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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166965
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】模型玩具、及び関節構造
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/36 20060101AFI20231115BHJP
   A63H 3/04 20060101ALI20231115BHJP
   A63H 3/46 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A63H3/36 L
A63H3/04 A
A63H3/36 G
A63H3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020961
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2022077681の分割
【原出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 翔一
(72)【発明者】
【氏名】生頼 卓也
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA01
2C150CA08
2C150DC03
2C150EH01
2C150EH21
(57)【要約】
【課題】本発明は、例えば模型玩具において、自然な動作を実現しつつ、変形のための可動を好適にロックする仕組みを提供する。
【解決手段】本模型玩具は、第1形態から第2形態に変形可能であって、模型玩具の少なくとも1つのパーツを動作させるための複数の可動軸を有する可動パーツと、第1形態において、可動パーツの複数の可動軸のうち、少なくとも1つの可動軸の動作を制限し、他の可動軸の動作を制限しないロック機構とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具であって、
前記模型玩具の少なくとも1つのパーツを動作させるための複数の可動軸を有する可動パーツと、
前記第1形態において、前記可動パーツの前記複数の可動軸のうち、少なくとも1つの可動軸の動作を制限し、他の可動軸の動作を制限しないロック機構と
を備えることを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記可動パーツは、互いに連結された第1可動パーツ及び第2可動パーツを含み、
前記ロック機構は、前記第2可動パーツの動作を制限することなく、前記第1可動パーツの動作を制限することにより、前記第1形態から前記第2形態へ変形させる動作の可動軸の動作を制限する第1ロック機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第1ロック機構は、模型対象の一部のパーツであり、前記第2可動パーツに当接することにより前記第1可動パーツの動作を制限することを特徴とする請求項2に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記可動パーツは前記第1可動パーツに連結された第3可動パーツをさらに含み、
前記ロック機構は、前記第3可動パーツの動作を制限することにより、前記第1可動パーツの可動域を制限する第2ロック機構を含むことを特徴とする請求項3に記載の模型玩具。
【請求項5】
前記第2ロック機構は、前記第3可動パーツの一部が挿入される溝部に形成された乗り越え部であり、
前記第3可動パーツの一部が前記乗り越え部を乗り越えると該第3可動パーツの動作が可能となることを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパーツは、前記模型玩具の大腿部を形成するパーツであり、
前記模型対象の一部のパーツは、前記模型玩具の膝を形成するパーツであり、
前記可動パーツは、前記大腿部の可動軸を形成するパーツであることを特徴とする請求項4又は5に記載の模型玩具。
【請求項7】
前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構を解除することにより、前記大腿部を形成するパーツ及び前記可動軸を形成するパーツが、前記模型玩具の下腿部の方向に180度回転し、該下腿部に折り畳み込まれることを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項8】
前記第1ロック機構は、前記膝を形成するパーツを回動させることにより、前記第2可動パーツの動作制限を解除することを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項9】
第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具の関節構造であって、
第1可動パーツと、
前記第1可動パーツの一端に回転可能に連結される第2可動パーツと、
前記第1可動パーツの他端に回転可能に連結される第3可動パーツと、
前記第1形態において前記第1可動パーツ及び第3可動パーツの少なくとも1つの動作を制限し、前記第2可動パーツの動作を制限しないロック機構と
を有することを特徴とする関節構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具、及び関節構造に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物の動きに近い動作やポージングを実現すべく、人形玩具(模型玩具)には種々の関節や可動部が含まれる。また、模型玩具には複数の形態へ変形可能なものがあり、この場合においては関節等の可動機構に加えて変形のための可動機構も有する。変形を行うためには各部の可動域を通常の動作を超えて可動させたり、脱着可能としたりする必要がある。特許文献1には、ある形態からロボット形態へ展開することを阻止する展開係止手段を設け、当該展開係止手段をロボットの構成部材の中に形成する変形ロボット玩具を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63-85292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では単に他の形態へ変形することを阻止する方法について検討されている。しかし、ロボット形態において、より自然な動作やポージングを可能としつつ、変形を防止することについては検討されていない。一方で、所定の形態から他の形態へ変形するための可動が、所定の形態において自由に動作可能とすると、不自然な動作やポージングが可能となってしまう。また、所定の形態における可動機構とは別に他の形態へ変形するための可動機構を設けると、パーツ点数が増大してしまい肥大化し、外観が不自然な印象となってしまう。
【0005】
本発明は、例えば、模型玩具において、自然な動作を実現しつつ、変形のための可動を好適にロックする仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具であって、前記模型玩具の少なくとも1つのパーツを動作させるための複数の可動軸を有する可動パーツと、前記第1形態において、前記可動パーツの前記複数の可動軸のうち、少なくとも1つの可動軸の動作を制限し、他の可動軸の動作を制限しないロック機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、例えば第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具の関節構造であって、第1可動パーツと、前記第1可動パーツの一端に回転可能に連結される第2可動パーツと、前記第1可動パーツの他端に回転可能に連結される第3可動パーツと、前記第1形態において前記第1可動パーツ及び第3可動パーツの少なくとも1つの動作を制限し、前記第2可動パーツの動作を制限しないロック機構とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、模型玩具において、自然な動作を実現しつつ、変形のための可動を好適にロックする仕組みを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】一実施形態に係る模型玩具の外観正面及び外観側面の一例を示す図。
図1B】一実施形態に係る模型玩具の変形形態の一例を示す図。
図2】一実施形態に係る脚部の組立構成を示す図。
図3】一実施形態に係る脚部の可動軸を分解した図。
図4】一実施形態に係る脚部の側断面図。
図5】一実施形態に係る変形形態へのロック機構を示す図。
図6】一実施形態に係る乗り越え部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<模型玩具の外観>
まず図1Aを参照して、本実施形態に係る模型玩具100の外観構成の一例について説明する。図1A(a)は模型玩具100の外観正面を示し、図1A(b)は模型玩具100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における模型玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0012】
模型玩具100は、本体部を構成する頭部101、胴体部102、腕部103及び脚部104を備える。本実施形態では模型玩具の一例として人型ロボットを例に説明するが、本発明を限定する意図はなく、本発明は人、動物、ロボット、昆虫、恐竜、武具、装飾具等、様々な模型に適用することができる。頭部101は、第1部分である胴体部102に連結される。胴体部102には、さらに側部において第2部分である右腕部103b及び左腕部103aが球形状の連結部材によって連結され、下部において右脚部104b及び左脚部104aが連結される。つまり、左腕部103a及び右腕部103bは、胴体部102に対して、他のパーツとの空間制限の範囲内で全方向へ回動可能に取り付けられる。このような構成をボールジョイントと称する。
【0013】
<変形形態>
次に図1Bを参照して、本実施形態に係る模型玩具100の変形形態を説明する。図1B(a)は模型玩具100の外観側面とその変形形態への可動を示し、図1B(b)は変形後の模型玩具の平面図を示す。
【0014】
図1B(a)に示すように、本実施形態に係る模型玩具100は、ロボット形態(第1形態)から腕部103及び脚部104が点線矢印の示す方向に180度回動する。さらに、他の部分も変形のために動作することにより、図1B(b)に示す変形形態(第2形態)へ変形することができる。図1B(b)の変形形態では、車両形態となり、ロボット形態時の正面が下に位置し、背面が上に位置している。なお、図1B(b)の模型玩具100の向きを示す矢印はロボット形態時の方向を示すものである。
【0015】
このように、本実施形態に係る模型玩具100によれば、ロボット形態から車両形態へ変形するために、少なくとも腕部103や脚部104が通常の動作範囲を超えて回動することになる。このような動作は人型ロボットにおいては不自然な動作となる。そこで、本実施形態においては、通常の動作範囲を超える可動(動作)をロック(制限)する仕組みを設ける。つまり、ロボット形態時においては、通常の動作範囲において動作可能とし、それを超える変形のための可動については制限を設け、動作しないようにする。当該ロック機構についは、以下で脚部を例に詳細に説明する。しかし本発明を限定する意図はなく、本発明の可動機構(関節構造)を腕部に適用してもよいし、他の箇所に適用してもよい。
【0016】
<脚部の組立構成>
次に図2を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の脚部104の組立構成について説明する。図2(a)は模型玩具100から左脚部104aを外した様子を示す。図2(b)は左脚部104aの分解斜視図を示す。ここでは、左脚部104aの構成について説明する。なお、右脚部104bの構成も左脚部104aと同様であるため説明は省略する。
【0017】
図2(a)に示すように、左脚部104aは、連結部材220によって胴体部102へ連結される。詳細には、連結部材220の一端が大腿部の一部を構成するパーツ210に挿入されることにより、胴体部102と左脚部104aが連結される。なお、連結部材220の一端が円筒形状で形成され、パーツ210の受け入れ部へ回転可能に挿入されるように構成されてもよい。これにより、脚部を内側や外側に捻る動作を実現することができる。
【0018】
図2(b)に示すように、左脚部104aは、大腿部、下腿部、膝、足、可動軸及び服飾を構成する複数のパーツ201~214を含んで構成される。パーツ210は大腿部の一部を構成する。パーツ201~204は膝部から大腿部にわたる脚部の可動軸を構成する。可動軸の詳細については図3を用いて後述する。パーツ205a、205bは、可動軸のパーツを挟持するように組み付けられ、下腿部を構成する。パーツ205a、205bを組み付けた後に、装飾として正面にパーツ211が組み付けられ、側面にパーツ213、214が組み付けられる。パーツ213、214は、車両形態へ変形した際のタイヤパーツであり、回転可能に組み付けられる。パーツ206~208は膝部とロック機構を構成する。詳細については図3を用いて後述する。パーツ212は足部を構成するパーツである。
【0019】
<脚部の可動軸の詳細構成>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る脚部の可動軸の詳細構成について説明する。図3(a)は膝部及び可動軸を構成する各パーツの分解斜視図を示す。図3(b)は膝部及び可動軸の一部を組み立てた組立途中の斜視図を示す。図3(c)は膝部及び可動軸を組み立てた場合の側面図を示す。右脚部104bの膝部及び可動軸の構成は、左脚部104aの膝部及び可動軸の構成と同様であるため説明を省略する。
【0020】
図3(a)に示すように、パーツ201及びパーツ202が組み付けられて第1可動パーツを形成する。さらに第1可動パーツ(パーツ201)の一端(上部)に形成された両側が開口した円筒形状の部分を両側から挟み込むようにパーツ203a、203bが回転可能に組み付けられて第2可動パーツを形成する。さらに、第1可動パーツの他端(下部)にはパーツ204a、204bが組み付けられて形成された第3可動パーツが回転可能に連結される。
【0021】
図3(b)は上記第1可動パーツ乃至第3可動パーツをそれぞれ組み付けた様子を示す。また、図3(c)は、これらの可動パーツに加えて、パーツ206~208を組み付けて形成された膝パーツと、パーツ209とが組み付けられた様子を示す。パーツ209は第3可動パーツに回転可能に組み付けられる。パーツ209は、例えば模型玩具の脹脛の一部を形成するパーツである。
【0022】
膝パーツは第1可動パーツに対してパーツ208の一部が当接するように配置される。膝パーツ自体は、第1可動パーツ乃至第3可動パーツには連結されず、パーツ205a、205bに回転可能に組み付けられる。第1可動パーツは、第3可動パーツとの連結部を回転軸として回転可能に組み付けられる。したがって、パーツ208が図3(c)に示すように当接することによって、上記回転軸を中心とした回転動作が制限されることになる。
【0023】
これにより、本実施形態によれば、模型玩具100がロボット形態(第1形態)の状態においては、複数の可動軸を有する脚部の第1可動パーツ乃至第3可動パーツのうち、第2可動パーツ(パーツ203)のみが回転可能となる。この回転動作は人型ロボットの膝関節の回転動作に対応する。一方、車両形態(第2形態)へ変形させる場合には、パーツ208によるロックを解除することにより、第1可動パーツの回転動作の制限を解除することができ、大腿部を下腿部へ折り畳むことが可能となる。詳細な上記ロック機構については図5を用いて後述する。
【0024】
<脚部の断面>
次に図4を参照して、本実施形態に係る左脚部104aの断面について説明する。右脚部104bの可動軸の構成は、左脚部104aの可動軸の構成と同様であるため説明を省略する。
【0025】
図3を用いて説明した第1可動パーツ乃至第3可動パーツと、膝パーツとが左脚部104aにおいて、図4に示すように他のパーツと組み付けられる。第2可動パーツ(パーツ203a、203b)の上部には大腿部の一部を形成するパーツ210が可動軸401を中心として回転可能に組み付けられる。また、第2可動パーツは第1可動パーツ(パーツ201、202)の一端に可動軸402を中心として回転可能に組み付けられる。また、第1可動パーツの他端には第3可動パーツ(パーツ204a、204b)が可動軸403を中心として回転可能に組み付けられる。さらに、第3可動パーツはその可動軸404がパーツ205a、205bに形成された溝部405に沿って移動可能に組み付けられる。
【0026】
上記複数の可動軸401~404のうち、ロボット形態においては可動軸401、402が制限なく動作可能であり、可動軸403、404はそれぞれ第1ロック機構、第2ロック機構によってその可動が制限される。詳細なロック機構の説明は図5図6を用いて後述する。本実施形態によれば、図4に示すように、複数の可動軸を一連の連結されたパーツで実現し、ロボット形態においては、少なくとも1つの可動軸をロックする。例えば、通常の動作のための可動軸を動作可能に維持しつつ、通常の動作を超える可動についてはロックしてその動作を制限する。これにより、ロボット形態において不自然な動作が行われることを防止することができる。また、ロボット形態において制限対象となる可動機構やロック機構を、ロボット形態における通常動作の可動機構と一体的に形成することにより、パーツ点数を低減し、模型玩具の肥大化を防止することができる。
【0027】
<ロック構成(第1ロック機構)>
次に図5を参照して、本実施形態に係るロボット形態において少なくとも1つの可動をロックするロック構成(第1ロック機構)について説明する。図5(a)乃至図5(d)は図4に示す左脚部104aの断面図を簡略化した図である。
【0028】
図5(a)は模型玩具100のロボット形態(第1形態)における左脚部104aの側断面を示す。この状態では、上記第1ロック機構及び第2ロック機構が機能しており、可動軸401及び可動軸402が動作可能であり、可動軸403及び可動軸404がロックされている。なお、本実施形態では可動軸403、404をロックする構成について説明するが、本発明を限定する意図はなく、第1形態において少なくとも1つの可動軸がロックされる構成であればよい。また、ロックされる可動軸は第1形態から第2形態へ変形するための機能を有する可動軸であってもよい。また、可動軸によってはロボット形態において通常動作を行うための可動軸と、変形するための可動軸との両方の機能を有する可能性もある。この場合には、ロボット形態において変形動作を行うための動作を制限する仕組みを設けることが望ましい。言い換えれば、ロボット形態においては、可動域を制限するような仕組みであることが望ましい。
【0029】
図5(b)は可動軸402を中心として点線矢印の方向にパーツ203a、203b、410を回転させた状態を示す。このように、ロボット形態においては膝関節の回転動作を実現することができる。
【0030】
図5(c)は膝部を構成するパーツ206を点線矢印に示すように上方向へ移動させた様子を示す。パーツ206の上記移動により、パーツ208が第1可動パーツ(パーツ201、202)から離間し、第1ロック機構が解除される。したがって、可動軸403による回転動作の制限が解除され、点線矢印に示すようにパーツ201、202、及びそれらのパーツに連結するパーツ203a、203b、410がそれぞれ回転する。さらに、図5(c)に示すように、第2ロック機構によって制限されていた可動軸404のロックを解除し、溝部405に沿って第3可動パーツを移動させることができる。第2ロック機構の詳細については図6を用いて後述する。
【0031】
図5(d)は第3可動パーツを溝部405の端部まで移動させ、それに伴って、第1可動パーツ及び第2可動パーツを最大まで回転させた様子を示す。図5(d)に示すように、可動軸403、404のロックを解除することにより、大腿部を構成するパーツを模型玩具100の下方向へ180度回転させ、下腿部へ折り畳むような動作を実現することができる。この状態まで変形させることにより、脚部を車両形態である第2形態へ移行させることができる。
【0032】
なお、この折り畳む動作をロボット形態において許容すると、人型ロボットの形態においては不自然な動作となるため、本実施形態においては少なくとも1つの可動軸をロックすることにより、通常動作を超える動作を制限している。また、ロック機構のためのパーツを別途設けることなく、模型対象である人型ロボットの一部のパーツによって実現することにより、パーツ点数を低減し、模型玩具の肥大化を防止することができる。
【0033】
<乗り越え部(第2ロック機構)>
次に図6を参照して、本実施形態に係る乗り越え部(第2ロック機構)について説明する。ここでは、左脚部104aのパーツ205aに形成された乗り越え部について説明するが、パーツ205aと組み付けられるパーツ205bも同様に構成されるものである。また、右脚部104bについてもパーツ205a、205bと同様の構成が設けられるものである。
【0034】
模型玩具100の下腿部を構成するパーツ205a、205bには、それぞれ溝部405が形成される。さらに、当該溝部405の一部に乗り越え部601が形成される。溝部405は上記第3可動パーツの可動軸404が移動可能に形成されている。乗り越え部601は当該可動軸404の溝部405の移動を制限するように設けられる溝部405の内壁に凸形状で形成される。
【0035】
乗り越え部601の拡大図を601a、601bに示す。この乗り越え部601により、ロボット形態において第3可動パーツの可動軸404は溝部405の一方の端部に固定される。この状態から溝部405の他方の端部へ可動軸404を移動させるためには、所定以上の押圧を加えて乗り越え部601を越えさせる必要がある。したがって、ロボット形態時において通常の動作、例えば、膝関節を曲げるなどの動作を行うわせるための押圧ではこの乗り越え部601を可動軸404が越えないように上記凸形状の部分が形成されることが望ましい。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る模型玩具は、第1形態から第2形態に変形可能である。本模型玩具は、模型玩具の少なくとも1つのパーツを動作させるための複数の可動軸を有する可動パーツと、第1形態において、可動パーツの複数の可動軸のうち、少なくとも1つの可動軸をロックし、他の可動軸をロックしないロック機構とを備える。これにより、本実施形態によれば、本模型玩具において、自然な動作を実現しつつ、変形のための可動を好適にロックする仕組みを実現することができる。また、本模型玩具において、より少ないパーツで変形のための可動やそのロック機構を実現することができる。
【0037】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。例えば模型玩具の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜等、様々な形状を含むものである。また、上記実施形態では、脚部の可動パーツについて本発明を適用する例を説明したが、他の部位の可動パーツとして適用することも可能である。例えば腕部について同様の構成を適用することも可能である。また、上記実施形態では、第1ロック機構及び第2ロック機構を設けたが、何れか一方だけ設けるようにしてもよい。また、ロックされる可動軸以外の可動軸においても第1形態から第2形態へ変形するための機能を有してもよい。また、上記実施形態では、ロボット形態時において、通常の動作範囲においては可動軸を動作可能とし、それを超える変形のための可動については動作を制限する例を説明したが、これに限られることはなく、例えば通常の動作範囲における動作を必要としないものであってもよい。つまり、例えばロボット形態時においてロックされる可動軸は、変形のための可動機能のみを有し、通常の動作範囲の動作はしないものであってもよい。
【0038】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の模型玩具、及び関節構造を少なくとも開示する。
【0039】
(1)
第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具であって、
前記模型玩具の少なくとも1つのパーツを動作させるための複数の可動軸を有する可動パーツと、
前記第1形態において、前記可動パーツの前記複数の可動軸のうち、少なくとも1つの可動軸の動作を制限し、他の可動軸の動作を制限しないロック機構と
を備えることを特徴とする模型玩具。
【0040】
(2)前記可動パーツは、互いに連結された第1可動パーツ及び第2可動パーツを含み、
前記ロック機構は、前記第2可動パーツの動作を制限することなく、前記第1可動パーツの動作を制限することにより、前記第1形態から前記第2形態へ変形させる動作の可動軸の動作を制限する第1ロック機構を含むことを特徴とする(1)に記載の模型玩具。
【0041】
(3)前記第1ロック機構は、模型対象の一部のパーツであり、前記第2可動パーツに当接することにより前記第1可動パーツの動作を制限することを特徴とする(2)に記載の模型玩具。
【0042】
(4)前記可動パーツは前記第1可動パーツに連結された第3可動パーツをさらに含み、
前記ロック機構は、前記第3可動パーツの動作を制限することにより、前記第1可動パーツの可動域を制限する第2ロック機構を含むことを特徴とする(2)又は(3)に記載の模型玩具。
【0043】
(5)前記第2ロック機構は、前記第3可動パーツの一部が挿入される溝部に形成された乗り越え部であり、
前記第3可動パーツの一部が前記乗り越え部を乗り越えると該第3可動パーツの動作が可能となることを特徴とする(4)に記載の模型玩具。
【0044】
(6)前記少なくとも1つのパーツは、前記模型玩具の大腿部を形成するパーツであり、
前記模型対象の一部のパーツは、前記模型玩具の膝を形成するパーツであり、
前記可動パーツは、前記大腿部の可動軸を形成するパーツであることを特徴とする(3)から(5)のいずれか一つに記載の模型玩具。
【0045】
(7)前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構を解除することにより、前記大腿部を形成するパーツ及び前記可動軸を形成するパーツが、前記模型玩具の下腿部の方向に180度回転し、該下腿部に折り畳み込まれることを特徴とする(6)に記載の模型玩具。
【0046】
(8)前記第1ロック機構は、前記膝を形成するパーツを回動させることにより、前記第2可動パーツの動作制限を解除することを特徴とする(6)又は(7)に記載の模型玩具。
【0047】
(9)第1形態から第2形態に変形可能な模型玩具の関節構造であって、
第1可動パーツと、
前記第1可動パーツの一端に回転可能に連結される第2可動パーツと、
前記第1可動パーツの他端に回転可能に連結される第3可動パーツと、
前記第1形態において前記第1可動パーツ及び第3可動パーツの少なくとも1つの動作を制限し、前記第2可動パーツの動作を制限しないロック機構と
を有することを特徴とする関節構造。
【符号の説明】
【0048】
100:模型玩具、101:頭部、102:胴体、103a、103b:腕部、104a、104b:脚部、220:連結部材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6