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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167061
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ドリルビット
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B23B51/00 P
B23B51/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077934
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】591057441
【氏名又は名称】アネックスツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】兼古 耕一
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037DD05
3C037FF02
3C037FF06
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来にない非常に実用性の高いドリルビットを提供することを目的とする。
【解決手段】ドリル部1と電動回動具50に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部2とから成るドリルビットであって、前記シャンク部2には、当該シャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3が被嵌連結されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル部と電動回動具に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部とから成るドリルビットであって、前記シャンク部には、当該シャンク部に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項2】
請求項1記載のドリルビットにおいて、前記シャンク部の先端部には径小部が設けられ、この径小部に前記摘まみ体が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項3】
請求項2記載のドリルビットにおいて、前記径小部の周面には係止部が設けられ、前記摘まみ体の内面には前記係止部と凹凸係合する被係止部が設けられ、前記係止部と前記被係止部との凹凸係合により前記摘まみ体は抜け止め状態で保持されるように構成されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項4】
請求項1記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は前記シャンク部よりも径大であり、前記摘まみ体の外周面には平坦部が設けられていることを特徴とするドリルビット。
【請求項5】
請求項2記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は前記シャンク部よりも径大であり、前記摘まみ体の外周面には平坦部が設けられていることを特徴とするドリルビット。
【請求項6】
請求項3記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は前記シャンク部よりも径大であり、前記摘まみ体の外周面には平坦部が設けられていることを特徴とするドリルビット。
【請求項7】
請求項4~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記平坦部には前記ドリル部のドリル径寸法が表示されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項8】
請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体の周面部には、前記シャンク部の長さ方向と交差する方向に長さを有する複数の凸条が並設されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項9】
請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は合成樹脂製であることを特徴とするドリルビット。
【請求項10】
請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は所定のドリル径寸法に対応して所定の色に設定されていることを特徴とするドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルビットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動回動具を用いたビス止め作業に際して、予めビス止め部位に下穴を形成するためのものとして、特許文献1に開示されるドリルビット(以下、従来例という。)が提案されている。
【0003】
この従来例は、ドリル部と電動回動具に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部とから成り、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具にシャンク部を差込み連結した状態とし、電動回動具を作動させることで回動するドリル部によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具から従来例を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。作業性からすれば、この下穴形成作業を行わずにビス止め作業を行うのが望ましいが、下穴無しにビス止めするとビス止め部位が割れてしまう場合がある為、まずは下穴形成作業を行ってからビス止め作業するケースが多く、よって、この下穴形成作業を終えたら直ちにドリルビットに取り替えてビス止め作業を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3218682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例を用いて下穴を形成した場合、ビス止め部位との摩擦熱により、従来例は素手では触れられないほど熱くなり、電動回動具から直ちに取り外せないという問題点がある。
【0006】
本発明は、前述した問題点を鑑みてなされたものであり、従来にない非常に実用性の高いドリルビットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ドリル部1と電動回動具50に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部2とから成るドリルビットであって、前記シャンク部2には、当該シャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0009】
また、請求項1記載のドリルビットにおいて、前記シャンク部2の先端部には径小部2aが設けられ、この径小部2aに前記摘まみ体3が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0010】
また、請求項2記載のドリルビットにおいて、前記径小部2aの周面には係止部4が設けられ、前記摘まみ体3の内面には前記係止部4と凹凸係合する被係止部5が設けられ、前記係止部4と前記被係止部5との凹凸係合により前記摘まみ体3は抜け止め状態で保持されるように構成されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0011】
また、請求項1記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は前記シャンク部2よりも径大であり、前記摘まみ体3の外周面には平坦部3aが設けられていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0012】
また、請求項2記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は前記シャンク部2よりも径大であり、前記摘まみ体3の外周面には平坦部3aが設けられていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0013】
また、請求項3記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は前記シャンク部2よりも径大であり、前記摘まみ体3の外周面には平坦部3aが設けられていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0014】
また、請求項4~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記平坦部3aには前記ドリル部1のドリル径寸法が表示されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0015】
また、請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3の周面部には、前記シャンク部2の長さ方向と交差する方向に長さを有する複数の凸条6が並設されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0016】
また、請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は合成樹脂製であることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0017】
また、請求項1~6いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は所定のドリル径寸法に対応して所定の色に設定されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、電動回動具への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができるなど、従来にない非常に実用性の高いドリルビットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す分解斜視図である。
図3】本実施例の要部の斜視図である。
図4】本実施例の要部を説明する断面図である。
図5】本実施例の要部の説明図である。
図6】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
例えば、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具50にシャンク部2を差込み連結した状態とし、電動回動具50を作動させることで回動するドリル部1によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具50から本発明を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具50を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。
【0022】
この下穴形成作業の直後に電動回動具50から本発明を取り外す際、シャンク部2が熱くなってもシャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3を指で摘まんで電動回動具50から引き抜くことができる。
【0023】
従って、下穴形成作業の後、直ちに電動回動具50から本発明を取り外してドライバービットに取り替えることができるなど、電動回動具50への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができる。
【実施例0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、ドリル部1と電動回動具50に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部2とから成るドリルビットであって、シャンク部2には、当該シャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3が被嵌連結されたものである。
【0026】
尚、本実施例を使用する電動回動具50は、本体部50aの先端部にシャンク部2を差込み連結するビット連結部50bを有する公知構造のものであり、このビット連結部50b内には差込んだシャンク部2の凹溝2bに抜け止め係止する図示省略の係止部材(球体)が設けられている。
【0027】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0028】
ドリル部1は、図1,2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、所定径を有する断面円形状にして先細り形状の軸状部材の先端部に切削刃1a(錐部)を設けると共に、この切削刃1aから基端側に一対の螺旋溝1b(切り屑排出部)を形成して構成されている。
【0029】
尚、本実施例はドリルビットとして下穴形成用ドリル(キリ)を採用しているが、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0030】
シャンク部2は、図1,2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、所定径を有する断面六角形状の軸状部材の先端部に、先端から軸方向所定位置まで延設される連結孔2cが形成され、この連結孔2cには前述したドリル部1の基端部が篏入連結される先端筒状のホルダー構造体である。
【0031】
また、このシャンク部2の基端側周面部位にして電動回動具50の連結部50a内に差込む部位(後述する非差込み連結部位以外の部位)には凹溝2bが形成され、この凹溝2bは、電動回動具50の連結部50aの球体に対して抜け止め係止するためのものである。
【0032】
また、シャンク部2の先端部にして電動回動具50に対する非差込み連結部位には、後述する摘まみ体3が被嵌連結されている。
【0033】
具体的には、シャンク部2の先端部に径小部2aが設けられ、この径小部2aは先端側が開放する凹段形状であり、この径小部2aに摘まみ体3が先端側から被嵌連結されている。
【0034】
この径小部2aの周面には周方向に長さを有する凸条から成る係止部4が設けられ、この係止部4は、後述する摘まみ体3の被係止部5が乗り越え凹凸係合することで摘まみ体3を抜け止め状態で保持するためのものである。
【0035】
摘まみ体3は、図1~5に図示したように適宜な合成樹脂製の部材(シャンク部2に比して熱伝導率が低い例えばポリプロピレンなどの低熱伝導率素材)で形成した筒状体であり、前述したシャンク部2よりも径大であり、基端側開口部3bからシャンク部2の径小部2aを挿通して該径小部2aに被嵌可能に設けられている。
【0036】
また、摘まみ体3の基端側開口部3bは断面六角形状に設けられ、更に、シャンク部2(径小部2aよりも基端側の断面六角形状部位)に被嵌可能に設けられている。
【0037】
従って、摘まみ体3は、シャンク部20に対して回り止め状態で被嵌連結されることになる。
【0038】
また、摘まみ体3は、内面所定位置にして周方向に長さを有する凸条から成る被係止部5が設けられ、この被係止部5は基端側所定位置から先端側程径小となる傾斜面5aとこの傾斜面5aの先端部に落ち込み形成される垂直面5bとを有するように構成されている。
【0039】
従って、摘まみ体3を基端側開口部3bからシャンク部2に被嵌させた際、係止部4は被係止部5の傾斜面5aを乗り越えた後に垂直面5bに落ち込むことで抜け止め係合する。
【0040】
また、この摘まみ体3の外周面対向位置には一対の平坦部3aが設けられている。
【0041】
従って、この平坦部3aを載置面60に接地させて載置することで転がりにくい状態となる(図5参照)。
【0042】
また、この平坦部3a夫々の中央部にはドリル部1のドリル径寸法を表示する凹状の表示部3a’が設けられ、本実施例ではドリル径寸法を示す数字が印刷されている。
【0043】
また、本実施例は、ドリル部1における所定のドリル径寸法に対応して色の異なる摘まみ体3を複数設けており、寸法表示だけでなく色でもドリル部1のドリル径寸法を識別可能に構成されている。
【0044】
また、本実施例は、摘まみ体3の周面部にして前述した平坦部3a同士間となる外周面対向位置には、電動回動具50に対する抜き差し方向(前後方向)と交差する方向(左右方向)に長さを有する複数の山形先鋭形状の凸条6が前後方向に並設され、これら各凸条6は、引き抜き方向と反対方向を向いた後方傾斜状に設けられている。
【0045】
具体的には、図4に図示したように凸条6夫々は、いずれも前方側の前方構成面6aが谷部から山部へ向けて傾斜し、この前方構成面6aに連設する後方側の後方構成面6bが山部から谷部へ垂直となるように構成されている。
【0046】
従って、この凸条6により指に引っ掛かりのある指の滑り止め効果が発揮され、しかも、指の接触面積が狭い為、シャンク部2から摘まみ体3に熱が伝わったとしても可及的に指への熱伝導が抑制されて熱くなく、そして更に、各凸条6からの放熱効果も得られる。
【0047】
尚、本実施例は、摘まみ体3をシャンク部2に対して取り外し不能に設けた構成としているが、必要な時に摘まみ体3をシャンク部2に対して取り付けたり取り外したりできるようにするなど、摘まみ体3をシャンク部2に対して着脱自在に設けた構成としても良い。
【0048】
本実施例は上述のように構成したから、例えば、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具50にシャンク部2を差込み連結した状態とし、電動回動具50を作動させることで回動するドリル部1によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具50から本実施例を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具50を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。
【0049】
この下穴形成作業の直後に電動回動具50から本実施例を取り外す際、シャンク部2が熱くなってもシャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材(合成樹脂)から成る摘まみ体3を指で摘まんで電動回動具50から引き抜くことができる(図6参照)。本発明者は、実際に試したところ、下穴形成作業直後のドリル部1の温度が約150~160℃、シャンク部2の温度が約70~80℃の高温となり、この場合、摘まみ体3は約50℃程度までに抑制されることを確認している。
【0050】
よって、本実施例によれば、下穴形成作業の後、直ちに電動回動具50から本実施例を取り外してドライバービットに取り替えることができるなど、電動回動具50への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができる。
【0051】
また、本実施例は、摘まみ体3の存在により電工回動具50から取り外す際、ドリル部1以外の部位(シャンク部2)を摘まむ意識をユーザーに持たせることができ、万一の怪我を可及的に防止することになる。
【0052】
また、本実施例は、シャンク部2の先端部には径小部2aが設けられ、この径小部2aに摘まみ体3が被嵌連結されているから、ドリルビット全体を大型化することなく摘まみ体3に必要な厚み(耐久性)を確保することができる。
【0053】
また、本実施例は、径小部2aの周面には係止部4が設けられ、摘まみ体3の内面には係止部4と凹凸係合する被係止部5が設けられ、係止部4と被係止部5との凹凸係合により摘まみ体3は抜け止め状態で保持されるように構成されているから、シャンク部2に対して摘まみ体3が確実に連結されることになる。
【0054】
また、本実施例は、摘まみ体3はシャンク部2よりも径大であり、摘まみ体3の外周面には平坦部3aが設けられているから、径大故にドリルビットに力を伝え易くなり楽に引き抜くことができ、しかも、この平坦部3aを利用することで軸回動させ易くなり(例えば使用により電動回動具50の連結部50aに対してシャンク部2が噛み込んだ為に逆方向へ軸回動させたい場合などに有効となる。)、そして更に、この平坦部3aを載置面60に接地させて載置することで転がりにくい状態となる。
【0055】
また、本実施例は、摘まみ体3の周面部には、電動回動具50に対する抜き差し方向と交差する方向に長さを有する複数の凸条6が並設されているから、この凸条6により指に引っ掛かりのある指の滑り止め効果が発揮され、しかも、指の接触面積が狭い為、シャンク部2から摘まみ体3に熱が伝わったとしても可及的に指への熱伝導が抑制されて熱くなく、そして更に、各凸条6からの放熱効果も得られる。
【0056】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0057】
1 ドリル部
2 シャンク部
2a 径小部
3 摘まみ体
3a 平坦部
4 係止部
5 被係止部
50 電動回動具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル部と電動回動具に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部とから成るドリルビットであって、前記シャンク部には、当該シャンク部に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体が被嵌連結されており、前記摘まみ体は前記シャンク部よりも径大であり、また、前記摘まみ体の外周面対向位置には平坦部が設けられ、この平坦部同士間となる前記摘まみ体の外周面対向位置には、前記シャンク部の長さ方向と交差する方向に延設される凸条が該シャンク部の長さ方向に複数前後方向に並設されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項2】
請求項1記載のドリルビットにおいて、前記シャンク部の先端部には径小部が設けられ、この径小部に前記摘まみ体が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項3】
請求項2記載のドリルビットにおいて、前記径小部の周面には係止部が設けられ、前記摘まみ体の内面には前記係止部と凹凸係合する被係止部が設けられ、前記係止部と前記被係止部との凹凸係合により前記摘まみ体は抜け止め状態で保持されるように構成されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記平坦部には前記ドリル部のドリル径寸法が表示されていることを特徴とするドリルビット。
【請求項5】
請求項1~いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は合成樹脂製であることを特徴とするドリルビット。
【請求項6】
請求項1~いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体は所定のドリル径寸法に対応して所定の色に設定されていることを特徴とするドリルビット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルビットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動回動具を用いたビス止め作業に際して、予めビス止め部位に下穴を形成するためのものとして、特許文献1に開示されるドリルビット(以下、従来例という。)が提案されている。
【0003】
この従来例は、ドリル部と電動回動具に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部とから成り、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具にシャンク部を差込み連結した状態とし、電動回動具を作動させることで回動するドリル部によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具から従来例を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。作業性からすれば、この下穴形成作業を行わずにビス止め作業を行うのが望ましいが、下穴無しにビス止めするとビス止め部位が割れてしまう場合がある為、まずは下穴形成作業を行ってからビス止め作業するケースが多く、よって、この下穴形成作業を終えたら直ちにドリルビットに取り替えてビス止め作業を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3218682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例を用いて下穴を形成した場合、ビス止め部位との摩擦熱により、従来例は素手では触れられないほど熱くなり、電動回動具から直ちに取り外せないという問題点がある。
【0006】
本発明は、前述した問題点を鑑みてなされたものであり、従来にない非常に実用性の高いドリルビットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ドリル部1と電動回動具50に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部2とから成るドリルビットであって、前記シャンク部2には、当該シャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3が被嵌連結されており、前記摘まみ体3は前記シャンク部2よりも径大であり、また、前記摘まみ体3の外周面対向位置には平坦部3aが設けられ、この平坦部3a同士間となる前記摘まみ体3の外周面対向位置には、前記シャンク部2の長さ方向と交差する方向に延設される凸条6が該シャンク部2の長さ方向に複数前後方向に並設されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0009】
また、請求項1記載のドリルビットにおいて、前記シャンク部2の先端部には径小部2aが設けられ、この径小部2aに前記摘まみ体3が被嵌連結されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0010】
また、請求項2記載のドリルビットにおいて、前記径小部2aの周面には係止部4が設けられ、前記摘まみ体3の内面には前記係止部4と凹凸係合する被係止部5が設けられ、前記係止部4と前記被係止部5との凹凸係合により前記摘まみ体3は抜け止め状態で保持されるように構成されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記平坦部3aには前記ドリル部1のドリル径寸法が表示されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0012】
また、請求項1~いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は合成樹脂製であることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【0013】
また、請求項1~いずれか1項に記載のドリルビットにおいて、前記摘まみ体3は所定のドリル径寸法に対応して所定の色に設定されていることを特徴とするドリルビットに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、電動回動具への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができるなど、従来にない非常に実用性の高いドリルビットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す分解斜視図である。
図3】本実施例の要部の斜視図である。
図4】本実施例の要部を説明する断面図である。
図5】本実施例の要部の説明図である。
図6】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
例えば、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具50にシャンク部2を差込み連結した状態とし、電動回動具50を作動させることで回動するドリル部1によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具50から本発明を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具50を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。
【0018】
この下穴形成作業の直後に電動回動具50から本発明を取り外す際、シャンク部2が熱くなってもシャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3を指で摘まんで電動回動具50から引き抜くことができる。
【0019】
従って、下穴形成作業の後、直ちに電動回動具50から本発明を取り外してドライバービットに取り替えることができるなど、電動回動具50への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができる。
【実施例0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、ドリル部1と電動回動具50に抜き差し自在に差込み連結されるシャンク部2とから成るドリルビットであって、シャンク部2には、当該シャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材から成る摘まみ体3が被嵌連結されたものである。
【0022】
尚、本実施例を使用する電動回動具50は、本体部50aの先端部にシャンク部2を差込み連結するビット連結部50bを有する公知構造のものであり、このビット連結部50b内には差込んだシャンク部2の凹溝2bに抜け止め係止する図示省略の係止部材(球体)が設けられている。
【0023】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0024】
ドリル部1は、図1,2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、所定径を有する断面円形状にして先細り形状の軸状部材の先端部に切削刃1a(錐部)を設けると共に、この切削刃1aから基端側に一対の螺旋溝1b(切り屑排出部)を形成して構成されている。
【0025】
尚、本実施例はドリルビットとして下穴形成用ドリル(キリ)を採用しているが、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0026】
シャンク部2は、図1,2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、所定径を有する断面六角形状の軸状部材の先端部に、先端から軸方向所定位置まで延設される連結孔2cが形成され、この連結孔2cには前述したドリル部1の基端部が篏入連結される先端筒状のホルダー構造体である。
【0027】
また、このシャンク部2の基端側周面部位にして電動回動具50の連結部50a内に差込む部位(後述する非差込み連結部位以外の部位)には凹溝2bが形成され、この凹溝2bは、電動回動具50の連結部50aの球体に対して抜け止め係止するためのものである。
【0028】
また、シャンク部2の先端部にして電動回動具50に対する非差込み連結部位には、後述する摘まみ体3が被嵌連結されている。
【0029】
具体的には、シャンク部2の先端部に径小部2aが設けられ、この径小部2aは先端側が開放する凹段形状であり、この径小部2aに摘まみ体3が先端側から被嵌連結されている。
【0030】
この径小部2aの周面には周方向に長さを有する凸条から成る係止部4が設けられ、この係止部4は、後述する摘まみ体3の被係止部5が乗り越え凹凸係合することで摘まみ体3を抜け止め状態で保持するためのものである。
【0031】
摘まみ体3は、図1~5に図示したように適宜な合成樹脂製の部材(シャンク部2に比して熱伝導率が低い例えばポリプロピレンなどの低熱伝導率素材)で形成した筒状体であり、前述したシャンク部2よりも径大であり、基端側開口部3bからシャンク部2の径小部2aを挿通して該径小部2aに被嵌可能に設けられている。
【0032】
また、摘まみ体3の基端側開口部3bは断面六角形状に設けられ、更に、シャンク部2(径小部2aよりも基端側の断面六角形状部位)に被嵌可能に設けられている。
【0033】
従って、摘まみ体3は、シャンク部20に対して回り止め状態で被嵌連結されることになる。
【0034】
また、摘まみ体3は、内面所定位置にして周方向に長さを有する凸条から成る被係止部5が設けられ、この被係止部5は基端側所定位置から先端側程径小となる傾斜面5aとこの傾斜面5aの先端部に落ち込み形成される垂直面5bとを有するように構成されている。
【0035】
従って、摘まみ体3を基端側開口部3bからシャンク部2に被嵌させた際、係止部4は被係止部5の傾斜面5aを乗り越えた後に垂直面5bに落ち込むことで抜け止め係合する。
【0036】
また、この摘まみ体3の外周面対向位置には一対の平坦部3aが設けられている。
【0037】
従って、この平坦部3aを載置面60に接地させて載置することで転がりにくい状態となる(図5参照)。
【0038】
また、この平坦部3a夫々の中央部にはドリル部1のドリル径寸法を表示する凹状の表示部3a’が設けられ、本実施例ではドリル径寸法を示す数字が印刷されている。
【0039】
また、本実施例は、ドリル部1における所定のドリル径寸法に対応して色の異なる摘まみ体3を複数設けており、寸法表示だけでなく色でもドリル部1のドリル径寸法を識別可能に構成されている。
【0040】
また、本実施例は、摘まみ体3の周面部にして前述した平坦部3a同士間となる外周面対向位置には、電動回動具50に対する抜き差し方向(前後方向)と交差する方向(左右方向)に長さを有する複数の山形先鋭形状の凸条6が前後方向に並設され、これら各凸条6は、引き抜き方向と反対方向を向いた後方傾斜状に設けられている。
【0041】
具体的には、図4に図示したように凸条6夫々は、いずれも前方側の前方構成面6aが谷部から山部へ向けて傾斜し、この前方構成面6aに連設する後方側の後方構成面6bが山部から谷部へ垂直となるように構成されている。
【0042】
従って、この凸条6により指に引っ掛かりのある指の滑り止め効果が発揮され、しかも、指の接触面積が狭い為、シャンク部2から摘まみ体3に熱が伝わったとしても可及的に指への熱伝導が抑制されて熱くなく、そして更に、各凸条6からの放熱効果も得られる。
【0043】
尚、本実施例は、摘まみ体3をシャンク部2に対して取り外し不能に設けた構成としているが、必要な時に摘まみ体3をシャンク部2に対して取り付けたり取り外したりできるようにするなど、摘まみ体3をシャンク部2に対して着脱自在に設けた構成としても良い。
【0044】
本実施例は上述のように構成したから、例えば、実際に下穴形成作業及びビス止め作業をする場合、電動回動具50にシャンク部2を差込み連結した状態とし、電動回動具50を作動させることで回動するドリル部1によりビス止め部位に下穴を形成し、続いて、電動回動具50から本実施例を取り外してドライバービットを差込み連結し、続いて、電動回動具50を作動させることで回動するドライバービットによりビス止め作業を行う。
【0045】
この下穴形成作業の直後に電動回動具50から本実施例を取り外す際、シャンク部2が熱くなってもシャンク部2に比して熱伝導率が低い低熱伝導率素材(合成樹脂)から成る摘まみ体3を指で摘まんで電動回動具50から引き抜くことができる(図6参照)。本発明者は、実際に試したところ、下穴形成作業直後のドリル部1の温度が約150~160℃、シャンク部2の温度が約70~80℃の高温となり、この場合、摘まみ体3は約50℃程度までに抑制されることを確認している。
【0046】
よって、本実施例によれば、下穴形成作業の後、直ちに電動回動具50から本実施例を取り外してドライバービットに取り替えることができるなど、電動回動具50への脱着が良好に行え、ひいてはビス止め作業の作業性を向上することができる。
【0047】
また、本実施例は、摘まみ体3の存在により電工回動具50から取り外す際、ドリル部1以外の部位(シャンク部2)を摘まむ意識をユーザーに持たせることができ、万一の怪我を可及的に防止することになる。
【0048】
また、本実施例は、シャンク部2の先端部には径小部2aが設けられ、この径小部2aに摘まみ体3が被嵌連結されているから、ドリルビット全体を大型化することなく摘まみ体3に必要な厚み(耐久性)を確保することができる。
【0049】
また、本実施例は、径小部2aの周面には係止部4が設けられ、摘まみ体3の内面には係止部4と凹凸係合する被係止部5が設けられ、係止部4と被係止部5との凹凸係合により摘まみ体3は抜け止め状態で保持されるように構成されているから、シャンク部2に対して摘まみ体3が確実に連結されることになる。
【0050】
また、本実施例は、摘まみ体3はシャンク部2よりも径大であり、摘まみ体3の外周面には平坦部3aが設けられているから、径大故にドリルビットに力を伝え易くなり楽に引き抜くことができ、しかも、この平坦部3aを利用することで軸回動させ易くなり(例えば使用により電動回動具50の連結部50aに対してシャンク部2が噛み込んだ為に逆方向へ軸回動させたい場合などに有効となる。)、そして更に、この平坦部3aを載置面60に接地させて載置することで転がりにくい状態となる。
【0051】
また、本実施例は、摘まみ体3の周面部には、電動回動具50に対する抜き差し方向と交差する方向に長さを有する複数の凸条6が並設されているから、この凸条6により指に引っ掛かりのある指の滑り止め効果が発揮され、しかも、指の接触面積が狭い為、シャンク部2から摘まみ体3に熱が伝わったとしても可及的に指への熱伝導が抑制されて熱くなく、そして更に、各凸条6からの放熱効果も得られる。
【0052】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1 ドリル部
2 シャンク部
2a 径小部
3 摘まみ体
3a 平坦部
4 係止部
5 被係止部
凸条
50 電動回動具