(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166974
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】冷却蒸発器および循環システム
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20231115BHJP
F25D 21/06 20060101ALI20231115BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F25D21/14 P
F25D21/06 L
F25B47/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058481
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022077808
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519149456
【氏名又は名称】株式会社ZERO FOOD
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂田 剛
(72)【発明者】
【氏名】下津 慎治
(72)【発明者】
【氏名】稀玉 浩敬
(72)【発明者】
【氏名】木野 正人
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 茂
【テーマコード(参考)】
3L046
3L048
【Fターム(参考)】
3L046AA04
3L046CA15
3L046GA01
3L046MA03
3L046MA04
3L048AA01
3L048BA01
3L048CA06
3L048CB02
3L048CC03
3L048DA03
3L048GA02
(57)【要約】
【課題】冷蔵保管庫の庫内冷却器の散水除霜時の冷排水の再利用を図ることができる冷風蒸発器を提供する。
【解決手段】散水除霜式冷却機10を備えた低温高湿度保管庫の内部に設けられた冷風蒸発器であって、前記散水除霜式冷却機10の散水除霜排水を貯留する少なくとも部分的に金属からなる第1貯水槽30と前記第1貯水槽30に送風する送風装置20と、を備えている冷風蒸発器により、冷却された水蒸気を含む空気を庫内に充満させ、冷却効率を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水除霜式冷却機を備えた低温高湿度保管庫の内部に設けられた冷風蒸発器であって、
前記散水除霜式冷却機の散水除霜排水を貯留する少なくとも部分的に金属からなる第1貯水槽と
前記第1貯水槽に送風する送風装置と、を備えていることを特徴とする冷風蒸発器。
【請求項2】
前記第1貯水槽の少なくとも部分的に金属からなる部分の外側に凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷風蒸発器。
【請求項3】
前記第1貯水槽の内部に前記第1貯水槽の貯水を吸水することができる吸水部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷風蒸発器。
【請求項4】
前記第1貯水槽の内部にファインバブル発生装置を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷風蒸発器。
【請求項5】
請求項1に記載の冷風蒸発器と
前記散水除霜式冷却機に前記第1貯水槽の貯水を供給することにより、
前記散水除霜式冷却機の除霜の際に発生した除霜排水を前記第1貯水槽に戻すように当該貯水を循環させるための循環ポンプと
を備え、
前記散水除霜式冷却機の除霜する以外の時には前記循環ポンプが停止されることを特徴とする循環システム。
【請求項6】
低温高湿度保管庫に前記第1貯水槽と連通した第2貯水槽を備えた請求項5の循環システムであって、循環システム外部から水が供給可能である場合には、当該システム外部から前記散水除霜式冷却機と、前記第1貯水槽と、前記第2貯水槽に水を供給し、循環システム外部から水が供給可能でない場合には、前記循環ポンプが除霜時に前記散水除霜式冷却機に、
前記第2貯水槽の貯水を供給することにより、前記散水除霜式冷却機の除霜の際に発生した除霜排水を前記第1貯水槽および前記第2貯水槽に戻すように当該貯水を循環させ、前記散水除霜式冷却機の除霜する以外の時には前記循環ポンプが停止されることを特徴とする循環システム。
【請求項7】
散水除霜する冷却器の散水除霜水が落下する流路の鉛直線の下方に貯水槽を設け、貯水槽壁面両端部が流路下端から鉛直線に対して45°以上の位置関係にあるように設けたことを特徴とする請求項3に記載の冷風蒸発器。
【請求項8】
貯水槽の上部に加熱手段とその反射板を設けたことを特徴とする請求項7に記載の冷風蒸発器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温高湿度保管庫における温度および湿度保持に関する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
食品および花卉の多くは低温高湿度で保管することを求められる。温度の安定性が悪いと、温度上昇での保管物の品質劣化のみならず、高湿度に加湿した場合、温度変化により保管物への結露および霜付きが発生する。庫内に冷却機を設けた場合、温度の安定を最も損ねるのは庫内冷却機の除霜時である。本件に関し冷却機の簡易で庫内温度の上昇が少ない除霜方法は、水を冷却機のエバポレータに散水して除霜する散水除霜方式が、高温熱源を用いないので庫内温度が安定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開 昭51-135848号 公報
【特許文献2】特開 昭63-091474号 公報
【特許文献3】特開2005-037006号 公報
【特許文献4】特開2018-146186号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、散水除霜以外の除霜方式の冷却機において、除霜ドレンの排水受皿に別途加えた流水でドレンを流すことで排水受皿の凍結を防止する技術が開示されている。また、特許文献2では、冷媒管に散水して冷媒管表面に氷層を形成し、庫内空気を送風して低温高湿度空気を庫内へ送風する技術が開示されている。また、特許文献3には、庫内冷却機の除霜排水の蒸発皿を冷却機吹き出し口の前に設け、蒸発皿内にスポンジを設けて吸水させて冷却機の送風で庫内に高湿度空気を送る技術が開示されている。更に特許文献4には、多孔質不織布に水を吸水させ送風して冷蔵保管庫内に送風する技術が開示されている。
【0005】
特許文献1では単に除霜ドレンを除去するために流水を使用するが、流水の配管設置または配管への凍結防止のヒータが必要であり、更に除霜の廃冷熱を再利用していない。特許文献2では散水しながら送風するため、水滴が庫内に侵入して保管物を汚染する惧れがある。特許文献3では貯水したドレン水面が常に蒸発皿のスポンジ上部まで無いとスポンジ上部が乾燥して送風が直接水に当たらない為、送風による蒸発効率が悪くなる。特許文献4では単に加湿器を冷蔵保管庫内に設けたのと同じであり、特許文献1と同様に除霜の廃冷熱を再利用していない。
【0006】
そこで散水除霜の課題を解決し、廃冷熱を回収すると共にドレン水を蒸発させて加湿できる散水除霜式庫内冷却機を用いた高効率低温高湿度保管庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1発明は、散水除霜式冷却機を備えた低温高湿度保管庫の内部に設けられた冷風蒸発器であって、前記散水除霜式冷却機の散水除霜排水を貯留する少なくとも部分的に金属からなる第1貯水槽と前記第1貯水槽に送風する送風装置と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第1発明によると、散水除霜の除霜排水は氷と水の混合状態となっている場合が多く、水温は0℃付近である。一方、散水除霜を行うことで、庫内温度が上昇する。(おおよそ5℃付近である。)除霜排水を貯留する第1貯水槽の少なくとも一部は、庫内温度よりも低くなるため当該第1貯水槽の少なくとも一部には結露が発生する。しかし、第1貯水槽の水面と共に、第1貯水槽の結露した箇所についても送風することで結露も気化するので、結露による庫内保管物の汚染は無い。0℃付近の貯水および結露が気化することで0℃付近の水蒸気が発生する。水蒸気の比熱は表1にあるように乾燥空気の約3倍であるため、水蒸気を含む空気は熱容量が乾燥空気よりも大きくなる。また、表2の如く気温が上昇すると単位容積当たりの飽和水蒸気量が急激に増加するので、特に温度の高い湿潤空気では熱容量が大きくなる。熱容量が大きくなることで庫内の気温の変動が乾燥空気の場合よりも小さく抑制できる。庫内目標温度が例えば5℃~10℃といった0℃よりも比較的高い場合は、送風装置で第1貯水槽の貯水に送風することで0℃近い冷風を庫内に送風できるため庫内の加湿および冷却をすることができる。また、除霜時に冷却機が停止している期間、庫内の温度上昇を抑制することができる。なお、第1貯水槽は当該第1貯水槽の全体が金属からなるものであってもよい。
【0009】
【0010】
【0011】
第2発明は、第1発明において、第1貯水槽の少なくとも部分的に金属からなる部分の外側に凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第2発明によると、散水除霜排水を貯留する第1貯水槽の少なくとも部分的に金属からなる部分の外側に凹凸部が形成されていることで、表1にあるように鉄などの金属は陶器などに比較すると比熱が小さく熱伝導率が高いため、内部の冷熱を外表面に伝えやすく、更に表面に一時的に結露することで融解熱を与えて昇温させ、送風で気化する時に結露水から気化熱を奪う。庫内温度が第1貯槽の底面の温度のよりも高いため、第1貯水槽に新たな冷水が補給されるまでは第1貯水槽の底面と第1貯水槽の貯水の温度は徐々に上昇する。更に、第1貯水槽に散水除霜排水が補給されて底面が冷却されて一時的に結露する、というサイクルを繰り返すことで冷熱を高効率で湿潤空気に伝える(庫内空気から吸熱する)事が可能となる。更に、外側表面形状が凹凸形状となることで風の当る総面積が増加することでより吸熱効果が高まる。
【0013】
第3発明は、第1発明において、第1貯水槽の内部に第1貯水槽内貯水を吸水することができる吸水部を備えていることを特徴とする。
【0014】
第3発明によると、第1貯水槽の内部に第1貯水槽内貯水を吸水することができる吸水部を備えていることで振動又は大きな揺れが発生するリーファーコンテナ等の輸送用の冷却保管庫に用いる事ができる。なお、吸水部の除霜排水の吸水効率を良くするために貯水槽内の底面付近に吸水部を設置することが好ましい。
【0015】
第4発明は、第1発明において、第1貯水槽の内部にファインバブル発生装置を設けることを特徴とする。
【0016】
第4発明によると、庫内温度が0℃付近の場合に、第1貯水槽の貯水内にファインバブルを含んだ水流を吹き込むことで、第1貯水槽の貯水の凍結を抑制できる。更に冷水では気化が困難であるが、ファインバブルが水面で崩壊する時に水の気化を妨げている表面張力を弱めて気化を促進する。また、気泡の崩壊により飛散した微小水滴が気化を促進する。尚、ファインバブルとは気泡直径が100μm以下の気泡を言う。
【0017】
第5発明は、第1発明において、冷風蒸発器と散水除霜式冷却機に第1貯水槽の貯水を供給することにより、散水除霜式冷却機の除霜の際に発生した除霜排水を第1貯水槽に戻すように当該貯水を循環させるための循環ポンプとを備え、散水除霜式冷却機の除霜する以外の時には循環ポンプが停止されることを特徴とする。
【0018】
第5発明によると、第1発明において、散水除霜時にのみから第1貯水槽から散水除霜式冷却機に循環ポンプで水を供給して除霜する水として用いることができる。また、散水除霜時以外の時は循環ポンプを停止することで、ポンプ停止期間中は、送風装置により、庫内を冷却するとともに、第1貯水槽中の水温は、より高温の庫内空気で加温されるので、除霜する排水を除霜に適した(0℃以上)温度とすることができる。
【0019】
第6発明は、第5発明において、低温高湿度保管庫に第1貯水槽と連通した第2貯水槽を備えた循環システム外部から水が供給可能である場合には、当該システム外部から散水除霜式冷却機と、第1貯水槽と、第2貯水槽に水を供給し、循環システム外部から水が供給可能でない場合には、循環ポンプが除霜時に散水除霜式冷却機に、第2貯水槽の貯水を供給することにより、散水除霜式冷却機の除霜の際に発生した除霜排水を第1貯水槽および第2貯水槽に戻すように当該貯水を循環させ、散水除霜式冷却機の除霜する以外の時には前記循環ポンプが停止されることを特徴とする。
【0020】
第6発明によると、例えば、リーファーコンテナ等の輸送用の冷却保管庫においては、輸送時に当該システム内に外部から給水をすることができない場合がある。このような場合に除霜時には第2貯水槽の貯水から水が供給され、散水除霜式冷却機において除霜される。除霜をする時以外は、散水除霜式冷却機の除霜排水を、第1貯水槽と、第2貯水槽の貯水に再利用することができるので、輸送用の冷却保管庫の内部空間を高湿度に保つことができる。
【0021】
散水除霜する冷却器の散水除霜水が落下する流路の鉛直線の下方に貯水槽を設け、貯水槽壁面両端部が流路下端から鉛直線に対して45°以上の位置関係にあるように設けたことを特徴とする。
【0022】
冷却機に付着した霜を散水にて除去する際に、トラックや海上コンテナに積載されている場合は前後左右上限に振動したり揺れたりするため除霜水が冷却器端面から垂直に落下せずドレンで排出できずに周囲に散乱する。そこで、貯水槽の端部を冷却器底面端部から下した鉛直線に対して45°以上の位置関係にあるように設けることで揺れて冷却器底面から飛散する除霜水を下部の貯槽に受水することができ、更に貯槽中に固定したスポンジ等の吸水手段で水を貯槽中に留めることができ、庫内を水で汚染することを防止できる。
【0023】
更に貯水槽に吸水部を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする。
【0024】
本手段で、庫内の相対湿度を100%近くまで上昇させたい時や、庫内湿度が下がり過ぎた時に貯水中の吸水手段を加熱することで貯槽中の貯水温が上昇し貯水表面に接する空気層の温度が庫内温度よりも高くなり、庫内相対湿度を送風による成り行き加湿であっても100%近くまで上昇させることが可能となる。低温高湿度貯蔵庫飲の貯水への送風による成り行き加湿の場合、貯水面に接する空気層が飽和状態になっても庫内温度が貯水面温度よりも高いため相対湿度は97%付近までしか上がらない。しかし、貯水温度を上昇させることで貯水面に接する空気層の絶対湿度が高くなるため庫内の相対湿度を100%近くまで上昇させることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
散水除霜は、恒温性が求められる保管庫においては高温熱源を用いない為庫内の温度の安定性が良い。更に庫内の加湿を求められる低温高湿保管庫では除霜排水を加湿および除霜期間中の冷却に使用することで庫内温湿度の安定性および省エネに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に実施例を挙げて本発明を詳説するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0028】
(実施形態1)
実施形態1は、食品の冷凍前処理に用いる庫内目標温度0℃湿度95%RHの低温高湿予冷庫およびその循環システムである。
図1、
図2、
図3で説明する。
【0029】
図1および
図2に示すように、本発明の循環システムは、散水除霜式冷却器10と、送風ファン20と、貯水冷却蒸発槽30(「第1貯水槽」に相当する。)と、庫外散水用貯水槽40(「第2貯水槽」に相当する。)と、を備えている。
【0030】
散水ドレン管13では散水除霜式冷却器10から貯水冷却蒸発槽30に貯水し、送風ファン20で庫内空気を水面と槽底面に送風し、加湿および冷却を行っている。貯水冷却蒸発槽30は金属製で表面が凹凸形状をとなっている。
【0031】
循環システムは、散水管11と、給水管12と、散水ドレン管13と、制御装置14を備えている。
【0032】
循環システムは、オーバーフロー排水管31と、貯水、排水をする開閉二方電磁弁である電磁弁SV0と、排水管32と、水面センサモジュール33を備えている。また、貯水冷却蒸発槽30の内部には、吸水部310が設けられている。なお、電磁弁SV0の開閉状態についての信号が、常時電磁弁SV0から制御装置14へ送信される。
【0033】
また、循環システムは、庫外散水用貯水槽40と、ヒータ41と、タイマ42と、送水ポンプ43を備えている。なお、図示しないが、水道から庫外散水用貯水槽40に、常に水が供給されている。
【0034】
オーバーフロー排水管31は貯水冷却蒸発槽30の一定水位以上になった場合に水面センサモジュール33から水面センサ信号を受け、貯水冷却蒸発槽30から庫外散水用貯水槽40に排水する。
【0035】
以下、
図3を用いて、本実施形態の循環システムのひとつについて説明する。
【0036】
(除霜開始時の循環システム)
制御装置14はタイマ42の情報に基づいて、除霜時かそれ以外の時かの判定を行う(
図3/STEP100)。制御装置14は、除霜時であると判定された場合(
図3/STEP100‥YES)、電磁弁SV0に除霜開始信号を送信し、電磁弁SV0は開放されるように制御される(
図3/STEP101)。これにより、貯水冷却蒸発槽30から排水管32を経て庫外に排水される。
【0037】
貯水冷却蒸発槽30の排水終了を感知した水面センサモジュール33から排水終了信号が電磁弁SV0に送信され、電磁弁SV0が閉じられるように制御される(
図3/STEP102)。
【0038】
電磁弁SV0の閉状態を認識した制御装置14は、除霜時と判定すると、送水ポンプ43に除霜開始信号を送信する(
図3/STEP103)。これにより、送水ポンプ43は庫外散水用貯水槽40から給水管12を経て散水除霜式冷却器10に給水するように制御される。
【0039】
庫外散水用貯水槽40から給水された散水除霜式冷却器10は、給水された水を散水管11から散水して除霜をする。除霜により生じた除霜排水は散水ドレン管13を経て貯水冷却蒸発槽30に送水される。このとき、電磁弁SV0が閉じられているので、貯水冷却蒸発槽30に当該除霜排水が貯水される。
【0040】
(除霜終了時の循環システム)
制御装置14は、除霜終了と判定した場合(
図3/STEP100‥NO)に、送水ポンプ43に除霜終了信号を送信する。送水ポンプ43は駆動を停止し、庫外散水用貯水槽40から散水除霜式冷却器10への給水を停止するように制御される(
図3/STEP104)。
【0041】
庫外散水用貯水槽40からの給水が停止された散水除霜式冷却器10は散水による除霜を停止する。
【0042】
このとき、電磁弁SV0が閉じられているので、貯水冷却蒸発槽30に当該除霜排水が貯水されている状態が継続している。
図2に示すように送風ファン20から貯水冷却蒸発槽30に送風されているので、保管庫内の冷却および加湿が促進される。なお、貯水冷却蒸発槽30の貯水温度と保管庫の気温を比較して、貯水冷却蒸発槽30の貯水温度が低い場合は保管庫内の冷却が特に促進される。具体的には、除霜終了直後は当該貯水温度が0℃付近である(氷と水の混合状態の除霜排水が貯水冷却蒸発槽30に貯水されているため。)のに対して、保管庫内の気温は0℃よりも高い場合が挙げられる。
【0043】
上述するように、水道から庫外散水用貯水槽40に、常に水が供給されている。そのため冬季には給水温度が低下し、除霜に適さなくなるので、ヒータ41は5~10℃付近まで水温を加温する。夏季の給水温度が高い場合は、貯水蒸発槽内の貯水温度が上がり過ぎない様にタイマ42でポンプ駆動時間を短縮し、除霜時の散水量を適度に減らしている。または、庫外散水用貯水槽40に水面センサモジュールを設けて除霜水送水量を制御しても良い。
【0044】
貯水冷却蒸発槽30は、当該貯水冷却蒸発槽の中にファインバブル発生装置60を備えていて、制御装置14により、電磁弁SV0が閉じているときファインバブルを発生させるように制御される。
【0045】
(実施形態2)
実施形態2は、リーファーコンテナとして用いる目標温度10℃湿度95%RHの低温高湿度保管庫である。
図1、
図4~
図6で説明する。
【0046】
本実施形態の循環システムは、散水除霜式冷却器10と、送風ファン20と、貯水冷却蒸発槽30(「第1貯水槽」に相当する。)と、庫内散水用貯水槽50(「第2貯水槽」に相当する。)と、を備えている。
【0047】
図1および
図4のそれぞれに示すように循環システムは、散水管11と、給水管12と、散水ドレン管13と、制御装置14と、貯水および排水を制御する開閉二方電磁弁である電磁弁SV1と、を備えている。
【0048】
図4に示すように循環システムは、オーバーフロー排水管31と、開閉二方電磁弁である電磁弁SV2と、排水管32と、水面センサモジュール33と、給水管34と、開閉二方電磁弁である電磁弁SV3と、を備えている。また、貯水冷却蒸発槽30の内部には、吸水部310が設けられている。
【0049】
循環システムは、庫内散水用貯水槽50と、水温センサモジュール51と、水温管理ヒータ52とを備えている。また、
図1および
図4に示すようにオーバーフロー排水管53と、排水管54と、開閉二方電磁弁である電磁弁SV4と、給水管55と、循環ポンプ56と、循環排水管57と、を備えている。
【0050】
(陸置きで給水と排水が可能な場合の循環システム)
以下、
図4を用いて、本実施形態の循環システムのひとつについて説明する。
図4では、陸置きで給水と排水が可能な場合の循環システムにのみ使用される水の経路については実線、運搬中の循環システムにのみ使用される水の経路については二重線、双方に使用される水の経路については網掛けの太線で示している。
【0051】
制御装置14はタイマ42の情報に基づいて、除霜時かそれ以外の時かの判定を行う(
図5/STEP200)。制御装置14は除霜時と判定した場合(
図5/STEP200‥YES)、除霜開始信号を電磁弁SV2に送信し、電磁弁SV2は開き、貯水冷却蒸発槽30の貯水を庫内散水用貯水槽50に排水するように制御される(
図5/STEP201)。
【0052】
排水が終了すると水面センサモジュール33は排水終了信号を電磁弁SV1および電磁弁SV2に送信し、電磁弁SV1は開き電磁弁SV2は閉じるように制御される(
図5/STEP202)。
【0053】
給水管12は外部水道と連結しており、電磁弁SV1が開くと、給水管12から散水除霜式冷却器10に給水される(給水A)。これにより、散水除霜式冷却器10は散水し除霜を開始する。当該除霜排水は、散水ドレン水として、貯水冷却蒸発槽30に供給される。なお、貯水冷却蒸発槽30からオーバーフローした水はオーバーフロー排水管31を経て、庫内散水用貯水槽50に供給される。
【0054】
制御装置14は除霜終了時と判定した場合(
図5/STEP200‥NO)、除霜終了信号を電磁弁SV1に送信する。これにより、電磁弁SV1は閉じ、散水除霜式冷却器10への水の供給が停止するので、除霜は停止するように制御される(
図5/STEP204)。なお、庫内散水用貯水槽50からオーバーフローした水はオーバーフロー排水管53を経て庫外に排出される。
【0055】
庫内散水用貯水槽50の水質を保つために適宜電磁弁SV4を開いて槽内の水を交換することで衛生状態を保つ事ができる。
【0056】
送風ファン20から貯水冷却蒸発槽30に送風されているので、保管庫内の冷却および加湿が促進される。
【0057】
(運搬中の循環システム)
運搬中は水道水を新たに当該循環システムに水を供給できないので、給水Aを行うことができない。そこで、事前に水道水を補給水Bとして給水管55から庫内散水用貯水槽50に補給する。
【0058】
制御装置14はタイマ42の情報に基づいて、除霜時かそれ以外の時かの判定を行う(
図6/STEP300)。制御装置14は除霜時と判断すると、(
図6/STEP300‥YES)、電磁弁SV1、電磁弁SV3に除霜開始信号を送り、電磁弁SV1、電磁弁SV3が開くように制御される(
図6/STEP301)。
【0059】
電磁弁SV1、電磁弁SV3の開放状態を認識すると、制御装置14は除霜開始信号を循環ポンプ56に送信する(
図6/STEP302)。これにより、循環ポンプ56は駆動するように制御される。
【0060】
循環ポンプ56が駆動すると、庫内散水用貯水槽50から循環排水管57を経て、散水除霜式冷却器10に水が供給される。なお、循環排水管57にフィルタを設置して、水中の異物の除去を行ってもよい。また、貯水冷却蒸発槽30に水が供給される、又は貯水冷却蒸発槽30の貯水と水が混合することで貯水冷却蒸発槽30の貯水の温度を適度に上昇させて加湿効率を上がる。
【0061】
散水除霜式冷却器10に水が供給されると、散水除霜式冷却器10は散水し除霜を開始する。当該除霜排水は、散水ドレン水として、貯水冷却蒸発槽30に供給される。貯水冷却蒸発槽30からオーバーフローした水はオーバーフロー排水管31を経て、庫内散水用貯水槽50に供給される。
【0062】
循環ポンプ56が駆動すると、制御装置14は電磁弁SV2に除霜開始信号を送信し、電磁弁SV2は閉じるように制御される(
図6/STEP303)。これにより、散水ドレン水が貯水冷却蒸発槽30に貯水されるように制御される。
【0063】
庫内散水用貯水槽50には、水温センサモジュール51と、水温管理ヒータ52によって、庫内散水用貯水槽50の貯水温が常に5℃~10℃になるように制御される。これにより、除霜に適した温度の水を本発明の循環システムに供給することができる。また、赤道通過時のような高温環境でも本発明の循環システム中の水を適温に保つ目的で、庫内散水用貯水槽50に冷却機を設けることで、貯水を冷却してもよい。
【0064】
制御装置14は除霜終了時と判定すると電磁弁SV2に除霜終了信号を送信する(
図6/STEP300‥NO)。これにより、電磁弁SV2は開くように制御され、貯水冷却蒸発槽30内の貯水は、庫内散水用貯水槽50に供給されるように制御される(
図6/STEP304)。
【0065】
また、電磁弁SV1、電磁弁SV3は、制御装置14より除霜終了信号を受信すると閉じるように制御される(
図6/STEP305)。電磁弁SV1、電磁弁SV3の閉状態を認識した制御装置14は、循環ポンプ56に除霜終了信号を送信し、循環ポンプ56は停止するように制御される(
図6/STEP306)。
【0066】
〔実施形態3〕
実施形態3を
図7及び
図8で説明する。
図7は加湿ファン71、冷却器72、冷却ファン73、赤外線照射ランプ74、貯槽75とスポンジ76とからなる冷却加湿装置の側面図である。
図8は同様に加湿ファン81、冷却器82、冷却ファン83、赤外線照射ランプ84、貯槽85とスポンジ86とからなる冷却加湿装置の上面平面図である。
【0067】
冷却器72の底面端部から下した鉛直線AB、及び鉛直線DEから冷却器底面端部と貯槽端部を結ぶ角度ABCθ1及び角度DEFθ2を45°以上とすることで揺れて冷却器底面から飛散する除霜水を下部の貯槽に受水することができ、更に貯槽中に固定したスポンジ等の吸水手段で水を貯槽中に留めることができ、庫内を水で汚染することを防止できる。また、赤外線照射ランプ74、及び赤外線照射ランプ84で貯水温を上げることで庫内相対湿度を100%近くまで上昇させることができる。
【0068】
当該循環システムでは、形態1の循環システムとは異なり、散水除霜排水を循環させるため供給された水道水の水温に左右されることは無い。
【0069】
形態1および2では庫内散水用貯水槽50に吸水部310を設けたが、庫内散水用貯水槽50の内部に親水性繊維の給水材を敷き詰め、更に当該槽筐体に給水材を固定してもよい。これにより庫内散水用貯水槽50の貯水が輸送による揺れおよび振動で槽外にこぼれることを防止できる。
【0070】
更に、庫内散水用貯水槽50の水質を保つために水質管理者が適宜電磁弁SV4を開いて庫内散水用貯水槽50内の水を交換することで衛生状態を保つ事ができる。なお、水質管理制御センサモジュールを用いて、適宜電磁弁SV4を開いて水を交換してもよい。
【0071】
なお、形態1の庫外散水ドレンタンクおよび形態2の庫内貯水槽に加温手段としてヒータ以外にも、庫内冷却機の庫外ユニットから屋内ユニットへの高圧配管の一部を当該タンク内に配設してタンク貯水を加温しても良い。
【0072】
また、形態2では電磁弁SV2を設けずに、貯水冷却蒸発槽30への散水排水をオーバーフローさせてオーバーフロー水を庫内散水用貯水槽50に排水しても良い。
【0073】
また、庫内散水用貯水槽50は庫外に設置することも可能である。
【0074】
本実施形態では、送風ファン20は常時運転しているが、貯水冷却蒸発槽30において貯水されている状況で、(電磁弁SV0又は電磁弁SV2が閉じている状態で)運転するように制御されてもよい。
【0075】
形態1、2では、除霜時の判断は制御装置14により間欠的に制御されるが、これに限定されるものではなく、温度センサおよび湿度センサを用いて制御されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10、72、82:散水除霜式冷却器
11:散水管
12:給水管
13:散水ドレン管
14:制御装置
20、71、73、81、83:送風ファン
30:貯水冷却蒸発槽
310:吸水部
31:オーバーフロー排水管
32:排水管
34:給水管
40:庫外散水用貯水槽
43:送水ポンプ
50、75、85:庫内散水用貯水槽
53:オーバーフロー排水管
54:排水管
55:給水管
56:循環ポンプ
57:循環排水管
60:ファインバブル発生装置
74、84: 赤外線照射ランプ
76、86: スポンジ
AB、DE: 鉛直線
BC、EF: 端部を結ぶ線
θ1、θ2: 角度
SV0、SV1、SV2、SV3、SV4:電磁弁