(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166890
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20231115BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077743
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】近山 学
(72)【発明者】
【氏名】松田 利彦
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322DA01
5E322FA01
5F136BA03
5F136CB07
5F136CB08
5F136CB13
5F136CB27
(57)【要約】
【課題】発熱体と接触する突起部を有する場合において、良好な冷却性能を有する冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、第1の面に発熱体と熱的に接触する突起部が設けられ、第1の面の裏面である第2の面に突起部からの熱を伝達し、冷媒と熱交換するための熱交換部が設けられている、ベース材と、ベース材との間で、熱交換部に冷媒を供給する冷媒流路を構成するケース材と、を備え、突起部は、内部に空洞部を有し、空洞部にはベース材の前記第2の面から冷媒が流出入可能であって、空洞部にも熱交換部が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に発熱体と熱的に接触する突起部が設けられ、前記第1の面の裏面である第2の面に前記突起部からの熱を伝達し、冷媒と熱交換するための熱交換部が設けられている、ベース材と、
前記ベース材との間で、前記熱交換部に冷媒を供給する冷媒流路を構成するケース材と、
を備え、
前記突起部は、内部に空洞部を有し、前記空洞部には前記ベース材の前記第2の面から前記冷媒が流出入可能であって、前記空洞部にも前記熱交換部が設けられている、冷却装置。
【請求項2】
前記突起部の内部の前記空洞部の前記熱交換部に沿って、前記冷媒が流れる冷媒流路が設けられている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記突起部の内部の前記空洞部の側面部にも前記熱交換部が設けられている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記突起部の内部の前記空洞部の前記熱交換部と、前記突起部の外部の前記熱交換部とは、連続して設けられている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記ケース材は、前記冷媒流路に冷媒を供給する冷媒流入口及び冷媒流出口をさらに備え、
前記ケース材は、前記ベース材に対して、前記冷媒流入口及び冷媒流出口が第1の方向に取り付けられた第1の形態と、前記冷媒流入口及び冷媒流出口が前記第1の方向と異なる第2の方向に取り付けられた第2の形態との2つの形態で取付け可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ケース材は、第1のケース材と第2のケース材とを含み、
前記第1のケース材は、前記突起部の内部の前記空洞部の前記熱交換部に冷媒を流すように構成され、
前記第2のケース材は、前記冷媒流入口と前記冷媒流出口とを備え、前記第1のケース材を保持しながら、前記ベース材に取付け可能である、請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記ベース材は、前記ケース材に対して、円周に沿って配置された複数のネジ孔についてネジ止めされており、
前記第1の形態に対応する複数のネジ孔でネジ止めして前記ベース材と前記ケース材とを前記第1の形態で取付け可能であり、前記第2の形態に対応する複数のネジ孔でネジ止めして前記ベース材と前記ケース材とを前記第2の形態で取付け可能である、請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記複数のネジ孔は、円周に沿って等間隔に配置されている、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記第2のケース材は、中心に冷媒を流通させる筒状溝と、前記筒状溝と同心円状に外周方向に冷媒を流通させる環状溝と、を有し、
前記筒状溝が前記冷媒流入口と接続され、前記環状溝が前記冷媒流出口と接続されている、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記第1のケース材は、前記第2のケース材の前記筒状溝から前記突起部の内部の前記空洞部の熱交換部に向かう冷媒の流路を画成する、請求項9に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記ベース材は、前記ケース材に対して、把持部材によって前記ベース材と前記ケース材とを把持している、請求項6に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体を冷却する冷却システムに用いるための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、発熱体1を冷却する冷媒を用いた冷却装置10を含む液冷型の冷却システム50の構成を示す概略図である。発熱体1を冷却するための冷却システムでは、例えば、ポンプ20と放熱部30との間に発熱体1からの熱を冷媒と熱交換するための熱交換部を有する冷却装置を配置して、冷媒を冷却装置に供給して、その熱を冷媒で受け、放熱部30で放熱させて冷媒を冷却し、ポンプ20を介して冷媒を循環させている。
【0003】
発熱体が、例えば、プロジェクタで用いられる表示装置におけるデジタルマイクロミラー(DMD)などの部材の場合には、DMDが配置されている基板等の電気接点との物理的干渉を回避する必要がある。このため、発熱体と接触する冷却装置の受熱部を一部分に限定的にする必要がある。
【0004】
例えば、下部に発熱体を配置し、上部から冷媒を供給して冷却する電子機器用の冷却装置及び受熱部材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、デジタルマイクロミラー(DMD)などでは、DMDが配置されている基板等の電気接点との物理的干渉を回避する必要があり、発熱体と接触させる受熱部を突起部とする必要がある。通常、突起部を銅などで構成して、突起部から熱伝導でフィンに熱を伝達させて、フィンで冷媒と熱交換させている。
【0007】
しかし、突起部を熱伝導性の良好な銅で構成していても、
図10Aに示すように、十分に冷却することが困難であった。
【0008】
そこで、本開示は、発熱体と接触する突起部を有する場合において、良好な冷却性能を有する冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る冷却装置は、第1の面に発熱体と熱的に接触する突起部が設けられ、第1の面の裏面である第2の面に突起部からの熱を伝達し、冷媒と熱交換するための熱交換部が設けられている、ベース材と、ベース材との間で、熱交換部に冷媒を供給する冷媒流路を構成するケース材と、を備え、突起部は、内部に空洞部を有し、空洞部にはベース材の第2の面から冷媒が流出入可能であって、空洞部にも熱交換部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る冷却装置によれば、突起部の内部に空洞部を有し、空洞部に熱交換部が設けられているので、良好な冷却性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】発熱体を冷却する冷却装置を含む冷却システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る冷却装置の外観を示す概略斜視図である。
【
図3】
図2の冷却装置の主要な構成部材の概要を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る冷却装置を構成するベース材の裏面の構成を示す概略斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る冷却装置を構成する第1のケース材の概要を示す概略斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る冷却装置を構成する第2のケース材の概要を示す概略斜視図である。
【
図7】
図2の冷却装置について、冷媒流入口からの冷媒の流入方向に垂直な断面における冷媒の流れを示す概略断面図である。
【
図8】
図2の冷却装置について、冷媒流入口から冷媒の流入方向に平行な断面における冷媒の流れを示す概略断面図である。
【
図9】
図2の冷却装置について、冷媒流出口への冷媒の流出方向に平行な断面における冷媒の流れを示す概略断面図である。
【
図10A】突起部を中実体で構成し、その下部にフィンを設けて冷媒と熱交換させた場合の温度分布を示す断面温度分布図である。
【
図10B】突起部の内部に空洞部を有し、空洞部に熱交換部であるフィンを設けた実施の形態1に係る冷却装置による温度分布を示す断面温度分布図である。
【
図11A】実施の形態2に係る冷却装置を構成するベース材のネジ孔を示す平面図である。
【
図11B】実施の形態2に係る冷却装置を構成する第2のケース材のネジ孔を示す平面図である。
【
図12A】
図11Aのベース材のネジ孔と
図11Bの第2のケース材のネジ孔とを第1の形態(0°)で組み合わせてネジ止めした場合の冷却装置の外観を示す平面図である。
【
図12B】
図11Aのベース材のネジ孔と
図11Bの第2のケース材のネジ孔とを第2の形態(120°)で組み合わせてネジ止めした場合の冷却装置の外観を示す平面図である。
【
図13】実施の形態3に係る冷却装置を構成するベース材の熱交換部であるフィンの延在方向に垂直な断面における冷媒の流れを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の態様に係る冷却装置は、第1の面に発熱体と熱的に接触する突起部が設けられ、第1の面の裏面である第2の面に前記突起部からの熱を伝達し、冷媒と熱交換するための熱交換部が設けられている、ベース材と、ベース材との間で、熱交換部に冷媒を供給する冷媒流路を構成するケース材と、を備え、突起部は、内部に空洞部を有し、空洞部にはベース材の第2の面から冷媒が流出入可能であって、空洞部にも熱交換部が設けられている。
【0013】
第2の態様に係る冷却装置は、上記第1の態様において、突起部の内部の空洞部の前記熱交換部に沿って、前記冷媒が流れる冷媒流路が設けられていてもよい。
【0014】
第3の態様に係る冷却装置は、上記第1又は第2の態様において、突起部の内部の前記空洞部の側面部にも前記熱交換部が設けられていてもよい。
【0015】
第4の態様に係る冷却装置は、上記第1から第3のいずれかの態様において、突起部の内部の空洞部の熱交換部と、突起部の外部の熱交換部とは、連続して設けられていてもよい。
【0016】
第5の態様に係る冷却装置は、上記第1から第4のいずれかの態様において、ケース材は、冷媒流路に冷媒を供給する冷媒流入口及び冷媒流出口をさらに備え、ケース材は、ベース材に対して、冷媒流入口及び冷媒流出口が第1の方向に取り付けられた第1の形態と、冷媒流入口及び冷媒流出口が第1の方向と異なる第2の方向に取り付けられた第2の形態との2つの形態で取付け可能であってもよい。
【0017】
第6の態様に係る冷却装置は、上記第5の態様において、ケース材は、第1のケース材と第2のケース材とを含み、第1のケース材は、突起部の内部の空洞部の熱交換部に冷媒を流すように構成され、第2のケース材は、冷媒流入口と冷媒流出口とを備え、第1のケース材を保持しながら、ベース材に取付け可能であってもよい。
【0018】
第7の態様に係る冷却装置は、上記第6の態様において、ベース材は、ケース材に対して、円周に沿って配置された複数のネジ孔についてネジ止めされており、第1の形態に対応する複数のネジ孔でネジ止めしてベース材とケース材とを第1の形態で取付け可能であり、第2の形態に対応する複数のネジ孔でネジ止めしてベース材とケース材とを第2の形態で取付け可能であってもよい。
【0019】
第8の態様に係る冷却装置は、上記第7の態様において、複数のネジ孔は、円周に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0020】
第9の態様に係る冷却装置は、上記第7又は第8の態様において、第2のケース材は、中心に冷媒を流通させる筒状溝と、筒状溝と同心円状に外周方向に冷媒を流通させる環状溝と、を有し、筒状溝が冷媒流入口と接続され、環状溝が冷媒流出口と接続されていてもよい。
【0021】
第10の態様に係る冷却装置は、上記第9の態様において、第1のケース材は、第2のケース材の筒状溝から突起部の内部の空洞部の熱交換部に向かう冷媒の流路を画成してもよい。
【0022】
第11の態様に係る冷却装置は、上記第6の態様において、ベース材は、前記ケース材に対して、把持部材によって前記ベース材と前記ケース材とを把持していてもよい。
【0023】
以下、実施の形態に係る冷却装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0024】
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1に係る冷却装置10の外観を示す概略斜視図である。
図3は、
図2の冷却装置10の主要な構成部材の概要を示す分解斜視図である。なお、図面において、便宜上、ベース材6の突起部2に発熱体1が配置されている面がXY面であり、このXY面に垂直な方向がZ方向であり、
図2で冷媒流出入口9a、9bが設けられている方向をY方向として示している。また、XY面でY方向と垂直な方向をX方向としている。
実施の形態1に係る冷却装置10は、第1の面(表面)に発熱体1と接触する突起部2が配置され、第2の面(裏面)に突起部からの熱を伝達し、冷媒との熱交換を行う熱交換部4が設けられているベース材6と、ベース材6の熱交換部4に冷媒を供給する冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bを備えたケース材8(8a、8b)と、を備える。第2の面(裏面)は、第1の面とは反対側の面である。また、熱交換部4では、発熱体1からの熱を、突起部2を介して受熱し、冷媒と熱交換する。突起部2は、内部に空洞部7を有し、空洞部にも熱交換部4が設けられている。
上記構成によって、冷媒の配管の向きを適宜変更することができる。これによって、表示装置、電子部品等の発熱体についての様々な冷却システムの配置に対応させることができる。
【0025】
以下に、この冷却装置10を構成する各部材について説明する。
【0026】
<発熱体>
発熱体1は、例えば、表示装置におけるデジタルマイクロミラー(DMD)である。また、電子部品であってもよい。なお、発熱体1は、上記のものに限定されない。
【0027】
<冷媒>
冷媒14は、例えば、不凍液である。また、エチレングリコール、プロピレングリコール等を用いることができる。なお、上記の例に限られない。
【0028】
<ベース材>
図4は、実施の形態1に係る冷却装置10を構成するベース材6の裏面(第2の面)の構成を示す概略斜視図である。ベース材6は、
図3に示すように、第1の面(表面)に発熱体1と接触する突起部2が配置され、
図4に示すように、第1の面とは反対側の第2の面(裏面)に発熱体1からの熱を、突起部2を介して受熱し、冷媒14に移動させる熱交換部4が設けられている。
【0029】
また、ベース材6は、ケース材8(8b)に対して、円周に沿って配置された複数のネジ孔12についてネジ11によってネジ止めされている。複数のネジ孔12は、例えば、円周に沿って等間隔に設けられている。なお、ベース材6とケース材8との取付けは、上記ネジによる場合に限られない。例えば、板バネ等の把持部材によって、ベース材6とケース材8とを取付けてもよい。
【0030】
<突起部>
図2、3に示すように、突起部2は、発熱体1と接触して受熱する。突起部2によって発熱体1から受熱するので、例えば、発熱体1がDMDの場合には、DMDが配置されている基板等の電気接点との物理的干渉を回避することができる。また、突起部2は、ベース材6の表面(第1の面)に設けられており、裏面(第2の面)に設けられた熱交換部4と熱伝導で熱を伝える。突起部2の形状は、
図2及び
図3等では長方形であるが、これに限定されず、発熱体1と接触できる形状であればよい。例えば、多角形、円形、楕円形等であってもよい。
突起部2は、内部に空洞部7を有し、空洞部7にはベース材6の第2の面から冷媒が流出入可能であって、空洞部7にも熱交換部4が設けられている。
【0031】
<熱交換部>
熱交換部4は、例えば、板状のフィン4aが平行に複数並べられた形状である。複数のフィン4aの間を冷媒が流れる。熱交換部4は、突起部2の内部の空洞部7と、空洞部7の外側のベース材6の裏面(第2の面)とに設けられ、表面(第1の面)に配置された発熱体1及び突起部2からの熱を受熱する。複数のフィン4aは、実質的に同一の形状を有し、平行に配置されている。例えば、0.2mm~0.3mmのピッチのマイクロフィンであってもよい。平行フィンとすることによって、冷媒の流路形成が容易であり、ポンプの負荷を低減できる。また、平行フィンを流路方向にそって配置すればよく、冷媒の流れる向きを決めやすい。
【0032】
また、
図7の断面図に示すように、フィン4aは、突起部2の内部の空洞部7の内壁に沿って延在してもよい。フィン4aとベース材6とは一体的に設けられていてもよい。また、空洞部7のフィン4aと空洞部7の外側のフィン4aとは、連続していてもよい。あるいは、不連続であってもよい。
なお、熱交換部4は、上記の場合に限られない。例えば、フィンは、板状フィンではなく、丸形の柱状フィンであってもよい。この場合には、例えば、柱状フィンを正方格子状、三角格子状等に配置してもよい。あるいはランダムに配置してもよい。
フィン4aは、例えば、金属3Dプリンタ等によって作製してもよい。
【0033】
また、熱交換部4のフィン4aは、発熱体1及び突起部2の構成及び形状に応じて適切な構成及び配置とすることができる。この場合、発熱体1と熱交換部4のフィン4aとの配置が特定の配置となる。このため、熱交換部4を有するベース材6の方向が発熱体1に対して一定の方向に設定される場合がある。
【0034】
<ケース材>
ケース材8は、ベース材6の熱交換部4に冷媒を供給する冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bを備える。ケース材8は、第1のケース材8aと第2のケース材8bとを含む。
【0035】
<第1のケース材>
図5は、実施の形態1に係る冷却装置10を構成する第1のケース材8aの概要を示す概略斜視図である。第1のケース材8aは、ベース材6の熱交換部4と第2のケース材8bとの間に配置され、開口部5を介して突起部2の内部の空洞部7の熱交換部4に沿って冷媒を流すように構成されている。第1のケース材8aは、例えば、ゴム製のゴムシートである。この第1のケース材8aによって、空洞部7の熱交換部4の複数のフィン4aに沿って、第2のケース材8bからの冷媒が熱交換部4の複数のフィン4aの間の溝に沿って流れる流路を画成する。第1のケース材8aは、突起部2の内部の空洞部7まで開口部5から冷媒14を導く役割を有する。これによって、冷媒流入口9aから流入する冷媒を突起部2の内部の空洞部7の熱交換部4のフィン4aに導くことができ、長い突起部2を中実体で構成した場合に比べて、高い冷却性能を得ることができる。
【0036】
<第2のケース材>
図6は、実施の形態1に係る冷却装置10を構成する第2のケース材8bの概要を示す概略斜視図である。第2のケース材8bは、冷媒流入口9aと冷媒流出口9bとを備え、第1のケース材8aを保持する。第2のケース材8bは、中心に冷媒を流通させる筒状溝15と、筒状溝15の外周方向に冷媒を流通させる環状溝16と、を有する。筒状溝15が冷媒流入口9aと接続され、環状溝16が冷媒流出口9bと接続されている。第2のケース材には、例えば、第1のケース材8aを嵌め込む「だぐり」を設けてもよい。上記第1のケース材8a及び第2のケース材8bによって、熱交換部4から第2のケース材8bの環状溝16への冷媒の流路を画成できる。
また、第2のケース材8bも円周に沿って配置された複数のネジ孔13を有する。ベース材6のネジ孔12と第2のケース材8bのネジ孔13とをそれぞれ対応させてネジ11によってネジ止めすることで、ベース材6とケース材8とを取り付けることができる。なお、ベース材6とケース材8とのそれぞれの対向面には、例えば、水漏れを防止するためのOリングゴム挿入用溝を設けている。
【0037】
<冷媒流出入口>
冷媒流入口9aと冷媒流出口9bとは、
図2及び
図3に示すように、いずれも同じY方向に配置してもよい。あるいは、冷媒流入口9aと冷媒流出口9bとをそれぞれ別々の方向に配置してもよい。例えば、第2のケース材8bを挟んで、冷媒流入口9aと冷媒流出口9bとを+Y方向と-Y方向とにそれぞれ配置してもよい。
【0038】
<冷媒の流れについて>
図7は、
図2の冷却装置10について、冷媒流入口9aからの冷媒14の流入方向に垂直な断面における冷媒14の流れを示す概略断面図である。
図8は、
図2の冷却装置10について、冷媒流入口9aから冷媒14の流入方向に平行な断面における冷媒14の流れを示す概略断面図である。
図9は、
図2の冷却装置10について、冷媒流出口9bへの冷媒14の流出方向に平行な断面における冷媒14の流れを示す概略断面図である。
冷媒流入口9aから流入した冷媒14は、入口15aを介して第2のケース材8bの中央の筒状溝15に導かれる。筒状溝15に導かれた冷媒14は、Z方向上方に配置された第1のケース材8aの開口部5を介して突起部2の内部の空洞部7の熱交換部4の平行に配置されたフィン4aの間に導かれる。フィン4aの間に導かれた冷媒14は、フィン4aの延在方向に沿って+X方向及び-X方向の両方向に流れる。このとき、発熱体1から突起部2へ、そして、突起部2からフィン4aに流れてきた熱3は、フィン4aから冷媒14に移行する。その後、冷媒14は、フィン4aの両端から筒状溝15の外周に設けられた環状溝16に入り、環状溝16に沿って外周を巡って、出口16aを介して冷媒流出口9bから流出する。冷媒14は、例えば、
図1に示すように、配管を介して放熱部30で熱を放熱して、ポンプ20を介して冷却装置10へと循環する。
なお、冷媒流入口9aのZ方向における高さと冷媒流出口9bのZ方向における高さとは、
図8及び
図9に示すように、冷媒流入口9aより冷媒流出口9bのほうが高くなっているが、これに限られない。両者が同じ高さであってもよい。あるいは逆であってもよい。
また、冷媒14が流れる方向は、上記方向に限られない。冷媒14は、例えば、逆方向に流れてもよい。この場合、冷媒流入口と冷媒流出口との符号が入れ替わる構成であってもよい。
【0039】
<突起部の内部の空洞部の熱交換部による効果>
図10Aは、突起部2を中実体で構成し、その下部にフィン4aを設けて冷媒と熱交換させた場合の温度分布を示す断面温度分布図である。
図10Bは、突起部2の内部に空洞部7を有し、空洞部7に熱交換部であるフィン4aを設けた実施の形態1に係る冷却装置による温度分布を示す断面温度分布図である。
図10Aでは、中実体の突起部2の頂部の温度が11.7℃で、やや白色を呈している。一方、
図10Bでは、空洞部7を有する突起部2の頂部の温度が10.3℃であり、
図10Aに比べて低温となっている。
実施の形態1に係る冷却装置によれば、突起部2の内部に空洞部7を有し、空洞部7に熱交換部を設け、冷媒を空洞部に導くことによって、中実部の突起部を用いた場合に比べてより高い冷却性能を有する。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る冷却装置は、実施の形態1に係る冷却装置と対比すると、ケース材8は、ベース材に対して、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bが複数の方向に取付け可能になっている点で相違する。具体的には、ケース材8は、ベース材6に対して、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bが第1の方向に取り付けられた第1の形態と、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bが第1の方向と異なる第2の方向に取り付けられた第2の形態との2つの形態で取付け可能である。
【0041】
<ベース材とケース材との配置について>
図11Aは、実施の形態2に係る冷却装置を構成するベース材6のネジ孔12a~12fを示す平面図である。
図11Bは、実施の形態2に係る冷却装置を構成する第2のケース材8bのネジ孔13a~13fを示す平面図である。
図12Aは、
図11Aのベース材6のネジ孔12a~12fと
図11Bの第2のケース材8bのネジ孔13a~13fとを第1の形態(0°)で組み合わせてネジ止めした場合の冷却装置の外観を示す平面図である。
図12Bは、
図11Aのベース材6のネジ孔12a~12fと
図11Bの第2のケース材8bのネジ孔13c~13f、13a、13bとを第2の形態(120°)で組み合わせてネジ止めした場合の冷却装置の外観を示す平面図である。
ここで第1の形態(0°)とは、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bが第1の方向(+Y方向)に取り付けられた場合をいう。この場合、ベース材6のネジ孔12a~12fと第2のケース材8bのネジ孔13a~13fとをそれぞれ対応させてネジ11a~11fでネジ止めすることで、ベース材6とケース材8とを第1の形態で取り付けることができる。
また、第2の形態(120°)とは、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bが第2の方向(+Y方向から120°をなす方向)に取り付けられた場合をいう。この場合、ベース材6のネジ孔12a~12fと第2のケース材8bのネジ孔13e、13f、13a~13dとをそれぞれ対応させてネジ11a~11fでネジ止めすることで、ベース材6とケース材8とを第2の形態で取り付けることができる。この場合、第2のケース材8bのネジ孔13aは、ベース材6のネジ孔12cと対応付けられてネジ止めされる。
【0042】
上記のように、第1の形態(0°)だけでなく、第2の形態(120°)でもベース材6とケース材8とを取り付けられる。これによって、冷媒流入口9a及び冷媒流出口9bを第1の方向(+Y方向)だけでなく、第2の方向(+Y方向から120°をなす方向)にも向けることができる。そこで、発熱体1に対して一定の方向にしか冷媒の配管を向けることができなかった場合に比べて、冷媒の配管の向きを変えることができ、冷却システムの配置の制限にも対応できる。
【0043】
(実施の形態3)
図13は、実施の形態3に係る冷却装置を構成するベース材6の熱交換部であるフィン4aの延在方向に垂直な断面における冷媒14の流れを示す概略断面図である。
実施の形態3に係る冷却装置では、実施の形態1及び2に係る冷却装置と対比して、冷媒14の流路が、中央から外周への流れではなく、例えば、-X方向から+X方向に一方向に沿って流れるようにしてもよい。これによって、選択可能な冷媒の流路の選択枝を広げることができる。
【0044】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示に係る冷却装置によれば、発熱体と接触する突起部の内部に空洞部を有し、該空洞部に熱交換部を設けているので、高い冷却性能を有する。これによって、例えば、表示装置に用いられるDMDを高性能で冷却できるので、表示装置をより高輝度とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 発熱体
2 突起部
3 熱
4 熱交換部
4a フィン
5 開口部
6 ベース材
8 ケース材
7 空洞部
8a 第1のケース材
8b 第2のケース材
9a 冷媒流入口
9b 冷媒流出口
10 冷却装置
11、11a、11b、11c、11d、11e、11f ネジ
12、12a、12b、12c、12d、12e、12f ネジ孔
13、13a、13b、13c、13d、13e、13f ネジ孔
14 冷媒
15 筒状溝
15a 入口
16 環状溝
16a 出口
20 ポンプ
30 放熱部
50 冷却システム