(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166996
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】非線形システム雑音の測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/077 20130101AFI20231115BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20231115BHJP
【FI】
H04B10/077 150
H04B10/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075634
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】202210502703.9
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】李 静楠
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ジェヌニン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AH11
5K102AH13
5K102AK00
5K102KA06
5K102PB11
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】本発明の実施例は、非線形システム雑音の測定装置及び方法を提供する。
【解決手段】該装置は、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する生成部と、該マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する第1の測定部と、該両側ノッチ信号を使用して該非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する第2の測定部と、該片側ノッチ信号を使用して該非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する第3の測定部と、該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第1の計算部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形システム雑音の測定装置であって、
両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する生成部と、
前記マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する第1の測定部と、
前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する第2の測定部と、
前記片側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する第3の測定部と、
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第1の計算部と、を含む、装置。
【請求項2】
前記生成部は、
送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定し、前記両側ノッチ信号を生成し、或いは、
2次元信号のIパス及びQパスの実信号において同一の周波数位置で同一のノッチ処理を行い、前記両側ノッチ信号を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
非線形システムが受信機である場合、前記生成部は、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記両側ノッチ信号を直接的に生成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記生成部は、送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定し、前記片側ノッチ信号を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
非線形システムが受信機である場合、前記生成部は、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記片側ノッチ信号を直接的に生成する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記生成部は、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成し、
前記マルチトーン信号の周波数間隔は、前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のノッチ帯域幅以上であり、
マルチトーン信号のピーク対平均電力比が前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のピーク対平均電力比に接近するように、異なるシングルトーン信号の初期位相を調整し、前記マルチトーン信号を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の計算部は、
前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、前記第1の電力対雑音比及び前記加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、前記非線形システムの非線形雑音電力を計算する第2の計算部と、
前記第1の平均電力及び前記非線形雑音電力に基づいて、前記非線形電力対雑音比を計算する第3の計算部と、
前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第4の計算部と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記両側ノッチ信号又は前記片側ノッチ信号のノッチ深さが所定の閾値以下である場合、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比を較正する較正部、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記両側ノッチ信号及び前記片側ノッチ信号は、等スペクトル等確率信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
非線形システムの性能推定装置であって、
請求項1に記載の非線形システム雑音の測定装置により、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得し、
複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築し、
前記等価加法性雑音モデルに基づいて前記非線形システムの性能を推定する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいて、送信側のコヒーレント送信機(coherent transmitter)は、送信信号をベースバンドIQ信号(baseband in-phase and quadrature signal)から搬送波に変調する。チャネル伝送の後、受信側のコヒーレント受信機(coherent receiver)は、それをベースバンドIQ信号に復元する。実際のデバイスが理想的でないため、コヒーレント送信機及び受信機はIQ信号に損傷を与える。送信機の駆動増幅器(driver amplifier:DA)及び/又は受信機のトランスインピーダンス増幅器(transimpedance amplifier:TIA)の利得が小さい場合、IQ信号は、主にIQインバランス(IQ imbalance)及び加算性白色ガウス雑音(additive white Gaussian noise:AWGN)の影響を受ける。送信機の駆動増幅器及び/又は受信機のトランスインピーダンス増幅器の利得が大きい場合、IQ信号は、IQインバランス及び加算性雑音の影響だけでなく、非線形雑音(nonlinear noise)の影響も受ける。異なる雑音により導入されるコストが異なるため、雑音を分離する必要がある。
【0003】
現在、従来技術では、ノッチ信号(notch signal)により非線形システム又は非線形デバイスの非線形雑音を測定することができる。
【0004】
なお、上述した背景技術の説明は、本発明の技術案を明確、完全に理解させるための説明であり、当業者を理解させるために記述されているものである。これらの技術案は、単なる本発明の背景技術部分として説明されたものであり、当業者により周知されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者の発見によると、非線形系の非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音が共に存在する場合、従来技術では非線形系の非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離することができない。
【0006】
上記の問題の少なくとも1つを解決するために、本発明の実施例は、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる、非線形システム雑音の測定装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例の第1の態様では、非線形システム雑音の測定装置であって、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する生成部と、前記マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する第1の測定部と、前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する第2の測定部と、前記片側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する第3の測定部と、前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第1の計算部と、を含む、装置を提供する。
【0008】
本発明の実施例の第2の態様では、非線形システムの性能推定装置であって、本発明の実施例の第1の態様に記載の非線形システム雑音の測定装置により、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得し、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築し、前記等価加法性雑音モデルに基づいて前記非線形システムの性能を推定する、装置を提供する。
【0009】
本発明の実施例の第3の態様では、本発明の実施例の第1の態様又は第2の態様に記載の装置を含む電子機器を提供する。
【0010】
本発明の実施例の第4の態様では、非線形システム雑音の測定方法であって、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成するステップと、前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第1の電力対雑音比を測定するステップと、前記片側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第2の電力対雑音比を測定するステップと、前記マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定するステップと、前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップと、を含む、方法を提供する。
【0011】
本発明の実施例の第5の態様では、非線形システムの性能推定方法であって、本発明の実施例の第4の態様に記載の非線形システム雑音の測定方法により、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得するステップと、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築するステップと、前記等価加法性雑音モデルに基づいて前記非線形システムの性能を推定するステップと、を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の有利な効果の1つは以下の通りである。
【0013】
マルチトーン信号、両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比をそれぞれ測定することができると共に、該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算することができる。これによって、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる。
【0014】
また、上記の方法によれば、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得することができるため、等価加法性雑音モデルを構築し、該等価加法性雑音モデルに基づいて該非線形システムの性能を柔軟、且つ正確に推定することができる。
【0015】
本発明の特定の実施形態は、後述の説明及び図面に示すように、詳細に開示され、本発明の原理を採用されることが可能な方式を示している。なお、本発明の実施例は、範囲上には限定されるものではない。本発明の実施例は、添付されている特許請求の範囲の主旨及び内容の範囲内、各種の改変、修正、及び均等的なものが含まれる。
【0016】
ある1つの実施形態に説明及び又は示されている特徴は、同一又は類似の方式で1つ又は多くの他の実施形態に使用されてもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、他の実施形態における特徴を代替してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで含まれる図面は、本発明の実施例を理解させるためのものであり、本明細書の一部を構成し、本発明の実施例を例示するためのものであり、文言の記載と合わせて本発明の原理を説明する。なお、ここに説明される図面は、単なる本発明の実施例を説明するためのものであり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面を容易に得ることができる。
【
図1】本発明の実施例1に係る非線形システム雑音の測定方法の1つの概略図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る両側ノッチ信号の形成の1つの概略図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る片側ノッチ信号の形成の1つの概略図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る両側ノッチ信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る片側ノッチ信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【
図6】本発明の実施例1のマルチトーン信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【
図7】本発明の実施例1に係るステップ105の実現方法の1つの概略図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る非線形システムの性能推定方法の1つの概略図である。
【
図9】本発明の実施例2の等価加法性雑音モデルの1つの概略図である。
【
図10】本発明の実施例3に係る非線形システム雑音の測定装置の1つの概略図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る非線形システム雑音の測定装置による測定の1つの概略図である。
【
図12】本発明の実施例3に係る第1の計算部の1つの概略図である。
【
図13】本発明の実施例4に係る非線形システムの性能推定装置の1つの概略図である。
【
図14】本発明の実施例5に係る電子機器の1つの概略図である。
【
図15】本発明の実施例5に係る電子機器のシステム構成の1つの概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例では、用語「第1」、「第2」は異なる要素を名称で区分するためのものであり、これらの要素の空間的配列又は時間的順序などを意味するものではなく、これらの要素はこれらの用語に限定されない。用語「及び/又は」は列挙された用語の1つ又は複数のうち何れか及びその組み合わせを含む。用語「包括」、「含む」、「有する」は説明された特徴、要素、素子又は部材の存在を意味するが、他の1つ又は複数の特徴、要素、素子又は部材の存在又は追加を排除するものではない。
【0019】
本発明の実施例では、単数形の「一」、「該」等は複数形を含み、「一種」又は「一類」を意味し、「1つ」に限定するものではない。また、用語「前記」は、文脈上明確に指示されない限り、単数形及び複数形両方を含む。また、文脈上明確に指示されない限り、用語「応じて」は「少なくとも部分的に応じて」を意味し、用語「に基づいて」は「少なくとも部分的に基づいて」を意味する。
【0020】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により理解できるものである。明細書及び図面では、本発明の特定の実施形態、即ち本発明の原則に従う一部の実施形態を表すものを公開している。なお、本発明は説明される実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内の全ての修正、変形されたもの、及び均等なものを含む。
【0021】
<実施例1>
本発明の実施例は、非線形システム雑音の測定方法を提供する。
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る非線形システム雑音の測定方法の1つの概略図である。
図1に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ101:両側ノッチ信号(dual side notch signal)、片側ノッチ信号(single side notch signal)及びマルチトーン信号multi-tone signal)を生成する。
【0024】
ステップ102:該両側ノッチ信号を使用して非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する。
【0025】
ステップ103:該片側ノッチ信号を使用して該非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する。
【0026】
ステップ104:該マルチトーン信号を使用して該非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する。
【0027】
ステップ105:該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。
【0028】
このように、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる。
【0029】
本発明の実施例は、ステップ102、ステップ103及びステップ104の実行順序に限定されない。
【0030】
幾つかの態様では、非線形システムは、非線形効果を生成する様々なシステム又はデバイスであってもよい。例えば、非線形システムは、通信システム又は通信システムの一部、例えばコヒーレント送信機及び/又はコヒーレント受信機である。
【0031】
幾つかの態様では、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成するために、様々な方法を使用してもよい。以下は例示的に説明する。
【0032】
両側ノッチ信号を生成する方法は、具体的に以下の通りである。
【0033】
幾つかの態様では、送信機デジタル信号処理により2次元信号(即ち、複素信号I+jQ)のスペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定してもよい。
【0034】
図2は、本発明の実施例1に係る両側ノッチ信号の形成の1つの概略図である。
図2に示すように、周波数領域では、両側ノッチ処理により、2次元信号I+jQの周波数スペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定することで両側ノッチ信号を形成する。即ち、周波数領域における両側にノッチ(notch)を有する信号を形成する。
【0035】
幾つかの態様では、2次元信号のIパス及びQパスの実信号において、同一の周波数位置で同一のノッチ処理を行い、両側ノッチ信号を生成してもよい。
【0036】
以上の両側ノッチ信号を生成する方法は、非線形システムがコヒーレント送信機及び/又はコヒーレント受信機である場合に適用することができる。
【0037】
幾つかの態様では、非線形システムが受信機である場合、光波形エディタ(wave shaper)により広域スペクトル光源(wideband optical source)に対してフィルタリング処理を行い、光領域において両側ノッチ信号を直接的に生成してもよい。
【0038】
片側ノッチ信号を生成する方法は、具体的に以下の通りである。
【0039】
例えば、送信機デジタル信号処理により2次元信号(即ち、複素信号I+jQ)のスペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定する。
【0040】
図3は、本発明の実施例1に係る片側ノッチ信号の形成の1つの概略図である。
図3に示すように、周波数領域では、片側ノッチ処理により、2次元信号I+jQの周波数スペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定することで片側ノッチ信号を形成する。即ち、周波数領域における片側のみにノッチを有する信号を形成する。
【0041】
以上の片側ノッチ信号を生成する方法は、非線形システムがコヒーレント送信機及び/又はコヒーレント受信機である場合に適用することができる。
【0042】
幾つかの態様では、非線形システムが受信機である場合、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において片側ノッチ信号を直接的に生成してもよい。
【0043】
幾つかの態様では、生成された両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号のノッチ深さ(notch depth)を所定の深さ以上、例えば、25dB以上とする。また、生成された両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号のノッチ帯域幅(band width:BW)を所定の幅以上とし、例えば、該所定の幅は、非線形システムにより出力された電力スペクトルを測定するための分解能帯域幅である。これによって、測定結果の信頼性を確保することができる。
【0044】
マルチトーン信号を生成する方法は、具体的に以下の通りである。
【0045】
幾つかの態様では、非線形システムがコヒーレント送信機である場合、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成してもよい。例えば、マルチトーン信号は、
(外1)
として表されてもよい。ここで、f
0はマルチトーン信号の周波数間隔であり、nはシングルトーン信号の総数であり、nは正の整数であり、kはマルチトーン信号のインデックスであり、A
kはk番目のシングルトーン信号の振幅であり、θ
kはk番目のシングルトーン信号の初期位相(initial phase)である。
【0046】
また、非線形システムがコヒーレント受信機である場合、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成し、コヒーレント送信機によりマルチトーン信号を電気領域から光領域に変換してもよい。
【0047】
或いは、光コム発生器(optical comb generator)により光領域においてマルチトーン信号を直接的に生成してもよい。このマルチトーン信号は、
(外2)
として表されてもよい。ここで、f
mはマルチトーン信号の最小周波数であり、f
0はマルチトーン信号の周波数間隔であり、nはシングルトーン信号の総数であり、nは正の整数であり、kはマルチトーン信号のインデックスであり、A
kはk番目のシングルトーン信号の振幅であり、θ
kはk番目のシングルトーン信号の初期位相である。
【0048】
幾つかの態様では、該マルチトーン信号の周波数間隔は、該片側ノッチ信号又は該両側ノッチ信号のノッチ帯域幅以上であり、マルチトーン信号のピーク対平均電力比(peak-to-average power ratio:PAPR)が該片側ノッチ信号又は該両側ノッチ信号のピーク対平均電力比に接近するように、異なるシングルトーン信号の初期位相を調整する。これによって、測定結果の正確性をさらに向上させることができる。
【0049】
幾つかの態様では、非線形システムがコヒーレント受信機であり、コヒーレント送信機により信号を生成する場合、コヒーレント送信機にはIQインバランス、加算性白色ガウス雑音及び非線形雑音も含まれるため、コヒーレント送信機を使用して両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する際に、まず、測定結果に対する影響を除去するために、コヒーレント送信機を較正する。
【0050】
幾つかの態様では、非線形システムがコヒーレント受信機である場合、入力されたマルチトーン信号の搬送波周波数との周波数差ができるだけ小さくなるように、コヒーレント受信機の局部発振器(local oscillator:LO)周波数を調整する。また、ホモダイン検波を達成するように、コヒーレント送信機及び光コム発生器とコヒーレント受信機とが同一の光源を使用するようにしてもよい。
【0051】
幾つかの態様では、生成された両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号の統計的特性を近似させる。これによって、測定結果の正確性をさらに向上させることができる。
【0052】
幾つかの態様では、該両側ノッチ信号及び該片側ノッチ信号は、等スペクトル等確率信号である。これによって、測定結果の正確性をさらに向上させることができる。
【0053】
幾つかの態様では、生成された両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号をそれぞれ測定すべき非線形システムに入力することによって、非線形システムにより出力された信号の電力スペクトルを測定する。これによって、該非線形システムの第1の電力対雑音比、第2の電力対雑音比及び加算性白色ガウス雑音の電力をそれぞれ測定する。以下は、具体的な測定手順を例示的に説明する。
【0054】
ステップ102において、生成された両側ノッチ信号を使用して該非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する。
【0055】
図4は、本発明の実施例1に係る両側ノッチ信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【0056】
図4に示すように、非線形システムの非線形効果は、入力信号に新しい周波数成分を生じさせ、この周波数成分は、ノッチ帯域幅内で観察することができる。非線形雑音(nonlinear noise)と加算性白色ガウス雑音(additive white Gaussian noise:AWGN)とはスペクトルで直接に区別できないため、両側ノッチ帯域幅内で測定された平均電力P
dual noise(f)は非線形雑音電力と加算性白色ガウス雑音電力との和である。また、BWはノッチ帯域幅を表し、PNR
dual,Tx(f)は非線形システムの入力信号の電力対雑音比を表し、PNR
dual,Rx(f)は非線形システムの出力信号の電力対雑音比を表す。
【0057】
例えば、以下の式(1)に従って、両側ノッチ信号が入力された場合の非線形システムの出力信号の電力対雑音比、即ち、第1の電力対雑音比を計算してもよい。
【0058】
【数1】
ここで、fは周波数であり、P(f)は測定された信号電力スペクトルであり、PNR
dual,Rx(f)は両側ノッチ信号が入力された場合の非線形システムの出力信号の電力対雑音比、即ち、第1の電力対雑音比を表し、P
dual signal(f)は隣接するノッチ帯域幅の信号平均電力を表し、
(外3)
は平均化操作であり、B
signal=[f
c-5BW/4,f
c-3BW/4]∪[f
c+3BW/4,f
c+5BW/4]、これはP
dual signal(f)の算出された帯域幅であり、B
noise=[f
c-BW/4,f
c+BW/4]、これはP
dual noise(f)の算出された帯域幅であり、f
cはノッチ中心周波数であり、BWはノッチ幅である。
【0059】
ステップ103において、生成された片側ノッチ信号を使用して該非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する。
【0060】
図5は、本発明の実施例1に係る片側ノッチ信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【0061】
図5に示すように、非線形システムにおけるIQインバランスは、片側ノッチの周波数領域条件を破壊するため、片側ノッチ帯域幅内で測定された平均電力P
single noise(f)は、非線形雑音電力と加算性白色ガウス雑音電力だけでなく、IQインバランスの寄与も含む。また、BWはノッチ帯域幅を表し、PNR
single,Tx(f)は非線形システムの入力信号の電力対雑音比を表し、PNR
single,Rx(f)は非線形システムの出力信号の電力対雑音比を表す。
【0062】
例えば、以下の式(2)に従って、片側ノッチ信号が入力された場合の非線形システムの出力信号の電力対雑音比、即ち、第2の電力対雑音比を計算してもよい。
【0063】
【数2】
ここで、fは周波数であり、P(f)は測定された信号電力スペクトルであり、PNR
single,Rx(f)は片側ノッチ信号が入力された場合の非線形システムの出力信号の電力対雑音比、即ち、第2の電力対雑音比を表し、P
single signal(f)は隣接するノッチ帯域幅の信号平均電力を表し、
(外4)
は平均化操作であり、B
signal=[f
c-5BW/4,f
c-3BW/4]∪[f
c+3BW/4,f
c+5BW/4]、これはP
single signal(f)の算出された帯域幅であり、B
noise=[f
c-BW/4,f
c+BW/4]、これはP
single noise(f)の算出された帯域幅であり、f
cはノッチ中心周波数であり、BWはノッチ帯域幅である。
【0064】
幾つかの態様では、両側ノッチ信号又は片側ノッチ信号のノッチ深さが所定の閾値以下である場合、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比を較正してもよい。例えば、所定の閾値は25dBである。
【0065】
例えば、次の式(3)及び式(4)に従って較正を行ってもよい。
【0066】
【0067】
【数4】
ここで、等号の左側のPNR
dual,Rx(f)及びPNR
single,Rx(f)はそれぞれ較正後の第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比を表し、等号の右側のPNR
dual,Rx(f)及びPNR
single,Rx(f)はそれぞれ較正前の第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比を表し、PNR
dual,Tx(f)及びPNR
single,Tx(f)はそれぞれ非線形システムに入力される両側ノッチ信号の電力対雑音比及び片側ノッチ信号の電力対雑音比を表す。
【0068】
ステップ104において、生成されたマルチトーン信号を使用して該非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する。
【0069】
図6は、本発明の実施例1のマルチトーン信号が非線形システムを通過した後の電力スペクトルの1つの概略図である。
【0070】
図6に示すように、非線形性は信号に高調波歪(harmonic distortion:HD)と相互変調歪(intermodulation distortion:IMD)を発生させ、マルチトーン信号の周波数間隔は等しく、その高調波歪と相互変調歪は元のマルチトーン信号と同一の周波数を有するため、マルチトーン信号間の周波数成分は加算性白色ガウス雑音である。
【0071】
例えば、以下の式(5)に従って、マルチトーン信号が入力された場合の非線形システムの出力信号の加算性白色ガウス雑音の電力を計算してもよい。
【0072】
【数5】
ここで、P
AWGN(f)は加算性白色ガウス雑音の電力を表し、fは周波数であり、P(f)は測定された信号電力スペクトルであり、
(外5)
平均化操作であり、B
noise=[f
c-BW/4,f
c+BW/4]、これはP
AWGN(f)の算出された帯域幅であり、fcはノッチ中心周波数であり、BWはノッチ帯域幅である。
【0073】
幾つかの態様では、分光計により、非線形システムにより出力された電力を測定してもよく、或いは、受信機デジタル信号処理において高速フーリエ変換により信号の電力スペクトルを計算してもよい。また、受信機を用いる場合、コヒーレント受信機にもIQインバランス、加算性白色ガウス雑音及び非線形雑音が含まれるため、コヒーレント受信機を用いて上記の電力値を算出する際に、まず、測定結果への影響を除去するために、コヒーレント受信機を較正してもよい。
【0074】
ステップ105において、測定された該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。以下は、具体的な計算プロセスを例示的に説明する。
【0075】
図7は、本発明の実施例1に係るステップ105の実現方法の1つの概略図である。
図7に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0076】
ステップ701:該両側ノッチ信号を使用して該非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、該第1の電力対雑音比及び該加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、該非線形システムの非線形雑音電力を計算する。
【0077】
ステップ702:該第1の平均電力及び該非線形雑音電力に基づいて、該非線形電力対雑音比を計算する。
【0078】
ステップ703:該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。
【0079】
ステップ701において、該第1の平均電力は、該両側ノッチ信号を使用して非線形システムを測定する際に測定された隣接するノッチ帯域幅の信号平均電力である。
【0080】
例えば、以下の式(6)に従って、非線形システムの非線形雑音電力を計算してもよい。
【0081】
【数6】
ここで、P
NL(f)は非線形雑音電力を表し、P
dual signal(f)は第1の平均電力、即ち、該両側ノッチ信号を用いて該非線形システムを測定する際に測定された隣接するノッチ帯域幅の信号平均電力を表し、P
AWGN(f)は加算性白色ガウス雑音の電力を表し、PNR
dual,Rx(f)は第1の電力対雑音比を表し、fは周波数である。
【0082】
ステップ702において、該第1の平均電力及び該非線形雑音電力に基づいて、該非線形電力対雑音比を計算する。例えば、以下の式(7)に従って、非線形システムの非線形電力対雑音比を計算してもよい。
【0083】
【数7】
ここで、PNR
NL(f)は非線形電力対雑音比を表し、P
dual signal(f)は第1の平均電力、即ち、該両側ノッチ信号を用いて該非線形システムを測定する際に測定された隣接するノッチ帯域幅の信号平均電力を表し、P
NL(f)は非線形雑音電力を表す。
【0084】
ステップ703において、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。例えば、以下の式(8)に従って、非線形システムのIQインバランスにより導入される電力対雑音比を算出してもよい。
【0085】
【数8】
ここで、PNR
IQ imb(f)はIQインバランスにより導入される電力対雑音比を表し、PNR
dual,Rx(f)及びPNR
single,Rx(f)はそれぞれ第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比を表し、fは周波数である。
【0086】
また、幾つかの態様では、上記の式(1)~(8)の演算は全て線形単位で行われる。
【0087】
本実施例によれば、マルチトーン信号、両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比をそれぞれ測定することができると共に、該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算することができる。これによって、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる。
【0088】
<実施例2>
本発明の実施例は、非線形システムの性能推定方法をさらに提供する。
【0089】
図8は、本発明の実施例2に係る非線形システムの性能推定方法の1つの概略図である。
図8に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0090】
ステップ801:実施例1に記載の非線形システム雑音の測定方法により、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得する。
【0091】
ステップ802:複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築する。
【0092】
ステップ803:該等価加法性雑音モデルに基づいて該非線形システムの性能を推定する。
【0093】
実施例1における記載によれば、得られた非線形系の加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比は周波数fに対応しており、該周波数fはノッチの中心周波数に対応する。ノッチの中心周波数を変化させ、実施例1に記載の方法を繰り返すことによって、複数のノッチ中心周波数における非線形系の加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得することができる。
【0094】
ステップ802において、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築する。
【0095】
図9は、本発明の実施例2の等価加法性雑音モデルの1つの概略図である。
図9に示すように、等価加法性雑音モデルは、線形部分、等価非線形雑音部分、等価IQインバランス雑音部分及び加算性白色ガウス雑音部分を含む。
【0096】
以下は、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築する具体的な方法を例示的に説明する。
【0097】
幾つかの態様では、ノッチ処理されていない信号を非線形システムの入力信号とし、非線形システムの出力信号を測定し、非線形システムの出力信号の電力スペクトルと入力信号の電力スペクトルとの差のスペクトルは、モデルの線形部分である。
【0098】
また、この線形部分に対して追加的な処理を行ってもよい。例えば、ある周波数を選択し、該周波数より小さい線形部分を保留し、該周波数より大きい線形部分を平坦化する。
【0099】
幾つかの態様では、ノッチ処理されていない信号を非線形システムの入力信号とし、非線形システムの出力信号を測定する。該出力信号の電力スペクトルの複数のノッチ中心周波数における電力を計算し、対応する非線形電力対雑音比を減算し、複数のノッチ中心周波数における非線形雑音電力を取得する。そして、ある周波数を選択し、該複数のノッチ中心周波数における非線形雑音電力を補間して該周波数における非線形雑音電力スペクトルを取得する。また、上記の非線形システムの出力信号の電力スペクトルの該周波数よりも高い部分を保留し、両者を結合して完全な非線形雑音電力スペクトルを取得する。最後に、ある確率分布(例えばガウス分布又は他の分布)を有し、且つ単位電力スペクトル密度を有するシード雑音を生成し、上記の非線形雑音電力スペクトルを用いてフィルタリングすると、モデルにおける等価非線形雑音部分を取得する。
【0100】
幾つかの態様では、ノッチ処理されていない信号を非線形システムの入力信号とし、非線形システムの出力信号を測定する。該出力信号電力スペクトルの複数のノッチ中心周波数における電力を計算し、対応するIQインバランスにより導入された電力対雑音比を減算し、複数のノッチ中心周波数におけるIQインバランス雑音電力を取得する。ある周波数を選択し、複数のノッチ中心周波数におけるIQインバランス雑音電力を補間して、該周波数よりも小さいIQインバランス雑音電力スペクトルを取得する。該周波数よりも大きい電力スペクトルをゼロに直接的に設定すると、完全なIQインバランス雑音電力スペクトルを取得することができる。最後に、ある確率分布(例えばガウス分布又は他の分布)を有し、且つ単位電力スペクトル密度を有するシード雑音を生成し、上記の非線形雑音電力スペクトルを用いてフィルタリングすると、モデルにおける等価IQインバランス雑音部分を取得する。
【0101】
幾つかの態様では、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、加算性白色ガウス雑音の電力スペクトル密度
(外6)
を計算し、その値を用いて全域通過フィルタを加算性白色ガウス雑音の電力スペクトルとして生成する。この加算性白色ガウス雑音の電力スペクトルに対して追加処理を行ってもよく、例えばある周波数を選択し、その周波数よりも高い加算性白色ガウス雑音の電力スペクトルをゼロに設定する。最後に、単位電力スペクトル密度を有する加算性白色ガウス雑音を生成し、上記の加算性白色ガウス雑音電力スペクトルでフィルタリングすると、モデルにおける加算性白色ガウス雑音部分を取得する。
【0102】
等価加法性雑音モデルが構築された後、ステップ803において、等価加法性雑音モデルに基づいて非線形システムの性能を推定する。
【0103】
幾つかの態様では、非線形システムの性能を評価するために、正常の通信信号をモデルの入力信号とし、モデルの出力信号のビット誤り率(bit error rate:BER)を計算してもよい。
【0104】
幾つかの態様では、モデルにおける1つ又は複数の雑音を選択的にオン又はオフにすることによって、非線形システムにおける1つ又は複数の雑音に対応するビット誤り率を評価することができる。
【0105】
本実施例によれば、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得することで、等価加法性雑音モデルを構築し、該等価加法性雑音モデルに基づいて該非線形システムの性能を柔軟、且つ正確に推定することができる。
【0106】
<実施例3>
本発明の実施例3は、非線形システム雑音の測定装置を提供する。該装置の問題を解決する原理は実施例1の方法と同様であるため、その具体的な実施は実施例1に記載された方法の実施を参照してもよく、同様な内容又は関連する内容についてその説明を省略する。
【0107】
図10は、本発明の実施例3に係る非線形システム雑音の測定装置の1つの概略図である。
図10に示すように、非線形システム雑音の測定装置1000は、以下の各部を含む。
【0108】
生成部1001は、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する。
【0109】
第1の測定部1002は、両側ノッチ信号を使用して非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する。
【0110】
第2の測定部1003は、片側ノッチ信号を使用して非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する。
【0111】
第3の測定部1004は、マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する。
【0112】
第1の計算部1005は、加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比に基づいて、非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。
【0113】
図11は、本発明の実施例3に係る非線形システム雑音の測定装置による測定の1つの概略図である。非線形システム雑音の測定装置1000は、
図11に示すように、生成された両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を測定すべき非線形システム10に入力する。測定装置1000は、測定された非線形システム10の出力信号の電力スペクトルに基づいて、非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比、及びIQインバランスにより導かれる電力対雑音比を計算する。
【0114】
図12は、本発明の実施例3に係る第1の計算部の1つの概略図である。
図12に示すように、第1の計算部1005は、以下の各部を含む。
【0115】
第2の計算部1201は、両側ノッチ信号を使用して非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、第1の電力対雑音比及び加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、非線形システムの非線形雑音電力を計算する。
【0116】
第3の計算部1202は、第1の平均電力及び非線形雑音電力に基づいて、非線形電力対雑音比を計算する。
【0117】
第4の計算部1203は、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する。
【0118】
なお、本実施例の各要素の具体的な機能は、実施例1の関連ステップの内容を参照してもよく、ここでその説明を省略する。
【0119】
本実施例によれば、マルチトーン信号、両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比をそれぞれ測定することができると共に、該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算することができる。これによって、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる。
【0120】
<実施例4>
本発明の実施例4は、非線形システムの性能推定装置を提供する。該装置の問題を解決する原理は実施例2の方法と同様であるため、その具体的な実施は実施例2に記載された方法の実施を参照してもよく、同様な内容又は関連する内容についてその説明を省略する。
【0121】
図13は、本発明の実施例4に係る非線形システムの性能推定装置の1つの概略図である。
図13に示すように、非線形システムの性能推定装置1300は、以下の各部を含む。
【0122】
非線形システム雑音の測定装置1301は、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得する。
【0123】
モデル構築部1302は、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築する。
【0124】
推定部1303は、等価加法性雑音モデルに基づいて非線形システムの性能を推定する。
【0125】
非線形システム雑音の測定装置1301は、実施例2の記載と同様であり、ここでその説明を省略する。
【0126】
本実施例によれば、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得することで、等価加法性雑音モデルを構築し、該等価加法性雑音モデルに基づいて該非線形システムの性能を柔軟、且つ正確に推定することができる。
【0127】
<実施例5>
本発明の実施例は電子機器をさらに提供する。
図14は、本発明の実施例5に係る電子機器の1つの概略図である。
図14に示すように、電子機器1400は、非線形システム雑音の測定装置1401及び/又は非線形システムの性能推定装置1402を含み、非線形システム雑音の測定装置1401の構成及び機能は実施例3における記載と同様であり、非線形システムの性能推定装置1402の構成及び機能は実施例4における記載と同様であり、ここでその説明を省略する。
【0128】
図15は、本発明の実施例5に係る電子機器のシステム構成の1つの概略的なブロック図である。
図15に示すように、電子機器1500は、プロセッサ1501及びメモリ1502を含んでもよく、メモリ1502はプロセッサ1501に接続される。該図は単なる例示的なものであり、電気通信機能又は他の機能を実現するように、他の種類の構成を用いて、該構成を補充又は代替してもよい。
【0129】
図15に示すように、電子機器1500は、入力部1503、ディスプレイ1504及び電源1505をさらに含んでもよい。
【0130】
1つの態様では、実施例3に記載の非線形システム雑音の測定装置の機能はプロセッサ1501に統合されてもよい。ここで、プロセッサ1501は、両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成し、両側ノッチ信号を使用して非線形システムの第1の電力対雑音比を測定し、片側ノッチ信号を使用して非線形システムの第2の電力対雑音比を測定し、マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定し、加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比に基づいて、非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するように構成されてもよい。
【0131】
例えば、両側ノッチ信号を生成するステップは、送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定するステップ、又は、2次元信号のIパス及びQパスの実信号において同一の周波数位置で同一のノッチ処理を行うステップ、を含む。
【0132】
例えば、非線形システムが受信機である場合、両側ノッチ信号を生成するステップは、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において両側ノッチ信号を直接的に生成するステップ、を含む。
【0133】
例えば、片側ノッチ信号を生成するステップは、送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定するステップ、を含む。
【0134】
例えば、非線形システムが受信機である場合、片側ノッチ信号を生成するステップは、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において片側ノッチ信号を直接的に生成するステップ、を含む。
【0135】
例えば、マルチトーン信号を生成するステップは、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成するステップ、を含み、マルチトーン信号の周波数間隔は、片側ノッチ信号又は両側ノッチ信号のノッチ帯域幅以上であり、マルチトーン信号のピーク対平均電力比(PAPR)が片側ノッチ信号又は両側ノッチ信号のピーク対平均電力比に接近するように、異なるシングルトーン信号の初期位相を調整し、マルチトーン信号を生成する。
【0136】
例えば、加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比に基づいて、非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップは、両側ノッチ信号を使用して非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、第1の電力対雑音比及び加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、非線形システムの非線形雑音電力を計算するステップと、第1の平均電力及び非線形雑音電力に基づいて、非線形電力対雑音比を計算するステップと、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップと、を含む。
【0137】
例えば、加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比を測定するプロセスにおいて、分光計により、非線形システムにより出力された電力を測定し、或いは、受信機デジタル信号処理において高速フーリエ変換により受信信号の電力スペクトルを計算し、電力を計算する。
【0138】
例えば、両側ノッチ信号又は片側ノッチ信号のノッチ深さが所定の閾値以下である場合、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比を較正するステップ、をさらに含む。
【0139】
例えば、両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号は、等スペクトル等確率信号である。
【0140】
もう1つの態様では、実施例4に記載の非線形システムの性能推定装置の機能はプロセッサ1501に統合されてもよい。ここで、プロセッサ1501は、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得し、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築し、等価加法性雑音モデルに基づいて非線形システムの性能を推定するように構成されてもよい。
【0141】
本発明の実施例のもう1つの態様では、実施例3の非線形システム雑音の測定装置又は実施例4の非線形システムの性能推定装置はプロセッサ1501とそれぞれ配置されてもよく、例えば、該非線形システム雑音の測定装置又は非線形システムの性能推定装置はプロセッサ1501に接続されたチップであり、プロセッサ1501の制御により該非線形システム雑音の測定装置又は非線形システムの性能推定装置の機能を実現するように構成されてもよい。
【0142】
本実施例では、電子機器1500は、
図15に示されている全ての構成部を含まなくてもよい。
【0143】
図15に示すように、プロセッサ1501は、コントローラ又は操作制御部とも称され、マイクロプロセッサ又は他の処理装置及び/又は論理装置を含んでもよく、プロセッサ1501は入力を受け付け、電子機器1500の各部の操作を制御する。
【0144】
メモリ1502は、例えばバッファ、フラッシュメモリ、ハードディスク、移動可能な媒体、発揮性メモリ、不発揮性メモリ、又は他の適切な装置の1つ又は複数であってもよい。また、プロセッサ1501は、メモリ1502に記憶されたプログラムを実行し、情報の記憶又は処理などを実現してもよい。他の部材は従来技術に類似するため、ここでその説明が省略される。電子機器1500の各部は、本発明の範囲から逸脱することなく、専用のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はその組み合わせによって実現されてもよい。
【0145】
本実施例では、電子機器は、独立したコンピュータなどの独立した装置であってもよく、或いは、光受信機に統合されてもよい。
【0146】
本実施例によれば、マルチトーン信号、両側ノッチ信号及び片側ノッチ信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、第1の電力対雑音比及び第2の電力対雑音比をそれぞれ測定することができると共に、該加算性白色ガウス雑音の電力、該第1の電力対雑音比及び該第2の電力対雑音比に基づいて、該非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算することができる。これによって、非線形システムの非線形雑音、IQインバランス及び加算性白色ガウス雑音を分離し、関連パラメータを正確に測定することができる。
【0147】
また、上記の方法によれば、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得することができるため、等価加法性雑音モデルを構築し、該等価加法性雑音モデルに基づいて該非線形システムの性能を柔軟、且つ正確に推定することができる。
【0148】
本発明の実施例は、非線形システム雑音の測定装置又は電子機器においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、該非線形システム雑音の測定装置又は電子機器において上記実施例1に記載の非線形システム雑音の測定方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0149】
本発明の実施例は、コンピュータに、非線形システム雑音の測定装置又は電子機器において上記実施例1に記載の非線形システム雑音の測定方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0150】
本発明の実施例は、非線形システムの性能推定装置又は電子機器においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、該非線形システムの性能推定装置又は電子機器において上記実施例2に記載の非線形システムの性能推定方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0151】
本発明の実施例は、コンピュータに、非線形システムの性能推定装置又は電子機器において上記実施例2に記載の非線形システムの性能推定方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0152】
本発明の実施例を参照しながら説明した非線形システムの性能推定装置又は電子機器において実行されている監視カメラのための変換行列の決定方法は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせで実施されてもよい。例えば、
図10に示す機能的ブロック図における1つ若しくは複数、又は機能的ブロック図の1つ若しくは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよいし、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、
図1に示す各ステップにそれぞれ対応してもよい。これらのハードウェアモジュールは、例えばフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールをハードウェア化して実現されてもよい。
【0153】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、モバイルハードディスク、CD-ROM又は当業者にとって既知の任意の他の形の記憶媒体に位置してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり、記憶媒体に情報を書き込むように該記憶媒体をプロセッサに接続してもよいし、記憶媒体がプロセッサの構成部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに位置する。該ソフトウェアモジュールは移動端末のメモリに記憶されてもよいし、移動端末に挿入されたメモリカードに記憶されてもよい。例えば、機器(例えば移動端末)が比較的に大きい容量のMEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置を用いる場合、該ソフトウェアモジュールは該MEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
【0154】
図10に記載されている1つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの1つ以上の組合せは、本願に記載されている機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理装置、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の適切な組み合わせで実現されてもよい。
図10に記載されている1つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの1つ以上の組合せは、例えば、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSP通信と組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成で実現されてもよい。
【0155】
以上は具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び変更を行ってもよく、これらの変形及び変更も本発明の範囲に属する。
【0156】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
非線形システム雑音の測定装置であって、
両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成する生成部と、
前記マルチトーン信号を使用して非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定する第1の測定部と、
前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第1の電力対雑音比を測定する第2の測定部と、
前記片側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第2の電力対雑音比を測定する第3の測定部と、
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第1の計算部と、を含む、装置。
(付記2)
前記生成部は、
送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定し、前記両側ノッチ信号を生成し、或いは、
2次元信号のIパス及びQパスの実信号において同一の周波数位置で同一のノッチ処理を行い、前記両側ノッチ信号を生成する、付記1に記載の装置。
(付記3)
非線形システムが受信機である場合、前記生成部は、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記両側ノッチ信号を直接的に生成する、付記2に記載の装置。
(付記4)
前記生成部は、送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定し、前記片側ノッチ信号を生成する、付記1に記載の装置。
(付記5)
非線形システムが受信機である場合、前記生成部は、光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記片側ノッチ信号を直接的に生成する、付記4に記載の装置。
(付記6)
前記生成部は、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成し、
前記マルチトーン信号の周波数間隔は、前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のノッチ帯域幅以上であり、
マルチトーン信号のピーク対平均電力比(PAPR)が前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のピーク対平均電力比に接近するように、異なるシングルトーン信号の初期位相を調整し、前記マルチトーン信号を生成する、付記1に記載の装置。
(付記7)
前記第1の計算部は、
前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、前記第1の電力対雑音比及び前記加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、前記非線形システムの非線形雑音電力を計算する第2の計算部と、
前記第1の平均電力及び前記非線形雑音電力に基づいて、前記非線形電力対雑音比を計算する第3の計算部と、
前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算する第4の計算部と、を含む、付記1に記載の装置。
(付記8)
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比を測定するプロセスにおいて、
分光計により、前記非線形システムにより出力された電力を測定し、或いは、
受信機デジタル信号処理において高速フーリエ変換により受信信号の電力スペクトルを計算し、電力を計算する、付記1に記載の装置。
(付記9)
前記両側ノッチ信号又は前記片側ノッチ信号のノッチ深さが所定の閾値以下である場合、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比を較正する較正部、をさらに含む、付記1に記載の装置。
(付記10)
前記両側ノッチ信号及び前記片側ノッチ信号は、等スペクトル等確率信号である、付記1に記載の装置。
(付記11)
非線形システムの性能推定装置であって、
複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得する、付記1乃至10の何れかに記載の非線形システム雑音の測定装置と、
複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築するモデル構築部と、
前記等価加法性雑音モデルに基づいて前記非線形システムの性能を推定する推定部と、を含む、装置。
(付記12)
付記1乃至11の何れかに記載の装置を含む電子機器。
(付記13)
非線形システム雑音の測定方法であって、
両側ノッチ信号、片側ノッチ信号及びマルチトーン信号を生成するステップと、
前記両側ノッチ信号を使用して非線形システムの第1の電力対雑音比を測定するステップと、
前記片側ノッチ信号を使用して前記非線形システムの第2の電力対雑音比を測定するステップと、
前記マルチトーン信号を使用して前記非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力を測定するステップと、
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップと、を含む、方法。
(付記14)
両側ノッチ信号を生成するステップは、
送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅及びそのミラー周波数帯域幅における周波数成分振幅をゼロに設定するステップ、又は、
2次元信号のIパス及びQパスの実信号において同一の周波数位置で同一のノッチ処理を行うステップ、を含む、付記13に記載の方法。
(付記15)
非線形システムが受信機である場合、両側ノッチ信号を生成するステップは、
光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記両側ノッチ信号を直接的に生成するステップ、を含む、付記14に記載の方法。
(付記16)
片側ノッチ信号を生成するステップは、
送信機デジタル信号処理により2次元信号のスペクトルの片側ノッチ帯域幅のみにおける周波数成分振幅をゼロに設定するステップ、を含む、付記13に記載の方法。
(付記17)
非線形システムが受信機である場合、片側ノッチ信号を生成するステップは、
光波形エディタにより広域スペクトル光源に対してフィルタリング処理を行い、光領域において前記片側ノッチ信号を直接的に生成するステップ、を含む、付記16に記載の方法。
(付記18)
マルチトーン信号を生成するステップは、送信機デジタル信号処理によりマルチトーン信号を生成するステップ、を含み、
前記マルチトーン信号の周波数間隔は、前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のノッチ帯域幅以上であり、
マルチトーン信号のピーク対平均電力比(PAPR)が前記片側ノッチ信号又は前記両側ノッチ信号のピーク対平均電力比に接近するように、異なるシングルトーン信号の初期位相を調整し、前記マルチトーン信号を生成する、付記13に記載の方法。
(付記19)
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、前記非線形システムの非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップは、
前記両側ノッチ信号を使用して前記非線形システムを測定する際に取得された第1の平均電力、前記第1の電力対雑音比及び前記加算性白色ガウス雑音の電力に基づいて、前記非線形システムの非線形雑音電力を計算するステップと、
前記第1の平均電力及び前記非線形雑音電力に基づいて、前記非線形電力対雑音比を計算するステップと、
前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比に基づいて、IQインバランスにより導入される電力対雑音比を計算するステップと、を含む、付記13に記載の方法。
(付記20)
前記加算性白色ガウス雑音の電力、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比を測定するプロセスにおいて、
分光計により、前記非線形システムにより出力された電力を測定し、或いは、
受信機デジタル信号処理において高速フーリエ変換により受信信号の電力スペクトルを計算し、電力を計算する、付記13に記載の方法。
(付記21)
前記両側ノッチ信号又は前記片側ノッチ信号のノッチ深さが所定の閾値以下である場合、前記第1の電力対雑音比及び前記第2の電力対雑音比を較正するステップ、をさらに含む、付記13に記載の方法。
(付記22)
前記両側ノッチ信号及び前記片側ノッチ信号は、等スペクトル等確率信号である、付記13に記載の方法。
(付記23)
非線形システムの性能推定方法であって、
付記13乃至22の何れかに記載の非線形システム雑音の測定方法により、複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比を取得するステップと、
複数のノッチ中心周波数における非線形システムの加算性白色ガウス雑音の電力、非線形電力対雑音比及びIQインバランスにより導入される電力対雑音比に基づいて、等価加法性雑音モデルを構築するステップと、
前記等価加法性雑音モデルに基づいて前記非線形システムの性能を推定するステップと、を含む、方法。