(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166987
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】焼成炉
(51)【国際特許分類】
F27B 9/36 20060101AFI20231115BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F27B9/36
F27B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073181
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057304
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0122722
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、セウン オン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ワン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン チャン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、チュン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョン フーン
【テーマコード(参考)】
4K050
【Fターム(参考)】
4K050AA01
4K050BA16
4K050CA13
4K050CC07
4K050CD05
4K050CD30
4K050CG04
4K050CG29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー効率に優れ、生産性を極大化できる焼成炉を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る入口から出口まで内部通路510を有する焼成炉本体500と、上記内部通路の上部に配置された第1ヒータ部110と、上記内部通路の中央部に配置された第2ヒータ部120と、上記内部通路の下部に配置された第3ヒータ部130と、上記第1ヒータ部及び第2ヒータ部の間に配置された第1移送ローラ210と、上記第2及び第3ヒータ部の間に配置された第2移送ローラ220と、を含み、上記第1ヒータ部及び第2ヒータ部の間隔は、上記第2ヒータ部及び第3ヒータ部の間隔よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から出口まで内部通路を有する焼成炉本体と、
前記内部通路の上部に配置された第1ヒータ部と、
前記内部通路の中央部に配置された第2ヒータ部と、
前記内部通路の下部に配置された第3ヒータ部と、
前記第1ヒータ部及び前記第2ヒータ部の間に配置された第1移送ローラと、
前記第2ヒータ部及び前記第3ヒータ部の間に配置された第2移送ローラと、
を含み、
前記第1ヒータ部及び第2ヒータ部の間隔は、前記第2ヒータ部及び第3ヒータ部の間隔よりも大きい、焼成炉。
【請求項2】
前記第1ヒータ部及び第2ヒータ部の間隔は、前記第2ヒータ部及び第3ヒータ部の間隔よりも1.2倍以上1.3倍以下である、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項3】
前記第1ヒータ部及び第2ヒータ部の間隔は220~260mmであり、
前記第2ヒータ部及び第3ヒータ部の間隔は170~210mmである、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項4】
前記第1移送ローラと前記第2移送ローラとの間に断熱壁が配置されない、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項5】
前記焼成炉本体の長さは7.0~10.0mである、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項6】
前記焼成炉本体は、前記入口から出口まで昇温区間、保持区間、及び冷却区間が順次に配置され、前記冷却区間の長さは前記昇温区間の長さよりも長く、前記保持区間の長さは前記冷却区間の長さよりも長い、請求項1から5のいずれか一項に記載の焼成炉。
【請求項7】
前記昇温区間の長さは1.0~1.5m、前記保持区間の長さは4.5~6.5m、前記冷却区間の長さは1.5~2.0mである、請求項6に記載の焼成炉。
【請求項8】
前記保持区間の長さは、前記昇温区間の長さの3倍以上6.5倍以下であり、前記冷却区間の長さは、前記昇温区間の長さの1倍以上2倍以下である、請求項6に記載の焼成炉。
【請求項9】
前記焼成炉本体は、隔壁で区分される複数の区域を含み、
前記保持区間に含まれた区域の平均長さは、前記昇温区間及び冷却区間に含まれた区域の平均長さよりも長い、請求項6に記載の焼成炉。
【請求項10】
前記複数の区域は、第1区域及び前記第1区域よりも長さの長い第2区域を含み、
前記昇温区間及び冷却区間は前記第1区域を複数個含み、
前記保持区間は前記第1区域及び前記第2区域を含み、且つ前記第1区域は昇温区間及び冷却区間と隣接した領域に配置される、請求項9に記載の焼成炉。
【請求項11】
前記第2区域の長さは、前記第1区域の長さの1.8倍以上2.2倍以下である、請求項10に記載の焼成炉。
【請求項12】
前記第1区域の長さは200~250mmであり、前記第2区域の長さは420~480mmである、請求項10に記載の焼成炉。
【請求項13】
前記保持区間は、長さが200~250nmである第1区域を、前記昇温区間に隣接した領域に2つ以上含み、前記冷却区間に隣接した領域に2つ以上含む、請求項10に記載の焼成炉。
【請求項14】
前記保持区間に含まれた第1区域の個数は、第2区域の個数の0.5倍以下である、請求項10に記載の焼成炉。
【請求項15】
前記昇温区間の昇温速度は9℃/分以上であり、前記保持区間の温度散布は2℃以下であり、前記冷却区間の冷却速度は4℃/分以上である、請求項6に記載の焼成炉。
【請求項16】
前記保持区間の温度は1200℃以上である、請求項15に記載の焼成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)の焼成工程に使用する焼成炉には様々なタイプが存在するが、生産性において有利なRHK(Roller Hearth Kiln)タイプの焼成炉が主に使用されている。
【0003】
現在、積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)の焼成工程に主に使用するRHK焼成炉は、約17.5mの長い形態を成しており、MLCCの製造工程が変化するにつれて不要な区間が増加し、焼成炉を運営するための電気エネルギー及びガスの損失が非常に大きい実情である。
【0004】
よって、エネルギー効率及び生産性を極大化することができる焼成炉の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本公開特許第2005-156016号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、エネルギー効率に優れた焼成炉を提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、生産性を極大化することができる焼成炉を提供することである。
【0008】
ただし、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る焼成炉は、入口から出口まで内部通路を有する焼成炉本体と、上記内部通路の上部に配置された第1ヒータ部と、上記内部通路の中央部に配置された第2ヒータ部と、上記内部通路の下部に配置された第3ヒータ部と、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間に配置された第1移送ローラと、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間に配置された第2移送ローラと、を含み、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間隔は、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間隔より大きいことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果のうち一効果として、従来の焼成炉の長さを短縮し、単層の移送ローラを複層の移送ローラに変更することで、エネルギー効率及び生産性を極大化することができる。
【0011】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る焼成炉の構造を示す断面図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1のA-A'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図3】
図1の第1区域を拡大して示したものである。
【
図4】
図1の第2区域を拡大して示したものである。
【
図5】従来の焼成炉の構造を示す断面図を概略的に示したものである。
【
図6】
図5のB-B'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図7】
図5の第3区域を拡大して示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0014】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0015】
焼成炉
図1は、本発明の一実施形態に係る焼成炉の構造を示す断面図を概略的に示したものであり、
図2は、
図1のA-A'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図3は、
図1の第1区域を拡大して示したものであり、
図4は、
図1の第2区域を拡大して示したものである。
【0016】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る焼成炉1000について詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る焼成炉1000は、入口から出口まで内部通路510を有する焼成炉本体500と、上記内部通路の上部に配置された第1ヒータ部110と、上記内部通路の中央部に配置された第2ヒータ部120と、上記内部通路の下部に配置された第3ヒータ部130と、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間に配置された第1移送ローラ210と、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間に配置された第2移送ローラ220と、を含み、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1は、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2よりも大きいことができる。
【0018】
移送ローラ210、220は、焼成対象物を移送させる役割を果たすことができ、焼成対象物はトレイ400に含まれて移送されることができる。焼成対象物は特に限定する必要はないが、例えば、焼成対象物は、セラミックグリーンシートが積層されて形成された積層体であって、焼成した後に積層型セラミックキャパシタの本体とすることができる。
【0019】
ヒータ部110、120、130は、移送ローラ210、220によって移送される焼成対象物に熱源を供給する役割を果たすことができる。また、ヒータ部110、120、130の熱源量を調節して焼成対象物の温度を上昇、保持又は冷却させる役割を果たすことができる。
【0020】
トレイ400に載置された焼成対象物は、上記トレイ400が移送ローラ210、220によって出口側方向に移動しながら、焼成炉の内部の温度や雰囲気条件が異なる領域を通過することになり、これによって昇温段階、保持段階及び冷却段階を経ることができる。
【0021】
また、焼成炉本体500はガス供給部を含むことができ、上記ガス供給部を介して供給される雰囲気ガスと、ヒータ部110、120、130によって供給される熱源とによって焼成対象物の焼成が行われることができる。
【0022】
また、焼成炉本体500はガス排出部を含むことができ、上記ガス供給部を介して供給される雰囲気ガスは、上記ガス排出部を介して焼成炉本体500の外部に排出されることができる。
【0023】
ヒータ部110、120、130は、内部通路510の上部に配置された第1ヒータ部110、内部通路510の中央部に配置された第2ヒータ部120、及び内部通路510の下部に配置された第3ヒータ部130を含み、第1ヒータ部110及び第2ヒータ部120の間に配置された第1移送ローラ210、並びに第2ヒータ部120及び第3ヒータ部130の間に配置された第2移送ローラ220を含む複層形態であってもよい。これにより、単層形態の焼成炉に比べて生産性を2倍以上向上させることができる。
【0024】
熱源によって加熱された空気が内部通路510の上部に移動し、内部通路510の下部は、底を介して熱が伝導されて熱が外部に逃れることができるため、相対的に冷たい内部通路510の下部にさらに高い熱を加えなければならない。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1を第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2よりも大きくして、第1移送ローラ210を介して移動する焼成対象物と第2移送ローラ220を介して移動する焼成対象物との温度偏差を小さくすることで、焼成が均一に行われるようにすることができる。
【0026】
一実施形態において、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1は、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2よりも1.2倍以上1.3倍以下であってもよい。
【0027】
第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1が、第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2よりも1.2倍未満又は1.3倍超過である場合には、第1移送ローラ210を介して移動する焼成対象物と、第2移送ローラ220を介して移動する焼成対象物との温度偏差が大きくなるおそれがある。
【0028】
具体的な例として、上記第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1は220~260mmであり、上記第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2は170~210mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
一実施形態において、上記第1移送ローラ210と上記第2移送ローラ220との間に断熱壁が配置されなくてもよい。第1移送ローラ210と第2移送ローラ220との間に断熱壁が配置される場合、内部通路の上下部への熱移動が制限され、第1移送ローラ210を介して移動する焼成対象物と、第2移送ローラ220を介して移動する焼成対象物との温度偏差が大きくなるおそれがある。
【0030】
現在、積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)の焼成工程に主に使用するRHK焼成炉は、約17.5mの長い形態を成しており、MLCCの製造工程が変化するにつれて不要な区間が増加し、焼成炉を運営するための電気エネルギー及びガスの損失が非常に大きい実情である。
【0031】
よって、本発明では、不要な区間を除去して焼成炉本体の長さL0を短くすることで、電気エネルギー及びガスの損失を抑制することができる。
【0032】
具体的な例として、上記焼成炉本体の長さL0は、7.0~10.0mであってもよいが、これに限定されるものではない。焼成炉本体の長さL0が7.0m未満又は10.0m超過である場合には、焼成対象物の焼成工程を行うことが困難になる可能性がある。
【0033】
一実施形態において、上記焼成炉本体500は、上記入口から出口まで昇温区間P1、保持区間P2及び冷却区間P3が順次に配置され、上記冷却区間P3の長さL3は、上記昇温区間P1の長さL1よりも長く、上記保持区間P2の長さL2は、上記冷却区間P3の長さL3よりも長いことができる。すなわち、L2>L3>L1であることができ、これを満たすことによって、焼成工程を最小限の長さで行うことができる。
【0034】
一実施形態において、上記昇温区間の長さL1は1.0~1.5m、上記保持区間の長さL2は4.5~6.5m、上記冷却区間の長さL3は1.5~2.0mであってもよい。
【0035】
焼成温度は製品ごとに異なることがあるが、一般に、1200℃以上でMLCCの焼成が行われることができる。L1が1.0m未満の場合には、常温から焼成温度まで焼成対象物の温度を上昇させにくくなる可能性があり、1.5m超過の場合には、焼成炉本体の長さL0が必要以上に長くなる可能性がある。L2が4.5m未満の場合には、MLCCを焼成させる時間が不十分になる可能性があり、6.5m超過の場合には、焼成炉本体の長さL0が必要以上に長くなる可能性がある。L3が1.5m未満の場合には、焼成温度から常温まで焼成対象物の温度を冷却させにくくなる可能性があり、2.0m超過の場合には、焼成炉本体の長さL0が必要以上に長くなる可能性がある。
【0036】
一実施形態において、上記保持区間の長さL2は、上記昇温区間の長さL1の3倍以上6.5倍以下であり、上記冷却区間の長さL3は、上記昇温区間の長さL1の1倍以上2倍以下であることができる。すなわち、L1:L2は1:3~6.5であってもよく、L1:L3は1:1~2であってもよい。これにより、焼成炉本体の長さL0を最小化しながらも、焼成工程を円滑に行うことができる。より具体的な例として、L1:L2:L3は1:4.5:1.5であってもよい。
【0037】
一実施形態において、上記焼成炉本体は、隔壁300で区分される複数の区域Z1、Z2を含み、上記保持区間P2に含まれた区域の平均長さは、上記昇温区間P1及び冷却区間P3に含まれた区域の平均長さより長いことができる。これにより、昇温区間及び冷却区間の長さL1、L3を短くすることができ、焼成炉本体の長さL0を最小化することができる。また、保持区間P2に比べて、昇温区間及び冷却区間P1、P3は内部温度の変化量が多いため、昇温区間P1及び冷却区間P3に含まれた区域の平均長さを短くすることで、急昇温 及び急冷却が可能でありながらも、昇温速度及び冷却速度を容易に制御することができる。
【0038】
隔壁300は、内部通路510の各区域の熱交換や雰囲気ガスの流れを制御して、各区域別の内部温度及び雰囲気条件を異なるように制御する役割を果たすことができる。
【0039】
隔壁300は、焼成対象物が内部温度や雰囲気条件が異なる段階に移送されるとき、前段階の内部通路の空気が、焼成製品が移送された後の段階の内部通路に伝達されないようにするセパレータ(Separator)の役割を果たすことができる。
【0040】
隔壁300は、各区域の熱交換や雰囲気ガスの流れを制御できるものであれば、特に限定されず、例えば、銅からなってもよい。
【0041】
隔壁300は、内部通路510の上部に配置される上部隔壁310、内部通路510の中央部に配置される中央部隔壁320、及び内部通路510の下部に配置される下部隔壁330を含むことができる。
【0042】
上部隔壁310、中央部隔壁320、及び下部隔壁330は、一定の間隔を置いて互いに離隔して配置されることができる。上部隔壁310と中央部隔壁320との間の空間に、第1移送ローラ210によってトレイ400が移動しながらトレイ400に載置された焼成対象物が移送されるようになり、中央部隔壁320と下部隔壁330との間の空間に、第2移送ローラ220によってトレイ400が移動しながらトレイ400に載置された焼成対象物が移送されることができる。
【0043】
一実施形態において、上記複数の区域は、第1区域Z1及び上記第1区域よりも長さの長い第2区域Z2を含み、上記昇温区間P1及び冷却区間P3は、上記第1区域Z1を複数個含み、上記保持区間P1は、上記第1区域Z1及び第2区域Z1、Z2を含み、且つ上記第1区域Z1は、昇温区間P1及び冷却区間P3と隣接した領域に配置されることができる。
【0044】
保持区間P1のうち、昇温区間P1及び冷却区間P3に隣接した領域に第1区域Z1を配置することにより、保持区間P1の初期区間及び最終区間において温度が急激に変化することを抑制することができる。
【0045】
一実施形態において、上記第2区域Z2の長さLZ2は、上記第1区域Z1の長さLZ1の1.8倍以上2.2倍以下であってもよい。
【0046】
これにより、第1区域Z1は温度調節の役割を容易に行うことができ、第2区域Z2で消耗される電気エネルギーを減少させ、焼成炉本体の長さL0を最小化することができる。
【0047】
具体的な例として、上記第1区域の長さLZ1は200~250mmであり、上記第2区域の長さLZ2は420~480mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0048】
一実施形態において、上記保持区間P2は、長さが200~250nmである第1区域Z1を、上記昇温区間P1に隣接した領域に2つ以上含み、上記冷却区間P3に隣接した領域に2つ以上含むことができる。これにより、保持区間P2の初期区間及び最終区間において温度が急激に変化することをより容易に抑制することができる。
【0049】
一実施形態において、上記保持区間P2に含まれた第1区域Z1の個数は、第2区域Z2の個数の0.5倍以下であってもよい。これにより、保持区間P2において焼成対象物の焼成が十分に行われながらも、保持区間P2の初期区間及び最終区間において温度が急激に変化することを抑制することができる。
【0050】
一実施形態において、上記昇温区間P1の昇温速度は9℃/分以上であり、上記保持区間P2の温度散布は2℃以下であり、上記冷却区間P3の冷却速度は4℃/分以上であることができる。これにより、焼成炉本体の長さL0を最小化しながらも、焼成対象物の焼成が十分に行われるようにすることができる。
【0051】
一実施形態において、上記保持区間の温度は1200℃以上であってもよい。焼成温度は製品ごとに異なることがあるが、一般に、1200℃以上でMLCCの焼成が行われることができるためである。
【実施例0052】
図5は、比較例の焼成炉の構造を示す断面図を概略的に示したものであり、
図6は、
図5のB-B'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図7は、
図5の第3区域を拡大して示したものである。
【0053】
比較例は従来のRHK焼成炉であり、焼成炉本体の長さL0'が17.5mと非常に長い。これは、焼成対象物に含まれたバインダーを除去する脱バインダーのために、昇温区間P1'の長さL1'が5.5mと非常に長く、焼成対象物の焼成後に再酸化のために冷却区間P3'の長さL3'も7.5mと非常に長かった。保持区間P2'の長さL2'は4.5mであった。
【0054】
また、脱バインダー及び再酸化のために、昇温区間P1'及び冷却区間P3'に長さが非常に長い第3区域Z3を含ませた。第3区域Z3の長さLZ3は、第1区域Z1の長さLZ1の約4倍程度と非常に長い。
【0055】
また、内部通路に一つの移送ローラ210'のみが配置されており、区域の高さTZ'、TZ3は500mmであり、焼成炉本体の高さT0'は940mmであった。
【0056】
発明例は、
図1~
図4に示す構造を有する焼成炉であり、焼成炉本体の長さL0を8.45m、昇温区間P1の長さL1を1.5m、保持区間P2の長さL2を4.95m、冷却区間P3の長さを2.0mとし、区域の高さTZ、TZ1、TZ2は620mm、焼成炉本体の高さT0は1.08mであった。また、第1ヒータ及び第2ヒータの間隔G1は240mm、第2ヒータ及び第3ヒータの間隔G2は190mm、第1区域の長さLZ1は225mm、第2区域の長さLZ2は450mmとした。
【0057】
上記比較例及び発明例の焼成炉を用いてMLCCの焼成工程を行った後、消費エネルギーを比較して下記表1に記載した。
【0058】
【0059】
比較例の生産量を1.0としたとき、発明例は複層構造で2倍の生産量を達成し、エネルギー消費割合は比較例を100%としたとき、発明例は70%であった。
【0060】
単位生産量当たりの消費エネルギーは、エネルギー消費割合を生産量で除した値であって、比較例の35%であり、エネルギー効率において顕著な差があることが確認できた。
【0061】
また、発明例は、昇温区間の昇温速度を9.2℃/分、保持区間の温度を1220℃、冷却区間の冷却速度を4.2℃/分としたとき、保持区間での温度偏差が2℃以内に保持されることが確認できた。
【0062】
したがって、本発明によれば、エネルギー効率及び生産性を極大化することができるだけでなく、焼成工程も円滑に行うことができる。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。