(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016688
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置及び方法と、これを用いた水電解システム
(51)【国際特許分類】
C25B 15/02 20210101AFI20230126BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20230126BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20230126BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20230126BHJP
C25B 9/70 20210101ALI20230126BHJP
C25B 15/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C25B15/02
C25B9/00 A
C25B1/04
H02J15/00 G
C25B9/70
C25B15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076742
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0096013
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】イ、セヨン
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA05
4K021CA09
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置及び方法、並びにこれを用いた水電解システムを提供する。
【解決手段】本発明は、再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配して電力供給を制御する制御装置であって、制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成され、スタック駆動条件は、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲であり、制御装置は、再生可能エネルギー発電機からの供給電力量が該当するスタック駆動条件に応じて水電解スタックの駆動を制御する、再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配して電力供給を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成され、
前記スタック駆動条件は、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲であり、前記制御装置は、前記再生可能エネルギー発電機からの供給電力量が該当するスタック駆動条件に応じて前記水電解スタックの駆動を制御する、再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項2】
前記スタック駆動条件は、n個の電力量の範囲によるn個の条件からなり、
前記制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定されたn個のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定し、
それぞれのスタック駆動条件別に、駆動される水電解スタックが割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項3】
前記n個の水電解スタックは、すべて同じスタック容量(A)を有し、
前記最小運転電力量は、最小運転係数(α)とスタック容量(A)によって決定されることを特徴とする、請求項2に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項4】
各スタック駆動条件の下限値は、前記最小運転電力量のn以下の整数倍に区分されて設定され、各スタック駆動条件の電力量の範囲は、前記最小運転電力量の大きさとして決定されることを特徴とする、請求項3に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項5】
前記スタック駆動条件のうち、最小の供給電力量で水電解スタックが運転可能な第1スタック駆動条件は、
αA≦供給電力量<2αAに設定され、
前記制御装置は、前記第1スタック駆動条件では第1水電解スタックのみが駆動されるように制御し、前記供給電力量が増加するにつれて、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックが順次駆動されるように制御することを特徴とする、請求項4に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項6】
複数の水電解スタックが駆動されている状態で、前記供給電力量の減少により前記水電解スタックの一部が駆動停止されなければならない場合、
前記制御装置は、駆動開始順序の逆順でスタック駆動を停止させるように制御することを特徴とする、請求項5に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項7】
前記供給電力量の減少により前記水電解スタックの一部が駆動停止された後、再び前記供給電力量が増加して前記水電解スタックの一部をさらに駆動させなければならない場合、
前記制御装置は、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックを駆動させることを特徴とする、請求項6に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置。
【請求項8】
再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配する制御装置によって水電解スタックの駆動を制御する再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法であって、
前記制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成され、
前記スタック駆動条件は、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲であり、前記制御装置は、前記再生可能エネルギー発電機からの供給電力量が該当するスタック駆動条件に応じて前記水電解スタックの駆動を制御する、再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項9】
前記水電解スタックモジュールの駆動状態で、
現在の供給電力量を測定するステップと、
以前に測定された供給電力量(W1)と現在測定された供給電力量(W2)とを比較して電力量の増減状況を確認するステップと、
電力量増減状況の確認結果に応じて電力供給制御を行うステップと、を含み、
前記電力供給制御は、前記スタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックに供給される電力量を、増減した電力量に応じて制御することを特徴とする、請求項8に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項10】
前記スタック駆動条件は、n個の電力量の範囲によるn個の条件からなり、
前記制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定されたn個のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定し、
それぞれのスタック駆動条件別に、駆動される水電解スタックが割り当てられることを特徴とする、請求項9に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項11】
前記n個の水電解スタックは、すべて同一のスタック容量(A)を有し、
前記最小運転電力量は、最小運転係数(α)とスタック容量(A)によって決定されることを特徴とする、請求項10に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項12】
各スタック駆動条件の下限値は、前記最小運転電力量の「n」以下の整数倍に区分されて設定され、各スタック駆動条件の電力量の範囲は、前記最小運転電力量の大きさとして決定されることを特徴とする、請求項11に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項13】
前記スタック駆動条件のうち、最小の供給電力量で水電解スタックが運転可能な第1スタック駆動条件は、
αA≦供給電力量<2αAに設定され、
前記制御装置は、前記第1スタック駆動条件では第1水電解スタックのみが駆動されるように制御し、前記供給電力量が増加するにつれて、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックが順次駆動されるように制御することを特徴とする、請求項12に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項14】
前記電力量増減状況確認ステップを介して、複数の水電解スタックが駆動されている状態で、前記供給電力量の減少により前記水電解スタックの一部が駆動停止されなければならないと判断された場合、
前記電力供給制御実施ステップでは、前記制御装置は、駆動開始順序の逆順でスタック駆動を停止させるように制御することを特徴とする、請求項13に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【請求項15】
前記電力量増減状況確認ステップを介して、前記供給電力量が減少して電力供給制御が行われた後に、再び供給電力量が増加すると確認された場合、
前記制御装置では、前記供給電力量の減少により前記水電解スタックの一部が駆動停止された後、再び前記供給電力量が増加して前記水電解スタックの一部をさらに駆動させなければならない場合であるか否かを確認し、
前記水電解スタックの一部をさらに駆動させなければならないと確認された場合、前記制御装置は、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックを駆動させることを特徴とする、請求項14に記載の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー発電装置から電力の供給を受ける水電解システムの運転制御技術に係り、さらに詳細には、発電量の変動性が大きい再生可能エネルギーに連携した水電解システムの水素生産性を改善することができる水電解スタックモジュールの運転制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、エネルギー密度が非常に高く、環境に優しいエネルギーとして単位質量当たりのエネルギー密度が一般的な燃料の中で最も高いため、次世代のエネルギー源として脚光を浴びている。エネルギー密度の高い水素を製造する方法には、化石燃料の改質、工業プロセスから発生する副生ガス、バイオマスガス化、再生可能エネルギーを用いた水電解などのさまざまな方法がある。
【0003】
水素製造方法中の水電解(Electrolysis)は、電気を用いて水分子を水素分子と酸素分子に分離して水素を得る方法である。水電解は、環境にやさしい水素生産方式であって、システムの構成が簡単で、運転が安定的であるうえ、低価格の電力を連携する場合に低価格の水素生産が可能な技術として知られている。
【0004】
水電解方法のうち、アルカリ水電解は、遥かに以前から知られている水素製造方法であって、電解液として25~30wt%のKOH(またはNaOH)を使用することができ、イオン交換用ダイヤフラム、及び水素と酸素を発生させる電極で構成される。
【0005】
このような水電解スタックでは、水電気分解の際に分離膜を基準に陽極から酸素、陰極から水素がそれぞれ発生し、微量の気体が互いに混ぜられる可能性がある。特に、低い運転範囲では、水素と酸素の発生量が減少するにつれて、酸素と水素の濃度比が増加して爆発の危険の発生が高くなる。
【0006】
したがって、一般的なアルカリ水電解スタックは、その爆発の危険性などにより運転範囲を制限している。アルカリ水電解スタックの平均運転範囲は15~100%であり、スタック容量の15%以下では安全上の理由から運転ができないように制限されている。
【0007】
一方、アルカリ水電解スタックの動力源として風力又は太陽光などの再生可能エネルギーを活用する場合、再生可能エネルギーの高い変動性により水素生産性が低下するという問題点がある。
【0008】
上記の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進させるためのものであり、当該技術分野における通常の知識を有する者には公知の従来技術に該当することを認めるものと受け入れられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2192913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、水電解スタックモジュールを変動性の高い再生可能エネルギーに連携して水電解システムを構成する場合、爆発の危険を防止するとともに生産性を極大化させることができる再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置及び方法と、これを用いた水電解システムを提供することにある。
【0011】
特に、本発明は、複数のアルカリ水電解スタックを含むモジュールを備えた水電解システムにおいて、アルカリ水電解スタックモジュールの運転範囲の制限を考慮して、複数の水電解スタックモジュールの効率的な動作区間を定義し、このような動作区間を再生可能エネルギー発電装置の供給電力量と連携させて低い負荷でも水素生産が可能な水電解スタックモジュール運転制御技術を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明による再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置は、再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配して電力供給を制御する制御装置であって、制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成され、スタック駆動条件は、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲であり、制御装置は、再生可能エネルギー発電機からの供給電力量が該当するスタック駆動条件に応じて水電解スタックの駆動を制御する。
【0013】
スタック駆動条件は、n個の電力量の範囲によるn個の条件からなり、制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定されたn個のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定し、それぞれのスタック駆動条件別に、駆動される水電解スタックが割り当てられることができる。
【0014】
n個の水電解スタックは、すべて同じスタック容量(A)を有し、最小運転電力量は、最小運転係数(α)とスタック容量(A)によって決定されることができる。
【0015】
各スタック駆動条件の下限値は、最小運転電力量のn以下の整数倍に区分されて設定され、各スタック駆動条件の電力量の範囲は、最小運転電力量の大きさとして決定されることができる。
【0016】
スタック駆動条件のうち、最小の供給電力量で水電解スタックが運転可能な第1スタック駆動条件は、αA≦供給電力量<2αAに設定され、制御装置は、第1スタック駆動条件では第1水電解スタックのみが駆動されるように制御し、供給電力量が増加するにつれて、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックが順次駆動されるよう制御することができる。
【0017】
複数の水電解スタックが駆動されている状態で、供給電力量の減少により水電解スタックの一部が駆動停止されなければならない場合、制御装置は、駆動開始順序の逆順でスタック駆動を停止させるように制御することができる。
【0018】
供給電力量の減少により水電解スタックの一部が駆動停止された後、再び供給電力量が増加して水電解スタックの一部をさらに駆動すべき場合、制御装置は、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックを駆動させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、上述した再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置を備え、このような制御装置を介して水電解スタックモジュールを制御する水電解システムを提供する。
【0020】
また、本発明に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法は、再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配する制御装置によって水電解スタックの駆動を制御する再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法であり、制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成され、スタック駆動条件は、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲であり、制御装置は、再生可能エネルギー発電機からの供給電力量が該当するスタック駆動条件に応じて水電解スタックの駆動を制御する。
【0021】
水電解スタックモジュールの駆動状態は、現在の供給電力量を測定するステップと、以前に測定された供給電力量W1と現在測定された供給電力量W2とを比較して電力量の増減状況を確認するステップと、電力量増減状況の確認結果に応じて電力供給制御を行うステップと、を含み、電力供給制御は、スタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックに供給される電力量を、増減した電力量に応じて制御することができる。
【0022】
スタック駆動条件は、n個の電力量の範囲によるn個の条件からなり、制御装置は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定されたn個のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定し、それぞれのスタック駆動条件別に、駆動される水電解スタックが割り当てられることができる。
【0023】
n個の水電解スタックは、すべて同一のスタック容量(A)を有し、最小運転電力量は、最小運転係数(α)とスタック容量(A)によって決定されることができる。
【0024】
各スタック駆動条件の下限値は、最小運転電力量の「n」以下の整数倍に区分されて設定され、各スタック駆動条件の電力量の範囲は、最小運転電力量の大きさとして決定されることができる。
【0025】
スタック駆動条件のうち、最小の供給電力量で水電解スタックが運転可能な第1スタック駆動条件は、αA≦供給電力量<2αAに設定され、制御装置は、第1スタック駆動条件では第1水電解スタックのみが駆動されるように制御し、供給電力量が増加するにつれて、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックが順次駆動されるように制御することができる。
【0026】
電力量増減状況確認ステップを介して、複数の水電解スタックが駆動されている状態で、供給電力量の減少により水電解スタックの一部が駆動停止されなければならないと判断された場合、電力供給制御実施ステップでは、制御装置は、駆動開始順序の逆順でスタック駆動を停止させるように制御することができる。
【0027】
電力量増減状況確認ステップを介して、供給電力量が減少して電力供給制御が行われた後に、再び電力供給電力量が増加すると確認された場合、制御装置は、供給電力量の減少により水電解スタックの一部が駆動停止された後、再び供給電力量が増加して水電解スタックの一部をさらに駆動すべき場合であるか否かを確認し、水電解スタックの一部をさらに駆動すべきと確認した場合、制御装置は、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックを駆動させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置及び方法と、これを用いた水電解システムによれば、再生可能エネルギーから発生した電力量が低い条件でも安定的な水素生産が可能なので、再生可能エネルギーの活用性を改善し、安定的な水素生産量を確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置を含む水電解システムの概略的な構成を示す構成図である。
【
図2】水電解スタックモジュールの運転中、再生可能エネルギー発電装置の供給電力量に応じて電力供給増減制御が行われる例を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法において、供給電力量の増加による制御を行う例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法において、供給電力量の減少による制御を行う例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法において、供給電力量の増加/減少による水電解スタックのオン/オフ制御に関する実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る水電解スタックモジュールの制御装置は、再生可能エネルギーに連結された水電解システムに活用可能なものであり、特に、アルカリ水電解スタックのように、安全上の理由から、平均運転範囲をスタック容量の一定の範囲、例えば15%~100%程度に制限して運転する水電解スタックを含む水電解システムに適した制御装置、及びこれを用いた運転制御方法に関する。
【0031】
これに関連し、本発明の好適な実施形態における水電解スタックとは、水の電気分解を介して水素と酸素を生成する装置であって、分離膜を基準に、水素と酸素を発生させるために配置された陽極と陰極を含む装置である。一方、本発明における水電解スタックは、制御装置によって駆動制御(スタックオン/オフを含む供給電力量の制御)される装置単位を指し示すために使用されるものに過ぎず、多数の水電解セルを含むスタックを意味するものに限定されない。したがって、単一な水電解セルであっても、制御装置によって独立して駆動制御可能な形態であれば、本発明における水電解スタックに含まれるものと解釈することができる。また、本明細書では、アルカリ水電解スタックを例示として説明しているが、本発明は安全上の問題又は他の問題によりスタック容量の特定の範囲以下で運転が不可能な形態の水電解スタックにも利用可能である。
【0032】
再生可能エネルギー発電装置は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを活用してエネルギーを生産する発電装置を意味する。再生可能エネルギー発電装置の場合、気象などの外部要因によって、電力供給量の変動性が大きいため、本発明では、このような再生可能エネルギー発電装置に関連した水電解システム、すなわち、再生可能エネルギー発電装置をエネルギー源として活用するシステムの場合、根本的に持つしかない供給発電量の変動性を考慮して電力供給量の低い条件でも安定的な水素生産が可能なシステムを提供しようとすることに技術的要旨がある。したがって、本発明では、再生可能エネルギー発電装置に連携した水電解システムを例示として好適な実施形態を説明しているが、本発明は、このような例に限定されるものではなく、特に電力生産量に対する変動性を有するエネルギー源に連携した水電解システムの活用可能性を制限するものではないことを明らかにしておく。
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置及び方法と、これを用いた水電解システムを詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの制御装置を説明するためのものであり、本発明に係る制御装置によって水電解スタックモジュールが運転制御される水電解システムの概略構成を示す構成図である。
【0035】
図1における区分表示される各線は、電気、電解質(水)、電解質+水素、水素の移動経路をそれぞれ示す。
【0036】
図1に示すように、本発明に係る制御装置20を含む水電解システムは、再生可能エネルギー発電装置10と連携し、再生可能エネルギー発電装置10から生産された電力の供給を受けて水電解スタックモジュール30を駆動するように構成される。制御装置20は、再生可能エネルギー発電装置10から供給された電力を変換して各水電解スタック31、32、33、34、35に分配するように構成される。このため、制御装置20は、再生可能エネルギー発電装置10から生産された電力を、水電解スタック31、32、33、34、35の駆動に適した電力に変換する電力変換装置を含むことができる。
【0037】
電解質タンク40には、25~30wt%のKOHなどの電解質が貯蔵され、電解質タンク40に貯蔵された電解質は、ポンプによって水電解スタックモジュール30に供給され得る。
【0038】
水電解スタックモジュール30は、2以上の複数の水電解スタック31、32、33、34、35を含み、電解質タンク40から電解質の供給を受け、再生可能エネルギー発電装置10から供給された電力によって電気分解を介して水素を生産する。生成された水素及び電解質は、スタックの出口を介して気液分離器50に伝達され、気液分離器50では、発生した水素ガスと電解液を分離する。
【0039】
気液分離器50を介して分離された電解液は、電解質タンク40に復帰され、生成された水素は、水素精製器60に伝達された後、水素の純度を高めて高純度の水素に精製される。
【0040】
一方、本発明における制御装置20は、2以上の水電解スタック31、32、33、34、35を含む水電解スタックモジュール30を駆動することに特徴がある。特に、本発明における制御装置20は、各水電解スタック31、32、33、34、35を駆動するという点に特徴がある。
【0041】
水電解スタックモジュール30の場合、必ず区分されて動作可能な2以上の複数の水電解スタック31、32、33、34、35を含むように構成されるが、これは、スタック別に運転可能な範囲を分けて割り当て、割り当てられた運転可能範囲を基準に、再生可能エネルギー発電装置10からの供給電力量による運転制御ができるように構成するためである。
【0042】
例えば、容量5MW(1000Nm3/hの水素生産能力)の単一な水電解スタックを含む場合には、運転可能範囲を15%~100%とすれば、水素生産量は150~1000Nm3/hとなり、平均電力使用量を5.0kWh/Nm3とすれば、電力使用量は750kh~5000kWhの範囲となる。
【0043】
一方、単一な水電解スタックの代わりに、容量1MW(200Nm3/hの水素生産能力)の5つの水電解スタックを含む水電解スタックモジュール30を使用する場合、各水電解スタックの運転可能範囲を15%~100%とすれば、水素生産量は30~1000Nm3/hとなり、平均電力使用量を5.0kWh/Nm3とすれば、電力使用量は150kWh~5000kWhの範囲となる。
【0044】
したがって、前記二つの例を比較すると、容量5MW(1000Nm3/hの水素生産能力)の単一な水電解スタックを含む場合、スタック駆動のために必要な最小電力量は、750kWhであるのに対し、容量1MW(200Nm3/hの水素生産能力)の5つの水電解スタックを使用する場合、同じ水素生産能力を維持しつつ、最小電力量を150kWhレベルに落とすことができる。これは、前者の場合には、スタック駆動のための最小運転電力量が容量5MWの最小運転可能範囲15%に該当する750kWhであるのに対し、後者の場合には、1つの水電解スタック駆動のための最小運転電力量が容量1MWの最小運転可能範囲15%に該当する150kWhに減少するからである。
【0045】
従って、このように水電解スタックモジュール30及びその制御のための制御装置20を構成する場合、水素生産が可能な可動範囲を実質的に拡張することができるので、発電量が極めて低い条件でも水素生産が可能になり、安定且つ持続的な水素生産が可能であるという利点がある。
【0046】
したがって、本発明の好適な一実施形態に係る制御装置20を含む水電解システムは、後者の場合のように複数の水電解スタックを含み、制御装置20は、再生可能エネルギー発電装置10から供給された電力を変換して、予め設定された供給電力量による運転条件に応じて、それぞれの水電解スタックに電力量を分配して供給することができるように構成される。つまり、本発明の好適な具現例によれば、水電解スタックのオン/オフが予め決定された電力量の範囲に該当するスタック駆動条件を区分して設定し、このスタック駆動条件に応じて、再生可能エネルギー発電装置10から供給される電力量分配制御を行うことにより、低負荷での水素生産性を確保できる。
【0047】
具体的には、制御装置20は、再生可能エネルギー発電機から電力の供給を受けてn個(n≧2)の水電解スタックに電力を分配して電力供給を制御するように構成でき、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定された2以上のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定するように構成できる。ここで、最小運転電力量は、最小運転係数αとスタック容量Aに基づいて決定できる。このとき、最小運転係数は、各水電解スタックの運転可能範囲の下限に設定された水電解スタックの固有値であり得る。したがって、同じ仕様の水電解スタックを使用する場合には、前記最小運転係数α、スタック容量A及び最小運転電力量はすべて同じである。
【0048】
スタック駆動条件は、n個の電力量の範囲によるn個の条件からなることができ、制御装置20は、それぞれの水電解スタックに対して予め設定された最小運転電力量に基づいて決定されたn個のスタック駆動条件に応じて、各水電解スタックを駆動するか否かを決定することができる。また、それぞれのスタック駆動条件の場合には、スタック駆動条件別に、駆動される水電解スタックが割り当てられることができる。また、各スタック駆動条件の下限値は、最小運転電力量のn以下の整数倍に区分されて設定されることができ、各スタック駆動条件の電力量の範囲は、最小運転電力量の大きさとして決定されることができる。
【0049】
例えば、スタック駆動条件のうち、最小の供給電力量で水電解スタックが運転可能な第1スタック駆動条件は、αA≦供給電力量<2αAに設定され、制御装置20は、第1スタック駆動条件では第1水電解スタックのみが駆動されるように制御されることができる。また、第2スタック駆動条件は、2αA≦供給電力量<3αAに設定され、制御装置20は、第2スタック駆動条件では第1水電解スタックと一緒に第2水電解スタックが駆動されるように制御することができる。このような例示の場合、第1スタック駆動条件では第1水電解スタックが駆動されるように割り当てられ、第2スタック駆動条件では第1水電解スタックと一緒に第2水電解スタックが駆動されるように割り当てられた場合である。
【0050】
前述したように、n個の水電解スタックを有する水電解システムの場合は、n個の電力量の範囲によるn個のスタック駆動条件に応じてシステムの制御が可能である。よって、供給電力量の増加に応じて、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックが順次駆動されるように制御されることができる。
【0051】
これに関連し、
図1では5つの水電解スタックを含む水電解スタックモジュール30を備える水電解システムを開示しており、以下では、このような水電解スタックモジュールに対する運転制御方法をその例示と共に説明する。
【0052】
図1の5つの水電解スタックが容量1MW(200Nm
3/hの水素生産能力)、5.0kh/Nm
3の平均電力使用量及び15%~100%の水電解スタック運転可能範囲を有するとすれば、下記表1に示すように、スタック駆動条件を設定することができる。
【表1】
【0053】
前記表1によれば、第1スタック駆動条件では1番スタックにのみ電力が供給されて1番スタックのみが駆動され、第2スタック駆動条件では1番、2番スタックが駆動される。また、第3スタック駆動条件では1番、2番、3番スタックが駆動され、第4スタック駆動条件では1番、2番、3番、4番スタックが駆動され、第5スタック駆動条件ではすべての水電解スタックが駆動される。
【0054】
各スタック駆動条件での供給電力量の分配は、予め設定された制御ロジックに基づいて決定でき、好ましくは、各スタックに分配される電力量を同一に制御することができる。
【0055】
表1の例によれば、再生可能エネルギー発電装置からの供給電力量が300kWh未満である場合、1番スタックで60Nm3/h未満の水素生産が可能であり、供給電力量が45kWh未満である場合、1番、2番スタックでそれぞれ45Nm3/h未満の水素生産が可能である。また、供給電力量が600kWh未満である場合、1番、2番、3番スタックでそれぞれ40Nm3/h未満の水素生産が可能であり、供給電力量が750kWh未満である場合、1番、2番、3番、4番スタックでそれぞれ37.5Nm3/h未満の水素生産が可能である。同様に、供給電力量が750kWh以上5000kWh未満である場合、すべてのスタックでそれぞれ200Nm3/h未満の水素生産が可能である。
【0056】
図2は水電解スタックモジュールの運転中、再生可能エネルギー発電装置の供給電力量に応じて電力供給増減制御が行われる例を説明するためのフローチャートである。
【0057】
図2に示すように、水電解スタックモジュールの運転中(S201)、リアルタイムで再生可能エネルギー発電装置から供給される供給電力量を測定する(S202)。その後、制御装置では、以前の測定時間で測定された供給電力量W1と現在測定された供給電力量W2とを比較して電力量の増減状況を確認するステップ(S203)を行うことができる。
【0058】
このとき、現在測定された供給電力量W2が、以前に測定された供給電力量W1よりも大きい場合には、電力の供給が増加する場合なので、電源供給増加制御を行う(S204)。これに対し、現在測定された供給電力量W2が、以前に測定された供給電力量W1よりも小さい場合には、電力の供給が減少する場合なので、電力供給減少制御を行う(S205)。
【0059】
電力供給制御は、スタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックのオン/オフを制御するだけでなく、各水電解スタックに供給される電力量を、増減した供給電力量に応じて適宜分配するように制御装置によって制御されることを意味する。
【0060】
図3は本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法において、供給電力量の増加による制御を行う例を示すフローチャートである。
【0061】
特に、
図3では、供給電力量がスタック可動運転範囲以下から最大の運転範囲まで順次増加する場合について説明する。本例は、表1に示すように、5つのスタック駆動条件を区分し、それぞれのスタック駆動条件に対して水電解スタックを割り当てた例に関するものである。
【0062】
図3に示すように、リアルタイムで供給電力量を測定し(S301)、供給電力量が150kWh(スタックの最小運転電力量)未満である場合(S311)、水電解スタックの駆動が不可能な場合であるので、水電解スタックを駆動させず待機する(S312)。
【0063】
一方、再生可能エネルギー発電装置による供給電力量が増加して150kWh≦供給電力量<300kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S321)、制御装置によって、1番スタックの駆動をオンにし、残りのスタックの駆動オフを維持するように制御する(S322)。
【0064】
再生可能エネルギー発電装置による供給電力量が増加して300kWh≦供給電力量<450kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S331)、制御装置によって、さらに2番スタックの駆動をオンにし、残りのスタックである3番、4番、5番スタックの駆動オフを維持するように制御する(S332)。この場合、好ましくは、1番スタックと2番スタックに供給される電力量を同一に維持するように制御することができる。
【0065】
供給電力量がさらに増加して450kWh≦供給電力量<600kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S341)、制御装置によって、さらに3番スタックの駆動をオンにし、残りのスタックである4番、5番スタックの駆動オフを維持するように制御する(S342)。このときも、やはり1番スタック乃至3番スタックに供給される電力量は、同一に制御できる。
【0066】
同様に、供給電力量がさらに増加して600kWh≦供給電力量<750kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S351)、制御装置によって、さらに4番スタックの駆動をオンにし、残りのスタックである5番スタックの駆動オフを維持するように制御する(S352)。
【0067】
以後、供給電力量がさらに増加して750kWh≦供給電力量<5000kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S361)、制御装置によって、さらに5番スタックの駆動をオンにしてすべての水電解スタックが駆動されるように制御する(S362)。
【0068】
もし供給電力量が5000kWh以上に増加すると、水電解スタックは最大容量で駆動が可能なので、制御装置は、5000kWhに電力量を制御して(S363)、すべてのスタックを動作させる(S364)。
【0069】
一方、複数の水電解スタックが駆動されている状態で、供給電力量の減少により、水電解スタックの一部が駆動停止されなければならない場合、制御装置は、駆動開始順序の逆順でスタック駆動を停止させるように制御することができる。
【0070】
これに関連し、
図4は本発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電装置用水電解スタックモジュールの運転制御方法において、供給電力量の減少による制御を行う例を示すフローチャートである。特に、
図4では、750kWh≦供給電力量<5000kWhの範囲で水電解スタックモジュールが運転している状態で、供給電力量の減少に起因する制御を説明している。
【0071】
図4に示すように、リアルタイムで供給電力量を測定し(S401)、750kWh≦供給電力量<5000kWhの範囲を維持する場合(S411)、すべての水電解スタックが駆動されるように制御する(S412)。
【0072】
これに対し、再生可能エネルギー発電装置からの供給電力量が減少して600kWh≦供給電力量<750kWhの範囲の供給電力量が供給されると確認された場合(S421)、制御装置によって、1番スタックの駆動をオフにし、残りのスタックである2番、3番、4番、5番スタックの駆動オンを維持するように制御する(S422)。
【0073】
以後、供給電力量が再び減少して450kWh≦供給電力量<600kWhの範囲の供給電力量が供給されると確認された場合(S431)、制御装置によって、さらに2番スタックの駆動をオフにし、残りのスタックである3番、4番、5番スタックの駆動オンを維持するように制御する(S432)。
【0074】
供給電力量がさらに減少して300kWh≦供給電力量<450kWhの範囲の供給電力量が供給されると確認された場合(S441)、制御装置によって、さらに3番スタックの駆動をオフにし、残りのスタックである4番、5番スタックの駆動オンを維持するように制御する(S442)。
【0075】
また、供給電力量が減少して150kWh≦供給電力量<300kWhの範囲の供給電力量が供給される場合(S451)、制御装置によって、さらに4番スタックの駆動をオフにし、残りのスタックである5番スタックの駆動オンのみを維持するように制御する(S452)。
【0076】
以後、供給電力量が150kWh(スタックの最小運転電力量)未満に落ちる場合、水電解スタックの駆動が不可能な場合なので、5番スタックも駆動オフにして、すべての水電解スタックを停止させた状態で待機する(S453)。
【0077】
一方、供給電力量の減少により水電解スタックの一部が駆動停止した後、さらに供給電力量が増加して水電解スタックの一部をさらに駆動すべき場合、制御装置は、駆動順序とは無関係に、それぞれのスタック駆動条件に割り当てられた水電解スタックを駆動させることにより、駆動順序に関連する制御条件を初期化することができる。
【0078】
これに関連し、
図5では供給電力量の増加/減少による水電解スタックのオン/オフ制御に関する例を説明している。
【0079】
図5に示すように、再生可能エネルギー発電装置からの供給電力量が400kWhである状態では、水電解スタックモジュールの1番、2番スタックのみの駆動がオンとなるように制御される。以後、供給電力量が700kWhに増加すると、第4スタック駆動条件に応じて割り当てられた1番、2番、3番、4番スタックの駆動がオンとなるように制御装置による水電解スタックモジュールの制御が行われる。
【0080】
一方、再生可能エネルギー発電装置による供給電力量が減少して350kWhに供給電力量が落ちた場合、300kWh≦供給電力量<450kWhの範囲に該当する第2スタック駆動条件に該当するので、2つの水電解スタックのみが駆動オン状態を維持しなければならない。
【0081】
このとき、先立って
図4の例で説明したように、スタック駆動順序に従って、駆動オフになるスタックが決定でき、特に、供給電力量の急減により一度に複数のスタックがオフにならなければならない場合には、スタック駆動条件の変化に応じて駆動オフになるべきスタックを決定するための制御ロジックが制御装置内に予め保存できる。
【0082】
例えば、供給電力量が700kWhから350kWhに減少する場合には、初期に動作していた2つのスタックである1番、2番スタックが優先的にオフになることができる。
【0083】
一方、これとは異なり、後順位に割り当てられた水電解スタック、すなわち相対的に高い供給電力量で活性化される水電解スタックに、駆動されるべきスタックを変更するように設定されることができる。この場合、
図5に示すように、駆動の後順位に該当する4番、5番スタックが駆動オンになるのに対し、1番、2番、3番スタックは駆動オフになるように制御装置によって制御されることができる。
【0084】
以後、減少した供給電力量が350kWhから600kWhに再び回復して増加傾向を示す場合、第4スタック駆動条件に応じて、2つのスタックがさらに駆動オンにならなければならないので、この場合、駆動順序を初期化して、1番、2番、3番、4番スタックは駆動オンに制御し、5番スタックは駆動オフに切り替えるように制御することができる。
【0085】
以後は駆動順序が初期化されたので、供給電力量が増加する場合には5番スタックを駆動オンに切り替え、供給電力量が減少する場合には1番スタック、2番スタック、3番スタックの順で順次駆動オフに制御することができる。
【0086】
本発明の特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術思想から逸脱することなく、本発明に多様な改良及び変化を加え得るのは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0087】
10 再生可能エネルギー発電装置
20 制御装置
30 水電解スタックモジュール
31、32、33、34、35 水電解スタック
40 電解質タンク
50 気液分離器
60 水素精製器