(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167068
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】Web会議参加者により3Dモデルを共有する装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/15 20060101AFI20231116BHJP
G06T 17/00 20060101ALI20231116BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20231116BHJP
H04L 67/02 20220101ALI20231116BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20231116BHJP
【FI】
H04N7/15
G06T17/00
G06T19/00 A
H04L67/02
G06F3/04815
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077948
(22)【出願日】2022-05-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】501198039
【氏名又は名称】国土交通省国土技術政策総合研究所長
(71)【出願人】
【識別番号】000230973
【氏名又は名称】日本工営株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594058333
【氏名又は名称】川田テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】井上 直
(72)【発明者】
【氏名】大手 方如
(72)【発明者】
【氏名】片柳 貴文
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 和広
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 聡司
(72)【発明者】
【氏名】森田 直志
(72)【発明者】
【氏名】四月朔日 勉
(72)【発明者】
【氏名】宮城 謙太
(72)【発明者】
【氏名】増田 和裕
【テーマコード(参考)】
5B050
5B080
5C164
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA01
5B050EA10
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA16
5B080AA13
5B080BA04
5B080CA00
5B080FA02
5B080GA00
5C164FA10
5C164VA13S
5C164VA35P
5E555AA27
5E555AA61
5E555AA79
5E555BA14
5E555BA45
5E555BA70
5E555BA76
5E555BB14
5E555BC08
5E555BD01
5E555BD09
5E555BE16
5E555CB74
5E555CC11
5E555DA05
5E555DB06
5E555DB39
5E555DB49
5E555DB53
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC21
5E555DD05
5E555DD07
5E555EA11
5E555EA16
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】土木・建築関連の3DモデルをWeb会議参加者全員で共有することにより遠隔地での対応を可能とする装置または方法を提供する。
【解決手段】土木・建築関連の3Dモデル構築装置、3Dモデル情報を格納装置、リアルタイム通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の3Dモデル表示装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合し、前記子システムから表示したい3Dモデルを前記インターネットにより前記親システムに送信する手段と、前記親システムにおいて、前記子システムから送られてきた情報を3Dモデルとして構築し直し、アクセスできるようにグループ化する手段と、グループ化した形状データを統合又は分割する手段と、符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する手段とからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木・建築関連の3Dモデル構築装置、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置、リアルタイム通信装置、インターネット通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の映像出力装置、土木・建築関連の3Dモデル表示装置、インターネット通信装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置において、
前記子システムの前記3Dモデル表示装置に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置により前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、前記子システムから前記送信する手段で送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する手段と、
前記グループ化する手段でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する手段と、
前記統合又は分割する手段で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する手段と、
前記符号化する手段で符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する手段と
からなることを特徴とするWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項2】
前記グループ化する手段におけるデータの種類は、建築物、土木構造物の場合と地形の場合に区分するようにしたことを特徴とする請求項1記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項3】
前記子システムからなる利用者は、座標入力装置で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システムは、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システムは、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置から取得する手段と、
前記親システムは、前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置を介して前記利用者に送信する手段と、
前記親システムから受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する手段と
を付加したことを特徴とする請求項1又は2記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項4】
前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システムは、前記データ格納装置から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システムに送信し、これを前記子システムで表示するようにしたことを特徴とする請求項3記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項5】
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する手段と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに前記3次元座標値を順次送信する手段と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する手段と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する手段とからなることを特徴とする請求項3又は4記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項6】
前記座標を算出する手段は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をすることを特徴とする請求項5記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項7】
前記子システムは、3次元座標値の箇所に生成したマーカーオブジェクは、利用者を識別するための着色した小さな球からなり、このマーカーオブジェクトから、利用者の視点側に引き出し線を引き、引き出し線の末端の利用者名の吹き出し欄に、利用者名を吹き出し表示することを特徴とする請求項5又は6記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
【請求項8】
土木・建築関連の3Dモデル構築装置、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置、リアルタイム通信装置、インターネット通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の映像出力装置、土木・建築関連の3Dモデル表示装置、インターネット通信装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置が用いられ、
前記子システムの前記3Dモデル表示装置に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置により前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、前記子システムから送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する工程と、
前記グループ化する工程でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する工程と、
前記統合又は分割する工程で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する工程と、
前記符号化する工程で符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する工程と
からなることを特徴とするWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
【請求項9】
前記子システムからなる利用者は、座標入力装置で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システムは、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システムは、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置から取得する工程と、
前記親システムは、前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置を介して前記利用者に送信する工程と、
前記親システムから受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する工程と
を付加したことを特徴とする請求項8記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
【請求項10】
前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システムは、前記データ格納装置から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システムに送信し、これを前記子システムで表示するようにしたことを特徴とする請求項9記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
【請求項11】
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに前記3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する工程と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなることを特徴とする請求項9又は10記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
【請求項12】
前記座標を算出する工程は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をすることを特徴とする請求項11記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用した遠隔地間でのWeb会議実施時において、参加者全員で建築物、土木構造物、地形などの土木・建築関連の3Dモデル映像をリアルタイムで操作したり、そのモデルに指示や視点を共有したりすることにより、Web会議参加者全員に視覚的に伝達され、より正確に、かつ、短時間で現場の把握・理解ができるようにしたWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対面での会議において、参加者全員が同一の紙資料を閲覧しながら、会議を実施することは一般的に行なわれている。参加者が必ずしも同一の場所に集らなくても会議を可能とするWeb会議システムにおいても、同様に電子ファイルの資料を共有する機能が実装されており、オフィス系ファイル(Word,Excel,Power Point)やPDFファイルは一般的なWeb会議システムにおいて共有可能である。
しかしながら、世の中には多種多様なファイル形式が存在し、それらの形式のファイルをWeb会議実施時に共有したい場合もある。それらの多種多様なファイル形式すべてに対応することは困難であるため、一般的なWeb会議システムにおいて、そのようなケースが発生した場合は、デスクトップ共有機能を用いる。デスクトップ共有機能は、プレゼンターのPCの画面を他の会議参加者が閲覧できる機能であり、プレゼンターは、該当のファイルをプレゼンターのPCにインストールされているプログラムで開き、その開いた画面を他の会議参加者が閲覧することができる。
【0003】
建築専門家グループのウェブ会議で、異なるクライアント装置が異なる入力手段を有し、ユーザがタッチスクリーンディスプレイと直接対話することによりコメントを入力すること等が知られている(特許文献1)。
【0004】
この特許文献1によれば、ウェブ会議はビデオカメラを利用して、物体(例えば、建設中の建物)を監視する。建築専門家グループを、タッチスクリーンホワイトボードが装備された離れた会議室に集め、建物建築の進行に関する問題を議論し得、また、旅行中の個人が、ラップトップコンピュータまたはさらには携帯電話等のクライアント装置からディスカッションに参加可能であり得る。同様に、ウェブ会議の参加者は、書面でのコメントと同様に、映像信号または音声信号を介して、自分の考えを他の参加者に伝達することができる。
【0005】
なお、異なるクライアント装置が異なる入力手段または異なる入力性能を有し得る。例えば、ホワイトボード等のクライアント装置によっては、ユーザがタッチスクリーンディスプレイと直接対話することによりコメントを入力できるものもあれば、マウス、キーボード、またはこれら両方等の1つまたは複数のI/O装置を通してコメントを入力できるものもある。いくつかの実施形態では、クライアント装置によっては(例えば、携帯電話)、ユーザが音声コメントを提供できるが、文書を提供できないものもある、と記載されている。
【0006】
Web会議で、建築現場で撮像した画像を共有すること等が知られている(特許文献2)。
【0007】
この特許文献2によれば、最近のスマートフォン等のスマートデバイス機能の進化により、市場からはスマートデバイスでもWeb会議システムに参加できることが求められてきている。このようなスマートデバイスは、カメラ機能を有しているものが多いため、例えば建築現場で撮像した画像をリアルタイムで、簡単にWeb会議で共有するという使い方をすることができる。
【0008】
スマートデバイス等の情報処理端末(以下、スマートデイバイスとも称する)は、Web会議システムを利用するユーザが操作するための事業所等の拠点外に持ち運び容易な端末であり、Web会議サーバにアクセスすることができる。ユーザは、スマートデバイスに備え付けのマイクやカメラ(撮像手段)等を介してWeb会議において発言したり映像(画像)や資料等を送信したりすることが可能である。例えば、カメラ機能を用いることで、ユーザはWeb会議参加中(参加前)に外出先の様子を撮像し、画像をWeb会議に送信して参加者間で共有することができる。
【0009】
また、ユーザは、Web会議サーバから音声や映像(画像)等を受信してスマートデバイスに備え付けのスピーカーやタッチパネルディスプレイを用いてWeb会議に参加している他のユーザの発言や様子や資料等を見聞きすることができる。つまり、ユーザは事業所外でもスマートデバイスを用いることでWeb会議に参加することが可能である。
【0010】
PC等の情報処理端末(以下、PCとも称する)は、スマートデバイスと同様にWeb会議システムを利用するユーザが操作する端末であるが事業所等の拠点外に持ち運ばれることを想定されていない端末であり、Web会議システムにアクセス可能となっている。ユーザは、PCに接続されたマイクやカメラを介してWeb会議において発言したり映像(画像)を送信したりすることが可能である。また、ユーザはWeb会議サーバから音声や映像(画像)等を受信してスピーカーや入力デバイスを用いてWeb会議に参加している他のユーザの発言や様子や資料等を見聞きすることができる。つまり、このような機能を用いてスマートデバイスを用いて事業所の外部から送信された画像を事業所内でも見聞きすることができるため、事務所外の様子を容易に共有することができる。
【0011】
昨今、建設業界では、BIM/CIM、またはDXと呼ばれる業務、工事のデジタル化が国土交通省主導で推し進められており、これらの推進の過程で、土木構造物や建築物の3Dモデルが多量に作成されている。このような状況において、会議で3Dモデルを共有したいというニーズが発生するのは当然である。
3Dモデルを従来型のWeb会議システムで共有するには、
・3Dモデルをいくつかの視点から撮影したスナップショットを前述したオフィス系ファイルやPDFファイルで共有する方法。
・3Dモデルを開くことが可能なプログラムを保持する参加者が、共有したい3Dモデルを該当プログラムで開き、そのデスクトップの様子を、前述したデスクトップ共有機能により、他の会議参加者が閲覧する方法がある
【0012】
しかし、オンライン会議で、3D点群データを表示し、会議を行うこと等の記載のあるものやバーチュアル会議室で製造設備の3Dモデルを表示すること等の記載のあるものは存在するが、土木建築分野でのWeb会議システムにおいて、3Dモデルを参加者間で共有し、個々の参加者が3Dモデルを操作し修正しながら会議を行う点を明示したものは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2012-531637号公報
【特許文献2】特開2015-139176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1には、「ウェブ会議はビデオカメラを利用して、物体(例えば、建設中の建物)を監視する。建築専門家グループを、タッチスクリーンホワイトボードが装備された離れた会議室に集め、建物建築の進行に関する問題を議論し得、」と記載されている。
特許文献2には、「スマートデバイスは、カメラ機能を有しているものが多いため、例えば建築現場で撮像した画像をリアルタイムで簡単にWeb会議で共有するという使い方をすることができる。」、「カメラ機能を用いることで、ユーザはWeb会議参加中(参加前)に外出先の様子を撮像し、画像をWeb会議に送信して参加者間で共有することができる。」などの記載がある。
【0015】
以上の特許文献1及び2には、3Dモデルについての記載が無く、2D資料にして共有した場合であると推測される。3Dモデルを2D資料にして共有した場合の問題点は、以下の通りである。
(1)3Dモデルのすべての箇所を撮影しておくことは困難であるから、会議実施中に必要箇所が閲覧できない場合がある。
(2)該当3Dモデルに対応したプログラムを保持していない参加者は、3Dモデル上に着目する箇所があったとしても、自らの意思でその箇所を閲覧することはできず、3Dモデルをデスクトップ共有しているプレゼンターに着目箇所を表示するように、口頭などで、指示をする必要があるが、複雑な構造物上の着目箇所を簡潔かつ的確に指示することは困難であるため、会議に遅延が発生する。
(3)同時にプレゼンターになれるのは1名だけであるため、会議参加者が対応するプログラムを保持していたとしても、プレゼンターでなければ、自らが着目する箇所を他の参加者に視覚的に伝えることはできない。その場合は、自らがプレゼンターになって伝えることになるが、多数の参加者がいる場合は、プレゼンターになるための順番待ちが発生してしまい、会議に遅延が発生する。
(4)複雑な構造物の3Dモデルをデスクトップ共有する場合、解像度の高い画像を配信する必要があり、高速なネットワークを必要とする。高速なネットワークを用意できない場合は、3Dモデルの表示が粗くなる場合があり、会議参加者間の意思疎通に問題が出る。
(5)複数の3Dモデルの比較が困難である。
【0016】
本発明は、これまで2次元モデルで検討していたイメージを、3D(3次元)モデルで共有することにより遠隔地での対応を可能とし、また、Web会議上にて3Dモデル映像をWeb会議参加者全員で共有し、各参加者がその3Dモデルを任意に拡大縮小表示、移動・回転表示するなどの選択をWeb会議参加者が自身で操作しその情報を送信・伝達することにより参加者全員にモデル表示状況を共有することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置は、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置17、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置18、リアルタイム通信装置19、インターネット通信装置20を具備した親システム10と、土木・建築関連の映像出力装置24、土木・建築関連の3Dモデル表示装置28、インターネット通信装置30を具備した1以上の子システム11とをインターネット12で結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置において、
前記子システム11の前記3Dモデル表示装置28に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置30により前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、前記子システム11から前記送信する手段で送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する手段と、
前記グループ化する手段でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する手段と、
前記統合又は分割する手段で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する手段と、
前記符号化する手段で符号化した3D形状データを前記親システム10のデータ格納装置18に登録する手段と
からなることを特徴とする。
【0018】
前記グループ化する手段におけるデータの種類は、建築物、土木構造物の場合と地形の場合に区分するようにしたことを特徴とする。
【0019】
前記子システム11からなる利用者は、座標入力装置27で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システム11は、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システム11は、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、受信したIDを用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置18から取得する手段と、
前記親システム10は、前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置20を介して前記利用者に送信する手段と、
前記親システム10から受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置28で表示する手段と
を付加したことを特徴とする。
【0020】
前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システム10は、前記データ格納装置18から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システム11に送信し、これを前記子システム11で表示するようにしたことを特徴とする。
【0021】
前記子システム11の映像出力装置24における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システム11の座標入力装置27で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する手段と、
前記子システム11は、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置30を介して前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、リアルタイム通信装置19を用いて、他の稼働中の子システム11に前記3次元座標値を順次送信する手段と、
前記親システム10から3次元座標値を受信した前記子システム11は、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクト33を生成する手段と、
前記子システム11は、前記マーカーオブジェクト33から、引き出し線36を引き、利用者の吹き出し表示欄34に、利用者名を吹き出し表示する手段とからなることを特徴とする。
【0022】
前記座標を算出する手段は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をすることを特徴とする。
【0023】
前記子システム11は、3次元座標値の箇所に生成したマーカーオブジェク33は、利用者を識別するための着色した小さな球からなり、このマーカーオブジェクト33から、利用者の視点側に引き出し線36を引き、引き出し線36の末端の利用者名の吹き出し欄34に、利用者名を吹き出し表示することを特徴とする。
【0024】
本発明によるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法は、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置17、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置18、リアルタイム通信装置19、インターネット通信装置20を具備した親システム10と、土木・建築関連の映像出力装置24、土木・建築関連の3Dモデル表示装置28、インターネット通信装置30を具備した1以上の子システム11とをインターネット12で結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置が用いられ、
前記子システム11の前記3Dモデル表示装置28に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置30により前記親システムに送信する工程と、
前記親システム10は、前記子システム11から送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する工程と、
前記グループ化する工程でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する工程と、
前記統合又は分割する工程で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する工程と、
前記符号化する工程で符号化した3D形状データを前記親システム10のデータ格納装置18に登録する工程と
からなることを特徴とする。
【0025】
前記子システム11からなる利用者は、座標入力装置27で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システム11は、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システム11は、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システム10に送信する工程と、
前記親システム10は、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置18から取得する工程と、
前記親システム10は、前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置20を介して前記利用者に送信する工程と、
前記親システム10から受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する工程と
を付加したことを特徴とする。
【0026】
前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システム10は、前記データ格納装置18から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システム11に送信し、これを前記子システム11で表示するようにしたことを特徴とする。
【0027】
前記子システム11の映像出力装置24における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システム11の座標入力装置27で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システム11は、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置30を介して前記親システム10に送信する工程と、
前記親システム10は、リアルタイム通信装置19を用いて、他の稼働中の子システム11に前記3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システム10から3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクト33を生成する工程と、
前記子システム10は、前記マーカーオブジェクト33から、引き出し線36を引き、利用者の吹き出し表示欄34に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなることを特徴とする。
【0028】
前記座標を算出する工程は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明によれば、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置、リアルタイム通信装置、インターネット通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の映像出力装置、土木・建築関連の3Dモデル表示装置、インターネット通信装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置において、
前記子システムの前記3Dモデル表示装置に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置により前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、前記子システムから前記送信する手段で送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する手段と、
前記グループ化する手段でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する手段と、
前記統合又は分割する手段で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する手段と、
前記符号化する手段で符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する手段と
からなるので、以下の効果を有する。
【0030】
(1)インターネットを利用した遠隔地間でのWeb会議実施時に、参加者間おいて3Dモデルをリアルタイムに操作し、各参加者がそのモデルに指示や視点の共有ができることにより、打ち合わせや会議における参加者全員に視覚的に伝達され、これまでの2次元表示よりも短時間で災害や維持点検などの現場の把握・理解を実現し、その対策を検討・実施する時間を大幅に短縮できる。具体的には、災害復旧もしくは維持点検時における効果を想定しているが、Web会議の現場映像と現場に関連する3Dモデルの共有とその視点共有については、これまで2次元図面等で検討していたイメージを、3Dモデルで共有することにより現地対策のために出張するまでもなく、遠隔地での対応を可能とする。
(2)Web会議上にて3Dモデル映像をWeb会議参加者全員で共有し、各参加者がその3Dモデルを任意に拡大縮小表示、移動・回転表示ができる。
(3)3Dモデルにおける特定の位置を図示することができ、図示した情報がリアルタイムで全参加者に送信・伝達され、さらに特定参加者の3Dモデルを見ている視点の情報をリアルタイムで各参加者へ送信・伝達し、視点の共有できる技術である。
(4)複数の3Dモデルデータを読み込み1つの3Dモデルとして合成し、表示と選択をWeb会議参加者が自身で操作しその情報を送信・伝達することにより参加者全員にモデル表示状況を共有することができる
(5)本発明では、親システムに格納した3Dモデルを、参加者全員に配信することで、前述の段落[0015]で述べた(1)(2)の問題を解決できる。配信した3Dモデルは、現在流通している一般的な性能のPCと、Webブラウザという一般的なソフトウェアの組み合わせで、表示、操作可能である。つまり、入手が困難な特殊なPCやソフトウェアを必要としない。
(6)また、本発明により、会議参加者は任意のタイミングで、3Dモデル上の任意の位置にマーキング、またはコメント付与することが可能となるため、前述の段落[0015]で述べた(3)で述べた会議の遅延の問題を解決できる。
(7)さらに、3Dモデルの配信が完了した後は、3Dモデル上のマーキングやコメント付与に要するネットワーク帯域は極わずかであり、前述の段落[0015]で述べた(4)で述べた高速なネットワークの必要とするという問題も解決できる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、
前記グループ化する手段におけるデータの種類は、建築物、土木構造物の場合と地形の場合に区分するようにしたので、建築物、土木構造物と地形のそれぞれの異なる特性に合わせて処理することができる。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、
前記子システムからなる利用者は、座標入力装置で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システムは、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システムは、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置から取得する手段と、
前記親システムは、前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置を介して前記利用者に送信する手段と、
前記親システムから受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する手段と
を付加したので、親システムのデータ格納装置に格納した3Dモデルのあらゆる表示をすべての参加者で共有できる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、
前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システムは、前記データ格納装置から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システムに送信し、これを前記子システムで表示するようにしたので、複数に分割したり統合したりした3Dモデルを複雑な構造物や地形を全参加者で共有することができる。
【0034】
請求項5記載の発明によれば、
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する手段と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに前記3次元座標値を順次送信する手段と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する手段と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する手段とからなるので、表示している3Dモデルの細部まで正確に指示することができるとともに、利用者名を確認することができる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、
前記座標を算出する手段は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をするので、3Dモデルの指示が正確で、指示の誤りがなくなる。
【0036】
請求項7記載の発明によれば、
前記子システムは、3次元座標値の箇所に生成したマーカーオブジェクは、利用者を識別するための着色した小さな球からなり、このマーカーオブジェクトから、利用者の視点側に引き出し線を引き、引き出し線の末端の利用者名の吹き出し欄に、利用者名を吹き出し表示するようにしたので、利用者名を全参加者に正しく知らせることができる。
【0037】
請求項8記載の発明によれば、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置、リアルタイム通信装置、インターネット通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の映像出力装置、土木・建築関連の3Dモデル表示装置、インターネット通信装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置が用いられ、
前記子システムの前記3Dモデル表示装置に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置により前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、前記子システムから送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する工程と、
前記グループ化する工程でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する工程と、
前記統合又は分割する工程で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する工程と、
前記符号化する工程で符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する工程と
からなるので、請求項1に記載の作用効果を有する。
【0038】
請求項9記載の発明によれば、
前記子システムからなる利用者は、座標入力装置で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システムは、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システムは、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置から取得する工程と、
前記親システムは、前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置を介して前記利用者に送信する工程と、
前記親システムから受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する工程と
を付加したので、請求項3に記載と同様の作用効果を有する。
【0039】
請求項10記載の発明によれば、
前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システムは、前記データ格納装置から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システムに送信し、これを前記子システムで表示するようにしたので、請求項4に記載と同様の作用効果を有する。
【0040】
請求項11記載の発明によれば、
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに前記3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する工程と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなるので、請求項5に記載と同様の作用効果を有する。
【0041】
請求項12記載の発明によれば、
前記座標を算出する工程は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をするようにしたので、請求項6に記載と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置及びその方法の実施例1を示す全体構成のブロック図である。
【
図2】
図1における親システム10のブロック図である。
【
図3】
図1における子システム11のブロック図である。
【
図4】本発明によるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置及びその方法で会議参加者が3Dモデルを共有している状態の説明図である。
【
図5】子システム11から親システム10に3Dモデル情報を送信し、登録する機能のフローチャートである。
【
図6】親システム10に登録されている3Dモデル情報を取得し、子システム11に表示する機能のフローチャートである。
【
図7】子システム11に表示される3Dモデルの任意の位置を指示し、指示した情報を他の参加者が操作する子システム11に送信する機能のフローチャートである。
【
図8】子システム11の映像出力装置24に表示された3Dモデル32にマーカーオブジェクト33を指示する機能を説明するためのもので、(a)は、映像出力装置24の投影面31に3Dモデル32が表示された例を示す正面図、(b)は、座標入力装置27で座標値(2次元座標値)を入力し、引き出し線34を入力する説明図、(c)は、目印(マーカーオブシェクト)と引き出し線35を引き、利用者名を吹き出し表示している例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置は、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置17、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置18、リアルタイム通信装置19、インターネット通信装置20を具備した親システム10と、土木・建築関連の映像出力装置24、土木・建築関連の3Dモデル表示装置28、インターネット通信装置30を具備した1以上の子システム11とをインターネット12で結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置において、
前記子システム11の前記3Dモデル表示装置28に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置30により前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、前記子システム11から前記送信する手段で送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する手段と、
前記グループ化する手段でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する手段と、
前記統合又は分割する手段で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する手段と、
前記符号化する手段で符号化した3D形状データを前記親システム10のデータ格納装置に登録する手段と
からなる。
【0044】
前記グループ化する手段におけるデータの種類は、建築物、土木構造物の場合と地形の場合に区分する。
【0045】
前記子システム11からなる利用者は、座標入力装置27で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システム11は、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システム11は、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、受信したIDを用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置18から取得する手段と、
前記親システム10は、前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置20を介して前記利用者に送信する手段と、
前記親システム10から受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置28で表示する手段と
を付加する。
【0046】
前記データ格納装置18から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システム10は、前記データ格納装置18から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システム11に送信し、これを前記子システム11で表示する。
【0047】
前記子システム11の映像出力装置24における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システム11の座標入力装置27で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する手段と、
前記子システム11は、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置30を介して前記親システム10に送信する手段と、
前記親システム10は、リアルタイム通信装置19を用いて、他の稼働中の子システム11に前記3次元座標値を順次送信する手段と、
前記親システム10から3次元座標値を受信した前記子システム11は、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクト33を生成する手段と、
前記子システム11は、前記マーカーオブジェクト33から、引き出し線36を引き、利用者の吹き出し表示欄34に、利用者名を吹き出し表示する手段とからなる。
【0048】
前記座標を算出する手段は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をする。
【0049】
前記子システム11は、3次元座標値の箇所に生成したマーカーオブジェク33は、利用者を識別するための着色した小さな球からなり、このマーカーオブジェクト33から、利用者の視点側に引き出し線36を引き、引き出し線36の末端の利用者名の吹き出し欄34に、利用者名を吹き出し表示する。
【0050】
本発明のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法は、
土木・建築関連の3Dモデル構築装置、土木・建築関連の3Dモデル情報を格納するデータ格納装置、リアルタイム通信装置、インターネット通信装置を具備した親システムと、土木・建築関連の映像出力装置、土木・建築関連の3Dモデル表示装置、インターネット通信装置を具備した1以上の子システムとをインターネットで結合してなるWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置が用いられ、
前記子システムの前記3Dモデル表示装置に、表示したい土木・建築関連の3Dモデルのファイルを読み込み、読み込んだ3Dモデルデータを前記インターネット通信装置により前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、前記子システムから送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルとして構築し直し、データの種類毎に分けてアクセスできるようにグループ化する工程と、
前記グループ化する工程でグループ化した形状データを分析し、分析した形状データのサイズがおおよそ同じ大きさの部品に統合又は分割する工程と、
前記統合又は分割する工程で統合又は分割した前記部品毎の形状データを符号化する工程と、
前記符号化する工程で符号化した3D形状データを前記親システムのデータ格納装置に登録する工程と
からなる。
【0051】
前記子システムからなる利用者は、座標入力装置で表示しようとする3Dモデルの取得リクエストを指示し、3Dモデルを送信した前記子システムは、指示座標値から表示すべき3DモデルのIDを受け取り、前記子システムは、このIDとともに3Dモデルの取得リクエストを前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、受信したID用いて前記利用者からリクエストされた3Dモデル情報を前記データ格納装置から取得する工程と、
前記親システムは、前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報を、前記インターネット通信装置を介して前記利用者に送信する工程と、
前記親システムから受信した3Dモデル情報を前記利用者の3Dモデル表示装置で表示する工程と
を付加する。
【0052】
前記データ格納装置から取得した3Dモデル情報が複数の形状データに分割されている場合、親システムは、前記データ格納装置から取得した複数の符号化された3Dモデル情報を、逆符号化により3次元情報に戻し、1個ずつ残りがなくなるまでリクエストのあった子システムに送信し、これを前記子システムで表示する。
【0053】
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに前記3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する工程と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなる。
【0054】
前記座標を算出する工程は、入力した投影面上の座標から3Dモデルに向かって平行に仮想的な直線を引き、直線が3Dオブジェクトと重なる場合は衝突ありとして、投影面に近い箇所の座標を返し、直線が3Dオブジェクトと重ならない場合は、衝突なしの処理をする。
【実施例0055】
Webブラウザにおける3D表現
Webブラウザで3Dモデルを表示するには、主に以下の2つの方法がある。
(1)対象Webブラウザ専用のプラグインソフトウェアを開発する方法
(2)WebGL技術を用いる方法
最近は、主要なWebブラウザが前記WebGL技術に対応しており、さらに、WebGLを用いたソフトウェア開発を効率化するためのライブラリも容易に入手可能であるため、後者の方法で実現される場合が多い。つまり、従来はユニークな技術であったWebブラウザでの3Dモデルの表示は、現在ではゲーム分野で一般的な技術として用いられている。
【0056】
これに対し、本発明における3Dモデルの扱いは、
・建築物や土木構造物などの、現実世界にすでに存在するか、これから現実世界で作成されるものを対象としている。
・表示対象となる3Dモデルは、ユーザが作成したもの、保持しているものであり、それら3Dモデルの表示が、利用者の主たる目的となる。
【0057】
クラウドビューア
従来は、建築物、土木構造物の設計、施工は2次元の設計図を用いて行なわれていたが、コンピュータグラフィックス技術の進歩と、コンピューターの処理能力の向上に伴い、設計対象の建築物、土木構造物を3Dモデルの集合として表現し、設計、施工の作業効率を向上させる試みが先進国を中心に行なわれるようになってきた。この試みはBIM、またはCIMと呼ばれている。
BIM、CIMにおける設計作業は、主に3DCADを用いて行なわれており、3DCAD自体はスタンドアロン型のソフトウェアであり、ネットワークには接続しない。しかしながら、3DCADで作成された成果物(3Dモデルのファイル)は、クラウド型のファイル共有サービスで流通する場合がしばしばあり、そこで3DモデルをWebブラウザで閲覧する目的で、前述のWebGL技術が用いられる場合がある。
クラウドビューアで3Dモデルを扱う場合、3Dモデルはクラウドサーバに保存され、同一の3Dモデルを多数のユーザが共有できるが、情報のやり取りは一方通行であり、3Dモデルに付随する情報(視点、指示位置)が共有されないため、単に3Dモデルを視覚化するという用途にしか使えない。
【0058】
一方で、本発明では、多数のユーザ間で、3Dモデルの形状情報だけでなく、付随情報がリアルタイムで双方向に送受信される。約1秒間で同期する。
【0059】
前提知識
本発明における3Dモデルの表示には以下の情報を用いる。
(1)サイト
サイトとは、3Dモデルを配置するための空間のことを言い、会議の参加者は、会議中に同一のサイトにアクセスする。
(2)3D(3次元)モデル
複数の三角ポリゴンの組み合わせで表現される。各ポリゴンは3つの3D座標を保持する。サイト内に複数の3Dモデルを配置できる。3Dモデルの座標値は固定であり変更されない。
(3)カメラ
サイト内に1個だけ存在する。
(4)光源
3Dモデルを照らす光。
(4)投影面
3Dモデルを2次元平面であるディスプレイに表示するため、3Dモデルは2次元平面に投影されることになる。その平面を投影面と呼ぶ。
【0060】
本発明では、カメラの位置が3Dモデルを構成するポリゴンは構成空間上に固定で表示され、座標値が変わることはない。
【0061】
本発明のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置及びその方法を実施するためのシステム構成を図面に基づき説明する。
図1において、親システム(サーバ)10は、インターネット12により1又は複数の子システム(Web会議参加者端末)11a、11b、…11nと結合されている。
【0062】
図2において、前記親システム10は、バス9により繋がれたCPU13、メモリ14、ディスク15、Web会議親装置16、3Dモデル構築装置19、データ格納装置18、リアルタイム通信装置19、インターネット通信装置20からなる。
【0063】
前記CPU13は、前記親システム10の全体を制御する中央処理演算装置である。
前記メモリ14は、前記CPU13で処理するために、一時的にソフトウェアやデータを保持するための装置である。
前記ディスク15は、ソフトウェアやデータを永続化して保持するための装置である。
前記Web会議親装置16は、Web会議における映像処理、音声処理、テキスト処理(チャット機能)、デスクトップ共有の処理を司る。複数の参加者(子システム11a、11b、…11n)から送信されてくる映像、音声、テキストを統合し、複数の参加者に送信する。また、いずれかの参加者から送信されてくるデスクトップ画像を他の複数の参加者に送信する。
前記3Dモデル構築装置17は、データ読み込み回路、3Dモデル構築回路、形状分割回路、符号化回路等からなり、Web会議における3Dモデルに関わる処理を実行する。また、前記データ格納装置18からデータを取り出し、3Dモデルとして構築して、子システム11a、11b、…11nに送信する。
前記データ格納装置18は、3Dモデル、参加者情報、朱書き情報を保持する。
前記リアルタイム通信装置19は、認証処理、データ送信、データ受信処理を実行する。また、現時点の参加者情報も保持する。
前記インターネット通信装置20は、LAN(Local Area Network)と前記インターネット12を接続して通信できるように、必要なネットワーク機器類(スイッチ、ルータ、ファイアウォール等)を組み合わせたものである。
【0064】
図3において、前記子システム11は、バス31により繋がれたCPU21、メモリ22、ディスク23、映像出力装置24、音声出力装置25、文字入力装置26、座標入力装置27、3Dモデル表示装置28、Web会議子装置29、インターネット通信装置30からなる。
【0065】
前記CPU21は、前記子システム11の装置全体を制御する中央処理演算装置である。
前記メモリ22は、前記CPU21で処理するために、一時的にソフトウェアやデータを保持するための装置である。
前記ディスク23は、ソフトウェアやデータを永続化して保持するための装置である。
前記映像出力装置24は、液晶ディスプレイなどからなる。
前記音声出力装置25は、マイクなどからなる。
前記文字入力装置26は、キーボードなどからなる。
前記座標入力装置27は、マウスなどからなる。
前記3Dモデル表示装置28は、3Dモデルのファイルを読み込む「3Dモデル読み込み回路」と、3Dモデルを表示する「3Dモデル表示回路」等からなる。
前記親システム10から送られてくる3Dモデルと朱書き情報を処理し、前記子システム11の映像出力装置24に出力する。
前記Web会議子装置29は、Web会議における、映像処理、音声処理、テキスト処理(チャット機能)、デスクトップ共有の処理を司る。前記親システム10の前記Web会議親装置16から送られてくる映像、音声、テキスト、デスクトップ共有画像を受信する。また、子システム11から親システム10に映像、音声、テキスト、デスクトップ共有画像を送信する。
前記インターネット通信装置30は、LAN(Local Area Network)とインターネットを接続して通信できるように、必要なネットワーク機器類(スイッチ、ルータ、ファイアウォール等)を組み合わせたもので、前記インターネット12に繋がれる。
【0066】
本発明は、
図4に示すように、会議参加者のそれぞれ(親システム10と子システム11のすべて)が、同時に、同じ3Dモデルを閲覧可能で、かつ、3Dモデルの任意の箇所を指し示すことができる機能である。
本機能は、以下のサブ機能の組み合わせで実現される。
(1)3Dモデル登録機能
子システム11から親システム10に3Dモデル情報を送信し、登録する。
(2)3Dモデル表示機能
親システム10に登録されている3Dモデル情報を取得し、子システム11に表示する。
(3)3Dモデル指示機能
子システム11に表示される3Dモデルの任意の位置を指示し、指示した情報を他の参加者が操作する子システムに送信する。
これら(1)(2)(3)の動作フローを以下に詳細に説明する。ただし、認証工程は、省略する。
【0067】
(1)3Dモデル登録機能(
図5)
A101工程
子システム11aは、3Dモデル表示装置28に内蔵する3Dモデル読み取り回路を用い、表示したい3Dモデルのファイルを、この子システム11aに読み込む。
A102工程
前記A101工程で読み込んだ3Dモデルデータをインターネット通信装置30とインターネット12を介して親システム10に送信する。
A103工程
親システム10は、子システム11aから送られてきた一次元のデータ列の意味を解釈し、3Dモデルの種別(建築物、土木構造物、地形等)を判断する。
A104工程
親システム10は、前記A103工程でデータ解析処理した結果、建築物、土木構造物の3Dモデルであれば、それらを構成する部材毎に分割する。分割された部材毎の一塊の形状データを「部品」と呼ぶ。例えば、橋梁の場合、「橋脚」、「橋桁」、「床版」…などの部品毎に分割する。
A105工程
親システム10は、前記A103工程でデータ解析処理した結果、地形の3Dモデルであれば、形状データの大きさや個数を分析し、処理単位の形状データのサイズがおおよそ同じになるように分割する。分割された地形の一部分の形状データを「部品」と呼ぶ。地形の場合、例えば、「100m×100m=1ha毎」、「50m×50m=0.25ha毎」など、通信その他の処理がし易いように、例えば、100kバイトなどの所定の大きさの部品毎に分割する。
A106工程
親システム10は、前記A104工程又はA105工程で生成した形状データを符号化する。
A107工程
前記A106工程で符号化した3D形状データを親システム10のデータ格納装置18に登録する。
登録後、残り部品あるかが判断され、残り部品があれば、A106工程に戻り、部品数だけ処理を繰り返す。残り部品がなければ、登録を終了する。
【0068】
(2)3Dモデル表示機能(
図6)
A111工程
子システム11aは、3Dモデルから利用者の視点側の上方斜め方向にカメラの位置を設定する。
A112工程
子システム11aは、カメラ位置近傍と、3Dモデルの中心から点対称の位置に、2つの光源を置く。
A113工程
利用者が座標入力装置27で表示する3Dモデルを指示し、子システム11aは、指示座標値(投影面上の位置)から表示するべき3DモデルのID(識別子)を受け取る。子システム11aは、それらを親システム10に送信する。
A114工程
親システム10は、受信した3DモデルのID(識別子)を用いて、データ格納装置18から3Dモデルデータを引き出す。引き出した3Dモデル情報は、複数の形状データに分割されているため、該当する形状データをすべて引き出す。
A115工程
親システム10は、前記A114工程で引き出した複数の形状データを1個ずつ子システム11aに送信する。引き出した形状データは、前記A106工程での処理により符号化された状態であるため、逆符号化により本来の3次元情報に戻し、それを、子システム11(表示依頼があった子システムのみ)に返送する。
上記を残りの形状データがなくなるまでくり返す。
A116工程
表示依頼があった子システム11は、親システム10から送信されてきた1個の3D形状を表示する。1個の形状を表示した後、残データがある場合は、親システム10から残データが送られてくるのを待つ。全部品を表示すると完了となる。
【0069】
(3)3Dモデル指示機能(
図7及び
図8)
A121工程
図8(a)に示すように、子システム11の映像出力装置24における投影面31に、3Dモデル32が表示されている状態で、利用者Aが子システム11の座標入力装置27で投影面31上の座標値(2次元座標値)「1」と「2」を入力する。
図8(b)に示すように、入力した投影面31上の座標値から、3Dモデル32の基準位置に仮想的な直線35を引き、この直線35が3Dモデル32と重なる場合(座標値「1」の場合)は、衝突ありとして、最も手前(投影面に近い)箇所Xの座標を返す。直線35が3Dモデル32と重ならない場合(座標値「2」の場合)は、衝突なしとする。
A122工程
子システム11は、算出した3Dモデル32上の座標値(
図8(c)に示す目印(マーカーオブジェクト)33の位置の3次元座標値)をインターネット通信装置30、インターネット12を介して親システム10に送信する。
A123工程
親システム10は、受信したデータを解析し、3Dモデル32の指示データであれば、次のA124工程の処理を実行する。なお、その他のデータであった場合、それ相応の処理を実施することになるが、本発明とは関係がないため説明は省略する。
A124工程
親システム10には、子システム11との間で認証処理が行われており、受信した3次元座標値を認証した他の子システム11に送信する。
親システム10には、認証処理で成功した認証情報が保存されているため、現時点で、何個の子システム11が接続されているか、つまり、他の利用者が何人いるかを把握している。そこで、親システム10は、リアルタイム通信装置19を用いて、他の稼働中の子システム11にX位置の3次元座標値を順次送信する。
A125工程
親システム10から3次元座標値を受信した子システム11は、
図8(c)に示すように、3次元座標値の箇所に小さな球などの目印(マーカーオブジェクト)33を生成する。また、子システム11は、利用者を識別するための「利用者名」と「色」を保持しており、該当する色でマーカーオブジェクト33を着色する。
A126工程
マーカーオブジェクト33から、
図8(c)に示すように、利用者Aの視点側に引き出し線35を引き、引き出し線35の末端の利用者の吹き出し表示欄34に、子システム11が保持する「利用者名A」を吹き出し表示する。
9…バス、10…親システム、11(11a、11b、…)…子システム、12…インターネット、13…CPU、14…メモリ、15…ディスク、16…Web会議親装置、17…3Dモデル構築装置、18…データ格納装置、19…リアルタイム通信装置、20…インターネット通信装置、21…CPU、22…メモリ、23…ディスク、24…映像出力装置、25…音声出力装置、26…文字入力装置、27…座標入力装置、28…3Dモデル表示装置、29…Web会議子装置、30…バス、31…投影面、32…3Dモデル、33…目印(マーカーオブジェクト)、34…利用者名の吹き出し表示欄、35…直線、36…引き出し線。
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する手段と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する手段と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに3次元座標値を順次送信する手段と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する手段と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する手段とからなることを特徴とする請求項3記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する装置。
前記子システムの映像出力装置における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システムの座標入力装置で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システムは、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置を介して前記親システムに送信する工程と、
前記親システムは、リアルタイム通信装置を用いて、他の稼働中の子システムに3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システムから3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクトを生成する工程と、
前記子システムは、前記マーカーオブジェクトから、引き出し線を引き、利用者の吹き出し表示欄に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなることを特徴とする請求項9又は10記載のWeb会議参加者により3Dモデルを共有する方法。
前記子システム11の映像出力装置24における投影面に、3Dモデルが表示されている状態で、前記利用者が前記子システム11の座標入力装置27で投影面上の座標値を入力し、入力した投影面上の座標値から、3Dモデルの基準位置に仮想的な直線を引き、この直線が3Dモデルと重なる箇所の座標を算出する工程と、
前記子システム11は、算出した3Dモデル上の座標値を、インターネット通信装置30を介して前記親システム10に送信する工程と、
前記親システム10は、リアルタイム通信装置19を用いて、他の稼働中の子システム11に3次元座標値を順次送信する工程と、
前記親システム10から3次元座標値を受信した前記子システムは、3次元座標値の箇所にマーカーオブジェクト33を生成する工程と、
前記子システム10は、前記マーカーオブジェクト33から、引き出し線36を引き、利用者の吹き出し表示欄34に、利用者名を吹き出し表示する工程とからなることを特徴とする。