(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167103
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20231116BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078011
(22)【出願日】2022-05-11
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】508173255
【氏名又は名称】株式会社SPREAD
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】筒井 孝
(72)【発明者】
【氏名】川平 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】新井 智裕
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB07
5E322BB03
5E322EA10
5E322EA11
5F136BB01
5F136CA06
5F136DA33
5F136FA01
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】半導体素子から生じた熱の放熱性に優れるとともに、省スペース化や、汎用性に優れた半導体パッケージを提供する。
【解決手段】本発明の半導体素子パッケージは、半導体素子11が配置され、半導体素子11が配置された面に半導体素子11に対して電気的に接続可能な配線パターン122が形成された金属基板12と、半導体素子11の配置箇所を除く、金属基板12の半導体素子11が配置された面に当接する放熱板13とを有し、放熱板13は、金属基板12と当接する面には、金属基板12に形成された配線パターン122に対応した配線パターン132が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が配置され、前記半導体素子が配置された面に前記半導体素子に対して電気的に接続可能な配線パターンが形成された金属基板と、
前記半導体素子の配置箇所を除く、前記金属基板の前記半導体素子が配置された面に当接する放熱板と、
を有し、
前記放熱板は、前記金属基板と当接する面には、前記金属基板に形成された前記配線パターンに対応した配線パターンが形成されていることを特徴とする半導体素子パッケージ。
【請求項2】
前記金属基板の表裏両側に半導体素子が配置され、前記放熱板が前記金属基板を挟持することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子パッケージ。
【請求項3】
前記半導体素子は、LED素子であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の半導体素子パッケージ。
【請求項4】
車両用照明灯に用いられることを特徴とする請求項1、又は2に記載の半導体素子パッケージ。
【請求項5】
車両用照明灯に用いられることを特徴とする請求項3に記載の半導体素子パッケージ。
【請求項6】
請求項1、又は2に記載の半導体素子パッケージを有することを特徴とする車両用照明灯。
【請求項7】
請求項3に記載の半導体素子パッケージを有することを特徴とする車両用照明灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明に用いることが可能な半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の一つであるLED素子は高出力化及び小型化が進んでおり、LED素子が搭載された車両用照明灯においては、従来よりも高い放熱性が求められている。一方、放熱部材の省スペース化や、部品の汎用性も求められている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたLED素子を用いた車両用前照灯は、LED素子から生じた熱をLED素子が配置された金属基板を、放熱フィンが形成された放熱部材により直接挟持した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LED素子が配置された金属基板には、配線パターンが形成されていることから、当該金属基板の配線パターンごとに適した放熱フィンが形成された放熱部材を製造しなければならず、汎用性に劣っていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、半導体素子から生じた熱の放熱性に優れるとともに、省スペース化や、汎用性に優れた半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の半導体パッケージは、半導体素子が配置され、前記半導体素子が配置された面に前記半導体素子に対して電気的に接続可能な配線パターンが形成された金属基板と、前記半導体素子の配置箇所を除く、前記金属基板の前記半導体素子が配置された面に当接する放熱板と、を有し、前記放熱板は、前記金属基板と当接する面には、前記金属基板に形成された前記配線パターンに対応した配線パターンが形成されていることを特徴とする。
本発明の半導体パッケージは、半導体素子から生じた熱の放熱性に優れるとともに、省スペース化や、汎用性に優れている。
【0008】
また、本発明の半導体パッケージは、前記金属基板の表裏両側に半導体素子が配置され、前記放熱板が前記金属基板を挟持することを特徴とする。
本発明の半導体パッケージは、半導体素子から生じた熱の放熱性に優れる。
【0009】
また、本発明の半導体パッケージは、前記半導体素子は、LED素子であることを特徴とする。
本発明の半導体パッケージは、LED素子が生じた熱を効率よく放熱することができる。
【0010】
また、本発明の半導体パッケージは、車両用照明灯に用いられることを特徴とする。
本発明の半導体パッケージは、優れた放熱性が求められる車両用照明灯に用いることができる。
【0011】
また、本発明の車両用照明灯は、半導体素子パッケージを有することを特徴とする。
本発明の車両用照明灯は、放熱性に優れた半導体素子パッケージを有することから発光部として用いられるLED素子から生じた熱を効率よく放熱させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体パッケージは、半導体素子から生じた熱の放熱性に優れるとともに、省スペース化や、汎用性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施形態の半導体パッケージの平面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の半導体パッケージの展開図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の金属基板の平面図である。
【
図6】本発明に係る実施形態の放熱板の平面図である。
【
図8】本発明に係る実施形態の半導体パッケージを用いた自動車用照明灯の全体斜視図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の別実施例の平面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の別実施例の金属基板の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の半導体パッケージを、
図1~7に基づいて、説明する。
【0015】
図1~3に示す本発明に係る実施形態の半導体パッケージ10は、半導体素子であるLED素子11が配置され、LED素子11が配置された面12aにLED素子11に対して電気的に接続可能な配線パターンが形成された金属基板12と、LED素子11の配置箇所を除く、金属基板12のLED素子11が配置された面12aに当接する放熱板13とを有する。
【0016】
LED素子11は、光源であり、
図4,5に示すように、金属基板12の表面12a、及び裏面12bに配置される。
【0017】
金属基板12は、
図4,5に示すように、基板部121と、LED素子11に対して電気的に接続可能な配線パターンが形成された配線部122とを有し、基板部121と配線部122との間に、絶縁層123が形成されている層構造である。このように、金属基板12は、LED素子11に対する基板として機能するともに、LED素子11から生じる熱を放熱させる熱伝導部材として機能する。金属基板12は、熱伝導率が高い金属や、当該金属を主成分とした合金、例えば、銅、アルミ等で構成されていると好ましい。
【0018】
放熱板13は、
図6,7に示すように、放熱基板部131と、金属基板12に形成された配線パターンに対応した配線パターンが形成されている放熱配線部132とを有し、放熱基板部131と放熱配線部132との間に、放熱絶縁層133が形成されている層構造である。
【0019】
また、放熱板13は、LED素子11の配置に応じた形状に貫通孔134が形成される。放熱板13は、LED素子11の配置箇所を除く、金属基板12のLED素子11が配置された面12aに当接する。さらに、放熱板13の放熱配線部132は、金属基板12の配線部122と隙間なく当接し、また接着剤や粘着剤も必要としないため、高い熱伝導率を維持することができる。
【0020】
上述した構成を有する本発明の実施形態の半導体パッケージ10は、
図8に示すように、自動車用照明灯20として、用いることができる。
【0021】
自動車用照明灯20は、本発明の実施形態の半導体パッケージ10を挟持する筐体21と、放熱ファン部22とを有する。
【0022】
筐体21は、半導体パッケージ10を挟持した形状が円柱状となるように形成されている。
【0023】
放熱ファン部22は、放熱ファン部22内に設けられた放熱ファンが回転し、LED素子11により生じた熱によって温まった空気を外部へ送りだすことにより、放熱効率を向上させることができる。
【0024】
上述した本発明に係る実施形態の半導体パッケージ10は、LED素子11が金属基板12の表面、及び裏面に配置された構成であるが、
図9、10に示す別実施例のように、LED素子11が金属基板12の表面、及び裏面のうち、一方の面のみ配置したものであってもよい。
【0025】
ここで、
図11、12に示すように、LED素子11が金属基板12Aの表面のみに配置されている。
【0026】
上述した構成を有する本発明に係る実施形態の半導体パッケージ10について、以下のように放熱性試験を実施した。
【0027】
本発明に係る実施形態の半導体パッケージ10の実施例は、金属基板12は、基板部121が厚さ寸法0.8mmの銅基板であって、その表面及び裏面に、厚さ寸法0.075mmの配線部122、及び厚さ寸法0.1mm、厚み方向の熱抵抗値が8K/Wの絶縁層123が設けられている。また、放熱板13は、放熱基板部131が厚さ寸法0.5mmの銅基板であって、その一方の面に、厚さ寸法0.075mmの放熱配線部132、及び厚さ寸法0.1mmの放熱絶縁層133が設けられている。
【0028】
一方、比較例は、基板部121に相当する、厚さ寸法1.6mmの銅基板に対して、その表面及び裏面に、厚さ寸法0.075mmの放熱配線部132、及び厚さ寸法0.1mm、厚み方向の熱抵抗値が8K/Wの放熱絶縁層133が設けられている。
【0029】
実施例及び比較例で使用したLED素子は、バイク用照明灯で使用されているSeoulSemicondutor社製のSZ8-Y19-W0-C9を3基用いた。
【0030】
さらに、実施例及び比較例に対して、定電流電源にて0.25Aを流し、走行灯位置に相当する3基のLED素子の順電流(Vf)及びサーミスタ(村田製作所製:NCU18WB473J6SRB)の抵抗値(kΩ)を測定した。開始抵抗値は52.3Ω(22.6℃)であり、30秒間隔で当該順電流(Vf)及び当該抵抗値(kΩ)を、15分間にわたって計測した。ここで、サーミスタは、温度変化により抵抗値が変化する電子部品であり、温度変化を抵抗値の減少で確認することができる。
【0031】
上述した試験条件に基づき、実施した放熱性試験の結果を表1に記す。また、抵抗温度特性は、サーミスタのデータシートより一部抜粋したものを表2に記す。
【0032】
【0033】
【0034】
実施例と比較例における計測時間15分後のVf初期Δの差は51mVであった。ここで、実施例と比較例で使用したLED素子はガリウム砒素(GaAs)を使用しており、その温度係数は1基あたり16mV/℃であった。当該実施例と比較例とでは、直列配置した3基のLED素子の順電圧を確認していることから48mV/℃に相当し、実施例と比較例とでは1.0625℃の温度差があった。また、当該実施例と比較例における15分後の抵抗値を表2に記したサーミスタのデータシートで確認したところ、約0.8℃の温度差が確認できた。さらに、順電圧はLED素子の温度の影響により変化するものであるのに対して、サーミスタは当該LED素子の発熱による金属基板の温度を計測しているため、多少の差異は生じるものの相関の取れたデータであると判断した。
【0035】
バイク用照明灯を利用して実施した上記放熱性試験の測定結果に基づき、自動車用照明灯に用いた場合を想定すると、約10℃の改善が見込めることから、LED温度を同一とした場合、使用可能電力を10%程度増すことができ、明るさを上げることができる。一方、明るさを同一とした場合、LED温度を下げることができ、LED素子の寿命を延ばすことができる。
【0036】
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る半導体パッケージは、水への分散性が高く、半導体素子から生じた熱の放熱性に優れるとともに、省スペース化や、汎用性に優れていることから、自動車用照明灯や、自動二輪車用照明灯にも利用できる。
【符号の説明】
【0038】
10…半導体パッケージ
11…LED素子
12…金属基板
13…放熱板
20…自動車用照明灯
21…筐体
22…放熱ファン部
14…放熱部
121…基板部
122…配線部
123…絶縁層
131…放熱基板部
132…放熱配線部
133…放熱絶縁層
134…貫通孔