(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166972
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20231115BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20231115BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W36/30
H04W4/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041334
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022077728
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】山口 史人
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】継続的な通信接続を維持して、自動運転制御の途絶を防止する。
【解決手段】通信部140を備えた自動運転車両100と、自動運転車両100と接続中の第1の基地局200と、第1の基地局200と隣接する切替先候補としての第2の基地局300と、自動運転車両100の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を実行するとともに、基地局の切り替え制御を実行する制御装置400と、を含み、制御装置400は、第1の基地局200あるいは第2の基地局300を介した自動運転車両100との接続状況に基づいて、第2の基地局300への切り替え要求を自動運転車両100の通信部140に送信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両と接続される複数の基地局と、
前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行するとともに、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質とに基づいて、前記第2の基地局への切り替え要求を前記自動運転車両に送信することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
自動運転車両と接続される複数の基地局と、
前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行する第1の制御装置と、
前記自動運転車両に設けられ、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する第2の制御装置と、
を備え、
前記第2の制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質とに基づいて、前記第2の基地局への切り替えの可否を判定することを特徴とする運転支援システム。
【請求項3】
自動運転車両と接続される複数の基地局と、
前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行する第1の制御装置と、
前記基地局に設けられ、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する第2の制御装置と、
を備え、
前記第2の制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質に基づいて、前記第2の基地局への切り替え要求を前記自動運転車両に送信することを特徴とする運転支援システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記自動運転車両に対する自動制御処理のタイミングと前記切り替えに要する再接続時間とに基づいて、前記切り替えの可否を判定する請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記第2の制御装置は、前記自動運転車両に対する自動制御処理のタイミングと前記切り替えに要する再接続時間とに基づいて、前記切り替えの可否を判定する請求項2または3に記載の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の分野においても、つながる車、いわゆる、コネクテッドカーに関する開発が急速に進んでいる。
【0003】
コネクテッドカーに関し、より効率的なデータの送受信を実現する通信装置として、基地局および基地局よりも通信範囲の狭い複数のアクセスポイントと通信を行う通信部と、車載機器から車両情報を取得する第1取得部と、複数のアクセスポイントごとの通信品質に関する情報を取得する第2取得部と、通信部により複数のアクセスポイントとの通信が接続状態である場合において、第2取得部により取得された通信品質に関する情報に基づいて接続状態を解除するアクセスポイントを決定した場合に、決定したアクセスポイントとの接続状態を解除する接続調整部と、を備える通信装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の通信装置は、例えば、電話回線網を利用してサーバー等と無線通信を行う形態と、WiFi規格の無線LANなどを利用して、サーバー等と無線通信を行う形態等の複数のアクセスポイントがあることを前提とするものであり、電話回線網を利用してサーバー等と無線通信を行う形態のみを前提とするものではない。
【0006】
一方で、電話回線網を利用してサーバー等と無線通信を行う形態のみの場合には、通信キャリアの提供するエリアを車両が跨いで走行する場合等に発生する基地局のハンドオーバー(切り替え)によって、一時的な通信途絶が発生する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、継続的な通信接続を維持する運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、自動運転車両と接続される複数の基地局と、前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行するとともに、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質とに基づいて、前記第2の基地局への切り替え要求を前記自動運転車両に送信することを特徴とする運転支援システムを提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、自動運転車両と接続される複数の基地局と、前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行する第1の制御装置と、前記自動運転車両に設けられ、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する第2の制御装置と、を備え、前記第2の制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質とに基づいて、前記第2の基地局への切り替えの可否を判定することを特徴とする運転支援システムを提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、自動運転車両と接続される複数の基地局と、前記自動運転車両の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を前記基地局を介して実行する第1の制御装置と、前記基地局に設けられ、前記自動運転車両が接続される基地局の切り替え制御を実行する第2の制御装置と、を備え、前記第2の制御装置は、前記自動運転車両が接続されている第1の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質と、前記第1の基地局と隣接する切替先候補としての第2の基地局と前記自動運転車両との間の通信品質に基づいて、前記第2の基地局への切り替え要求を前記自動運転車両に送信する運転支援システムを提案している。
【0011】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御装置は、前記自動運転車両に対する自動制御処理のタイミングと前記切り替えに要する再接続時間とに基づいて、前記切り替えの可否を判定する運転支援システムを提案している。
【0012】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第2の制御装置は、前記自動運転車両に対する自動制御処理のタイミングと前記切り替えに要する再接続時間とに基づいて、前記切り替えの可否を判定する運転支援システムを提案している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、継続的な通信接続を維持することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る運転支援システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る自動運転車両の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る運転支援システムの処理を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の切り替え処理を示すフロー図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る運転支援システムの構成を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る自動運転車両の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る運転支援システムの構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1から
図10を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1から
図6を用いて、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。
【0017】
<運転支援システム1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、自動運転車両100と、第1の基地局200と、第2の基地局300と、制御装置400と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態に係る走行制御システム1は複数の基地局と複数の車両とを含んで構成されるものであるが、
図1では図示の便宜上、二つの基地局と一台の車両のみを示している。
【0018】
自動運転車両100は、例えば、自動運転走行を行うコネクテッドカーであって、搭載するセンサからの情報等と通信により得られる情報等とに基づいて、自動運転走行を実行する。
なお、本実施形態においては、例示的に、車両を自動運転車両100としたが、運転支援システムを搭載した車両であってもよい。
【0019】
第1の基地局200および第2の基地局300は、例えば、端末と通信を行う陸上に開設された固定あるいは移動の無線局であり、端末との間で無線通信を行う一方、電話網の末端となる。
また、基地局間は有線(電話回線)又は無線あるいは衛星回線等で接続されている。
なお、本実施形態においては、第1の基地局200と第2の基地局300とが隣接しているものとして、以下、説明する。なお、隣接する基地局とは、具体的には通信エリア(セル)が隣接している基地局を意味する。
【0020】
制御装置400は、自動運転車両100の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を実行するとともに、基地局の切り替え制御を実行する。
制御装置400は、本実施形態においては、特に、自動運転車両100と第1の基地局200との接続状況および自動運転車両100と第2の基地局300との接続状況とを把握し、その接続状況に基づいて、通信接続中の第1の基地局200から第2の基地局300への切り替えを制御する。
ここで、無線ネットワーク環境では、基地局/通信端末間の「電波の強度(RSSI)」と「電波に重畳しているデータの品質(RSRQ)」によって、通信が成り立っている。
「電波の強度」は、基地局と自動運転車両100の通信部140(通信端末)との間の通信における電波レベルを示す。例えば、基地局と自動運転車両100の通信部140(通信端末)との間の距離や障害物等の影響によって、電波レベルが減衰低下する。
「電波に重畳しているデータの品質」は、基地局と自動運転車両100の通信部140(通信端末)との間の通信におけるデータの品質を示す。例えば、他の通信による電波干渉や環境ノイズによりデータ品質が低下する。
このように、「電波の強度」や「電波に重畳しているデータの品質」の低下によって、通信が不安定になると、通信断絶や通信遅延などの障害となる。
なお、上記の他にも、BER(ビットエラーレート)やPER(パケットエラーレート)、高周波帯を扱うRF部で処理された後の復調データ(通信プロトコル部の領域)の品質も影響する。
これを通信品質が低下している状態という。
本実施形態においては、通信品質を尺度として、通信断絶や通信遅延などの障害が起こりうる可能性があるのか、ないのかを推定して、「接続状況(通信コネクションの状況)」が良好であるのかを判断する。
【0021】
<自動運転車両100の構成>
図2に示すように、本実施形態に係る自動運転車両100は、車両センサ110と、駆動制御部120と、運転制御部130と、通信部140と、記憶部150と、を含んで構成されている。
【0022】
車両センサ110は、車速センサ、車両の走行状況に関する情報を検出するセンサを含む。
車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して自動運転車両100の速度(車速)を導出し、導出した車速を駆動制御部120に出力する。
車両の走行状況に関する情報を検出するセンサには、車両の位置等を検出する位置センサ、車両の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両の向きを検出する方位センサ等が含まれる。
位置センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)装置によって車両の位置を検出する。なお、位置センサは、例えば、ナビゲーション装置に含まれるGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機によって、車両の位置を検出するようにしてもよい。
また、車両センサ110は、例えば、カメラやレーダ装置、LIDAR(Light Detection and Ranging)、物体認識装置等を含む。
これらは、例えば、車両の周辺情報を検出するための構成要素である。
カメラは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラであり、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置は、車両の周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、周辺の物体によって反射された電波(反射波)を検出して、少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。
レーダ装置は、車両の任意の箇所に取り付けられ、例えば、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
LIDARは、車両の周辺に光に近い波長の電磁波を照射し、散乱光を測定する。
LIDARは、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。
LIDARにより照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。
物体認識装置は、上述したカメラ、レーダ装置、およびLIDARのうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、車両の周辺に存在する物体の位置、種類、速度等を認識する。
物体認識装置は、認識結果を運転制御部130に出力する。
【0023】
駆動制御部120は、車両に駆動力等を与えて車両を走行させる。
駆動制御部120は、例えば、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する走行駆動力出力部と、所定の制動操作に応じたブレーキトルクを各車輪に出力させるブレーキ部と、転舵輪の向きを変更させるステアリング部とを含む。
走行駆動力出力部は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。
走行駆動力出力部は、後述する運転制御部130から入力される情報に基づいて、内燃機関、電動機、および変速機等を制御する。
ブレーキ部は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。
ブレーキECUは、運転制御部130から入力される情報に基づいて、電動モータを制御し、制動制御に応じたブレーキトルクを各車輪に出力する。
ステアリング部は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。
電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。
ステアリングECUは、運転制御部130から入力される情報に基づいて、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0024】
運転制御部130は、例えば、車両の自動運転制御を実行する。
運転制御部130は、前述の車両センサ110により検出された車両の周辺状況や、車両の挙動、乗員からの制御指示、通信により第1の基地局200あるいは第2の基地局を介して取得した後述する制御装置400からの制御情報に対応した運転制御情報を生成し、生成した運転制御情報を駆動制御部120に出力することにより、自動運転を実現する。
【0025】
通信部140は、自動運転車両100、第1の基地局200、第2の基地局300、制御装置400等と無線通信を行う無線通信インタフェースである。
通信部140は、複数の無線アクセス方式に対応し、図示しない受信処理部、送信処理部、アンテナ等を含む。
なお、本実施形態において、通信部140は、例えば、後述する制御装置400からの基地局の切り替え要求を受信し、通信接続する基地局を第1の基地局200から第2の基地局300に切り替える。
【0026】
記憶部150は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、または、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。記憶部150には、例えば、通信要件やプロセッサによって読み出されて実行される制御プログラム、その他各種情報等が格納されている。
【0027】
<第1の基地局200の構成>
図3に示すように、本実施形態に係る第1の基地局200は、無線通信部210と、記憶部220と、制御部230とを含んで構成されている。
なお、第2の基地局300については、第1の基地局200と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0028】
無線通信部210は、自動運転車両100、制御装置400等と無線通信を行うための無線通信インタフェースである。
また、無線通信部210は、受信処理部211と、送信処理部212と、アンテナ213とを含んで構成されている。
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行い、図示しない無線受信部と、多重分離部と、復調部と、復号部と、を含んで構成されている。
ここで、無線受信部は、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。
多重分離部は、無線受信部から出力された信号から、PUSCH、PUCCH等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。
復調部は、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。
復号部は、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。
送信処理部212は、アンテナ213を介して、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行い、図示しない符号化部、変調部、多重部、無線送信部と、を含んで構成されている。
ここで、符号化部は、後述する制御部230から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。
変調部は、符号化部から出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。
多重部は、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。
無線送信部は、多重部からの信号に対して、各種信号処理を行う。
例えば、無線送信部は、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。
【0029】
記憶部220は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置等で構成されている。
本実施形態において、記憶部220は、切替情報を一時的に記憶する。
切替情報は、制御装置400が基地局の切り替えに使用する情報である。
切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。
ここで、リソース情報は、接続中の制御装置400が、切替先候補の第2の基地局300と無線通信するために用いる無線リソースに関する情報である。
また、トリガ情報は、制御装置400が、接続先の第1の基地局200を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。
また、タイミングアドバンス情報は、制御装置400が、切替先候補の第2の基地局300へ接続するためのタイミングアドバンスに関する情報である。
【0030】
制御部230は、第1の基地局200の各部を制御するコントローラである。
制御部230は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより構成されている。
制御部230は、例えば、第1の基地局200内部の記憶部220に記憶されている各種プログラムをプロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行する。
【0031】
<制御装置400の構成>
図4に示すように、本実施形態に係る制御装置400は、通信部410と、接続状況判定部420と、選択部430と、通信制御部440と、記憶部450と、を含んで構成されている。
【0032】
通信部410は、例えば、4Gあるいは5Gの通信方式が利用可能なセルラー網等を利用して、第1の基地局200や第2の基地局300と無線通信を実行する。
また、本実施形態において、通信部410は、基地局の切り替え要求を自動運転車両100の通信部140に送信する。
【0033】
接続状況判定部420は、通信部410によって通信可能な、例えば、第1の基地局200あるいは第2の基地局300の接続状況情報を取得して、第1の基地局200あるいは第2の基地局300の接続状況を判定する。
【0034】
選択部430は、接続状況判定部420における判定結果に基づいて、第1の基地局200との通信を維持すべきか、あるいは、第1の基地局200と隣接する第2の基地局300への切り替え、すなわち、ハンドオーバーを行うべきなのかを選択する。
具体的には、選択部430は、例えば、切替先の第2の基地局300における接続状況が良好で、かつ、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)が、将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも短いと判断した場合に、第1の基地局200から第1の基地局200と隣接する第2の基地局300への切り替えを選択する。
そして、選択部430において、第1の基地局200から第1の基地局200と隣接する第2の基地局300への切り替えが選択された場合には、その選択結果を基地局の切り替え要求情報として、通信部410を介して、自動運転車両100の通信部140に送信する。
自動運転に関するイベントとは、制御装置400による自動運転車両100の管制制御や遠隔制御として行われる自動合流、分流、車線変更、緊急車両停止、MRM退避制御等である。
例えば、管制制御としては、第1のレーンと第1のレーンよりも走行優先度の低い第2のレーンの合流区間において、第1のレーンを走行する第1の車両あるいは第2のレーンを走行する第2の車両に対して合流のための走行制御を行う合流制御を例示することができる。
また、これらの自動運転イベントは、制御の開始から終了までの時間がハンドオーバーに要する時間よりも長いイベントである。
また、将来的に発生する自動運転イベントのタイミング(具体的には自動運転イベントが開始するまでの時間)を含む自動運転イベントに関する情報は、常に、制御装置400から自動運転車両100に送信されている。
【0035】
通信制御部440は、選択部430により選択された、例えば、第2の基地局300に諸情報を送信するための各種制御を行う。
通信制御部440は、例えば、選択部430により選択された第2の基地局300と通信するための接続要求を生成し、生成した接続要求を含む指示情報を第2の基地局300に送信する。
【0036】
記憶部450は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、または、RAM等により構成されている。
記憶部450には、例えば、通信要件やプロセッサによって読み出され、実行されるプログラム、その他各種情報等が格納されている。
また、記憶部450には、地図情報と基地局番号等を含む基地局に関する情報が格納されている。
【0037】
<運転支援システム1の処理>
図5から
図6を用いて、本実施形態に係る運転支援システム1の処理について説明する。
【0038】
図5に示すように、制御装置400の接続状況判定部420は、第1の基地局200から接続状況に関する情報を取得する(ステップS100)。
【0039】
次いで、制御装置400の接続状況判定部420は、第2の基地局300から接続状況に関する情報を取得する(ステップS200)。
【0040】
そして、制御装置400の選択部430は、取得した第1の基地局200との接続状況および第2の基地局300との接続状況、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)が将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも短いか否かに基づいて、第1の基地局200から第2の基地局300への切り替えを自動運転車両100の通信部140に要求し、自動運転車両100の通信部140は、切り替え制御を実行して、処理を終了する(ステップS300)。
なお、ステップS300の切り替え制御の詳細については、後述する。
【0041】
ここで、
図1に示したように、第1の基地局200と第2の基地局300は、通信エリアがオーバーラップされるように設置されており、自動運転車両100内の通信部140は、第1の基地局200あるいは第2の基地局300からの電波状況(RSSI、RSRQ)により電波チャネルの切り替えを行う。
ステップS300では、この切り替え処理について、第1の基地局200との接続状況および第2の基地局300との接続状況、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)が将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも短いか否かに基づいて、切り替え制御を実行する。
【0042】
<制御装置400の切り替え処理>
図6に示すように、制御装置400の接続状況判定部420は、自動運転車両100と第1の基地局200との接続状況が良好か否かを判定する(ステップS310)。
接続状況判定部420は、自動運転車両100と第1の基地局200との接続状況が良好であると判定した場合(ステップS310の「YES」)には、制御装置400による第2の基地局300への切り替えを行わず、自動運転車両100と第1の基地局200との接続を維持し、処理を終了する(ステップS330)。
【0043】
一方で、接続状況判定部420が、自動運転車両100と第1の基地局200との接続状況が良好ではないと判定した場合(ステップS310の「NO」)には、接続状況判定部420は、自動運転車両100と第2の基地局300との接続状況が良好か否かを判定する(ステップS320)。
【0044】
接続状況判定部420は、自動運転車両100と第2の基地局300との接続状況が良好ではないと判定する場合(ステップS320の「NO」)には、制御装置400による第2の基地局300への切り替えを行わず、第1の基地局200との接続を維持し、処理を終了する(ステップS330)。
【0045】
一方で、接続状況判定部420は、第2の基地局300との接続状況が良好であると判定する場合(ステップS320の「YES」)には、選択部430が、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)が、将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも長いか否か、つまり、自動運転に関するイベント中に再接続処理が実行されるか否かを判定する(ステップS340)。
【0046】
そして、選択部430が、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)は、将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも長いと判定する場合(ステップS340の「YES」)には、制御装置400による第2の基地局300への切り替えを行わず、第1の基地局200との接続を維持し、処理を終了する(ステップS330)。
【0047】
他方、選択部430が、切り替えによる再接続処理時間(tRetry)は、将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間(tEvent)よりも短いと判定する場合(ステップS340の「NO」)には、選択部430は、通信部410を介して、基地局の切り替え要求情報を自動運転車両100の通信部140に送信することによって、第1の基地局200から第2の基地局300への切り替えを実行し、処理を終了する(ステップS350)。
【0048】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る運転支援システム1は、通信部140を備えた自動運転車両100と、自動運転車両100と接続中の第1の基地局200と、第1の基地局200と隣接する切替先候補としての第2の基地局300と、自動運転車両100の自動運転における管制制御あるいは遠隔制御を実行するとともに、基地局の切り替え制御を実行する制御装置400と、を含み、制御装置400は、第1の基地局200あるいは第2の基地局300を介した自動運転車両100との接続状況に基づいて、第2の基地局300への切り替え要求を自動運転車両100の通信部140に送信する。
つまり、自動運転車両100の通信部140は、第1の基地局200あるいは第2の基地局300を介した自動運転車両100との接続状況に基づいて、第2の基地局300への切り替え要求を受信し、第1の基地局200に接続解除要求を、第2の基地局300に接続要求を送信して、接続先を第1の基地局200から第2の基地局300への切り替え制御を実行する。
そのため、継続的な通信接続を維持して、自動運転制御の途絶を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る運転支援システム1の制御装置400は、第1の基地局200あるいは第2の基地局300を介した自動運転車両100との接続状況および自動運転車両100に対する制御処理のタイミングと切り替えに要する再接続時間とに基づいて、通信部140による切り替え要求の送信可否を判定する。
つまり、制御装置400は、第2の基地局300を介した自動運転車両100との接続状況が良好で、切り替えによる再接続処理時間が、将来的に発生する自動運転に関するイベント開始までの時間よりも短いと判定した場合に、自動運転車両100の通信部140は、第2の基地局300への切り替え要求を受信し、第1の基地局200に接続解除要求を、第2の基地局300に接続要求を送信して、接続先を第1の基地局200から第2の基地局300への切り替え制御を実行する。
そのため、継続的な通信接続を維持して、自動運転制御の途絶を防止することができる。
【0050】
<第2の実施形態>
図7、
図8を用いて、本実施形態に係る運転支援システム1Aについて説明する。
【0051】
<運転支援システム1Aの構成>
図7に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1Aは、自動運転車両100Aと、第1の基地局200と、第2の基地局300と、制御装置400Aと、を含んで構成されている。
【0052】
自動運転車両100Aは、第1の実施形態において、制御装置400に含まれていた第2の制御装置500の構成を含んでいる。
つまり、本実施形態における制御装置400Aは、第1の制御装置であり、第1の実施形態において制御装置400に含まれていた接続状況判定部420と、選択部430と、通信制御部440とが、
図8に示すように、接続状況判定部510、選択部520、通信制御部530を含む第2の制御装置500として自動運転車両100Aに移設されている。
第1の実施形態において接続状況判定部420で行われていた基地局との接続状況検出処理(
図5のS100,200)は、接続状況判定部510において、通信部140で把握している各基地局との通信レベルに基づいて行われる。
そして、第1の実施形態において選択部430で行われていた基地局の切り替え処理(
図5のS300、
図6のS310からS350)は、選択部520で行われる。選択部520において第1の基地局200から第2の基地局300への切り替えが選択された場合、通信制御部530は、自動運転車両100Aが第2の基地局300と通信するための接続要求を生成し、生成した接続要求を含む指示情報を第2の基地局300に送信する。
なお、本実施形態においては、自動運転イベントに関する情報は、制御装置400Aから常に、自動運転車両100Aに送信されており、自動運転車両100Aでは、送信された自動運転イベントに関する情報に基づいて切替の可否を判断する。
【0053】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る運転支援システム1Aにおいては、接続状況判定部510と、選択部520と、通信制御部530と、を含む第2の制御装置500が自動運転車両100Aに移設されている。
つまり、第2の制御装置500が自動運転車両100Aに設けられることにより、第1の基地局200あるいは、第2の基地局300と自動運転車両100Aとの接続状況とを正確に把握することができる。
そのため、接続状況判定部510における判定結果に基づいて、第2の制御装置500が、第2の基地局300に基地局の切り替え要求を行うことによって、直ちに、通信接続する基地局を第1の基地局200から第2の基地局300に切り替えることができる。
【0054】
<第3の実施形態>
図9、
図10を用いて、本実施形態に係る運転支援システム1Bについて説明する。
【0055】
<運転支援システム1Bの構成>
図9に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1Bは、自動運転車両100と、第1の基地局200Aと、第2の基地局300Aと、制御装置400Aと、を含んで構成されている。
【0056】
第1の基地局200Aと第2の基地局300Aとは、第2の実施形態における第2の制御装置500の構成を含んでいる。
つまり、本実施形態における制御装置400Aは、第1の制御装置であり、第1の実施形態において制御装置400に含まれていた接続状況判定部420と、選択部430と、通信制御部440とが、
図10に示すように、接続状況判定部510、選択部520、通信制御部530を含む第2の制御装置500として第1の基地局200Aと第2の基地局300Aとに移設されている。
第1の実施形態において接続状況判定部420で行われていた基地局との接続状況検出処理(
図5のS100,200)は、第1の基地局200Aにおける接続状況判定部510において行われる。ここで、第1の基地局200Aにおける接続状況判定部510は、無線通信部210で把握している自局と自動運転車両100との通信レベルに基づいて自局と自動運転車両100との接続状態を判定する。また、自動運転車両100の通信部140で把握している各基地局との通信レベルは各基地局に送信され、各基地局の接続状況判定部510ではその情報に基づいて他の基地局と自動運転車両100との接続状況を判定する。
そして、第1の実施形態において選択部430で行われていた基地局の切り替え処理(
図5のS300、
図6のS310からS350)は、第1の基地局200Aの選択部520で行われる。選択部520において第1の基地局200Aから第2の基地局300Aへの切り替えが選択された場合、第1の基地局200Aの通信制御部530は、自動運転車両100が第2の基地局300Aと通信するための接続要求を生成し、生成した接続要求を含む指示情報を自動運転車両100および第2の基地局300Aに送信する。なお、本実施形態においては、自動運転イベントに関する情報は、制御装置400Aから常に、各基地局200A,300Aに送信されており、各基地局200A,300Aでは、送信された自動運転イベントに関する情報に基づいて切替の可否を判定する。
【0057】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る運転支援システム1Bにおいては、接続状況判定部510と、選択部520と、通信制御部530と、を含む第2の制御装置500が第1の基地局200Aおよび第2の基地局300Aに移設されている。
つまり、第2の制御装置500が第1の基地局200Aおよび第2の基地局300Aに設けられることにより、第1の基地局200Aあるいは、第2の基地局300Aと自動運転車両100との接続状況とを正確に把握することができる。
そのため、接続状況判定部510における判定結果に基づいて、接続中の第1の基地局200Aから自動運転車両100および第2の基地局300Aに基地局の切り替え要求を行うことによって、直ちに、通信接続する基地局を第1の基地局200Aから第2の基地局300Aに切り替えることができる。
【0058】
<変形例>
上記、第1の実施形態から第3の実施形態においては、現状の接続状況により、通信接続する基地局の切り替えを行うことを例示的に説明した。
しかしながら、例えば、将来的な電波環境、つまり、交通渋滞に伴い接続する端末が多くなることによる通信の輻輳等を予め予見できる場合には、接続状況が良好、つまり、通信速度や通信品質が高い状態の基地局へのハンドオーバーを前倒しで実行するようにしてもよい。
このような処理を実行することにより、ハンドオーバーの際に生じる再接続時間を短縮することができる。
【0059】
なお、制御装置400、400Aの処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置400、400Aに読み込ませ、実行することによって本発明の運転支援システム1、1A、1Bを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0060】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0061】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0062】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1;運転支援システム
1A;運転支援システム
1B;運転支援システム
100;自動運転車両
100A;自動運転車両
200;第1の基地局
200A;第1の基地局
110;車両センサ
120;駆動制御部
130;運転制御部
140;通信部
150;記憶部
210;無線通信部
211;受信処理部
212;送信処理部
213;アンテナ
220;記憶部
230;制御部
300;第2の基地局
300A;第2の基地局
400;制御装置
410;通信部
420;接続状況判定部
430;選択部
440;通信制御部
450;記憶部
500;第2の制御装置
510;接続状況判定部
520;選択部