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▶ 細川製畳株式会社の特許一覧

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  • 特開-畳の敷設方法 図1
  • 特開-畳の敷設方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166939
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】畳の敷設方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
E04F15/02 102L
E04F15/02 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022085599
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】521494360
【氏名又は名称】細川製畳株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔也
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA51
2E220AB23
2E220AC11
2E220AC13
2E220AD03
2E220AD15
2E220EA11
2E220FA11
2E220GA02X
2E220GA22X
2E220GB32X
2E220GB37X
(57)【要約】
【課題】 簡略な構造の部品を用い、専門的な技能を持たない人でも畳の敷設が可能な方法を提供する。
【解決手段】 予め測定した、部屋の周縁の寸法を測定することで、既定の寸法の正方形の畳3の必要数量を算出し、所要数の正方形の畳3を、部屋の一方の隅に密接させて配置し、畳3と部屋の周縁1との間に空隙が生じる際は、空隙に充填するために、予め寸法と必要数をあらかじめ算出して調製した隙間材を埋め込む。畳としては通常の畳床を人工芝で被覆した畳を用いることで、畳表面に突出した人工芝の作用により、空隙を閉塞することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の方向の寸法がa、前記一方の方向と直交する方向の寸法がbである部屋への、一辺がcである正方形の畳を、前記部屋の一方の隅に密接させて配置し、前記畳と、前記部屋の前記畳を密接させていない側の隅との間の空隙に、隙間材を配置する、畳の敷設方法において、
a/cの整数部分をNa、b/cの整数部分をNbとした際に、
前記畳の数が、Na×Nb、
前記畳を密接させていない側の、前記部屋の一方の側の周縁と前記畳との間の空隙に配置する隙間材は、幅がa-c×Naで、長さの合計がaまたはc×Naであり、
前記畳に密接させていない側の、前記一方の側の壁と直交する側の周縁と前記畳との間の空隙に配置する隙間材は、幅がb-c×Nbで、長さの合計がbまたはc×Nbであることを特徴とする、畳の敷設方法。
【請求項2】
前記畳は、畳床を人工芝で被覆してなる人工芝畳であることを特徴とする、請求項1に記載の畳の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳の敷設方法、特に正方形の畳を敷設するに際し、畳と部屋の周縁の間の空隙を埋めることが可能な畳の敷設方法に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
畳は、日本で伝統的に使用されている床材であり、現在のような、稲藁を板状に成形した畳床の表面を、イグサで織った畳表で被覆したものは、平安時代から使用されていて、現在では、工業的な生産に向けて、稲藁の少なくとも一部を、発泡スチロールなどの高分子材料で代替した畳も使用されている。
【0003】
近年、生活様式の変化により、一般住宅では、いわゆるフローリング床が増加し、畳の需要が減少しつつある。その一方で、経時変化による損耗のための畳の表替えの他に、部屋の雰囲気を変えるために、フローリングの部屋に新たに畳を敷設することが行われている。
【0004】
畳は、基本的な大きさは、910mm×1820mmで、尺貫法で3尺×6尺であり、規格としては、京間(本間)、中京間(三六間)、江戸間(関東間、田舎間、五八間)などがあるが、一般的に部屋の周縁の四隅が、正確な直角になっていないこともあり、部屋の寸法に合わせて注文生産される場合が多い。このため、部屋の採寸から畳の敷設まで、専門的な技能が必要となり、価格や敷設に要する時間の増加に繋がり、畳の需要の伸び悩みの一因となっていると考えられる。
【0005】
このような状況の打開策として、特許文献1には、畳の敷設方法であって、敷設される畳として、従来規格寸法の畳表と畳床とからなる畳を平面視において所定形状に分割した外形寸法を有するブロック畳を用い、当該ブロック畳を組み合わせて室内に敷設することを特徴とする畳の敷設方法が開示されている。しかし、ここに開示されている畳の敷設方法においては、部品点数が多く、製造コストの増加や敷設工程の煩雑化の観点で、改善の余地がある。
【0006】
また、特許文献2には、施敷時における畳間の間隙に対応して、ヘリ状に被覆した弾性体で形成する挟着材を装着せしめることにより、該弾性体の伸縮作用により、該間隙の調整が、容易に達成できることを特徴として構成する、畳間のすき間を調整できる畳ヘリが開示されている。しかし、ここに開示されている畳ヘリは、挟着材などの部品の構造がやや複雑で、やはりコスト増加や施敷工程の煩雑化に繋がり、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-163619号公報
【特許文献2】実開平2-118033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、簡略な構造の部品を用い、専門的な技能を持たない人でも畳の敷設が可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題の解決のため、畳と部屋の周縁との間の空隙を埋める、隙間材を適宜用いることを検討した結果なされたものである。
【0010】
本発明の一態様に係る畳の敷設方法は、一方の方向の寸法がa、前記一方の方向と直交する方向の寸法がbである部屋への、一辺がcである正方形の畳を、前記部屋の一方の隅に密接させて配置し、前記畳と、前記部屋の前記畳を密接させていない側の隅との間の空隙に、隙間材を配置する、畳の敷設方法において、
a/cの整数部分をNa、b/cの整数部分をNbとした際に、
前記畳を密接させていない側の、前記部屋の一方の側の周縁と前記畳との間の空隙に配置する隙間材は、幅がa-c×Naで、長さの合計がaまたはc×Naであり、
前記畳き密接させていない側の、前記一方の側の周縁と直交する側の壁と前記畳との間の空隙に配置する隙間材は、幅がb-c×Nbで、長さの合計がbまたはc×Nbであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る畳の敷設方法は、前記畳が畳床を人工芝で被覆してなる人工芝畳であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る畳の敷設方法によれば、需要者は、部屋の一つの周縁とそれに直交する周縁の寸法を、自身で測定し、受注者は、その寸法に合わせて、必要数の正方形の畳と、畳と部屋の周縁の間の隙間を埋めるための隙間材を調製して、需要者に納品するだけで、需要者自身が畳の敷設を行える。このため、部屋のリフォームが簡単に行える。
【0013】
また、本発明に係る畳の敷設方法においては、畳として、通常の畳床を人工芝で被覆した人工芝畳を用いることで、表面に密に突出した芝が、クッションとして機能し、畳間の空隙を閉塞したり、隙間材の機能を補完したりするので、畳敷設後の外観を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 本発明に係る畳の敷設状態の一例を示す図
図2】 本発明に係る畳の敷設における隙間材の配置の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る畳の敷設状態の一例を示す図である。図1において、1は部屋の周縁、2は隙間材、3は正方形の畳である。
【0016】
この図における、部屋の周縁1の内寸の縦横の長さは、需要者の測定結果によるもので、縦がb、横がaであり、正方形の畳3の一辺の寸法はcなので、a/cとb/cの整数部分はそれぞれ3となる。従って、正方形の畳3の必要枚数は、9枚となる。
【0017】
また、図1に示したように、正方形の畳3を、部屋の図における左下の隅から、密接させて配置すると、図1における上方には、幅がb-3c=dの隙間が生じ、右方には、幅がa-3c=dの隙間が生じる。
【0018】
図2は、本発明に係る畳の敷設における、隙間材の配置の一例を示す図であり、隙間材としては、長さがaで幅がeのものと、長さがgで幅がdとの組み合わせ。または長さがfで幅がeのものと、長さがbで幅がdのものとの組み合わせを用いることができる。また、隙間材は、正方形の畳3と部屋の周縁1との隙間を埋めれば、その機能を果たすので、図2に示したような寸法の隙間材を、適宜組み合わせることができる。
【0019】
なお、隙間材の材質は特に限定されないが、作業性を考慮すると、切断が容易で、ある程度伸縮可能であることが望ましいので、発泡ポリウレタンなどのような材料が好適に用いられる。
【0020】
以上に、説明したように、本発明によれば、特別な技能を持たない需要者でも、自身で敷設することが可能な、畳の敷設方法を提供できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1・・・部屋の周縁 2・・・隙間材 3・・・正方形の畳
図1
図2