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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016709
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230126BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230126BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102359
(22)【出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】202110828513.1
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】莊 福明
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 于▲あん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 銓仲
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA42
2H088HA18
2H088KA05
2H199CA13
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA59
2H199CA63
2H199CA66
2H199CA74
2H199CA83
(57)【要約】
【課題】本発明はヘッドマウントディスプレイを提供し、画像源、導光素子、第1変調素子及び第2変調素子を含む。
【解決手段】画像源は画像光線を提供する。導光素子は画像光線の伝達経路上に配置され、画像光線を伝達する。導光素子は相反する第1面及び第2面を有する。画像光線は第1面において全反射され、かつ、画像光線は第2面から出射される。第1変調素子は導光素子の第1面の一側に配置され、かつ、環境光線の透過率を調整する。導光素子は第1変調素子と第2変調素子との間に設置され、かつ、第2変調素子は画像光線の合焦位置を調整する。本発明が提供するヘッドマウントディスプレイは、装着快適性を高めることができ、かつ良好な表示効果が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイであって、
前記ヘッドマウントディスプレイは画像源、導光素子、第1変調素子及び第2変調素子を含み、
前記画像源は画像光線を提供し、
前記導光素子は前記画像光線の伝達経路上に配置され、前記画像光線を伝達し、前記導光素子は相反する第1面及び第2面を有し、前記画像光線は前記第1面に全反射され、かつ、前記画像光線は前記第2面から出射され、
前記第1変調素子は前記導光素子の前記第1面の一側に配置され、かつ、環境光線の透過率を調整し、及び
前記導光素子は前記第1変調素子と前記第2変調素子との間に設置され、かつ、前記第2変調素子は前記画像光線の合焦位置を調整することを特徴とする、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記導光素子は自由曲面導波管またはプリズムであることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記第1変調素子は前記導光素子の前記第1面に設置され、かつ、前記画像光線は前記第1面に全反射されることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記導光素子の前記第2面は非出光領域及び出光領域を含み、
前記画像光線は前記非出光領域に全反射され、かつ、前記画像光線は前記出光領域を経由して前記第2変調素子まで伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記第1変調素子はさらに前記環境光線の光学収差を調整することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記第1変調素子及び前記第2変調素子は前記環境光線の偏光状態を変えることにより前記環境光線の透過率を調整することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記画像光線の偏光状態と前記環境光線の偏光状態が直交になっていることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記第1変調素子はエレクトロクロミックアセンブリ、電気制御液晶ガラス、電子ペーパーまたは偏光素子であることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記第2変調素子は電気制御液晶ガラス、電気制御液晶レンズまたは偏光素子であることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
前記ヘッドマウントディスプレイはさらにレンズモジュールを含み、
前記レンズモジュールは前記画像光線の伝達経路上に配置され、かつ、前記画像源と前記導光素子との間に位置し、
前記レンズモジュールは少なくとも一つの軸対称の非球面偏心レンズを含むことを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
前記ヘッドマウントディスプレイはさらに、光検出素子及びコントローラーを含み、
前記コントローラーは前記光検出素子及び前記第1変調素子に電気的に接続され、
前記光検出素子は前記環境光線の強度を受けて、変調信号を提供し、
前記コントローラーは前記変調信号に基づいて、前記第1変調素子を制御することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
前記導光素子の前記第1面は光学微構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特にヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
表示技術の進歩とハイテクノロジーに対する人々の期待を背景に、ニアアイディスプレイ(Near Eye Display,NED)及びヘッドマウントディスプレイ(Head-mounted Display,HMD)は今非常に発展ポテンシャルに富んだ技術とされている。関連する応用として、拡張現実(Augmented Reality,AR)技術及び仮想現実(Virtual Reality,VR)技術に分類することができる。なお、拡張現実に応用可能なヘッドマウントディスプレイについて言うと、コンパクトな外形が求められるほか、ユーザにとって異なる環境と場所で異なる光線強度と表示された画像輝度の間の良きバランスが取れるものにしなければならない。
【0003】
例を挙げると、比較的に明るい場所では(例えば屋外)、表示画像の輝度が現実世界の光線強度より低いため、ヘッドマウントディスプレイにおいて現実世界の光強度に対し変調を行う必要がある(現実世界の光強度を低減する)。そのほか、装着の快適性を考えて、ヘッドマウントディスプレイの装着時の重心とユーザの頭部の重心を近づける必要があり、一般的なヘッドマウントディスプレイではレンズと目との間の距離(即ち、頂点距離)をなるべく短くしているため、この状態で従来の視力矯正メガネを加えるようとすると、頂点距離の短いヘッドマウントディスプレイの使用に不利になる。
【0004】
「背景技術」部分は本発明内容に対する理解を促すためのものであり、「背景技術」に開示された内容には当業者が既知の従来技術以外の一部構成が含まれている可能性がある。「背景技術」に開示された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に把握または認識されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が提供するヘッドマウントディスプレイは、別途メガネを装着せずとも、装着重心を最適化し、かつ、装着の快適性を高めるとともに、異なる光強度条件においても優れた表示効果が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からさらに理解を深めることができる。
【0007】
前記一つ、一部または全ての目的、及びその他の目的を達成するために、本発明が提供するヘッドマウントディスプレイは、画像源、導光素子、第1変調素子及び第2変調素子を含む。画像源は画像光線を提供する。導光素子は画像光線の伝達経路上に配置されて画像光線を伝達する。導光素子は相反する第1面及び第2面を有する。画像光線は第1面において全反射され、かつ、画像光線は第2面から出射される。第1変調素子は導光素子の第1面の一側に配置され、かつ、環境光線の透過率を調整する。導光素子は第1変調素子と第2変調素子との間に設置され、かつ、第2変調素子は画像光線の合焦位置を調整する。
【0008】
これにより、本発明の実施例は少なくとも以下の利点または効果の一つを有する。本発明のヘッドマウントディスプレイにおいて、画像源は画像光線を導光素子まで提供し、かつ、人の目まで反射、伝達する。なお、導光素子は第1変調素子と第2変調素子との間に配置され、第1変調素子は環境光線の透過率を調整し、かつ、第2変調素子は画像光線の合焦位置を調整する。従って、第1変調素子によって人の目まで伝達される環境光線の強度を調整することで、異なるシチュエーションに適用させ、及び、第2変調素子によって画像光線の合焦位置を調整することで、ユーザの視力レベルに合わせて、良好な光学効果を高めることができる。これにより、ユーザは別途メガネを装着する必要がなく、ヘッドマウントディスプレイを装着する重心をさらに最適化させて、かつ、装着快適性を高めるとともに、異なる光強度条件においても良好な表示効果が得られる。
【0009】
本発明の前記特徴と利点をより明確、分かりやすく示すために、以下は実施例を挙げて、かつ図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図。
図2】本発明の別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図。
図3】本発明のさらに別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図。
図4】本発明のさらに別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の前記及びその他の技術内容、特徴と効果について、以下は図面を参照しながら、好ましい実施例の詳細説明においてより明確に示すとする。以下の実施例で言及される方向用語、(例えば、上、下、左、右、前または後など)は図面を参照する方向のみである。従って、使用される方向用語は説明を目的とし、本発明を制限するものではない。
【0012】
図1は本発明の一実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図である。図1を参照する。本実施例が提供するヘッドマウントディスプレイ100は、矯正メガネを別途配置せずとも、ユーザに拡張現実(Augmented Reality、AR)を体験させることができ、かつ比較的に優れた重心配置を有する。ヘッドマウントディスプレイ100は画像源110、導光素子120、第1変調素子130及び第2変調素子140を含む。画像源110は画像光線L1を提供する。本実施例において、画像源110は例えば有機発光ダイオードディスプレイ(organic light-emitting diode display、OLED display)、液晶ディスプレイ(thin film transistor liquid crystal display、LCD display)またはマイクロ投影装置であるが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
導光素子120は画像源110が提供する画像光線L1の伝達経路上に配置され、画像光線L1をユーザの目Eまで伝達する。本実施例において、導光素子120は例えば自由曲面導波管(freeform waveguide)またはプリズム等の画像光線L1を伝達可能な光学構造によって構成されるが、本発明はこれに限定されない。導光素子120は少なくとも一つのカップリング構造122を含み、ユーザの目Eの相対位置に対応して配置され、画像光線L1がカップリング構造122まで伝達さると、画像光線L1を人の目の中まで反射して虚像を形成する。カップリング構造122の種類と数は設計ニーズによるものとするが、本発明はこれに限定されない。例を挙げると、一実施例において、カップリング構造122は二つの異なる(例えば、屈折率が異なる)部分の導光素子120の部材を組み合わせて構成された反射表面であって、かつ、この反射表面が自由曲面であってもよい。
【0014】
導光素子120は相反する第1面S1及び第2面S2を有し、例えば、第1面S1は導光素子120のユーザの目Eと逆の(または離れた)表面に位置し、第2面S2は導光素子120のユーザの目Eに面した表面に位置する。画像光線L1は第1面S1上に全反射される。言い換えれば、画像光線L1は第1面S1から出射されて外部まで伝達されることない。なお、画像光線L1を第1面S1上に全反射させる方法として、例えば、導光素子120と外部構造(例えば、後述する第1変調素子130)の屈折率の差を調整することで画像光線L1を全反射させ、または、画像光線L1が導光素子120に入射される角度を調整することで画像光線L1を全反射させることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
また、画像光線L1は第2面S2から出射され、かつユーザの目Eまで伝達され、例えば、画像光線L1は第2面S2の一部において全反射され、かつ、第2面S2の別の一部から出射される。さらに言うと、導光素子120の第2面S2は非出光領域A1及び出光領域A2を含み、その出光領域A2の位置がユーザの目Eの位置(即ち、通常人の目が存在する位置範囲)をカバーし、具体的に言うと、導光素子120の第2面S2上において、出光領域A2を除けば、全て非出光領域A1としてもよい。画像光線L1は第2面S2の非出光領域A1において全反射され、かつ、画像光線L1は出光領域A2を経由して外部(後述する第2変調素子140)まで伝達されるため、ユーザが出光領域A2から画像を観察することができる。また、画像光線L1を第2面S2の非出光領域A1において全反射させる方法として、例えば、導光素子120と外部構造(後述する第1変調素子130)の屈折率の差を調整することで画像光線L1を全反射させ、または、画像光線L1が導光素子120に入射される角度を調整することで画像光線L1を全反射させることができるが、本発明はこれに限定されない。一実施例において、導光素子120の第1面S1及び/または第2面S2の非出光領域A1に光学微構造を有するように設計し、画像光線L1の全反射効果を高めることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0016】
本実施例において、ヘッドマウントディスプレイ100はさらにレンズモジュール150を含み、レンズモジュール150は画像光線L1の伝達経路上に配置され、かつ、画像源110と導光素子120との間の伝達経路上に位置する。レンズモジュール150は少なくとも一つの光学レンズによって構成され、画像光線L1を導光素子120まで伝達する。本実施例において、レンズモジュール150は少なくとも一つの軸対称の非球面偏心レンズ(eccentric lenses)を含む。従って、導光素子120中のカップリング構造122の幾何設計を非軸対称の自由曲面で構成することもできる。これにより、導光素子120全体の厚さを低減することができるが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、画像光線L1をスムーズに導光素子120まで伝達するよう、画像源110と導光素子120との間の伝達経路上にさらにその他の光学素子、例えば反射鏡を含んでもよい。
【0017】
さらに言うと、第1変調素子130は導光素子120の第1面S1の一側に配置され、かつ、環境光線L2の透過率を調整する。なお、環境光線L2は外部から第1変調素子130、導光素子120及び第2変調素子140を順に通過してユーザの目Eまで伝達される光として示され、即ち、ユーザの正面の外部景色である。具体的に言うと、本実施例において、第1変調素子130は導光素子120の第1面S1に直接設置されている。従って、導光素子120の内部において伝達される画像光線L1は、入射角度及び導光素子120と第1変調素子130の屈折率の差によって、画像光線L1が導光素子120の第1面S1上における全反射効果を達成できるが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、第1変調素子130と導光素子120との間に空隙を有する設計とすることで、画像光線L1が導光素子120の第1面S1における全反射効果を達成できる。第1変調素子130は例えば電気制御(electrical control)素子であり、そのため、異なる電気パラメータで環境光線L2の透過率を調整し、さらに環境光線L2が人の目まで伝達される強度を変えることができる。例を挙げると、ヘッドマウントディスプレイ100はさらに光検出素子及びコントローラー(図示せず)を含む。なお、コントローラーは光検出素子及び第1変調素子130に電気的に接続され、光検出素子は環境光線L2の強度を受けて、変調信号を提供し、コントローラーは変調信号に基づいて第1変調素子130を制御する。
【0018】
第2変調素子140は導光素子120の第2面S2の一側に配置され(即ち、導光素子120は第1変調素子130と第2変調素子140との間に位置し)、かつ、画像光線L1の合焦位置を調整して(即ち、合焦位置とユーザの目Eの距離を変えて)、異なるユーザに適用される。つまり、本実施例のヘッドマウントディスプレイ100は視力補償機能を有するため、視力レベルが異なるユーザに応用できるとともに、視力補償用のメガネの交換または別途配置は不要である。具体的に言うと、本実施例において、第2変調素子140は導光素子120の第2面S2に直接設置される。従って、導光素子120の内部に伝達される画像光線L1は、入射角度及び導光素子120と第2変調素子140の屈折率の差によって、画像光線L1が導光素子120の第2面S2上における全反射効果を達成できるが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、第2変調素子140と導光素子120との間に空隙を有する設計とすることで、画像光線L1が導光素子120の第2面S2上における全反射効果を達成できる。第2変調素子140は例えば電気制御素子であるため、異なる電気パラメータによって画像光線L1の合焦位置を調整し、さらにユーザの視力レベルに合わせて、光学効果を高めることができる。図1が示す画像光線L1の光路伝達方式(ユーザの目Eに向かって合焦)は例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0019】
具体的に言うと、第1変調素子130及び第2変調素子140は何れも電気制御素子を使用した実施例において、第1変調素子130及び第2変調素子140は電極構造を有し、この電極構造として可視光周波数帯で良好な透過率を有する構造または材質、例えば、透光電極または微構造電極を選択してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0020】
図2は本発明の別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図である。図2を参照する。ここで、領域C1は第2変調素子140Aの一部を拡大したものである。例を挙げると、図1に類似する一実施例において、ヘッドマウントディスプレイ100Aの第2変調素子140Aは例えば電気制御液晶レンズであり、二つの電極層142及びこの二つの電極層142の間に挟まれるように固定された液晶層144、二つの電極層142及び液晶層144が例えば液晶レンズを形成し、かつ、異なる電圧を印加することにより液晶レンズの合焦位置を変えることができる。本実施例において、さらに直線(linear)偏光素子(図示せず)を含み、導光素子120と第2変調素子140との間に設置され、これにより、直線偏光素子及び液晶層144中の液晶分子(図示せず)の分布によって液晶レンズの効果が得られる。また、二つ電極層142は透光電極材料で作製され、例えば、酸化インジウム錫(indium tin oxide、ITO)であり、かつ、ガラスまたはプラスチックを基板(図示せず)とする。従って、本実施例において、導光素子120の屈折率をN1とし、空気層Gの屈折率をN2とし、電極層142の屈折率をN3とし、かつ、液晶層144の屈折率をN4とした場合、N1がN2より大きく、N3がN1より大きいという特性にすることで、画像光線L1を導光素子120の第2面S2上に全反射させる効果が得られる。同じように、類似する構造を第1変調素子130にも応用することで、画像光線L1を導光素子120の第1面S1上に全反射させる効果が得られるが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、第2変調素子140Aは電気制御液晶ガラスまたは偏光素子であって、それぞれ異なる効果を有するとしてもよい。
【0021】
図3は本発明のさらに別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図である。図3を参照する。ここで、領域C2は第1変調素子130Aの一部を拡大し、分解した概略図である。なお、第1変調素子130A及び第2変調素子140は何れも偏光素子を使用した実施例において、第1変調素子130A及び第2変調素子140を調整することで、環境光線L2の偏光状態を変えて、さらに環境光線L2の透過率を調整することができる。例を挙げると、本実施例において、ヘッドマウントディスプレイ100Bの第1変調素子130Aは例えば電気制御液晶ガラスであり、直線偏光シート(linear polarization sheet)132及び液晶コントロールボックス134を含み、非偏光状態の環境光線L2が伝達されて直線偏光シート132を通過した後、環境光線L2が直線偏光状態に変換され、かつ、液晶コントロールボックス134を通過することで、環境光線L2の直線偏光方向が調整される。本実施例において、さらに偏光素子(図示せず)を含み、それは第1変調素子130Aと第2変調素子140との間に設置され、例えば、第1変調素子130Aと導光素子120との間(または、導光素子120と第2変調素子140との間)に設置される。このように、環境光線L2の直線偏光方向と偏光素子の透過軸方向の電気制御調整により、環境光線L2の透過率を調整する(即ち、環境光線L2の光強度を調整)。なお、第2変調素子140が偏光アセンブリであれば、第2変調素子140の偏光アセンブリを直接利用し、偏光素子の設置を省略してもよい。このように、第1変調素子130A及び第2変調素子140の素子整合により、ヘッドマウントディスプレイ100Bの厚さをさらに低減することができる。別の実施例において、第1変調素子130Aはエレクトロクロミックアセンブリ、電子ペーパーまたは偏光素子であって、それぞれ異なる効果を有するとしてもよい。
【0022】
図4は本発明のさらに別の実施例のヘッドマウントディスプレイの概略図である。図4を参照する。ここで、領域C3は第1変調素子130Bの一部を拡大し、分解した概略図である。ヘッドマウントディスプレイ100Cの第1変調素子130Bにおいて、直線偏光シート132と液晶コントロールボックス134のユニットの外側に調光層136、例えばエレクトロクロミックアセンブリ(Electrochromic、EL)を配置することで、環境光線L2を直線偏光に変換する効果を達成できる。従って、前記図3及び図4の実施例において、さらに、第1変調素子130A、130Bの液晶コントロール状態を調整することで異なるシチュエーションに応用することができる。例を挙げると、屋外の光線が十分な環境において、第1変調素子130A、130Bを調整することで、環境光線L2が第2変調素子140に対する透過率を低減することができる。屋内環境において、第1変調素子130A、130Bを調整することで環境光線L2が第2変調素子140に対する透過率を強化することができる。これにより、ヘッドマウントディスプレイ100B、100Cの良好な表示効果を維持できる。その他、さらに、環境光線L2が第1変調素子130A、130B及び第2変調素子140を通過する光線の偏光状態を調整して、画像光線L1の偏光状態と環境光線L2がユーザの目Eまで伝達された時の偏光状態とが直交するようにする。これにより、現実世界とヘッドマウントディスプレイ100B、100Cの表示画像の画像コントラストをさらに高めることができる。
【0023】
引き続き図1を参照する。なお、本実施例において、第1変調素子130はさらに環境光線L2の光学収差を調整する機能を備えてもよく、例えば、電気制御液晶レンズの機能を有する(構造的に図2の第2変調素子140Aに類似するものを含む)。詳しく言うと、ユーザが第2変調素子140を用いて視力補償を行う必要がある場合、環境光線L2が伝達されて第2変調素子140を経由する時に、第2変調素子140の調整により光学特性及び合焦が変更され、収差または画像の歪みが発生する。従って、第1変調素子130はさらに、第2変調素子140の調整状態に基づいて逆補償を行い、第2変調素子140を経由する環境光線L2が第2変調素子140の調整状態の影響を受けないようにして、収差または画像の歪みの発生を防ぐものである。例を挙げると、第2変調素子140が通過する画像光線L1に対し合焦効果を与える場合、第1変調素子130はこの第1変調素子130を通過する環境光線L2を調整して発散効果が得られるようにする。言い換えれば、環境光線L2が第1変調素子130を通過することで発散効果が得られ、かつ、第2変調素子140を通過することで合焦効果が得られるため、環境光線L2は実世界の光学状態に戻され、歪みが生じない。これにより、ヘッドマウントディスプレイ100の表示効果をさらに高めることができる。
【0024】
以上を纏めると、本発明のヘッドマウントディスプレイにおいて、画像源は導光素子に画像光線を提供し、かつ、画像光線を人の目まで反射して伝達する。なお、導光素子は第1変調素子と第2変調素子との間に配置され、第1変調素子は環境光線の透過率を調整し、かつ、第2変調素子は画像光線の合焦位置を調整する。従って、第1変調素子によって環境光線が人の目まで伝達される強度を調整することで、異なるシチュエーションに適用させ、及び、第2変調素子によって画像光線の合焦位置を調整することで、ユーザの視力レベルに合わせて、良好な光学効果を高めることができる。これにより、ユーザが別途メガネを装着する必要がなく、ヘッドマウントディスプレイを装着する重心をさらに最適化させて、装着快適性を高めるとともに、異なる光強度条件においても良好な表示効果が得られる。
【0025】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、これを以って本発明の実施範囲を制限すべきではない。即ち、本発明の請求の範囲及び発明の内容を基に行った簡単かつ等価な変更と修正はすべて本発明の範囲内に属する。また、本発明の任意の実施例または請求項は必ずしも本発明で開示されたすべての目的または利点または特徴を備えるとは限らない。また、要約書と発明の名称は特許文献検索に利用されるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、明細書または請求の範囲で言及される「第1」、「第2」等の用語は素子(element)の名称を示し、または異なる実施例や範囲を区別するものであり、素子の数の上限または下限を制限するものではない。
【符号の説明】
【0026】
100、100A、100B、100C ヘッドマウントディスプレイ
110 画像源
120 導光素子
122 カップリング構造
130、130A、130B 第1変調素子
132 直線偏光シート
134 液晶コントロールボックス
136 調光層
140、140A 第2変調素子
142 電極層
144 液晶層
150 レンズモジュール
A1 非出光領域
A2 出光領域
C1、C2、C3 領域
E ユーザの目
L1 画像光線
L2 環境光線
S1 第1面
S2 第2面
図1
図2
図3
図4