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特開2023-166986長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166986
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/90 20160101AFI20231115BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20231115BHJP
【FI】
A23K50/90
A23K20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071071
(22)【出願日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】202210509173.0
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】501242653
【氏名又は名称】合名会社群馬長石
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 小平
(72)【発明者】
【氏名】成 ▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】星野 本三
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005EA04
2B005FA03
2B005FA05
2B005FA07
2B005MA06
2B005MA07
2B150AA09
2B150AB20
2B150AE02
2B150BA01
2B150BD01
2B150BD06
2B150BE04
2B150CE05
2B150CE07
2B150DD44
2B150DD48
2B150DH01
2B150DH20
2B150DH21
(57)【要約】
【課題】 繭糸の性質を改善することのできる長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法を提供する。
【解決手段】 製造原料として、蚕用人工飼料を20~50質量%、長石粉を1~20質量%、促進剤を0.1~0.5質量%、分散剤を2~5質量%、合計で100質量%となるように残部として水を含むことを特徴とする長石粉を含む蚕用飼料。本発明が特定の長石粉を使用し、特定の製造方法と飼育方法で得た繭糸は既存の技術に比べ、優れた機械特性、抗菌性能と保健性能を持ち、遠赤外線放射率は0.87%に達し、遠赤外線放射による温度上昇は2.6℃に達する、人体の血液循環を促し、睡眠を改善する機能を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造原料として、蚕用人工飼料を20~50質量%、長石粉を1~20質量%、促進剤を0.1~0.5質量%、分散剤を2~5質量%、合計で100質量%となるように残部として水を含むことを特徴とする長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項2】
前記蚕用人工飼料は、生桑葉、大豆粉、コーンスターチ、卵殻粉、寒天粉の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであることを特徴とする請求項1記載の長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項3】
前記長石粉の粒径は0.2~3μmであることを特徴とする請求項1記載の長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項4】
前記長石粉は、カリ長石、曹長石、斜長石、正長石の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項5】
前記促進剤は、アルミニウム、バリウム、チタン、トルマリン、ゼオライト粉末、酸化グラフェン、酸化銅ナノ粒子の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであることを特徴とする請求項1記載の長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項6】
前記分散剤は、無機系分散剤、有機系分散剤、高分子系分散剤の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の長石粉を含む蚕用飼料。
【請求項7】
質量比率で前記蚕用人工飼料、前記長石粉、前記促進剤、前記分散剤、および前記水を計量し、これらを十分に混合する混合工程を含む、請求項1に記載の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法。
【請求項8】
前記蚕用人工飼料、前記長石粉、前記促進剤を均一に混合し、固形混合物を得る(1)工程と、
前記(1)工程で得られた前記固形混合物に、前記水と前記分散剤を加え、均一に混合し、蒸煮、包装、成形、保存して、長石粉を含む蚕用飼料を得る(2)工程と、
を含む、請求項7に記載の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法。
【請求項9】
前記長石粉、前記促進剤を前記水に溶かし、前記分散剤を加え、十分に攪拌し、長石粉を含む混合物を得る(a)工程と、
前記蚕用人工飼料と前記(a)工程で得られた長石粉を含む前記混合物とを混合し、前記水を除去し、長石粉を含む蚕用飼料を得る(b)工程と、を含み、
前記(b)工程の混合方法は、前記蚕用人工飼料に長石粉を含む前記混合物を吹き付ける方法、又は前記蚕用人工飼料を長石粉を含む前記混合物に浸漬する方法であり、
前記水の除去は、乾燥機で乾燥又は自然乾燥による除去である、
請求項7記載の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法。
【請求項10】
1~5齢の蚕幼虫を、長石粉を含む前記蚕用飼料で上蔟まで飼育し続ける工程を含む、請求項1に記載の長石粉を含む蚕用飼料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A01K 繭糸の性質改善加工技術に関する。更に具体的には、本発明は長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繭糸は様々な繊維製品を作る素材の中で重要な素材の一種であり、その優れた吸湿性と通気性により、高級繊維製品の製造分野において広く応用されている。社会や経済の急速な発展に伴い、消費者の繭糸に対する要求も多様化が増している。近年、如何に繭糸本来の優れた性能を確保した上で、繭糸の抗菌効果と健康効果を向上させることが、繊維製品分野の研究者達の研究の焦点の一つとなっている。
【0003】
特許文献1には、ナノ粒子を添加した飼料による飼育で抗菌繭糸を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第111357719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この文献ではアミノ酸修飾のナノ粒子を添加した飼料を使用し、特定の方法で蚕を飼育し、得た繭糸に優れた抗菌効果があるが、この方法で得た繭糸は健康効果、強靭性、強度に特徴が無く、その繭糸の実際の応用範囲はある程度制限される。
【0006】
一方、研究者が無機物に関する研究を深めるに伴い、繊維製品に無機物を添加することで繊維製品の性能をある程度向上させることができるが、無機物を繊維に添加するためには複雑な加工手順が必要となり、繊維の加工の難易度が上がるうえに、手間がかかるようになる。そのため、無機物を添加した混合飼料により蚕を飼育する方法が行われているが、この方法では得られる繭糸の品質が変わる可能性がある。
【0007】
従って、繭糸の品質に悪影響が無く、繭糸の抗菌性能と健康効果を向上させることができる無機長石粉を含む蚕用飼料の開発が急務であり、その使用方法は繭糸の性質改善・加工分野において深い意義がある。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、繭糸の性質を改善することのできる長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の長石粉を含む蚕用飼料は、製造原料として、蚕用人工飼料を20~50質量%、長石粉を1~20質量%、促進剤を0.1~0.5質量%、分散剤を2~5質量%、合計で100質量%となるように残部として水を含むことを特徴とする。
【0010】
前記蚕用人工飼料は、生桑葉、大豆粉、コーンスターチ、卵殻粉、寒天粉の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであってもよい。
【0011】
前記長石粉の粒径は0.2~3μmであってもよい。
【0012】
前記長石粉は、カリ長石、曹長石、斜長石、正長石の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであってもよい。
【0013】
前記促進剤は、アルミニウム、バリウム、チタン、トルマリン、ゼオライト粉末、酸化グラフェン、酸化銅ナノ粒子の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであってもよい。
【0014】
前記分散剤は、無機系分散剤、有機系分散剤、高分子系分散剤の何れか1つ又はこれらの複数の組合せであってもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は、質量比率で前記蚕用人工飼料、前記長石粉、前記促進剤、前記分散剤、および前記水を計量し、これらを十分に混合する混合工程を含む。
【0016】
本発明の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は、前記蚕用人工飼料、前記長石粉、前記促進剤を均一に混合し、固形混合物を得る(1)工程と、前記(1)工程で得られた前記固形混合物に、前記水と前記分散剤を加え、均一に混合し、蒸煮、包装、成形、保存して、長石粉を含む蚕用飼料を得る(2)工程と、を含んでもよい。
【0017】
本発明の長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は、前記長石粉、前記促進剤を前記水に溶かし、前記分散剤を加え、十分に攪拌し、長石粉を含む混合物を得る(a)工程と、前記蚕用人工飼料と前記(a)工程で得られた長石粉を含む前記混合物とを混合し、前記水を除去し、長石粉を含む蚕用飼料を得る(b)工程と、を含んでもよく、前記(b)工程の混合方法は、前記蚕用人工飼料に長石粉を含む前記混合物を吹き付ける方法、又は前記蚕用人工飼料を長石粉を含む前記混合物に浸漬する方法であり、前記水の除去は、乾燥機で乾燥又は自然乾燥による除去である。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の長石粉を含む蚕用飼料の使用方法は、1~5齢の蚕幼虫を、長石粉を含む前記蚕用飼料で上蔟まで飼育し続ける工程を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明であれば、繭糸の性質を改善することのできる長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施例4の飼育方法で得た繭糸顕微鏡検査200Xの形態写真である。
図2図2は、本実施例4の飼育方法で得た繭糸顕微鏡検査500Xの形態写真である。
図3図3は、本実施例4の飼育方法で得た繭糸顕微鏡検査1000Xの形態写真である。
図4図4は、本実施例4の飼育方法で得た繭糸顕微鏡検査2000Xの形態写真である。
図5図5は、本実施例4の飼育方法で得た繭糸顕微鏡検査2500Xの形態写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の長石粉を含む蚕用飼料及びその製造方法と使用方法の一態様について、詳細に説明する。
【0022】
[長石粉を含む蚕用飼料]
上記技術的課題を解決するために、本発明の第1の側面は、長石粉を含む蚕用飼料を提供し、少なくとも以下の成分を質量比で含む原料から調製される。蚕用人工飼料20~50%、長石粉末1~20%、促進剤0.1~0.5%、分散剤2~5%、合計で100質量%となるように残部として水を含む。
【0023】
本発明の推奨技術案として、前記蚕用人工飼料は生桑葉、大豆粉、コーンスターチ、卵殻粉、寒天粉の何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。
【0024】
本発明の推奨技術案として、前記長石粉はカリ長石、曹長石、斜長石、正長石の何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。前記長石粉は遠赤外線テラヘルツ機能性原料であり、蚕用飼料に作用して生物細胞を活性化させ、皮膚内の循環を促し、繭糸の品質をより向上させることができる。
【0025】
本発明の推奨技術案として、前記長石粉の粒径は0.2~3μmである。
【0026】
本出願人は数多くのテストと選別の末、ある日本産の機能性鉱物が完璧に蚕用飼料に応用できることを発見した。この鉱物は特定の長石粉であり、優れた高い超遠赤外線(波長100~3000μm)テラヘルツ波放射性能を有することを研究により発見した。生体高分子と水分子の振動と回転スペクトルによる共鳴吸収は全てテラヘルツ域にあり、著しい温度上昇と発熱を引起し、細胞の成長と血液循環等を促し、病的な生体高分子を不規則な結晶構造から正常且つ規則正しい結晶構造へ調整することができ、損傷したDNAを修復し、人が心脳血管疾患、認知症、癌等の慢性疾患になる傾向を抑制することができる。この鉱物を蚕用飼料に応用することで、繭糸の遠赤外線による理学治療性能と抗菌性能を著しく向上させ、紡績・繊維製品の性能をさらに高め、各種繊維に抗菌性や遠赤外線発熱による理学治療性能を与えることができる。同時に特定の長石粉と促進剤、分散剤等原料の働きをコントロールすることで、繊維製品が水洗浄に弱く、耐久性が悪い及び機能性が弱いという特徴を改善することができ、安全で優しい繊維及び生地の性能を更に向上させることができる。本願によって得られる特定蚕用繊維から得た繭糸は、下流の滅菌機能マスク、機能性防護服、抗菌消臭生理用ナプキン、抗菌オムツ、抗菌下着等の高級健康機能製品に使用することができ、非常に高い市場応用価値がある。
【0027】
本発明の更なる推奨技術案として、前記長石粉はカリ長石と曹長石であり、カリ長石と曹長石の質量比は1:2~5である。
【0028】
本発明の推奨技術案として、前記促進剤はアルミニウム、バリウム、チタン、トルマリン、ゼオライト粉末、酸化グラフェン、酸化銅ナノ粒子の何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。
【0029】
本発明の更なる推奨技術案として、前記促進剤はアルミニウム、バリウム、チタンであり、アルミニウム、バリウム、チタンの質量比は0.1~0.5:0.5~1:0.2~0.6である。
【0030】
本発明の推奨技術案として、前記のアルミニウム、バリウム、チタンの質量比は0.2:0.8:0.5である。
【0031】
本発明の推奨技術案として、前記分散剤は無機系分散剤、有機系分散剤、高分子系分散剤の何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。
【0032】
本発明の推奨技術案として、前記無機系分散剤はピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメチル硫酸ナトリウムの何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。
【0033】
本発明の推奨技術案として、前記有機系分散剤はドデシルリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、トリメチルステアロアミドクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルを含む。
【0034】
本発明の推奨技術案として、前記高分子系分散剤はポリカルボン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体の何れか1つ又はこれらの複数の組合せである。
【0035】
[蚕用飼料の製造方法]
本発明の第2の側面は、質量比率で蚕用人工飼料、長石粉、促進剤、分散剤、水を計量し、十分に混合する工程を含む、長石粉を含む蚕用飼料の製造方法を提供する。
【0036】
本発明の推奨技術案として、長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は下記の(1)工程と(2)工程を含む。
【0037】
蚕用人工飼料、長石粉、促進剤を均一に混合し、固形混合物を得る(1)工程。
【0038】
前記(1)工程で得られた固形混合物に、水と分散剤を加え、均一に混合し、蒸煮、包装、成形、保存して、長石粉を含む蚕用飼料を得る(2)工程。
【0039】
本発明の推奨技術案として、(2)工程における蒸煮の温度は60~80℃である。
【0040】
本発明の推奨技術案として、長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は下記の(a)工程と(b)工程を含む。
【0041】
長石粉、促進剤を水に溶かし、分散剤を加え、十分に攪拌し、長石粉を含む混合物を得る(a)工程。
【0042】
蚕用人工飼料と(a)工程で得られた長石粉を含む混合物と混合し、水を除去し、長石粉を含む蚕用飼料を得る(b)工程。
【0043】
本発明の推奨技術案として、(b)工程の混合方法は、蚕用人工飼料に長石粉を含む混合物を吹き付ける方法、又は蚕用人工飼料を長石粉を含む混合物に浸漬する方法である。
【0044】
本発明の推奨技術案として、前記の水の除去は乾燥機で乾燥又は自然乾燥による除去である。
【0045】
[蚕用飼料の使用方法]
本発明の第3の側面は、1~5齢の蚕幼虫を、長石粉を含む前記蚕用飼料で上蔟まで飼育し続ける工程を含む、長石粉を含む蚕用飼料の使用方法を提供する。
【0046】
本発明の推奨技術案として、前記長石粉を含む蚕用飼料の使用方法は下記の工程を含む。
【0047】
蚕用人工飼料、長石粉、促進剤、分散剤、水を上述の比率で混合攪拌し、蒸煮、包装して得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫1、2齢を上蔟まで飼育し続ける。或いは得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫2、4齢を上蔟まで飼育し続ける。或いは得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫3、5齢を上蔟まで飼育し続ける。
【0048】
本発明の推奨技術案として、前記長石粉を含む蚕用飼料の使用方法は下記の工程を含む。
【0049】
水、長石粉、促進剤、分散剤、水を上述の比率で混合攪拌して混合溶液を得て、得られた混合溶液の中に生桑葉を浸漬し、攪拌混合し、自然乾燥して得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫2齢を上蔟まで飼育し続ける、或いは得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫4齢を上蔟まで飼育し続ける、或いは得た長石粉を含む蚕用飼料で、蚕幼虫5齢を上蔟まで飼育し続ける。
【0050】
既存の技術に比べ、本発明は以下の[1]~[4]の有益な効果を持つ。
【0051】
[1]本発明は、特定組成の長石粉末とアルミニウム、バリウム及びチタンからなる促進剤の両方を蚕用飼料に添加し、特に長石粉末を25質量%の割合で添加すると、飼料に対する消化効果が最も高く、飼料に対する受容性が高く、幼虫が健全かつ順調に成長でき、優れた品質の絹を生産できる長石粉を含む蚕用飼料を提供する。
【0052】
[2]本発明が提供する長石粉を含む蚕用飼料は、コーンスターチ、長石粉、アルミニウム、バリウム、チタン、水、塩化トリメチルステアロアミドを原料として、湿潤状態でも乾燥状態でも同じ給餌効果を得ることができ、これを実際の飼育状況に応じて湿潤状態または乾燥状態で選択的に使用でき、実際の使用場面をある程度拡大する長石粉を含む蚕用飼料を、より簡便で効率的に製造できる製造方法を提供する。
【0053】
[3]本発明によって提供される長石粉を含む蚕用飼料は、湿潤状態のトウモロコシ澱粉、長石粉、アルミニウム、バリウムおよびチタンを用いて、または乾燥状態の生桑葉、長石粉、アルミニウム、バリウムおよびチタンを用いて準備される。1、2、3、4および5齢の蚕の幼虫は、特に絹成熟期において、飼料を非常によく受け入れ、その5齢4日の発育を終えた蚕に長石粉末を含む飼料を与えたところ、得られた繭糸は、電子顕微鏡で500~1000倍に拡大すると長石粉が繭糸に入り込んでいることが明確に観察でき、長石粉の大部分は繭糸の表面位置に向かって移行していることから、煩雑な手順を用いることなく総合的性能に優れた無機長石粉を含む繭糸を得ることができる。
【0054】
[4]本発明は、蚕の飼料に長石粉を添加する長石粉を含む蚕用飼料が得られ、コーンスターチ、長石粉、水及び塩化トリメチルステアロアミドを混合攪拌し、60~80℃で蒸し、長石粉末、水及び塩化トリメチルステアロアミドをカプセル化又は混合し、生桑葉に含浸して乾燥する工程を含む製造方法及び給餌方法を用いる。
得られた繭糸は、明らかに長石粉を観察することができ、製造された繭糸は、靭性と強度が強く、抗菌性に優れるとともに、マイナスイオンを放出し、活性酸素を発生し、人間の新陳代謝を促進し、睡眠機能を高めることができ、遠赤外線放射性能が良好で、血行促進、循環器の改善、人間の代謝を高めることができる。
【実施例0055】
[実施例1]
実施例1では、製造原料として、蚕用人工飼料45質量%、長石粉5質量%、促進剤0.2質量%、分散剤2質量%、合計で100質量%となるように残部として水を含む、長石粉を含む蚕用飼料を提供する。
【0056】
前記蚕用人工飼料はコーンスターチであり、▲呉▼江市益宸精▲細▼化工有限公司から購入した。
【0057】
前記長石粉はカリ長石と曹長石で、カリ長石と曹長石の質量比は1:3であり、共に云南高意匠科技有限公司が提供するものである。前記長石粉の粒径は2μmである。
【0058】
前記促進剤は質量比が0.2:0.8:0.5のアルミニウム、バリウム、チタンであり、聚治(蘇州)▲納▼米科技有限公司から購入した。
【0059】
前記分散剤はトリメチルステアラミドクロライドであり、聚治(蘇州)▲納▼米科技有限公司から購入した。
【0060】
前記長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は下記の(1)工程と(2)工程を含む。
【0061】
(1)工程:蚕用人工飼料、長石粉、促進剤を均一に混合し、固形混合物を得る。
【0062】
(2)工程:(1)工程で得られた固形混合物に、水と分散剤を加え、均一に混合し、蒸煮、包装、成形、保存して、長石粉を含む蚕用飼料を得る。(2)工程における蒸煮の温度は70℃とした。
【0063】
前記長石粉を含む蚕用飼料の使用方法としては、蚕幼虫1齢に本実施例1で製造した蚕用飼料を与えて上蔟まで飼育し続けた。
【0064】
[実施例2]
実施例2では、製造原料として、蚕用人工飼料45質量%、長石粉5質量%、促進剤0.2質量%、分散剤2質量%、合計で100質量%となるように残部として水を含む、長石粉を含む蚕用飼料を提供する。
【0065】
前記蚕用人工飼料は生桑葉であり、亳州磊▲碩▼生物科技有限公司から購入した。
【0066】
前記長石粉はカリ長石と曹長石で、カリ長石と曹長石の重量比は1:4であり、共に云南高意匠科技有限公司が提供するものである。前記長石粉の粒径は2μmである。
【0067】
前記促進剤は質量比が0.2:0.8:0.5のアルミニウム、バリウム、チタンであり、聚治(蘇州)▲納▼米科技有限公司から購入した。
【0068】
前記分散剤はトリメチルステアラミドクロライドであり、聚治(蘇州)▲納▼米科技有限公司から購入した。
【0069】
前記長石粉を含む蚕用飼料の製造方法は下記の(a)工程と(b)工程を含む。
【0070】
(a)工程:長石粉、促進剤を水に溶かし、分散剤を加え、十分に攪拌し、長石粉を含む混合物を得る。
【0071】
(b)工程:蚕用人工飼料を(a)工程に記載の長石粉を含む混合物に浸漬し、自然乾燥後、前記長石粉を含む蚕用飼料を得る。
【0072】
前記長石粉を含む蚕用飼料の使用方法としては、蚕幼虫2齢に本実施例2で製造した蚕用飼料を与えて上蔟まで飼育し続けた。
【0073】
[実施例3]
実施例3は、長石粉末を含有する蚕用飼料の使用方法の具体的な工程を除き、実施例1と同様にして実施する。蚕用飼料の使用方法としては、本実施形態で製造した蚕用飼料を、3齢の幼虫に上蔟まで継続して与える。
【0074】
[実施例4]
実施例4は、長石粉末を含有する蚕用飼料の使用方法の具体的な工程を除き、実施例1と同様にして実施する。蚕用飼料の使用方法としては、本実施形態で製造した蚕用飼料を、5齢の幼虫に上蔟まで継続して与える。
【0075】
[実施例5]
実施例5は、長石粉末を含有する蚕用飼料の使用方法の具体的な工程を除き、実施例2と同様にして実施する。蚕用飼料の使用方法としては、本実施形態で製造した蚕用飼料を、4齢の幼虫に上蔟まで継続して与える。
【0076】
[性能評価]
(1)マイナスイオン発生量試験
実施例4の飼育方法で得た繭糸をGB/T30128-2013《繊維製品マイナスイオン発生量の検測と評価》の基準に従い、マイナスイオン発生量の測定を行った。測定結果を表1に示す。実施例1、2、3、5で得た繭糸のマイナスイオン発生量は全て<1000個/cmであり、技術要求を満たしていなかった。
【0077】
(2)抗菌性能試験
実施例4の飼育方法で得た繭糸をGB/T20944.3-2008《繊維製品 抗菌性能の評価》の基準に従い、抗菌効果の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0078】
(3)遠赤外線放射性能試験
実施例4の飼育方法で得た繭糸をGB/T30127-2013《繊維製品 遠赤外線放射性能の検出と評価》の基準に従い、遠赤外線放射性能の測定を行った。測定結果を表3に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5