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▶ イビデン株式会社の特許一覧

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  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図1
  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図2
  • 特開-プリント配線板およびその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167062
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/16 20060101AFI20231116BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H05K3/16
H05K3/18 G
H05K3/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077935
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
(72)【発明者】
【氏名】石田 敦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 真礼
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343BB17
5E343BB24
5E343BB35
5E343BB71
5E343DD25
5E343DD43
5E343DD63
5E343EE17
5E343FF16
5E343GG03
(57)【要約】
【課題】ソルダーレジスト層の開口内に導体ポストを有するプリント配線板において、ソルダーレジスト層と導体ポストとの間の密着性を改善する。
【解決手段】基部絶縁層1と、基部絶縁層上に形成された導体層2と、基部絶縁層上および導体層上に形成され、かつ、導体層の一部を導体パッド4として露出させる開口5を有するソルダーレジスト層3と、ソルダーレジスト層の開口内に、シード層7を介して形成された導体ポスト6と、を有するプリント配線板であって、シード層が、ソルダーレジスト層および導体パッドと接するTiスパッタ膜からなる第1層11と、第1層上のCuスパッタ膜からなる第2層12と、から形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層の開口内に、シード層を介して形成された導体ポストと、
を有するプリント配線板であって、
前記シード層が、前記ソルダーレジスト層および導体パッドと接するTiスパッタ膜からなる第1層と、前記第1層上のCuスパッタ膜からなる第2層と、から形成されている、プリント配線板。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層を構成する前記第1層と前記第2層とにおいて、前記第1層の厚み/前記第2層の厚みの比が0.2以上、0.9以下である。
【請求項3】
基部絶縁層上に導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上であって、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するようにソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層上および導体パッド上に、スパッタリングによりTiスパッタ膜からなる第1層を形成し、前記第1層上にスパッタリングによりCuスパッタ膜からなる第2層を形成することで、シード層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層の開口内に、前記シード層を介して導体ポストを形成することと、
を含む、プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、前記第1層の厚み/前記第2層の厚みの比が0.2以上、0.9以下となるよう前記シード層を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルダーレジスト層の開口内に導体ポストを有するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソルダーレジスト層の開口内に導体ポストを有するプリント配線板が、例えば特許文献1で知られている。
【0003】
図3は、特許文献1で開示された従来のプリント配線板を説明するための図である。図3において、51は基部絶縁層、52は基部絶縁層51上に形成された導体層、53は、基部絶縁層51上および導体層52上に形成され、かつ、導体層52の一部を導体パッド54として露出させる開口55を有するソルダーレジスト層、56はソルダーレジスト層53の開口55内にシード層57を介して形成された導体ポストである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-129368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載のプリント配線板においては、ソルダーレジスト層53と導体ポスト56とを、無電解銅めっき膜からなるシード層57を介して接着している。ソルダーレジスト層53と無電解銅めっき膜からなるシード層57との間の接着力は小さい。そのため、導体ポスト56がソルダーレジスト層53から剥がれやすい問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口内に、シード層を介して形成された導体ポストと、を有するプリント配線板であって、前記シード層が、前記ソルダーレジスト層および導体パッドと接するTiスパッタ膜からなる第1層と、前記第1層上のCuスパッタ膜からなる第2層と、から形成されている。
【0007】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層上に導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上であって、前記導体層の一部を導体パッドとして露出させる開口を有するようにソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層上および導体パッド上に、スパッタリングによりTiスパッタ膜からなる第1層を形成し、前記第1層上にスパッタリングによりCuスパッタ膜からなる第2層を形成することで、シード層を形成することと、前記ソルダーレジスト層の開口内に、前記シード層を介して導体ポストを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
図2】(a)~(e)は、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図3】従来のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。図1において、1は基部絶縁層、2は基部絶縁層1上に形成された導体層、3は、基部絶縁層1上および導体層2上に形成され、かつ、導体層2の一部を導体パッド4として露出させる開口5を有するソルダーレジスト層、6はソルダーレジスト層3の開口5内にシード層7を介して形成された導体ポストである。
【0010】
本発明のプリント配線板の特徴は、シード層7が、ソルダーレジスト層3および導体パッド4と接するTiスパッタ膜からなる第1層11と、第1層11上のCuスパッタ膜からなる第2層12と、から形成されている点である。
【0011】
本発明のプリント配線板によれば、ソルダーレジスト層3と導体ポスト6とを、ソルダーレジスト層3および導体パッド4と接するTiスパッタ膜からなる第1層11と、第1層11上のCuスパッタ膜からなる第2層12と、から形成されるシード層7を介して接着している。本発明の2層のスパッタ膜からなるシード層7はソルダーレジスト層3と密着するため、従来の密着性の小さい無電解銅めっき膜からなるシード層を介するソルダーレジスト層と導体ポストとの接着よりも、密着性の大きいシード層3を介するソルダーレジスト層3と導体ポスト6との接着を達成することができる。また、シード層7としてCuスパッタ膜から成る第2層12を用いているため、従来の無電解銅めっき膜からなるシード層と同等の低抵抗なシード層7としても機能する。
【0012】
なお、本発明のプリント配線板において、シード層7を構成する第1層11と第2層12とにおいて、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比が0.2以上、0.9以下であることが好ましい。ここで、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比を0.2以上とするのが好ましいのは、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比が0.2未満であると、Tiスパッタ膜からなる第1層11の厚みが薄くなり、密着性の大きいシード層7を介するソルダーレジスト層3と導体ポスト6との接着を達成することできない場合があるためである。また、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比を0.9以下とすることが好ましいのは、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比が0.9を超えると、Cuスパッタ膜からなる第2層12の厚みが薄くなり、シード層7の低抵抗性を達成できない場合があるためである。
【0013】
図2(a)~(e)は、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。以下、図2(a)~(e)に従って、本発明のプリント配線板の製造方法を説明する。
【0014】
まず、図2(a)に示すように、基部絶縁層1上に導体層2を形成し、記基部絶縁層1上および導体層2上であって、導体層2の一部を導体パッド4として露出させる開口5を有するようにソルダーレジスト層3を形成する。次に、図2(b)に示すように、ソルダーレジスト層3上および導体パッド4上に、スパッタリングによりTiスパッタ膜からなる第1層11を形成する。次に、図2(c)に示すように、第1層11上にスパッタリングによりCuスパッタ膜からなる第2層12を形成する。こうして、第1層11および第2層12からなるシード層7を形成する。次に、図2(d)に示すように、シード層7上に、導体ポスト6の形成予定部位に開口13aを有する所定パターンのめっきレジスト13を形成し、めっきレジスト13の開口13a内に例えば銅を電解めっきすることで導体ポスト6を形成する。最後に、図2(e)に示すように、めっきレジスト13およびめっきレジスト13の下のシード層7を除去する。
【0015】
以上の工程により、ソルダーレジスト層の開口内に導体ポストを有する、本発明のプリント配線板を得ることができる。なお、上述した図2(a)~(d)に示した各工程では、従来から公知の製造技術を用いることができる。
【0016】
以上の工程に従う本発明のプリント配線板の製造方法の特徴は、本発明のプリント配線板と同様に、シード層7を、ソルダーレジスト層3および導体パッド4と接するTiスパッタ膜からなる第1層11と、第1層11上のCuスパッタ膜からなる第2層12と、から形成した点である。また、本発明のプリント配線板と同様に、第1層11の厚み/第2層12の厚みの比が0.2以上、0.9以下となるように、シード層7を形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0017】
1 基部絶縁層
2 導体層
3 ソルダーレジスト層
4 導体パッド
5 開口
6 導体ポスト
7 シード層
11 Tiスパッタ膜からなる第1層
12 Cuスパッタ膜からなる第2層
13 めっきレジスト
13a 開口
図1
図2
図3