IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体発光装置 図1
  • 特開-半導体発光装置 図2
  • 特開-半導体発光装置 図3
  • 特開-半導体発光装置 図4
  • 特開-半導体発光装置 図5
  • 特開-半導体発光装置 図6
  • 特開-半導体発光装置 図7
  • 特開-半導体発光装置 図8
  • 特開-半導体発光装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166838
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/023 20210101AFI20231115BHJP
   H01S 5/02345 20210101ALI20231115BHJP
【FI】
H01S5/023
H01S5/02345
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077655
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 明人
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC18
5F173MD04
5F173MD23
5F173MD59
5F173MD70
5F173ME03
5F173ME04
5F173ME22
5F173ME63
5F173ME64
5F173ME86
(57)【要約】
【課題】電気的特性が改善された半導体発光装置を提供する。
【解決手段】半導体発光装置1は、ベース基板20と、サブマウント25と、第1電極33を含む半導体発光素子30と、導電ワイヤ40とを備える。サブマウント25は、絶縁部材26と、第1導電パターン28aと、第2導電パターン28bと、第1導電ビア28cとを含む。絶縁部材26は、ベース基板20に対向する第1主面26aと、第1主面26aとは反対側の第2主面26bとを含む。第2導電パターン28bは、第2主面26bから突出しているまたは第2主面26bに面一である。導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとに接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材を含むベース基板と、
前記ベース基板上に載置されているサブマウントと、
前記サブマウント上に載置されている半導体発光素子と、
導電ワイヤとを備え、
前記サブマウントは、絶縁部材と、第1導電パターンと、第2導電パターンと、第1導電ビアとを含み、
前記絶縁部材は、前記ベース基板に対向する第1主面と、前記第1主面とは反対側でありかつ前記半導体発光素子に対向する第2主面とを含み、
前記第1導電パターンは、前記第1導電部材に接合されており、
前記第2導電パターンは、前記第2主面から突出しているまたは前記第2主面に面一であり、
前記第1導電ビアは、前記第1主面から前記第2主面まで延在しており、かつ、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとに接続されており、
前記半導体発光素子は、発光層を含む半導体本体部と、前記半導体本体部上に設けられている第1電極とを含み、
前記導電ワイヤは、前記第1電極と前記第2導電パターンとに接続されている、半導体発光装置。
【請求項2】
前記サブマウントは、リードフレームと、前記絶縁部材である絶縁樹脂部材とを含み、
前記リードフレームは、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンと前記第1導電ビアとを含み、
前記第1導電ビアは、前記絶縁樹脂部材に埋め込まれている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記絶縁部材は、ガラスエポキシ基板、窒化アルミニウム基板またはアルミナ基板であり、
前記第1導電パターンは、前記絶縁部材の前記第1主面上に設けられており、
前記第2導電パターンは、前記絶縁部材の前記第2主面上に設けられている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第1主面と前記第2主面との間の距離である前記絶縁部材の厚さは、100μm以上である、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記半導体本体部は、前記サブマウントに対向する第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを含み、
前記第1電極は、前記第2表面上に設けられている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記ベース基板は、第2導電部材をさらに含み、
前記サブマウントは、第3導電パターンと、第4導電パターンと、第2導電ビアとをさらに含み、
前記半導体発光素子は、前記半導体本体部上に設けられている第2電極をさらに含み、
前記第3導電パターンは、前記第2導電部材に接合されており、
前記第4導電パターンは、前記第2電極に接合されており、
前記第2導電ビアは、前記第1主面から前記第2主面まで延在しており、かつ、前記第3導電パターンと前記第4導電パターンとに接続されている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記ベース基板に取り付けられている保護ケースをさらに備え、
前記保護ケースは、保護カバーと、透明板とを含み、
前記保護カバーは、前記半導体発光素子を収容し得るとともに、前面を含み、
前記前面に、前記半導体発光素子から放射される光が通る前面開口が設けられており、前記前面開口は、前記ベース基板から離れており、
前記透明板は、前記前面に取り付けられており、かつ、前記前面開口を閉塞している、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-125614号公報(特許文献1)の図38は、基材の第1層と、サブマウントと、半導体レーザ素子と、ワイヤボンディング部と、ワイヤとを備える半導体レーザ装置を開示している。サブマウントは、基材の第1層上に載置されている。半導体レーザ素子は、サブマウント上に載置されている。ワイヤボンディング部は、基材の第1層上に設けられている。ワイヤは、半導体レーザ素子とワイヤボンディング部とに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-125614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の半導体レーザ装置では、ワイヤが長い。そのため、ワイヤを伝搬して半導体レーザ装置に供給される駆動電流信号がワイヤのインダクタンスにより遅延して、半導体レーザ装置のピーク発光強度が不十分となる。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、電気的特性が改善された半導体発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の半導体発光装置は、第1導電部材を含むベース基板と、ベース基板上に載置されているサブマウントと、サブマウント上に載置されている半導体発光素子と、導電ワイヤとを備える。サブマウントは、絶縁部材と、第1導電パターンと、第2導電パターンと、第1導電ビアとを含む。絶縁部材は、ベース基板に対向する第1主面と、第1主面とは反対側でありかつ半導体発光素子に対向する第2主面とを含む。第1導電パターンは、第1導電部材に接合されている。第2導電パターンは、第2主面から突出しているまたは第2主面に面一である。第1導電ビアは、第1主面から第2主面まで延在しており、かつ、第1導電パターンと第2導電パターンとに接続されている。半導体発光素子は、発光層を含む半導体本体部と、半導体本体部上に設けられている第1電極とを含む。導電ワイヤは、第1電極と第2導電パターンとに接続されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体発光装置によれば、導電ワイヤを伝搬して半導体発光素子に供給される駆動電流信号の遅延が抑えられて、半導体発光装置の電気的特性が改善され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態1の半導体発光装置の概略平面図である。
図2図2は、実施の形態1の半導体発光装置の、図1に示される断面線II-IIにおける概略断面図である。
図3図3は、実施の形態1の半導体発光装置の、図1に示される断面線III-IIIにおける概略断面図である。
図4図4は、実施の形態1の半導体発光装置の、図1に示される断面線IV-IVにおける概略断面図である。
図5図5は、実施の形態1及び実施の形態2の半導体発光装置に含まれるベース基板の概略平面図である。
図6図6は、実施の形態2の半導体発光装置の概略平面図である。
図7図7は、実施の形態2の半導体発光装置の、図6に示される断面線VII-VIIにおける概略断面図である。
図8図8は、実施の形態2の半導体発光装置の、図6に示される断面線VIII-VIIIにおける概略断面図である。
図9図9は、実施の形態2の半導体発光装置の、図6に示される断面線IX-IXにおける概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面に基づいて本開示の実施の形態の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。以下に記載する実施の形態の少なくとも一部の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0009】
(実施の形態1)
図1から図5を参照して、実施の形態1の半導体発光装置1を説明する。半導体発光装置1は、ベース基板20と、サブマウント25と、半導体発光素子30と、導電ワイヤ40と、保護ケース10とを主に備える。
【0010】
図1から図5を参照して、ベース基板20は、絶縁基板21と、第1導電部材23と、第2導電部材22とを含む。ベース基板20は、例えば、プリント回路基板(PCB)である。具体的には、絶縁基板21は、主面21aと、主面21aとは反対側の主面21bとを含む。絶縁基板21は、特に限定されないが、例えば、ガラスエポキシ樹脂で形成されている。第2導電部材22は、第1導電部材23から離れており、第1導電部材23から電気的に絶縁されている。第1導電部材23及び第2導電部材22は、例えば、銅(Cu)のような金属で形成されている。図2から図4に示されるように、第1導電部材23及び第2導電部材22は、主面21aから突出している。第1導電部材23及び第2導電部材22は、さらに、主面21bから突出してもよい。そのため、ベース基板20は、実装基板(図示せず)に表面実装され得る。
【0011】
図1から図4を参照して、サブマウント25は、ベース基板20上に載置されている。サブマウント25は、絶縁部材26と、第1導電パターン28aと、第2導電パターン28bと、第3導電パターン27aと、第4導電パターン27bと、第1導電ビア28cと、第2導電ビア27cとを含む。
【0012】
絶縁部材26は、ベース基板20(より具体的には、絶縁基板21主面21a)に対向する第1主面26aと、第1主面26aとは反対側でありかつ半導体発光素子30に対向する第2主面26bとを含む。第1主面26aと第2主面26bとは、絶縁部材26の厚さ方向において、互いに離れている。第1主面26aと第2主面26bとの間の距離である絶縁部材26の厚さは、100μm以上である。絶縁部材26の厚さは、200μm以上であってもよく、300μm以上であってもよく、400μm以上であってもよい。本実施の形態では、絶縁部材26は、例えば、エポキシ樹脂のような絶縁樹脂で形成されており、絶縁樹脂部材である。
【0013】
図3及び図4に示されるように、第1導電パターン28aは、第1主面26aから突出している。第1導電パターン28aは、第1主面26aに面一であってもよい。第1主面26aの平面視において、第1導電パターン28aは、絶縁部材26から露出している。第1導電パターン28aは、はんだのような導電接合部材(図示せず)を用いて、第1導電部材23に接合されている。第2導電パターン28bは、第2主面26bから突出している。第2導電パターン28bは、第2主面26bに面一であってもよい。第2主面26bの平面視において、第2導電パターン28bは、絶縁部材26から露出している。
【0014】
第1導電ビア28cは、絶縁部材26の厚さ方向に延在している。第1導電ビア28cは、第1主面26aから第2主面26bまで延在している。第1導電ビア28cは、絶縁部材26に埋め込まれている。第1導電ビア28cは、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bとに接続されている。
【0015】
図2及び図4に示されるように、第3導電パターン27aは、第1主面26aから突出している。第3導電パターン27aは、第1主面26aに面一であってもよい。第1主面26aの平面視において、第3導電パターン27aは、絶縁部材26から露出している。第3導電パターン27aは、第1導電パターン28aから離れており、第1導電パターン28aから電気的に絶縁されている。第3導電パターン27aは、はんだのような導電接合部材(図示せず)を用いて、第2導電部材22に接合されている。第4導電パターン27bは、第2主面26bから突出している。第4導電パターン27bは、第2主面26bに面一であってもよい。第2主面26bの平面視において、第4導電パターン27bは、絶縁部材26から露出している。第4導電パターン27bは、第2導電パターン28bから離れており、第2導電パターン28bから電気的に絶縁されている。
【0016】
第2導電ビア27cは、絶縁部材26の厚さ方向に延在している。第2導電ビア27cは、第1主面26aから第2主面26bまで延在している。第2導電ビア27cは、絶縁部材26に埋め込まれている。第2導電ビア27cは、第3導電パターン27aと第4導電パターン27bとに接続されている。第2導電ビア27cは、第1導電ビア28cから離れており、第1導電ビア28cから電気的に絶縁されている。
【0017】
本実施の形態では、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bと第3導電パターン27aと第4導電パターン27bと第1導電ビア28cと第2導電ビア27cとは、リードフレームを形成している。すなわち、リードフレームは、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bと第3導電パターン27aと第4導電パターン27bと第1導電ビア28cと第2導電ビア27cとを含む。リードフレームは、例えば、銅(Cu)のような金属で形成されている。第2主面26bの平面視において、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bと第1導電ビア28cとは、互いに同じ形状及び同じ大きさを有している。第2主面26bの平面視において、第3導電パターン27aと第4導電パターン27bと第2導電ビア27cとは、互いに同じ形状及び同じ大きさを有している。
【0018】
図1図2及び図4を参照して、半導体発光素子30は、サブマウント25上に載置されている。半導体発光素子30は、半導体本体部31と、第1電極33と、第2電極32とを含む。半導体発光素子30の第2電極32は、はんだのような導電接合部材(図示せず)を用いて、サブマウント25の第4導電パターン27bに接合されている。半導体本体部31は、例えば、AlGaAs、InAlGaPまたはInAlGaNなどのような半導体材料で形成されている。半導体本体部31は、発光層34と、n型クラッド層(図示せず)と、p型クラッド層(図示せず)とを含む。発光層34は、n型クラッド層とp型クラッド層との間に配置されている。電流が第1電極33または第2電極32から発光層34に注入されると、発光層34から光35が放射される。本実施の形態では、半導体発光素子30はレーザダイオードであり、発光層34から放射される光35はレーザビームである。
【0019】
半導体本体部31は、サブマウント25に対向する第1表面31aと、第1表面31aとは反対側の第2表面31bとを含む。第1電極33と第2電極32とは、半導体本体部31上に設けられている。第1電極33は、第2電極32よりも、サブマウント25から離れている。例えば、第1電極33は第2表面31b上に設けられており、第2電極32は第1表面31a上に設けられている。本実施の形態では、第1電極33はアノード電極であり、第2電極32はカソード電極である。
【0020】
図1及び図4を参照して、導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとに接続されている。例えば、導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとにボンディングされている。導電ワイヤ40は、例えば、金(Au)、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)のような金属で形成されている。
【0021】
図1から図4を参照して、保護ケース10は、ベース基板20に取り付けられている。保護ケース10は、例えば、接着剤、ロウ材またははんだなどの接合部材(図示せず)を用いて、絶縁基板21に接合されている。保護ケース10は、保護カバー11と、透明板18とを含む。
【0022】
保護カバー11は、例えば、接着剤、ロウ材またははんだなどの接合部材(図示せず)を用いて、絶縁基板21の主面21aに接合されている。保護カバー11は、半導体発光素子30を収容し得る。保護カバー11の内側に、半導体発光素子30が収容される収容空間11hが形成されている。
【0023】
保護カバー11は、底面11aと、底面11aに接続されている前面11cとを含む。底面11aは、半導体発光素子30を支持するベース基板20に対向する。底面11aは、絶縁基板21の主面21aに対向している。底面11aは、開口している。底面11aに、底面開口11jが設けられている。底面開口11jは、収容空間11hにつながっている。前面11cは、開口している。前面11cに、前面開口11iが設けられている。前面開口11iは、収容空間11hにつながっている。前面開口11iは、底面11aから離れてもよい。半導体発光素子30から放射される光35(図4を参照)は、前面開口11iを通る。半導体発光装置1は、側面発光型の半導体発光装置である。
【0024】
保護カバー11は、頂面板12と、側面板13,14と、背面板15と、前面板16とを含む。頂面板12は、サブマウント25の第2主面26bに対向している。側面板13,14は、頂面板12に接続されており、かつ、互いに対向している。背面板15は、頂面板12及び側面板13,14に接続されている。前面板16は、頂面板12及び側面板13,14に接続されており、かつ、背面板15に対向している。
【0025】
保護カバー11の底面11aは、側面板13の底面と、側面板14の底面と、背面板15の底面と、前面板16の底面とを含む。前面板16は、保護カバー11の前面11cを含む。保護カバー11の前面11cは、前面板16の前面である。前面板16に、前面開口11iが設けられている。前面開口11iは、ベース基板20から離れてもよい。すなわち、前面板16の一部が、前面開口11iと絶縁基板21との間にあってもよい。底面開口11jは、側面板13と側面板14と背面板15と前面板16とによって規定される。
【0026】
半導体発光素子30の動作時に半導体発光素子30は発熱する。そのため、保護カバー11は、耐熱性及び放熱性に優れた材料で形成されていることが好ましい。保護カバー11は、例えば、銅(Cu)のような金属、樹脂またはガラスで形成されている。保護カバー11は、半導体発光素子30から放射される光35に対して不透明であってもよい。
【0027】
透明板18は、保護カバー11の前面11cに取り付けられている。透明板18は、例えば、接着剤、ロウ材またははんだなどの接合部材(図示せず)を用いて、保護カバー11の前面11cに接合されている。透明板18は、前面開口11iを閉塞している。透明板18は、半導体発光素子30から放射される光35(図4を参照)に対して保護カバー11より高い透過率を有しており、半導体発光素子30から放射される光35を透過させる。透明板18は、例えば、ガラスまたは透明樹脂で形成されている。
【0028】
本実施の形態の半導体発光装置1の動作を説明する。駆動回路(図示せず)から第1導電部材23に高周波パルス電流信号が供給される。高周波パルス電流信号は、第1導電パターン28a、第1導電ビア28c、第2導電パターン28b及び導電ワイヤ40を通って、半導体発光素子30に供給される。高周波パルス電流信号に従って、半導体発光素子30は光35を放射する。
【0029】
比較例の半導体発光装置と対比しながら、本実施の形態の半導体発光装置1の作用を説明する。比較例の半導体発光装置は、本実施の形態の半導体発光装置1と同様に構成されているが、以下の点で本実施の形態の半導体発光装置1と異なっている。比較例の半導体発光装置では、サブマウント25は、第1導電パターン28aと、第2導電パターン28bと、第1導電ビア28cとを含んでいない。サブマウント25(絶縁部材26)は、第1導電部材23に対向しておらず、第2主面26bの平面視において、第1導電部材23はサブマウント25(絶縁部材26)から露出している。導電ワイヤ40は、第1電極33と第1導電部材23とに接続されている。
【0030】
比較例の半導体発光装置では、導電ワイヤ40は、第1電極33と第1導電部材23とに接続されているのに対し、本実施の形態の半導体発光装置1では、導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとに接続されている。そして、第2導電パターン28bは、ベース基板20に対向する第1主面26aとは反対側のサブマウント25の第2主面26bから突出している、または、第2主面26bに面一である。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1では、比較例の半導体発光装置よりも、導電ワイヤ40の長さが減少する。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1では、導電ワイヤ40を伝搬して半導体発光素子30に供給される高周波パルス電流信号の劣化が抑えられる。本実施の形態の半導体発光装置1の電気的特性(例えば、高周波特性)が改善される。
【0031】
本実施の形態の半導体発光装置1の効果を説明する。
【0032】
本実施の形態の半導体発光装置1は、第1導電部材23を含むベース基板20と、ベース基板20上に載置されているサブマウント25と、サブマウント25上に載置されている半導体発光素子30と、導電ワイヤ40とを備える。サブマウント25は、絶縁部材26と、第1導電パターン28aと、第2導電パターン28bと、第1導電ビア28cとを含む。絶縁部材26は、ベース基板20に対向する第1主面26aと、第1主面26aとは反対側でありかつ半導体発光素子30に対向する第2主面26bとを含む。第1導電パターン28aは、第1導電部材23に接合されている。第2導電パターン28bは、第2主面26bから突出しているまたは第2主面26bに面一である。第1導電ビア28cは、第1主面26aから第2主面26bまで延在しており、かつ、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bとに接続されている。半導体発光素子30は、発光層34を含む半導体本体部31と、半導体本体部31上に設けられている第1電極33とを含む。導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとに接続されている。
【0033】
そのため、本実施の形態の半導体発光装置1では、導電ワイヤ40の長さが減少する。導電ワイヤ40を伝搬して半導体発光素子30に供給される駆動電流信号の遅延が抑えられて、半導体発光装置1の電気的特性が改善される。
【0034】
本実施の形態の半導体発光装置1では、サブマウント25は、リードフレームと、絶縁部材26である絶縁樹脂部材とを含む。リードフレームは、第1導電パターン28aと第2導電パターン28bと第1導電ビア28cとを含む。第1導電ビア28cは、絶縁樹脂部材に埋め込まれている。
【0035】
そのため、サブマウント25のコストが減少して、半導体発光装置1のコストが減少する。
【0036】
本実施の形態の半導体発光装置1では、第1主面26aと第2主面26bとの間の距離である絶縁部材26の厚さは、100μm以上である。
【0037】
そのため、半導体発光素子30の発光層34を、ベース基板20からより遠くに配置することができる。半導体発光素子30から放射される光35の一部が、ベース基板20またはベース基板20が実装される実装基板(図示せず)などによって遮られることが防止され得る。
【0038】
本実施の形態の半導体発光装置1では、半導体本体部31は、サブマウント25に対向する第1表面31aと、第1表面31aとは反対側の第2表面31bとを含む。第1電極33は、第2表面31b上に設けられている。
【0039】
第1電極33は半導体本体部31の第2表面31bに設けられているため、第1電極33と第1導電部材23との間の距離は長くなる。しかし、本実施の形態の半導体発光装置1では、導電ワイヤ40は、第1電極33と第2導電パターン28bとに接続されている。第2導電パターン28bは、第1導電ビア28cと第1導電パターン28aとによって、第1導電部材23に電気的に接続されている。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1では、導電ワイヤ40の長さが減少する。導電ワイヤ40を伝搬して半導体発光素子30に供給される駆動電流信号の遅延が抑えられて、半導体発光装置1の電気的特性が改善される。
【0040】
本実施の形態の半導体発光装置1では、ベース基板20は、第2導電部材22をさらに含む。サブマウント25は、第3導電パターン27aと、第4導電パターン27bと、第2導電ビア27cとをさらに含む。半導体発光素子30は、半導体本体部31上に設けられている第2電極32をさらに含む。第3導電パターン27aは、第2導電部材22に接合されている。第4導電パターン27bは、第2電極32に接合されている。第2導電ビア27cは、第1主面26aから第2主面26bまで延在しており、かつ、第3導電パターン27aと第4導電パターン27bとに接続されている。
【0041】
そのため、半導体発光素子30は、導電ワイヤ40を用いることなく、第2導電部材22に電気的に接続され得る。半導体発光素子30に供給される駆動電流信号の遅延が抑えられて、半導体発光装置1の電気的特性が改善される。
【0042】
本実施の形態の半導体発光装置1は、ベース基板20に取り付けられている保護ケース10をさらに備える。保護ケース10は、保護カバー11と、透明板18とを含む。保護カバー11は、半導体発光素子30を収容し得るとともに、前面11cを含む。前面11cに、半導体発光素子30から放射される光35が通る前面開口11iが設けられている。前面開口11iは、ベース基板20から離れている。透明板18は、前面11cに取り付けられており、かつ、前面開口11iを閉塞している。
【0043】
保護ケース10は半導体発光素子30を塵埃及び湿気などから保護するため、半導体発光装置1の寿命が延びる。また、半導体発光素子30はサブマウント25上に載置されているため、半導体発光素子30の発光層34を、前面開口11iを規定する縁のうちベース基板20に近い縁からより遠くに配置することができる。半導体発光素子30から放射される光35の一部が、前面開口11iを規定する縁のうちベース基板20に近い縁によって遮られることが防止され得る。
【0044】
(実施の形態2)
図5から図9を参照して、実施の形態2に係る半導体発光装置1を説明する。本実施の形態の半導体発光装置1は、実施の形態1の半導体発光装置1と同様の構成を備えるとともに、実施の形態1の半導体発光装置1と同様の効果を奏するが、サブマウント25において実施の形態1の半導体発光装置1と異なっている。
【0045】
本実施の形態では、絶縁部材26は、ガラスエポキシ基板、窒化アルミニウム基板またはアルミナ基板である。第1導電パターン28a及び第3導電パターン27aは、絶縁部材26の第1主面26a上に設けられている。第2導電パターン28b及び第4導電パターン27bは、絶縁部材26の第2主面26b上に設けられている。
【0046】
第1導電パターン28aと第2導電パターン28bと第3導電パターン27aと第4導電パターン27bと第1導電ビア28cと第2導電ビア27cとは、リードフレームを形成していない。第2主面26bの平面視において、第1導電ビア28cは、第1導電パターン28aの外周縁よりも内側にあり、かつ、第1導電パターン28aよりサイズが小さい。第2主面26bの平面視において、第1導電ビア28cは、第2導電パターン28bの外周縁よりも内側にあり、かつ、第2導電パターン28bよりサイズが小さい。第2主面26bの平面視において、第2導電ビア27cは、第3導電パターン27aの外周縁よりも内側にあり、かつ、第3導電パターン27aよりサイズが小さい。第2主面26bの平面視において、第2導電ビア27cは、第4導電パターン27bの外周縁よりも内側にあり、かつ、第4導電パターン27bよりサイズが小さい。
【0047】
実施の形態1及び実施の形態2では、半導体発光素子30はレーザダイオードであり、半導体発光装置1は半導体レーザ装置であるが、半導体発光素子30は発光ダイオード(LED)であり、半導体発光装置1はLED装置であってもよい。
【0048】
今回開示された実施の形態1及び実施の形態2はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0049】
(付記)
(1)半導体発光装置は、第1導電部材を含むベース基板と、ベース基板上に載置されているサブマウントと、サブマウント上に載置されている半導体発光素子と、導電ワイヤとを備える。サブマウントは、絶縁部材と、第1導電パターンと、第2導電パターンと、第1導電ビアとを含む。絶縁部材は、ベース基板に対向する第1主面と、第1主面とは反対側でありかつ半導体発光素子に対向する第2主面とを含む。第1導電パターンは、第1導電部材に接合されている。第2導電パターンは、第2主面から突出しているまたは第2主面に面一である。第1導電ビアは、第1主面から第2主面まで延在しており、かつ、第1導電パターンと第2導電パターンとに接続されている。半導体発光素子は、発光層を含む半導体本体部と、半導体本体部上に設けられている第1電極とを含む。導電ワイヤは、第1電極と第2導電パターンとに接続されている。
【0050】
(2)上記(1)の半導体発光装置では、サブマウントは、リードフレームと、絶縁部材である絶縁樹脂部材とを含む。リードフレームは、第1導電パターンと第2導電パターンと第1導電ビアとを含む。第1導電ビアは、絶縁樹脂部材に埋め込まれている。
【0051】
(3)上記(1)の半導体発光装置では、絶縁部材は、ガラスエポキシ基板、窒化アルミニウム基板またはアルミナ基板である。第1導電パターンは、絶縁部材の第1主面上に設けられている。第2導電パターンは、絶縁部材の第2主面上に設けられている。
【0052】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの半導体発光装置では、第1主面と第2主面との間の距離である絶縁部材の厚さは、100μm以上である。
【0053】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの半導体発光装置では、半導体本体部は、サブマウントに対向する第1表面と、第1表面とは反対側の第2表面とを含む。第1電極は、第2表面上に設けられている。
【0054】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの半導体発光装置では、ベース基板は、第2導電部材をさらに含む。サブマウントは、第3導電パターンと、第4導電パターンと、第2導電ビアとをさらに含む。半導体発光素子は、半導体本体部上に設けられている第2電極をさらに含む。第3導電パターンは、第2導電部材に接合されている。第4導電パターンは、第2電極に接合されている。第2導電ビアは、第1主面から第2主面まで延在しており、かつ、第3導電パターンと第4導電パターンとに接続されている。
【0055】
(7)上記(1)から(6)のいずれかの半導体発光装置は、ベース基板に取り付けられている保護ケースをさらに備える。保護ケースは、保護カバーと、透明板とを含む。保護カバーは、半導体発光素子を収容し得るとともに、前面を含む。保護カバーの前面に、半導体発光素子から放射される光が通る前面開口が設けられている。前面開口は、ベース基板から離れている。透明板は、保護カバーの前面に取り付けられており、かつ、前面開口を閉塞している。
【符号の説明】
【0056】
1 半導体発光装置、10 保護ケース、11 保護カバー、11a 底面、11c 前面、11h 収容空間、11i 前面開口、11j 底面開口、12 頂面板、13,14 側面板、15 背面板、16 前面板、18 透明板、20 ベース基板、21 絶縁基板、21a,21b 主面、22 第2導電部材、23 第1導電部材、25 サブマウント、26 絶縁部材、26a 第1主面、26b 第2主面、27a 第3導電パターン、27b 第4導電パターン、27c 第2導電ビア、28a 第1導電パターン、28b 第2導電パターン、28c 第1導電ビア、30 半導体発光素子、31 半導体本体部、31a 第1表面、31b 第2表面、32 第2電極、33 第1電極、34 発光層、35 光、40 導電ワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9