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特開2023-167057注意喚起表示を提供する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167057
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】注意喚起表示を提供する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20231116BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077928
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(71)【出願人】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】紙本 斉士
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亮平
(72)【発明者】
【氏名】黛 知也
(72)【発明者】
【氏名】吉羽 進
(72)【発明者】
【氏名】秋本 了
(72)【発明者】
【氏名】大園 智章
(72)【発明者】
【氏名】丸山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】須田 康介
(72)【発明者】
【氏名】大石 怜奈
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 睦実
(72)【発明者】
【氏名】藤田 将史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】ドローン等の無人航空機の立入管理区画を簡単に設定し、立入管理区画のための注意喚起表示を提供する方法および装置を提案する。
【解決手段】本発明の方法では、電力設備情報と地理情報システムソフトウェアから取得した地理空間情報との少なくとも一方に基づいて、ドローンの飛行ルートを作成し、飛行ルートおよび地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定し、立入管理区画のための注意喚起表示を提供し、立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力設備情報と地理情報システムソフトウェアから取得した地理空間情報との少なくとも一方に基づいて、ドローンの飛行ルートを作成し、
前記飛行ルートおよび前記地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定し、
前記立入管理区画のための注意喚起表示を提供する方法であって、
前記立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域である、
方法。
【請求項2】
前記立入管理区画は、ドローンの最大飛行高度を半径とする円錐の底面に対応する領域であり、
円錐の高さを含む断面において、円錐の高さと母線とのなす角は、45度である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電力設備情報および前記地理空間情報に基づいて、前記立入管理区画の外側の直近の電柱を特定し、
前記注意喚起表示は、前記電柱に設置される看板である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記飛行ルートは、鉄塔を結ぶ送電線または電柱を結ぶ配電線に沿う飛行ルートであるか、または、出発地点から到着地点までの任意の飛行ルートである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記飛行ルートが飛行禁止空域を含む場合、前記飛行禁止空域を迂回するように前記飛行ルートを修正する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
注意喚起表示を提供するための装置であって、前記装置は、
電力設備情報を記憶する電力設備情報記憶部と、
地理情報システムソフトウェアから取得された地理空間情報を記憶する地理空間情報記憶部と、
前記電力設備情報と前記地理空間情報との少なくとも一方に基づいて、ドローンの飛行ルートを作成する飛行ルート作成部と、
前記飛行ルートおよび前記地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定する立入管理区画設定部と、
前記立入管理区画のための注意喚起表示を提供する注意喚起表示部と、
を有し、
前記立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域である、
装置。
【請求項7】
前記立入管理区画は、ドローンの最大飛行高度を半径とする円錐の底面に対応する領域であり、
円錐の高さを含む断面において、円錐の高さと母線とのなす角は、45度である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電力設備情報および前記地理空間情報に基づいて、前記立入管理区画の外側の直近の電柱を特定し、
前記注意喚起表示は、前記電柱に設置される看板である、
請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記飛行ルートは、鉄塔を結ぶ送電線または電柱を結ぶ配電線に沿う飛行ルートであるか、または、出発地点から到着地点までの任意の飛行ルートである、
請求項6または7に記載の装置。
【請求項10】
前記飛行ルート作成部は、前記飛行ルートが飛行禁止空域を含む場合、前記飛行禁止空域を迂回するように前記飛行ルートを修正する、
請求項6または7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン等の無人航空機の立入管理区画のための注意喚起表示を提供する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンは、宅配サービス、農薬や肥料の散布、災害調査、報道等さまざまな分野に応用されている。
【0003】
ドローンを飛行させるためには事前にドローンの飛行ルートを作成する必要がある。例えば特許文献1には、地図を参照してドローンの飛行ルートを決定および設定することを可能にするシステムが提案されている。
【0004】
また、補助者を配置せずにドローンを目視外飛行させるためには、ドローンが飛行中に落下しうる範囲として立入管理区画を設定し、立入管理区画に人や車両が立ち入らないように、立入管理区画の外側に看板、カラーコーン(登録商標)等による注意喚起を行うことが無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領により義務付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-117018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
立入管理区画は、ドローンの精度に由来する位置誤差と、ドローンの飛行高度および速度ならびに風の影響を考慮した落下距離と、を合算して設定される。しかしながら、ドローンの飛行箇所ごとに地盤標高および飛行高度が変動するため、飛行箇所ごとに立入管理区画を計算するのは煩雑であり作業量も膨大である。
【0007】
そこで、本発明では、ドローン等の無人航空機の立入管理区画を簡単に設定し、立入管理区画のための注意喚起表示を提供する方法および装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法では、電力設備情報と地理情報システムソフトウェアから取得した地理空間情報との少なくとも一方に基づいて、ドローンの飛行ルートを作成し、
前記飛行ルートおよび前記地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定し、
前記立入管理区画のための注意喚起表示を提供し、
前記立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域である。
【0009】
本発明は、注意喚起表示を提供するための装置であって、前記装置は、
電力設備情報を記憶する電力設備情報記憶部と、
地理情報システムソフトウェアから取得された地理空間情報を記憶する地理空間情報記憶部と、
前記電力設備情報と前記地理空間情報との少なくとも一方に基づいて、ドローンの飛行ルートを作成する飛行ルート作成部と、
前記飛行ルートおよび前記地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定する立入管理区画設定部と、
前記立入管理区画のための注意喚起表示を提供する注意喚起表示部と、
を有し、
前記立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域である。
【0010】
前記立入管理区画は、ドローンの最大飛行高度を半径とする円錐の底面に対応する領域であり、
円錐の高さを含む断面において、円錐の高さと母線とのなす角は、45度であることが好ましい。
【0011】
前記電力設備情報および前記地理空間情報に基づいて、前記立入管理区画の外側の直近の電柱を特定し、
前記注意喚起表示は、前記電柱に設置される看板であることが好ましい。
【0012】
前記飛行ルートは、鉄塔を結ぶ送電線または電柱を結ぶ配電線に沿う飛行ルートであるか、または、出発地点から到着地点までの任意の飛行ルートであることが好ましい。
【0013】
前記飛行ルートが飛行禁止空域を含む場合、前記飛行禁止空域を迂回するように前記飛行ルートを修正することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ドローン等の無人航空機の立入管理区画を簡単に設定し、立入管理区画のための注意喚起表示を提供する方法および装置を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態の方法のフローチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態において、ドローンの飛行ルートおよび立入管理区画を示す図である。
図4】(a)(b)は、立入管理区画の設定を説明するための図である。
図5】立入管理区画の外側の電柱の特定を説明するための図である。
図6】(a)(b)は、電柱に設置する看板の例である。
図7】(a)(b)本発明により設定した立入管理区画に、従来の計算による立入管理区画を重ねて示した図である。
図8】本発明の第2の実施形態の方法のフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態においてドローンの飛行ルートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、さまざまな変形が可能である。
【0017】
図1は、本発明の装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
注意喚起表示を提供するための装置10は、電力設備情報記憶部1と、地理空間情報記憶部2と、情報取得部3と、飛行ルート作成部4と、立入管理区画設定部5と、注意喚起表示提供部6と、を有する。
【0019】
装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、タブレット端末およびスマートフォン等の情報処理装置によって実現することができる。装置10は、ハードウェア資源として、CPU、メモリ、入出力装置および通信インタフェース等を有し、ソフトウェアと協働して動作する。
【0020】
電力会社である出願人は、自身の所有物である鉄塔、送電線および電柱等に関する電力設備情報を保有している。電力設備情報記憶部1は、この電力設備情報を記憶している。
【0021】
電力設備情報は、送電線名称、線路電圧、設備所管箇所組織、支持物名称、集合設備分類(単、併架)、鉄塔の緯度および経度、鉄塔高、鉄塔の海抜高、鉄塔の腕下高、鉄塔の水平角度、鉄塔繋がり先送電線名称、鉄塔繋がり先送電線支持物番号、電柱名称、電柱の緯度、経度、設置道路名等を含む。また、電力設備情報は、この他、任意の情報を含むことができる。
【0022】
地理空間情報記憶部2は、任意の3次元の地理情報システム(GIS)ソフトウェアから取得された地理空間情報を記憶している。
【0023】
地理空間情報は、道路、建物、樹木、河川のような地表面にあるあらゆるものの位置情報(緯度、経度、標高)および人口集中地区上空などの飛行禁止空域に関する情報を含む。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態の方法のフローチャートである。
【0025】
第1の実施形態では、山間部の鉄塔を結ぶ送電線に沿ってドローンを飛行させる場合を検討する。
【0026】
ステップS1において、情報取得部3は、電力設備情報を取得(インポート)し、電力設備情報記憶部1に記憶する。
【0027】
ステップS2において、飛行ルート作成部4は、取得した電力設備情報に基づいて、ドローンの飛行ルート(飛行範囲)を作成する。
【0028】
ステップS3において、情報取得部3は、地理情報システムソフトウェアから地理空間情報を取得し、地理空間情報記憶部2に記憶する。
【0029】
ステップS4において、立入管理区画設定部5は、飛行ルートおよび地理空間情報に基づいて、立入管理区画を設定する。
【0030】
ステップS5において、注意喚起表示提供部6は、立入管理区画のための注意喚起表示を提供する。例えば、注意喚起表示提供部6は、電力設備情報および地理空間情報に基づいて、立入管理区画の外側の直近の電柱を特定する。
【0031】
その後、担当者が現地に行き、特定した電柱に注意喚起表示としての看板を設置する。なお、特定した電柱が看板を設置するのに適当でない場合、立入管理区画外の隣接した電柱等に看板を設置してもよい。
【0032】
図3は、本発明の第1の実施形態において、ドローンの飛行ルートおよび立入管理区画を示す図である。
【0033】
第1の実施形態では、山間部において、鉄塔A1、A2、A3、A4および鉄塔A1、A2、A3、A4を結ぶ送電線Lがあり、この送電線Lに沿ってドローンを飛行させる。
【0034】
例えば、鉄塔A2の地点では、鉄塔A2を中心にほぼ円形の範囲が立入管理区画である。
【0035】
図4(a)(b)は、立入管理区画の設定を説明するための図である。
【0036】
鉄塔A2の頂部の5m上方から30m上方まで、かつ、鉄塔A2を中心に水平方向(図中左右方向)に±60mの空間がドローンの飛行範囲である。
【0037】
5m、30mおよび±60mという数値は一例であるが、ドローンが鉄塔A2の直近を飛行し、鉄塔A2に接触するおそれを回避するために、鉄塔A2から飛行範囲までを5m離すことが好ましい。また、出願人の所有物である鉄塔A2から30m以内の領域では、出願人以外のドローンが飛行するには一定の制約がある(航空局に飛行申請を行い、個別に承認を取得する必要がある)ため、出願人のドローンのみを安全に飛行させるために、飛行範囲の上限を鉄塔A2から30mに設定することが好ましい。水平方向も同様に、鉄塔A2の腕の最大長さが30mであることから、鉄塔A2の中心から±60m以内の領域をドローンの飛行範囲とすることが好ましい。
【0038】
本実施形態では、立入管理区画は、鉄塔A2の中心位置において、ドローンの最大飛行高度(最大対地高度)を半径とする円錐の底面に対応する領域である。この場合、円錐の高さを含む断面において、円錐の高さと母線とのなす角は、45度である。
【0039】
ただし、本実施形態は一例であり、本発明において、立入管理区画は、ドローンの飛行高度を円錐の高さとしたときの円錐の底面に対応する領域であればよく、円錐の高さと母線とのなす角は45度に限定されるものではない。
【0040】
「円錐の底面に対応する領域」とは、図4(a)のように、平地に鉄塔A2が存在する場合、円錐の底面に一致する領域を意味する。
【0041】
ただし、図4(b)のように、傾斜地に鉄塔A2が存在する場合、「円錐の底面に対応する領域」とは、円錐の母線と地表とが交わる点(図中X1、X2)を全周にわたって接続した線により囲まれる領域を意味する。
【0042】
このように、本発明では、ドローンの飛行高度と、円錐の母線と地表とが交わる点における地盤標高と、を用いることにより、簡単な計算で立入管理区画を設定することができる。
【0043】
鉄塔A2を中心に立入管理区画を設定したように、飛行ルートである送電線Lに沿って所定間隔(例えば5m間隔)で立入管理区画を設定し、各立入管理区画を重ね合わせると図5のようになる。
【0044】
図5は、立入管理区画の外側の電柱の特定を説明するための図である。
【0045】
円の中心より円の周辺の地盤標高が低いと円は大きくなり、一方、円の中心より円の周辺の地盤標高が高いと円は小さくなる。また、真円ではなく歪んだ円は、その円の領域が平地ではないことを意味する。
【0046】
図5に示すように、立入管理区画を横切るように道路が存在し、道路には電柱B1、B2、・・・、B17が存在する。上述したように、電力設備情報記憶部1は、電柱B1、B2、・・・、B17に関する情報を記憶しているため、この情報および地理空間情報に基づいて、立入管理区画の外側で立入管理区画に最も近い電柱B8およびB15を特定し、電柱B8およびB15に看板を設置する。
【0047】
なお、電柱が存在しないということは、街路灯もなく不特定多数が通行する道路ではない蓋然性が高いことを意味し、看板を用いて広くあまねく道路利用者に注意喚起を行う必要はない。それゆえ、本発明では、電柱が存在しないところに注意喚起を行う必要はないということを前提としている。電柱が存在しない道路は狭小な山道や田畑の中のあぜ道などに多く、特定の近隣住民のみが通行する蓋然性が高いことから、自治体や自治会を通じた周知など、より伝達性が高い手段を用いる。
【0048】
図5の場合、表示された範囲には電柱B1、B2、・・・、B17しか存在しないが、他にも電柱が存在する場合には、この電柱に関しても看板を設置すべきか否かを検討する。
【0049】
図6(a)(b)は、電柱に設置する看板の例である。
【0050】
図6(a)に示すように、看板は電柱広告を活用してもよい。
【0051】
また、図6(b)に示すように、地域貢献型広告として、注意喚起表示を広告面に配置し、周知スペースを設けてもよい。
【0052】
なお、図示例の看板は、出願人のドローンが送電線の点検を行うことを表示しているが、出願人以外がドローンを飛行させる場合には、その用途に応じた表示を行う。
【0053】
看板を設置する箇所は、電力会社の電柱に限定されるものではなく、電話会社の電柱、掲示板、ガードレール、家屋の塀または壁、樹木でもよい。また、看板を設置する代わりに、路面標示(路面に設けられる塗装)により注意喚起を行ってもよい。
【0054】
図7(a)(b)は、本発明により設定した立入管理区画に、従来の計算による立入管理区画を重ねて示した図である。
【0055】
図7(a)に示すように、ドローンが飛行中に落下する場合、水平方向の距離が最長となるのは、ドローンが飛行範囲の最高高度かつ水平方向端である点Pで飛行している場合である。この点Pにおいて、風の影響および機体の影響を考慮して、高度200mを飛行するケースで計算した結果、水平方向最長距離は、鉄塔A2の中心位置から180mの地点P1(点Pからの水平距離は120m)であることが分かった。
【0056】
風の影響とは、ドローンの進行方向に平行に風が吹いた場合および進行方向に直角に風が吹いた場合の影響のことであり、計算では、両者のうち落下範囲が大きい前者の場合の影響を考慮している。
【0057】
機体の影響とは、ドローンの機体の種類によって異なる空気抵抗の影響のことであり、空気抵抗が小さい機体ほど落下範囲が大きいため、計算では、空気抵抗が最小の機体を考慮している。
【0058】
図7(a)に示すように、本発明の方法により設定した立入管理区画は、従来の計算による立入管理区画を含む(地表において、円錐の母線と地表とが交わる点XはP1の外側にある)。それゆえ、本発明の方法により、簡単な計算で立入管理区画を設定できることが分かる。
【0059】
ただし、図7(b)に示すように、鉄塔A2のそばに崖があるような場合、円錐の母線と地表とが交わる点XはP1の内側に存在する。このように、本発明の方法により設定した立入管理区画が、計算による立入管理区画より狭い場合、エラーを返し、該当部分のみは、計算によって立入管理区画を設定することが好ましい。これにより、平地だけでなく丘陵地帯においても、立入管理区画を確実に設定することができる。
【0060】
図7(b)の例では、本発明の立入管理区画を設定するための線(円錐の母線)と計算による落下範囲の線との交点Qは、鉄塔A2の中心位置から150mであるため、この数値を閾値とすることができる。なお、閾値は、鉄塔の高さ(地表からの飛行高度)をパラメータとして用いて、適宜設定することができる。
【0061】
従来の計算により立入管理区画を求める方法の一例を説明する。
【0062】
ドローンの速度について、飛行中の落下距離を求めるパターンとして、以下のケース1、2が存在し、それぞれの落下範囲に基づき、立入管理区画を設定する。
【0063】
ケース1は、ドローンが飛行範囲の最高高度かつ水平方向端である点Pにおいて、速度10m/sで飛行している際に、進行方向に平行に8m/sの風が吹いたときに、ドローンが落下する場合である。
【0064】
水平の移動距離xは、風が吹いたときからの時間をtとすると、
x(t)=(mv_0)k(1-e^(-k/mt))
を用いて求められる。ここで、空気抵抗係数kについては、D=kv^2であり、抗力係数C_dについては、C_d=D/(1/2ρv^2S)であるので、k=1.875となる。
【0065】
また、落下方向の移動距離yは、
y(t)=m/k{m/kg(1-e^(-k/mt))-gt}+y_0
を用いて求められる。ここで、y=0になる(地面に墜落する)時間tにおけるxを求めると、x≒62となる。この結果に、異常発生から緊急停止機能が作動するまでの時間(2秒)に移動する距離36mおよび位置誤差5mを加算すると、点Pにおける立入管理区画は、点Pを中心とした半径103mの範囲となる。
【0066】
ケース2は、ドローンが飛行範囲の最高高度かつ水平方向端である点Pにおいて、速度10m/sで飛行している際に、進行方向に直角に8m/sの風が吹いたときに、ドローンが落下する場合である。
【0067】
ケース1と同様に移動距離xを求めると、x≒35となった。この結果に、位置誤差5mを考慮すると、点Pにおける立入管理区画は、点Pを中心とした半径40mの範囲となる。
【0068】
このように、従来の計算は煩雑であり、飛行箇所ごとに立入管理区画を計算するのは作業量も膨大であることが分かる。
【0069】
以下、図8および図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0070】
図8は、本発明の第2の実施形態の方法のフローチャートであり、図9は、本発明の第2の実施形態においてドローンの飛行ルートを示す図である。
【0071】
第2の実施形態では、出発地点C1から到着地点C2までドローンを飛行させる場合を検討する。
【0072】
ステップS1において、情報取得部3は、電力設備情報を取得し、電力設備情報記憶部1に記憶する。
【0073】
ステップS2において、情報取得部3は、地理情報システムソフトウェアから地理空間情報を取得し、地理空間情報記憶部2に記憶する。
【0074】
ステップS3において、飛行ルート作成部4は、取得した地理空間情報に基づいて、出発地点C1から到着地点C2までの最短ルート(図9の破線)でドローンの飛行ルートを作成する。
【0075】
ステップS4において、飛行ルート作成部4は、取得した地理空間情報に基づいて、ドローンの飛行ルートを修正する。
【0076】
図9に示すように、出発地点C1から到着地点C2までの最短飛行ルートが人口集中地区の上空である飛行禁止空域Kを含むので、この飛行禁止空域Kを迂回するようにドローンの飛行ルートを修正する(破線を実線に修正する)。
【0077】
ステップS5、S6は、上述した第1の実施形態のステップS4、S5の場合と同一である。
【0078】
なお、飛行ルートは、第1の実施形態の鉄塔を結ぶ送電線に沿う飛行ルートおよび第2の実施形態の出発地点から到着地点までの任意の飛行ルートの他、電柱を結ぶ配電線に沿う飛行ルートとすることもできる。
【符号の説明】
【0079】
1 電力設備情報記憶部
2 地理空間情報記憶部
3 情報取得部
4 飛行ルート作成部
5 立入管理区画設定部
6 注意喚起表示提供部
10 装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9