(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166752
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】アースジョイントコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20231115BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20231115BHJP
H01R 31/08 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H01R4/64 C
H01R13/73 Z
H01R31/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077505
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】寺▲崎▼ 丈洋
(57)【要約】
【課題】ハウジングをアース用部材の任意の位置にある被取付部に取り付けることができ、配索される電線長の短縮化、低コスト化及び軽量化を図ることができるアースジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】アースジョイントコネクタ1は、相手ハウジングが嵌合される接続部11と相手ハウジングの端子が接続されるアースジョイント端子12とを有するハウジング10と、アースジョイント端子12から延出され、アース部27がアース用部材5にアース接続されるアース端子24を有し、アース用部材5の被取付部6に着脱可能に取り付けられる取付部材20と、を備え、ハウジング10と取付部材20が合体することで、アースジョイントコネクタ1となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングが嵌合される接続部と前記相手ハウジングの端子が接続されるアースジョイント端子とを有するハウジングと、
前記アースジョイント端子から延出され、アース部がアース用部材にアース接続されるアース端子を有し、前記アース用部材の被取付部に着脱可能に取り付けられる取付部材と、
を備えたアースジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記取付部材は、前記アース用部材の被取付部に対して抜け止め状態に取着可能なクリップであり、
前記クリップは、前記ハウジング側に位置するクリップ本体と、前記アース用部材の被取付部に着脱可能に取り付けられるアンカー部と、を備え、
前記アンカー部は、前記クリップ本体に軸部を介して一体形成され、前記被取付部としての取付孔に係止される一対の弾性係止片部を有し、
前記一対の弾性係止片部の先端に前記アース端子のアース部の一部が露出して前記アース用部材としての金属パネルにアース接続される、請求項1に記載のアースジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記一対の弾性係止片部は、前記アース用部材に対する接触面に、前記アース用部材の表層を削り取る鋸刃状の複数の突起を有する、請求項2に記載のアースジョイントコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングと前記取付部材は、別々に形成され、
前記ハウジングの上面側に前記アースジョイント端子の上側連結部が露出すると共に、前記露出した上側連結部の両側に逆L字状で一対の係合凹部が設けられ、
前記取付部材の基端部の両端部間に前記アース端子の下側連結部が露出すると共に、前記露出した下側連結部の両側に前記一対の係合凹部に係合する一対の係合凸部が設けられ、
前記ハウジングの上面側に前記取付部材を取り付けた状態で、前記アースジョイント端子の上側連結部に前記アース端子の下側連結部が接触して導通する、請求項1に記載のアースジョイントコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングと前記取付部材は、一体に形成され、
前記アースジョイント端子と前記アース端子は、一体に連結されている、請求項1に記載のアースジョイントコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アース端子付きのジョイントコネクタの一例として、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載されたアースジョイントコネクタは、相手ハウジングが嵌合される嵌合筒部を有したハウジングと、インサート成形によって嵌合筒部内に装着され、相手ハウジングの端子が接続されるアース用端子と、を備える。
【0003】
そして、アースジョイントコネクタは、ハウジングに相手ハウジングが嵌合されてアース用端子と相手端子が接続された状態で、車両のボディの限られた場所や数の接地部(アースポイント)にボルトで締め付け固定される。この際、複数の補器のアース回路(ワイヤハーネス)を集約し、アースジョイントコネクタのアース用端子にて車両のボディとアース接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のアースジョイントコネクタでは、ボルトで締め付け固定するため、車両のボディの限られたアースポイントでしかアース接続することができず、全ての補器のワイヤハーネスを配索するには、電線長が長くなり、コスト高、重量増となる。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ハウジングをアース用部材の任意の位置にある被取付部に取り付けることができ、配索される電線長の短縮化、低コスト化及び軽量化を図ることができるアースジョイントコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るアースジョイントコネクタは、相手ハウジングが嵌合される接続部と前記相手ハウジングの端子が接続されるアースジョイント端子とを有するハウジングと、前記アースジョイント端子から延出され、アース部がアース用部材にアース接続されるアース端子を有し、前記アース用部材の被取付部に着脱可能に取り付けられる取付部材と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハウジングをアース用部材の任意の位置にある被取付部に取り付けることができ、配索される電線長の短縮化、低コスト化及び軽量化を図ることができるアースジョイントコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るアースジョイントコネクタの一例を示す概略構成図である。
【
図2】上記アースジョイントコネクタの合体前の概略構成図である。
【
図3】上記アースジョイントコネクタを側面側から見た概略構成図である。
【
図4】(a)は上記アースジョイントコネクタによるワイヤハーネスの概略配索図、(b)は参考例のアースジョイントコネクタによるワイヤハーネスの概略配索図である。
【
図5】本発明の第2実施形態のアースジョイントコネクタの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るアースジョイントコネクタについて詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施形態に係るアースジョイントコネクタの一例を示す概略構成図である。
図2はアースジョイントコネクタの合体前の概略構成図である。
図3はアースジョイントコネクタを側面側から見た概略構成図である。
図4(a)はアースジョイントコネクタによるワイヤハーネスの概略配索図である。
図4(b)は参考例のアースジョイントコネクタによるワイヤハーネスの概略配索図である。
【0012】
図1、
図2に示すように、アースジョイントコネクタ1は、クランプ別でアース端子付きのジョイントコネクタであり、合成樹脂製のハウジング10と、クランプとして機能する合成樹脂製のクリップ(取付部材)20と、を備えている。すなわち、
図1、
図3に示すように、ハウジング10とクリップ20は、別々に形成されていて合体することで、アースジョイントコネクタ1となる。
【0013】
図3に示すように、ハウジング10は、相手ハウジング2が嵌合される嵌合凹部(接続部)11と、ハウジング10にインサート成形されて埋め込まれ、相手ハウジング2の雌端子(端子)3が接続されるアースジョイント端子12と、を有する。
【0014】
図1、
図2に示すように、アースジョイント端子12は、導電性でプレート状の水平バスバー(上側連結部)13と、導電性でプレート状の垂直バスバー14と、導電性で棒状の複数のタブ15と、を有する。水平バスバー13は、上面13a側がハウジング10の上面10aに露出している。
図3に示すように、垂直バスバー14は、水平バスバー13の下面13bの前端より垂下している。複数のタブ15は、垂直バスバー14及びその補助板部14aから等間隔おいて上下2段で並列にそれぞれ配置されて嵌合凹部11内に突出している。この複数のタブ15は、四角棒状に形成されていてその先端が尖っている。この複数のタブ15に相手ハウジング2の複数の雌端子3がそれぞれ接続されるようになっている。なお、雌端子3は、電線4の芯線4aに圧着接続されている。
【0015】
図1、
図2に示すように、ハウジング10の上面10aには、露出したアースジョイント端子12の水平バスバー13の両側に逆L字状で一対の係合凹部16,16が設けられている。この一対の係合凹部16,16に後述するクリップ20の一対の係合凸部28,28が係合することで、ハウジング10の上面10aにクリップ20が取り付けられて合体されるようになっている。
【0016】
図1に示すように、クリップ20は、車両のボディ等の金属パネル(アース用部材)5の取付孔(被取付部)6に着脱自在に取り付けられる。クリップ20は、ハウジング10側に位置するクリップ本体21と、金属パネル5の取付孔6に抜け止め状態に取着可能なアンカー部22と、アースジョイント端子12から結合して延出され、金属パネル5にアース接続されるアース端子24と、を備えている。
【0017】
図1、
図2に示すように、アンカー部22は、クリップ本体21に一体形成された逆円錐体状の台座部22aと、この台座部22aから軸部22bを介して一体形成され、金属パネル5の取付孔6に係止・離脱される一対の弾性係止片部23,23と、を有する。
【0018】
図2に示すように、アース端子24は、導電性でプレート状の下側バスバー25と、下側バスバー25より起立した導電性の起立バスバー26と、起立バスバー26の上端より左右の斜め下方に傾斜した導電性で一対の傾斜バスバー27,27と、を有している。また、アース端子24の下側バスバー25と起立バスバー26と一対の傾斜バスバー27,27は、クリップ本体21にインサート成形されて埋め込まれている。さらに、アース端子24の起立バスバー26は、下側バスバー25に下端が連結された二股部26aと、クリップ本体21から軸部22bまで延びる中間部26bと、を有している。
【0019】
図1、
図2に示すように、クリップ20の基端部としてのクリップ本体21の両端部間にアース端子24の下側バスバー(下側連結部)25の下面25b側が露出している。この露出した下側バスバー25の両側のクリップ本体21の下面21aには、ハウジング10の一対の係合凹部16,16に係合する一対の係合凸部28,28が設けられている。そして、クリップ20をハウジング10の上面10a側に取り付けた状態で、アース端子24の下側連結部としての下側バスバー25がアースジョイント端子12の上側連結部としての水平バスバー13に接触して導通するようになっている。
【0020】
また、
図1に示すように、一対の弾性係止片部23,23の先端には、アース端子24の一対の傾斜バスバー(アース部)27,27の凹状の各先端部(一部)27aが露出している。この凹状の各先端部27aが金属パネル5の取付孔6に嵌め込まれることで、アース端子24が金属パネル5にアース接続されるようになっている。なお、
図2に示すように、弾性係止片部23の先端(傾斜バスバー27の先端部27a)は、台座部22aの上面に形成された収容凹部22cに収容されている。
【0021】
さらに、
図1に示すように、一対の弾性係止片部23,23は、金属パネル5に対する各接触面23aに、金属パネル5の塗装や酸化被膜等の表層5aを削り落とす金属鋸刃状の複数の突起29を有する。なお、複数の突起29は、傾斜バスバー27の先端部27aに連結されている。
【0022】
図4(a)に示すように、アースジョイントコネクタ1は、複数の補器7に接続されたワイヤハーネス8を集約して、アース端子24にて車両のボディ等の金属パネル5にアース接続するものである。この際、アースジョイントコネクタ1がクリップ20を備えていることで、金属パネル5の任意の位置に設けられた取付孔6に取り付けられるようになっている。このため、
図4(b)に示す参考例のアースジョイントコネクタ9のように、金属パネル5の限られた位置に設けられたアースポイントPでしかボルト止めできない場合に比べ、配索されるワイヤハーネス8の電線長の短縮化、低コスト化及び軽量化が図られる。
【0023】
以上第1実施形態のアースジョイントコネクタ1によれば、ハウジング10とクリップ20を合体した状態で、クリップ20のアンカー部22を金属パネル5の取付孔6に嵌め込むだけの簡単な作業により、アース端子24が金属パネル5にアース接続される。このように、アースジョイントコネクタ1を金属パネル5の任意の位置にある取付孔6に取り付けることができるため、
図4(b)に示す参考例の場合に比べて、配索されるワイヤハーネス8の電線長の短縮化、低コスト化及び軽量化をより一段と図ることができる。
【0024】
また、クリップ20のアンカー部22を金属パネル5の取付孔6に嵌め込む際に、弾性係止片部23の金属パネル5に対する各接触面23aに設けられた金属鋸刃状の複数の突起29で金属パネル5の表層5aが削り取られる。この削り取りにより、アース端子24の傾斜バスバー27の凹状の先端部27aが金属パネル5の内部の金属部分に確実に接触導通するため、良好なアース接続性能を得ることができる。
【0025】
図5は本発明の第2実施形態のアースジョイントコネクタの一例を示す概略構成図である。
【0026】
この第2実施形態のアースジョイントコネクタ1’は、クランプ付きのコネクタである点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
この第2実施形態のアースジョイントコネクタ1’では、ハウジング10とクリップ(取付部材)20を一体に形成し、アースジョイント端子12とアース端子24を一体に連結したことで、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0028】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0029】
すなわち、前記実施形態によれば、車両のボディ等の金属パネルをアース用部材としたが、車両以外の金属パネルや金属パイプ等をアース用部材としても良い。
【0030】
また、前記実施形態によれば、アース用部材の被取付部として取付孔を用いたが、取付穴を被取付部としても良い。
【符号の説明】
【0031】
1,1’ アースジョイントコネクタ
2 相手ハウジング
3 雌端子(端子)
5 金属パネル(アース用部材)
5a 表層
6 取付孔(被取付部)
10 ハウジング
10a 上面
11 嵌合凹部(接続部)
12 アースジョイント端子
13 水平バスバー(上側連結部)
16,16 一対の係合凹部
20 クリップ(取付部材)
21 クリップ本体(基端部)
22 アンカー部
22b 軸部
23,23 一対の弾性係止片部
23a 接触面
24 アース端子
25 下側バスバー(下側連結部)
27,27 一対の傾斜バスバー
27a 先端部(一部)
28,28 一対の係合凸部
29 鋸刃状の複数の突起