、
項目4に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、最小のPWMポート数で各レグ回路(11x)を実装することができる。
[項目6]
前記制御回路(30)は、
一つの前記レグ回路(11x)において、
前記第1スイッチング素子(Qx1)-前記第8スイッチング素子(Qx8)を、搬送波周期でスイッチング制御し、
前記第9スイッチング素子(Qx9)-前記第12スイッチング素子(Qx12)を、基本波周期でスイッチング制御する、
項目5に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、第9スイッチング素子(Qx9)-第12スイッチング素子(Qx12)のスイッチング損失を抑制することができる。
[項目7]
前記基本波周期は、
前記交流出力点の接続先がモータ(3a)の場合、前記モータ(3a)の電気角周波数であり、
前記交流出力点の接続先が前記電力系統(3)の場合、50Hz/60Hzの電力系統周波数である、
項目6に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、様々なアプリケーションに対応することができる。
[項目8]
前記制御回路(30)は、
前記第1レグ回路(11u)、前記第2レグ回路(11v)、及び前記第3レグ回路(11w)の操作対象の検出値と目標値の偏差をもとに、前記第1レグ回路(11u)、前記第2レグ回路(11v)、及び前記第3レグ回路(11w)のデューティ信号をそれぞれ生成し、
第1搬送波、及び前記第1搬送波を180°位相シフトさせた第2搬送波と、前記第1レグ回路(11u)、前記第2レグ回路(11v)、及び前記第3レグ回路(11w)のデューティ信号をもとに、前記第1PWM信号-前記第6PWM信号を生成する、
項目7に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、マルチレベルの電圧を有する擬似正弦波を出力できる。
[項目9]
前記制御回路(30)は、
前記デューティ信号がゼロより大きいか否かを示す大小信号を生成し、
前記大小信号を反転した値と前記デューティ信号を加算して、変換デューティ信号を生成し、
前記第1搬送波、及び前記第2搬送波と、前記第1レグ回路(11u)、前記第2レグ回路(11v)、及び前記第3レグ回路(11w)の前記変換デューティ信号をそれぞれ比較して、前記第1PWM信号-前記第4PWM信号を生成し、
前記大小信号から前記第5PWM信号-前記第6PWM信号を生成する、
項目8に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、インバータ回路(10)の出力電圧が正の時と負の時で所望のスイッチングパターンを生成することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 電力変換装置、 2 直流電源、 3 電力系統、 3a 三相同期モータ、 10 インバータ回路、 11u-11w レグ回路、 20 出力フィルタ、 30 制御回路、 30dx duty信号生成部、 301x ACリアクトル電流/出力電圧制御部、 302x FC電圧制御部、 30px PWM信号生成部、 32x 反転部、 33x,39x 加算部、 31x,34x,35x 比較部、 36x-38x 相補PWMデッドタイムブロック回路、 Qu1-Qu12 U相スイッチング素子、 Qv1-Qv12 V相スイッチング素子、 Qw1-Qw12 W相スイッチング素子、 Cu1-Cu2 U相フライングキャパシタ、 Cv1-Cv2 V相フライングキャパシタ、 Cw1-Cw2 W相フライングキャパシタ、 C1-C2 分割コンデンサ、 Cuv U-V相間コンデンサ、 Cvw V-W相間コンデンサ、 Cwu W-U相間コンデンサ、 Lu U相リアクトル、 Lv V相リアクトル、 Lw W相リアクトル。