(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167007
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】自動レーザ設定調整
(51)【国際特許分類】
A61B 18/20 20060101AFI20231115BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20231115BHJP
【FI】
A61B18/20
A61B34/00
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077355
(22)【出願日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】63/364,460
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026AA04
4C026FF58
4C026GG01
4C026GG07
4C026HH04
4C026HH05
4C026HH12
4C026HH13
4C026HH24
(57)【要約】
【課題】レーザの設定のための範囲を受け取りまたは決定し、医療処置中に経験または遭遇した条件に基づいて設定に対する更新または調整の必要性を判定する能力を備えたレーザシステムを提供する。
【解決手段】プロセッサは、少なくとも1つのレーザが動作することができる少なくとも1つのレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を受け取ることができる。プロセッサは、少なくとも1つの設定についての提案更新値をさらに決定し、提案更新値が範囲内にあると判定することができる。提案更新値の表示、及びユーザが提案更新値を受諾または拒絶するための選択肢を、ユーザインターフェイス上に提供することができる。受諾に応答して、提案更新値に基づいて少なくとも1つの設定を調整することができる。所定の期間内に拒絶されないことに応答して、プロセッサは、少なくとも1つの設定を調整する、または少なくとも1つの設定の調整を中止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたユーザインターフェイスと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、
を含むレーザシステムであって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記レーザシステムの第1のレーザが動作することができる前記第1のレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を受け取らせ、
少なくとも1つの前記設定の提案更新値を決定させ、
前記提案更新値が受け取られた前記範囲内にあるかどうかを判定させ、
前記ユーザインターフェイスを介して、(i)前記提案更新値の表示、及び(ii)ユーザが少なくとも1つの前記設定についての前記提案更新値を受諾または拒絶するための選択肢、を提供させ、
所定の時間内に前記ユーザによって前記提案更新値が受諾されること、または前記提案更新値が拒絶されないことに応答して、前記提案更新値に基づいて少なくとも1つの前記設定を調整させる、
命令を格納する、
ように構成されている、レーザシステム。
【請求項2】
前記命令は前記プロセッサに、
前記ユーザによる前記提案更新値の受諾を受け取った、または拒絶を受け取らなかった後、前記第1のレーザを一時的に無効にさせる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記命令は前記プロセッサに、
前記提案更新値を表示している間、前記提案更新値に基づく少なくとも1つの前記設定の調整及び前記提案更新値のユーザの拒絶のうちの少なくとも一方まで、前記第1のレーザの放出を一時的に無効にさせる、請求項1にレーザシステム。
【請求項4】
前記命令は前記プロセッサに、
第1の時間で標的の特性を判定させ、
第2の時間で前記標的の前記特性の変化を判定させ、
前記第2の時間での前記標的の前記特性の前記変化に基づいて少なくとも1つの前記設定の前記提案更新値を決定させる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記命令は前記プロセッサに、
標的からレーザファイバの距離、及び、前記レーザシステムに接続されたスコープもしくはレーザファイバの少なくとも1つがある器官の一部内の前記レーザファイバの位置のうちの少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの前記設定の前記提案更新値を決定させる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記命令は前記プロセッサに、
前記プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件に基づいて少なくとも1つの前記設定の前記提案更新値を決定させる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記センサは、温度センサ、圧力センサ、及び加速度計のうちの1以上を含む、請求項6に記載のレーザシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記設定は、前記第1のレーザによって発せられるエネルギーの量を含み、少なくとも1つの前記設定は、前記第1のレーザのレーザ光またはレーザ放射の強度、前記第1のレーザの波長、前記第1のレーザのパルス幅、及び前記第1のレーザのデューティサイクルのうちの1以上を含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項9】
追加の表示を提供するフィードバック機構をさらに含み、
前記追加の表示は前記ユーザに警告を提供し、前記フィードバック機構は、触覚フィードバック機構、照明フィードバック機構、及び可聴式フィードバック機構のうちの1以上を含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記ユーザへの前記警告は、前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定が前記範囲の上限の閾値量内にあること、及び、前記提案更新値が決定されたこと、の少なくとも一方を前記ユーザに警告する、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記照明フィードバック機構は、標的に向かって発せられるユーザ可視標的照明ビームの特性を変更することを含む、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記提案更新値の前記受諾は、音声コマンド、または前記レーザシステムに接続されたハンドピース上のボタンまたはスイッチ、または前記レーザシステムに接続されたフットスイッチを含む作動部材の作動を通して開始される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記範囲及び前記範囲の限界の少なくとも一方は、前記レーザシステムに接続されたスコープまたはレーザファイバの少なくとも1つがある器官の一部、前記レーザシステムに含まれるレーザファイバのタイプ、及び、前記レーザシステムが用いられる医療処置のタイプのうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記器官の一部は、前記スコープに接続された撮像デバイスからの画像に対して実行される画像認識技術に基づいて判定される、請求項13に記載のレーザシステム。
【請求項15】
前記レーザシステムは、患者情報を含むデータベースに通信可能に結合され、前記医療処置のタイプは前記データベースにおける前記患者情報から判定される、請求項13に記載のレーザシステム。
【請求項16】
前記レーザシステムは前記第1のレーザとは異なるタイプの第2のレーザを含み、
前記命令は前記プロセッサに、
前記第2のレーザが動作することができる前記第2のレーザの少なくとも1つの設定のための第2の範囲を受け取らせ、
前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の第2の提案更新値を決定させ、
前記第2の提案更新値が受け取られた前記第2の範囲内にあるかどうかを判定させ、
前記ユーザインターフェイスを介して、(iii)前記第2の提案更新値の表示、及び(iv)前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記第2の提案更新値を受諾または拒絶する選択肢、を提供させ、
前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の前記第2の提案更新値の受諾に応答して、前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の前記第2の提案更新値に基づいて前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定を調整させ、
前記プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件、前記レーザシステムに接続されたレーザファイバまたはスコープの少なくとも1つがある器官の一部、及び前記レーザシステムが用いられる医療処置のタイプのうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のレーザ及び前記第2のレーザの一方を選択させ、
前記環境条件の変化、前記器官の一部の変化、または前記医療処置の変更に基づいて、前記第1のレーザ及び前記第2のレーザの他方に選択的に切り替えさせる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項17】
所定の時間内に前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の前記第2の提案更新値が拒絶されないことに応答して、前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の前記第2の提案更新値に基づいて前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定を調整する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
所定の時間内に前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の前記第2の提案更新値が拒絶されないことに応答して、前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定に対する調整を中止する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
レーザシステムの自動調整のためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータ実装プロセッサを用いて、前記レーザシステムに含まれるレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を決定するステップと、
前記コンピュータ実装プロセッサを用いて、少なくとも1つの前記設定を調整する必要性を判定するステップと、
少なくとも1つの前記設定の更新値の表示をユーザインターフェイス上に提供するステップと、
前記コンピュータ実装プロセッサを用いて、前記更新値が前記範囲内にあるかどうかを確認するステップと、
コンピュータの制御回路を介して、前記レーザの放出を無効にするステップと、
前記レーザが無効である間、前記制御回路を介して、前記レーザの少なくとも1つの前記設定を少なくとも1つの前記設定の前記更新値に調整するステップと、
前記レーザの少なくとも1つの前記設定の調整後に前記レーザの放出を再開するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
少なくとも1つの前記設定を調整する必要性を判定するステップは、標的の特性、前記標的の前記特性の変化、前記標的からレーザファイバの距離、前記レーザファイバの位置、及び前記レーザシステムに結合されたセンサによって測定される環境条件のうちの少なくとも1つに基づいており、前記範囲の上限が、前記レーザシステムに接続されたスコープがある器官の一部、前記レーザシステムに含まれるレーザファイバのタイプ、及び前記レーザシステムが用いられる医療処置のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたユーザインターフェイスと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、
を含む、レーザシステムであって、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記レーザシステムの第1のレーザが自動的に調整することができる前記第1のレーザの少なくとも1つの設定のための第1の範囲を受け取らせ、
前記レーザシステムの第2のレーザが自動的に調整することができる前記第2のレーザの少なくとも1つの設定のための第2の範囲を受け取らせ、
前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定についての提案更新値または前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定についての第2の提案更新値の少なくとも1つを決定させ、
前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記提案更新値が前記第1の範囲内にあるかどうかを判定させ、
前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記第2の提案更新値が前記第2の範囲内にあるかどうかを判定させ、
前記ユーザインターフェイスを介して、(i)前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記提案更新値及び前記第2のレーザの少なくとも一方の前記設定についての前記第2の提案更新値の少なくとも1つの表示、及び(ii)前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記提案更新値または前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記第2の提案更新値の少なくとも前記一方を受諾または拒絶する選択肢、を提供させ、
前記提案更新値及び前記第2の提案更新値の少なくとも一方の受諾に応答して、前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定または前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定のうちの少なくとも一方を調整させる
命令を格納するように構成されている、レーザシステム。
【請求項22】
所定の期間内にユーザによって前記提案更新値及び前記第2の提案更新値の少なくとも前記一方が拒絶されないことに応答して、
前記命令は前記プロセッサに、
前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定及び前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定のうちの少なくとも一方を調整させる、請求項21に記載のレーザシステム。
【請求項23】
所定の期間内にユーザによって前記提案更新値及び前記第2の提案更新値の少なくとも前記一方が拒絶されないことに応答して、前記命令は前記プロセッサに、
前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定及び前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定の少なくとも一方の調整を中止させる、
請求項21に記載のレーザシステム。
【請求項24】
前記第1のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記提案更新値は前記第1の範囲内にあり、前記第2のレーザの少なくとも1つの前記設定についての前記第2の提案更新値は前記第2の範囲内にあり、
前記命令は前記プロセッサに、
前記プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件、前記レーザシステムに接続されたスコープがある器官の一部、及び前記レーザシステムが用いられる医療処置のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のレーザ及び前記第2のレーザのうちの一方を選択させ、
前記環境条件の変化、前記器官の一部の変化、または前記医療処置の変更に基づいて、前記第1のレーザ及び前記第2のレーザのうちの他方に選択的に切り替えさせる、請求項21に記載のレーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2022年5月10日に出願された米国仮特許出願第63/364,460号に対する優先権の利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、レーザ放射を用いる医療処置中のレーザ設定に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば生体内内視鏡システムの一部としてレーザファイバが用いられるシステムにおいて、治療及び診断の両方の医療処置中にレーザシステムが用いられる。レーザ砕石法のような外科用レーザ処置中、レーザを用いて組織を切除または切断する、または、体から自然に移動させる、または回収装置を用いて、または生理食塩水のような溶液を用いて流すことによって能動的に除去することができる小さな破片へと、腎臓結石または胆石のような結石を縮小する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
どんなタイプの医療処置が実行されているかに応じて、その処置のために用いられているレーザの強度を変更または調整する必要があり得る。石を縮小する、または組織を治療するのにかかる時間の量は、標的とされている石または組織の特定のタイプに最適化されているレーザ設定を用いることによって減少させることができる。例えば、腎臓結石または胆石のような「結石」(石)の切除中、その石の組成は硬い物質から柔らかい物質へ、またはその逆に変化することがある。例えば、石が部分的にシュウ酸カルシウム及びリン酸カルシウムで構成されることがあり、そのためこれは硬い「殻」及び柔らかい「芯」を有する。患者が複数の腎臓結石を有する別の一例において、いくつかの石がシュウ酸カルシウムから、他のものがリン酸カルシウムから、そしてさらに他のものが尿酸から形成されている可能性がある。体を通過させる、または他の方法で除去することができるように、効率的に石を破壊するよう(例えば、石の大きさを低減する、及び/または石を塵埃にするよう)、各石のタイプに異なるレーザ強度が要求される可能性がある。他の処置は、医者が、膀胱組織のような組織の一部にレーザエネルギーを用いることを伴うことがあり、これには、石を破壊または縮小するのに用いられるのとは異なるレーザタイプ及び/またはレーザ強度が要求されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、とりわけ、レーザの設定のための範囲を受け取りまたは決定し、医療処置中、例えば、その処置中に経験または遭遇した条件に基づいて設定に対する更新または調整の必要性を判定する能力を備えたレーザシステムの必要性を認識してきた。レーザシステムが、レーザが動作することができるレーザシステムに含まれるレーザのための少なくとも1つの設定のための範囲を受け取ることができるプロセッサまたは処理回路を含むことができる。処理回路は、外科用レーザシステムの一部として含むことができ、またはレーザが結合または接続されるコンピュータまたはマシンの構成要素として含むことができる。少なくとも1つの設定は、レーザ放射の波長または強度、パワー設定、レーザのスポットサイズ、レーザのパルス幅、レーザパルスのデューティサイクル、またはレーザの任意の利用可能な設定またはパラメータを含むことができる。設定のための範囲は、実行されている処置のタイプに基づくことができ、処置の前に決定、入力、または取得することができる。例えば、設定のための範囲は、レーザシステムの一部として含まれる、またはレーザシステムに接続されるグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)に医者またはユーザが入力することができ、及び/またはレーザシステムに接続されたデータベースまたはサーバ(またはレーザシステムが接続されているマシン)から処理回路によって取得可能な患者ファイルから取得することができる。
【0006】
レーザシステムは、ユーザのための確認を受け取る、または他の方法でレーザが範囲内で自動的に動作することができると決定することができる。例えば、レーザを、例えば、ユーザによって設定された波長の所定の範囲内の異なる波長に自動的に調整することができる。システムは、設定に対する変更または調整の必要性を判定し、設定のための提案される更新値を示すことができる。提案される更新値は現在値から範囲内で異なる値であり得る。例えば、レーザ波長の範囲は700ナノメートル(nm)から900nmまでとすることができ、波長の現在値は750nmに設定することができる。システムは、波長を900nmに更新すべきであると決定し、例えばGUI上にポップアップするメッセージを通して、GUI上に表示を提供することができる。システムは、表示の一部として、または表示から分離して、ユーザが提案される更新値を受諾または拒絶するための選択肢を含むことができる。例えば、表示を提供しながらポップアップするメッセージは、受諾ボタンまたは拒絶ボタンを含むことができる。所定の時間(例えば、10秒のような設定期間)内にユーザによって提案される更新値が受諾されること、または提案される更新値が拒絶されないことに応答して、レーザシステムは提案される更新値に基づいてレーザ設定を調整することができる。
【0007】
したがって、このシステムは、以下でより詳細に議論する次の特徴の1以上を含むことができる。
i)レーザ設定が更新される間、レーザ放出を一時的に停止または無効にし、レーザシステムからのコマンド及び/またはユーザによる新たな設定の受諾を受け取った後に再開することができる「レーザインターロッキング」、
ii)標的の組成、標的の組成の変化(例えば、標的の分光分析に基づく)、または任意の他の関連するパラメータに基づいてレーザの1以上の設定を範囲内で調整することができるレーザ設定の自動調整、
iii)レーザシステムが1以上のレーザ設定の調整をユーザに提案または推奨し、新たな、更新された設定を受諾または拒絶するようユーザに促すことができる入力要求レーザ設定調整(prompted laser settings adjustment)、及び/または
iv)標的についての情報(または標的に対する変化)をGUI上に表示し、処置中にリアルタイムで更新することができる標的分析情報表示。
【0008】
自動調整モードにおいて、システムは、医者が調整を受諾または中止することができる新たなレーザ設定の表示または通知を、例えばGUI上のポップアップスクリーンを介してユーザに提供することができる。この時間の間、レーザインターロッキングを用いて、レーザシステムをロックまたは無効にすることができ、レーザが鼓動または発することができないようになっている。ユーザが変更を受諾すれば、調整が行われるまでレーザをロックしておくことができ、次いでレーザ放出が新たな設定下で再開することができる。ユーザが調整を中止または拒絶すれば、レーザ放出が現在のレーザ設定下で再開することができる。しかしながら、ユーザが表示に応答しない(例えば、ユーザが肯定的に調整を受諾しないが、期間内に調整を拒絶しない)場合、ユーザがレーザ放出に従事し続ける限り(例えば、フットスイッチが押下され続ける、ボタンまたは引き金が押される、などである限り)、システムは自動的に設定を調整し、追加のユーザ相互作用なしでレーザ放出を再開することができる。したがって、自動調整モードは、提案された値が所定の、安全な範囲内にあり、ユーザが調整に反対しなければ、システムが自動的にレーザ設定を調整することが可能になるアプローチを提供する。
【0009】
逆に、入力要求調整モードにおいて、ユーザが表示に応答しない、またはこれを無視するが、肯定的に調整を中止しない場合、現在のレーザ設定に対する変更が行われないことになる。要するに、自動調整モードにおいて、ユーザが肯定的に新たな設定を受諾する、または期間(例えば、2秒、または任意の適切なまたは所望のタイムフレーム)内に新たな設定を拒絶しないときのいずれかで、レーザ設定が変化することになる。入力要求調整モードにおいて、ユーザが肯定的に変更を受諾するときにのみ、レーザ設定が変化することになる。レーザインターロッキング及び/または標的情報は自動調整モードまたは入力要求調整モードのいずれかで起こり得る。
【0010】
「医者」及び「ユーザ」という用語は本明細書で互換的に用いられ、レーザシステムを操作している可能性がある任意の人を含むと理解される。「レーザシステム」及び「システム」という用語が互換的に用いられるということも理解される。
【0011】
図面において、これらは必ずしも一定の縮尺で描かれていないが、同様の数字が異なる図において類似の構成要素を指すことができる。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字が類似の構成要素の異なる例を表すことができる。図面は概して、例の方法によって、しかし限定の方法によってではなく、本書で議論するさまざまな実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】自動レーザ調整のためのシステムの一例を示す。
【
図2】レーザシステムの自動調整のための方法の一例を示す。
【
図3】レーザ調整システムの動作のためのフローチャートである。
【
図4】1以上の実施形態を実装することができるマシンの一例を示すブロック図である。
【
図5】例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
医療処置において、とりわけ、自然に体を通過する、または能動的に除去することができる小さな破片へと、腎臓結石または胆石のような結石を縮小するために、レーザが用いられる。石を縮小するのに要求される時間の量は、石の物質的組成のような要因に応じて変化し、石を縮小または破壊するのに要求される時間の量は、標的とされている石の特定のタイプに最適化されるようにレーザ設定を調整することによって減少させることができる。例えば、高いパルスエネルギー及び低い周波数を放出するレーザは、主にリン酸カルシウムで組織または構成された石に適切である可能性があるのに対して、低いパルスエネルギー及び高い周波数を放出するレーザは、主にシュウ酸カルシウムで組織または構成された石に適切である可能性がある。
【0014】
さらに、石の組成は異種であることがあり、そのため石の外部(例えば、外殻)が内部または内部体積とは異なる物質的組成または異なる密度を有することがある。このような例において、最も効率的に石を縮小するため、内部体積を処理するときとは異なるレーザ設定が、外殻を切除または処理するとき、最適であることがある。したがって、石の組成を識別し、そしてシュウ酸カルシウムからリン酸カルシウムに変化するように、石の組成がある物質から別のものに、またはある密度から別のものに変化するとき、レーザ設定を自動的に調整することができるシステムが所望される。これにより、医者が常に、強度及び周波数の両方で、最適なレーザエネルギーを送達しながら、異種の石を縮小することを保証することができる。
【0015】
一例において、システムは、例えばグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を通して、レーザ設定に対する調整を医者に通知または促すことができる。例えば、システムが石の組成の変化を検出すると、システムは、石の組成が変化したこと、そしてレーザ設定に対する調整が行われるべきであるということをディスプレイ上で医者に通知することができる。通知は、現在のレーザ設定から新たなレーザ設定に変更する医者への推奨として行うことができ、変更された設定を受諾または承認する医者からの入力が要求される。さらに、石または任意の他の標的に関する情報を、レーザ処置の内視鏡動画を示す同じモニタまたはディスプレイ上に表示して、医者の焦点を内視鏡ビューから異なるモニタへ向け直す必要性を最小化または排除することができる。
【0016】
レーザシステムを用いることができる別の医療処置は、前立腺肥大症(BPH)治療中のような、軟組織(石とは対照的に)が治療される処置である。例えば、BPH治療は、前立腺被膜に穴をあけないように前立腺被膜を避けながら、レーザを用いて腺腫に切り込むことを伴うことがある。システムは、外科用ファイバによって標的とされている組織のタイプを自動的に測定し、被膜組織が測定されている間、レーザ放出を無効にすることができる。別の一例において、石または拡張した前立腺の代わりに、標的は、膀胱のような器官上の癌性腫瘍のような、腫瘍であり得る。このような例において、非癌組織が検出または治療されているとき、システムはレーザ放出を自動的に無効にすることができる。
【0017】
レーザファイバを用いて、柔組織または硬組織を治療しているかにかかわらず、レーザ放出を自動的に停止する、及び/または特定の組織に最適化されたレーザ設定を変更するとき、1)治療されている特定の患者にとって安全であると(例えば、医者によって)決定された設定へレーザ設定を変更すること、そして2)標的または組織が変化したことをいつシステムが判定したか、そしてそれが何に変化したかを、医者に知らせること、が望ましい。標的または組織の変化は、例えば、レーザシステムに接続または通信可能に結合されている分光システムから情報を受け取ることによって判定することができる。
【0018】
このようなシステムは、自動インターロッキングシステム及び/または変化する標的に応答する自動レーザ調整システムを含まない既存の医療レーザシステムに対する改良を表す。既存のシステムで実行されるレーザ処置は、低効率的な治療処置、長い治療時間、及び低効率的な治療結果に見舞われている。これらの効率的問題は、標的または組織を扱うとき大きくなり、その治療は医者の技能及び経験レベルに強く依存する。本開示のレーザシステムは、レーザの1以上の設定に対する変更を行うシステムの決定及び/または推奨を覆す、及び/または特定の患者にとって安全であると医者によって決定された一定範囲内でレーザ設定に対する変更を行うようにシステムを制限する機会を医者に提供する。医者は、レーザ設定に対するいかなる変更でも行われる前に、医者による確認が提供されることを要求することができる。さらに、システムは、時間制限、総エネルギー送達制限、単一の処置の継続時間、または所望のまたは適切な任意の他の継続時間または制限のような、所定の時間または所定の制限の間、自動または半自動モードで動作するように設定または構成することができる。
【0019】
一例において、レーザシステムは、自動モードで動作するときでも、1以上の設定が変化することになり、設定が何に変更されることになるかという警報または通知を医者に提供し、例えば医者が新たな設定に反対する、または新たな設定の実装を遅らせたいとき、フットスイッチまたはフットペダルを解放することによって、レーザ放出を中止する機会を医者に提供することができる。別の一例において、半自動モードにおいて、設定変更の前に、システムは、新たな設定への変更に対する承認を要求するGUI上の表示を提供することができる。このような例において、新たな設定への変更は、医者によって承認されると、またはシステムが所定の時間または期間内に新たな設定の拒絶を医者から受け取らないことによって実装することができる。
【0020】
システムの例の実装形態は次のものを含むことができる。
【0021】
レーザ放出をインターロックすること(「レーザインターロッキング」)。これは、一時的にレーザ放出を中止または停止し、次いで、例えば分光システムから、コマンドを受け取った後に再開することを含むことができる。例えば、1940nmのレーザ放出を中止し、次いでコマンドを受け取った後50ミリ秒(ms)以内に再開することができる。このような例において、医者がフットスイッチを押下し続ける限り、他の医者またはユーザのシステムとの相互作用を要求することなく、レーザ放出を再開することができる。GUIは、例えばGUI上のメッセージまたはグラフィックを通して、いつレーザがインターロックされているかを医者に示すことができ得る。
【0022】
自動レーザ設定調整(「自動調整」)モード。これは、分光システムから受け取られた標的についてのスペクトルシグネチャ情報に基づいてレーザ設定を自動的に調整することを含むことができる。標的についてのこのようなスペクトルシグネチャ情報をプロセッサによって用いて、更新されたレーザ設定または1以上のレーザ設定の1以上の更新された範囲を決定することができる。さまざまな実施形態において、医療処置の前及び/またはその間、システムプロセッサには、レーザシステムが自動的に調整することが可能であり得る設定の範囲を、例えば、GUIを介して医者が提供することが要求され得る。システムプロセッサは、(i)レーザシステムが自動的に調整することが可能である値と更新設定を比較すること、そして(ii)これらの医者が指定または医者が承認した範囲内でレーザシステムが自動調整モードで動作することができるということを確認すること、ができる。いったん確認されると、決定された更新設定に基づいてレーザシステムを自動的に調整することができる。いくつかの実施形態において、更新レーザ設定または範囲についての情報を、例えば、GUI上のポップアップまたはポップアウトスクリーン上のようなGUIによって医者に提示することができる。システムプロセッサは、調整を承認または中止する機会を医者に提供することもできる(例えば、新たな設定が実装されることになるということを医者に示し、このような更新を実行する前に医者による承認を要求することによって)。例えば、ポップアップスクリーンは、受諾または否定ボタン、イエスまたはノーボタン、または医者に調整を承認または中止させることが可能になる任意の同様のボタンのような、1以上のボタンを含むことができる。自動調整モードにおいて、医者がポップアップスクリーンを無視し、所定の期間または時間(例えば、10秒)、ポップアップスクリーンを取り消す、またはここから出るなどしないとき、システムは、新たな、または更新された提案されるレーザ設定に自動的に調整することができる。システムは次いで一時的にレーザ放出をインターロックし、既存のレーザ設定を新たな設定に調整または変更し、次いで医者がフットスイッチを押下し続ける限り、追加の相互作用なしでレーザ放出を再開することができる。
【0023】
入力要求レーザ設定調整、(「入力要求調整」)モード。これは、例えば分光システムからの標的スペクトルシグネチャ情報に基づいて、レーザ設定をプロセッサから受け取られたものに調整することを含むことができる。プロセッサは、調整された設定をGUI上に表示することを誘発することができる。このような例において、レーザシステムが新たな設定を提案することができる設定の範囲を提供するように、医者に要求することができる。医者は、医者によって指定された範囲内においてレーザシステムが入力要求調整モードで動作することができるということを確認することができる。システムは次いで、例えば分光システムから受け取られた標的についての更新されたスペクトルシグネチャ情報に基づいて、レーザのための新たな設定を提案することができる。システムは、提案された新たなレーザ設定を適用して実施するように、提案された新たなレーザ設定を肯定的に選択するように医者に要求することができる。例えば、これは、医者がGUI上の提案されたレーザ設定を承認することを伴うことができる。提案された設定は、例えばGUI上のポップアップスクリーンまたはボックスを通して医者に示すことができる。一例において、医者が(10秒のような、所定の期間または時間)ポップアップスクリーンを無視または中止すると、入力要求調整モードにおいては現在発しているレーザ設定に対する変更が行われない。医者が提案された設定を適用することを肯定的に選択する(またはこれを拒絶しない)とき、システムは一時的にレーザ放出をインターロックして、レーザ設定を新たな設定に調整し、フットスイッチが押下され続ける限り、追加のユーザ相互作用なしでレーザ放出を再開することができる。したがって、提案された調整モードは、提案された値が所定の、安全な範囲内にあり、提案された調整をユーザが肯定的に受諾した場合にのみ、システムがレーザ設定を調整することが可能になるアプローチを提供する。
【0024】
標的分析情報表示、(「標的情報」)。これは、GUIを用いて、分光システム及び/またはプロセッサから受け取られた標的についての情報を(例えば、治療及び放出スクリーン上に)表示することを含むことができる。例えば、GUIは、標的石の推定または測定された組成、または軟組織のタイプを表示することができ、これは、標的または組織のタイプの変化が検出されると、更新することができる。
【0025】
図1は自動レーザ調整のためのシステム100の部分の一例を示す。システム100は外科用レーザ102を含むことができる。システムはグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)104を含むことができる。GUI104は、外科用レーザ102の操作、制御などを行うように構成されたタッチスクリーンまたは他の入力機構(例えば、内視鏡のハンドル上のボタン、スイッチ、または他の同様の作動部材)を含むことができる。外科用レーザ102は、レーザ放射を発するように構成された1以上のレーザ源を含むことができる。
図1の例における点線の箱に示すように、レーザ源はアブレーションレーザ106及び/またはプローブレーザ108を含むことができる。アブレーションレーザ106が赤外放射を発することができる一方、プローブレーザ108は、(例えば発光ダイオード(LED))から可視光の照準ビームまたは照明ビームを発し、スコープの先端(及びしたがってアブレーションレーザ106からのアブレーションエネルギー)が向けられる場所を示すことができ、または標的126を照らすために用いることができる。標的126は、切除などが行われるべき腎臓結石のような、組織の一片、破片、または物体であり得る。したがって、発光128は、互いに独立して、または互いに併せて、アブレーションレーザ106またはプローブレーザ108から発することができ、外科用レーザから発せられた発光128は、可視、不可視、または両方(例えば、赤外光と可視光の組み合わせ)であり得ることを意味している。
【0026】
レーザ源106、108からの発光128は、光コネクタ120を介して外科用ファイバ118に接続することができるような光ファイバ116を通して発することができる。一例において、外科用ファイバ118の構造は光ファイバ116のそれと同じでも異なってもよい。外科用ファイバ118は完全にまたは部分的に外科用レーザ102の外側に配置することができる。発光128はこうして、レーザ源106、108から、光ファイバ116、光コネクタ120、及び外科用ファイバ118を通して、外科用ファイバ118の遠位端へと発することができ、これを、内視鏡、尿管鏡、喉頭鏡などのような、スコープ124に挿入することができる。一例において、外科用ファイバ118の遠位端及びスコープ124から発せられた発光128の少なくとも一部は、スコープ124の先端と標的126との間の媒体を通して標的126から反射(反射光130)することができる。
【0027】
外科用レーザ102は、外科用ファイバ118の開口を通過する反射光130の少なくとも一部を収集するように構成された光学スプリッタ110のような光学コンポーネントをさらに含む、またはこれに結合することができる。一例において、光学スプリッタ110は、反射光130の少なくとも一部を収集するように構成された専用ファイバに取り替えることができる。一例において、光学スプリッタ110または専用ファイバによって収集された反射光130の一部を、外科用レーザ102に関連するプロセッサ112に送ることができる。光学スプリッタ110とプロセッサ112との間に光検出器132(例えば、分光計)を配置することができ、標的126の1以上の特性を判定するために反射光130の分光分析を実行することができ、1以上のレーザ設定が調整されるべきであるかどうかの判定が(例えば、プロセッサ112によって)行われ得るようになっている。医療処置の前に、レーザ源106、108についての1以上の設定のための範囲が、プロセッサ112に提供される、またはこれによって受け取られ得る。一例において、設定は、レーザ源106、108の1つから発せられるべきレーザ光またはレーザ放射の強度またはエネルギーの量とすることができ、範囲は、アブレーションレーザ106及び/またはプローブレーザ108が動作することができる強度値(例えば、上方閾値または上限及び下方閾値または下限、及びこれらの間の値)とすることができる。別の一例において、設定はレーザの波長とすることができ、範囲は、上方波長閾値、下方波長閾値、及びこれらの間の値とすることができる。このような例において、単一のダイオードの波長を調整することは一般に、容易に行うことができることではないため、波長値を変更することは、現在有効なまたは使用中のレーザダイオードより高いまたは低い波長を備えた第2のレーザダイオードに切り替えることを含むことができる。さらに別の一例において、設定は発せられるレーザ光のパルス幅またデューティサイクルとすることができる。
【0028】
一例において、プロセッサ112は、例えば医者から、レーザが範囲内で自動的に動作することができるという確認を受け取ることができる。範囲または範囲の限界の少なくとも1つを、スコープ124が近接している器官のタイプ(例えば、スコープが腎臓にあるか腎臓の外側にあるか)、スコープ124及び/または外科用ファイバ118が近接している器官の特性(例えば、その器官が、健康な組織または切除されるべき標的を含むかどうか)、外科用レーザ102に含まれる、または医療処置中に用いられるレーザファイバのタイプ、及びシステム100が用いられる医療処置のタイプ、のうちの少なくとも1つに基づいて決定することができる。
【0029】
一例において、スコープ124に接続された撮像デバイスからの画像に対して実行される任意の適切な画像認識技術に基づいて、器官の一部を判定することができる。例えば、カメラをスコープ124に接続して画像(例えば、静止画または動画)を捕捉することができ、システム100は画像認識技術を実行して、スコープ124(またはスコープ124の先端のようなスコープ124の一部)が現在患者の器官のどの部分に、またはその近くにあるかを判定することができる。医療処置のタイプは、例えば外科用レーザ102に接続されたグラフィカルユーザインターフェイス104上で、処置の前に医者によって入力することができる。あるいは、プロセッサ112は、患者情報を含むデータベース(
図5及び
図6について以下で議論するデータベースのような)に通信可能に結合することができ、医療処置のタイプはデータベースにおける患者情報から判定することができる。
【0030】
プロセッサ112及び/または光検出器132は、光学スプリッタ110によって収集された反射光130の一部を分析し(またはプロセッサ112及び/または光検出器132に接続または結合された分光計による分析を受け取り)、反射光130の分析に基づいて、レーザ設定についての提案される更新値を決定することができる。加えて、または代わりに、スコープ124に結合される、または含まれる温度センサによって測定されるスコープ124の先端での温度値または範囲のようなプロセッサ112に結合されるセンサによって測定される環境条件に基づいて、決定を行うことができる。加えて、または代わりに、環境条件は、スコープ124が配置されている媒体における圧力のような、圧力値または範囲とすることができる。別の一例において、標的126の特性に基づいて決定を行うことができる。例えば、プロセッサ112及び/または光検出器132は標的126からの反射光130を分析して第1の時間で標的126の特性を判定することができる。特性は第1の時間での標的126の組成(物質的組成)または大きさとすることができる。プロセッサ112は次いで処置中の第2の時間で標的126からの反射光130を分析し、第1の時間での標的126の特性と第2の時間での標的126の特性を比較することによって第2の時間で標的126の特性の変化を判定することができる。例えば、標的が石または他の結石であるとき、第2の時間で標的126の組成は例えば硬い物質から柔らかい物質へと変化することがあり、または標的126は第2の時間で第1の時間より実質的に小さくなることがあり、そのため標的126を切除または破壊するのに必要とされるレーザエネルギーが少なくなる。第2の時間での標的の特性の変化の判定に基づいて、システムは提案される更新値を決定することができる。加えて、または代わりに、提案される更新値はアブレーションレーザ106及び/またはプローブレーザ108及び/またはスコープ124の先端の標的126からの距離のようなレーザファイバの1つの位置に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、レーザファイバまたはスコープ124の先端が標的126に近くなるほど、発せられる必要があり得るエネルギーが少なくなり、したがってレーザ放出の強度を下げることができ、及び/またはレーザパルスの時間を調整することができる。
【0031】
グラフィカルユーザインターフェイス104上に、提案される更新値を示すことができ、提案される更新値を受諾または拒絶する選択肢を提供することができる。例えば、プロセッサ112が設定に対する変更の必要性を判定すると、例えばポップアップボックスまたはメニューの形態で、表示または通知をグラフィカルユーザインターフェイス104に送り、更新設定が推奨される、または更新設定が実装されることになるということを医者に知らせることができる。通知は更新設定の値を含むことができ、通知がグラフィカルユーザインターフェイス104に表示されている間、レーザ放出を続ける、または、いくつかの実施形態において、ロック、無効化、終了、遮断、または他の方法で(上で議論した「レーザインターロッキング」を介して)防止することができる。一例において、通知は、提案される更新設定を医者が受諾または拒絶するためのグラフィカルユーザインターフェイス104上のポップアップスクリーンまたは他のどこかに、ボタン、リンクなどを含むことができる。例えば、提案される変更を備えたポップアップスクリーンは、ユーザがクリックすることができる「受諾」ボタン及び/または「拒絶」ボタンを含むことができる。別の一例において、更新値の受諾または拒絶は、音声コマンド、または作動部材の作動を介して開始することができる。作動部材は、スコープ124またはスコープ124の(またはこれに接続された)ハンドピース上のボタンまたはスイッチ、または例えば外科用レーザ102及び/またはスコープ124に接続された、システム100に接続されたフットスイッチまたはフットペダルを含むことができる。
【0032】
一例において、システム100は、上で議論した通知に伴うまたは含まれ得る追加の表示または通知を提供するフィードバック機構を含むことができる。追加の表示は、提案される更新値が決定されたことを医者に通知または警告することができる。追加の表示は、スコープ124のハンドピースの振動のような、触覚フィードバック機構、スピーカまたは同様の出力装置を通してのビープまたはチャイムのような、可聴式フィードバック機構、または標的に向かって発せられたユーザ可視標的照明ビームの特性を変更するような、照明フィードバック機構を通すものとすることができる。例えば、プロセッサ112が更新設定の必要性を判定すると、プロセッサ112は、グラフィカルユーザインターフェイス104に含まれるスピーカを通してチャイムまたはビープを発することができ、スコープ124のハンドピースを振動させることができ、スコープ124のハンドピース上のボタンを照らす、または光らせることができ、及び/またはスコープ124を通して発せられた可視光線の明滅、色の変更などを行うことができる。
【0033】
追加の通知は、1以上の設定の設定が範囲の上限の閾値量内にあるという警告として機能することもできる。例えば、追加の通知は、レーザ源106、108から発せられる放射、光、または信号の強度が、医療処置の前に確立された範囲の上限に近くなるときをユーザに知らせることができる。この追加の通知または警告は、システムがユーザからの相互作用または承認なしで(例えば、全自動システムにおいて)範囲内で自動的に設定を変更するとき、特に有用である可能性があり、そのためユーザは、設定が範囲の上限に近くなるときに気付き、所望のまたは適切な任意の調整を行うことができる。
【0034】
外科用レーザ102は任意選択で、または加えて、プロセッサ112に通信可能に結合されたコントローラ114を含むことができる。提案される更新値の受諾に応答して、コントローラ114はレーザの現在の設定を更新設定に調整することができる。一例において、変更された設定は、標的126からの距離、標的126の組成の変化、または発せられるレーザ放射または光128の強度に対する調整を保証する任意の関連する要因のような1以上の要因に基づいて、発せられるレーザ放射/光128の強度の変化(例えば、停止、縮小、低下、増加、上昇など)を引き起こすことを含むことができる。別の一例において、設定の調整は、レーザの1つから発せられる光または放射の1以上の他のパラメータ(例えば、デューティサイクル、パルス幅など)の変更を含むことができる。加えて、または代わりに、コントローラ114は、外科用ファイバ118に接続されるように構成された外科用ファイバアクチュエータ122に外科用ファイバ118の少なくとも一部の場所を調整させることができる。例えば、外科用ファイバアクチュエータ122は、スコープ124に接続された外科用ファイバ118の部分のような、外科用ファイバ118にその場所を変更させる(例えば、標的に近づく、またはそこから離れるように移動する)ことができる。
【0035】
1を超える設定を調整することができ、所望のまたは適切なように互いに独立して、または互いに併せて、調整を適用することができる。プロセッサ112及び/またはコントローラ114は、1以上の設定に対する1以上の適切な調整を自動的に選択し、これが適用されるように構成することができる。反射光130の分析に基づいて設定調整を自動的に選択し、これが適用されるように、プロセッサ112及び/またはコントローラ114を設定することによって、プロセッサ112及び/またはコントローラ114は、人が医療処置中に変化する条件に反応することができるより速く調整を適用することができるため、システムはアブレーションまたは外科的効率を増加させることができ、その結果、レーザ処置がより効率的及び効果的になる。
【0036】
図2はレーザシステムの自動調整のための一例の方法200を示す。方法200はいくつかの動作またはステップ(202~214)を含む、または備えることができる。これらの動作は例示的であり、実行される方法は、適切なまたは所望のように、列挙された動作の1以上を省略することができ、動作を繰り返すことができ、他の動作を含むことができ、または並行して、実質的に同時に、または別の順序で、動作を実行することができる。これらの動作は、
図4について以下に記載するような、マシンまたはコンピュータのプロセッサまたはコントローラによって自動的に実行することができる。
【0037】
動作202で、人工知能(AI)または機械学習(ML)または他のアルゴリズム(集合的に、「アルゴリズム」)を用いて、レーザシステムに含まれるレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を決定することができる。アルゴリズムの動作は
図4について以下で議論する。この範囲は、砕石処置のようなレーザ処置の前にアルゴリズムによって、例えば医療処置についての情報がユーザインターフェイス上で医者によって入力されること、または医療処置についての情報(例えば、実行されるべき処置が何であるか、処置中にどんな装置が用いられることになるか、など)及び/またはアルゴリズムが進行または動作しているコンピュータに接続されたデータベースからの患者情報を取得することによって、決定することができる。例えば、範囲は、患者に実行されるべき特定のタイプの医療処置(例えば、腎臓結石切除)に結びつけられている、または基づき得るものであり、これはデータベースに格納された患者ファイルから取得することができる。別の一例において、医者は、例えばユーザインターフェイス上で、医療処置のタイプを示すことができ、範囲は、その特定の医療処置に特有の情報はあるがいかなる患者特有の情報またはデータもないデータベースにおけるファイルから取得することができる。腎臓結石の組成、患者の尿路系内の腎臓結石の場所、処置中に用いられるべきレーザのタイプ、または任意の追加の関連する情報のような情報を含むことができる、処置タイプについての情報を、アルゴリズムが提供されると、アルゴリズムはレーザについての適切な設定を決定することができる。例えば、アルゴリズムは、特定の処置にとって適切であるレーザ強度についての範囲の上限及び下限、レーザを鼓動させるデューティサイクルについての上限及び下限などを決定することができる。範囲は、処置を実行する医者によって選択または決定される値の範囲とすることができ、または処置が実行される病院または医療施設に特有であるその処置についての設定範囲であってもよい。範囲は、例えばGUI上のプロンプトまたはメニューを通して、所望されるように医者によって編集または調整することができる。
【0038】
動作204で、システムは、レーザが範囲内で自動的に動作することができると判定することができる。一例において、医療処置についての情報が取得され、その処置にとって適切であるレーザの設定のための範囲をアルゴリズムが決定すると、アルゴリズムは、処置中に用いられる実際のレーザ(例えば、赤色光レーザ、青色光レーザ、緑色光レーザ、または異なるタイプのレーザの組み合わせ)に基づいて、レーザが決定範囲内で動作することができると判定することができる。この範囲及び特定のレーザが決定範囲内で動作することができるという判定は、医療処置を実行する医者によって、その医者の手術に関する前の経験に基づいて、決定することもできる。このように、レーザが部分的にのみ決定範囲内で自動的に動作することが可能であれば(例えば、レーザが決定範囲の下限でレーザ放射を発することができるが、決定範囲の上限ではできないのであれば)、アルゴリズムは決定範囲を調整することができる。加えて、または代わりに、システムは、処置中に異なるレーザを用いることを推奨することができる。
【0039】
動作206で、アルゴリズムは、少なくとも1つの設定を調整する必要性を判定することができる。この判定は、医療処置中に起こる、または遭遇する1以上の要因または条件に基づき得る。一例において、この条件は、レーザまたはスコープに結合された温度センサ及び/または圧力センサによって測定される処置中に用いられるスコープの先端に近接する標的部位での温度及び/または圧力のような、環境条件とすることができる。別の一例において、設定を調整する必要性は標的の特性の変化に基づき得る。例えば、標的が腎臓結石であるとき、アルゴリズムは、石が切除されるときのその大きさの変化(例えば、石の画像分析によって判定される)に基づいて、石を破壊し続けるのに必要とされるレーザ放射が少なくなっていると判定することができる。別の一例において、システムは、石の組成が変化したと判定し(例えば、石から反射または発散された信号の分光分析に基づいて)、その変化に基づいてレーザ強度または他の設定を調整することができる。例えば、石の組成は硬い物質から柔らかい物質へと変化することがあり、またはその逆もある。石が部分的にシュウ酸カルシウム及びリン酸カルシウムで構成されることがあり、そのためこれは硬い「殻」、及び柔らかい「芯」を有し、異なるレベルのレーザ放射が、異なる物質タイプを切除するのに適切であり得る。アルゴリズムは、例えば、
図1について上述したレーザシステムに含まれる、または取り付けられる分光計による石の分光分析に基づいて、石の組成が変化したと判定し、その変化に基づいて設定を調整することができる。
【0040】
別の一例において、設定を調整する必要性は、レーザファイバまたはスコープの先端の標的までの距離、または患者の体内のレーザファイバまたはスコープの先端の位置に基づき得る。例えば、レーザファイバが腎臓結石に近いほど、石を切除するのに要求され得るエネルギーが少なくなる。別の一例において、レーザ放射を、その放射によって影響され得る非標的組織に向かって発し得るように、レーザファイバが配置されていれば、放射またはレーザ強度を低下させ、またはレーザファイバ及び/またはスコープが再配置されるまで、レーザの放出を停止することができる。
【0041】
動作208で、少なくとも1つの設定の更新値の表示をユーザインターフェイス上に提供することができる。例えば、アルゴリズムが、動作206で設定を調整する必要性を判定すると、システムは、レーザ設定を調整する必要があること、そして新たな設定が何の値に変更されることになるかを、例えばGUI上で医者に通知することができる。加えて、この表示は、判定された必要性の理由を表示することを含むことができる。動作210で、レーザ放出は、無効化、ロック、終了、スイッチオフ、または他の方法で防止することができる。これは、動作208で表示が提供されると同時に、または直後に起こり得る。別の一例において、表示または通知が医者に提供された後、医者が変更値を受諾した後、レーザのロックが起こり得る。または、別の言い方をすれば、医者が変更設定を受諾した後にのみ、レーザを鼓動させることができる。動作212で、少なくとも1つの設定を更新値に調整することができる。この調整は、動作210でレーザの放出が無効にされている間に行うことができる。レーザが無効にされている間にレーザ設定を調整することは、これにより、それた放射エネルギーが非標的組織に接触するのを防止するようにスコープを配置することが可能になり得るため、特に調整が放射強度の増加を含むとき、安全の措置を提供することができる。動作214で、少なくとも1つの設定の調整後にレーザ放出を再開することができる。
【0042】
いくつかの例において、1を超えるレーザが、処置中に用いられるように利用可能であり得る。方法200に列挙された動作、ならびに
図1について上で議論した構成要素のすべてが複式のレーザシステムに当てはまり得る。1を超えるレーザが含まれる一例において、調整は、上で議論した要因のいずれかに基づいて、1つのレーザから別のものに切り替えること、例えば第1のレーザから第2のレーザに切り替えることを含むことができる。したがって、システム100またはアルゴリズムは、環境条件の変化、スコープの場所(例えば、スコープが配置されている器官の一部)の変化、標的の特性の変化、医療処置の変更、またはあるタイプのレーザから別のものへの変更を保証または必要とする任意の要因またはパラメータに基づいて、選択的に第1のレーザから第2のレーザに切り替えることができる。例えば、医療処置に石の切除が要求され、組織を切断または焼灼することも要求されるとき、第1のレーザが、石を切除することにより良好に適し、他方が、組織を切断または焼灼することにより良好に適していることがある。このように、処置のどの部分が実行されているかに応じて、能動的に放射を発しているレーザを変更または切り替えすることができる。
【0043】
図3はレーザ調整システムの動作のためのフローチャートである。
図3に示すように、動作300で、レーザシステムはレーザ調整のための入力をユーザに促すことができる。(上で
図2について図示及び議論した方法のような)、上述した方法によって、レーザシステムの1以上の設定が調整されるべきであるとの判定後、レーザシステムはユーザに入力を促すことができる。レーザシステムが自動調整モードで動作しているとき、動作303で、レーザ設定の調整のためのこのプロンプトを受諾、拒絶、または無視するべきかどうかの決定を302Aで行うことができる。例えば、レーザシステムはGUI上のポップアップまたはポップアウトスクリーンを用いて、1以上の設定に対する調整が推奨される、または必要であるということをユーザに通知することができ、例えばユーザが提案された変更を受諾することを選択することができるポップアップスクリーン上のボタン及び/またはユーザが提案された変更を中止または拒絶することを選択することができるボタンを通して、設定変更を受諾または辞退することをユーザに促すことができる。
【0044】
動作302Aで、ユーザが、例えばポップアップスクリーン上の「中止」または「拒絶」の選択肢を選択することによって、変更を中止または拒絶すれば、レーザシステムは、現在のレーザ設定を用いて再開することができ、新たな調整が提案されると、この時点でレーザシステムは動作300に戻ることができる。動作302で、ユーザが提案された変更を受諾すれば、レーザシステムは動作304に進み、レーザ放出をロックまたは無効にし、動作306で1以上のレーザ設定を調整し、そして更新設定でレーザの動作または放出を動作308で再開することができ、この時点で、別の調整が要求されると、レーザシステムは動作300に戻ることができる。しかしながら、動作302Aでユーザが表示に応答しない(例えば、5秒、または任意の適切なまたは所望の時間の量内のような期間内に、ユーザが肯定的に調整を受諾しないが、調整を拒絶もしない)場合、レーザシステムは動作304、306、及び308に自動的に進み、レーザ放出を無効にし、設定を調整して、ユーザがレーザ放出に従事し続ける限り(例えば、フットスイッチが押下され続け、ボタンまたは引き金が押される、またはレーザを作動させる任意の作動部材が係合されたままである限り)、追加のユーザ相互作用なしでレーザ放出を再開することができる。
【0045】
レーザシステムが入力要求調整モードで動作しているとき、動作302Bで、ユーザは、動作300で送られたプロンプトを受諾、拒絶、または無視するべきかどうかを決めることができる。302Bで、ユーザが提案された変更を拒絶する、または期間(例えば、5秒)内に提案された変更を受諾も拒絶もしない場合、レーザシステムは現在のレーザ設定で動作し続け、別の調整の必要性が要求されると、動作300に戻ることになる。入力要求調整モードにおいてレーザシステムが動作304、306、及び308へと続いて設定を更新し、更新設定でレーザ放出を続けることができるのは、レーザ設定に対する提案された変更をユーザが肯定的に受諾するときのみである。
【0046】
図2及び
図3に示す例は、設定に対する提案された変更を受諾または拒絶する表示及びプロンプトが行われた後にレーザ放出がロックまたは無効にされることを示すが、レーザシステムは、動作300で表示されたプロンプトの前、またはこれと同時にレーザ放出を無効またはロックすることができる。さらに、レーザシステムは、例えば医療処置中ユーザによって所望されるように、自動調整モードから入力要求調整モードに切り替えることができる。加えて、または代わりに、レーザシステムは、例えば医療処置のどの部分が実行されているかに基づいて入力要求調整モードと自動調整モードとの間を自動的に切り替えることができる。例えば、ユーザは処置のいくつかの部分の間にレーザシステムに対してより多くの制御を有することを所望することができ、レーザシステムは、処置のこれらの部分の間は入力要求調整モードに留まり、次いでユーザが自動調整モードを受諾可能と見なす処置の他の部分の間に自動調整モードに切り替えるように処置の前にプログラムまたは設定することができる。
【0047】
図4は、本明細書で議論する技術(例えば、方法論)の任意の1以上が機能することができるマシン400の一例のブロック図である。マシン400はスタンドアロンデバイスとして動作することができ、または他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)することができる。例えば、マシン400は、外科用レーザ102及び/またはスコープ124に含む、または接続することができ、上で議論した、グラフィカルユーザインターフェイス104、プロセッサ112、コントローラ114、または外科用ファイバアクチュエータ122のような構成要素を含むことができる。加えて、または代わりに、マシン400は、
図2について上で議論したアルゴリズム、または
図4について以下で議論するコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)を動作させることができる。ネットワーク化された展開において、マシン400は、サーバ-クライアントネットワーク環境におけるサーバマシン、クライアントマシン、または両方の能力で動作することができる。一例において、マシン400はピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境においてピアマシンとして作用することができる。マシン400は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、またはそのマシンによってとられるべき行動を指定する命令(連続的または他の方法)を実行することができる任意のマシンとすることができる。さらに、単一のマシンのみを示すが、「マシン」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成のような、本明細書で議論する方法論の任意の1以上を実行する命令のセット(または複数のセット)を個々に、または共同で実行するマシンの任意の集合を含むようにもとられるべきである。
【0048】
本明細書に記載するように、いくつかの例が、論理またはいくつかの構成要素、または機構を含むことができ、またはこれらによって動作することができる。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、論理など)を含む有体物において実装される回路の集合である。回路セットの構成部材は時間及び下にあるハードウェアの変動性に対して柔軟であり得る。回路セットは、動作するとき、単独で、または組み合わせて、指定された動作を実行することができる部材を含む。一例において、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するよう不変に設計(例えば、ハードワイヤード)することができる。一例において、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令をエンコードするように物理的に修正された(例えば、不変質量粒子などの磁気的、電気的に、移動可能な配置)コンピュータ可読媒体を含む可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含むことができる。物理的構成要素を接続することにおいて、ハードウェア成分の基礎をなしている電気的性質は、例えば、絶縁体から導体まで、またはその逆に変化する。命令により、埋め込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)が、可変接続を介してハードウェアにおける回路セットの部材を作成して、動作しているときに特定の動作の部分を実行することが可能になる。したがって、デバイスが動作しているとき、コンピュータ可読媒体は回路セット部材の他の構成要素に通信可能に結合される。一例において、物理的構成要素のいずれかを1を超える回路セットの1を超える部材に用いることができる。例えば、動作中、実行ユニットをある時点で第1の回路セットの第1の回路において用い、第1の回路セットにおける第2の回路によって、または異なる時間で第2の回路セットにおける第3の回路によって再利用することができる。
【0049】
マシン400(例えば、コンピュータシステム)は、ハードウェアプロセッサ402(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはこれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ404及びスタティックメモリ406を含むことができ、これらのいくつかまたはすべてがインターリンク(例えば、バス)430を介して互いに通信することができる。マシン400は、表示ユニット410、英数字入力デバイス412(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェイス(UI)ナビゲーションデバイス414(例えば、マウス)をさらに含むことができる。一例において、表示ユニット410、入力デバイス412及びUIナビゲーションデバイス414は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。マシン400は加えて、ストレージデバイス408(例えば、ドライブユニット)、信号生成デバイス418(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェイスデバイス420、及び全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサのような、1以上のセンサ416を含むことができる。マシン400は、1以上の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダなど)を通信または制御するシリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線または無線(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)など)接続のような、出力コントローラ428を含むことができる。
【0050】
ストレージデバイス408は、本明細書に記載の技術または機能の任意の1以上を具現化する、またはこれらによって用いられるデータ構造または命令424(例えば、ソフトウェア)の1以上のセットが格納される機械可読媒体422(例えば、非一時的媒体)を含むことができる。命令424は、マシン400によるその実行中、完全に、または少なくとも部分的に、メインメモリ404内、スタティックメモリ406内、またはハードウェアプロセッサ402内にも存在することができる。一例において、ハードウェアプロセッサ402、メインメモリ404、スタティックメモリ406、またはストレージデバイス408の1つまたは任意の組み合わせが機械可読媒体を構成することができる。
【0051】
機械可読媒体422は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1以上の命令424を格納するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、及び/または関連するキャッシュ及びサーバ)を含むことができる。「機械可読媒体」という用語は、マシン400による実行のための命令を格納、エンコード、または担持することができ、本開示の技術の任意の1以上をマシン400に実行させ、またはこのような命令によって用いられる、または関連するデータ構造を格納、エンコード、または担持することができる、任意の非一時的媒体を含むことができる。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、及び光学及び磁気媒体を含むことができる。一例において、大規模機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を備えた機械可読媒体を含む。したがって、大規模機械可読媒体は一時的な伝播信号ではない。大規模機械可読媒体の具体的な例は、不揮発性メモリ、例えば半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM))及びフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内部ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学ディスク、及びCD-ROM及びDVD-ROMディスク、を含むことができる。
【0052】
図5は、治療されている標的、治療されている組織の一片または一部、またはレーザ医療処置中に遭遇した条件についての情報に基づいて変更されたレーザ設定を実装または推奨するように構成されている例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)500の概略図を示す。さまざまな実施形態において、CDSS500は、患者に特有である1以上のレーザ設定範囲が、入力特徴として人工知能(AI)モデル504に提供される入力インターフェイス502と、標的または組織の一片または一部に関する情報をAIモデルに適用して1以上の変更されたレーザ設定を生成する推論演算を実行する、プロセッサ402のような、プロセッサと、1以上の変更されたレーザ設定がユーザ、例えば、臨床医に伝達されるユーザインターフェイス(UI)と、を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、入力インターフェイス502は、CDSS500と、入力特徴の少なくともいくつかを生成する1以上の医療機器との間の直接データリンクとすることができる。例えば、入力インターフェイス502は、治療及び/または診断の医療処置中に直接CDSS500に、標的の組成または密度のような、標的についての情報を伝達することができる。加えて、または代わりに、入力インターフェイス502は、ユーザとCDSS500との間の相互作用を促進する古典的なユーザインターフェイスとすることができる。例えば、入力インターフェイス502は、レーザシステムが処置中に提案することができる患者に特有であるレーザ設定の範囲をユーザが手動で入力することができるユーザインターフェイスを促進することができる。加えて、または代わりに、入力インターフェイス502は、1以上の入力特徴を抽出することができる電子患者記録へのアクセスをCDSS500に提供することができる。これらの場合のいずれにおいても、入力インターフェイス502は、CDSS500を用いて評価を行う時間またはその前に特定の患者に関連する次の入力特徴の1以上を収集するように構成されている。
【0054】
標的の組成に関する情報、標的の密度に関する情報、または標的の大きさに関する情報、すなわち、標的特性510に関する情報、
標的特性の変化512(例えば、標的の組成の変化または密度の変化)に関する情報、
環境条件、
レーザファイバ及び/またはスコープの場所、
医療処置についての情報、
非標的組織の表示、及び/または
患者または実行されている処置に特有のレーザ設定の許容範囲
を含むことができる。
【0055】
上の入力特徴の1以上に基づいて、プロセッサ402は、AIモデルを用いて推論演算を実行して、実装されるべき1以上のレーザ設定の変更、またはユーザに提案されるべき1以上のレーザ設定の推奨される変更を生成する。例えば、入力インターフェイス502は、標的特性、標的特性の判定された変化、及び許容されるレーザ設定の範囲をAIモデルの入力層内へ配送することができ、これはAIモデルを通して出力層にこれらの入力特徴を伝播する。AIモデルは、明示的にプログラムされることなく、データの分析において見いだされたパターンに基づいて推論を行うことによって、タスクを実行する能力をコンピュータシステムに提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習して新たなデータについての予測を行うことができるアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究及び構造を探究する。このようなアルゴリズムは、出力または評価として表されるデータ駆動予測または決定を行うために例の訓練データからAIモデルを構築することによって動作する。
【0056】
機械学習(ML)には、教師ありML及び教師なしMLという2つの共通モードがある。教師ありMLは事前の知識(例えば、入力を出力または結果に相関させる例)を用いて入力と出力との間の関係を学習する。教師ありMLの目標は、何らかの訓練データがあれば、訓練入力と出力との間の関係を最良に近似する関数を学習し、MLモデルが、入力を与えられたときに同じ関係を実装して対応する出力を生成することができるようにすることである。教師なしMLは、分類も標識もされない情報を用いるMLアルゴリズムの訓練であり、アルゴリズムがガイダンスなしでその情報に対して作用することが可能になっている。教師なしMLは、データにおける構造を自動的に識別することができるため、探索的分析において有用である。
【0057】
教師ありMLのためのいくつかのタスクは分類問題及び回帰問題である。分類問題は、カテゴリ付け問題とも呼ばれ、複数の項目をいくつかのカテゴリ値の1つに分類すること(例えば、この物体はりんごかオレンジか)を目的とする。回帰アルゴリズムはいくつかの項目を定量化することを目的とする(例えば、何らかの入力の値にスコアを提供することによって)。一般的に用いられる教師ありMLのアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列因子分解、及びサポートベクターマシン(SVM)である。
【0058】
教師なしMLのためのいくつかのタスクは、クラスタリング、表現学習、及び密度推定を含む。教師なしMLのアルゴリズムのいくつかの例は、K平均クラスタリング、主成分分析、及びオートエンコーダである。
【0059】
MLの別のタイプは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイスにわたってアルゴリズムを訓練する連合学習(協調学習とも呼ばれる)である。このアプローチは、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる集中型機械学習技術とも、ローカルデータサンプルが等しく分配されることがしばしば想定されるより古典的な分散的なアプローチとも対照的である。連合学習により多数の行為者がデータを共有することなく共通の、堅牢な機械学習モデルを構築することが可能になり、したがってデータプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権及び異種データへのアクセスのような重要な問題に対処することが可能になる。
【0060】
いくつかの例において、AIモデルは、プロセッサ402による推論演算の実行前に連続的または周期的に訓練することができる。次いで、推論演算中、AIモデルに提供された患者特有の入力特徴を入力層から、1以上の隠れ層を通して、そしてレーザ設定の1以上に対する変更に対応する出力層へと最終的に伝播させることができる。例えば、標的が腎臓結石であるとき、石の特性及び標的特性の判定された変化(例えば、石の組成の変化)に基づいて、レーザ強度及び/または周波数のようなレーザ設定の変更を出力層に伝播させることができる。
【0061】
推論演算中及び/またはその後、レーザ設定の変更はユーザインターフェイス(UI)を介してユーザに伝達され、及び/または自動的にプロセッサ402にレーザ設定を自動的に調整させ、新たな設定を用いてレーザ処置を進行させることができる。
【0062】
付記及び例
例1は、プロセッサと、プロセッサに結合されたユーザインターフェイスと、プロセッサに結合されたメモリと、を含むレーザシステムであり、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、レーザシステムの第1のレーザが動作することができる第1のレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を受け取らせ、少なくとも1つの設定の提案される更新値を決定させ、提案される更新値が受け取られた範囲内にあるかどうかを判定させ、ユーザインターフェイスを介して、(i)提案される更新値の表示、及び(ii)ユーザが少なくとも1つの設定についての提案される更新値を受諾または拒絶するための選択肢、を提供させ、そして所定の時間内にユーザによって提案される更新値が受諾されること、または提案される更新値が拒絶されないことに応答して、提案される更新値に基づいて少なくとも1つの設定を調整させる、命令を格納するように構成されている。
【0063】
例2において、例1の主題は、命令がプロセッサに、ユーザによる提案される更新値の受諾を受け取った、または拒絶を受け取らなかった後、第1のレーザを一時的に無効にさせることを任意選択で含む。
【0064】
例3において、例1~2のいずれか1以上の主題は、命令がプロセッサに、提案される更新値を示している間、提案される更新値に基づく少なくとも1つの設定の調整及び提案される更新値のユーザの拒絶のうちの少なくとも一方まで、第1のレーザの放出を一時的に無効にさせることを任意選択で含む。
【0065】
例4において、例1~3のいずれか1以上の主題は、命令がプロセッサに、第1の時間で標的の特性を判定させ、第2の時間で標的の特性の変化を判定させ、そして第2の時間での標的の特性の変化に基づいて少なくとも1つの設定の提案される更新値を決定させることを任意選択で含む。
【0066】
例5において、例1~4のいずれか1以上の主題は、命令がプロセッサに、標的からレーザファイバの距離、及び、レーザシステムに接続されたスコープもしくはレーザファイバの少なくとも1つがある器官の一部内のレーザファイバの位置のうちの少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの設定の提案される更新値を決定させることを任意選択で含む。
【0067】
例6において、例1~5のいずれか1以上の主題は、命令がプロセッサに、プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件に基づいて少なくとも1つの設定の提案される更新値を決定させることを任意選択で含む。
【0068】
例7において、例6の主題は、センサが、温度センサ、圧力センサ、または加速度計の1以上を含むことを任意選択で含む。
【0069】
例8において、例1~7のいずれか1以上の主題は、少なくとも1つの設定が、第1のレーザによって発せられるエネルギーの量を含み、少なくとも1つの設定が、第1のレーザのレーザ光またはレーザ放射の強度、第1のレーザの波長、第1のレーザのパルス幅、または第1のレーザのデューティサイクルの1以上を含むことを任意選択で含む。
【0070】
例9において、例1~8のいずれか1以上の主題は、追加の表示を提供するフィードバック機構を任意選択で含み、追加の表示はユーザに警告を提供し、フィードバック機構は、触覚フィードバック機構、照明フィードバック機構、または可聴式フィードバック機構の1以上を含む。
【0071】
例10において、例9の主題は、ユーザへの警告が、第1のレーザの少なくとも1つの設定が範囲の上限の閾値量内にあること、及び、提案される更新値が決定されたことのうちの少なくとも1つをユーザに警告することを任意選択で含む。
【0072】
例11において、例9~10のいずれか1以上の主題は、照明フィードバック機構が、標的に向かって発せられるユーザ可視標的照明ビームの特性を変更することを含むことを任意選択で含む。
【0073】
例12において、例1~11のいずれか1以上の主題は、提案される更新値の受諾が、音声コマンド、またはレーザシステムに接続されたハンドピース上のボタンまたはスイッチ、またはレーザシステムに接続されたフットスイッチを含む作動部材の作動を通して開始されることを任意選択で含む。
【0074】
例13において、例1~12のいずれか1以上の主題は、範囲及び範囲の限界の少なくとも一方が、レーザシステムに接続されたスコープまたはレーザファイバの少なくとも1つがある器官の一部、レーザシステムに含まれるレーザファイバのタイプ、及び、レーザシステムが用いられる医療処置のタイプのうちの少なくとも1つに基づいて決定されることを任意選択で含む。
【0075】
例14において、例13の主題は、器官の一部が、スコープに接続された撮像デバイスからの画像に対して実行される画像認識技術に基づいて判定されることを任意選択で含む。
【0076】
例15において、例13~14のいずれか1以上の主題は、レーザシステムが、患者情報を含むデータベースに通信可能に結合され、医療処置のタイプがデータベースにおける患者情報から判定されることを任意選択で含む。
【0077】
例16において、例1~15のいずれか1以上の主題は、レーザシステムが第1のレーザとは異なるタイプの第2のレーザを含み、命令がプロセッサに、第2のレーザが動作することができる第2のレーザの少なくとも1つの設定のための第2の範囲を受け取らせ、第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値を決定させ、第2の提案される更新値が受け取られた第2の範囲内にあるかどうかを判定させ、ユーザインターフェイスを介して、(iii)第2の提案される更新値の表示、及び(iv)第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値を受諾または拒絶する選択肢、を提供させ、第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値の受諾に応答して、第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値に基づいて第2のレーザの少なくとも1つの設定を調整させ、プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件、レーザシステムに接続されたレーザファイバ及びスコープの少なくとも一方がある器官の一部、及び、レーザシステムが用いられる医療処置のタイプのうちの少なくとも1つに基づいて、第1のレーザ及び第2のレーザのうちの一方を選択させ、そして環境条件の変化、器官の一部の変化、または医療処置の変更に基づいて、第1のレーザ及び第2のレーザのうちの他方に選択的に切り替えさせることを任意選択で含む。
【0078】
例17において、例16の主題は、所定の時間内に第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値が拒絶されないことに応答して、第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値に基づいて第2のレーザの少なくとも1つの設定を調整することを任意選択で含む。
【0079】
例18において、例16~17のいずれか1以上の主題は、所定の時間内に第2のレーザの少なくとも1つの設定の第2の提案される更新値が拒絶されないことに応答して、第2のレーザの少なくとも1つの設定に対する調整を中止することを任意選択で含む。
【0080】
例19は、レーザシステムの自動調整のためのコンピュータ実装方法であり、この方法は、コンピュータ実装プロセッサを用いて、レーザシステムに含まれるレーザの少なくとも1つの設定のための範囲を決定するステップと、コンピュータ実装プロセッサを用いて、少なくとも1つの設定を調整する必要性を判定するステップと、少なくとも1つの設定の更新値の表示をユーザインターフェイス上に提供するステップと、コンピュータ実装プロセッサを用いて、更新値が範囲内にあるかどうかを確認するステップと、コンピュータの制御回路を介して、レーザの放出を無効にするステップと、レーザが無効である間、制御回路を介して、レーザの少なくとも1つの設定を少なくとも1つの設定の更新値に調整するステップと、レーザの少なくとも1つの設定の調整後にレーザの放出を再開するステップと、を含む。
【0081】
例20において、例19の主題は、少なくとも1つの設定を調整する必要性を判定するステップが、標的の特性、標的の特性の変化、標的からレーザファイバの距離、レーザファイバの位置、及び、レーザシステムに結合されたセンサによって測定される環境条件のうちの少なくとも1つに基づいており、範囲の上限が、レーザシステムに接続されたスコープがある器官の一部、レーザシステムに含まれるレーザファイバのタイプ、及び、レーザシステムが用いられる医療処置のうちの少なくとも1つに基づいて決定されることを任意選択で含む。
【0082】
例21は、プロセッサと、プロセッサに結合されたユーザインターフェイスと、プロセッサに結合されたメモリと、を含むレーザシステムであり、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、レーザシステムの第1のレーザが自動的に調整することができる第1のレーザの少なくとも1つの設定のための第1の範囲を受け取らせ、レーザシステムの第2のレーザが自動的に調整することができる第2のレーザの少なくとも1つの設定のための第2の範囲を受け取らせ、第1のレーザの少なくとも1つの設定についての提案される更新値または第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値の少なくとも1つを決定させ、第1のレーザの少なくとも1つの設定についての提案される更新値が第1の範囲内にあるかどうかを判定させ、第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値が第2の範囲内にあるかどうかを判定させ、ユーザインターフェイスを介して、(i)第1のレーザの少なくとも1つの設定についての提案される更新値及び第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値のうちの少なくとも一方の表示、及び(ii)第1のレーザの少なくとも1つの設定についての提案される更新値及び第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値のうちの少なくとも一方を受諾または拒絶する選択肢、を提供させ、そして提案される更新値及び第2の提案される更新値のうちの少なくとも一方の受諾に応答して、第1のレーザの少なくとも1つの設定及び第2のレーザの少なくとも1つの設定のうちの少なくとも一方を調整させる、命令を格納するように構成されている。
【0083】
例22において、例21の主題は、所定の期間内にユーザによって提案される更新値及び第2の提案される更新値のうちの少なくとも一方が拒絶されないことに応答して、命令がプロセッサに、第1のレーザの少なくとも1つの設定及び第2のレーザの少なくとも1つの設定のうちの少なくとも一方を調整させることを任意選択で含む。
【0084】
例23において、例21~22のいずれか1以上の主題は、所定の期間内にユーザによって提案される更新値及び第2の提案される更新値のうちの少なくとも一方が拒絶されないことに応答して、命令がプロセッサに、第1のレーザの少なくとも1つの設定及び第2のレーザの少なくとも1つの設定のうちの少なくとも一方の調整を中止させることを任意選択で含む。
【0085】
例24において、例21~23のいずれか1以上の主題は、第1のレーザの少なくとも1つの設定についての提案される更新値が第1の範囲内にあり、第2のレーザの少なくとも1つの設定についての第2の提案される更新値が第2の範囲内にあり、命令がプロセッサに、プロセッサに結合されたセンサによって測定される環境条件、レーザシステムに接続されたスコープがある器官の一部、またはレーザシステムが用いられる医療処置の少なくとも1つに基づいて、第1のレーザ及び第2のレーザのうちの一方を選択させ、そして環境条件の変化、器官の一部の変化、または医療処置の変更に基づいて、第1のレーザ及び第2のレーザのうちの他方に選択的に切り替えさせることを任意選択で含む。
【0086】
本書において、「a」または「an」という用語は、特許文献において普通であるように、「少なくとも1つ」または「1以上」の任意の他の例または用法から独立して、1または1より多くを含むように使用される。本書において、「または」という用語は、そうでないことが示されていなければ、非排他性を指し、または「AまたはB」が「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、及び「A及びB」を含むように使用される。添付の請求項において、「including」及び「in which」という用語は、それぞれの用語「comprising」及び「wherein」の平易な英語の同義語として使用される。また、次の請求項において、「including」及び「comprising」という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項においてこのような用語の後に列挙されたものに加えていくつかの要素を含むシステム、デバイス、物品、またはプロセスは依然としてその請求項の範囲内に入ると見なされる。また、次の請求項において、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などという用語は単に符号として使用され、これらの物に番号的要件を課すように意図されない。
【0087】
上の説明は例示的であるように意図され、限定的ではない。例えば、上述の例(またはその1以上の態様)は互いに組み合わせて使用することができる。例えば上の説明を検討した当業者によって、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするものであり、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないであろうという理解で提出される。また、上の詳細な説明において、さまざまな特徴を一緒にグループ化して開示を合理化することができる。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は決して特定の開示された一実施形態のすべての特徴にあるわけではない。このように、次の請求項はここで詳細な説明に組み込まれ、それぞれの請求項は別個の実施形態としてそれ自体で有効である。実施形態の範囲は、添付の請求項を、このような請求項に権利がある均等物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0088】
100 システム、102 外科用レーザ、104 グラフィカルユーザインターフェイス、106 アブレーションレーザ、108 プローブレーザ、110 光学スプリッタ、112 プロセッサ、114 コントローラ、116 光ファイバ、118 外科用ファイバ、120 光コネクタ、122 外科用ファイバアクチュエータ、124 スコープ、126 標的、128 発光、130 反射光、132 光検出器、400 マシン、402 ハードウェアプロセッサ、404 メインメモリ、406 スタティックメモリ、408 ストレージデバイス、410 表示ユニット、412 英数字入力デバイス、414 ユーザインターフェイス(UI)ナビゲーションデバイス、416 センサ、418 信号生成デバイス、420 ネットワークインターフェイスデバイス、422 機械可読媒体、424 命令、428 出力コントローラ、430 インターリンク、500 臨床意思決定支援システム、502 入力インターフェイス、504 人工知能(AI)モデル、510 標的特性、512 標的特性の変化
【外国語明細書】