(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166837
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】測距装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231115BHJP
G01S 7/497 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/497
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077654
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】佐野 祐太
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB14
5J084BB28
5J084CA32
5J084CA65
(57)【要約】
【課題】偏光が定まりにくい光源であっても測距性能を向上させることが可能な測距装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る測距装置は、複数の発光素子を有する光源と、複数の発光素子の少なくとも1つから出射された光源光から、測距対象の物体に入射する第1入射光と、第1入射光が物体で反射した第1反射光との光軸が一致する同軸系の光を形成する第1光学部品と、光源光から、物体に入射する第2入射光と、第2入射光が物体で反射した第2反射光との光軸が交差する別軸系の光を形成する第2光学部品と、第1反射光および第2反射光を受光し、受光量に基づいて物体までの距離を測定する受光部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有する光源と、
前記複数の発光素子の少なくとも1つから出射された光源光から、測距対象の物体に入射する第1入射光と、前記第1入射光が前記物体で反射した第1反射光との光軸が一致する同軸系の光を形成する第1光学部品と、
前記光源光から、前記物体に入射する第2入射光と、前記第2入射光が前記物体で反射した第2反射光との光軸が交差する別軸系の光を形成する第2光学部品と、
前記第1反射光および前記第2反射光を受光し、受光量に基づいて前記物体までの距離を測定する受光部と、
を備える、測距装置。
【請求項2】
前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射させるミラーであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記無偏光ビームスプリッタを透過して前記ミラーで全反射した光である、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記無偏光ビームスプリッタにおいて、透過率が反射率よりも大きくて設定されている、請求項2に記載の測距装置。
【請求項4】
車両の速度の検出結果と、前記車両の周辺環境の検出結果と、の少なくとも1つに基づいて、前記ミラーを駆動する制御部をさらに備える、請求項2に記載の測距装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出結果に応じて特定の距離を設定し、前記第1入射光と前記第2入射光との成す角度が、前記特定の距離に応じて設定された角度に調整されるように、前記ミラーを駆動する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記他の2つの光のうち、第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量に基づいて前記光源の故障を検知する制御部と、をさらに備える、請求項1に記載の測距装置。
【請求項7】
前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定されている、請求項6に記載の測距装置。
【請求項8】
前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射するミラーをさらに備える、請求項1に記載の測距装置。
【請求項9】
前記ミラーで全反射した第3入射光が前記物体に入射し、前記第3入射光が前記物体で反射した第3反射光が前記受光部に受光可能であり、
前記第3入射光の光軸が前記第1入射光の光軸と平行である、請求項8に記載の測距装置。
【請求項10】
前記第1無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定され、
前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも低く設定されている、請求項9に記載の測距装置。
【請求項11】
前記受光部は、前記距離に応じて前記第2反射光または前記第3反射光を受光する、請求項9に記載の測距装置。
【請求項12】
前記物体が移動体であり、
前記物体が特定の距離に位置する場合、前記受光部は、第1反射光および前記第2反射光を受光し、
前記物体が、前記測距装置から前記特定の距離よりも離れた位置に移動した場合、前記受光部は、前記第1反射光および前記第3反射光を受光する、請求項11に記載の測距装置。
【請求項13】
前記第2入射光の光軸が、前記第1入射光の光軸と平行となるように、前記光源が設置されている、請求項7に記載の測距装置。
【請求項14】
前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光の一部を反射させる反射板と、前記反射板を透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量および前記受光部の受光量に基づいて、前記光源および前記受光部の故障を検知する制御部と、をさらに備える、請求項1に記載の測距装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記光量が予め設定された基準値よりも小さい場合に前記光源が故障していると判定し、前記光量が前記基準値以上であり、かつ前記受光量が予め設定されたしきい値よりも小さい場合に前記受光部が故障していると判定する、請求項14に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測距装置の一つとしてLiDAR(Light Detection and Ranging)が知られている。LiDARは、測距対象物体へレーザ光を出射したときの反射光を受光することによって、測距対象物体までの距離を測定する。LiDAR方式の測距装置では、測距対象の物体に入射する入射光の光軸と、その入射光が物体で反射した反射した光の光軸とを一致させることが望ましい。入射光及び反射光の各々の光軸が一致していないと、例えば、物体が近距離に位置している場合に、反射光が、検出用の画素に入射しない可能性が高くなる。その結果、測距性能が悪化することが懸念される。
そこで、測距に用いられる入射光および反射光の各々の光軸を一致させるために、光源と測距対象との物体の間に偏光ビームスプリッタ等の光学部品を設置する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、光源光であるレーザの直線偏光方向が定まっていることが前提となっている。そのため、例えば、光源が複数の垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser; VCSEL)で構成されている場合、VCSELは垂直共振器を利用しているために光軸に対して対称な構造になりやすく、偏光方向が定まりにくい。また、VCSELの出力を上げるために開口面積を大きくするとマルチモード発振しやすいため、その観点からも偏光方向が定まりにくい。その結果、測距性能が不十分になり得る。
【0005】
そこで、本開示は、偏光が定まりにくい光源であっても測距性能を向上させることが可能な測距装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る測距装置は、複数の発光素子を有する光源と、複数の発光素子の少なくとも1つから出射された光源光から、測距対象の物体に入射する第1入射光と、第1入射光が物体で反射した第1反射光との光軸が一致する同軸系の光を形成する第1光学部品と、光源光から、物体に入射する第2入射光と、第2入射光が物体で反射した第2反射光との光軸が交差する別軸系の光を形成する第2光学部品と、第1反射光および第2反射光を受光し、受光量に基づいて物体までの距離を測定する受光部と、を備える。
【0007】
前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射させるミラーであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記無偏光ビームスプリッタを透過して前記ミラーで全反射した光であってもよい。
【0008】
前記無偏光ビームスプリッタにおいて、透過率が反射率よりも大きくて設定されていてもよい。
【0009】
前記測距装置が、車両の速度の検出結果と、前記車両の周辺環境の検出結果と、の少なくとも1つに基づいて、前記ミラーを駆動する制御部をさらに備えていてもよい。
【0010】
前記制御部は、前記検出結果に応じて特定の距離を設定し、前記第1入射光と前記第2入射光との成す角度が、前記特定の距離に応じて設定された角度に調整されるように、前記ミラーを駆動してもよい。
【0011】
前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記測距装置が、前記他の2つの光のうち、第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量に基づいて前記光源の故障を検知する制御部と、をさらに備えていてもよい。
【0012】
前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定されていてもよい。
【0013】
前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる前記第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記測距装置が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射するミラーをさらに備えていてもよい。
【0014】
前記ミラーで全反射した第3入射光が前記物体に入射し、前記第3入射光が前記物体で反射した第3反射光が前記受光部に受光可能であり、
前記第3入射光の光軸が前記第1入射光の光軸と平行であってもよい。
【0015】
前記第1無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定され、
前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも低く設定されていてもよい。
【0016】
前記受光部は、前記距離に応じて前記第2反射光または前記第3反射光を受光してもよい。
【0017】
前記物体が移動体であり、
前記物体が特定の距離に位置する場合、前記受光部は、第1反射光および前記第2反射光を受光し、
前記物体が、前記測距装置から前記特定の距離よりも離れた位置に移動した場合、前記受光部は、前記第1反射光および前記第3反射光を受光してもよい。
【0018】
前記第2入射光の光軸が、前記第1入射光の光軸と平行となるように、前記光源が設置されていてもよい。
【0019】
前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる前記第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記測距装置が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光の一部を反射させる反射板と、前記反射板を透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量および前記受光部の受光量に基づいて、前記光源および前記受光部の故障を検知する制御部と、をさらに備えていてもよい。
【0020】
前記制御部は、前記光量が予め設定された基準値よりも小さい場合に前記光源が故障していると判定し、前記光量が前記基準値以上であり、かつ前記受光量が予め設定されたしきい値よりも小さい場合に前記受光部が故障していると判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図3】受光部の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】ヒストグラム生成部で生成されたヒストグラムの一例を示す図である。
【
図5】受光レンズのF値とヒストグラムとの関係を説明するための図である。
【
図6】比較例に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図7】比較例に係る測距装置の測距特性を示す図である。
【
図8A】第1実施形態に係る第1光検出画素の測距特性を示す図である。
【
図8B】第1実施形態に係る第2光検出画素の測距特性を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図10】アライメント距離が遠距離に設定された場合の模式図である。
【
図11A】アライメント距離が30mに設定されたときの光検出画素のカウントレート特性を示す図である。
【
図11B】アライメント距離が150mに設定されたときの光検出画素のカウントレート特性を示す図である。
【
図12】第3実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図13】第4実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図14】第4実施形態に係る測距装置の測距対象の物体が移動したときの状態を示す模式図である。
【
図15】第5実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図16】第6実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
【
図17】車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図18】撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
図1に示す測距装置1は、物体100までの距離を測定するLiDARタイプの測距装置である。なお、
図1は、物体100が、測距装置1から近距離に配置されている例を示す。
【0024】
本実施形態に係る測距装置1は、光源11、コリメートレンズ12、第1無偏光ビームスプリッタ13、ミラー14、受光レンズ15、受光部16、および制御部17を備える。以下、各構成要素について説明する。
【0025】
図2は、光源11の正面図である。
図2に示すように、光源11は、2次元アレイ状に配置された複数の発光素子110を有する。各発光素子110は、例えばVCSELで構成されている。複数の発光素子110は、制御部17の制御に基づいて、選択的に光源光L1を出射することができる。また、制御部17が発光素子110に供給される電流値を制御することによって、光源光L1の強度は可変である。なお、
図2に示す発光素子110の数やレイアウトは、一例であり、これに限定されるものではない。
【0026】
図1に戻って、コリメートレンズ12は、光源11に対して光源光L1の進行方向の前方に配置されている。コリメートレンズ12は、光源光L1を平行光に光学処理する。
【0027】
第1無偏光ビームスプリッタ13は、コリメートレンズ12に対して、光源光L1(平行光)の進行方向の前方に配置されている。第1無偏光ビームスプリッタ13は、光源光L1を光L10と光L20とに分岐させる。光L10は、第1無偏光ビームスプリッタ13で反射した光である。一方、光L20は、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光である。
【0028】
第1無偏光ビームスプリッタ13では、光源光L1の偏光方向や入射角度に依らず反射率が一定である。本実施形態では、反射率が20%で透過率が80%に設定されている。ただし、反射率および透過率の設定値は、上記数値に限定されず、透過率が反射率よりも高ければよい。第1無偏光ビームスプリッタ13は、例えばポルカドットビームスプリッタで構成されている。
【0029】
ミラー14は、第1無偏光ビームスプリッタ13に対して、光L20の進行方向の前方に配置されている。ミラー14の反射率は100%である。そのため、光L20はミラー14で全反射する。
【0030】
第1無偏光ビームスプリッタ13の光L10は、第1入射光として物体100に入射する。この光L10が物体100で反射した光L11は、第1反射光として第1無偏光ビームスプリッタ13に向かって進行する。このとき光L11と光L10との成す角度が、ほぼ0度になる。そのため、光L11の光軸は、光L10の光軸とほぼ一致する。すなわち、第1無偏光ビームスプリッタ13が、光源光L1から光軸が一致する同軸系の光L10および光L11を形成する第1光学部品として機能する。
【0031】
光L11は、第1無偏光ビームスプリッタ13で光L12および光L13に分岐される。光L12は、第1無偏光ビームスプリッタ13で反射した光である。一方、光L13は、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光である。光L11のうち、光L13のみが、受光レンズ15に入射する。
【0032】
ミラー14で全反射した光L20は、第2入射光として物体100に入射する。光L20が物体100で反射した光L21は、第2反射光として第1無偏光ビームスプリッタ13に向けて進行する。このとき、光L21と光L20との成す角度αが0度よりも大きい。そのため、光L21の光軸は、互いに交差する。すなわち、ミラー14が、光源光L1から光軸が一致しない別軸系の光L20および光L21を形成する第2光学部品として機能する。
【0033】
光L21は、上記角度α、換言すると測距装置1から物体100までの距離に応じて、第1無偏光ビームスプリッタ13に入射する場合と入射しない場合とがある。第1無偏光ビームスプリッタ13に入射する場合、光L21は、光L22および光L23に分岐される。光L22は、第1無偏光ビームスプリッタ13で反射した光である。一方、光L23は、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光である。
図1では、光L21のうち、光L23のみが、受光レンズ15に入射する。
【0034】
受光レンズ15は、第1無偏光ビームスプリッタ13と受光部16との間に配置されている。受光レンズ15は、光L13および光L23を受光部16に集光する。
【0035】
ここで、
図3を参照して受光部16の構成について説明する。
図3は、受光部16の概略的な構成を示すブロック図である。
【0036】
受光部16は、画素アレイ161と、TDC(Time to Digital Converter)162と、ヒストグラム生成部163と、測距処理部164を含む。各構成要素は、制御部17の制御に従って駆動する。
【0037】
画素アレイ161には、複数の画素165が2次元アレイ状に配置されている。各画素165は、受光レンズ15を介して入射した光L13および光L23を光電変換して画素信号を生成する受光素子と、画素信号を読み出す読出回路等を有する。この受光素子は、例えばSPAD(Single Photon Avalanche Diode)で構成されている。
【0038】
TDC162は、画素アレイ161の画素信号に基づいて、上記受光素子の受光タイミングをデジタル値に変換する。
【0039】
ヒストグラム生成部163は、TDC162により得られたデジタル値に基づいて、ヒストグラムを生成する。
【0040】
測距処理部164は、ヒストグラム生成部163が生成したヒストグラムに基づいて、様々な処理を行う。例えば、測距処理部164は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ処理、エコー判定、デプス値(距離値)算出処理、ピーク検出処理などを行う。その結果、測距装置1から物体100までの距離を示すデプス画像が生成される。
【0041】
【0042】
【0043】
ここで、式(1)および式(2)の各パラメータは表1の通りである。
【表1】
【0044】
【0045】
図5は、受光レンズ15のF値とヒストグラムとの関係を説明するための図である。上述した信号背景光比SNRは、受光レンズ15のF値に依存する。受光レンズ15のF値が小さくなるにつれて、SPADのカウントレートは増加する。しかし、SPADのカウント数にはダイナミックレンジがあるため、F値が小さすぎる場合、
図5に示すように、信号光と背景光を区別しにくくなる。この場合、信号背景光比SNRが悪化する。そのため、
図4に示すように、受光レンズ15のF値は、信号背景光比SNRを最適にするように設定することが望ましい。
【0046】
例えば、投光系の条件として、第1無偏光ビームスプリッタ13の反射率が20%であり、透過率が80%であり、第1無偏光ビームスプリッタ13とミラー14との距離が5cmであるとする。さらに、受光系の条件として、複数の画素165のうち、互いに隣接する4つの光検出画素165(2×2画素)が、複数の発光素子110のうちのいずれか1つから出射された光源光L1の検出動作を行うように設定されている。
【0047】
【0048】
上記のようにカウントレートの回復処置を取ると、式(1)および式(2)によれば、背景光カウントレートは、物体100までの距離に依存せず、信号光カウントレートのみが上記距離に依存する。
【0049】
図6は、比較例に係る測距装置の構成を示す模式図である。
図6に示す測距装置1aには、第1無偏光ビームスプリッタ13およびミラー14は、設けられていない。また、投光系の光軸X1と受光系の光軸X2との間における距離dは、約5cmである。ここで、投光系の光軸X1は、複数の発光素子110のうちのいずれか1つから出射される光源光L1の光軸である。一方、受光系の光軸X2は、受光部16に設けられた画素165(SPAD)の受光面に直交する軸に相当する。また、測距装置1aでは、測距装置1aの測距の最大値が150mになるように設計されている。
【0050】
図7は、比較例に係る測距装置1aの測距特性を示す図である。
図7において、横軸は、測距装置1aからの距離Rを示し、縦軸は、SPADのカウントレートCRを示す。
図7には、第1光検出画素165aのカウントレートCR特性が特性C1で示され、第2光検出画素165bのカウントレートCR特性が特性C2で示されている。第1光検出画素165aおよび第2光検出画素165bは、光源光L1が物体100で反射した反射光L200を検出するように設定された4つの光検出画素(2×2画素)のうちの2つであり、互いに隣接している。
【0051】
なお、
図7に示す特性C3は、光軸X1と光軸X2との間における距離dがゼロ、すなわち、光軸X1と光軸X2とが同軸である場合の光検出画素のCR特性を示す。また、
図7に示す最小値CRminは、距離Rの最大値が150mである場合に必要なカウントレートの最小値である。本比較例に係る測距装置1aでは、受光レンズ15によって結像される反射光L200の位置が距離Rに応じて変化する。これに伴って、第1光検出画素165aおよび第2光検出画素165bにおける反射光L200の受光量も変化する。
図7に示す特性図では、距離Rが23m以下の場合、第1光検出画素165aおよび第2光検出画素165bの各々のカウントレートCRが最小値CRminよりも小さくなる。そのため、本比較例に係る測距装置1aは、23m以下の距離を測定することができない。しかし、特性C3に示すように、もし、光軸X1と光軸X2とが同軸であれば、23m以下の距離を測定することができる。そこで、本実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ13が同軸系の光L10および光L11を形成する。
【0052】
図8Aは、第1実施形態に係る第1光検出画素165aの測距特性を示す図である。また、
図8Bは、第2実施形態に係る第2光検出画素165bの測距特性を示す図である。
【0053】
図8Aおよび
図8Bにおいて、横軸は、測距装置1からの距離Rを示し、縦軸は、各画素のカウントレートCRを示す。また、各図において、特性C11および特性C21は、同軸系の光L13の受光に基づくカウントレートCRを示す。特性C12および特性C22は、別軸系の光L23の受光に基づくカウントレートCRを示す。なお、特性C13は、特性C11で示されるカウントレートと特性C12で示されるカウントレートとを加算した結果を示す。特性C23は、特性C21で示されるカウントレートと特性C22で示されるカウントレートとを加算した結果を示す。
【0054】
第1無偏光ビームスプリッタ13の反射率が、例えば20%に設定されている場合、光L10の光量は、光源光L1の20%の光量になる。そのため、
図8Aの特性C11に示すように、第1光検出画素165aが検出可能な距離Rは、67mである。その一方で、光L13は光L11と同軸系であるため、光軸間の距離がほぼゼロになる。これにより、視差がほぼ無くなるため、第1光検出画素165aは、67m以下の距離を検出可能である。
【0055】
第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20の光量は、光源光L1の80%の光量になる。そのため、
図8Aの特性C12に示すように、第1光検出画素165aが検出可能な距離Rの最大値は、130mになる。その一方で、光23は、光L20と別軸系であるため、視差が生じる。これにより、第1光検出画素165aは、23m以下の距離Rを検出できない。しかし、
図8Aの特性C13に示すように、特性C11および特性C12を加算すると、第1光検出画素165aは、0mから150mまでの距離Rを検出することが可能となる。
【0056】
第2光検出画素165bについては、
図8Bの特性C23に示すように、同軸系の光L13の受光に基づくカウントレートと、別軸系の光23の受光に基づくカウントレートとを加算すると、第1光検出画素165aと同様に、0mから150mまでの距離Rを検出することが可能となる。
【0057】
上記のように、本実施形態に係る測距装置1によれば、第1無偏光ビームスプリッタ13およびミラー14を用いて光源光L1から同軸系の光L13と別軸系の光23とを形成している。これにより、光源11がVCSELのような偏向方向を一方向に定めにくい発光素子110で構成されていても、測距性能を向上させることができる。
【0058】
本実施形態に係る測距装置1において、第1無偏光ビームスプリッタ13の透過率が反射率よりも小さいと、測距性能を確保するためには、受光レンズ15のF値を大きくする必要が生じる。この場合、光学設計への負担が増加する。そのため、第1無偏光ビームスプリッタ13の透過率は、少なくとも反射率よりも大きくすることが望ましい。また、第1無偏光ビームスプリッタ13とミラー14との間の距離が小さくなるにつれて、別軸系の光23の受光に基づく測距可能な最小距離が縮むので、第1無偏光ビームスプリッタ13の透過率を大きく保ちやすい。第1無偏光ビームスプリッタ13の透過率および反射率と、第1無偏光ビームスプリッタ13とミラー14との間の距離とは、目標とする最大測距距離に応じて、上記式(1)と式(2)の数値から最適化することができる。
【0059】
また、無偏光ビームスプリッタの分岐比(透過率および反射率)は、入射角度に依存しないため、複数の発光素子110の中で、いずれの素子が光源光L1を出射しても、測距性能を一様に確保することができる。
【0060】
なお、物体100と測距装置1との距離が近い場合、光L20と光L21との成す角度α(
図1参照)が大きくなる。そのため、受光部16の光検出画素には、同軸系の光L13が入射する一方で、別軸系の光L23が入射しない場合が想定される。この場合、光検出画素の受光量は、光L23の光量分だけ減少する。しかし、物体100と測距装置1との距離が近いため、光L13の光量が大きくなる。これにより、近距離の測距に必要な光量を十分に確保することができる。また、受光レンズ15のF値を調整することによっても、近距離の測距に必要な光量を十分に確保することができる。
【0061】
一方、物体100と測距装置1との距離が遠い場合には、上記角度αが小さくなる。そのため、同軸系の光L13と別軸系の光L23の両方が、光検出画素に入射する。これにより、遠距離の測距に必要な光量を十分に確保することができる。このように光L13および光L23を測距に用いることによって、遠距離の測距を可能にしつつ、測距に用いられない光量に対応する光損失を実質的にほぼ無くすことができる。
【0062】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
図9に示す測距装置2は、車両に設置されている。また、測距装置2では、ミラー14が、制御部17の制御に基づいて回転駆動できるように構成されている。制御部17は、車両に設置された速度センサ201および撮像センサ202の少なくとも1つの検出結果に基づいてミラー14の角度を制御する。速度センサ201は、車両の速度を検出する。撮像センサ202は、例えば車両の周辺環境を撮像する車載カメラで構成されている。
【0063】
車両の制動距離は、速度によって異なる。例えば、車両が高速道路を走行する場合と駐車場を走行する場合とでは、求められる測距対象の距離であるアライメント距離が異なる。車両が高速道路を走行する場合、アライメント距離は、例えば100m以上になる。一方、車両が駐車場を走行する場合には、アライメント距離は、数十mである。
【0064】
そこで、本実施形態では、制御部17が、速度センサ201で検出された車両速度に応じてアライメント距離を設定する。また、制御部17は、撮像センサ202の撮像画像を解析して車両の周辺環境を特定し、特定した周辺環境に応じてアライメント距離を設定してもよい。さらに、制御部17は、速度センサ201および撮像センサ202の両方の検出結果に基づいて、アライメント距離を設定してもよい。
【0065】
続いて、制御部17は、設定したアライメント距離に応じてミラー14を駆動する。アライメント距離が、近距離、例えば30mに設定された場合、光L10と光L20との成す角度が、30mに対応する角度β1になるように、ミラー14が回転駆動する。ミラー14が回転駆動すると、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20がミラー14に入射する角度が変化する。これにより、光L20の反射方向が変化するため、光L10と光L20との成す角度を角度β1に調整することができる。
【0066】
図10は、アライメント距離が遠距離に設定された場合の模式図である。アライメント距離が、例えば150mに設定された場合、光L10と光L20との成す角度が、150mに対応する角度β2になるように、ミラー14が回転駆動する。このとき、制御部17が、ミラー14に対する光L20の入射角が、近距離の場合よりも大きくなるようにミラー14を駆動制御する。これにより、光L10と光L20との成す角度を、上記角度β1よりも小さい角度β2に調整することができる。
【0067】
図11Aは、アライメント距離が30mに設定されたときの光検出画素のカウントレート特性を示す図である。また、
図11Bは、アライメント距離が150mに設定されたときの光検出画素のカウントレート特性を示す図である。
図11Aおよび
図11Bにおいて、横軸は、測距装置2からの距離Rを示す。縦軸は、光検出画素のSPADのカウントレートを示す。また、特性C10は、第1実施形態の
図7に示すように、第1光検出画素165aのカウントレート特性を示す。一方、特性C20は、第2光検出画素165bのカウントレート特性を示す。
【0068】
図11Aおよび
図11Bに示すように、本実施形態では、特性C10と特性C20との交点が、アライメント距離に対応付けて移動している。すなわち、光検出画素のカウントレートがアライメント距離に応じて最大化されている。そのため、
図11Aに示すカウントレートの削減量ΔCR1は、
図11Bに示すカウントレートの削減量ΔCR2よりも大きくなる。これは、アライメント距離が近距離の場合、光源光L1の強度を遠距離の測距に比べて低減して光源11の消費電力を抑えることができることを意味する。ただし、本実施形態では、カウントレートCR、換言すると信号背景光比SNRが、アライメント距離に応じて最大化されているため、光源光L1の強度を低減しても測距性能を確保することができる。
【0069】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
図12に示す測距装置3は、ミラー14の代わりに第2光学部品として機能する第2無偏光ビームスプリッタ18を備える点で上述した第1実施形態に係る測距装置1と異なる。また、本実施形態に係る測距装置3は、集光レンズ19および光検出器20をさらに備える。
【0070】
第2無偏光ビームスプリッタ18は、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20を、光L20aと光L20bとに分岐させる。光L20aは、第2無偏光ビームスプリッタ18で反射した光であり、第2入射光として物体100に入射する。一方、光L20bは、第2無偏光ビームスプリッタ18を透過した光であり、集光レンズ19へ入射する。第2無偏光ビームスプリッタ18の反射率および透過率は、任意の値に設定できる。ただし、光L20aは、測距性能を確保するために必要最小限度の光量を有する必要がある。そのため、第2無偏光ビームスプリッタ18では、反射率が透過率よりも大きく設定することが望ましい。
【0071】
集光レンズ19は、第2無偏光ビームスプリッタ18に対して、光L20bの進行方向の前方に配置されている。集光レンズ19は、光L20bを光検出器20へ集光する。
【0072】
光検出器20は、集光レンズ19を介して入射した光L20bを受光する。光検出器20は、例えばフォトダイオードで構成されている。このフォトダイオードは、光L20bの光量を示す光検出信号を生成して制御部17へ出力する。
【0073】
光L20bの光量は、光源光L1の強度に対応している。そのため、本実施形態では、制御部17は、光検出器20からの光検出信号によって、光源光L1の強度をモニタリングする。このとき、光検出信号に示された光量が、予め設定された許容範囲内であれば、制御部17は、光源11が正常であると判定する。一方、上記光量が許容範囲外であれば、制御部17は、光源11が故障していると判定する。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、光源光L1の強度をモニタリングすることによって、光源11の故障を検知することが可能となる。
【0075】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。
図13に示す測距装置4では、第2無偏光ビームスプリッタ18が、第1無偏光ビームスプリッタ13とミラー14との間に配置されている。本実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ13において、反射率は、透過率よりも大きく設定されている。例えば、反射率が80%、透過率が20%にそれぞれ設定されている。
【0076】
一方、第2無偏光ビームスプリッタ18では、反射率が透過率よりも小さく設定されている。例えば、反射率が20%、透過率が80%にそれぞれ設定されている。なお、各無偏光ビームスプリッタにおける反射率および透過率は、上記の数値でなくてもよい。
【0077】
本実施形態に係る測距装置4では、光源11から出射された光源光L1のうち、第1無偏光ビームスプリッタ13で反射した光L10は、第2無偏光ビームスプリッタ18に入射する。第2無偏光ビームスプリッタ18は、第1無偏光ビームスプリッタ13で反射した光L10を、光L30と光L40とに分岐させる。光L30は、第2無偏光ビームスプリッタ18で反射した光である。一方、光L40は、第2無偏光ビームスプリッタ18を透過した光である。
【0078】
上記光L30は、第1入射光として物体100に入射する。光L30が物体100で反射した光L31は、第1反射光として第2無偏光ビームスプリッタ18へ向けて進行する。このとき、光L31の光軸は光L30の光軸とほぼ一致する。そのため、本実施形態では、第2無偏光ビームスプリッタ18が、同軸系の光L30および光L31を形成する第1光学部品として機能する。なお、光L31は、第2無偏光ビームスプリッタ18でさらに透過光と反射光とに分岐される。この透過光である光L33が、受光レンズ15を透過して受光部16で受光される。
【0079】
第2無偏光ビームスプリッタ18の透過光である光L40は、ミラー14で全反射する。全反射した光L40は、第3入射光として物体100に入射する。このとき、全反射した光L40の光軸が、光L30の光軸と平行となるように、ミラー14は配置されている。また、光L40が物体100で反射したL41は、第3反射光として第2無偏光ビームスプリッタ18へ向けて進行する。光L40および光L41は、各々の光軸が不一致な別軸系の光を形成する。光L41は、第2無偏光ビームスプリッタ18で透過光と反射光とに分岐される。この透過光である光L43は、受光レンズ15を透過して受光部16で受光される。
【0080】
一方、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20は、第2入射光として物体100に入射する。光L20が物体100で反射した光L21は、第2反射光として、第2無偏光ビームスプリッタ18に向けて進行する。本実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ13が、光軸が交差する(一致しない)別軸系の光L20および光L21を形成する第2光学部品として機能する。光L21は、第2無偏光ビームスプリッタ18でさらに透過光と反射光とに分岐される。この透過光である光L23は、受光レンズ15を透過して受光部16で受光される。
【0081】
本実施形態に係る測距装置4では、予め設定されたアライメント距離で光L20と光L30とが交差し、光L40が光L30と平行になるように光学設計されている。この場合、物体100がアライメント距離に配置されている場合、光L20が物体100で反射した光の一部である光L23と、光L30が物体100で反射した光の一部である光L33が、受光部16の光検出画素で受光される。その一方で、光L40が物体100で反射した光の一部である光L43は、上記光検出画素からずれている。
【0082】
ここで、
図14を参照して、測距装置4が固定設置され、物体100が移動体である場合を想定する。
【0083】
図14は、第4実施形態に係る測距装置4の測距対象の物体100が移動したときの状態を示す模式図である。
図14では、物体100は、アライメント距離よりも離れた位置に移動している。この場合、同軸系の光L33は、受光部16の光検出画素で受光される。その一方で、別軸系の光L23は、光検出画素からずれる可能性がある。この場合、光検出画素の受光量が減少するため、信号背景光比SNRが悪化することが想定される。
【0084】
しかし、本実施形態では、物体100の移動に伴って、別軸系の光L40と光L41との成す角度γが小さくなるため、光L41の一部である光L43が光検出画素に近づく。そのため、光L43の光量によって、減少した光検出画素の受光量を補うことができる。
【0085】
したがって、本実施形態によれば、物体100の移動に伴う信号背景光比SNRの悪化を最小限度に抑えることが可能となる。
【0086】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。ここでは、上述した第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
上述した第4実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20が、アライメント距離で光L30と交差するように、光源11を設置する必要がある。そのため、
図13に示すように受光部16に対して光源11を傾斜した状態で設置する制限が生じるため、測距装置5を収容する筐体の設計難易度が高くなる。
【0088】
一方、本実施形態に係る測距装置5では、
図15に示すように、第1無偏光ビームスプリッタ13を透過した光L20の光軸が、第2無偏光ビームスプリッタ18で反射した光L30の光軸と平行になるように、光源11が設置されている。そのため、光源11の設置に関する制限は、第4実施形態よりも緩和される。なお、本実施形態では、ミラー14で全反射した光L40が、アライメント距離で光L30と交差するように、ミラー14が配置されている。
【0089】
しかし、このようにミラー14の配置することは、第4実施形態のように光源11を設置することよりも容易である。したがって、本実施形態によれば、第4実施形態に比べて筐体の設計難易度が低くなる。これにより、筐体を小型化することが可能となる。
【0090】
(第6実施形態)
図16は、第6実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。ここでは、上述した第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0091】
本実施形態に係る測距装置6は、ミラー14の代わりに反射板21を備える。また、この測距装置6は、第3実施形態で説明した光検出器20(
図12参照)をさらに備える。
【0092】
反射板21の反射率は、100%よりも小さい。そのため、第2無偏光ビームスプリッタ18を透過した光L40の一部が反射し、残りの部分が、透過する。反射光である光L50は、第2無偏光ビームスプリッタ18で反射光と透過光とに分岐される。この反射光である光L51が、受光レンズ15を透過して受光部16に受光される。一方、反射板21を透過した光L60は、光検出器20に入射する。光検出器20は、光L60の光量を検出し、検出結果を制御部17へ出力する。
【0093】
上記のように構成された測距装置6において、例えば光源11が故障していると、光源光L1の強度が設計値よりも小さく出射されるため、光源光L1の一部である光L60の光量も小さくなる。そのため、例えば、光検出器20で検出された光L60の光量が予め設定された基準値よりも小さい場合に、制御部17は、光源11が故障していると判定する。
【0094】
反対に、光L60の光量が基準値以上である場合には、制御部17は、光源11が正常であると判定する。この場合、受光部16の光検出画素は、物体100の反射光である光L23および光L33と、反射板21および第2無偏光ビームスプリッタ18で反射した光L51を受光する。しかし、受光部16で故障が発生していると、各光が光検出画素で正しく受光されない。そこで、制御部17が、画素アレイ161から出力された画素信号に示された光検出画素の受光量が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、受光部16が故障していると判定する。
【0095】
以上説明した本実施形態によれば、光源11の故障と受光部16の故障とを切り分けて検知することが可能となる。
【0096】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0097】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0098】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0099】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝送するための駆動力伝送機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0100】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0101】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0102】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0103】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0104】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0105】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0107】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0108】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0109】
図18では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0110】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0111】
なお、
図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0112】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0113】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0116】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031に、上述の測距装置を実装することができる。撮像部12031に、本開示に係る技術を適用することにより、測距性能を向上させることができる。その結果、車両12100の機能性および安全性を高めることができる。
【0117】
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) 複数の発光素子を有する光源と、
前記複数の発光素子の少なくとも1つから出射された光源光から、測距対象の物体に入射する第1入射光と、前記第1入射光が前記物体で反射した第1反射光との光軸が一致する同軸系の光を形成する第1光学部品と、
前記光源光から、前記物体に入射する第2入射光と、前記第2入射光が前記物体で反射した第2反射光との光軸が交差する別軸系の光を形成する第2光学部品と、
前記第1反射光および前記第2反射光を受光し、受光量に基づいて前記物体までの距離を測定する受光部と、
を備える、測距装置。
(2) 前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射させるミラーであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記無偏光ビームスプリッタを透過して前記ミラーで全反射した光である、(1)に記載の測距装置。
(3) 前記無偏光ビームスプリッタにおいて、透過率が反射率よりも大きくて設定されている、(2)に記載の測距装置。
(4) 車両の速度の検出結果と、前記車両の周辺環境の検出結果と、の少なくとも1つに基づいて、前記ミラーを駆動する制御部をさらに備える、(2)または(3)に記載の測距装置。
(5) 前記制御部は、前記検出結果に応じて特定の距離を設定し、前記第1入射光と前記第2入射光との成す角度が、前記特定の距離に応じて設定された角度に調整されるように、前記ミラーを駆動する、(4)に記載の測距装置。
(6) 前記第1光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第2光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記他の2つの光のうち、第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量に基づいて前記光源の故障を検知する制御部と、をさらに備える、(1)に記載の測距装置。
(7) 前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定されている、(6)に記載の測距装置。
(8) 前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光を全反射するミラーをさらに備える、(1)に記載の測距装置。
(9) 前記ミラーで全反射した第3入射光が前記物体に入射し、前記第3入射光が前記物体で反射した第3反射光が前記受光部に受光可能であり、
前記第3入射光の光軸が前記第1入射光の光軸と平行である、(8)に記載の測距装置。
(10) 前記第1無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも高く設定され、
前記第2無偏光ビームスプリッタにおいて、反射率が透過率よりも低く設定されている、(9)に記載の測距装置。
(11) 前記受光部は、前記距離に応じて前記第2反射光または前記第3反射光を受光する、(9)または(10)に記載の測距装置。
(12) 前記物体が移動体であり、
前記物体が特定の距離に位置する場合、前記受光部は、第1反射光および前記第2反射光を受光し、
前記物体が、前記測距装置から前記特定の距離よりも離れた位置に移動した場合、前記受光部は、前記第1反射光および前記第3反射光を受光する、(11)に記載の測距装置。
(13) 前記第2入射光の光軸が、前記第1入射光の光軸と平行となるように、前記光源が設置されている、(7)に記載の測距装置。
(14) 前記第2光学部品が、前記光源光を2つの光に分岐させる第1無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光学部品が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタで反射した光を他の2つの光にさらに分岐させる第2無偏光ビームスプリッタであり、
前記第1入射光が、前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタで反射した光であり、
前記第2入射光が、前記2つの光のうち、前記第1無偏光ビームスプリッタを透過した光であり、
前記他の2つの光のうち、前記第2無偏光ビームスプリッタを透過した光の一部を反射させる反射板と、前記反射板を透過した光を検出する光検出器と、前記光検出器で検出された光量および前記受光部の受光量に基づいて、前記光源および前記受光部の故障を検知する制御部と、をさらに備える、(1)に記載の測距装置。
(15) 前記制御部は、前記光量が予め設定された基準値よりも小さい場合に前記光源が故障していると判定し、前記光量が前記基準値以上であり、かつ前記受光量が予め設定されたしきい値よりも小さい場合に前記受光部が故障していると判定する、(14)に記載の測距装置。
【符号の説明】
【0118】
1~6:測距装置
11:光源
13:第1無偏光ビームスプリッタ
14:ミラー
16:受光部
17:制御部
18:第2無偏光ビームスプリッタ
20:光検出器
21:反射板
100:物体