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  • 特開-冷蔵ショーケース及びネタケース 図1
  • 特開-冷蔵ショーケース及びネタケース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166934
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】冷蔵ショーケース及びネタケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20231115BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231115BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20231115BHJP
   A23B 4/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A47F3/04 D
F25D23/00 302E
A23L3/36 Z
A23B4/06 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077809
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】519149456
【氏名又は名称】株式会社ZERO FOOD
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木野 正人
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂田 剛
【テーマコード(参考)】
3B110
3L345
4B022
【Fターム(参考)】
3B110AA05
3B110BA05
3B110CA20
3B110EA09
3L345AA03
3L345AA17
3L345BB01
3L345GG12
3L345KK04
4B022LA06
4B022LF03
4B022LF11
4B022LP01
4B022LT06
(57)【要約】
【課題】ネタケース内を鮮魚の鮮度保持に最適な温度と湿度に保持する。
【解決手段】ネタケースの底部に気泡発生手段を設けた貯水槽を連接し、ネタケース内空気を貯水槽内に設けた多孔管から貯水中に気泡として排出することで加湿空気がネタケース内に上昇し、ネタケース内を加湿する。4℃に調温した冷水を冷媒として貯水内の冷媒配管に循環させて貯水を10℃に調温する。また、ネタケース内上部には4℃冷水を循環させる冷媒配管と結露水ドレンを設けてネタケース内を冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵ショーケースのエアカーテンの内側陳列スペースまたは、平面冷蔵ショーケースの内側陳列スペースに貯水槽を設け、冷蔵ショーケース陳列スペースの空気を該貯水槽の貯水中に送気して微小気泡を発生させるか、または外部で発生させた微小気泡含有水を該貯水中に送液して加湿する加湿器を設けたことを特徴とする冷蔵ショーケース。
【請求項2】
前記ショーケースがネタケースであることを特徴とする請求項1に記載の加湿器を設けたネタケース。
【請求項3】
前記温調手段で前記ネタケース内気温が10℃付近となるような貯水温度と冷媒温度に調温することを特徴とする請求項2に記載のネタケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷蔵ショーケース陳列スペースの加湿に関する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
気泡発生による加湿について、医療用の酸素吸入での加湿は、酸素ガスを水に通して気泡を発生させて加湿することが行われている。また、同じく医療用のCPAPの加湿では空気を加圧して水中を通して気泡にして加湿している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-206479
【特許文献2】特開昭55-155608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、花卉陳列ケース内を負圧にして水中に外気からの空気を取り込んで気泡を作成してケース内を加湿する技術が公開されている。また、特許文献2では、水中にガスを通して気泡を作成してショーケース内に送気する加湿手段が開示されている。
【0005】
医療用の気泡発生加湿手段や特許文献1及び2に記載の加湿手段では、気泡が水面で破裂する際に気泡破裂音が発生する。気泡加湿では、大容量のスペースを加湿する場合や換気量が多い場合は必要送気量が大きくなり、発生する音量が大きくなる。医療用では使用者が音を我慢して使用しているが、展示用の場合は遮音手段を設けないと観客に不快を与える事となる。そこで、容易に加湿できて、しかも可聴雑音が小さいショーケース用加湿手段の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の手段では、冷蔵ショーケースのエアカーテンの内側陳列スペースまたは、平面冷蔵ショーケースの内側陳列スペースに貯水槽を設け、冷蔵ショーケース陳列スペースの空気を該貯水槽の貯水中に送気して微小気泡を発生させるか、または外部で発生させた微小気泡含有水を該貯水中に送液して加湿する加湿器を設けたことを特徴とする。
【0007】
本手段では、気泡発生時の気泡径を小さくすることで気泡が水面で破裂する時の周波数を高域にシフトさせることができる。ヒト聴覚の感度が最も良い周波数帯域は500Hz~6KHz付近であるため、気泡を小さくして発生音の中心周波数を10KHz以上にすることで感度が悪い為、あまり音が気にならなくなる。特に中心周波数を16KHz以上とすることで極端に感度が低下する。気泡径を1mm以下、望ましくはファインバブル(100μm以下)にすることで発生音の周波数を高域にシフトさせることができる。気泡径を小さくすることで気液界面の総面積が増加して気泡内の湿度を効率良く上昇させる。
【0008】
また、気泡が水面で破裂する際に水面の水の表面張力を弱めて蒸発を促進する。更に、破裂時の振動で水分子の熱運動が加速されて蒸発が促進される。そのため、大型のショーケースの場合は、水面を送風する手段を加えることで、常に水面付近の相対湿度を低下させて蒸発を促進することができる。
【0009】
第二の手段では、前記ショーケースがネタケースであることを特徴とする。
【0010】
ネタケースは陳列ケースの内容積が小さいため、陳列スペースの下、または、上に連接させて貯水槽を設け、発生させた高湿度気泡を直接陳列スペースに循環させる。ネタケースの陳列スペースから吸気した空気を貯水槽に気泡として排気することで、気泡から発生した高湿空気が陳列スペースに戻り陳列スペース内が加湿される。
【0011】
第三の手段では、前記温調手段で前記ネタケース内気温が10℃付近となるような貯水温度と冷媒温度に調温することを特徴とする。
【0012】
ネタケース内の冷媒配管によって陳列ケース内の温度を10℃付近に調温するか、及び/または、ネタケース陳列スペースに隣接した貯水槽温度を調温して発生高湿度空気で陳列スペース内気温を10℃付近とすることで、鮮魚のATPの分解を抑制して鮮度保持することができる。鮮魚のATPの分解速度は10℃付近で最も遅くなることが知られており、鮮度はATP残量と正の相関が有ることが知られている。
【発明の効果】
【0013】
ネタケースの場合、陳列スペース内温度を10℃付近に保つ事で鮮魚の鮮度を保持することができる。更に、ネタケースの場合、ネタ取り出し口の開放率や開放時間が大きいため、冬季の乾燥時期ではネタケース内の相対湿度が低下する場合がある。そのため冬季には、ネタケース内のネタには乾燥防止の目的でラップフィルムを掛けるのが常識となっているが、取り出しや仕舞込みの度にラップを掛けたり外したりしなければならず不便でしかも、見た目も衛生的にも良くない。しかし、本発明の如く、陳列スペース内空気を貯水内に気泡として放出し、その高湿度空気を再び陳列スペース内に循環させることでネタの乾燥を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1の一例を説明する側面説明図
図2】本発明の実施形態2の一例を説明する側面説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
図1は、本形態のネタケースの一例を説明する側面説明図、100はネタケース、101は陳列スペース、102と107は冷媒配管、103は結露水受け、104は冷媒ポンプ、105は冷却器付ブラインタンク、106は送気ポンプ、108は気泡発生多孔管、109は貯水、110は穴空き鋼板、111は吸気口である。
【0016】
ブラインを4℃付近までブライン槽の冷却器105で冷却し、陳列スペース内の冷媒配管102及び陳列スペースの下部に連接した貯水槽内冷媒配管107に循環させて陳列スペース及び貯水槽を冷却する。水温センサは貯水中に設け、冷媒配管に設けたバルブの入り切りで貯水温度を常に10℃になる様に制御している。10℃の貯水から発生する蒸気は10℃であり、10℃付近の陳列スペース空気から造られた気泡も10℃付近であるため、水面からは10℃付近の高湿度空気が放出される。気泡は吸気口111から陳列スペース101内の空気を取り込むため、気泡空気は陳列スペース床面の穴空き鋼板110の穴から陳列スペースに循環する。陳列スペース101内にも温度センサが備えられており、ネタケースの取り出し口側の表示装置に温度を表示している。調理人はこの表示温度を見て、10℃未満の時は取り出し口の開放面積を大きくし、10℃よりも高い場合は取り出し口を閉める。水面送風手段がない為、気泡空気量を多くした方が良いので、気泡径は0.5mm~1mmが適当である。
【0017】
〔実施形態2〕
図2は、本形態の平型冷蔵ショーケースの一例を説明する側面説明図、200は平型冷蔵ショーケース、201は陳列スペース、202は気泡加湿器である。
【0018】
本実施例は青果用平型冷蔵ショーケースである。冬季においてはショーケース外気が乾燥しているため、冷蔵ショーケースが除霜した分だけショーケース内は乾燥する。青果は密封包装が出来ないものが多く、乾燥は商品価値を低下させ、実質的な消費期限を短縮することになるため加湿が求められている。しかし、噴霧式加湿では商品に水滴が付着することで商品価値を損なう場合があり、水滴汚染の無い加湿が求められていた。陳列スペース内に気泡加湿器を設けた物である。気泡加湿器202は、内部に貯水槽とエアポンプと水面送風機があり、陳列スペース201から空気を吸気し、エアポンプで貯水内に気泡を生成し、陳列スペース空気を吸気して貯水面を送風機で送風して陳列スペースに高湿度空気を循環させる。尚、貯水及び気泡空気はショーケースで冷却されているため、陳列スペース内気温とほぼ同気温・同水温である。また、貯水面送風のため気泡空気量は比較的少量でも良いので、気泡発生にはファインバブル発生器を用いる事が望ましい。
【符号の説明】
【0019】
100 ネタケース
101 陳列スペース
102 冷媒配管
103 結露水受け
104 冷媒ポンプ
105 冷却器付ブラインタンク
106 送気ポンプ
107 冷媒配管
108 気泡発生多孔管
109 水
110 穴空き鋼板
111 吸気口
200 平型冷蔵ショーケース
201 陳列スペース
202 気泡加湿器
図1
図2