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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166835
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】磁粉探傷装置及び磁粉探傷方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/91 20060101AFI20231115BHJP
   G01N 21/954 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G01N21/91 B
G01N21/954 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077652
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】320005154
【氏名又は名称】日本製鋼所M&E株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】茅野 俊大
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA82
2G051AB06
2G051AC17
2G051BA05
2G051CA04
(57)【要約】
【課題】磁化器及びカメラを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置すること。
【解決手段】一実施形態に係る磁粉探傷装置は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の軸方向に垂直かつ互いに平行に延設された一対の脚部を有し、当該一対の脚部の先端が管状部材の内周面に接触するように、一対の脚部をその長手方向に移動させて磁場を付与する極間式の磁化器と、管状部材の内周面において、磁化器によって磁場が印加された部位を撮像するカメラと、を備える。磁化器において、一対の脚部の根元同士を接続する接続部が、当該一対の脚部の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられており、カメラは、外側面が接続部と対向するように、一対の脚部の間に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材の内部に挿入され、前記管状部材の内周面に磁場を印加すると共に磁粉液を適用して検査する磁粉探傷装置であって、
前記管状部材の内部に挿入された際、
前記管状部材の軸方向に垂直かつ互いに平行に延設された一対の脚部を有し、当該一対の脚部の先端が前記管状部材の内周面に接触するように、前記一対の脚部をその長手方向に移動させて前記磁場を付与する極間式の磁化器と、
前記管状部材の内周面において、前記磁化器によって前記磁場が印加された部位を撮像するカメラと、を備え、
前記磁化器において、前記一対の脚部の根元同士を接続する接続部が、当該一対の脚部の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられており、
前記カメラは、外側面が前記接続部と対向するように、前記一対の脚部の間に配置される、
磁粉探傷装置。
【請求項2】
前記管状部材の内部に挿入された際、
前記一対の脚部は、前記管状部材の軸方向に沿って並ぶように配置される、
請求項1に記載の磁粉探傷装置。
【請求項3】
前記管状部材の内部に挿入された際、
前記一対の脚部は、前記管状部材の周方向に沿って並ぶように配置される、
請求項1に記載の磁粉探傷装置。
【請求項4】
前記管状部材の内周面において前記磁化器によって前記磁場が印加された部位に紫外線を照射すると共に、前記一対の脚部を介して互いに対向配置された一対の紫外線光源をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁粉探傷装置。
【請求項5】
前記管状部材の内周面において前記磁化器によって前記磁場が印加された部位に紫外線を照射すると共に、前記一対の脚部を介して互いに対向配置された複数対の紫外線光源をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁粉探傷装置。
【請求項6】
前記管状部材の内部に挿入された際、
前記管状部材の軸方向の一端側に設けられると共に、当該磁粉探傷装置を前記管状部材の周方向に回転させる回転機構をさらに備え、
前記回転機構によって、前記管状部材の周方向に回転しつつ、前記管状部材の内周面に磁場を印加する、
請求項1に記載の磁粉探傷装置。
【請求項7】
前記回転機構は、
車軸が前記管状部材の軸方向に平行であって、前記管状部材の内周面に接触可能に設けられた駆動輪と、
前記駆動輪を駆動する駆動源と、
車軸が前記管状部材の軸方向に平行であって、前記管状部材の軸を介して、前記駆動輪と対向配置された車輪と、を備える、
請求項6に記載の磁粉探傷装置。
【請求項8】
前記回転機構は、
前記車輪を前記管状部材の径方向にスライドさせる直動機構をさらに備える、
請求項7に記載の磁粉探傷装置。
【請求項9】
前記駆動輪及び前記車輪の少なくとも一方を複数備える、
請求項7又は8に記載の磁粉探傷装置。
【請求項10】
前記カメラは、
カメラ本体と、
前記カメラ本体を防水可能に収容する筐体と、を備えている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁粉探傷装置。
【請求項11】
前記カメラは、前記一対の脚部とは独立して、前記一対の脚部の長手方向に移動可能である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁粉探傷装置。
【請求項12】
それぞれ前記管状部材の軸方向に延設されると共に、前記一対の脚部を介して互いに対向配置された一対の白色光源をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の磁粉探傷装置。
【請求項13】
(a)磁粉探傷装置を管状部材の内部に挿入する工程と、
(b)前記管状部材の内周面に対して、前記磁粉探傷装置によって磁場を印加すると共に磁粉液を適用して検査する工程と、を備えた磁粉探傷方法であって、
前記磁粉探傷装置は、
前記管状部材の内部に挿入された際、
前記管状部材の軸方向に垂直かつ互いに平行に延設された一対の脚部を有し、当該一対の脚部の先端が前記管状部材の内周面に接触するように、前記一対の脚部をその長手方向に移動させて前記磁場を付与する極間式の磁化器と、
前記管状部材の内周面において、前記磁化器によって前記磁場が印加された部位を撮像するカメラと、を備え、
前記磁化器において、前記一対の脚部の根元同士を接続する接続部が、当該一対の脚部の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられており、
前記カメラは、外側面が前記接続部と対向するように、前記一対の脚部の間に配置される、
磁粉探傷方法。
【請求項14】
前記磁粉探傷装置は、
前記管状部材の内部に挿入された際、前記一対の脚部は、前記管状部材の軸方向に沿って並ぶように配置される第1の磁粉探傷装置と、
前記管状部材の内部に挿入された際、前記一対の脚部は、前記管状部材の周方向に沿って並ぶように配置される第2の磁粉探傷装置と、を含み、
前記第1及び第2の磁粉探傷装置の一方を用いて、前記工程(a)及び前記工程(b)を行った後、
前記第1及び第2の磁粉探傷装置の他方を用いて、前記工程(a)及び前記工程(b)を行う、
請求項13に記載の磁粉探傷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は磁粉探傷装置及び磁粉探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、例えばボイラ等の管状部材の肉厚測定や内部探傷等の検査に超音波検査装置が用いられる。特許文献1では、管状部材の内部に超音波検査装置を挿入し、超音波検査装置から管状部材に超音波を照射して管状部材を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-004603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、管状部材の内周面に磁場を印加すると共に磁粉液を適用して傷の有無を検査する磁粉探傷装置を開発している。ここで、磁粉探傷は、MT(Magnetic Particle Testing)もしくはMPI(Magnetic Particle Inspection)等とも呼ばれる。
このような磁粉探傷装置は、互いに平行に延設された一対の脚部を、その長手方向に移動させ、その先端(すなわち磁極)を管状部材の内周面に接触させて磁場を付与する極間式の磁化器を備えている。また、磁粉探傷装置は、磁化器によって磁場が付与された部位を撮像するカメラを備えている。
【0005】
ここで、上記の磁化器及びカメラを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置するのは難しい。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る磁粉探傷装置は、
管状部材の内部に挿入された際、
前記管状部材の軸方向に垂直かつ互いに平行に延設された一対の脚部を有し、当該一対の脚部の先端が前記管状部材の内周面に接触するように、前記一対の脚部をその長手方向に移動させて磁場を付与する極間式の磁化器と、
前記管状部材の内周面において、前記磁化器によって前記磁場が印加された部位を撮像するカメラと、を備え、
前記磁化器において、前記一対の脚部の根元同士を接続する接続部が、当該一対の脚部の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられており、
前記カメラは、外側面が前記接続部と対向するように、前記一対の脚部の間に配置される。
【0007】
一実施形態に係る磁粉探傷方法は、
磁粉探傷装置が、管状部材の内部に挿入された際、
前記管状部材の軸方向に垂直かつ互いに平行に延設された一対の脚部を有し、当該一対の脚部の先端が前記管状部材の内周面に接触するように、前記一対の脚部をその長手方向に移動させて磁場を付与する極間式の磁化器と、
前記管状部材の内周面において、前記磁化器によって前記磁場が印加された部位を撮像するカメラと、を備え、
前記磁化器において、前記一対の脚部の根元同士を接続する接続部が、当該一対の脚部の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられており、
前記カメラは、外側面が前記接続部と対向するように、前記一対の脚部の間に配置される。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施形態によれば、磁化器及びカメラを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置可能な磁粉探傷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を用いて管状部材の内部を検査する様子を模式的に示す側面図である。
図2】第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す正面図である。
図4】第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す側面図である。
図5】第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す背面図である。
図6】カメラCMの斜視図である。
図7】カメラCMの直動機構を示す斜視図である。
図8】第2の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す斜視図である。
図9】カメラCMの直動機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0011】
(第1の実施形態)
図1図5を参照して、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を用いて管状部材の内部を検査する様子を模式的に示す側面図である。図2は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す正面図である。図4は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す側面図である。図5は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す背面図である。
【0012】
なお、図1及びその他の図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正方向が鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0013】
<磁粉探傷装置を用いた検査の概要>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る磁粉探傷装置10を用いた検査の概要について説明する。図1には、本実施形態に係る磁粉探傷装置10を用いて管状部材の内部を検査する様子が模式的に示されており、検査対象である管状部材の断面図が示されている。図1に示す管状部材は、本体である管状のボディと、ボディの内部に連通する交差孔とを有している。なお、交差孔は必須ではない。図1に示す管状部材は、特に限定されないが、例えば低密度ポリエチレン製造用の反応容器である。
【0014】
図1に示すように、磁粉探傷装置10は、管状部材のボディの内部に挿入される。管状部材の内周面に磁場を印加すると共に磁粉液を適用して検査する。そのため、磁粉探傷装置10によって、例えば管状部材のボディの内周面や交差孔の端部に形成された傷を検出できる。なお、磁粉液は、管状部材の内周面に磁場を印加した後、磁粉探傷装置10から管状部材の内周面に適用される。図示されていないが、例えば、磁粉探傷装置10の上部から管状部材の内周面に磁粉液を吹き付ける。
【0015】
詳細には後述するように、図1において、磁粉探傷装置10は、管状部材の内周面に沿って回転しつつ、ボディの内周面に磁場を印加できる。また、磁粉探傷装置10は、例えば図示しないクレーン等によって吊り上げられており、上下方向(z軸方向)に移動できる。このような構成によって、磁粉探傷装置10を用いて管状部材のボディの内周面全体を検査できる。
【0016】
なお、図1において、磁粉探傷装置10を上下逆にして、管状部材のボディの内部に挿入してもよい。
以下では、図1に示す「管状部材のボディの内周面」を単に「管状部材の内周面」を呼び、「管状部材のボディの軸方向」を単に「管状部材の軸方向」等と呼ぶ。
【0017】
<磁粉探傷装置の構成>
次に、図1図5を参照して、本実施形態に係る磁粉探傷装置10の構成について説明する。図1図5に示すように、本実施形態に係る磁粉探傷装置10は、本体部11及び回転機構12を備える。
【0018】
<本体部11の構成>
まず、本体部11について説明する。
図2図5に示すように、本体部11は、天板TP、底板BP、支柱SC11、SC12、SC21、SC22、磁化器MG、磁化器支持部材MS1、MS2、スライドベースSB1、SB2、直動機構LM11、LM12、カメラCM、カメラホルダCH、上部UV光源UL1、UL2、及び下部UV光源LL1、LL2を備えている。
【0019】
磁化器MGは、極間式の磁化器であり、マグナとも呼ばれる。磁化器MGは、例えば図2図4に示すように、一対の脚部LP1、LP2及び接続部CPを備える。
一対の脚部LP1、LP2は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の軸方向(z軸方向)に垂直かつ互いに平行に延設される。磁化器MGでは、脚部LP1、LP2の先端は磁極を構成し、当該磁極が管状部材の内周面に接触するように、脚部LP1、LP2をその長手方向(x軸方向)に移動させて磁場を付与する。
【0020】
ここで、例えば図2に示すように、脚部LP1、LP2の先端部は、ヨークYKから構成されており、ヨークYKの先端(すなわち脚部LP1、LP2の先端)は、磁束を集中させると共に、測定対象である管状部材の内周面に傷を付けないように、R形状を有している。
また、本実施形態に係る磁粉探傷装置10では、磁化器MGにおける一対の脚部LP1、LP2が管状部材の周方向に沿って並ぶように配置されている。そのため、本実施形態に係る磁粉探傷装置10は、脚部LP1、LP2の先端間において管状部材の軸方向に延びる傷の検出に好適である。
【0021】
接続部CPは、脚部LP1、LP2の根元同士を接続する。本実施形態に係る磁化器MGでは、接続部CPが、脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に対して垂直に(z軸負方向に)張り出すようにU字状に設けられている。
また、例えば図3に示すように、接続部CPの下側中央部には、磁場を発生させるための交流電力を供給する磁化器ケーブルMCが接続されている。
なお、図において一点鎖線によって示された脚部LP1、LP2と接続部CPとの境界線は便宜的なものであり、脚部LP1、LP2と接続部CPとは一体に形成されている。
【0022】
図2図4に示すように、脚部LP1の上面(z軸正方向側の面)は、脚部LP1の長手方向(x軸方向)に延設された板状の磁化器支持部材MS1に固定されている。磁化器支持部材MS1は、脚部LP1の長手方向に延設されたスライドベースSB1に対して、脚部LP1の長手方向にスライド可能に連結されている。
【0023】
ここで、スライドベースSB1の先端部(x軸正方向側端部)は、天板TPと底板BPとを連結する支柱SC11に固定されている。スライドベースSB1の後端部(x軸負方向側端部)は、天板TPと底板BPとを連結する支柱SC21に固定されている。なお、図4においては、支柱SC11は省略されている。
【0024】
このように、脚部LP1は、本体部11の筐体を構成する支柱SC11、SC21に対して、脚部LP1の長手方向にスライド可能に連結されている。図4に示すように、磁化器支持部材MS1の先端部は、ジョイントJ1を介して、シリンダ等の直動機構LM11のロッドの先端部に連結されている。
【0025】
ここで、図4に示すように、直動機構LM11のロッドの先端部は、ジョイントJ1に対してy軸周りに回動可能に連結されており、直動機構LM11の本体部の後端部は、支柱SC21に対してy軸周りに回動可能に連結されている。
このような構成によって、脚部LP1(すなわち磁化器MG)は、駆動源である直動機構LM11のロッドの伸縮に伴い、脚部LP1の長手方向(x軸方向)にスライドできる。
【0026】
脚部LP1と同様に、例えば図2に示すように、脚部LP2の上面(z軸正方向側の面)は、脚部LP2の長手方向(x軸方向)に延設された板状の磁化器支持部材MS2に固定されている。磁化器支持部材MS2は、脚部LP2の長手方向に延設されたスライドベースSB2に対して、脚部LP2の長手方向にスライド可能に連結されている。
【0027】
ここで、スライドベースSB2の先端部(x軸正方向側端部)は、天板TPと底板BPとを連結する支柱SC12に固定されている。スライドベースSB2の後端部(x軸負方向側端部)は、天板TPと底板BPとを連結する支柱SC22に固定されている。
【0028】
このように、脚部LP2は、本体部11の筐体を構成する支柱SC12、SC22に対して、脚部LP2の長手方向にスライド可能に連結されている。図2に示すように、磁化器支持部材MS2の先端部は、ジョイントJ2を介して、シリンダ等の直動機構LM12のロッドの先端部に連結されている。
【0029】
ここで、直動機構LM12のロッドの先端部は、ジョイントJ2に対してy軸周りに回動可能に連結されており、直動機構LM12の本体部の後端部は、支柱SC22に対してy軸周りに回動可能に連結されている。
このような構成によって、脚部LP2(すなわち磁化器MG)は、駆動源である直動機構LM12のロッドの伸縮に伴い、脚部LP2の長手方向(x軸方向)にスライドできる。
【0030】
なお、磁化器MGを脚部LP1、LP2の長手方向にスライドさせるための駆動源は、直動機構LM11、LM12のいずれか一方でもよい。しかしながら、脚部LP1、LP2のそれぞれに直動機構LM11、LM12を取り付けることによって、脚部LP1、LP2の各先端(すなわち磁極)を管状部材の内周面に確実に接触させられる。
【0031】
天板TPは、例えば円板状の部材である。天板TPは、管状部材の内部に挿入された際、主面が管状部材の軸方向(z軸方向)に垂直になるように配置される。
底板BPは、天板TPと同様の円板状の部材であって、天板TPと平行に設けられている。天板TPと底板BPとは、管状部材の軸方向(z軸方向)に沿って延設された支柱SC11、SC12、SC21、SC22によって、互いに固定されている。天板TP、底板BP、及び支柱SC11、SC12、SC21、SC22は、磁化器MGを支持して収容する筐体を構成している。
【0032】
例えば図2図3に示すように、スライドベースSB1、SB2の先端部が固定された支柱SC11、SC12の前面(x軸正方向側の側面)には、支柱SC11、SC12の長手方向に沿って、白色光源WLSが延設されている。白色光源WLSは、z軸方向に並んで設けられた複数の白色発光ダイオード(LED:Light-Emitting Diode)WLから構成されている。
【0033】
図示した例では、白色光源WLSは、7個の白色発光ダイオードWLから構成されているが、白色発光ダイオードWLの個数は適宜決定される。
なお、図示された支柱SC11、SC12、SC21、SC22は、四角柱状であるが、円柱状、三角柱状、その他の形状でもよい。また、図4図5においては、支柱SC11、SC12は省略されている。
【0034】
カメラCMは、管状部材の内周面において磁化器MGによって磁場が印加された部位を撮像する。カメラCMによって撮像された画像を用いて、管状部材の内周面における傷の有無を確認する。ここで、例えば図2図3に示すように、一対の脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に延設されたカメラCMは、一対の脚部LP1、LP2の間に配置されている。そして、カメラCMの外側面が、yz平面視U字状に形成された磁化器MGの接続部CPと対向している。
【0035】
そのため、磁化器MGが一対の脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に移動しても、磁化器MGとカメラCMとが干渉することがない。このように、本実施形態に係る磁粉探傷装置10では、磁化器MG及びカメラCMを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置できている。
カメラCMも、長手方向(x軸方向)に移動できる。カメラCMの詳細構成については後述する。
【0036】
上部UV光源UL1、UL2及び下部UV光源LL1、LL2は、管状部材の内周面において磁化器MGによって磁場が印加された部位に紫外線を照射するための紫外線(UV:Ultraviolet)光源である。例えば1000μW/cm以上の紫外線強度において、磁粉探傷を行う。
【0037】
例えば図2図3に示すように、上部UV光源UL1、UL2と下部UV光源LL1、LL2とは、磁化器MGの脚部LP1、LP2を介して対向配置されている。図示した例では、上部UV光源UL1、UL2は、天板TPに固定されており、下部UV光源LL1、LL2は、底板BPに固定されている。
【0038】
ここで、上部UV光源UL1、UL2及び下部UV光源LL1、LL2の4個の光源は、それぞれ独立してオン/オフ可能である。例えば、上部UV光源UL1、UL2及び下部UV光源LL1、LL2のいずれかの光源によって、カメラCMによって撮像された画像にハレーションが発生した場合、ハレーションの原因となる光源のみをオンからオフに切り換えられる。
なお、上部UV光源及び下部UV光源は、それぞれ単数でもよく、3個以上設けられていてもよい。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態に係る磁粉探傷装置10では、磁化器MGにおいて、一対の脚部LP1、LP2の根元同士を接続する接続部CPが、当該一対の脚部LP1、LP2の長手方向に対して垂直に張り出すようにU字状に設けられている。そして、カメラCMは、外側面が接続部CPと対向するように、一対の脚部LP1、LP2の間に配置されている。
【0040】
そのため、磁化器MGが一対の脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に移動しても、磁化器MGとカメラCMとが干渉することがない。このように、本実施形態に係る磁粉探傷装置10では、磁化器MG及びカメラCMを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置できている。
【0041】
<カメラCMの詳細構成>
ここで、図6図7を参照して、カメラCMの詳細構成について説明する。図6は、カメラCMの斜視図である。図7は、カメラCMの直動機構を示す斜視図である。
図6に示すように、カメラCMは、カメラ本体CMB及びカメラケースCCを備える。カメラケースCCは、カメラ本体CMBを覆うように防水可能に収容する筒状の筐体である。
【0042】
カメラケースCCの一端部(x軸正方向側端部)には、カメラケースCCの内部にエアを導入するためのエア導入口AIが設けられている。他方、カメラケースCCの他端部(x軸負方向側端部)には、カメラケースCCの内部からエアを排出するためのエア排出口AOが設けられている。カメラケースCCの内部に、例えば常時エアを流すことによって、カメラ本体CMBのレンズの曇りを抑制できる。また、カメラ本体CMBから発生した熱を排出できる。
【0043】
また、図6に示すように、カメラCMは、カメラホルダCHに支持されている。より詳細には、カメラホルダCHは、yz平面視ホームベース状の板状部材である。カメラホルダCHの中央部に設けられた貫通孔にカメラCM(すなわちカメラケースCC)が嵌挿され、カメラホルダCHにカメラCMが固定されている。そして、カメラホルダCHの幅方向(y軸方向)の両端面には、一対のリニアスライダLSが固定されている。
【0044】
ここで、例えば図7に示すように、カメラホルダCHに固定された一対のリニアスライダLSは、カメラCMの長手方向(x軸方向)に延設された一対のガイドレールGR1、GR2に沿ってx軸方向にスライドする。一対のガイドレールGR1、GR2は、それぞれ支柱SC21、SC22に固定されている。
換言すると、カメラCMは、カメラホルダCH及びリニアスライダLSを介して、ガイドレールGR1、GR2にスライド可能に支持されている。
【0045】
図7に示すように、カメラCMをx軸方向に移動させるための直動機構は、モータ駆動式のボールネジ機構である。当該直動機構は、ネジ軸SF、ナットNT、軸ギアSG、軸支持部材SS、ベアリングBR、モータMT1、モータホルダMH、モータギアMG1を備えている。
【0046】
ネジ軸SFは、カメラCMの上側において、カメラCMと平行にx軸方向に延設されている。ネジ軸SFの後端(x軸負方向側端部)はベアリングBRを介して、軸支持部材SSに回転可能に支持されている。軸支持部材SSの両端は、それぞれ支柱SC21、SC22に固定されている。ネジ軸SFの先端(x軸正方向側端部)には、軸ギアSGが固定されている。
【0047】
ネジ軸SFは、モータMT1によって、回転駆動される。詳細には、ネジ軸SFの上側に、回転軸がネジ軸SFと平行に延設されたモータMT1が配置されている。モータMT1は、モータホルダMHを介して支柱SC21、SC22に固定されている。モータMT1の回転軸の先端(x軸正方向側端部)には、軸ギアSGと噛合するモータギアMG1が固定されている。そのため、モータMT1の回転軸に固定されたモータギアMG1の回転が、軸ギアSGを介して、ネジ軸SFに伝達される。このような構成によって、モータMT1によってネジ軸SFが回転駆動される。
【0048】
図7に示すように、ネジ軸SFには、ナットNTが螺合されており、ネジ軸SFが回転駆動されると、ナットNTがx軸方向に移動する。ここで、図6に示すカメラホルダCHの上端部に設けられた貫通孔にネジ軸SFが挿通されており、図7に示すように、ナットNTがカメラホルダCHの上端部に固定されている。そのため、ナットNTがx軸方向に移動することによって、カメラホルダCH及びカメラCMもx軸方向に移動する。
【0049】
このような構成によって、カメラCMは、磁化器MGとは独立して、磁化器MGの脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に移動できる。例えば、磁化器MGによって磁場が印加された部位において、傷が検出された場合、カメラCMは、当該傷に近付いて、当該傷を撮像できる。
なお、図示されていないが、カメラCMには、信号を送受信するためのカメラケーブルが接続されている。
【0050】
<回転機構12の構成>
次に、回転機構12について説明する。
回転機構12は、管状部材の内部に挿入された際、本体部11の下端側に設けられていると共に、磁粉探傷装置10を管状部材の周方向に回転させる。
回転機構12によって、磁粉探傷装置10は、管状部材の内周面に沿って回転しつつ、ボディの内周面に磁場を印加できる。
なお、回転機構12は、管状部材の内部に挿入された際、本体部11の上端側に設けられてもよく、本体部11の上端側及び下端側の両方に設けられてもよい。
【0051】
例えば図2図5に示すように、回転機構12は、車輪W11、W12、W21、W22、車輪ホルダWH1、WH2、直動機構LM2、モータMT2、モータギアMG2、伝達ギアTG1、TG2、車軸ギアWG1、WG2、及びオムニホイールOW1、OW2を備えている。
【0052】
車輪W11、W12は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の径方向(x軸方向)にスライド可能に設けられた非駆動輪である。車輪W11、W12の車軸は、管状部材の軸方向(z軸方向)に平行であって、車軸の両端は、車輪ホルダWH1に回転可能に支持されている。
【0053】
ここで、管状部材の内部に挿入された際、車輪W11、W12は、管状部材の径方向の他端(x軸正方向側端部)に設けられている。これに対し、車輪W21、W22は、管状部材の径方向の一端(x軸負方向側端部)に設けられている。すなわち、車輪W11、W12は、管状部材の軸を介して、車輪W21、W22と対向配置されている。
【0054】
車輪W11、W12は、シリンダ等の直動機構LM2によって管状部材の径方向(x軸方向)にスライドできる。例えば、図4に示すように、直動機構LM2は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の径方向(x軸方向)に延設されるように、本体部11の底板BPの下面に固定されている。そして、直動機構LM2の先端(x軸正方向側端部)には、車輪ホルダWH1が固定されている。
【0055】
車輪W21、W22は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の内周面に接触可能に設けられた駆動輪である。車輪W21、W22の車軸は、管状部材の軸方向(z軸方向)に平行であって、車軸の両端は、車輪ホルダWH2に回転可能に支持されている。図示されていないが、車輪ホルダWH2も、本体部11の底板BPの下面に固定されている。すなわち、車輪W21、W22は、車輪ホルダWH2を介して、本体部11の底板BPに固定されている。
【0056】
車輪W21、W22は、モータMT2によって駆動される。すなわち、モータMT2は、車輪W21、W22を駆動する駆動源である。
例えば図4に示すように、モータMT2は、管状部材の内部に挿入された際、管状部材の径方向に延設される。そして、モータMT2の回転軸には、モータギアMG2が固定されており、モータMT2の回転軸の回転に伴ってモータギアMG2が回転する。
【0057】
図5に示すように、モータギアMG2は、伝達ギアTG1と噛合すると共に、伝達ギアTG1の回転軸には、伝達ギアTG2が固定されている。そして、伝達ギアTG2は、車軸ギアWG1、WG2と噛合している。
そのため、伝達ギアTG1、TG2を介して、モータギアMG2の回転が、車軸ギアWG1、WG2に伝達する。ここで、車軸ギアWG1は、車輪W21の車軸の上端に固定されている。同様に、車軸ギアWG2は、車輪W22の車軸の上端に固定されている。
【0058】
このように、モータMT2の回転軸に固定されたモータギアMG2の回転が、伝達ギアTG1、TG2を介して、車輪W21、W22の車軸に固定された車軸ギアWG1、WG2に伝達される。このような構成によって、モータMT2によって車輪W21、W22が回転駆動される。
【0059】
磁粉探傷装置10が管状部材の周方向に回転する際、例えば図2において、車輪W11、W12は、管状部材の径方向外側(x軸正方向側)に移動し、管状部材の内周面に押し付けられる。その際、車輪W21、W22も管状部材の内周面に押し付けられる。この状態で、車輪W21、W22がモータMT2によって駆動されると、車輪W11、W12、W21、W22が、管状部材の内周面上を周方向に走行する。その結果、磁粉探傷装置10が管状部材の周方向に回転する。
【0060】
他方、磁粉探傷装置10が管状部材の軸方向(z軸方向)に移動する際、車輪W11、W12は、管状部材の内周面に接触しないように、管状部材の径方向内側(x軸負方向側)に移動する。ここで、車輪W11、W12が、管状部材の内周面に接触しなければ、車輪W21、W22も管状部材の内周面に接触しない。そのため、磁粉探傷装置10が管状部材の軸方向(z軸方向)に移動できる。
【0061】
オムニホイールOW1、OW2は、任意の方向に移動可能な車輪であり、本体部11の底板BPの周縁部に設けられている。より詳細には、底板BPのy軸方向両端部に、オムニホイールOW1、OW2が設けられている。オムニホイールOW1、OW2によって、磁粉探傷装置10が管状部材の軸方向(z軸方向)に移動する際、底板BPの外縁部が管状部材の内周面に衝突し、管状部材の内周面に傷が生じることを抑制できる。
【0062】
なお、図示する例では、2つの駆動輪(車輪W21、W22)が設けられているが、駆動輪は1個でも、3個以上でもよい。駆動輪である車輪W21、W22も、車輪W11、W12と同様に、管状部材の径方向(x軸方向)にスライドできてもよい。
また、図示する例では、2つの非駆動輪(車輪W11、W12)が設けられているが、非駆動輪は1個でも、3個以上でもよい。
さらに、車輪W11、W12が駆動輪でもよい。
また、オムニホイールは、本体部11の天板TPの周縁部にも設けられていてもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、図8図9を参照して、第2の実施形態に係る磁粉探傷装置の構成の一例について説明する。図8は、第2の実施形態に係る磁粉探傷装置を模式的に示す斜視図である。図9は、カメラCMの直動機構を示す斜視図である。
図8には、本実施形態に係る磁粉探傷装置20の本体部21のみが示されている。本実施形態に係る磁粉探傷装置20の回転機構は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10の回転機構12と共通である。また、図8では、天板TP、底板BPは省略されている。
【0064】
図2に示すように、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10では、磁化器MGにおける一対の脚部LP1、LP2が管状部材の周方向に沿って並ぶように配置されている。そのため、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10は、脚部LP1、LP2の先端間において管状部材の軸方向に延びる傷の検出に好適である。
【0065】
これに対し、図8に示すように、本実施形態に係る磁粉探傷装置20では、磁化器MGにおける一対の脚部LP1、LP2が管状部材の軸方向(z軸方向)に沿って並ぶように配置されている。そのため、本実施形態に係る磁粉探傷装置20は、脚部LP1、LP2の先端間において管状部材の周方向に延びる傷の検出に好適である。
【0066】
従って、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置(第1の磁粉探傷装置)10及び本実施形態に係る磁粉探傷装置(第2の磁粉探傷装置)20を用いて、磁粉探傷を行ってもよい。すなわち、第1及び第2の実施形態に係る磁粉探傷装置の一方を用いて磁粉探傷を行った後、第1及び第2の実施形態に係る磁粉探傷装置の他方を用いて磁粉探傷を行ってもよい。両方の磁粉探傷装置を用いることによって、一方の磁粉探傷装置のみを用いた場合よりも、管状部材の内周面等に形成された傷を精度良く検出できる。
【0067】
本実施形態に係る磁化器MGでは、脚部LP1、LP2の根元同士を接続する接続部CPが、脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に対して垂直に(y軸負方向に)張り出すようにU字状に設けられている。
すなわち、本実施形態に係る磁化器MGは、x軸正方向側から見て、例えば図2に示す第1の実施形態に係る磁化器MGを時計回りに90°回転させたように配置されている。
また、図8に示すように、本実施形態に係る磁化器MGでは、接続部CPの上端部に、磁場を発生させるための交流電力を供給する磁化器ケーブルMCが接続されている。
【0068】
図8に示すように、脚部LP1のy軸正方向側の側面は、脚部LP1の長手方向(x軸方向)に延設された板状の磁化器支持部材MS1に固定されている。磁化器支持部材MS1は、脚部LP1の長手方向に延設されたスライドベースSB1に対して、脚部LP1の長手方向にスライド可能に連結されている。
【0069】
ここで、スライドベースSB1の先端部(x軸正方向側端部)は、支柱SC11、SC12の下端部同士を連結する横梁CB11に固定されている。スライドベースSB1の後端部(x軸負方向側端部)は、支柱SC22の下端部に固定されている。
【0070】
このように、脚部LP1は、本体部11の筐体を構成する横梁CB11及び支柱SC22に対して、脚部LP1の長手方向にスライド可能に連結されている。図8に示すように、磁化器支持部材MS1の先端部は、ジョイントJ1を介して、シリンダ等の直動機構LM11のロッドの先端部に連結されている。
【0071】
ここで、直動機構LM11のロッドの先端部は、ジョイントJ1に対してy軸周りに回動可能に連結されており、直動機構LM11の本体部の後端部は、支柱SC22の下端部に対してy軸周りに回動可能に連結されている。
このような構成によって、脚部LP1(すなわち磁化器MG)は、駆動源である直動機構LM11のロッドの伸縮に伴い、脚部LP1の長手方向(x軸方向)にスライドできる。
【0072】
脚部LP1と同様に、図8に示すように、脚部LP2のy軸正方向側の側面は、脚部LP2の長手方向(x軸方向)に延設された板状の磁化器支持部材MS2に固定されている。磁化器支持部材MS2は、脚部LP2の長手方向に延設されたスライドベースSB2に対して、脚部LP2の長手方向にスライド可能に連結されている。
【0073】
ここで、スライドベースSB2の先端部(x軸正方向側端部)は、支柱SC11、SC12の上端部同士を連結する横梁CB12に固定されている。スライドベースSB2の後端部(x軸負方向側端部)は、支柱SC22の上端部に固定されている。
【0074】
このように、脚部LP2は、本体部11の筐体を構成する横梁CB12及び支柱SC22に対して、脚部LP2の長手方向にスライド可能に連結されている。図8に示すように、磁化器支持部材MS2の先端部は、ジョイントJ2を介して、シリンダ等の直動機構LM12のロッドの先端部に連結されている。
【0075】
ここで、直動機構LM12のロッドの先端部は、ジョイントJ2に対してy軸周りに回動可能に連結されており、直動機構LM12の本体部の後端部は、支柱SC22の上端部に対してy軸周りに回動可能に連結されている。
このような構成によって、脚部LP2(すなわち磁化器MG)は、駆動源である直動機構LM12のロッドの伸縮に伴い、脚部LP2の長手方向(x軸方向)にスライドできる。
【0076】
図2等に示した第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10と同様に、管状部材の軸方向(z軸方向)に沿って延設された支柱SC11、SC12、SC21、SC22によって、図8には図示しない天板TP、底板BPが互いに連結されている。
【0077】
他方、本実施形態に係る磁粉探傷装置20では、図8に示すように、支柱SC11、SC12の下端部同士が、y軸方向に延設された横梁CB11によって連結されている。また、支柱SC11、SC12の上端部同士が、y軸方向に延設された横梁CB12によって連結されている。
【0078】
さらに、図9に示すように、支柱SC21、SC22は、y軸方向に延設されると共にカメラCMを介して対向配置された一対の横梁CB21、CB22によって連結されている。天板TP、底板BP、支柱SC11、SC12、SC21、SC22、及び横梁CB11、CB12、CB21、CB22は、磁化器MGを支持して収容する筐体を構成している。
【0079】
図8に示すように、本実施形態に係る磁粉探傷装置20でも、一対の脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に延設されたカメラCMが、一対の脚部LP1、LP2の間に配置されている。そして、カメラCMの外側面が、yz平面視U字状に形成された磁化器MGの接続部CPと対向している。
【0080】
そのため、磁化器MGが一対の脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に移動しても、磁化器MGとカメラCMとが干渉することがない。このように、本実施形態に係る磁粉探傷装置20でも、磁化器MG及びカメラCMを、管状部材の内部の狭い空間において、互いに干渉しないように配置できている。
【0081】
カメラCMの詳細構成は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10と同様であり、図6に示されている。
ここで、図9に示すように、カメラホルダCHに固定された一対のリニアスライダLSは、カメラCMの長手方向(x軸方向)に延設された一対のガイドレールGR1、GR2に沿ってx軸方向にスライドする。一対のガイドレールGR1、GR2は、それぞれ横梁CB21、CB22に固定されている。
換言すると、カメラCMは、カメラホルダCH及びリニアスライダLSを介して、ガイドレールGR1、GR2にスライド可能に支持されている。
【0082】
図9に示すように、カメラCMをx軸方向に移動させるための直動機構は、モータ駆動式のボールネジ機構である。当該直動機構は、ネジ軸SF、ナットNT、軸ギアSG、軸支持部材SS、ベアリングBR、モータMT1、モータホルダMH、モータギアMG1を備えている。
ネジ軸SFは、カメラCMのy軸正方向側において、カメラCMと平行にx軸方向に延設されている。
【0083】
図9に示すように、ネジ軸SFの後端(x軸負方向側端部)はベアリングBRを介して、軸支持部材SSに回転可能に支持されている。軸支持部材SSの下端は支柱SC22aの上端に固定され、軸支持部材SSの上端は支柱SC22bの下端に固定されている。換言すると、支柱SC22は、支柱SC22a、SC22bに分割されており、支柱SC22a、SC22bが軸支持部材SSによって連結されている。ネジ軸SFの先端(x軸正方向側端部)には、軸ギアSGが固定されている。
【0084】
ネジ軸SFは、モータMT1によって、回転駆動される。詳細には、図9に示すように、ネジ軸SFのy軸正方向側に、ネジ軸SFと平行に回転軸が延設されたモータMT1が配置されている。モータMT1は、モータホルダMHを介して支柱SC22a、SC22b(すなわち支柱SC22)に固定されている。モータMT1の回転軸の先端(x軸正方向側端部)には、軸ギアSGと噛合するモータギアMG1が固定されている。そのため、モータMT1の回転軸に固定されたモータギアMG1の回転が、軸ギアSGを介して、ネジ軸SFに伝達される。このような構成によって、モータMT1によってネジ軸SFが回転駆動される。
【0085】
図9に示すように、ネジ軸SFには、ナットNTが螺合されており、ネジ軸SFが回転駆動されると、ナットNTがx軸方向に移動する。ここで、図6に示すカメラホルダCHの上端部に設けられた貫通孔にネジ軸SFが挿通されており、図9に示すように、ナットNTがカメラホルダCHの上端部に固定されている。そのため、ナットNTがx軸方向に移動することによって、カメラホルダCH及びカメラCMもx軸方向に移動する。
【0086】
このような構成によって、カメラCMは、磁化器MGとは独立して、磁化器MGの脚部LP1、LP2の長手方向(x軸方向)に移動できる。例えば、磁化器MGによって磁場が印加された部位において、傷が検出された場合、カメラCMは、当該傷に近付いて、当該傷を撮像できる。
【0087】
なお、図示されていないが、本実施形態に係る磁粉探傷装置20も、一対の脚部LP1、LP2を介して互いに対向配置された2対の紫外線光源(図2等に示す上部UV光源UL1、UL2及び下部UV光源LL1、LL2に該当)を備える。
その他の構成は、第1の実施形態に係る磁粉探傷装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0089】
10、20 磁粉探傷装置
11、21 本体部
12 回転機構
AI エア導入口
AO エア排出口
BP 底板
BR ベアリング
CB11、CB12、CB21、CB22 横梁
CC カメラケース
CH カメラホルダ
CM カメラ
CMB カメラ本体
CP 接続部
GR1、GR2 ガイドレール
J1、J2 ジョイント
LL1、LL2 下部UV光源
LM11、LM12、LM2 直動機構
LP1、LP2 脚部
LS リニアスライダ
MG 磁化器
MG1、MG2 モータギア
MH モータホルダ
MS1、MS2 磁化器支持部材
MT1、MT2 モータ
NT ナット
OW1、OW2 オムニホイール
SB1、SB2 スライドベース
SC11、SC12、SC21、SC22、SC22a、SC22b 支柱
SF ネジ軸
SG 軸ギア
SS 軸支持部材
TG1、TG2 伝達ギア
TP 天板
UL1、UL2 上部UV光源
W11、W12、W21、W22 車輪
WG1、WG2 車軸ギア
WH1、WH2 車輪ホルダ
WL 白色発光ダイオード
WLS 白色光源
YK ヨーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9