(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166900
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20231115BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20231115BHJP
F22D 1/36 20060101ALI20231115BHJP
F22D 1/32 20060101ALI20231115BHJP
C07C 1/12 20060101ALN20231115BHJP
【FI】
B01J19/00 E
F22B1/18 D
F22D1/36
F22D1/32 Z
C07C1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077755
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 裕之
【テーマコード(参考)】
4G075
4H006
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA43
4G075AA44
4G075AA45
4G075BA01
4G075BB02
4G075BD14
4G075CA02
4G075CA51
4G075CA54
4G075DA01
4G075EA06
4G075EB09
4H006AA04
4H006AC29
4H006BA16
4H006BA19
4H006BA20
4H006BC13
4H006BD81
(57)【要約】
【課題】熱媒体によって回収された熱を利用可能な技術を提供する。
【解決手段】発電システムは、触媒における原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する反応塔と、前記反応塔を通って前記反応塔内を所定範囲の運転温度に維持する熱媒体を加熱源として液体から蒸気を生成する蒸気生成部と、前記蒸気生成部によって生成された前記蒸気で駆動する発電部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒における原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する反応塔と、
前記反応塔を通って前記反応塔内を所定範囲の運転温度に維持する熱媒体を加熱源として液体から蒸気を生成する蒸気生成部と、
前記蒸気生成部によって生成された前記蒸気で駆動する発電部と、を備える、
発電システム。
【請求項2】
前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する予熱部を更に備える、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱するガス予熱部を更に備える、
請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記反応塔を通った前記熱媒体で予熱するガス予熱部を更に備える、
請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項5】
第1の反応塔および第2の反応塔を含む複数の前記反応塔と、
前記第1の反応塔に前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、を更に備え、
前記熱媒体は、前記第2の反応塔を通った後、前記第1の反応塔を通って前記蒸気生成部において前記加熱源として用いられ、
前記第1の反応塔から前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスが前記第2の反応塔に供給される、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記第1の反応塔から送出される前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスによって予熱する第1の予熱部と、
前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記第2の反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する第2の予熱部と、を更に備える、
請求項5に記載の発電システム。
【請求項7】
前記第1の反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記第1の反応塔から送出される前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスによって予熱する第1のガス予熱部と、
前記第2の反応塔へ供給する前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスを、前記第2の反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する第2のガス予熱部と、を更に備える、
請求項5または6に記載の発電システム。
【請求項8】
前記第1の反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記第1の反応塔を通った前記熱媒体で予熱する第1のガス予熱部と、
前記第2の反応塔へ供給する前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスを、前記第2の反応塔を通った前記熱媒体で予熱する第2のガス予熱部と、を更に備える、
請求項5または6に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、気体状態の反応物の発熱反応によって、製品ガスを生成させる生成装置及び生成方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触媒が充填された反応器内に原料ガスを供給し、原料ガスの発熱反応によって原料ガスから製品ガスが生成される。反応器に熱媒体を通し、原料ガスの発熱反応時に発生する反応熱を熱媒体によって回収している。反応器を通った後の熱媒体は、冷却水を使って冷却されており、熱媒体によって回収された熱は利用されていない。
【0005】
本発明の目的は、熱媒体によって回収された熱を利用可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、触媒における原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する反応塔と、前記反応塔を通って前記反応塔内を所定範囲の運転温度に維持する熱媒体を加熱源として液体から蒸気を生成する蒸気生成部と、前記蒸気生成部によって生成された前記蒸気で駆動する発電部と、を備える、発電システムである。
【0007】
熱媒体が反応塔を通ることにより、熱媒体が反応塔内における原料ガスの反応熱を回収する。反応塔を通った熱媒体は、反応塔内における原料ガスの反応熱によって加熱されている。反応塔における運転温度が高くなると、反応塔を通った熱媒体の温度が高くなる。反応塔を通った熱媒体を加熱源として液体から蒸気を生成し、生成された蒸気で発電部を駆動することにより、熱媒体によって回収された熱を利用することが可能となる。これにより、プロセス全体又はプロセスの一部におけるエネルギー効率を向上することができる。
【0008】
上記発電システムは、前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する予熱部を更に備えてもよい。予熱部において、蒸気生成部へ供給する液体と、反応塔から送出される製品ガスとの間で熱交換が行われる。反応塔内における原料ガスの発熱反応による反応塔の昇温により、反応塔から送出される製品ガスは温められている。したがって、蒸気生成部へ供給する液体を、反応塔から送出される製品ガスによって予熱することが可能である。蒸気生成部へ供給する液体を、反応塔から送出される製品ガスによって予熱することで、予熱された液体を蒸気生成部内に供給することができる。
【0009】
上記発電システムは、前記反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱するガス予熱部を更に備えてもよい。反応塔へ供給する原料ガスと、反応塔から送出される製品ガスとの間で熱交換が行われる。反応塔内における原
料ガスの発熱反応による反応塔の昇温により、反応塔から送出される製品ガスは温められている。したがって、反応塔へ供給する原料ガスを、反応塔から送出される製品ガスによって予熱することが可能である。反応塔へ供給する原料ガスを、反応塔から送出される製品ガスによって予熱することで、予熱された原料ガスを反応塔内に供給することができる。
【0010】
上記発電システムは、前記反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記反応塔を通った前記熱媒体で予熱するガス予熱部を更に備えてもよい。反応塔へ供給する原料ガスと、反応塔を通った熱媒体との間で熱交換が行われる。反応塔を通った熱媒体は、反応塔内における原料ガスの反応熱によって加熱されている。したがって、反応塔へ供給する原料ガスを、反応塔を通った熱媒体によって予熱することが可能である。反応塔へ供給する原料ガスを、反応塔を通った熱媒体で予熱することで、予熱された原料ガスを反応塔内に供給することができる。
【0011】
上記発電システムは、第1の反応塔および第2の反応塔を含む複数の前記反応塔と、前記第1の反応塔に前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、を更に備え、前記熱媒体は、前記第2の反応塔を通った後、前記第1の反応塔を通って前記蒸気生成部において前記加熱源として用いられ、前記第1の反応塔から前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスが前記第2の反応塔に供給されてもよい。第2の反応塔を通った熱媒体は、第2の反応塔における原料ガスの反応熱によって加熱され、第1の反応塔を通った熱媒体は、第1の反応塔における原料ガスの反応熱によって更に加熱されている。第1および第2の反応塔を通った熱媒体を加熱源として液体から蒸気を生成し、生成された蒸気で発電部を駆動することにより、熱媒体によって回収された熱を利用することが可能となる。
【0012】
上記発電システムは、前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記第1の反応塔から送出される前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスによって予熱する第1の予熱部と、前記蒸気生成部へ供給する前記液体を、前記第2の反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する第2の予熱部と、を更に備えてもよい。第1の反応塔内における原料ガスの発熱反応による第1の反応塔の昇温により、第1の反応塔から送出される製品ガス及び原料ガスは温められている。したがって、蒸気生成部へ供給する液体を、第1の反応塔から送出される製品ガス及び原料ガスによって予熱することが可能である。蒸気生成部へ供給する液体を、第1の反応塔から送出される製品ガス及び未反応の原料ガスによって予熱することで、予熱された液体を蒸気生成部内に供給することができる。第2の反応塔内における原料ガスの発熱反応による第2の反応塔の昇温により、第2の反応塔から送出される製品ガスは温められている。したがって、蒸気生成部へ供給する液体を、第2の反応塔から送出される製品ガスによって予熱することが可能である。蒸気生成部へ供給する液体を、第2の反応塔から送出される製品ガスによって予熱することで、予熱された液体を蒸気生成部内に供給することができる。
【0013】
上記発電システムは、前記第1の反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記第1の反応塔から送出される前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスによって予熱する第1のガス予熱部と、前記第2の反応塔へ供給する前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスを、前記第2の反応塔から送出される前記製品ガスによって予熱する第2のガス予熱部と、を更に備えてもよい。第1の反応塔内における原料ガスの発熱反応による第1の反応塔の昇温により、第1の反応塔から送出される製品ガス及び未反応の原料ガスは温められている。したがって、第1の反応塔へ供給する原料ガスを、第1の反応塔から送出される製品ガス及び未反応の原料ガスによって予熱することが可能である。第1の反応塔へ供給する原料ガスを、第1の反応塔から送出される製品ガスによって予熱することで、予熱された原料ガスを第1の反応塔内に供給することができる。第2の反応塔内における原料ガスの発熱反応による第2の反応塔の昇温により、第2の反応塔から送出される製品ガスは温められて
いる。したがって、第2の反応塔へ供給する原料ガスを、第2の反応塔から送出される製品ガスによって予熱することが可能である。第2の反応塔へ供給する原料ガスを、第2の反応塔から送出される製品ガスによって予熱することで、予熱された原料ガスを第2の反応塔内に供給することができる。
【0014】
上記発電システムは、前記第1の反応塔へ供給する前記原料ガスを、前記第1の反応塔を通った前記熱媒体で予熱する第1のガス予熱部と、前記第2の反応塔へ供給する前記製品ガスおよび未反応の前記原料ガスを、前記第2の反応塔を通った前記熱媒体で予熱する第2のガス予熱部と、を更に備えてもよい。第1の反応塔を通った熱媒体は、第1の反応塔内における原料ガスの反応熱によって加熱されている。したがって、第1の反応塔へ供給する原料ガスを、第1の反応塔を通った熱媒体によって予熱することが可能である。第1の反応塔へ供給する原料ガスを、第1の反応塔を通った熱媒体で予熱することで、予熱された原料ガスを第1の反応塔内に供給することができる。第2の反応塔を通った熱媒体は、第2の反応塔内における原料ガスの反応熱によって加熱されている。したがって、第2の反応塔へ供給する原料ガスを、第2の反応塔を通った熱媒体によって予熱することが可能である。第2の反応塔へ供給する原料ガスを、第2の反応塔を通った熱媒体で予熱することで、予熱された原料ガスを第2の反応塔内に供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
熱媒体によって回収された熱を利用可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る発電システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る発電システムの詳細構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る発電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る発電システムの概略構成図である。
図1に示す発電システム100は、原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する反応塔を通る熱媒体を加熱源として液体から生成した蒸気により発電を行う。例えば、原料ガス(反応ガス)である気体状態の水素と二酸化炭素の発熱反応によって、製品ガスであるメタンガスと、水とを生成させる。また、上記の化学反応は可逆反応でもある。上記の発熱反応を化学反応式で表すと下記の通りである。
4H
2+CO
2⇔CH
4+2H
2O (1)
【0019】
発電システム100は、一段目の反応塔1と、一段目のガス冷却用熱交換器2と、二段目の反応塔3と、二段目のガス冷却用熱交換器4と、熱媒体ヒーター5と、ボイラー6と、気液分離器7、8と、原料ガス供給部9と、飽和蒸気発電機10と、を備える。
【0020】
反応塔1は、触媒における原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する。反応塔1は、熱交換型の反応容器である。原料ガスは、例えば、水素(H2)及び二酸化炭素(CO2)などの炭化水素を含む。製品ガスは、例えば、メタンガスである。反応塔1と原料ガス供給部9とが配管によって接続され、原料ガスが原料ガス供給部9から反応塔1内に供給される。また、反応塔1は、触媒における原料ガスの発熱反応によって生成水を生成する。反応塔1とガス冷却用熱交換器2とが配管によって接続されている。反応塔1とガス冷却用熱交換器2とを接続する配管にはバルブなどが設けられている。
【0021】
ガス冷却用熱交換器2は、反応塔1において生成された生成水(水蒸気)を凝縮する。ガス冷却用熱交換器2と気液分離器7とが配管によって接続されている。ガス冷却用熱交換器2と気液分離器7とを接続する配管にはバルブなどが設けられている。気液分離器7は、製品ガス及び未反応の原料ガスから生成水(液体)を分離する。発電システム100は、分離部11を備え、気液分離器7から分離部11に生成水が送られる。分離部11の詳細については後述する。
【0022】
反応塔3と気液分離器7とが配管によって接続されている。反応塔3と気液分離器7とを接続する配管にはバルブなどが設けられている。反応塔1で生成された製品ガス及び未反応の原料ガスは、ガス冷却用熱交換器2及び気液分離器7を経由して反応塔3へ送られる。反応塔3は、触媒における原料ガスの発熱反応によって製品ガスを生成する。反応塔3は、熱交換型の反応容器である。反応塔3において未反応の原料ガスから製品ガスが生成されることで、高濃度の製品ガスを生成することが可能となる。
【0023】
反応塔3とガス冷却用熱交換器4とが配管によって接続されている。反応塔3とガス冷却用熱交換器4とを接続する配管にはバルブなどが設けられている。ガス冷却用熱交換器4は、反応塔3において生成された生成水(水蒸気)を凝縮する。ガス冷却用熱交換器4と気液分離器8とが配管によって接続されている。ガス冷却用熱交換器4と気液分離器8とを接続する配管にはバルブなどが設けられている。気液分離器8は、製品ガス及び未反応の原料ガスから生成水(液体)を分離する。
【0024】
発電システム100は貯留タンク12を備える。気液分離器8から分離部11に生成水が送られ、気液分離器8から貯留タンク12に製品ガスが送られる。貯留タンク12は、製品ガスを貯留する。気液分離器7及び8には、生成水を排出するための水抜き弁が設けられている。水抜き弁は、ドレントラップのような浮き具の浮力を用いて弁を開閉させるものでもよいし、あるいは電気的に水位を探知して電磁弁を開閉するものでもよい。
【0025】
反応塔1及び3には、予め触媒が充填されている。触媒は、反応式(1)を促進する触媒ではあれば何でもよく、例えば、安定化元素が固溶し、正方晶系、及び、又は、立方晶系の結晶構造を有する安定化ジルコニア担体と、安定化ジルコニア担体に担持されるNiと、を備え、安定化元素は、Mn、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも1種の遷移元素からなる触媒が挙げられる。
【0026】
また、反応塔1及び3はジャケット構造になっており、ジャケット部分(シェル)には発熱反応が生じる反応塔内の発熱部分と熱交換する熱媒体が流出入可能となっている。熱媒体には、例えば熱媒油又は水を用いる。熱媒体ヒーター5と反応塔3のジャケット部分とが、熱媒体が流れる配管によって接続されている。また、反応塔1のジャケット部分と反応塔3のジャケット部分とが、熱媒体が流れる配管によって接続されている。熱媒体が流れる配管には、バルブなどが設けられている。熱媒体ヒーター5は、熱媒体を加熱する加熱器である。
【0027】
反応塔1のジャケット部分とボイラー6とが、熱媒体が流れる配管によって接続されている。ボイラー6は、液体から蒸気(飽和蒸気)を生成する蒸気生成部である。ボイラー6は、熱媒体が流入可能な内部配管51と、水などの液体が貯留された液体タンク52とを有する。内部配管51の一部である加熱管が、ボイラー6内を循環している。また、内部配管51における加熱管が、液体タンク52内に配置されている。液体タンク52内に貯留された液体は、内部配管51内に流入した熱媒体を熱源として加熱される。これにより、液体タンク52内に貯留された液体から蒸気が生成される。熱媒体ヒーター5とボイラー6の内部配管51とが、熱媒体が流れる配管によって接続されている。熱媒体ヒータ
ー5によって加熱された熱媒体は、反応塔3を通った後、反応塔1を通り、ボイラー6の内部配管51内に流入する。熱媒体ヒーター5とボイラー6の内部配管51とを接続する配管には、反応塔1、3、熱媒体ヒーター5及びボイラー6の間で熱媒体を循環させるための熱媒体循環ポンプ14が設けられている。また、熱媒体が流れる配管には調整弁15及び16が設けられている。調整弁15及び16を開閉することにより、反応塔1及び3を通った熱媒体を、ボイラー6を経由して熱媒体ヒーター5に送ったり、ボイラー6を経由せずに熱媒体ヒーター5に送ったりすることができる。
【0028】
発電システム100は、チラー17A及び17Bを備える。チラー17Aは、ガス冷却用熱交換器2において生成水を凝縮させるための冷却水(冷媒)を冷却する。ガス冷却用熱交換器2及びチラー17Aは、冷却水が流れる配管によって相互に接続されている。チラー17Bは、ガス冷却用熱交換器4において生成水を凝縮させるための冷却水(冷媒)を冷却する。ガス冷却用熱交換器4及びチラー17Bは、冷却水が流れる配管によって相互に接続されている。ここでは、発電システム100が、チラー17A及び17Bを備える例を示しているが、一つのチラーが、ガス冷却用熱交換器2及び4において生成水を凝縮させるための冷却水を冷却してもよい。
【0029】
発電システム100は、制御部21と、反応塔1内の温度を測定する測定センサ22と、反応塔3内の温度を測定する測定センサ23とを備える。測定センサ22によって測定された測定データ及び測定センサ23によって測定された測定データは、制御部21に送られる。これにより、制御部21は、反応塔1内の温度及び反応塔3内の温度を取得する。制御部21は、測定センサ22によって測定された測定データ及び測定センサ23によって測定された測定データを原料ガス供給部9に送る。これにより、原料ガス供給部9は、反応塔1内の温度及び反応塔3内の温度を取得する。
【0030】
制御部21は、発電システム100の動作全体を制御するコントローラである。制御部21は、専用の機器により構成してもよいし、汎用のコンピュータにより構成してもよい。制御部21は、プロセッサ(CPU)、メモリ、ストレージ、通信I/Fなどのハードウェア資源を備えている。メモリは、RAMであってもよい。ストレージは、不揮発性の記憶装置(例えばROM、フラッシュメモリなど)であってもよい。制御部21の機能は、ストレージに格納されたプログラムをメモリに展開しプロセッサによって実行することにより実現される。なお、制御部21の構成はこれらに限られない。例えば、機能の全部又は一部をASICやFPGAなどの回路で構成してもよいし、あるいは、機能の全部又は一部をクラウドサーバや他の装置で実行してもよい。
【0031】
制御部21は、熱媒体ヒーター5を制御する。熱媒体ヒーター5の動作が制御されることで、熱媒体ヒーター5は、熱媒体に対する加熱を行い、又は、熱媒体に対する加熱を停止する。このように、熱媒体ヒーター5を用いて熱媒体に対する加熱や加熱の停止が行われる。熱媒体の温度が所定温度になるように、制御部21は、熱媒体ヒーター5を制御する。所定温度は、例えば、250℃以上500℃以下である。また、制御部21は、調整弁15及び16を制御する。
【0032】
制御部21は、熱媒体の温度調整により、反応塔1内を所定範囲の運転温度に維持する。すなわち、温度調整された熱媒体が反応塔1を通ることで、反応塔1内が所定範囲の運転温度に維持される。制御部21は、反応塔1内の温度を、例えば、250℃以上300℃以下に維持するように、熱媒体の温度を調整してもよい。制御部21は、反応塔1内の温度を、好ましくは、280℃以上に維持するように、熱媒体の温度を調整する。運転温度は、250℃以上300℃以下に限られない。運転温度は、250℃以上500℃以下であってもよい。運転温度は、原料ガスの発熱反応が良好に進行する温度である定格温度であってもよい。定格温度は、高濃度の製品ガスが生成される温度であってもよい。
【0033】
制御部21は、熱媒体の温度調整により、反応塔3内を所定範囲の運転温度に維持する。すなわち、温度調整された熱媒体が反応塔3を通ることで、反応塔3内が所定範囲の運転温度に維持される。制御部21は、反応塔3内の温度を、例えば、250℃以上300℃以下に維持するように、熱媒体の温度を調整してもよい。制御部21は、反応塔3内の温度を、好ましくは、280℃以上に維持するように、熱媒体の温度を調整する。運転温度は、250℃以上300℃以下に限られない。運転温度は、250℃以上500℃以下であってもよい。運転温度は、原料ガスの発熱反応が良好に進行する温度である定格温度であってもよい。定格温度は、高濃度の製品ガスが生成される温度であってもよい。
【0034】
ボイラー6は、反応塔1及び3を通って内部配管51内に流入した熱媒体を加熱源として、液体タンク52内に貯留された液体を加熱することにより、液体タンク52内に貯留された液体から蒸気を生成する。ボイラー6と飽和蒸気発電機10とが配管によって接続されている。ボイラー6と飽和蒸気発電機10とを接続する配管にはボイラー6内を所定蒸気圧に調整する圧力調整弁18が設けられている。圧力調整弁18の制御目標値である当該所定蒸気圧は、飽和蒸気発電機10を作動させることが可能な定格の蒸気圧である。ボイラー6によって生成された蒸気は、飽和蒸気発電機10に送られる。ボイラー6内が所定蒸気圧になるように圧力調整弁18の開度が制御されることにより、飽和蒸気発電機10に送られる蒸気の量や圧力が制御される。制御部21が、圧力調整弁18の開度などを制御してもよい。
【0035】
飽和蒸気発電機10は、ボイラー6によって生成された蒸気で駆動する発電部である。飽和蒸気発電機10は、タービン式発電機であってもよいし、スクリュー式発電機であってもよい。飽和蒸気発電機10は、ボイラー6から供給された蒸気により発電を行う。飽和蒸気発電機10によって発電された電気を、プロセスを運用するための制御ユニット、加熱設備、コンプレッサなどのプロセス内動力等に使うことができる。また、飽和蒸気発電機10によって発電された電気をプロセス内動力に使う共に、余剰分の電力を任意の動力等に供給してもよい。また、蓄電設備を配置し、飽和蒸気発電機10によって発電された電気を蓄電設備に貯蔵してもよい。
【0036】
熱媒体が反応塔3を通ることにより、熱媒体が反応塔3内における原料ガスの反応熱を回収する。また、熱媒体が反応塔1を通ることにより、熱媒体が反応塔1内における原料ガスの反応熱を回収する。したがって、反応塔1及び3を通った熱媒体は、反応塔1内における原料ガスの反応熱と、反応塔3内における原料ガスの反応熱とによって加熱されている。反応塔1における運転温度が高くなると、反応塔1を通った熱媒体の温度が高くなり、反応塔3における運転温度が高くなると、反応塔3を通った熱媒体の温度が高くなる。本実施形態では、反応塔1及び3を通った熱媒体を加熱源として、液体タンク52内に貯留された液体から蒸気を生成し、生成された蒸気で飽和蒸気発電機10を駆動することにより、熱媒体によって回収された熱を利用することが可能となる。このように、回収した反応熱に基づいて蒸気を作り、更に蒸気から電気を生成することによって、回収した反応熱を一般的かつ広く使い易い形態とする。これにより、プロセス全体又はプロセスの一部(例えば、メタン化反応プロセス)におけるエネルギー効率を向上することができる。
【0037】
次いで、分離部11について説明する。
図2は、分離部11の構成図である。分離部11は、反応塔1において製品ガスが生成される際に反応塔1で生成された生成水から生成水に溶存する溶存ガスを分離する。また、分離部11は、反応塔3において製品ガスが生成される際に反応塔3で生成された生成水から生成水に溶存する溶存ガスを分離する。分離部11は、ポンプ61と、分離膜モジュール62と、真空ポンプ63と、バッファタンク64と、コンプレッサ65とを備える。発電システム100は、反応塔3から送出される製品ガスが流れる製品ガス経路13を備える。製品ガス経路13は、貯留タンク12に
接続されていてもよい。
【0038】
気液分離器7及び8から分離部11に送られた生成水は、ポンプ61により分離膜モジュール62に送られる。分離膜モジュール62は、分離膜66を有する。分離膜66は、例えば、中空糸膜である。分離膜モジュール62に真空ポンプ63が接続されている。分離膜66により生成水から溶存ガスが分離される。溶存ガスが製品ガスである場合、真空ポンプ63により分離膜モジュール62内が真空引きされ、バッファタンク64に製品ガスが送られる。バッファタンク64は、製品ガスを一時的に貯留する。バッファタンク64に貯留された製品ガスは、コンプレッサ65により製品ガス経路13に送られる。これにより、製品ガス経路13を流れる製品ガスに対して生成水から分離された製品ガスが合流する。
【0039】
従来、生成水に溶存する製品ガスを大気中に拡散する方法や、デガッサー(脱気装置)を用いて、生成水を貯留したタンク内に空気などの気体を吹き込み、強制的に生成水から製品ガスを追い出す方法が用いられていた。このような方法では、製品ガスを貯留するための容積の大きいタンクや、タンク内に気体を吹き込むための機器が必要となる。本実施形態によれば、バッファタンク64は、製品ガスを一時的に貯留するバッファタンク64の容積は小さいため、省スペース化を実現できる。また、本実施形態によれば、タンク内に気体を吹き込むための機器は不要である。製品ガス経路13を流れる製品ガスに対して生成水から分離された製品ガスを合流させるため、大気中への製品ガスの拡散を抑止することができる。
【0040】
上記では、溶存ガスが製品ガスである場合について説明しているが、溶存ガスは未反応の原料ガスであってもよい。分離膜モジュール62の分離膜66の種類を変更することにより生成水に溶存する製品ガスを生成するから分離したり、生成水に溶存する未反応の原料ガスを生成水から分離したりすることができる。また、分離部11は、生成水に溶存する製品ガスを生成水から分離するための分離膜モジュール62と、生成水に溶存する未反応の原料ガスを生成水から分離するための分離膜モジュール62と、を備えてもよい。また、分離部11は、製品ガス用のバッファタンク64と、未反応の原料ガス用のバッファタンク64と、を備えてもよい。
【0041】
溶存ガスが未反応の原料ガスである場合、真空ポンプ63により分離膜モジュール62内が真空引きされ、バッファタンク64に未反応の原料ガスが送られる。バッファタンク64に貯留された未反応の原料ガスは、コンプレッサ65により原料ガス供給部9に送られる。これにより、未反応の原料ガスが原料ガス供給部9に戻される。本実施形態によれば、バッファタンク64は、未反応の原料ガスを一時的に貯留するバッファタンク64の容積は小さいため、省スペース化を実現できる。また、本実施形態によれば、タンク内に気体を吹き込むための機器は不要である。未反応の原料ガスを原料ガス供給部9に戻すため、大気中への未反応の原料ガスの拡散を抑止することができる。
【0042】
また、気液分離器8から送出される製品ガス及び未反応の原料ガスを乾燥させるために、触媒やシリカゲルを充填した容器又は多孔質膜などに製品ガス及び未反応の原料ガスを通過させ、ガス中の水分を除去してもよい。多孔質膜を使う場合、真空ポンプによる吸引又は原料ガスのうちの乾燥水素を使ってもよい。更に、上記乾燥プロセスを通して得られた乾燥ガス(乾燥した製品ガス)は、乾燥ガス中のメタン又はエタンなどの炭化水素の純
度を上げるために、有機膜を使った膜分離設備を用いて、濃縮させた炭化水素リッチのガスにしてもよい。膜分離の濃縮のために別途発生するオフガスは、系外に排気してもよく、反応用原料として再利用してもよい。
【0043】
原料ガスは、下記の(1A)~(1D)の少なくとも一つを含むガスと、下記の(2)
のガスとを、1:2~8の比率となるように流量制御によって調整された混合ガスであってもよい。
(1A)二酸化炭素、若しくは、二酸化炭素とメタンを主成分とするバイオガス
(1B)水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、炭化水素を主成分とする木質バイオマス
(1C)石炭由来のガス化ガス
(1D)高炉等製鉄プロセスからの排ガス及びセメント製造プロセスからの排ガスなどの二酸化炭素が0.02%以上入っている混合ガス
(2)電気分解によって製造された水素、若しくは化学品製造工程より排出される水素、を含む混合ガス
【0044】
図3は、本発明の実施形態に係る発電システムの詳細構成図である。発電システム100は、ガスミキサー31と、エコノマイザー32と、ガス加熱器33と、を備える。原料ガス供給部9から送出される原料ガスは、ガスミキサー31、エコノマイザー32及びガス加熱器33を経由して反応塔1内に供給される。発電システム100は、水加熱用熱交換器34と、エコノマイザー35と、ガス加熱器36と、水加熱用熱交換器37と、を備える。反応塔1から送出される製品ガス及び未反応の原料ガスは、水加熱用熱交換器34、エコノマイザー32、ガス冷却用熱交換器2、気液分離器7、エコノマイザー35及びガス加熱器36を経由して反応塔3内に供給される。反応塔3から送出される製品ガスは、水加熱用熱交換器37、エコノマイザー35、ガス冷却用熱交換器4及び気液分離器8を経由して、貯留タンク12に送られる。
【0045】
ガスミキサー31は、原料ガス供給部9から送出される原料ガスを均一に混ぜる。エコノマイザー32において、反応塔1へ供給する原料ガスと、反応塔1から送出されるガスとの間で熱交換が行われる。反応塔1から送出されるガスは、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスである。加熱された熱媒体が反応塔1を通る際の反応塔1の昇温と、反応塔1内における原料ガスの発熱反応による反応塔1の昇温とにより、反応塔1から送出されるガスは温められている。したがって、エコノマイザー32は、反応塔1へ供給する原料ガスを、反応塔1から送出されるガスによって予熱するガス予熱部として機能する。反応塔1へ供給する原料ガスを、反応塔1から送出されるガスによって予熱することで、予熱された原料ガスを反応塔1内に供給することができる。エコノマイザー32は、反応塔1へ供給する原料ガスが流れる流路71と、反応塔1から送出されるガスが流れる流路72とを有する。流路71を流れる原料ガスは、流路72に流入せず、流路72を流れるガスは、流路71に流入しない。
【0046】
ガス加熱器33において、反応塔1へ供給する原料ガスと、反応塔1を通った熱媒体との間で熱交換が行われる。熱媒体は、熱媒体ヒーター5によって加熱されている。また、反応塔1及び3を通った熱媒体は、反応塔1内における原料ガスの反応熱と、反応塔3内における原料ガスの反応熱とによって加熱されている。したがって、ガス加熱器33は、反応塔1へ供給する原料ガスを、反応塔1及び3を通った熱媒体で予熱するガス予熱部として機能する。反応塔1へ供給する原料ガスを、反応塔1及び3を通った熱媒体で予熱することで、予熱された原料ガスを反応塔1内に供給することができる。反応塔3を通った熱媒体は、反応塔3における原料ガスの反応熱によって加熱され、反応塔1を通った熱媒体は、反応塔1における原料ガスの反応熱によって更に加熱されている。ガス加熱器33は、反応塔1へ供給する原料ガスが流れる流路73と、熱媒体が流れる流路74とを有する。流路73を流れる原料ガスは、流路74に流入せず、流路74を流れる熱媒体は、流路73に流入しない。
【0047】
水加熱用熱交換器34において、ボイラー6へ供給する液体と、反応塔1から送出されるガスとの間で熱交換が行われる。加熱された熱媒体が反応塔1を通る際の反応塔1の昇温と、反応塔1内における原料ガスの発熱反応による反応塔1の昇温とにより、反応塔1
から送出されるガスは温められている。したがって、水加熱用熱交換器34は、ボイラー6へ供給する液体を、反応塔1から送出されるガスによって予熱する予熱部として機能する。ボイラー6へ供給する液体を、反応塔1から送出されるガスによって予熱することで、予熱された液体をボイラー6内に供給することができる。水加熱用熱交換器34は、ボイラー6へ供給する液体が流れる流路75と、反応塔1から送出されるガスが流れる流路76とを有する。流路75を流れる液体は、流路76に流入せず、流路76を流れるガスは、流路75に流入しない。
【0048】
発電システム100は、ポンプ38と、デアレーター39と、低圧飽和蒸気供給部40と、セパレータ41と、排出弁42と、を備える。ポンプ38が駆動することにより、デアレーター39内に保持された液体が、水加熱用熱交換器34を経由してボイラー6内に供給される。デアレーター39は、ボイラー6内に供給される液体の酸素や二酸化炭素などの気体を除去する。低圧飽和蒸気供給部40は、低圧飽和蒸気を含む気液混合流体を送出する。セパレータ41は、低圧飽和蒸気供給部40から送出された気液混合流体から液体を除去して、低圧飽和蒸気をボイラー6内に供給する。セパレータ41は、気液混合流体から除去した液体を保持する。また、低圧飽和蒸気供給部40から送出された気液混合流体は、デアレーター39に送られる。排出弁42が開かれることにより、セパレータ41内に保持された液体が排出される。
【0049】
ガス加熱器36において、反応塔3へ供給するガスと、反応塔3を通った熱媒体との間で熱交換が行われる。反応塔3へ供給するガスは、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスである。熱媒体は、熱媒体ヒーター5によって加熱されている。また、反応塔3を通った熱媒体は、反応塔3内における原料ガスの反応熱によって加熱されている。したがって、ガス加熱器36は、反応塔3へ供給するガスを、反応塔3を通った熱媒体で予熱するガス予熱部として機能する。反応塔3へ供給する原料ガスを、反応塔3を通った熱媒体で予熱することで、予熱されたガスを反応塔3内に供給することができる。ガス加熱器36は、反応塔3へ供給するガスが流れる流路77と、熱媒体が流れる流路78とを有する。流路77を流れるガスは、流路78に流入せず、流路78を流れる熱媒体は、流路77に流入しない。
【0050】
発電システム100は、液体供給部43を備える。液体供給部43は、水などの液体を送出する。液体供給部43から送出された液体は、水加熱用熱交換器37、デアレーター39及び水加熱用熱交換器34を経由して、ボイラー6内に供給される。
【0051】
水加熱用熱交換器37において、ボイラー6へ供給する液体と、反応塔3から送出されるガスとの間で熱交換が行われる。反応塔3から送出されるガスは、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスである。加熱された熱媒体が反応塔3を通る際の反応塔3の昇温と、反応塔3内における原料ガスの発熱反応による反応塔3の昇温とにより、反応塔3から送出されるガスは温められている。したがって、水加熱用熱交換器37は、ボイラー6へ供給する液体を、反応塔3から送出されるガスによって予熱する予熱部として機能する。ボイラー6へ供給する液体を、反応塔3から送出されるガスによって予熱することで、予熱された液体をボイラー6内に供給することができる。水加熱用熱交換器37は、ボイラー6へ供給する液体が流れる流路79と、反応塔3から送出されるガスが流れる流路80とを有する。流路79を流れる液体は、流路80に流入せず、流路80を流れるガスは、流路79に流入しない。
【0052】
エコノマイザー35において、反応塔3へ供給するガスと、反応塔1から送出されるガスとの間で熱交換が行われる。加熱された熱媒体が反応塔3を通る際の反応塔3の昇温により、反応塔3から送出されるガスは温められている。したがって、エコノマイザー35は、反応塔3へ供給するガスを、反応塔3から送出されるガスによって予熱するガス予熱
部として機能する。反応塔3へ供給するガスを、反応塔3から送出されるガスによって予熱することで、予熱されたガスを反応塔3内に供給することができる。エコノマイザー35は、反応塔3へ供給するガスが流れる流路81と、反応塔3から送出されるガスが流れる流路82とを有する。流路81を流れるガスは、流路82に流入せず、流路82を流れるガスは、流路81に流入しない。
【0053】
発電システム100では、ボイラー6へ供給する液体を、反応塔1から送出されるガスによって予熱し、予熱された液体をボイラー6内に供給する。また、発電システム100では、ボイラー6へ供給する液体を、反応塔3から送出されるガスによって予熱し、予熱された液体をボイラー6内に供給する。これにより、ボイラー6では、予熱された液体を加熱することで、飽和蒸気を生成することが可能である。圧力調整弁18は、ボイラー6内で生成される飽和蒸気の温度が250℃以上になるような圧力調整を行う。したがって、ボイラー6では、高温の液体から高温の飽和蒸気を生成することが可能である。また、ボイラー6では、高温の液体から飽和蒸気を生成するため、飽和蒸気の生成に要する時間が短縮される。
【0054】
発電システム100は、熱媒体タンク44及び45を有する。熱媒体タンク44及び45は、熱媒体が流れる配管に設けられている。反応塔1及び3のメンテナンスを行う場合、反応塔1のジャケット部分及び反応塔3のジャケット部分に流入した熱媒体を、熱媒体タンク44及び45内に一時的に貯留する。
【0055】
熱媒体系統では、熱媒体として熱媒油を用いる場合、熱媒体が高温時になったときに膨張する容積を受け入れるための膨張タンク又はクッションタンクが用いられる。熱媒体タンク44及び45に替えて、膨張タンク又はクッションタンクを用いてもよい。熱媒体としてボイラー水などの高圧化で液体状態の水を用いる場合、クッションタンクの代わりに汽水ドラムが用いられる。熱媒体タンク44及び45に替えて、汽水ドラムを用いてもよい。
【0056】
定常時のボイラー6内の水位調整について説明する。ここでは、ボイラー6内に水が貯留されている場合について説明する。定常時、ボイラー6で生成された飽和蒸気は、ボイラー6内が所定蒸気圧に達して圧力調整弁18が開くことにより飽和蒸気発電機10に供給される。このとき、飽和蒸気発電機10で消費される飽和蒸気量に応じて、ボイラー6内の水位は原理上下がる。ボイラー6内の水位が下がると、内部配管51における加熱管がむき出しとなり、安全上好ましくないため、ボイラー6内の水位をコントロールする必要がある。
【0057】
ボイラー6内の水位のコントロール方法は、原則として、ボイラー6にレベルトランスミッターを設けた上で、飽和蒸気発電機10に蒸気を供給する。飽和蒸気発電機10において蒸気が消費された場合、ポンプ38を駆動して、液体供給部43から送出された原料水が、水加熱用熱交換器37、デアレーター39及び水加熱用熱交換器34を経由して、ボイラー6内に供給される。飽和蒸気発電機10において消費された蒸気量相当分の原料水がボイラー6内に供給されるため、ボイラー6内の水位は一定の範囲内で安定する。
【0058】
スタートアップ時にはボイラー6内が所定蒸気圧に達していないため、圧力調整弁18が閉状態となっている。そして、ボイラー6内が所定蒸気圧に到達すると圧力調整弁18が開き始め、飽和蒸気発電機10が運転可能な状態となる。一方、ボイラー6は、プロセス上、腐食等の関係から一時的にブローする必要があるので、定常運転時でもボイラー6内の水位が低下する場合がある。また、それ以外でもプロセスの微調整等によりボイラー6内の水位が下がることがある。この場合の水位コントロールは、以下の手法1又は手法2により行う。
【0059】
(手法1)
ポンプ38を駆動した場合のボイラー6への水の供給量は一定とし、調整弁15及び16の開度を調整してボイラー6内の水に対する加熱量を抑える。このように、ボイラー6内の水位が上昇できるように、ボイラー6の蒸気製造量を一時的に下げる。
(手法2)
ポンプ38を駆動した場合のボイラー6への水の供給量を一時的に増加させ、ボイラー6内の水位を上げる。このとき、調整弁15及び16の開度の調整を行わない
【0060】
ボイラー6内の水位が下がるような操作を行った後に、手法1又は手法2を行ってもよい。また、手法1又は手法2を行うことによりボイラー6内の水位をある程度上げた後、ボイラー6内の水位が下がるような操作を行ってもよい。
【0061】
上記の反応塔1及び3は、ジャケット構造を有しているが、これに限定されない。反応塔1及び3は、炭化水素と水素を化学的に反応させるための触媒が充填された管を1本以上有し、触媒が充填された管がそれよりも大きな口径のシェル管の中に配置された、単管式又は多管式のシェルアンドチューブ構造であってもよい。また、反応塔1及び3は、エンボス加工されたプレートと、サイドバーで囲われた空間に触媒が充填されたチャンバーを1つ以上有し、大きな口径のシェル管の中に触媒が充填されたチャンバーが配置され、エンボス加工されたプレートの中を熱媒体が循環できる並行平板構造であってもよい。
【0062】
図4は、本発明の実施形態に係る発電システム100の構成図である。発電システム100は、第1反応プロセス群101と、第2反応プロセス群102とを有する。第1反応プロセス群101は、反応塔1と、ガス冷却用熱交換器2と、気液分離器7と、エコノマイザー32と、水加熱用熱交換器34とを有する。第2反応プロセス群102は、反応塔3と、ガス冷却用熱交換器4と、気液分離器8と、エコノマイザー35と、水加熱用熱交換器37とを有する。
図4に示す発電システム100の構成に限定されず、発電システム100は、第1反応プロセス群101と、第2反応プロセス群102とに加えて、第3反応プロセス群と、第4反応プロセス群とを有してもよい。第3及び第4反応プロセス群の構成は、第2反応プロセス群102の構成と同様であってもよい。
【0063】
第1反応プロセス群101における反応塔1の構造として、ジャケット構造、シェルアンドチューブ構造及び並行平板構造のうちの一つを選択してもよい。第2反応プロセス群102における反応塔3の構造として、ジャケット構造、シェルアンドチューブ構造及び並行平板構造のうちの一つを選択してもよい。第3及び第4反応プロセス群の反応塔の構造として、ジャケット構造、シェルアンドチューブ構造及び並行平板構造のうちの一つを選択してもよい。
【0064】
本実施形態では、熱交換型の反応容器が反応塔1、3として用いられている。熱交換型の反応容器は、断熱型の反応容器と比較して、高濃度の製品ガスを生成することができる。断熱型では、単純な反応容器に触媒を大量に詰めて、化学平衡の上限に沿って反応を進行させるが、高濃度の製品ガスを生成するためには、多くの反応容器を必要とする。これに対して、熱交換型の反応容器では、一つの反応容器で高濃度の製品ガスを生成することができる。
【0065】
実施形態では、熱媒体ヒーター5によって加熱された熱媒体は、反応塔3を通った後、反応塔1を通り、ボイラー6の内部配管51内に流入するが、これに限定されない。熱媒体ヒーター5によって加熱された熱媒体は、反応塔1を通った後、反応塔3を通り、ボイラー6の内部配管51内に流入してもよい。また、熱媒体ヒーター5によって加熱された熱媒体は、第4反応プロセス群における反応塔、第3反応プロセス群における反応塔、反
応塔3、反応塔1の順序で各反応塔を通った後、ボイラー6の内部配管51内に流入してもよい。また、熱媒体ヒーター5によって加熱された熱媒体は、反応塔1、反応塔3、第3反応プロセス群における反応塔、第4反応プロセス群における反応塔の順序で各反応塔を通った後、ボイラー6の内部配管51内に流入してもよい。
【0066】
実施形態では、反応塔を2つ備えているが、反応塔の数は、1段でも3段でも4段でも何段でもよい。また、実施形態では、熱媒体に熱媒油又は水を用いたが、熱媒体は、使用温度、使用設備などの使用条件を考慮して溶融塩や高圧水などといった、使用条件に適した物質を用いてもよい。また、ボイラー6内に供給される水は、例えばボイラー水であってもよく、ボイラー6内に供給される水に運用上必要な薬剤を投入してもよい。また、反応塔で行われる反応が不可逆反応である場合にも発電システム100は用いられてもよい。
【0067】
また、上記で説明した各処理は、発電システムの一部としての生成装置又は運転装置などとして捉えてもよい。また、上記で説明した各処理は、発電方法、生成方法又は運転方法などとして捉えてもよい。上記で説明した各処理ないし機能の少なくとも一部を有する生成システムや運転システムとして捉えてもよい。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,3・・反応塔;2,4・・ガス冷却用熱交換器;5・・熱媒体ヒーター;6・・ボイラー;7,8・・気液分離器;9・・原料ガス供給部;10・・飽和蒸気発電機;11・・分離部;12・・貯留タンク;13・・製品ガス経路;14・・熱媒体循環ポンプ;15,16・・調整弁;17A,17B・・チラー;18・・圧力調整弁;21・・制御部;22,23・・測定センサ;31・・ガスミキサー;32,35・・エコノマイザー;33,36・・ガス加熱器;34,37・・水加熱用熱交換器;38・・ポンプ;39・・デアレーター;40・・低圧飽和蒸気供給部;41・・セパレータ;42・・排出弁;43・・液体供給部;44,45・・熱媒体タンク;51・・内部配管;52・・液体タンク;61・・ポンプ;62・・分離膜モジュール;63・・真空ポンプ;64・・バッファタンク;65・・コンプレッサ;66・・分離膜;100・・発電システム