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特開2023-166808情報処理システム、情報処理装置、信号機制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166808
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、信号機制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/087 20060101AFI20231115BHJP
   G08G 1/017 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G08G1/087
G08G1/017
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077600
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】591139633
【氏名又は名称】東急株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】長束 晃一
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181JJ02
5H181JJ10
(57)【要約】
【課題】特定の車両が、信号機が設置されている場所を円滑に通行する。
【解決手段】撮像部300と、車両の走行を制御するための表示を行う信号機200と、情報処理装置100とを有し、情報処理装置100は、撮像部300が撮像した車両の画像に基づいて、車両が対象車両であるかどうかを判定し、判定した結果に基づいて、信号機200の表示動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、車両の走行を制御するための表示を行う信号機と、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
前記撮像部が撮像した前記車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果に基づいて、前記信号機の表示動作を制御する信号機制御部とを有する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記撮像部が撮像した車両の画像から、該車両の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記対象車両の特徴量をあらかじめ教師データとして記憶し、該対象車両の特徴量について機械学習を行なって学習モデルを生成する学習モデル生成部とを有し、
前記判定部は、前記特徴量算出部が算出した特徴量を前記学習モデルに入力して、該特徴量が抽出された車両が前記対象車両であるかどうかを示す情報を前記学習モデルから取得することで、該車両が前記対象車両であるかどうかを判定する情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記信号機制御部は、前記判定部が、前記特徴量が抽出された車両が前記対象車両であると判定した場合、前記信号機を、前記対象車両以外の車両が該対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記信号機制御部は、前記判定部が、前記特徴量が抽出された車両が前記対象車両であると判定してから所定の時間、前記信号機を、前記対象車両以外の車両が該対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する情報処理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記対象車両は、自動運転車両である情報処理システム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記撮像部は、片側交互通行を行う道路を走行する車両を撮像可能な位置に設置され、
前記信号機は、該道路を走行する車両から視認可能な位置に設置されている情報処理システム。
【請求項7】
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する信号機制御部とを有する情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置において、
前記撮像部が撮像した車両の画像から、該車両の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記対象車両の特徴量をあらかじめ教師データとして記憶し、該対象車両の特徴量について機械学習を行なって学習モデルを生成する学習モデル生成部とを有し、
前記判定部は、前記特徴量算出部が算出した特徴量を前記学習モデルに入力して、該特徴量が抽出された車両が前記対象車両であるかどうかを示す情報を前記学習モデルから取得することで、該車両が前記対象車両であるかどうかを判定する情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記信号機制御部は、前記判定部が、前記特徴量が抽出された車両が前記対象車両であると判定した場合、前記信号機を、前記対象車両以外の車両が該対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置において、
前記信号機制御部は、前記判定部が、前記特徴量が抽出された車両が前記対象車両であると判定してから所定の時間、前記信号機を、前記対象車両以外の車両が該対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する情報処理装置。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記対象車両は、自動運転車両である情報処理装置。
【請求項12】
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する処理と、
前記判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する処理とを行う信号機制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の信号機制御方法において、
前記撮像部が撮像した車両の画像から、該車両の特徴量を算出する処理と、
前記対象車両の特徴量をあらかじめ教師データとして記憶し、該対象車両の特徴量について機械学習を行なって学習モデルを生成する処理と、
前記算出した特徴量を前記学習モデルに入力して、該特徴量が抽出された車両が前記対象車両であるかどうかを示す情報を前記学習モデルから取得することで、該車両が前記対象車両であるかどうかを判定する処理とを行う信号機制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する手順と、
前記判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記撮像部が撮像した車両の画像から、該車両の特徴量を算出する手順と、
前記対象車両の特徴量をあらかじめ教師データとして記憶し、該対象車両の特徴量について機械学習を行なって学習モデルを生成する手順と、
前記算出した特徴量を前記学習モデルに入力して、該特徴量が抽出された車両が前記対象車両であるかどうかを示す情報を前記学習モデルから取得することで、該車両が前記対象車両であるかどうかを判定する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、信号機制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像部が撮像した車線を走行する交通量に基づいて、信号機の表示を切り替える技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、特定の車両の通行による信号機の制御方法については考えられていない。そのため、信号機が設置されている場所にて特定の車両が円滑に通行することができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、特定の車両が、信号機が設置されている場所を円滑に通行することができる情報処理システム、情報処理装置、信号機制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理システムは、
撮像部と、車両の走行を制御するための表示を行う信号機と、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
前記撮像部が撮像した前記車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果に基づいて、前記信号機の表示動作を制御する信号機制御部とを有する。
【0007】
また、本発明の情報処理装置は、
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する信号機制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の信号機制御方法は、
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する処理と、
前記判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
撮像部が撮像した車両の画像に基づいて、該車両が対象車両であるかどうかを判定する手順と、
前記判定した結果に基づいて、前記車両の走行を制御するための表示を行う信号機の表示動作を制御する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、特定の車両が、信号機が設置されている場所を円滑に通行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の情報処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した信号機および撮像部の設置の様子の一例を示す図である。
図3図1に示した情報処理装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
図4図3に示した学習モデルの入出力の一例を示す図である。
図5図1に示した情報処理システムにおける情報処理方法の一例を説明するためにフローチャートである。
図6】本発明の情報処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
図7図6に示した情報処理装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
図8図7に示したデータベースに記憶されている対応付けの一例を示す図である。
図9図6に示した情報処理システムにおける情報処理方法の一例を説明するためにフローチャートである。
図10図7に示したデータベースに記憶されている対応付けの他の例を示す図である。
図11図6に示した情報処理システムにおける情報処理方法の他の例を説明するためにフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の情報処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは図1に示すように、情報処理装置100と、信号機200と、撮像部300とを有する。情報処理装置100と、信号機200と、撮像部300とは互いに通信ネットワーク400を介して接続されている。情報処理装置100、信号機200および撮像部300のそれぞれと、通信ネットワーク400との接続は、無線通信を介するものであっても良いし、有線通信を介するものであっても良い。また、情報処理装置100、信号機200および撮像部300のそれぞれが、互いに通信可能に直接接続されているものであっても良い。なお、信号機200および撮像部300のそれぞれは1台に限らず、複数であっても良い。信号機200の数と撮像部300の数とは、互いに異なるものでも良いが、信号機200と撮像部300とが、互いに対応付けられている。
【0014】
信号機200は、車両の走行を制御するための表示を行う。信号機200は、例えば一般的な信号機のように青色および赤色のランプを具備し、車両に走行を許可する場合に青色のランプを点灯し、車両に走行を禁止する場合に赤色のランプを点灯するものでも良い。信号機200は、通信ネットワーク400を介して情報処理装置100から送信されてきた指示信号に基づいて表示を行う。
【0015】
撮像部300は、道路を走行している車両を撮像する。撮像部300は、道路を走行している車両をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、継続的に撮像を行う動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像部300は、撮像した画像を示す画像データを、通信ネットワーク400を介して情報処理装置100へ送信する。撮像部300が撮像した画像を示す画像データを情報処理装置100へ送信するタイミングは、撮像部300が車両を撮像してから、その画像を示す画像データを情報処理装置100へ送信するまでの時間ができるだけ短いものが好ましい。
【0016】
図2は、図1に示した信号機200および撮像部300の設置の様子の一例を示す図である。図2に示した例では、2つの信号機200-1,200-2と、2つの撮像部300-1,300-2とが設置されている場合を示している。撮像部300-1,300-2それぞれは、片側交互通行を行う道路を互いに対向する方向に走行している車両をそれぞれ撮像できるように設置されている。例えば、図2に示すように、撮像部300-1は、図2の左方向から右方向へ走行している対象車両500を撮像できる位置に設置されている。一方、撮像部300-2は、図2の右方向から左方向へ走行している一般車両600を撮像できる位置に設置されている。信号機200-1,200-2それぞれは、片側交互通行を行う道路を互いに対向する方向に走行している車両の走行許可または停止(走行禁止)を、当該車両から視認可能な位置に設置されている。なお、信号機200は、図2に示したような片側交互通行を行う道路だけではなく、一般的な交差点においても、一方の車両が他方の車両の走行を妨げないような表示を行うような位置に設置されていても良い。その場合、撮像部300は、交差点へ向かって走行している車両を撮像できる位置に設置される。
【0017】
図3は、図1に示した情報処理装置100に具備された構成要素の一例を示す図である。図1に示した情報処理装置100は図3に示すように、判定部110と、信号機制御部120と、特徴量算出部130と、学習モデル生成部140と、学習モデル150とを有する。なお、図3には、図1に示した情報処理装置100が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。学習モデル生成部140および学習モデル150は、情報処理装置100の外部に設けられていても良い。
【0018】
特徴量算出部130は、撮像部300が撮像して送信されてきた車両の画像から特徴量を抽出する。特徴量算出部130が行う特徴量の算出方法は、対象の特徴を数値化した値を画像から抽出する一般的な方法で良く、特に限定しない。特徴量算出部130は、算出(抽出)した特徴量を判定部110へ出力する。
【0019】
学習モデル生成部140は、対象車両の特徴量をあらかじめ教師データとして記憶し、対象車両の特徴量について機械学習を行なって学習モデル150を生成する。ここで、対象車両は対象となる車両であって、本形態においては自動運転車両等の他の車両よりも優先して道路を走行する車両である。学習モデル生成部140は、機械学習のいわゆる訓練フェーズで用いられる。
【0020】
学習モデル150は、学習モデル生成部140が生成した学習モデルである。学習モデル150は、学習モデル生成部140が生成した教師データを用いて、特徴量に応じた車両情報を出力する。学習モデル150は、例えば、複数のニューロンが相互に結合したニューラルネットワークの構造を有していても良い。ニューロンは、複数の入力に対して所定の演算を行い、演算結果として1つの値を出力する素子である。学習モデル150は、記憶部(不図示)に記憶されている。学習モデル150における学習方法は、学習モデルを生成する一般的な方法を用いるもので良い。図4は、図3に示した学習モデル150の入出力の一例を示す図である。図3に示した学習モデル150は図4に示すように、特徴量が入力されると、特徴量が抽出された車両が対象車両であるかどうかを示す車両情報が出力される学習モデルである。
【0021】
判定部110は、特徴量算出部130から出力されてきた特徴量を、対象車両を学習済みの学習モデル150に入力する。そして、判定部110は、特徴量が抽出された車両が対象車両であるかどうかを学習モデル150から取得することで、撮像部300が撮像した車両が対象車両であるかどうかを判定する。
【0022】
信号機制御部120は、判定部110が判定した結果に基づいて、信号機200の表示動作を制御する。信号機制御部120は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する。例えば、信号機制御部120は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、対象車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示が青色になるように、また、対象車両の走行を妨げる方向から走行してくる車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示を赤色に制御する。信号機制御部120は、信号機200を制御する際、所定の制御信号を信号機200へ送信する。この制御信号は、信号機制御部120と信号機200との間で、その制御内容が認識できる信号であれば良く、特に規定しない。
【0023】
以下に、図1に示した情報処理システムにおける情報処理方法について説明する。図5は、図1に示した情報処理システムにおける情報処理方法の一例を説明するためにフローチャートである。
【0024】
撮像部300が車両を撮像すると(ステップS1)、撮像した画像を示す画像データを撮像部300が通信ネットワーク400を介して情報処理装置100へ送信する。撮像部300から画像データが送信されてくると、特徴量算出部130が、送信されてきた画像データが示す画像から特徴量を算出(抽出)する(ステップS2)。特徴量算出部130は算出した特徴量を判定部110へ出力する。すると、判定部110は、特徴量算出部130から出力されてきた特徴量を学習モデル150に入力する(ステップS3)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものであるかどうかを判定部110は判定する(ステップS4)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものである場合、信号機制御部120は、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を行うように制御する(ステップS5)。具体的には、信号機制御部120は、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を行うように信号機200を制御するための制御信号を信号機200へ送信し、信号機200は送信されてきた制御信号に従って、表示を制御する。
【0025】
このように本形態においては、走行する車両を撮像部300が撮像し、情報処理装置100が、撮像した画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量に基づいて、当該車両が対象車両であるかどうかを判定する。判定の結果、対象車両である場合、情報処理装置100が信号機200の表示を制御する。例えば、図2に示した例では、情報処理装置100が、撮像部300-1が撮像した車両が対象車両500であると判定すると、信号機200-1に走行を許可する表示をさせ、信号機200-2に走行を禁止する表示をさせる。これにより、特定の車両が、信号機が設置されている場所を円滑に通行することができる。
(第2の実施の形態)
【0026】
図6は、本発明の情報処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは図6に示すように、情報処理装置101と、信号機200と、撮像部300とを有する。情報処理装置101と、信号機200と、撮像部300とは互いに通信ネットワーク400を介して接続されている。情報処理装置101、信号機200および撮像部300のそれぞれと、通信ネットワーク400との接続は、無線通信を介するものであっても良いし、有線通信を介するものであっても良い。また、情報処理装置101、信号機200および撮像部300のそれぞれが、互いに通信可能に直接接続されているものであっても良い。信号機200および撮像部300のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0027】
図7は、図6に示した情報処理装置101に具備された構成要素の一例を示す図である。図6に示した情報処理装置101は図7に示すように、判定部110と、信号機制御部121と、特徴量算出部130と、学習モデル生成部140と、学習モデル150と、データベース161とを有する。なお、図7には、図6に示した情報処理装置101が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。判定部110、特徴量算出部130、学習モデル生成部140および学習モデル150のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0028】
データベース161は、信号機制御部121が信号機200を制御する時間をあらかじめ記憶する。例えば、データベース161は、信号機200が設置されている場所と、信号機制御部121が信号機200を制御する時間とを対応付けて記憶する。また、データベース161は、時間帯と、信号機制御部121が信号機200を制御する時間とを対応付けて記憶する。また、データベース161は、特徴量算出部130が抽出した特徴量に基づいて学習モデル150が判定した対象車両の種類と、信号機制御部121が信号機200を制御する時間とを対応付けて記憶するものでも良い。データベース161に記憶されている対応付けは、外部から編集可能である。
【0029】
図8は、図7に示したデータベース161に記憶されている対応付けの一例を示す図である。図8に示した例では、図7に示したデータベース161に場所と制御時間とが対応付けられて記憶されている。場所は、信号機200が設置されている場所を示す場所識別情報である。場所識別情報は、信号機200を制御するための画像を撮像する撮像部300にあらかじめ記憶されており、撮像部300が撮像した画像を示す画像データを情報処理装置101へ送信する際に、画像データとともに送信される情報である。場所識別情報は、場所を識別できる情報であれば良く、アルファベットや数字の組み合わせでも良い。また、ある領域内に設置されている信号機200(または撮像部300)で互いに同じ場所識別情報を共通して用いても良い。制御時間は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定してから信号機制御部121が信号機200を制御する時間を示す情報である。
【0030】
図8に示すように、データベース161に場所「A」と制御時間「30秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、「A」の場所識別情報とともに送信されてきた画像データについて、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「30秒間」行うように制御することを示している。また、データベース161に場所「B」と制御時間「1分間」とが対応付けられて記憶されている。これは、「B」の場所識別情報とともに送信されてきた画像データについて、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「1分間」行うように制御することを示している。また、データベース161に場所「C」と制御時間「40秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、「C」の場所識別情報とともに送信されてきた画像データについて、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「40秒間」行うように制御することを示している。また、データベース161に場所「D」と制御時間「50秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、「D」の場所識別情報とともに送信されてきた画像データについて、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「50秒間」行うように制御することを示している。
【0031】
信号機制御部121は、判定部110が判定した結果に基づいて、信号機200の表示動作を制御する。信号機制御部121は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、当該画像データとともに送信されてきた場所識別情報に基づいて、データベース161から制御時間を読み出し、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように制御する。例えば、信号機制御部121は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、当該画像データとともに送信されてきた場所識別情報を検索キーとして、当該場所識別情報と対応付けられている制御時間をデータベース161から読み出し、対象車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示がその制御時間、青色になるように、また、対象車両の走行を妨げる方向から走行してくる車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示をその制御時間、赤色に制御する。信号機制御部121は、信号機200を制御する際、所定の制御信号を信号機200へ送信する。この制御信号は、信号機制御部121と信号機200との間で、その制御内容が認識できる信号であれば良く、特に規定しない。
【0032】
以下に、図6に示した情報処理システムにおける情報処理方法について説明する。図9は、図6に示した情報処理システムにおける情報処理方法の一例を説明するためにフローチャートである。ここでは、図7に示したデータベース161に、図8に示した対応付けが記憶されている場合を例に挙げて説明する。
【0033】
撮像部300が車両を撮像すると(ステップS11)、撮像した画像を示す画像データを撮像部300が通信ネットワーク400を介して情報処理装置101へ送信する。このとき、撮像部300は、撮像部300にあらかじめ設定(記憶)されてる場所識別情報を画像データとともに情報処理装置101へ送信する。撮像部300から画像データが送信されてくると、特徴量算出部130が、送信されてきた画像データが示す画像から特徴量を算出(抽出)する(ステップS12)。特徴量算出部130は算出した特徴量を判定部110へ出力する。すると、判定部110は、特徴量算出部130から出力されてきた特徴量を学習モデル150に入力する(ステップS13)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものであるかどうかを判定部110は判定する(ステップS14)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものである場合、信号機制御部121は、当該画像データとともに送信されてきた場所識別情報に基づいて、データベース161から制御時間を読み出す(ステップS15)。続いて、信号機制御部121は、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように制御する(ステップS16)。具体的には、信号機制御部121は、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように信号機200を制御するための制御信号を信号機200へ送信し、信号機200は送信されてきた制御信号に従って、表示を制御する。
【0034】
図10は、図7に示したデータベース161に記憶されている対応付けの他の例を示す図である。図10に示した例では、図7に示したデータベース161に時間帯と制御時間とが対応付けられて記憶されている。時間帯は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が含まれる時間帯を示す時間帯情報である。制御時間は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定してから信号機制御部121が信号機200を制御する時間を示す情報である。
【0035】
図10に示すように、データベース161に時間帯「0:00~5:00」と制御時間「1分間」とが対応付けられて記憶されている。これは、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が時間帯「0:00~5:00」に含まれる場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「1分間」行うように制御することを示している。また、データベース161に時間帯「5:00~10:00」と制御時間「30秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が時間帯「5:00~10:00」に含まれる場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「30秒間」行うように制御することを示している。また、データベース161に時間帯「10:00~16:00」と制御時間「50秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が時間帯「10:00~16:00」に含まれる場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「50秒間」行うように制御することを示している。また、データベース161に時間帯「16:00~20:00」と制御時間「30秒間」とが対応付けられて記憶されている。これは、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が時間帯「16:00~20:00」に含まれる場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「30秒間」行うように制御することを示している。また、データベース161に時間帯「20:00~0:00」と制御時間「1分間」とが対応付けられて記憶されている。これは、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した時刻が時間帯「20:00~0:00」に含まれる場合、信号機制御部121が、信号機200を対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示を「1分間」行うように制御することを示している。
【0036】
信号機制御部121は、判定部110が判定した結果に基づいて、信号機200の表示動作を制御する。信号機制御部121は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、その判定した時刻に基づいて、データベース161から制御時間を読み出し、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように制御する。例えば、信号機制御部121は、判定部110が、特徴量が抽出された車両が対象車両であると判定した場合、その判定した時刻が含まれる時間帯を検索キーとして、当該時間帯と対応付けられている制御時間をデータベース161から読み出し、対象車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示がその制御時間、青色になるように、また、対象車両の走行を妨げる方向から走行してくる車両から視認可能な位置に設置されている信号機200の表示をその制御時間、赤色に制御する。信号機制御部121は、信号機200を制御する際、所定の制御信号を信号機200へ送信する。この制御信号は、信号機制御部121と信号機200との間で、その制御内容が認識できる信号であれば良く、特に規定しない。
【0037】
図11は、図6に示した情報処理システムにおける情報処理方法の他の例を説明するためにフローチャートである。ここでは、図7に示したデータベース161に、図10に示した対応付けが記憶されている場合を例に挙げて説明する。
【0038】
撮像部300が車両を撮像すると(ステップS21)、撮像した画像を示す画像データを撮像部300が通信ネットワーク400を介して情報処理装置101へ送信する。撮像部300から画像データが送信されてくると、特徴量算出部130が、送信されてきた画像データが示す画像から特徴量を算出(抽出)する(ステップS22)。特徴量算出部130は算出した特徴量を判定部110へ出力する。すると、判定部110は、特徴量算出部130から出力されてきた特徴量を学習モデル150に入力する(ステップS23)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものであるかどうかを判定部110は判定する(ステップS24)。学習モデル150から出力された車両情報が、対象車両を示すものである場合、現在の時刻が含まれる時間帯に基づいて、データベース161から制御時間を読み出す(ステップS25)。続いて、信号機制御部121は、信号機200を、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように制御する(ステップS26)。具体的には、信号機制御部121は、対象車両以外の車両がその対象車両の走行を妨げないような表示をその制御時間、行うように信号機200を制御するための制御信号を信号機200へ送信し、信号機200は送信されてきた制御信号に従って、表示を制御する。
【0039】
このように本形態においては、走行する車両を撮像部300が撮像し、撮像した画像から情報処理装置101が特徴量を抽出し、抽出した特徴量に基づいて、当該車両が対象車両であるかどうかを判定し、対象車両である場合、信号機200の表示を制御する。例えば、図2に示した例では、情報処理装置100が、撮像部300-1が撮像した車両が対象車両500であると判定すると、信号機200-1に走行を許可する表示をさせ、信号機200-2に走行を禁止する表示をさせる。これにより、特定の車両が、信号機が設置されている場所を円滑に通行することができる。さらに、情報処理装置101は、信号機200の表示を制御する時間を指定する。情報処理装置101は、信号機200が設置されている場所や時間帯に応じた制御時間を指定する。これにより、特定の車両が、信号機が設置されている場所を、場所や時間帯に応じた適切な時間で円滑に通行することができる。
【0040】
なお、信号機200が設置されている場所や時間帯のほかに、対象車両の種類に応じて制御時間が特定されても良い。この場合、学習モデル生成部140が学習モデル150に複数種類の対象車両の特徴量を学習させ、判定部110が学習モデル150に入力した特徴量に対して学習モデル150から出力された対象車両の種類を用いて判定を行う。データベース161には、対象車両の種類ごとに制御時間を記憶させておき、信号機制御部121は、判定部110が学習モデル150を用いて判定した対象車両の種類に基づいて、データベース161から制御時間を読み出して、上述したように信号機200を制御する。こうすることで、特定の車両が、信号機が設置されている場所を、その車両の種類に応じた適切な時間で円滑に通行することができる。
【0041】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、上述した実施の形態を組み合わせても良い。
【0042】
上述した各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を各構成要素を具備した装置(例えば、情報処理装置100,101。以下、情報処理装置と称する)にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDメモリカードなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0043】
100,101 情報処理装置
110 判定部
120,121 信号機制御部
130 特徴量算出部
140 学習モデル生成部
150 学習モデル
161 データベース
200,200-1,200-2 信号機
300,300-1,300-2 撮像部
400 通信ネットワーク
500 対象車両
600 一般車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11