(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166809
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、車両、遠隔運転制御方法、運転制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231115BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231115BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231115BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20231115BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231115BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231115BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20231115BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 V
G08G1/00 X
B60W30/09
G05D1/02 P
G16Y10/40
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077601
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】591139633
【氏名又は名称】東急株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】長束 晃一
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D241BA33
3D241CD07
3D241CE02
3D241CE05
3D241DC33Z
5H181AA06
5H181AA14
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181MC19
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG09
5H301KK08
5H301KK18
5H301LL01
5H301LL03
5H301LL08
5H301LL12
(57)【要約】
【課題】遠隔で制御される車両の安全な走行を行う。
【解決手段】車両100と情報処理装置200とを有し、車両100は、センサが障害物を検知した場合、検知信号を情報処理装置200へ送信し、情報処理装置200から送信されてきた指示信号に基づいて、当該車両100の走行を制御し、情報処理装置200は、外部からの操作に基づいて、車両100へ指示信号を送信し、車両100から検知信号が送信されてきた場合、指示信号の送信を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、情報処理装置とを有し、
前記車両は、
センサと、
前記センサが障害物を検知した場合、検知信号を前記情報処理装置へ送信する検知信号送信部と、
前記情報処理装置から送信されてきた指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記情報処理装置は、
外部からの操作に基づいて、前記車両へ前記指示信号を送信する指示信号送信部と、
前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号送信部からの前記指示信号の送信を制御する送信制御部とを有する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記送信制御部は、前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両を走行させる指示を示す前記指示信号の送信を停止する情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記送信制御部は、前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両の走行速度を上げる指示を示す前記指示信号の送信を停止する情報処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記送信制御部は、前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両の走行速度を維持する指示を示す前記指示信号の送信を停止する情報処理システム。
【請求項5】
車両と、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
外部からの操作に基づいて、前記車両へ指示信号を送信する指示信号送信部を有し、
前記車両は、
センサと、
前記情報処理装置から送信されてきた指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を上げる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する情報処理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を維持する指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する情報処理システム。
【請求項8】
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する指示信号送信部と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号送信部からの前記指示信号の送信を制御する送信制御部とを有する情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記送信制御部は、前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両を走行させる指示を示す前記指示信号の送信を停止する情報処理装置。
【請求項10】
車両であって、
センサと、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する車両。
【請求項11】
請求項10に記載の車両において、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を上げる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する車両。
【請求項12】
請求項10に記載の車両において、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を維持する指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する車両。
【請求項13】
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する処理と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号の送信を制御する処理とを行う遠隔運転制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の遠隔運転制御方法において、
前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両を走行させる指示を示す前記指示信号の送信を停止する処理を行う遠隔運転制御方法。
【請求項15】
車両の運転を制御する運転制御方法であって、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する処理と、
センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する処理とを行う運転制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の運転制御方法において、
前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を上げる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する処理とを行う運転制御方法。
【請求項17】
コンピュータに、
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する手順と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号の送信を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムにおいて、
前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記車両を走行させる指示を示す前記指示信号の送信を停止する手順を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
車両に搭載されたコンピュータに、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する手順と、
センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムにおいて、
前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両の走行速度を上げる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、遠隔運転制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両の走行実験が様々なところで行われている。自動運転車両(無人運転車両)には、運転者は乗車せず、自律または遠隔操作により走行している。このような無人運転車両において、異常による走行停止状態が発生した時、当該車両の位置と遠隔操作する位置とに応じて、遠隔操作の権限を与える技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術において、車両と遠隔操作との位置によっては、車両の走行を遠隔で操作できる。例えば、車両の走行停止の原因が障害物の存在である場合、遠隔操作で車両を走行させてしまうと、車両が障害物に衝突してしまい、安全な走行を行うことができないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、遠隔で制御される車両の安全な走行を行うことができる情報処理システム、情報処理装置、遠隔運転制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理システムは、
車両と、情報処理装置とを有し、
前記車両は、
センサと、
前記センサが障害物を検知した場合、検知信号を前記情報処理装置へ送信する検知信号送信部と、
前記情報処理装置から送信されてきた指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記情報処理装置は、
外部からの操作に基づいて、前記車両へ前記指示信号を送信する指示信号送信部と、
前記車両から前記検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号送信部からの前記指示信号の送信を制御する送信制御部とを有する。
【0007】
また、本発明の情報処理システムは、
車両と、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
外部からの操作に基づいて、前記車両へ指示信号を送信する指示信号送信部を有し、
前記車両は、
センサと、
前記情報処理装置から送信されてきた指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する。
【0008】
また、本発明の情報処理装置は、
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する指示信号送信部と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号送信部からの前記指示信号の送信を制御する送信制御部とを有する。
【0009】
また、本発明の車両は、
センサと、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する走行制御部とを有し、
前記走行制御部は、前記センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する。
【0010】
また、本発明の遠隔運転制御方法は、
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する処理と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号の送信を制御する処理とを行う。
【0011】
また、本発明の運転制御方法は、
車両の運転を制御する運転制御方法であって、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する処理と、
センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する処理とを行う。
【0012】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
外部からの操作に基づいて、車両の走行を制御するための指示信号を該車両へ送信する手順と、
前記車両から障害を検知した旨を示す検知信号が送信されてきた場合、前記指示信号の送信を制御する手順とを実行させる。
【0013】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
車両に搭載されたコンピュータに、
情報処理装置から送信されてきた当該車両の走行を指示する指示信号に基づいて、当該車両の走行を制御する手順と、
センサが障害物を検知した場合、前記指示信号のうち当該車両を走行させる指示を示す前記指示信号に基づいた制御を禁止する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、遠隔で制御される車両の安全な走行を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の情報処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した車両に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した情報処理装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示したデータベースに記憶された対応付けの一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】本発明の情報処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図7】
図6に示した車両に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図8】
図6に示した情報処理装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図9】
図6に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0017】
図1は、本発明の情報処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図1に示すように、車両100と、情報処理装置200とを有する。車両100と、情報処理装置200とは互いに通信ネットワーク300を介して接続されている。車両100および情報処理装置200と、通信ネットワーク300との接続は、無線通信を介するものであっても良いし、有線通信を介するものであっても良い。また、車両100と情報処理装置200とが、互いに通信可能に直接接続されているものであっても良い。なお、車両100は1台に限らず、複数であっても良い。
【0018】
車両100は、運転手が乗車せずに情報処理装置200からの操作に基づいて走行する遠隔運転が可能な車両である。車両100は、例えば、道路を走行するバスやタクシー等、本システムを利用する利用者を運搬する車両である。
【0019】
情報処理装置200は、例えば、本システム全体を管理・制御するコントロールセンター等の施設に設置される装置である。また、情報処理装置200は、本システムを管理・監視する管理者や運用する運用者が操作する装置である。
【0020】
図2は、
図1に示した車両100に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した車両100は
図2に示すように、センサ110と、検知信号送信部120と、走行制御部130とを有する。なお、
図2には、
図1に示した車両100が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0021】
センサ110は、車両100周辺の障害物を検知する。センサ110は車両100に取り付けられているが、取り付け位置については、規定しない。センサ110は、車両100周辺の様子を撮像するカメラであっても良いし、レーザ光の送信および受信を用いたものや、電磁波や超音波を用いて障害物を検知するものであっても良い。センサ110は、障害物から受けた衝撃の強度を示す衝撃度を検知するものであっても良いし、障害物のサイズや、車両100から障害物までの距離を検知するものであっても良い。ここで、障害物とは、車両100の走行に障害となる物体であって、固定されている物に限らず、移動する物も含まれる。また、障害物には、車両100を利用する利用者の安全性を妨げるおそれがあるものも含まれる。また、センサ110は、障害物を検知した場合、検知した旨を検知信号送信部120へ通知する。センサ110は、障害物を検知している間、検知した旨を継続して検知信号送信部120へ通知する。
【0022】
検知信号送信部120は、センサ110から障害物を検知した旨が通知されると、所定の検知信号を情報処理装置200へ送信する。検知信号送信部120が送信する検知信号は、検知信号送信部120と、情報処理装置200との間で、センサ110が障害物を検知した旨を示すものであることを認識できるものであれば良く、その信号形式や通信方式は特に規定しない。また、検知信号が、検知した障害の内容や検知の内容、例えば、衝撃度または障害物のサイズまたは障害物までの距離等を示す情報を含むものでも良い。
【0023】
走行制御部130は、車両100の走行を制御する。走行制御部130は、情報処理装置200から送信されてきた指示信号に基づいて、車両100の走行を制御する。指示信号の詳細は、後述する。
【0024】
また、
図2に図示していないが、車両100は、カメラを具備していても良い。このカメラは、一般的な車両の運転席からの視界の範囲を撮像するものであり、撮像した画像を示す画像データをリアルタイムで情報処理装置200へ送信する。また、車両100は、車両100の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を具備していても良い。この位置情報取得手段は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を利用して車両100の位置情報を取得する。位置情報取得手段は、取得した位置情報を情報処理装置200へ送信する。
【0025】
図3は、
図1に示した情報処理装置200に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した情報処理装置200は
図3に示すように、操作受付部210と、データベース220と、指示信号送信部230と、送信制御部240とを有する。なお、
図3には、
図1に示した情報処理装置200が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0026】
操作受付部210は、外部からの操作を受け付ける。操作受付部210は、操作ボタンやタッチパネル等の操作パネル、キーボード、マウス等の情報を入力可能な手段である。操作受付部210は、受け付けた操作を指示信号送信部230へ通知する。例えば、操作受付部210が操作ボタンである場合、どの操作ボタンが選択されたかを指示信号送信部230へ通知する。その場合、操作受付部210は、操作ボタンそれぞれ個別にあらかじめ付与されている操作ボタン識別情報のうち、選択された操作ボタンに付与されている操作ボタン識別情報を指示信号送信部230へ出力する。
【0027】
データベース220は、操作受付部210が受け付ける操作と、指示信号送信部230が車両に指示する内容とをあらかじめ対応付けて記憶する。
図4は、
図3に示したデータベース220に記憶された対応付けの一例を示す図である。
図4に示した例は、操作受付部210が操作ボタンである場合を例に挙げている。
図4に示した例では
図3に示したデータベース220には、操作ボタンを示す情報と指示内容を示す情報とがあらかじめ対応付けられて記憶されている。操作ボタンは、操作受付部210として設けられた複数の操作ボタンそれぞれを識別する操作ボタン識別情報である。操作ボタン識別情報は、操作受付部210として設けられた複数の操作ボタンそれぞれにあらかじめ付与されており、操作ボタンが操作された際に、操作受付部210から指示信号送信部230へ出力される情報である。操作ボタン識別情報は、操作ボタンを識別できる情報であれば良く、アルファベットや数字の組み合わせでも良い。指示内容は、指示信号送信部230が車両100へ送信する指示信号に含まれる指示の内容を示す情報である。
【0028】
図4に示すように、データベース220に操作ボタン「A」と指示内容「加速」とが対応付けられて記憶されている。これは、「A」の操作ボタン識別情報が操作受付部210から指示信号送信部230へ出力されてきた場合、指示信号送信部230が車両100に対して「加速」を指示することを示している。また、データベース220に操作ボタン「B」と指示内容「減速」とが対応付けられて記憶されている。これは、「B」の操作ボタン識別情報が操作受付部210から指示信号送信部230へ出力されてきた場合、指示信号送信部230が車両100に対して「減速」を指示することを示している。また、データベース220に操作ボタン「C」と指示内容「走行維持」とが対応付けられて記憶されている。これは、「C」の操作ボタン識別情報が操作受付部210から指示信号送信部230へ出力されてきた場合、指示信号送信部230が車両100に対して「走行維持」を指示することを示している。また、データベース220に操作ボタン「D」と指示内容「停止」とが対応付けられて記憶されている。これは、「D」の操作ボタン識別情報が操作受付部210から指示信号送信部230へ出力されてきた場合、指示信号送信部230が車両100に対して「停止」を指示することを示している。指示内容としては、
図4に示したもののほか、「急停止」、「徐行」、「右方向指示器作動」、「左方向指示器作動」、「非常点滅表示灯作動」等、一般的な車両の運転時に行う操作が挙げられる。
【0029】
指示信号送信部230は、操作受付部210からの通知に基づいて、車両100へ指示信号を送信する。具体的には、指示信号送信部230は、操作受付部210から出力されてきた操作ボタン識別情報と対応付けられている指示内容をデータベース220から読み出し、読み出した指示内容を示す指示信号を車両100へ送信する。
【0030】
送信制御部240は、車両100から検知信号が送信されてきた場合、指示信号送信部230からの指示信号の送信を制御する。具体的には、送信制御部240は、車両100から検知信号が送信されてきた場合、車両100を走行させる指示を示す指示信号の指示信号送信部230からの送信を停止する。車両100から検知信号が送信されてくるということは、車両100周辺に障害物が検知されたということである。その場合、車両100をそのまま走行させることは危険を伴うおそれがあるため、車両100の走行を停止させる必要がある。例えば、送信制御部240は、車両100から検知信号が送信されてきた場合、車両100の走行速度を上げる指示を示す指示信号の指示信号送信部230からの送信を停止する。また、送信制御部240は、車両100から検知信号が送信されてきた場合、車両100の走行速度を維持する指示を示す指示信号の指示信号送信部230からの送信を停止する。
【0031】
また、情報処理装置200は、車両100から画像データが送信されてきた場合、モニタに当該画像データを表示する。また、情報処理装置200は、車両100から位置情報が送信されてきた場合、モニタに当該位置情報を示す位置を表示する。このモニタは、情報処理装置200の内部に設けられていても良いし、情報処理装置200の外部に設けられていても良い。
【0032】
以下に、
図1に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法について説明する。
図5は、
図1に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0033】
情報処理装置200の操作受付部210が外部からの操作を受け付けると(ステップS1)、操作受付部210が当該操作を識別するための識別情報(例えば、上述した操作ボタン識別情報)を指示信号送信部230へ出力する。指示信号送信部230は、操作受付部210から出力されてきた識別情報を検索キーとして、当該識別情報と対応付けられている指示内容をデータベース220から読み出す(ステップS2)。指示信号送信部230はデータベース220から読み出した指示内容を示す指示信号を車両100へ送信する(ステップS3)。指示信号の送信は、操作受付部210が受け付けた操作が変更されない限り、所定の周期で継続される。情報処理装置200から指示信号が送信されてくると、車両100の走行制御部130は、送信されてきた指示信号が示す指示内容に従って車両100の走行を制御する(ステップS4)。
【0034】
また、センサ110が障害物を検知したかどうかを判定する(ステップS5)。この判定処理は、常時行われている。センサ110が障害物を検知すると、センサ110は、障害物を検知した旨を検知信号送信部120へ通知する。すると、検知信号送信部120は、検知信号を情報処理装置200へ送信する(ステップS6)。検知信号が検知信号送信部120から送信されてくると、情報処理装置200の送信制御部240は、指示信号送信部230からの指示信号の送信を制御(停止)する(ステップS7)。
【0035】
なお、検知信号が検知信号送信部120から送信されてきた場合、送信制御部240が指示信号の送信を停止するだけではなく、車両100の走行を停止させるまたは減速させる指示内容を示す指示信号を車両100へ送信しても良い。また、走行制御部130は、所定の時間、指示信号送信部230から指示信号が送信されてこない場合、車両100の走行を停止しても良い。
【0036】
このように、本形態においては、車両100の走行を遠隔で制御する情報処理装置200が、外部から受け付けた操作に基づいて車両100の走行を制御する指示信号を車両100へ送信し、車両100が指示信号に従って走行している場合、車両100に搭載されたセンサ110が車両100の周辺に障害物を検知すると、検知信号を情報処理装置200へ送信し、検知信号を受信した情報処理装置200が指示信号の送信を停止する。これにより、遠隔で制御される車両の安全な走行を行うことができる。
(第2の実施の形態)
【0037】
図6は、本発明の情報処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理システムは
図6に示すように、車両101と、情報処理装置201とを有する。車両101と、情報処理装置201とは互いに通信ネットワーク300を介して接続されている。車両101および情報処理装置201と、通信ネットワーク300との接続は、無線通信を介するものであっても良いし、有線通信を介するものであっても良い。また、車両101と情報処理装置201とが、互いに通信可能に直接接続されているものであっても良い。なお、車両101は1台に限らず、複数であっても良い。
【0038】
車両101は、運転手が乗車せずに情報処理装置201からの操作に基づいて走行する遠隔運転が可能な車両である。車両101は、例えば、道路を走行するバスやタクシー等、本システムを利用する利用者を運搬する車両である。
【0039】
情報処理装置201は、例えば、本システム全体を管理・制御するコントロールセンター等の施設に設置される装置である。また、情報処理装置201は、本システムを管理・監視する管理者や運用する運用者が操作する装置である。
【0040】
図7は、
図6に示した車両101に具備された構成要素の一例を示す図である。
図6に示した車両101は
図7に示すように、センサ110と、走行制御部131とを有する。なお、
図7には、
図6に示した車両101が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。センサ110は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。センサ110は、障害物を検知した場合、検知した旨を走行制御部131へ通知する。センサ110は、障害物を検知している間、検知した旨を継続して検知信号送信部120へ通知する。
【0041】
走行制御部131は、車両101の走行を操作する。走行制御部131は、情報処理装置201から送信されてきた指示信号に基づいて、車両101の走行を制御する。指示信号の詳細は、第1の実施の形態と同じである。走行制御部131は、センサ110から障害を検知した旨が通知されると、指示信号のうち当該車両101を走行させる指示を示す指示信号に基づいた制御を禁止する。具体的には、例えば、走行制御部131は、センサ110から障害物を検知した旨が通知されると、指示信号のうち当該車両101の走行速度を上げる指示を示す指示信号に基づいた制御を禁止する。このとき、走行制御部131は、車両101の走行を停止しても良い。また、走行制御部131は、センサ110から障害物を検知した旨が通知されると、指示信号のうち当該車両の走行速度を維持する指示を示す指示信号に基づいた制御を禁止する。このとき、走行制御部131は、車両101の走行を停止しても良い。センサ110から障害を検知した旨が通知されるということは、車両101周辺に障害物が検知されたということである。その場合、車両101をそのまま走行させることは危険を伴うおそれがあるため、車両101の走行を続行させてはいけない。そこで、走行制御部131は、センサ110から障害を検知した旨が通知されると、指示信号のうち当該車両101を走行させる指示を示す指示信号に基づいた制御を禁止する。
【0042】
また、
図7に図示していないが、車両101は、カメラを具備していても良い。このカメラは、一般的な車両の運転席からの視界の範囲を撮像するものであり、撮像した画像を示す画像データをリアルタイムで情報処理装置201へ送信する。また、車両101は、車両101の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を具備していても良い。この位置情報取得手段は、例えば、GPS機能を利用して車両101の位置情報を取得する。位置情報取得手段は、取得した位置情報を情報処理装置201へ送信する。
【0043】
図8は、
図6に示した情報処理装置201に具備された構成要素の一例を示す図である。
図6に示した情報処理装置201は
図8に示すように、操作受付部210と、データベース220と、指示信号送信部230とを有する。なお、
図8には、
図6に示した情報処理装置201が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。操作受付部210、データベース220および指示信号送信部230それぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。本形態における情報処理装置201は、第1の実施の形態における情報処理装置200に設けられた送信制御部240が設けられていない。
【0044】
また、情報処理装置201は、車両101から画像データが送信されてきた場合、モニタに当該画像データを表示する。また、情報処理装置201は、車両101から位置情報が送信されてきた場合、モニタに当該位置情報を示す位置を表示する。このモニタは、情報処理装置201の内部に設けられていても良いし、情報処理装置201の外部に設けられていても良い。
【0045】
以下に、
図6に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法について説明する。
図9は、
図6に示した情報処理システムにおける遠隔運転制御方法の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0046】
情報処理装置201の操作受付部210が外部からの操作を受け付けると(ステップS11)、操作受付部210が当該操作を識別するための識別情報(例えば、上述した操作ボタン識別情報)を指示信号送信部230へ出力する。指示信号送信部230は、操作受付部210から出力されてきた識別情報を検索キーとして、当該識別情報と対応付けられている指示内容をデータベース220から読み出す(ステップS12)。指示信号送信部230はデータベース220から読み出した指示内容を示す指示信号を車両101へ送信する(ステップS13)。指示信号の送信は、操作受付部210が受け付けた操作が変更されない限り、所定の周期で継続される。情報処理装置201から指示信号が送信されてくると、車両101の走行制御部131は、送信されてきた指示信号が示す指示内容に従って車両101の走行を制御する(ステップS14)。
【0047】
また、センサ110が障害物を検知したかどうかを判定する(ステップS15)。この判定処理は、常時行われている。センサ110が障害物を検知すると、センサ110は、障害物を検知した旨を走行制御部131へ通知する。すると、走行制御部131は、現在所定の周期で情報処理装置201から送信されてきている指示信号が当該車両101を走行させる指示を示す指示信号である場合、その指示信号に基づいた走行の制御を禁止する(ステップS16)。
【0048】
なお、センサ110から障害物を検知した旨が通知された場合、走行制御部131が指示信号に基づいた走行の制御を禁止するだけではなく、車両101の走行を停止させるまたは減速させる制御を行っても良い。
【0049】
このように、本形態においては、車両101の走行を遠隔で制御する情報処理装置201が、外部から受け付けた操作に基づいて車両101の走行を制御する指示信号を車両101へ送信し、車両101が指示信号に従って走行している場合、車両101に搭載されたセンサ110が車両101の周辺に障害物を検知すると、車両101は指示信号に基づいた走行の制御を禁止する。これにより、遠隔で制御される車両の安全な走行を行うことができる。
(他の実施の形態)
【0050】
第1の実施の形態における指示信号送信部230からの指示信号の送信を送信制御部240が制御する時間や、第2の実施の形態における走行制御部131が指示信号に基づいた走行の制御を禁止する時間を、センサ110が検知した障害物の種類に応じて算出するものでも良い。この場合、第1の実施の形態では、障害物の種類と指示信号送信部230からの指示信号の送信を送信制御部240が制御する時間とを対応付けたデータベースを情報処理装置200が具備し、送信制御部240が、センサ110が検知した障害物の種類を検索キーとして、時間をデータベースから読み出し、読み出した時間で制御を行っても良い。また、第2の実施の形態では、障害物の種類と走行制御部131が指示信号に基づいた走行の制御を禁止する時間とを対応付けたデータベースを車両101が具備し、走行制御部131が、センサ110が検知した障害物の種類を検索キーとして、時間をデータベースから読み出し、読み出した時間で制御を行っても良い。
【0051】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、上述した実施の形態を組み合わせても良い。
【0052】
上述した各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を各構成要素を具備した装置(例えば、車両100,101、情報処理装置200,201。以下、情報処理装置と称する)にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDメモリカードなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0053】
100,101 車両
110 センサ
120 検知信号送信部
130,131 走行制御部
200,201 情報処理装置
210 操作受付部
220 データベース
230 指示信号送信部
240 送信制御部
300 通信ネットワーク