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  • 特開-ユニットハウス用配管構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166794
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ユニットハウス用配管構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
E04B1/348 V
E04B1/348 P
E04B1/348 U
E04B1/348 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077580
(22)【出願日】2022-05-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】591170647
【氏名又は名称】三協フロンテア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐次
(72)【発明者】
【氏名】大林 尭弘
(57)【要約】
【課題】積み重ねたユニットハウスの室内に配管を施工することができるユニットハウス用配管構造を提供する。
【解決手段】屋根フレームP1と床フレームP2とを備えたユニットハウスPを構成する。積み重ねたユニットハウスPの屋根フレームP1を貫通する配管用ソケット10を設ける。配管用ソケット10の鉛直下方の床フレームP2に開口部20を形成する。下層側の配管用ソケット10から上層側の開口部20にスリーブ管30を通す。床フレームP2を超える位置までスリーブ管30を立ち上げる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根フレームと、床フレームと、2枚の妻フレームとを備えたユニットハウスを積み重ね、これらのユニットハウス内部に配管する構造であって、屋根フレームを貫通する配管用ソケットと、この配管用ソケットの鉛直下方の床フレームに形成された開閉自在な開口部とを設け、積み重ねたユニットハウスの下層側の配管用ソケットから上層側の開口部に至るスリーブ管を設け、このスリーブ管を通して配管することを特徴とするユニットハウス用配管接続構造。
【請求項2】
前記開口部の位置は、前記ユニットハウスを上下接合する連結ボルトのボルト接合作業口として予め形成された前記床フレームの四隅と前記床フレームの長手両側縁に沿った位置とのいずれかを選択し、選択した前記開口部の鉛直上方の前記屋根フレームに前記配管用ソケットを設置する請求項1記載のユニットハウス用配管接続構造。
【請求項3】
前記ユニットハウスは、折り畳んだ状態から前記屋根フレームを吊り上げることでユニットハウスが立設するバタフライ構造とし、積み重ねられた前記ユニットハウスは前記床フレームに開口したボルト接合作業口を通して前記連結ボルトで上下を接合する請求項2記載のユニットハウス用配管接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねたユニットハウスの室内に配管施工することができるユニットハウス用配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユニットハウスの構造として、バタフライ工法で施工する構造のユニットハウスが知られている(特許文献1参照)。このユニットハウスは、屋根フレームと、床フレームと、2枚の妻フレームとを備え、これらを組み付けると1個のユニットハウスが構成される。このユニットハウスは折り畳み自在で、折り畳んだ状態から屋根フレームを吊り上げることでユニットハウスが開いて立設する構造である。
【0003】
そして、各フレームをそれぞれボルト接合することで、箱形ラーメン構造のユニットハウスが形成される。また、ユニットハウスはそれぞれ独立した箱型フレーム構造になっていることから、ユニットハウスを複数段積み上げた場合の配管施工は、外壁面に沿って納める必要があった。
【0004】
一方、複数の強化住戸ユニットを積み重ねて使用する住戸ユニットが特許文献2に記載されている。この住戸ユニットは、強化住戸ユニット10Aの内部に、上下方向に沿った通気ダクト11や各種配管12を配置した構造を成す。
【0005】
すなわち、これらの通気ダクト11や各種配管12,13は、強化住戸ユニット10A内の壁体10dに隣接して設けた収納部Sに収納する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3205191号公報
【特許文献2】特許第2618111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のユニットハウスは、それぞれが独立した箱型フレーム構造を成すので、電気配線、給排水配管などは、ユニットハウス構築後に外壁面に沿って納めることになる。そのため、外壁に配管用の孔を設ける必要があり、大型の特殊脚立、二段梯子、高所作業車を要するものであった。また、外壁に配線、配管が設置されることで、建物本来の意匠性を損なう不都合もある。
【0008】
一方、特許文献2に記載の住戸ユニットは、強化住戸ユニット内の壁体に隣接して設けた収納部に、各種配管を収納する構成である。そのため、配管施工は、この収納部の位置に限定される不都合がある。
【0009】
ところが、ユニットハウスは構成を自由に変更できるのが特徴なので、このような収納部に配管を収納する構成では、配管施工時の制約が多くなり、ユニットハウス内部のレイアウト等を自由に行うことが困難になる不都合がある。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、積み重ねたユニットハウスの室内に配管を容易に施工することができるユニットハウス用配管構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、屋根フレームP1と、床フレームP2と、2枚の妻フレームP3とを備えたユニットハウスPを積み重ね、これらのユニットハウスP内部に配管する構造であって、屋根フレームP1を貫通する配管用ソケット10と、この配管用ソケット10の鉛直下方の床フレームP2に形成された開閉自在な開口部20とを設け、積み重ねたユニットハウスPの下層側の配管用ソケット10から上層側の開口部20に至るスリーブ管30を設け、このスリーブ管30を通して配管することにある。
【0012】
第2の手段の前記開口部20の位置は、前記ユニットハウスPを上下接合する連結ボルト40のボルト接合作業口として予め形成された前記床フレームP2の四隅と前記床フレームP2の長手両側縁に沿った位置とのいずれかを選択し、選択した前記開口部20の鉛直上方の前記屋根フレームP1に前記配管用ソケット10を設置するものである。
【0013】
第3の手段の前記ユニットハウスPは、折り畳んだ状態から前記屋根フレームを吊り上げることでユニットハウスが立設するバタフライ構造とし、積み重ねられた前記ユニットハウスPは前記床フレームP2に開口したボルト接合作業口を通して前記連結ボルト40で上下を接合する構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、積み重ねたユニットハウスの室内に配管を施工することができる。しかも、配管作業が室内なので、従来のように大型の特殊脚立、二段梯子、高所作業車を要することなく、安全、且つ容易に施工することができる。
【0015】
更に、積み重ねたユニットハウスPの下層側の配管用ソケット10から上層側の開口部20を通して床フレームP2を超える位置までスリーブ管30を設けることで、ユニットハウスPを上下連結する境界層の隙間から雨水が吹き込んだ場合でも、配管用ソケット10から室内への侵入を確実に防止することができる。
【0016】
また、配管用ソケット10や開口部20は、ボルト接合作業口として予め形成された複数の開口部20の中から任意に選択することができるので、配管位置を自由に選択することが可能になる。この結果、各ユニットハウスの内部構成に合わせた最適な配管施工ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(イ)~(ハ)は本発明のユニットハウスの組立状態を示す斜視図である。
図2】本発明のスリーブ管を開口部に固定した状態を示す斜視図である。
図3】本発明の配管用ソケットとスリーブ管とを示す縦断面図である。
図4】本発明の配管用ソケットを示す縦断面図である。
図5】本発明のボルト接合作業口としての開口部を示す要部斜視図である。
図6】本発明の開口部と蓋体とを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、積み重ねたユニットハウスPの室内に配管を施工する配管構造である。
【0019】
本発明のユニットハウスPは、バタフライ構造のユニットハウスPとする。すなわち、屋根フレームP1と、床フレームP2と、2枚の妻フレームP3とを備えている(図1(イ)参照)。そして、折り畳んだ状態(同図(ハ)参照)から屋根フレームP1を吊り上げることで(同図(イ)参照)、ユニットハウスが立設する(同図(ロ)参照)。積み重ねられたユニットハウスPは、連結ボルト40で上下のユニットハウスPを接合する簡易設計である(図5参照)。
【0020】
このユニットハウスPを積み重ねた状態で内部に縦配管Qを施工するために、本発明では配管用ソケット10と、開口部20と、スリーブ管30とを使用する(図3参照)。
【0021】
配管用ソケット10は、屋根フレームP1を貫通する部材である(図4参照)。図示例では、屋根フレームP1に開口した挿通孔に装着するネジ式のソケットで、屋根フレームP1に使用する鋼板P1aを上下から挟み込んだソケットオス11とソケットメス12とをネジ止めする。このとき、ソケットオス11とソケットメス12との間にコーキング材13とパッキン14を介してあり、配管用ソケット10の緩み止めと防水を施している。更に、この配管用ソケット10の下端部側面に内樋50を設けてある。
【0022】
開口部20は、配管用ソケット10の鉛直下方の床フレームP2に開口する部位である。これら配管用ソケット10と開口部20は、縦管Qを配するため、鉛直上下に配置している。また、これら配管用ソケット10と開口部20は、ユニットハウスP内部の任意の位置に配置可能である。
【0023】
図示の開口部20は、上下のユニットハウスPを連結する際に、室内側で連結ボルト40を連結する際のボルト接合作業口として予め形成されている開口部20を兼用している(図5参照)。この開口部20は、連結作業後、床面用の蓋体P2aで開口自在に施蓋される(図6参照)。更に、この開口部20の位置は、床フレームP2の四隅と床フレームP2の長手両側縁に沿った位置とに予め複数個所形成されている(図1(イ)参照)。配管用の開口部20は、これらのボルト接合作業口として形成された開口部20を適宜選択し、この開口部20の位置に合わせて配管用ソケット10を設置する。
【0024】
スリーブ管30は、配管用ソケット10と開口部20とに挿通する管部材で、このスリーブ管30に縦管Qを挿通する(図3参照)。図示例では、配管用ソケット10の内径に嵌合するスリーブ管30を使用している。一方、スリーブ管30を通した後の開口部20は、現地工事で塞いでスリーブ管30を床フレームP2と一体化する(図2参照)。
【0025】
積み重ねたユニットハウスPにスリーブ管30を挿通するには、下層側の配管用ソケット10から上層側の開口部20にかけてスリーブ管30を立ち上げることになる(図3参照)。図示のスリーブ管30は、上層側の床フレームP2を超える位置まで立ち上げている(図2参照)。すなわち、バタフライ構造のユニットハウスPを積み重ねた場合、境界部の防水処理は特に何も処置されないことになる。したがって、下層側の配管用ソケット10から上層側の開口部20にかけて立ち上げるスリーブ管30を上層側の床フレームP2を超える位置まで立ち上げると、暴風雨時でも雨が吹き込んでくるおそれは無くなる。また、境界部の防水環境により、スリーブ管30は、床フレームP2を超えない上層側の開口部20内まで立ち上げることも可能である(図示せず)。
【0026】
このスリーブ管30を通した縦配管Qにより、電気配線、給排水配管など各種の配線、配管工事を施工することができる。また、本発明は図示例に限定されるものではなく配管用ソケット10や開口部20の位置、スリーブ管30等の各構成や形状は任意に変更することができる。また、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更も自由である。
【符号の説明】
【0027】
P ユニットハウス
P1 屋根フレーム
P1a 鋼板
P2 床フレーム
P2a 蓋体
P3 妻フレーム
Q 縦配管
10 配管用ソケット
11 ソケットオス
12 ソケットメス
13 コーキング材
20 開口部
30 スリーブ管
40 連結ボルト
50 内樋
図1
図2
図3
図4
図5
図6