(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167035
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】MEMSセンサーパッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20231116BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20231116BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20231116BHJP
H04R 19/04 20060101ALN20231116BHJP
H04R 31/00 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
H04R1/02 108
B81B3/00
B81C3/00
H04R19/04
H04R31/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077860
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊隆
【テーマコード(参考)】
3C081
5D017
5D021
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA18
3C081BA22
3C081BA31
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA77
3C081CA32
3C081DA31
3C081EA03
3C081EA21
5D017BC15
5D021CC19
5D021CC20
(57)【要約】
【課題】作製時における作業効率に優れ、且つ、高い信頼性を得ることが可能なMEMSセンサーパッケージを提供する。
【解決手段】MEMSセンサーパッケージ1は、基板10と、基板10の表面11に接着された環状のドライフィルムパターン61と、空洞部24と重なるよう筒状の支持体21に支持された検出部Sを含むMEMSセンサーチップ20とを備える。MEMSセンサーチップ20は、支持体21の環状の実装面がドライフィルムパターン61に接着されることにより基板10に固定されている。このように、環状のドライフィルムパターン61を用いてMEMSセンサーチップ20を基板10に接着していることから、高い信頼性を得ることが難しい液状の接合材や、ハンドリングの難しいダイアタッチ材を用いる必要がない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の表面に接着された環状の第1のドライフィルムパターンと、
筒状の支持体と、前記支持体の空洞部と重なるよう前記支持体に支持された検出部とを含むMEMSセンサーチップと、を備え、
前記MEMSセンサーチップは、前記支持体の環状の実装面が前記第1のドライフィルムパターンに接着されることにより、前記基板に固定されていることを特徴とするMEMSセンサーパッケージ。
【請求項2】
前記基板は貫通孔を有しており、前記第1のドライフィルムパターンは平面視で前記貫通孔を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサーパッケージ。
【請求項3】
前記第1のドライフィルムパターンの弾性率は、10MPa以上、1GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサーパッケージ。
【請求項4】
前記基板の前記一方の表面に接着された第2のドライフィルムパターンと、
前記第2のドライフィルムパターンを介して前記基板の前記一方の表面に搭載されたコントローラICと、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のMEMSセンサーパッケージ。
【請求項5】
基板の一方の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼り付ける第1の工程と、
前記感光性ドライフィルムレジストに対して露光及び現像を行うことによって、環状の第1のドライフィルムパターンを形成する第2の工程と、
筒状の支持体と、前記支持体の空洞部と重なるよう前記支持体に支持された検出部とを含むMEMSセンサーチップを用意し、前記支持体の環状の実装面を前記第1のドライフィルムパターンに接着する第3の工程と、
前記第1のドライフィルムパターンを硬化させる第4の工程と、を備えることを特徴とするMEMSセンサーパッケージの製造方法。
【請求項6】
前記第2の工程においては、前記第1のドライフィルムパターンと同時に第2のドライフィルムパターンを形成することを特徴とする請求項5に記載のMEMSセンサーパッケージの製造方法。
【請求項7】
前記第2の工程を行った後、前記第4の工程を行う前に、前記第2のドライフィルムパターンにコントローラICを接着する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のMEMSセンサーパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMSセンサーパッケージ及びその製造方法に関し、特に、基板にMEMSセンサーチップが搭載された構造を有するMEMSセンサーパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロフォンなどのMEMSセンサーチップを備えたMEMSセンサーパッケージが実用化されている。通常のMEMSセンサーパッケージにおいては、基板にMEMSセンサーチップが搭載され、ボンディングワイヤなどを用いてMEMSセンサーチップと基板が相互に接続される。ここで、特許文献1に記載された例では、接合材によってMEMSセンサーチップが基板に固定されている。また、特許文献2に記載された例では、ダイアタッチ材によってMEMSセンサーチップが基板に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4505035号公報
【特許文献2】特開2012-090332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的なICチップとは異なり、マイクロフォンなどのMEMSセンサーチップは、実装面である基材の裏面に空洞部が設けられていることから、基板との接着において種々の問題が生じる。例えば、液状の接合材を硬化させることにより接着する方法では、接合材を設計通りの厚さに調整することが困難であり、場合によっては基板に対してMEMSセンサーチップに傾きが生じてしまう。また、液状の接合材の量が過剰であると、流れ出した接合材が基板の表面上のボンディングパッドやランドパターンに達したり、基板に設けられた貫通孔の内部に接合材が流れ込んだりするおそれもある。このため、液状の接合材を用いて接着する方法では、高い信頼性を得ることが困難であった。一方、ダイアタッチフィルム(ダイアタッチ材)を用いて接着する方法では、ダイアタッチフィルムをあらかじめ環状に加工しておく必要があるとともに、ハンドリングの難しいダイアタッチフィルムを基板の表面の正確な位置に貼り付ける必要があり、作業効率が非常に低下してしまう。
【0005】
したがって、本発明は、作製時における作業効率に優れ、且つ、高い信頼性を得ることが可能なMEMSセンサーパッケージ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるMEMSセンサーパッケージは、基板と、基板の一方の表面に接着された環状の第1のドライフィルムパターンと、筒状の支持体及び支持体の空洞部と重なるよう支持体に支持された検出部を含むMEMSセンサーチップとを備え、MEMSセンサーチップは、支持体の環状の実装面が第1のドライフィルムパターンに接着されることにより基板に固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、環状のドライフィルムパターンを用いてMEMSセンサーチップを基板に接着していることから、高い信頼性を得ることが難しい液状の接合材や、ハンドリングの難しいダイアタッチ材を用いることなく、MEMSセンサーチップを基板に固定することが可能となる。
【0008】
本発明において、基板は貫通孔を有しており、第1のドライフィルムパターンは平面視で貫通孔を囲むように設けられていても構わない。これによれば、貫通孔を介して進入する音波などの物理量をMEMSセンサーチップによって検出することが可能となる。
【0009】
本発明において、第1のドライフィルムパターンの弾性率は、10MPa以上、1GPa以下であっても構わない。これによれば、基板とMEMSセンサーチップの熱膨張係数差に起因する検出部の変形を防止することが可能となる。
【0010】
本発明によるMEMSセンサーパッケージは、基板の一方の表面に接着された第2のドライフィルムパターンと、第2のドライフィルムパターンを介して基板の一方の表面に搭載されたコントローラICとをさらに備えていても構わない。これによれば、基板の表面にMEMSセンサーチップとコントローラICを搭載することが可能となる。
【0011】
本発明によるMEMSセンサーパッケージの製造方法は、基板の一方の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼り付ける第1の工程と、感光性ドライフィルムレジストに対して露光及び現像を行うことによって、環状の第1のドライフィルムパターンを形成する第2の工程と、筒状の支持体及び支持体の空洞部と重なるよう支持体に支持された検出部とを含むMEMSセンサーチップを用意し、支持体の環状の実装面を第1のドライフィルムパターンに接着する第3の工程と、第1のドライフィルムパターンを硬化させる第4の工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、感光性ドライフィルムレジストをフォトリソグラフィ法によってパターニングしていることから、高い作業効率を得ることができるとともに、第1のドライフィルムパターンの位置及び形状の精度を高めることができる。
【0013】
第2の工程においては、第1のドライフィルムパターンと同時に第2のドライフィルムパターンを形成しても構わない。これによれば、作業工程を増やすことなく、第2のドライフィルムパターンを形成することが可能となる。この場合、第2の工程を行った後、第4の工程を行う前に、第2のドライフィルムパターンにコントローラICを接着する工程をさらに備えていても構わない。これによれば、基板の表面にMEMSセンサーチップとコントローラICを搭載することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明によれば、作製時における作業効率に優れ、且つ、高い信頼性を得ることが可能なMEMSセンサーパッケージ及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1の構造を説明するための模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、ドライフィルムパターン61,62の模式的な平面図である
【
図3】
図3は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図4】
図4は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図5】
図5は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図6】
図6は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図7】
図7は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図8】
図8は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図9】
図9は、MEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1は、基板10と、基板10の表面11に搭載されたMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30と、MEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を覆う金属キャップ40とを備えている。
【0019】
基板10は多層配線構造を有しており、複数の絶縁層101~105と複数の導体層110~115を有している。絶縁層101はコア層であり、芯材に樹脂を含浸させたFR4などの材料からなる。絶縁層101の上面及び下面には、それぞれ導体層110,111が設けられている。絶縁層101の上面に設けられた導体層110は、絶縁層102で覆われる。絶縁層102の表面には導体層112が設けられる。導体層112は絶縁層103で覆われ、絶縁層103の表面には導体層113が設けられる。一方、絶縁層101の下面に設けられた導体層111は、絶縁層104で覆われる。絶縁層104の表面には導体層114が設けられる。導体層114は絶縁層105で覆われ、絶縁層105の表面には導体層115が設けられる。絶縁層102~105については、芯材を含まない加工性に優れた樹脂材料によって構成することができる。ここで、最上層に位置する絶縁層103の表面は基板10の表面11を構成し、最下層に位置する絶縁層105の表面は基板10の表面12を構成する。基板10の表面11に設けられた導体層113には、コントローラIC30に接続されるボンディングパッドが含まれる。また、基板10の表面12に設けられた導体層114には、外部端子が含まれる。
【0020】
MEMSセンサーチップ20は、シリコンなどからなる支持体21と、支持体21に支持された検出部Sを有する。支持体21は空洞部24を形成する筒状構造を有しており、検出部Sは、空洞部24と重なるよう支持体21に支持されている。
図1に示す例では、検出部Sがダイアフラム22及びバックプレート23を含んでおり、音波によってダイアフラム22が振動可能に構成されている。本実施形態においては基板10に貫通孔120が設けられており、貫通孔120と空洞部24が重なるよう、MEMSセンサーチップ20が搭載されている。これにより、貫通孔120を介して進入する音波によってダイアフラム22が振動し、これが電気信号に変換される。つまり、本実施形態においては、MEMSセンサーチップ20がマイクロフォンを構成する。但し、MEMSセンサーチップ20がマイクロフォンに限定されるものでなく、他の種類のセンサーであっても構わない。
【0021】
MEMSセンサーチップ20によって生成された電気信号は、ボンディングワイヤ51を介してコントローラIC30に供給される。コントローラIC30は、ボンディングワイヤ52を介して、基板10の表面11に設けられたボンディングパッドに接続される。基板10の表面11には、MEMSセンサーチップ20に直接接続されるボンディングパッドを設けても構わない。
【0022】
金属キャップ40は、MEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を覆うよう、基板10の表面11に設けられている。金属キャップ40は、MEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を保護するとともに、電磁界シールドとしても機能し、さらに、MEMSセンサーチップ20の音響特性を高める役割も果たす。基板10に対する金属キャップ40の固定は、例えばハンダなどの導電性接着材41が用いられる。
【0023】
これに対し、基板10に対するMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30の固定には、それぞれドライフィルムパターン61,62が用いられる。ドライフィルムパターン61は、模式的な平面図である
図2に示すように、平面視で貫通孔120を囲む環状構造を有している。ドライフィルムパターン61は、下面が基板10の表面11に接着され、上面がMEMSセンサーチップ20の支持体21の環状の実装面に接着されている。ドライフィルムパターン62は平面視で矩形状であり、下面が基板10の表面11に接着され、上面がコントローラIC30の裏面に接着されている。ドライフィルムパターン61,62は、いずれも感光性ドライフィルムレジストを露光及び現像することによってパターニングされた膜であり、基板10とMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を相互に接着するともに、両者の熱膨張係数差に起因する応力を緩和する役割を果たす。
【0024】
熱膨張係数差に起因する応力を十分に緩和するためには、ドライフィルムパターン61,62の弾性率が10MPa以上、1GPa以下であることが好ましい。これは、ドライフィルムパターン61,62の弾性率が1GPaを超える硬さを有していると、ドライフィルムパターン61,62の変形が不十分となり、応力が十分に緩和されないからである。一方、ドライフィルムパターン61,62の弾性率が10MPa未満であると、基板10に対するMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30の固定が不十分となるおそれがある。高い信頼性を確保しつつ、熱膨張係数差に起因する応力を十分に緩和するためには、ドライフィルムパターン61,62の弾性率は、500GPa以下であることがより好ましい。
【0025】
また、熱膨張係数差に起因する応力をより効果的に緩和するためには、ドライフィルムパターン61,62の厚さが20μm以上、100μm以下であることが好ましく、厚さの均一性が±20%以下であることが好ましい。さらには、より高い信頼性を確保するためには、20~80℃の環境において、ドライフィルムパターン61,62が0.5N以上、3N以上の接着力を有していることが好ましい。
【0026】
このように、本実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1は、ドライフィルムパターン61,62を用いて基板10にMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を固定していることから、MEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30を設計通りの高さ位置に水平に固定することが可能となる。
【0027】
次に、本実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1の製造方法について説明する。
【0028】
図3~
図9は、本実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1の製造方法を説明するための工程図である。
【0029】
まず、
図3に示すように、多層配線構造を有する基板10を用意し、ドリル加工などの方法を用いて貫通孔120を形成する。次に、
図4に示すように、基板10の表面11に感光性ドライフィルムレジスト60を貼り付ける。感光性ドライフィルムレジスト60としては、硬化後における弾性率が10MPa以上、1GPa以下となる材料を用いることが好ましい。そして、
図5に示すように、マスク70を介して露光した後、現像を行うことによって、
図6に示すようにドライフィルムパターン61,62を形成する。この段階では、ドライフィルムパターン61,62が未硬化であり、高い接着性を有している。また、露光及び現像によってドライフィルムパターン61,62を形成していることから、ダイアタッチ材を貼り付ける方法と比べると、ドライフィルムパターン61,62の位置や形状の精度は非常に高くなる。また、ドライフィルムパターン61とドライフィルムパターン62は同時に形成されることから、両者間の位置関係についても設計通りとすることが可能となる。ドライフィルムパターンの数については特に限定されず、3個以上のドライフィルムパターンを形成しても構わない。この場合であっても、ドライフィルムパターンをフォトリソグラフィ法によって形成していることから、工程数が増えることがない。
【0030】
次に、
図7に示すように、コントローラIC30を用意し、ドライフィルムパターン62上にコントローラIC30を載置することによって両者を接着する。次に、
図8に示すように、MEMSセンサーチップ20を用意し、ドライフィルムパターン61上にMEMSセンサーチップ20を載置することによって両者を接着する。この時、MEMSセンサーチップ20は、支持体21の環状の実装面が環状のドライフィルムパターン61と接するよう載置する。
【0031】
次に、加熱によってドライフィルムパターン61,62を硬化させた後、
図9に示すようにボンディングワイヤ51,52を形成する。加熱によってドライフィルムパターン61,62を硬化させると、室温に戻った際、基板10とMEMSセンサーチップ20及びコントローラIC30の熱膨張係数差によって応力が発生する。特に、MEMSセンサーチップ20は、薄いダイアフラム22を有していることから、強い応力が加わるとダイアフラム22にたわみが発生してしまう。しかしながら、本実施形態においては、硬化後におけるドライフィルムパターン61,62の弾性率がエポキシ樹脂などの一般的な接着材料に比べて低く、好ましくは10MPa以上、1GPa以下であることから、熱膨張係数差に起因する応力がドライフィルムパターン61,62によって吸収される。これにより、ダイアフラム22の変形を防止することが可能となる。
【0032】
そして、ハンダなどの導電性接着材41を用いて基板10の表面11に金属キャップ40を接着した後、破線で示すダイシングライン80に沿って基板10を個片化すれば、本実施形態によるMEMSセンサーパッケージ1が完成する。
【0033】
このように、本実施形態においては、感光性ドライフィルムレジスト60を露光及び現像することによってドライフィルムパターン61,62を形成していることから、高い位置精度を得ることができるとともに、ハンドリングの難しい環状のダイアタッチ材などを用いる必要がないことから高い作業効率を得ることが可能となる。しかも、液状の接合材を用いた場合のように、過剰な接合材が基板10の表面11上のボンディングパッドやランドパターンに達したり、基板10に設けられた貫通孔120の内部に流れ込んだりするおそれもない。これにより、高い作業効率を確保しつつ、信頼性の高いMEMSセンサーパッケージ1を作製することが可能となる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 MEMSセンサーパッケージ
10 基板
11 基板の一方の表面
12 基板の他方の表面
20 MEMSセンサーチップ
21 支持体
22 ダイアフラム
23 バックプレート
24 空洞部
30 コントローラIC
40 金属キャップ
41 導電性接着材
51,52 ボンディングワイヤ
60 感光性ドライフィルムレジスト
61,62 ドライフィルムパターン
70 マスク
80 ダイシングライン
101~105 絶縁層
110~115 導体層
120 貫通孔
S 検出部