IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッドの特許一覧

特開2023-166975回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー
<>
  • 特開-回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー 図1
  • 特開-回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー 図2
  • 特開-回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー 図3
  • 特開-回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166975
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/04 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
G04B17/04
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060070
(22)【出願日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】22172572.4
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】モハマド フセイン・カーロバイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ・ディ ドメニコ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】寄生運動の制御を精密に行い、共振器の稼働に対する重力の影響を最小限に抑える、フレキシブルガイドアセンブリーを提供する。
【解決手段】第1のフレキシブルガイドには、固定支持体22に対して可動な第1の可動要素23と、第1の対の非交差フレキシブルブレード26、27があり、第2のフレキシブルガイドには、第1の可動要素23に対して可動な第2の可動要素24と、第2の対の非交差フレキシブルブレード28、29があり、第3のフレキシブルガイドには、第3の可動要素25と、第3の対の非交差フレキシブルブレード31、32があり、第1の可動要素23は、固定支持体と第2の可動要素24の間に配置され、第2の可動要素24は、第1の可動要素23と第3の可動要素25の間に配置され、フレキシブルガイドアセンブリー10には、その平面に属する所定の距離オフセットされた、第1の回転中心38と第2の回転中心39がある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用ムーブメントの回転式共振機構(20、30)のためのフレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)であって、
前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)は、固定支持体(2、22、52)と、直列に構成する3つのフレキシブルガイドとを備え、
前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)は、実質的に同じ平面内における縦軸(17、37、57)の両側に延在し、
前記第1のフレキシブルガイドには、前記固定支持体(2、22、52)に対して可動な第1の可動要素(3、23)と、前記第1の可動要素(3、23)に接続される第1の対の非交差フレキシブルブレード(6、7、26、27)があり、
これによって、前記第1の可動要素(3、23)が、前記第1の対の非交差フレキシブルブレード(6、7、26、27)の曲がりによって、回転中心(18、38)のまわりの円運動をするように動くことができるようにし、
前記第2のフレキシブルガイドには、前記第1の可動要素(3、23)に対して可動な第2の可動要素(4、24)と、前記第2の可動要素(4、24)を前記第1の可動要素(3、23)に接続する第2の対の非交差フレキシブルブレード(8、9、28、29)があり、
これによって、前記第2の可動要素(4、24)が、前記第2の対の非交差フレキシブルブレード(8、9、28、29)の曲がりによって、前記第1の可動要素(3、23)と前記固定支持体(2、22、52)に対して、回転中心のまわりの円運動をするように動くことができるようになり、
前記第3のフレキシブルガイドには、第3の可動要素(5、25)と、前記第3の可動要素(5、25)を前記第2の可動要素(4、24)に接続する第3の対の非交差フレキシブルブレード(11、12、31、32)があり、
これによって、前記第3の可動要素(5、25)が、前記第3の対の非交差フレキシブルブレード(11、12、31、32)の曲がりによって、前記第2の可動要素(4、24)、前記第1の可動要素(3、23)及び前記固定支持体(2、22、52)に対して、回転中心のまわりの円運動をするように動くことができるようにし、
前記第3の可動要素(5、25)は、前記回転式共振機構(20、30)のバランス又はバランス支持体を形成し、
前記第1の可動要素(3、23)は、前記固定支持体(2、22、52)と前記第2の可動要素(4、24)の間に配置され、
前記第2の可動要素(4、24)は、前記第1の可動要素(3、23)と前記第3の可動要素(5、25)の間に配置され、
前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)には、フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の平面に属する、所定の距離オフセットされた、第1の回転中心(18、38)と第2の回転中心(19、39)がある
ことを特徴とするフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項2】
前記固定支持体(2、22、52)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の休み位置において、前記縦軸(17、37、57)の両側にて横方向に延在しており、
前記第1の対の非交差フレキシブルブレードのブレード(6、7、26、27)どうしは、前記固定支持体(2、22、52)から前記第1の可動要素(3、23)へと近づくに従って近づくように、前記固定支持体(2、22、52)の横方向の両端に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項3】
前記第3の可動要素(5、25)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の休み位置において、前記縦軸(17、37、57)の両側にて横方向に延在しており、
前記第3の対の非交差フレキシブルブレードのブレード(11、12、31、32)どうしは、前記第2の可動要素(4、24)から前記第3の可動要素(5、25)へと近づくに従って離れるように、前記第3の可動要素(5、25)の横方向の両端に接続される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項4】
前記第2のフレキシブルガイドと前記第3のフレキシブルガイドは、カート車タイプのピボットを形成し、
前記第2の対の非交差フレキシブルブレード(8、9)と前記第3の対の非交差フレキシブルブレード(11、12)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、40)の休み位置においてX字を形成するように前記第2の可動要素(4)に対して対称である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項5】
前記第2の可動要素(4)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、40)の休み位置において、前記縦軸(17、57)上に配置される実質的に点状の要素であり、
前記第2の可動要素(4)には、前記第2の対の非交差フレキシブルブレード(8、9)と前記第3の対の非交差フレキシブルブレード(11、12)が組み付けられる
ことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項6】
前記第1の可動要素(3)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の前記縦軸(17、37、57)の両側にて横方向に延在しており、
前記第2の対の非交差フレキシブルブレードのブレード(8、9)どうしは、前記第1の可動要素(3)から前記第2の可動要素(4)へと近づくに従って離れるように、前記第1の可動要素(3)の横方向の両端に接続される
ことを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項7】
前記第1の可動要素(23)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(10)の前記縦軸(37)上に配置される実質的に点状の要素であり、
前記第1の可動要素(23)には、前記第1の対の非交差フレキシブルブレード(26、27)と前記第2の対の非交差フレキシブルブレード(28、29)が組み付けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項8】
前記第2の可動要素(24)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(10)の休み位置において、前記縦軸(37)の両側にて横方向に延在しており、
第2の対の非交差フレキシブルブレードのブレード(28、29)どうしは、前記第1の可動要素(23)から前記第2の可動要素(24)へと近づくに従って離れるように、前記第2の可動要素(24)の横方向の両端に接続される
ことを特徴とする請求項7に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項9】
前記第1の可動要素(3)は、前記第1の回転中心(18)のまわりを回転可能であり、
前記第2の可動要素(4)と前記第3の可動要素(5)は、前記第2の回転中心(19)のまわりを回転可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項10】
前記第1の可動要素(23)と前記第2の可動要素(24)は、前記第1の回転中心(38)のまわりを回転可能であり、
前記第3の可動要素(25)は、前記第2の回転中心(39)のまわりを回転可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項11】
前記第1の回転中心(18、38)と前記第2の回転中心(19、39)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の休み位置において、前記縦軸(17、37、57)上に位置し、
前記共振機構の質量中心(M)も、好ましくは、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の休み位置において、前記縦軸(17、37、57)上に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項12】
前記固定支持体(2、22、52)と前記可動要素(3、4、5、23、24、25)は、前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)の休み位置において、前記縦軸(17、37、57)に対して対称である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項13】
前記フレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)は、一体的にされている、又は好ましくはケイ素である、同じ材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー。
【請求項14】
計時器用ムーブメントのための回転式共振機構(20、30)であって、
バランス(50、70)と、エスケープ車(55)と、請求項1又は2に記載のフレキシブルガイドアセンブリー(1、10、40)とを備える
ことを特徴とする回転式共振機構(20、30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式計時器用共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリーに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このようなフレキシブルガイドアセンブリーを備える回転式計時器用共振機構に関する。
【背景技術】
【0003】
今日のほとんどの機械式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)は、ばね仕掛けバランスとスイス式レバーエスケープ機構を備える。ばね仕掛けバランスは、携行型時計のタイムベースを構成する。ばね仕掛けバランスは、共振器とも呼ばれる。
【0004】
エスケープには主に、
- 共振器の繰り返し運動を維持する機能、
- このような繰り返し運動を数える機能
の2つの機能がある。
【0005】
スイス式レバーエスケープ機構は、エネルギー効率が低い(約30%)。この低効率の原因は、エスケープの運動がぎくしゃくしていること、機械加工誤差に適応するためにドロップやバックラッシュが発生すること、そして、互いにこすり合う傾斜面を介していくつかのコンポーネントがその運動を伝達することにある。
【0006】
機械式共振器を構成するためには、慣性要素、ガイド、及び弾性戻し要素が必要である。伝統的には、バランスばねは、バランスによって構成する慣性要素のための弾性戻し要素として機能する。このバランスは、プレーンルビーベアリング内で回転するピボットによって回転ガイドされる。このことによって、摩擦が発生し、したがって、位置に依存するエネルギー損失や稼働外乱を発生させてしまい、これらをなくすことが試みられてきた。
【0007】
また、慣性要素の弾性戻し手段としてフレキシブルブレードガイドを備えるような共振器の形態も知られている。仮想ピボットがあるフレキシブルガイドのおかげで、計時器用共振器の効率を大きく改善することができる。最も単純なのは、2つの交差するブレードがある交差ブレードガイドである。しかし、交差しないまっすぐなブレードがあるようなRCC(リモートセンターコンプライアンス)タイプの非交差ブレードガイドも存在する。このような共振器は、欧州特許文献EP2911012、欧州特許文献EP14199039、欧州特許文献EP16155039に記載されている。
【0008】
フレキシブルガイドを用いることによって、バランスのピボット、バランスのバランスばねをなくすことができる。これには、ピボット摩擦をなくし、したがって、共振器のQ(品質係数)を大きくする利点がある。しかし、フレキシブルガイドは、角トラベルが小さいことが知られている(ばねバランスの300°と比べて10°~20°のオーダー)。多くの機械式エスケープにおいて適切に動作させるためには、大きな角トラベルが必要である。
【0009】
この問題に対処するために、例えば、米国特許文献US2018319517、US2019120287、欧州特許文献EP3451072において、いくつかのフレキシブルブレードガイドを直列に配置することが考えられている。このようにして、非常に大きな角トラベルが得られている。複数のガイドを直列に配置することには、各ガイドの回転振幅が小さく、このことによって、良好な等時性と良好なガイドを得ることができるという利点がある。
【0010】
それにもかかわらず、いくつかの課題が依然として存在する。特に、寄生ガイド運動の制御の欠如、また、フレキシブルガイドに対する重力の影響が依然として大きいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような状況で、本発明は、上述の問題を避けることができるような回転式共振機構のためのフレキシブルガイドを提供することを目的とする。
【0012】
このために、本発明は、計時器用ムーブメントの回転式共振機構のためのフレキシブルガイドアセンブリーに関し、前記フレキシブルガイドアセンブリーは、固定支持体と、直列に構成する3つのフレキシブルガイドとを備える。
【0013】
前記フレキシブルガイドアセンブリーは、以下の点で画期的である。すなわち、実質的に同じ平面内における縦軸の両側に延在し、前記第1のフレキシブルガイドには、前記固定支持体に対して可動な第1の可動要素と、前記第1の可動要素に接続される第1の対の非交差フレキシブルブレードがあり、これによって、前記第1の可動要素が、前記第1の対の非交差フレキシブルブレードの曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように動くことができるようにし、前記第2のフレキシブルガイドには、前記第1の可動要素に対して可動な第2の可動要素と、前記第2の可動要素を前記第1の可動要素に接続する第2の対の非交差フレキシブルブレードがあり、これによって、前記第2の可動要素が、前記第2の対の非交差フレキシブルブレードの曲がりによって、前記第1の可動要素と前記固定支持体に対して、回転中心のまわりの円運動をするように動くことができるようになり、前記第3のフレキシブルガイドには、第3の可動要素と、前記第3の可動要素を前記第2の可動要素に接続する第3の対の非交差フレキシブルブレードがあり、これによって、前記第3の可動要素が、前記第3の対の非交差フレキシブルブレードの曲がりによって、前記第2の可動要素、前記第1の可動要素及び前記固定支持体に対して、回転中心のまわりの円運動をするように動くことができるようにし、前記第3の可動要素は、前記回転式共振機構のバランス又はバランス支持体を形成し、前記第1の可動要素は、前記固定支持体と前記第2の可動要素の間に配置され、前記第2の可動要素は、前記第1の可動要素と前記第3の可動要素の間に配置され、前記フレキシブルガイドアセンブリーには、フレキシブルガイドアセンブリーの平面に属する、所定の距離オフセットされた、第1の回転中心と第2の回転中心がある。
【0014】
本発明のおかげで、角トラベルが十分に大きく、寄生運動の制御をより精密に行うことができ、また、共振器の稼働に対する重力の影響を最小限に抑えることができるようなフレキシブルブレードガイドのアセンブリーが得られる。
【0015】
実際に、フレキシブルガイド間の遅れを適応させることによって、フレキシブルガイドアセンブリーの寄生運動を容易に制御することができるように選択することが可能となる。また、この遅れは、フレキシブルガイドの構成どうしが同じではないので、重力の影響を最小限に抑える。
【0016】
1つの有利な実施形態において、前記固定支持体は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸の両側にて横方向に延在しており、前記第1の対の非交差フレキシブルブレードのブレードどうしは、前記固定支持体から前記第1の可動要素へと近づくに従って近づくように、前記固定支持体の横方向の両端に接続される。
【0017】
1つの有利な実施形態において、前記第3の可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸の両側にて横方向に延在しており、前記第3の対の非交差フレキシブルブレードのブレードどうしは、前記第2の可動要素から前記第3の可動要素へと近づくに従って離れるように、前記第3の可動要素の横方向の両端に接続される。
【0018】
1つの有利な実施形態において、前記第2のフレキシブルガイドと前記第3のフレキシブルガイドは、カート車タイプのピボットを形成し、前記第2の対の非交差フレキシブルブレードと前記第3の対の非交差フレキシブルブレードは、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置においてX字を形成するように前記第2の可動要素に対して対称である。
【0019】
1つの有利な実施形態において、前記第2の可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸上に配置される実質的に点状の要素であり、前記第2の可動要素には、前記第2の対の非交差フレキシブルブレードと前記第3の対の非交差フレキシブルブレードが組み付けられる。
【0020】
1つの有利な実施形態において、前記第1の可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの前記縦軸の両側にて横方向に延在しており、前記第2の対の非交差フレキシブルブレードのブレードどうしは、前記第1の可動要素から前記第2の可動要素へと近づくに従って近づくように、前記第1の可動要素の横方向の両端に接続される。
【0021】
1つの有利な実施形態において、前記第1の可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの前記縦軸上に配置される実質的に点状の要素であり、前記第1の可動要素には、前記第1の対の非交差フレキシブルブレードと前記第2の対の非交差フレキシブルブレードが組み付けられる。
【0022】
1つの有利な実施形態において、前記第2の可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸の両側にて横方向に延在しており、第2の対の非交差フレキシブルブレードのブレードどうしは、前記第1の可動要素から前記第2の可動要素へと近づくに従って離れるように、前記第2の可動要素の横方向の両端に接続される。
【0023】
1つの有利な実施形態において、前記第1の可動要素は、前記第1の回転中心のまわりを回転可能であり、前記第2の可動要素と前記第3の可動要素は、前記第2の回転中心のまわりを回転可能である。
【0024】
1つの有利な実施形態において、前記第1の可動要素と前記第2の可動要素は、前記第1の回転中心のまわりを回転可能であり、前記第3の可動要素は、前記第2の回転中心のまわりを回転可能である。
【0025】
1つの有利な実施形態において、前記第1の回転中心と前記第2の回転中心は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸上に位置し、前記共振機構の質量中心も、好ましくは、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸上に位置する。
【0026】
1つの有利な実施形態において、前記固定支持体と前記可動要素は、前記フレキシブルガイドアセンブリーの休み位置において、前記縦軸に対して対称である。
【0027】
1つの有利な実施形態において、前記フレキシブルガイドアセンブリーは、一体的にされている、又は好ましくはケイ素である、同じ材料によって作られる。
【0028】
本発明は、さらに、バランスと、エスケープ車と、本発明に係るフレキシブルガイドアセンブリーとを備える計時器用ムーブメントのための回転式共振機構に関する。
【0029】
添付の図面を参照しながら例として与えられるいくつかの実施形態を読むことによって、本発明の他の特徴や利点が明らかになる。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーを概略的に示している。
図2】本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーを概略的に示している。
図3】第1の実施形態のフレキシブルガイドアセンブリーに取り付けられたバランスを概略的に示している。
図4】第1の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリーを備える機構を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、3つのフレキシブルガイドのアセンブリー10の第1の実施形態を示している。
【0032】
アセンブリー1には、固定支持体2と、実質的に同じ平面内において直列に構成している3つのフレキシブルガイドがある。この「固定」という用語は、支持体がムーブメントに対して不動であるように意図されていることを意味している。
【0033】
アセンブリー1は、縦軸17の両側にて延在し、アセンブリー1は、アセンブリー1の休み位置において、縦軸17に対して対称である。同じブレード対のブレードは、アセンブリー1の休み位置において、縦軸17に対して対称である。
【0034】
好ましくは、フレキシブルガイドアセンブリー1は、一体的となっている、又はケイ素などの同じ材料によって作られる。
【0035】
支持体2は、アセンブリー1に対して横方向に配置される細長い長方形プレートの形である。この長方形プレートの2つの端が、フレキシブルガイドの方へと曲がっている。このプレートの中央においては、プレートに対して実質的に垂直方向のタブ13に、少なくとも1つのオリフィス、ここでは2つのオリフィス14、が形成されており、これによって、ディスク又はディスク-ブリッジにプレートを組み付けることができるようにする。支持体は、アセンブリー1の縦軸17の両側にて横方向に延在している。
【0036】
図4に示している回転式共振機構30のために説明するフレキシブルガイドアセンブリー40の1つの変異形態において、支持体2は、並進運動台58によってディスク又はディスク-ブリッジに接続される。支持体52にはタブがないが、後方へと延在しているアーム56がある。このアーム56は、アーム56をディスク又はディスク-ブリッジ53に接続する2つのフレキシブルブレード54、55とともに並進運動台58を形成する。並進運動台58は、アセンブリー40のための少なくとも1つの方向における耐衝撃性の機能を有する。アーム56の幅を調整することによって、第2の方向に沿った耐衝撃性の機能を付加することができる。3つのフレキシブルガイドは、バランスである第3の可動要素を除いて、第1の実施形態のものと実質的に同じである。以下、規制機構について説明する。
【0037】
図1において、第1のフレキシブルガイドは、支持体2に対して可動な第1の可動要素3と、支持体2を第1の可動要素3に接続する第1の対の非交差フレキシブルブレード6、7とを備える。第1の対の非交差フレキシブルブレードのブレード6、7どうしは、可動要素3から支持体2へと近づくに従って離れるように、支持体2の横方向の両端に接続される。フレキシブルブレード6、7は、第1の可動要素3の中央部分に接続される。
【0038】
したがって、第1の可動要素3は、第1の対のフレキシブルブレード6、7の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように支持体2に対して動くことができる。第1の可動要素3は、引き延ばされたW字状であり、W字の底部は支持体2の方を向いており、両方の端部は第2のフレキシブルガイドの方を向いている。
【0039】
第1の可動要素3は、アセンブリー1の縦軸17の両側にて横方向に延在しており、第2の対の非交差ブレードのフレキシブルブレード8、9どうしは、第2の可動要素4から第1の可動要素3へと近づくに従って離れるように、第1の可動要素3の両方の横方向の両端に接続される。
【0040】
第2のフレキシブルガイドは、第1の可動要素3に対して可動な第2の可動要素4と、第2の可動要素4を第1の可動要素3に接続する第2の対の非交差フレキシブルブレード8、9とを備える。
【0041】
したがって、第2の可動要素4は、第2の対の可動ブレード8、9の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように第1の可動要素3に対して動くことができる。
【0042】
第2の可動要素4は、第1の可動要素3と比べて小さな大きさである実質的に点状の要素である。第2の可動要素4は、第2の対のフレキシブルブレード8、9を第3のフレキシブルガイドのフレキシブルブレードとともに組み付ける機能を有する。
【0043】
第2の可動要素4は、第2の対の非交差フレキシブルブレード8、9を第3の対のフレキシブルブレードのブレードに接続する。第2の可動要素4は、例えば、円形であり、これに第2の対のブレードのフレキシブルブレード8、9が組み付けられる。
【0044】
アセンブリー1は、第2のフレキシブルガイドに対する下流にて直列に構成する第3のフレキシブルガイドを備える。第3のフレキシブルガイドには、第2の可動要素4に対して可動な第3の可動要素5と、第3の可動要素5を第2の可動要素4に接続する第3の対の非交差フレキシブルブレード11、12がある。
【0045】
したがって、第3の可動要素5は、第3の対の可動要素11、12の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように第2の可動要素4に対して動くことができる。第3の可動要素5も、両端が第2の可動要素に向いた、引き延ばされたW字状であり、このW字は、第1の可動要素3と、実質的に平行に、反転した姿勢で、配置される。このW字の底の方は、アセンブリー1の外側となる。したがって、W字の内側は、アセンブリー1の休み位置において、互いに対向するように構成する。
【0046】
第3の可動要素5には、さらに、W字の中央部分からW字の底の方まで延在しているタブ15がある。タブ15には、少なくとも1つのオリフィス、ここでは2つのオリフィス16、があり、これによって、バランスの組み付けが可能になる。
【0047】
したがって、第2のフレキシブルガイドと第3のフレキシブルガイドは、カート車タイプのピボットを形成し、第2の対の非交差フレキシブルブレード8、9及び第3の対の非交差フレキシブルブレード11、12は、X字を形成するように、第2の可動要素4に対して対称であり、第2の可動要素4は、そのX字の交点にある。
【0048】
アセンブリー1には、第1の回転中心18と、所定の距離オフセットされた第2の回転中心19がある。
【0049】
第1の回転中心18は、第1のフレキシブルガイドの回転中心である。したがって、第1の可動要素3は、第1の回転中心18のまわりの円運動をするように、支持体2に対して動くことができる。
【0050】
第2の回転中心19は、第2のフレキシブルガイド及び第3のフレキシブルガイドの回転中心である。したがって、第2の可動要素4と第3の可動要素5はそれぞれ、第1の可動要素3と第2の可動要素4に対して、第2の回転中心19のまわりの円運動を行うことができる。
【0051】
回転中心18、19は、アセンブリー1の休み位置において、実質的に、各対のフレキシブルガイドのブレードの共線上の交差点に位置する。
【0052】
したがって、第1のフレキシブルガイドのブレード6、7の対の共線上の交差点に、第1の回転中心18が位置する。ここで、第1の可動要素3のW字の内側の尖った部分の中央部分に、第1の回転中心18が位置する。
【0053】
第2の回転中心19は、第2のフレキシブルガイドのブレード8、9の対及び第3のフレキシブルガイドのブレード11、12の対の共線上の交差点に位置する。ここで、第2の回転中心19は、第2の可動要素の実質的に点状の要素の中央に位置する。
【0054】
好ましくは、2つの回転中心18、19は、アセンブリー1の休み位置において、縦軸17上に位置する。
【0055】
図2の第2の実施形態において、アセンブリー10には、支持体22と、実質的に同じ平面内にて直列に構成する3つのフレキシブルガイドがある。アセンブリー10は、縦軸37の両側にて、横方向に延在している。フレキシブルガイドアセンブリー10は、休み位置において、縦軸37に対して対称である。同じブレード対のブレードは、アセンブリー10の休み位置において、縦軸37に対して対称である。
【0056】
好ましくは、フレキシブルガイドアセンブリー10は、一体的となっている、又はケイ素などである同じ材料によって作られる。
【0057】
支持体22は、引き延ばされたW字状であり、このW字の開いている方及び両端が、第1のフレキシブルガイドの方を向いている。第1の対のフレキシブルブレードのフレキシブルブレード26、27は、支持体22から第1の可動要素23へと近づくに従って近づくように、支持体22の横方向の両端に接続される。支持体22は、さらに、W字の中央の尖った部分からW字の底の方へと延在しているタブ33がある。タブ33には、少なくとも1つのオリフィス、ここでは2つのオリフィス34、があり、これによって、ディスク又はディスク-ブリッジへの支持体22の組み付けが可能になる。
【0058】
第1のフレキシブルガイドには、支持体22に対して可動な第1の可動要素23と、支持体22を第1の可動要素23に接続する第1の対の非交差フレキシブルブレード26、27がある。
【0059】
したがって、第1の可動要素23は、第1の対のブレードのフレキシブルブレード26、27の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように支持体22に対して動くことができる。
【0060】
第1の可動要素23は、実質的に、他の可動要素と比べて小さな大きさの点状の要素であり、これは、第1の対の非交差フレキシブルブレードと第2の対の非交差フレキシブルブレードを接続する。第1の可動要素23は、例えば、半円状であり、円弧状の部分が第1の対のフレキシブルブレードのフレキシブルブレード26、27を受ける。
【0061】
第2のフレキシブルガイドには、第1の可動要素23に対して可動な第2の可動要素24と、第2の可動要素24を第1の可動要素23に接続する第2の対の非交差フレキシブルブレード28、29がある。
【0062】
したがって、第2の可動要素24は、第2の対のフレキシブルブレード28、29の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように第1の可動要素23に対して動くことができる。
【0063】
第2の可動要素24は、アセンブリー10の縦軸37の両側にて横方向に延在しており、第2の対の非交差フレキシブルブレードのフレキシブルブレード28、29どうしは、第2の可動要素23から第2の可動要素24へと近づくに従って離れるように、第2の可動要素の横方向の両端に接続される。第2の可動要素24は、V字状であり、両端が第1のフレキシブルガイドの方へと内側に曲がっている。V字の尖った部分は、第3のフレキシブルガイドの方を向いており、V字の開いた方は、第1のフレキシブルガイドの方を向いている。
【0064】
アセンブリー10は、第2のフレキシブルガイドに対する下流にて直列に構成する第3のフレキシブルガイドを備える。第3のフレキシブルガイドには、第2の可動要素24に対して可動な第3の可動要素25と、第3の可動要素25を第2の可動要素24に接続する第3の対の非交差フレキシブルブレード31、32がある。
【0065】
したがって、第3の可動要素25は、第3の対のフレキシブルブレード31、32の曲がりによって、回転中心のまわりの円運動をするように第2の可動要素24に対して動くことができる。また、第3の可動要素25は、両端が第2の可動要素24の方を向いた、引き延ばされたW字状であり、このW字は、第2の可動要素24のV字の尖った部分に対向するように、第1の可動要素93と実質的に平行に配置される。第3の可動要素25には、さらに、W字の中央部分からW字の底部の方へと延在しているタブ35がある。このタブ35には、少なくとも1つのオリフィス、ここでは2つのオリフィス36、があり、これによって、第3の可動要素25にバランスを組み付けることが可能になる。第3の対のブレードのフレキシブルブレード31、32どうしは、V字の尖った部分から第3の可動要素25の曲がった両端へと近づくに従って離れる。
【0066】
アセンブリー10には、第1の回転中心38と、所定の距離オフセットされた第2の回転中心39がある。
【0067】
第1の回転中心38は、第1のフレキシブルガイド及び第2のフレキシブルガイドの回転中心である。したがって、第1の可動要素23及び第2の可動要素24はそれぞれ、支持体22及び第1の可動要素23に対して、第1の回転中心38のまわりの円運動をするように動くことができる。
【0068】
第2の回転中心39は、第3のフレキシブルガイドの回転中心である。したがって、第3の可動要素25は、第2の可動要素24に対して、第2の回転中心39のまわりの円運動をするように動くことができる。
【0069】
回転中心38、39は、アセンブリー10の休み位置において、実質的に、各対の各フレキシブルガイドのブレードの共線上の交差点に位置する。
【0070】
したがって、第1の回転中心38は、第1のフレキシブルガイドのブレード26、27の対の共線と、第2のフレキシブルガイドのブレード28、29の対の共線との交差点に位置する。ここで、第1の回転中心38は、第1の可動要素23の近傍に位置する。
【0071】
第2の回転中心39は、第3のフレキシブルガイドのブレード31、32の対の共線どうしの交差点に位置する。ここで、第2の回転中心39は、第2の可動要素24のV字の尖った部分に位置する。
【0072】
好ましくは、2つの回転中心38、39は、アセンブリー10の休み位置において、縦軸37上に位置する。
【0073】
本発明は、さらに、回転式計時器用共振機構に関する。この共振機構には、バランスと、上述の実施形態のうちの1つのようなフレキシブルガイドアセンブリーがある。
【0074】
図3において、第1の実施形態に係るフレキシブルガイドアセンブリー1と、バランス50を備える回転式共振機構20の第1の実施形態を示している。バランス50は、縦区画48と、この縦区画48の各端にあるユニット41、42があるような骨(I字)の形である。各ユニット41、42は、実質的に平行六面体である。各ユニット41、42には、縦区画48とは離れた方の角に配置される2つのセッティング用ねじ43、44がある。ねじ43、44は、バランス50のアンバランス及び慣性モーメントを設定するために用いられる。
【0075】
バランス50には、縦区画48の中央部分に配置されるリング49と、縦区画48に対して、好ましくは垂直に、延在しているタブ47がある。このタブ47は、フレキシブルガイドアセンブリー1の2つのオリフィスと連係して、フレキシブルガイドアセンブリー1の第3の可動要素のタブとともにバランス50を組み付けることが可能になる。
【0076】
リング49は、激しい衝撃を受けた場合に耐衝撃性の当接体と連係することを可能にする。この当接体は、図示していないが、例えば、ディスク又はディスク-ブリッジ上に配置される。このような当接体は、フレキシブルガイドアセンブリー1の一又は複数のフレキシブルブレードの破損を防ぐ。
【0077】
バランス50は、フレキシブルガイドアセンブリー1の縦軸17に対して垂直に配向される。タブ47のおかげで、実質的にフレキシブルガイドアセンブリー1の中央の方へとバランスを再びセンタリングすることができる。
【0078】
バランス50における慣性モーメントは、自身の縦軸51のまわりの慣性モーメントよりも、アセンブリー1の縦軸17のまわりの慣性モーメントの方が大きい。したがって、バランス50は、アセンブリー1の縦軸17に対して垂直に振動する。
【0079】
本発明に係るフレキシブルガイドアセンブリー1のおかげで、バランス50は、回転式計時器用共振機構を振動させアクチュエートすることができる。
【0080】
図4に示している第2の回転式計時器用共振機構30の実施形態は、フレキシブルガイドアセンブリー40の第1の実施形態の変異形態を含み、これにおいては、支持体52は、並進運動台58によってディスク又はディスク-ブリッジ53に接続される。
【0081】
回転式共振機構30には、さらに、バランス70とエスケープ車55がある。
【0082】
エスケープ車55は、円形であり、複数の周部の歯62を有する。
【0083】
バランス70は、楕円形のリング状であり、その一部分60は内側に曲がっている。したがって、このリングには、曲率半径がリングの内側にある過半部分63と、曲率半径がリングの外側にある曲がった部分60がある。ここで、過半部分63は、リングの周部の4分の3を占め、曲がった部分60はリングの周部の4分の1を占めている。
【0084】
バランス70には、さらに、2つのパレット59、61があり、このパレット59、61は、エスケープ車55の歯62と連係して、所定の頻度でエスケープ車55の回転を交互にロックしたり回転させたりするように構成する。リング及びパレット59、61は、例えば、一体的となっている、又は同じ材料によって形成される。代わりに、パレットは、リングに取り付けられた要素であり、このパレットは、例えば、リングに埋め込まれたパレット石によって形成される。
【0085】
曲がった部分60は、エスケープ車55を部分的に囲み、この曲がった部分60には、エスケープ車55の両側に配置された2つのパレット59、61がある。このようにして、バランスは、振動する間に、パレット59、61を、エスケープ車55の歯62に交互に近づけたり離したりしてエスケープ車55の歯62と交互に連係させるように動かす。
【0086】
フレキシブルガイドアセンブリー1は、バランス70のリングの内側に配置される。
【0087】
この実施形態において、第3の可動要素は、バランス70である。したがって、第3の対のブレードのフレキシブルブレード11、12は、リング内における、バランス70、特に曲がった部分60、に接続される。
【0088】
曲がった部分62には、引き延ばされたW字形の側面があり、この側面は、エスケープ車55の反対側にあるフレキシブルガイドアセンブリー40の方へと開いている。W字にある2つの曲がった両端のおかげで、これらの両端を、第2の可動要素3から延在している第3の対のブレードのフレキシブルブレード11、12とともに組み付けることが可能となる。
【0089】
バランス70には、アンバランス設定ディスクがあり、ここで、リングの過半部分63における各側に2つの対のディスク64、65が配置される。これらのディスクは、回転させて調整可能な慣性ブロックであり、バランスの慣性とアンバランスを調整することを可能にする。これらのディスクは、NiPのような金属によって作ることができる。ディスクには、稼働を設定し、バランス70の質量中心の位置を設定することができるように、同じアンバランスがあることができる。代わりに、稼働の大まかな設定を行うためにアンバランスが大きい一対のディスクを選択して、稼働の微細な設定を行うためにアンバランスが小さい一対のディスクを選択することができる。ディスクは、縦軸57のまわりのバランス70の慣性モーメントが高くなり、鉛直軸67のまわりの慣性モーメントが低くなるように、縦軸57に垂直な鉛直軸67の近くに配置される。これによって、バランス70の主共鳴から離れた所望しないモードから共鳴周波数を離すことができる。
【0090】
図示していない変異形態において、バランスとは別個のパレットアセンブリーが、バランスとエスケープ車の間の機械的リンクを形成する。このために、好ましくはルビーによって作られた、インパルスピンが、リングの平面に垂直に、曲がった部分の中央部分に形成された穴内に配置される。インパルスピンは、パレットアセンブリーのフォークと連係して、通常のエスケープ機構のようにエスケープ車をアクチュエートする。この変異形態において、バランスにはパレットがない。
【0091】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態を考えることができる。
【符号の説明】
【0092】
1、10、40 フレキシブルガイドアセンブリー
2、22、52 固定支持体
3、23 第1の可動要素
4、24 第2の可動要素
5、25 第3の可動要素
6、7、26、27 第1の対の非交差フレキシブルブレード
8、9、28、29 第2の対の非交差フレキシブルブレード
11、12、31、32 第3の対の非交差フレキシブルブレード
17、37、57 縦軸
18、38 第1の回転中心
19、39 第2の回転中心
20、30 回転式共振機構
50、70 バランス
55 エスケープ車
M 共振機構の質量中心
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】