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  • 特開-表面保護フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167113
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20231116BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20231116BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20231116BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231116BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/29
C09J175/04
C09J11/06
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078027
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】舟木 千尋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔悟
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AH02C
4F100AH05C
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK36B
4F100AK41B
4F100AK42A
4F100AK51C
4F100AK80B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB05C
4F100GB41
4F100JA09C
4F100JB04C
4F100JG03B
4F100JK06
4F100JL13C
4F100JN06C
4J004AA14
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC03
4J004FA04
4J040EF001
4J040EF262
4J040GA03
4J040HB30
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA31
4J040LA06
4J040LA09
4J040LA10
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】光学部材や電子部材の製造工程において、加工、組立、検査、輸送などの際の該光学部材や該電子部材の表面の傷付き防止のために該光学部材や該電子部材の露出面に貼着される表面保護フィルムであって、優れた軽剥離性と優れた帯電防止性を両立して発現できる表面保護フィルムを提供する。また、そのような表面保護フィルムが貼着された光学部材、電子部材を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による表面保護フィルムは、基材層と帯電防止層と粘着剤層をこの順に有する表面保護フィルムであって、該帯電防止層が、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含み、該粘着剤層を構成する粘着剤が粘着剤組成物から形成され、該粘着剤組成物が、ベースポリマーおよびフッ素系化合物を含み、該ベースポリマーがポリオールである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と帯電防止層と粘着剤層をこの順に有する表面保護フィルムであって、
該帯電防止層が、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含み、
該粘着剤層を構成する粘着剤が粘着剤組成物から形成され、
該粘着剤組成物が、ベースポリマーおよびフッ素系化合物を含み、
該ベースポリマーがポリオールである、
表面保護フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤組成物が脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項3】
前記脂肪酸エステルの分子量が300~400である、請求項2に記載の表面保護フィルム。
【請求項4】
前記粘着剤組成物がイオン性化合物を含む、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項5】
前記表面保護フィルムの粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、23℃で30分間放置した後に該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離した後の、該ポリイミドフィルム表面の残存硫黄量が1.5atomic%未満である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項6】
前記ベースポリマー100重量部に対する前記イオン性化合物の含有割合が0.6重量部~3.0重量部である、請求項4に記載の表面保護フィルム。
【請求項7】
前記イオン性化合物の分子量が200~350である、請求項4に記載の表面保護フィルム。
【請求項8】
前記粘着剤層のヘイズが2.5%以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項9】
前記粘着剤組成物が多官能イソシアネート化合物を含み、該多官能イソシアネート化合物が有するNCO基と前記ポリオールが有するOH基の当量比が、NCO基/OH基として、1.1~2.5である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項10】
前記粘着剤層の表面のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが3mJ/m~12mJ/mである、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項11】
前記ベースポリマー100重量部に対する前記フッ素系化合物の含有割合が0.1重量部~1.3重量部である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれかに記載の表面保護フィルムが貼着された光学部材。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれかに記載の表面保護フィルムが貼着された電子部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学部材や電子部材の製造工程においては、加工、組立、検査、輸送などの際に、該光学部材や該電子部材の表面が傷付くことを防止するために、一般に、該光学部材や該電子部材の露出面に表面保護フィルムが貼り付けられる。このような表面保護フィルムは、表面保護の必要がなくなった時点で、光学部材や電子部材から剥離される(特許文献1)。
【0003】
光学部材や電子部材は、一般に、高価で破損しやすい。このため、光学部材や電子部材の露出面に貼り付けられる表面保護フィルムには、剥離の際に該光学部材や該電子部材を破損させないような優れた軽剥離性が求められる。
【0004】
また、通常、表面保護フィルムや、光学部材や電子部材は、電気絶縁性が高く、摩擦や剥離により静電気を発生する。このため、光学部材や電子部材から表面保護フィルムを剥離する際にも静電気が発生しやすい。このような場合、例えば、静電気が残ったままの状態で液晶に電圧を印加すると、液晶分子の配向が損失したり、パネルの欠損が生じたりする懸念がある。また、静電気の存在は、塵埃を吸引したり、作業性を低下させたりする要因ともなり得る。
【0005】
静電気防止のために、表面保護フィルムの基材に帯電防止処理を施すことが行われている。例えば、剥離層と基材フィルム層とアクリル系粘着剤層をこの順に有する表面保護フィルムにおいて、剥離層と基材フィルム層の間や基材フィルム層とアクリル系粘着剤層の間に帯電防止層を形成することが報告されている(特許文献2)。また、透明樹脂フィルムの一方の面に帯電防止層を有し、その帯電防止層上にさらに再剥離性粘着層を有する再剥離性保護粘着フィルムが報告されている(特許文献3)。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の表面保護フィルムについては、高性能の光学部材や電子部材に貼り合わせる表面保護フィルムに求められるだけの十分に優れた帯電防止性を有するものとはいえず、また、軽剥離性についても十分に優れているものとはいえず、改善の余地がある。また、特許文献3に記載の再剥離性保護粘着フィルムについても、高性能の光学部材や電子部材に貼り合わせる表面保護フィルムに求められるだけの十分に優れた帯電防止性を有するものとはいえない。
【0007】
静電気防止のために、表面保護フィルムを構成する粘着剤層自体に帯電防止性を付与する技術が報告されている。具体的には、帯電防止剤として機能するアルカリ金属塩やイオン液体等のイオン性化合物を粘着剤層中に含有させ、被着体に転写させる方法が行われている(特許文献4)。しかしながら、特許文献4に記載の表面保護フィルムであっても、十分に優れた帯電防止性を発現させるためには改善の余地がある。また、特許文献4に記載の表面保護フィルムにおいては、帯電防止性の程度は、粘着剤層中の帯電防止剤の量に大きく依存する。このため、優れた帯電防止性を求めるために帯電防止剤の量を増やすと、被着体が汚染されてしまい、表面保護フィルムを剥離した後の被着体に新たに別の部材を貼り合わせる場合に、剥がれ等の工程不良の問題が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6613516号公報
【特許文献2】特許第4170102号公報
【特許文献3】国際公開第2013/129303号パンフレット
【特許文献4】特許第6896927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、光学部材や電子部材の製造工程において、加工、組立、検査、輸送などの際の該光学部材や該電子部材の表面の傷付き防止のために該光学部材や該電子部材の露出面に貼着される表面保護フィルムであって、優れた軽剥離性と優れた帯電防止性を両立して発現できる表面保護フィルムを提供することにある。また、そのような表面保護フィルムが貼着された光学部材、電子部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の実施形態による表面保護フィルムは、基材層と帯電防止層と粘着剤層をこの順に有する表面保護フィルムであって、該帯電防止層が、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含み、該粘着剤層を構成する粘着剤が粘着剤組成物から形成され、該粘着剤組成物が、ベースポリマーおよびフッ素系化合物を含み、該ベースポリマーがポリオールである。
[2]上記[1]に記載の表面保護フィルムにおいて、上記粘着剤組成物が脂肪酸エステルを含んでいてもよい。
[3]上記[2]に記載の表面保護フィルムにおいて、上記脂肪酸エステルの分子量が300~400であってもよい。
[4]上記[1]から[3]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記粘着剤組成物がイオン性化合物を含んでいてもよい。
[5]上記[1]から[4]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記表面保護フィルムの粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、23℃で30分間放置した後に該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離した後の、該ポリイミドフィルム表面の残存硫黄量が1.5atomic%未満であってもよい。
[6]上記[4]または[5]に記載の表面保護フィルムにおいて、上記ベースポリマー100重量部に対する上記イオン性化合物の含有割合が0.6重量部~3.0重量部であってもよい。
[7]上記[4]から[6]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記イオン性化合物の分子量が200~350であってもよい。
[8]上記[1]から[7]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記粘着剤層のヘイズが2.5%以下であってもよい。
[9]上記[1]から[8]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記粘着剤組成物が多官能イソシアネート化合物を含み、該多官能イソシアネート化合物が有するNCO基と前記ポリオールが有するOH基の当量比が、NCO基/OH基として、1.1~2.5であってもよい。
[10]上記[1]から[9]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記粘着剤層の表面のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが3mJ/m~12mJ/mであってもよい。
[11]上記[1]から[10]までのいずれかに記載の表面保護フィルムにおいて、上記ベースポリマー100重量部に対する上記フッ素系化合物の含有割合が0.1重量部~1.3重量部であってもよい。
[12]本発明の実施形態による光学部材は、上記[1]から[11]までのいずれかに記載の表面保護フィルムが貼着されたものである。
[13]本発明の実施形態による電子部材は、上記[1]から[11]までのいずれかに記載の表面保護フィルムが貼着されたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学部材や電子部材の製造工程において、加工、組立、検査、輸送などの際の該光学部材や該電子部材の表面の傷付き防止のために該光学部材や該電子部材の露出面に貼着される表面保護フィルムであって、優れた軽剥離性と優れた帯電防止性を両立して発現できる表面保護フィルムを提供できる。また、そのような表面保護フィルムが貼着された光学部材、電子部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一つの実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
【0014】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
≪≪A.表面保護フィルム≫≫
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、基材層と帯電防止層と粘着剤層をこの順に有する。
【0015】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、基材層と帯電防止層と粘着剤層をこの順に有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の部材や他の層を含んでいてもよい。このような他の部材や他の層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の部材や他の層が挙げられる。このような他の部材や他の層としては、例えば、はく離ライナーが挙げられる。
【0016】
図1は、本発明の一つの実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。図1において、表面保護フィルム10は、基材層1と帯電防止層2と粘着剤層3を備える。図1に記載の実施態様では、基材層1と帯電防止層2と粘着剤層3は直接に積層されている。
【0017】
図1において、粘着剤層3の帯電防止層2の反対側の表面には、使用するまでの保護等のために、任意の適切なはく離ライナー(はく離シートやセパレーターと称することもある)が備えられていてもよい(図示せず)。はく離ライナーとしては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理されたはく離ライナー、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされたはく離ライナーなどが挙げられる。
【0018】
ライナー基材としてのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムが挙げられる。
【0019】
はく離ライナーの厚みは、好ましくは1μm~500μmであり、より好ましくは3μm~450μmであり、さらに好ましくは5μm~400μmであり、特に好ましくは10μm~300μmである。
【0020】
本発明の実施形態による表面保護フィルムの厚みは、好ましくは5μm~500μmであり、より好ましくは10μm~450μmであり、さらに好ましくは15μm~400μmであり、特に好ましくは20μm~300μmである。
【0021】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、その粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、温度23℃で30分間放置した後に、温度23℃で該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥がした際の剥離力Aが、好ましくは2gf/25mm以下であり、より好ましくは1.5gf/25mm以下であり、さらに好ましくは1.3gf/25mm以下であり、さらに好ましくは1.2gf/25mm以下であり、特に好ましくは1.1gf/25mm以下であり、最も好ましくは1.0gf/25mm以下である。上記剥離力Aが上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、優れた軽剥離性を発現し得る。なお、製造工程等において意図しない剥がれが生じないために、上記剥離力Aの下限値は、好ましくは0.5gf/25mm以上である。上記剥離力Aの測定方法については、後述する。
【0022】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、その粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、温度50℃で1日放置した後に、温度23℃で該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥がした際の剥離力Bが、好ましくは3.5gf/25mm以下であり、より好ましくは2.5gf/25mm以下であり、さらに好ましくは2.0gf/25mm以下であり、さらに好ましくは1.5gf/25mm以下であり、特に好ましくは1.3gf/25mm以下であり、最も好ましくは1.2gf/25mm以下である。上記剥離力Bが上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、優れた軽剥離性を発現しつつ、剥離力の経時安定性を発現できる。なお、製造工程等において意図しない剥がれが生じないために、上記剥離力Bの下限値は、好ましくは0.5gf/25mm以上である。上記剥離力Bの測定方法については、後述する。
【0023】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、上記剥離力Aから上記剥離力Bへの剥離力経時上昇率(剥離力経時上昇率(%)=(剥離力B/剥離力A)×100(%))が、好ましくは150%以下であり、より好ましくは140%以下であり、さらに好ましくは135%以下であり、特に好ましくは130%以下であり、最も好ましくは125%以下である。上記剥離力経時上昇率の下限値は、小さければ小さいほど好ましく、好ましくは100%以上である。上記剥離力経時上昇率が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離力の経時安定性をより発現できる。
【0024】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、その粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、23℃で30分間放置した後に該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離した後の、該ポリイミドフィルム表面の残存硫黄量が、好ましくは1.5atomic%未満であり、より好ましくは1.4atomic%以下であり、さらに好ましくは1.3atomic%以下であり、さらに好ましくは1.2atomic%以下であり、特に好ましくは1.1atomic%以下であり、最も好ましくは1.0atomic%以下である。上記残存硫黄量の下限値は、小さければ小さいほど好ましく、好ましくは0atomic%以上である。上記残存硫黄量が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、被着体に貼り合わせて剥離した後の該被着体の汚染が抑制され、該被着体に新たに別の部材を貼り合わせる場合に、剥がれ等の工程不良の問題が生じることを抑制し得る。上記残存硫黄量は、表面保護フィルムの粘着剤成分が被着体に対してどの程度表面に転写し汚染しているかの指標となる。上記残存硫黄量の値が小さいほど、被着体が汚染されていない表面保護フィルムであり、上記残存硫黄量の値が大きいほど、被着体が汚染されている表面保護フィルムであると評価できる。上記残存硫黄量の測定方法については、後述する。
【0025】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、その粘着剤層側をポリイミドフィルム表面に貼り合わせて、23℃で1日放置した後に剥離角度180度、剥離速度300mm/分で該表面保護フィルムを該ポリイミドフィルム表面から剥離した後に、該ポリイミドフィルム表面に粘着テープ(長さ150mmに切断した19mm幅の日東電工株式会社製「No.31B」、基材の厚み=25μm)を貼り合わせて、温度23℃で30分間放置した後に、温度23℃で該粘着テープを該ポリイミドフィルム表面から剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥がした際の粘着力を粘着力Cとし、他方、上記の剥離処理を行っていないポリイミドフィルム表面に上記粘着テープを貼り合わせて、温度23℃で30分間放置した後に、温度23℃で該粘着テープを該ポリイミドフィルム表面から剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥がした際の粘着力を粘着力Dとしたときに、対ポリイミドフィルム残留粘着力(%)=(粘着力C/粘着力D)×100(%))が、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは83%以上であり、特に好ましくは85%以上であり、最も好ましくは88%以上である。上記対ポリイミドフィルム残留粘着力の上限値は、大きければ大きいほど好ましく、好ましくは100%以下である。上記対ポリイミドフィルム残留粘着率が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、被着体に貼り合わせて剥離した後の該被着体の汚染が抑制され、該被着体に新たに別の部材を貼り合わせる場合に、剥がれ等の工程不良の問題が生じることを抑制し得る。上記対ポリイミドフィルム残留粘着率は、表面保護フィルムの粘着剤成分が被着体に対してどの程度表面に転写し汚染しているかの指標となる。上記対ポリイミドフィルム残留粘着率の値が大きいほど、被着体が汚染されていない表面保護フィルムであり、上記対ポリイミドフィルム残留粘着率の値が小さいほど、被着体が汚染されている表面保護フィルムであると評価できる。上記対ポリイミドフィルム残留粘着率の測定方法については、後述する。
【0026】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、温度23℃、湿度50%RHにおける、対ポリイミドフィルム剥離帯電圧が、好ましくは5.0kV以下であり、より好ましくは4.0kV以下であり、さらに好ましくは3.0kV以下であり、さらに好ましくは2.0kV以下であり、特に好ましくは1.0kV以下であり、最も好ましくは0.7kV以下である。上記対ポリイミドフィルム剥離帯電圧の下限値は、小さければ小さいほど好ましいが、現実的には、好ましくは0.01kV以上である。上記対ポリイミドフィルム剥離帯電圧が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、優れた帯電防止性を発現し得る。上記対ポリイミドフィルム剥離帯電圧の測定方法については、後述する。
【0027】
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、温度23℃、湿度50%RHにおける、粘着剤層側の表面抵抗値が、好ましくは1.0×10Ω以下であり、より好ましくは7.0×10Ω以下であり、さらに好ましくは5.0×10Ω以下であり、特に好ましくは4.0×10Ω以下であり、最も好ましくは3.0×10Ω以下である。上記表面抵抗値の下限値は、小さければ小さいほど好ましいが、現実的には、好ましくは1.0×10Ω以上である。上記表面抵抗値が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、優れた帯電防止性を発現し得る。上記表面抵抗値の測定方法については、後述する。
【0028】
≪A-1.基材層≫
基材層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。基材層は、延伸されたものであってもよい。
【0029】
基材層の厚みは、好ましくは4μm~450μmであり、より好ましくは8μm~400μmであり、さらに好ましくは12μm~350μmであり、特に好ましくは16μm~250μmである。
【0030】
基材層の粘着剤層を付設しない面に対しては、巻戻しが容易な巻回体の形成などを目的として、例えば、基材層に、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミン、長鎖アルキル系添加剤等を添加して離型処理を行ったり、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの任意の適切な剥離剤からなるコート層を設けたりすることができる。
【0031】
基材層の材料としては、用途に応じて、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、プラスチック、紙、金属フィルム、不織布などが挙げられる。好ましくは、プラスチックである。すなわち、基材層は、好ましくは、プラスチックフィルムである。基材層は、1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上の材料から構成されていてもよい。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていてもよい。
【0032】
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマーの共重合体が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ホモポリプロピレン;エチレン成分を共重合成分とするブロック系、ランダム系、グラフト系等のプロピレン系共重合体;リアクターTPO;低密度、高密度、リニア低密度、超低密度等のエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体;が挙げられる。
【0033】
基材層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材層に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料、界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物が挙げられる。基材層に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。なお、帯電防止剤を添加剤として含む基材層は、本発明における帯電防止層とは異なるものとする。
【0034】
≪A-2.帯電防止層≫
帯電防止層は、少なくとも、基材層と粘着剤層の間に配置され得る。帯電防止層は、基材層の粘着剤層と反対側に設けられていてもよい。
【0035】
帯電防止層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0036】
帯電防止層の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、帯電防止層の厚みは、好ましくは3nm~100nmであり、より好ましくは5nm~80nmであり、さらに好ましくは8nm~60nmであり、特に好ましくは10nm~50nmである。
【0037】
帯電防止層は、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含む。基材層と粘着剤層の間に配置される帯電防止層がバインダー樹脂と導電性ポリマーを含むことにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、優れた帯電防止性を発現し得る。
【0038】
帯電防止層中のバインダー樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。帯電防止層中の導電性ポリマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0039】
帯電防止層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。
【0040】
帯電防止層中のバインダー樹脂の含有割合は、固形分割合として、好ましくは50重量部~100重量部であり、より好ましくは70重量部~100重量部であり、さらに好ましくは90重量部~100重量部であり、特に好ましくは95重量部~100重量部である。
【0041】
帯電防止層中の導電性ポリマーの含有割合は、固形分割合として、バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは3重量部~40重量部であり、より好ましくは5重量部~35重量部であり、さらに好ましくは8重量部~32重量部であり、特に好ましくは10重量部~30重量部である。
【0042】
バインダー樹脂は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ポリエステル樹脂を含む。バインダー樹脂中のポリエステル樹脂の含有割合は、固形分割合として、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
【0043】
バインダー樹脂は、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
【0044】
帯電防止層は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含む導電コート液を任意の適切な基材層上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的には、例えば、バインダー樹脂と導電性ポリマーを含む導電コート液を基材層上にコーティングして形成される帯電防止層である。コーティング後は、必要に応じて乾燥させ、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う。コーティングの方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このようなコーティングの方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法、ディップロールコート法、バーコート法、ロールブラッシュコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイレクトコート法、ダイコート法が挙げられる。
【0045】
導電コート液は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、バインダー樹脂と導電性ポリマーと架橋剤と溶剤を含み、より好ましくは、ポリエステル樹脂と導電性ポリマーと架橋剤と溶剤を含む。
【0046】
ポリエステル樹脂は、好ましくは、ポリエステルを主成分として含む。ポリエステル樹脂中のポリエステルの含有割合は、好ましくは50重量%を超え、より好ましくは75重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは実質的に100重量%である。
【0047】
ポリエステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリエステルを採用し得る。このようなポリエステルとしては、好ましくは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸(例えば、ジカルボン酸化合物)およびその誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコール(例えば、ジオール)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有することが好ましい。
【0048】
多価カルボン酸成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価カルボン酸を採用し得る。このような多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)-リンゴ酸、meso-酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パーフルオロスベリン酸、3,3,6,6-テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パーフルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4-(2-ノルボルネン)ジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”-p-テレフェニレンジカルボン酸、4,4”-p-クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3'-[4,4’-(メチレンジ-p-ビフェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’-ビベンジル二酢酸、3,3’(4,4’-ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ-p-フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上記のいずれかの多価カルボン酸の酸無水物;上記のいずれかの多価カルボン酸のエステル(例えば、アルキルエステル、モノエステル、ジエステル等);上記のいずれかの多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えば、ジカルボン酸クロリド);が挙げられる。
【0049】
多価カルボン酸成分としては、好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ハイミック酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;これらのジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1~3のモノアルコールとのエステル);が挙げられる。
【0050】
多価アルコール成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価アルコールを採用し得る。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、キシリレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類;これらのジオール類のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等);が挙げられる。
【0051】
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは3000~100000であり、より好ましくは6000~50000であり、さらに好ましくは8000~30000であり、特に好ましくは10000~20000である。
【0052】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0℃~120℃であり、より好ましくは5℃~80℃であり、さらに好ましくは10℃~60℃であり、特に好ましくは15℃~40℃である。
【0053】
ポリエステル樹脂としては、例えば、市販の東洋紡株式会社製の商品名「バイロナール(登録商標)」シリーズを用いることができる。
【0054】
導電性ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電性ポリマーを採用し得る。このような導電性ポリマーとしては、例えば、π共役系導電性ポリマーにポリアニオンがドープされた導電性ポリマーが挙げられる。π共役系導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの鎖状導電性ポリマーが挙げられる。ポリアニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸が挙げられる。
【0055】
導電コート液に含まれ得る架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を採用し得る。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような架橋剤としては、好ましくは、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤が好ましい。
【0056】
導電コート液中の架橋剤の含有割合は、固形分割合として、バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~15重量部であり、より好ましくは1重量部~12重量部であり、さらに好ましくは2重量部~9重量部であり、特に好ましくは3重量部~7重量部である。
【0057】
溶剤としては、例えば、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;が挙げられる。溶剤として、好ましくは、水、水とエタノールとの混合溶剤である。
【0058】
導電コート液は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。
【0059】
≪A-3.粘着剤層≫
粘着剤層の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.5μm~150μmであり、より好ましくは1μm~100μmであり、さらに好ましくは2μm~80μmであり、特に好ましくは3μm~50μmであり、最も好ましくは5μm~30μmである。
【0060】
粘着剤層は、そのヘイズが、好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは2.4%以下であり、さらに好ましくは2.3%以下であり、特に好ましくは2.2%以下である。粘着剤層のヘイズが上記範囲内にあれば、表面保護フィルムを貼り合わせた部材を検査する際に、良好な検査性が発現し得る。
【0061】
粘着剤層は、そのジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが、好ましくは3mJ/m~12mJ/mであり、より好ましくは3.3mJ/m~10mJ/mであり、さらに好ましくは3.5mJ/m~8mJ/mであり、特に好ましくは3.7mJ/m~6mJ/mであり、最も好ましくは3.9mJ/m~5mJ/mである。粘着剤層のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧が十分に抑制され、優れた帯電防止性を発現し得る。粘着剤層のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが上記範囲を外れて低すぎると、剥離帯電圧を十分に抑制できず、優れた帯電防止性を発現できないおそれがある。粘着剤層のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーが上記範囲を外れて高すぎると、被着体が汚染されるおそれがある。
【0062】
なお、粘着剤層のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーは、後述するように、容易に測定可能であり、この表面自由エネルギーが上記の所定範囲内に入るように粘着剤層を設計することにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧が十分に抑制され、優れた帯電防止性を発現し得る。
【0063】
粘着剤層は、粘着剤から構成される。粘着剤は、粘着剤組成物から形成される。すなわち、粘着剤組成物から形成される粘着剤が層形状を構成することによって粘着剤層となる。
【0064】
粘着剤は、粘着剤組成物から形成されるものとして規定し得る。これは、粘着剤は、粘着剤組成物が、加熱や紫外線照射などによって架橋反応などを起こすことにより、粘着剤となるため、粘着剤をその構造により直接特定することが不可能であり、また、およそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するため、「粘着剤組成物から形成されるもの」との規定により、粘着剤を「物」として妥当に特定したものである。
【0065】
粘着剤層は、任意の適切な方法によって形成し得る。このような方法としては、例えば、粘着剤組成物を任意の適切な基材上に塗布し、必要に応じて加熱・乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、該基材上において粘着剤層を形成する方法が挙げられる。このような塗布の方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター、ロールブラッシュコーターなどの方法が挙げられる。
【0066】
粘着剤組成物は、ベースポリマーおよびフッ素系化合物を含み、該ベースポリマーがポリオールである。粘着剤組成物が、ベースポリマーおよびフッ素系化合物を含み、該ベースポリマーがポリオールであることにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧が十分に抑制され、優れた帯電防止性を発現し得る。
【0067】
本発明においては、粘着剤組成物が、ベースポリマーに加えてフッ素系化合物を含むことによって、本発明の効果が発現され得る。
【0068】
粘着剤組成物中のベースポリマーの含有割合は、固形分換算で、好ましくは60重量%~99.9重量%であり、より好ましくは65重量%~99.9重量%であり、さらに好ましくは70重量%~99.9重量%であり、特に好ましくは75重量%~99.9重量%であり、最も好ましくは80重量%~99.9重量%である。粘着剤組成物中のベースポリマーの含有割合が固形分換算で上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得る。
【0069】
ベースポリマー100重量部に対するフッ素系化合物の含有割合は、好ましくは0.01重量部~1.8重量部であり、より好ましくは0.1重量部~1.6重量部であり、さらに好ましくは0.3重量部~1.3重量部であり、特に好ましくは0.5重量部~1.2重量部であり、最も好ましくは0.8重量部~1.2重量部である。ベースポリマー100重量部に対するフッ素系化合物の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得る。ベースポリマー100重量部に対するフッ素系化合物の含有割合が上記範囲を外れて低すぎると、剥離帯電圧を十分に抑制できず、優れた帯電防止性を発現できないおそれがある。ベースポリマー100重量部に対するフッ素系化合物の含有割合が上記範囲を外れて高すぎると、被着体が汚染されるおそれがある。
【0070】
<A-3-a.ベースポリマー>
ベースポリマーであるポリオールは、多官能イソシアネート化合物と反応して、ウレタン系樹脂となり得る。より具体的には、好ましくは、ポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する組成物からウレタン系樹脂が形成され、詳細には、ポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を硬化させてウレタン系樹脂が形成される。ポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を硬化させてウレタン系樹脂を形成する方法としては、塊状重合や溶液重合などを用いたウレタン化反応方法など、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用し得る。
【0071】
なお、ウレタン系樹脂の製造方法としては、ウレタンプレポリマーを用いずに、ポリオールと多官能イソシアネートをダイレクトに反応させてウレタン粘着剤を製造する「ワンショット法」と、ウレタンプレポリマーと多官能イソシアネートを反応させてウレタン粘着剤を製造する「プレポリマー法」との、2種類の製造方法が存在する。本発明における、ベースポリマーとしてのポリオールは、上記「ワンショット法」において多官能イソシアネートと反応させるポリオールを意味し、上記「プレポリマー法」において多官能イソシアネートと反応させるウレタンプレポリマーとは異なる。
【0072】
ポリオールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0073】
ポリオールとしては、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、および、ひまし油系ポリオールから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0074】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオール成分と酸成分とのエステル化反応によって得ることができる。ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコールが挙げられる。酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、ダイマー酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェエルジカルボン酸、これらの酸無水物が挙げられる。
【0075】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、低分子ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなど)などを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および、ポリテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0076】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0077】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分と、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロビル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等の炭酸ジエステル類とを、エステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;が挙げられる。
【0078】
ひまし油系ポリオールとしては、例えば、ひまし油脂肪酸と上記ポリオール成分とを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ひまし油脂肪酸とポリプロピレングリコールとを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。
【0079】
ポリオールの数平均分子量Mnは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは300~100000であり、より好ましくは400~75000であり、さらに好ましくは450~50000であり、特に好ましくは500~30000である。ポリオールの数平均分子量Mnが上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0080】
ポリオールは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、OH基を3個有する数平均分子量Mnが300~100000のポリオール(A1)を含有する。ポリオール(A1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0081】
ポリオール中のポリオール(A1)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは25重量%~100重量%であり、さらに好ましくは50重量%~100重量%であり、特に好ましくは70重量%~100重量%であり、最も好ましくは90重量%~100重量%である。ポリオール中のポリオール(A1)の含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0082】
ポリオール(A1)としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、OH基を3個有する数平均分子量Mnが8000~20000のポリオール(A1a)を含有する。ポリオール(A1a)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0083】
ポリオール(A1a)の数平均分子量Mnは8000~20000であり、好ましくは8000~18000であり、より好ましくは8500~16000であり、さらに好ましくは8500~14000であり、特に好ましくは9000~13000であり、最も好ましくは9000~12000である。ポリオール(A1a)の数平均分子量Mnが上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0084】
ポリオール(A1)中のポリオール(A1a)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~95重量%であり、特に好ましくは75重量%~93重量%であり、最も好ましくは80重量%~90重量%である。ポリオール(A1)中のポリオール(A1a)の含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0085】
ポリオール(A1)は、OH基を3個以上有する数平均分子量Mnが5000以下のポリオール(A1b)を含有していてもよい。ポリオール(A1b)は、好ましくは、OH基を3個有するポリオール(トリオール)、OH基を4個有するポリオール(テトラオール)、OH基を5個有するポリオール(ペンタオール)、および、OH基を6個有するポリオール(ヘキサオール)から選ばれる少なくとも1種である。ポリオール(A1b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0086】
ポリオール(A1b)の数平均分子量Mnは5000以下であり、好ましくは500~5000であり、より好ましくは600~4500であり、さらに好ましくは700~4000であり、特に好ましくは800~3500であり、最も好ましくは900~3300である。ポリオール(A1b)の数平均分子量Mnが上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。ポリオール(A1b)の数平均分子量Mnが上記範囲内から外れると、例えば、粘着力の経時上昇性が高くなるおそれがある。
【0087】
ポリオール(A1)中のポリオール(A1b)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは0重量%~40重量%であり、さらに好ましくは5重量%~30重量%であり、特に好ましくは7重量%~25重量%であり、最も好ましくは10重量%~20重量%である。ポリオール(A1)中のポリオール(A1b)の含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0088】
ポリオール(A1b)中のOH基を3個有するポリオール(トリオール)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは80重量%~100重量%であり、より好ましくは90重量%~100重量%であり、さらに好ましくは95重量%~100重量%であり、特に好ましくは97重量%~100重量%であり、最も好ましくは99重量%~100重量%である。ポリオール(A1b)中のOH基を3個有するポリオール(トリオール)の含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。また、透明性に優れた表面保護フィルムとなり得る。
【0089】
ポリオール(A1b)がOH基を3個有するポリオール(トリオール)を含む場合、そのOH基を3個有するポリオール(トリオール)として、本発明の効果をより発現させ得る点で、数平均分子量Mnが500以上2000未満のトリオールaと数平均分子量Mnが2000~5000のトリオールbの2種を併用することが好ましい。
【0090】
トリオールaの数平均分子量Mnは500以上2000未満であり、好ましくは600~1800であり、より好ましくは700~1500であり、さらに好ましくは800~1300であり、特に好ましくは900~1100である。
【0091】
トリオールbの数平均分子量Mnは2000~5000であり、好ましくは2200~4500であり、より好ましくは2400~4000であり、さらに好ましくは2600~3500であり、特に好ましくは2800~3300である。
【0092】
ポリオール(A1)中のトリオールaの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.01重量%~20重量%であり、より好ましくは0.05重量%~15重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~10重量%であり、特に好ましくは0.5重量%~5重量%であり、最も好ましくは1重量%~3重量%である。ポリオール(A1)中のトリオールaの含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0093】
ポリオール(A1)中のトリオールbの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは1重量%~30重量%であり、より好ましくは2重量%~25重量%であり、さらに好ましくは5重量%~20重量%であり、特に好ましくは7重量%~20重量%であり、最も好ましくは9重量%~17重量%である。ポリオール(A1)中のトリオールbの含有割合が上記範囲内にあれば、被着体からより容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれがより生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、より容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0094】
ポリオール(A1)は、OH基を4個以上有する数平均分子量Mnが20000以下のポリオール(A1c)を含有していてもよい。ポリオール(A1c)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0095】
<A-3-b.多官能イソシアネート化合物>
ベースポリマーとしてのポリオールは、多官能イソシアネート化合物と反応して、ウレタン系樹脂となる。したがって、粘着剤組成物は、好ましくは、多官能イソシアネート化合物を含む。
【0096】
多官能イソシアネート化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0097】
多官能イソシアネート化合物としては、ウレタン化反応に用い得る任意の適切な多官能イソシアネート化合物を採用し得る。このような多官能イソシアネート化合物としては、例えば、多官能脂肪族系イソシアネート化合物、多官能脂環族系イソシアネート、多官能芳香族系イソシアネート化合物、多官能芳香脂肪族系イソシアネート化合物が挙げられる。
【0098】
多官能脂肪族系イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0099】
多官能脂環族系イソシアネート化合物としては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロへキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0100】
多官能芳香族系ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソソアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0101】
多官能芳香脂肪族系イソシアネート化合物としては、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0102】
多官能イソシアネート化合物としては、上記のような各種多官能イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体なども挙げられる。また、これらを併用してもよい。
【0103】
多官能イソシアネート化合物が有するNCO基とポリオールが有するOH基の当量比が、NCO基/OH基として、好ましくは1.1~2.5であり、より好ましくは1.2~2.3であり、さらに好ましくは1.3~2.0であり、特に好ましくは1.4~1.8であり、最も好ましくは1.5~1.8である。NCO基/OH基の当量比が上記範囲内にあれば、被着体から容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれが生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。また、NCO基/OH基の当量比が上記範囲内にあれば、ヘイズを低減することが可能となる。
【0104】
粘着剤組成物中の多官能イソシアネート化合物の含有割合は、ポリオール100重量部に対して、多官能イソシアネート化合物が、好ましくは1.0重量部~30重量部であり、より好ましくは1.5重量部~27重量部であり、さらに好ましくは2.0重量部~25重量部であり、さらに好ましくは2.3重量部~23重量部であり、さらに好ましくは2.3重量部~18重量部であり、特に好ましくは2.5重量部~18重量部であり、最も好ましくは2.5重量部~16重量部である。多官能イソシアネート化合物の含有割合が上記範囲内にあれば、被着体から容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれが生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。また、多官能イソシアネート化合物の含有割合が上記範囲内にあれば、ヘイズを低減することが可能となる。
【0105】
<A-3-c.触媒>
ポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する粘着剤組成物を硬化させるために、好ましくは触媒を用いる。したがって、粘着剤組成物は、好ましくは、触媒を含む。このような触媒としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物が挙げられる。触媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0106】
有機金属系化合物としては、例えば、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物を挙げることができる。これらの中でも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、鉄系化合物、錫系化合物が好ましい。
【0107】
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート(ナーセム第二鉄など)、2-エチルヘキサン酸鉄が挙げられる。
【0108】
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫メトキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキシド、トリブチル錫エトキシド、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸錫が挙げられる。
【0109】
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドが挙げられる。ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネートが挙げられる。鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。コバルト系化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルトが挙げられる。亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛が挙げられる。3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシク口-(5,4,0)-ウンデセン-7が挙げられる。
【0110】
粘着剤組成物中の触媒の量は、ポリオール100重量部に対して、好ましくは0.005重量部~1.00重量部であり、より好ましくは0.01重量部~0.75重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部~0.50重量部であり、特に好ましくは0.01重量部~0.30重量部である。触媒の量が上記範囲内にあれば、被着体から容易に剥がれにくく、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程中において、該光学部材や該電子部材の露出面に貼り付けた後の剥がれが生じにくく、且つ、剥離が必要になれば、容易に剥離ができる表面保護フィルムを提供し得る。
【0111】
<A-3-d.フッ素系化合物>
フッ素系化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なフッ素系化合物を採用し得る。粘着剤組成物が、ベースポリマーに加えて、フッ素系化合物を含むことにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧が十分に抑制され、優れた帯電防止性を発現し得る。
【0112】
フッ素系化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0113】
本発明の効果をより発現させ得る点で、フッ素系化合物は、好ましくは、フッ素系オリゴマーであり、より好ましくは、含フッ素基と、親水性基および/または親油性基とを有するオリゴマーであり、さらに好ましくは、含フッ素基と親水性基と親油性基とを有するオリゴマーである。
【0114】
含フッ素基としては、代表的には、フッ素含有アルキル基(例えば、CF-など)および/またはフッ素含有アルキレン基(例えば、-CF-CF-など)が挙げられる。親水性基とは、親水性を有する基であり、親水性とは、英語で「hydrophilic」と訳され、「水と親和性がある」なる意として当業者に一般に知られている特性である(例えば、マグローヒル科学技術用語大辞典(改訂第3版、日刊工業新聞社)など参照)。親油性基とは、親油性を有する基であり、親油性とは、英語で「lipophilic」と訳され、「油と親和性がある」なる意として当業者に一般に知られている特性である(例えば、マグローヒル科学技術用語大辞典(改訂第3版、日刊工業新聞社)など参照)。
【0115】
本発明の効果をより発現させ得る点で、フッ素系化合物は、好ましくは、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が19.0mN/m~25.9mN/mであるフッ素系化合物(A1)を含む。上記表面張力は、好ましくは21.0mN/m~25.7mN/mであり、より好ましくは23.0mN/m~25.5mN/mであり、さらに好ましくは23.5mN/m~25.3mN/mであり、特に好ましくは24.0mN/m~25.0mN/mである。このように、フッ素系化合物が上記のようなフッ素系化合物(A1)を含めば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧が十分に抑制され、優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層が優れた投錨性を発現し得る。
【0116】
本発明の効果をより発現させ得る点で、フッ素系化合物中のフッ素系化合物(A1)の含有割合は、好ましくは10重量%~100重量%であり、より好ましくは15重量%~85重量%であり、さらに好ましくは20重量%~80重量%であり、さらに好ましくは25重量%~75重量%であり、さらに好ましくは30重量%~70重量%であり、さらに好ましくは35重量%~65重量%であり、特に好ましくは40重量%~60重量%であり、最も好ましくは45重量%~55重量%である。フッ素系化合物中のフッ素系化合物(A1)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0117】
フッ素系化合物(A1)の特に好ましい実施形態は、含フッ素基と親水性基と親油性基を含有するオリゴマーであって、且つ、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が19.0mN/m~25.9mN/mであるフッ素系化合物(A2)である。上記表面張力は、好ましくは21.0mN/m~25.7mN/mであり、より好ましくは23.0mN/m~25.5mN/mであり、さらに好ましくは23.5mN/m~25.3mN/mであり、特に好ましくは24.0mN/m~25.0mN/mである。フッ素系化合物が上記のようなフッ素系化合物(A2)を含めば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0118】
フッ素系化合物は、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が26.0mN/m~27.0mN/mであるフッ素系化合物(B1)を、フッ素系化合物(A1)(好ましくは、フッ素系化合物(A2))と併用してもよい。フッ素系化合物(B1)を、フッ素系化合物(A1)(好ましくは、フッ素系化合物(A2))と併用することにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0119】
本発明の効果をより発現させ得る点で、フッ素系化合物中のフッ素系化合物(B1)の含有割合は、好ましくは0重量%~90重量%であり、より好ましくは15重量%~85重量%であり、さらに好ましくは20重量%~80重量%であり、さらに好ましくは25重量%~75重量%であり、さらに好ましくは30重量%~70重量%であり、さらに好ましくは35重量%~65重量%であり、特に好ましくは40重量%~60重量%であり、最も好ましくは45重量%~55重量%である。フッ素系化合物中のフッ素系化合物(B1)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0120】
フッ素系化合物(B1)の特に好ましい実施形態は、含フッ素基と親水性基と親油性基を含有するオリゴマーであって、且つ、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が19.0mN/m~25.9mN/mであるフッ素系化合物(B2)である。フッ素系化合物(B2)を、フッ素系化合物(A1)(好ましくは、フッ素系化合物(A2))と併用することにより、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0121】
含フッ素基と、親水性基および/または親油性基とを有するオリゴマーとしては、例えば、DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」が挙げられる。
【0122】
DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」の中で、含フッ素基と親水性基と親油性基を含有するオリゴマーとしては、例えば、
「メガファックF-477」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-553」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-555-A」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.4mN/m)、
「メガファックF-556」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=27.5mN/m)、
「メガファックF-559」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.1mN/m)、
「メガファックF-562」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
「メガファックF-565」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=27.6mN/m)、
「メガファックF-568」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.7mN/m)、
「メガファックF-571」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
が挙げられる。
【0123】
DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」の中で、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が19.0mN/m~25.9mN/mであるフッ素系化合物(フッ素系化合物(A1)に該当)としては、例えば、
「メガファックF-251」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.9mN/m)、
「メガファックF-253」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=21.9mN/m)、
「メガファックF-551-A」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=25.6mN/m)、
「メガファックF-552」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.9mN/m)、
「メガファックF-554」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=25.5mN/m)、
「メガファックF-555-A」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.4mN/m)、
「メガファックF-560」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.2mN/m)、
「メガファックF-561」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=23mN/m)、
「メガファックF-562」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
「メガファックF-563」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.2mN/m)、
「メガファックF-568」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.7mN/m)、
「メガファックF-569」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=19.7mN/m)、
「メガファックF-570」(含フッ素基・親水性基・親油性基・カルボキシル基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=22.9mN/m)、
「メガファックF-571」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
「メガファックF-576」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
が挙げられる。
【0124】
DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」の中で、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が26.0mN/m~27.0mN/mであるフッ素系化合物(フッ素系化合物(B1)に該当)としては、例えば、
「メガファックF-477」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-553」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-559」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.1mN/m)、
「メガファックF-575」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.9mN/m)、
が挙げられる。
【0125】
DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」の中で、含フッ素基と親水性基と親油性基を含有するオリゴマーであって、且つ、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が19.0mN/m~25.9mN/mであるフッ素系化合物(フッ素系化合物(A2)に該当)としては、例えば、
「メガファックF-555-A」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.4mN/m)、
「メガファックF-562」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
「メガファックF-568」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.7mN/m)、
「メガファックF-570」(含フッ素基・親水性基・親油性基・カルボキシル基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=22.9mN/m)、
「メガファックF-571」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)、
が挙げられる。
【0126】
DIC株式会社製の「メガファックシリーズ」の中で、含フッ素基と親水性基と親油性基を含有するオリゴマーであって、且つ、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力(トルエンの表面張力は27.9mN/m)が26.0mN/m~27.0mN/mであるフッ素系化合物(フッ素系化合物(B2)に該当)としては、例えば、
「メガファックF-477」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-553」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-559」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.1mN/m)、
が挙げられる。
【0127】
<A-3-e.イオン性化合物>
粘着剤組成物はイオン性化合物を含んでいてもよい。イオン性化合物は、好ましくは、帯電防止効果を発現し得る。イオン性化合物をフッ素系化合物と併用することにより、フッ素系化合物との相互作用によって、イオン性化合物が粘着剤層の表面側(被着体と貼り合わされる側)に偏在しやすくなるものと推察され、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより十分に抑制され、より優れた帯電防止性を発現し得、また、粘着剤層がより優れた投錨性を発現し得る。
【0128】
イオン性化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0129】
ベースポリマー100重量部に対するイオン性化合物の含有割合は、好ましくは0.2重量部以上であり、より好ましくは0.3重量部~5.0重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部~3.0重量部であり、さらに好ましくは0.6重量部~3.0重量部であり、特に好ましくは0.7重量部~2.0重量部であり、最も好ましくは0.8重量部~1.5重量部である。ベースポリマー100重量部に対するイオン性化合物の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルムは、剥離帯電圧がより一層十分に抑制され、より一層優れた帯電防止性を発現し得る。ベースポリマー100重量部に対するイオン性化合物の含有割合が上記範囲を外れて低すぎると、剥離帯電圧を十分に抑制できず、優れた帯電防止性を発現できないおそれがある。ベースポリマー100重量部に対するイオン性化合物の含有割合が上記範囲を外れて高すぎると、被着体が汚染されるおそれがある。
【0130】
イオン性化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なイオン性化合物を採用し得る。このようなイオン性化合物としては、好ましくは、イオン性液体である。イオン性液体とは、25℃で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)を意味する。
【0131】
イオン性液体としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なイオン性液体を採用し得る。このようなイオン性液体としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、フルオロ有機アニオンを含むイオン性液体であり、より好ましくは、フルオロ有機アニオンとオニウムカチオンから構成されるイオン性液体である。
【0132】
イオン性液体を構成し得るフルオロ有機アニオンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なフルオロ有機アニオンを採用し得る。このようなフルオロ有機アニオンは、完全にフッ素化(パーフルオロ化)されていてもよいし、部分的にフッ素化されていてもよい。
【0133】
このようなフルオロ有機アニオンとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、パーフルオロアルキルスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドであり、具体的には、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが挙げられる。
【0134】
イオン性液体を構成し得るオニウムカチオンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なオニウムカチオンを採用し得る。このようなオニウムカチオンとしては、例えば、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキル(または置換アルキル)アンモニウムカチオン、トリアルキル(または置換アルキル)スルホニウムカチオン、テトラアルキル(または置換アルキル)ホスホニウムカチオンが挙げられ、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキル(または置換アルキル)アンモニウムカチオンである。
【0135】
ピリジニウムカチオンとしては、例えば、1-へキシルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオンが挙げられる。ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオンが挙げられる。ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンが挙げられる。イミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオンが挙げられる。ピラゾリウムカチオンとしては、例えば、1-メチルピラゾリウムカチオン、3-メチルピラゾリウムカチオン、1-エチル-2-メチルピラゾリニウムカチオン、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオン、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオンが挙げられる。ピラゾリニウムカチオンとしては、例えば、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオン、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオン、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオンが挙げられる。テトラアルキル(または置換アルキル)アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウムカチオンが挙げられる。
【0136】
イオン性液体としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、1-ヘキシルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムペンタフルオロエタンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムヘプタフルオロプロパンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムノナフルオロブタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘプタフルオロプロパンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが挙げられ、より好ましくは、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドが挙げられる。
【0137】
イオン性液体は、市販のものを使用してもよいが、合成したものを使用してもよい。イオン性液体の合成方法としては、例えば、文献「イオン性液体-開発の最前線と未来-」((株)シーエムシー出版発行)に記載されているような、一般的な、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などを用いた合成方法が挙げられる。
【0138】
<A-3-f.脂肪酸エステル>
粘着剤組成物は、好ましくは、脂肪酸エステルを含む。脂肪酸エステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。粘着剤組成物が脂肪酸エステルを含むことにより、本発明の表面保護フィルムは、優れた軽剥離性を発現しつつ、剥離力の優れた経時安定性を発現できる。
【0139】
脂肪酸エステルの数平均分子量Mnは、好ましくは100~800であり、より好ましくは150~700であり、さらに好ましくは200~600であり、さらに好ましくは250~500であり、特に好ましくは300~400であり、最も好ましくは350~400である。脂肪酸エステルの数平均分子量Mnが上記範囲内にあれば、本発明の表面保護フィルムは、優れた軽剥離性を発現しつつ、剥離力のより優れた経時安定性を発現できる。
【0140】
脂肪酸エステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸エステルを採用し得る。このような脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、べへン酸モノグリセライド、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸コレステリル、メタクリル酸ラウリル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸トリグリセライド、ラウリン酸ブチル、オレイン酸オクチルが挙げられる。
【0141】
粘着剤組成物が脂肪酸エステルを含む場合、脂肪酸エステルの含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~50重量部であり、より好ましくは0.1重量部~40重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部~20重量部であり、特に好ましくは1重量部~10重量部であり、最も好ましくは3重量部~7重量部である。脂肪酸エステルの含有割合がベースポリマー100重量部に対して上記範囲内にあれば、本発明の表面保護フィルムは、優れた軽剥離性を発現しつつ、剥離力のより優れた経時安定性を発現できる。
【0142】
<A-3-g.その他の成分>
粘着剤組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含み得る。このようなその他の成分としては、例えば、溶剤、変性シリコーンオイルなどのシリコーン系添加剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、樹脂成分、粘着付与剤、架橋遅延剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、着色剤(顔料や染料など)、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、導電剤、箔状物、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤などが挙げられる。
【0143】
≪A-4.表面保護フィルムの製造≫
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、任意の適切な方法により製造することができる。このような製造方法としては、例えば、
(1)粘着剤組成物を基材層上に塗布して、必要に応じて加熱・乾燥して、該基材層上に粘着剤層を形成する方法、
(2)粘着剤組成物をはく離ライナー上に塗布して、必要に応じて加熱・乾燥して、該はく離ライナー上に形成した粘着剤層を、基材層上に移着(転写)する方法、
(3)粘着剤組成物を基材層上に押出して形成塗布する方法、
(4)基材層と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、
(5)基材層上に粘着剤層を単層ラミネートする方法またはラミネート層とともに粘着剤層を二層ラミネートする方法、
(6)粘着剤層とフィルムやラミネート層等の基材層形成材料とを二層または多層ラミネートする方法、
などの、任意の適切な製造方法に準じて行うことができる。
【0144】
塗布の方法としては、例えば、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法、ディップロールコート法、バーコート法、ロールブラッシュコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイレクトコート法、ダイコート法が挙げられる。
【0145】
≪≪B.用途≫≫
本発明の実施形態による表面保護フィルムは、代表的には、光学部材や電子部材の製造工程において、加工、組立、検査、輸送などの際の該光学部材や該電子部材の表面の傷付き防止のために該光学部材や該電子部材の露出面に貼着される。本発明の光学部材は、本発明の表面保護フィルムが貼着されたものである。本発明の電子部材は、本発明の表面保護フィルムが貼着されたものである。
【実施例0146】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0147】
<粘着剤層表面のジヨードメタンに対する表面自由エネルギー>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルムを幅50mm、長さ100mmのサイズにカットし、粘着剤層表面を上面にして、接触角計(協和界面科学社製、型式「CA-X」)に固定し、粘着剤層表面に水を2.0μL滴下して接触角を測定した。次に同様の手順で、ジヨードメタンを2.0μL滴下して接触角を測定した。以上の2液の接触角の値からOwens-Wendt法を用いて粘着剤層表面のジヨードメタンに対する表面自由エネルギーを算出した。
【0148】
<粘着剤層のヘイズ>
得られた粘着剤組成物を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF75、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面に、実施例・比較例に記載の条件にて塗工乾燥し、粘着剤層を形成した。次いで、形成した粘着剤層の表面に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRE75、三菱ケミカル株式会社製)を、該フィルムの剥離処理面が粘着剤層側になるようにして被覆し、常温で5日間エージングを行った。
次に、50mm×50mmの厚紙の中央に20mm×20mmの穴をあけたものを2枚用意し、そのうちの1枚に、得られた粘着剤層をハンドローラー1往復にて貼着後、もう1枚を貼着した。
このようにして得られた評価用試料を用い、粘着剤層のヘイズを、村上色彩技術研究所社製の「HM-150N」を用いて測定した。
【0149】
<ポリイミドフィルム表面の残存硫黄量>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルム(10mm×10mm)の粘着剤層を、ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面へ、2kgハンドローラー1往復にて貼着した。その後、23℃の環境温度下で30分間放置した。
ポリイミドフィルム表面から表面保護フィルムを剥がした後、剥がした箇所に関してESCAにてナロースキャン測定を行い、元素比率(atomic%)を算出した。測定条件は以下の通りであった。
装置:アルバック・ファイ製「Quantera SXM」
X線源:モノクロAl Ka
X Ray setting:100μmφ[15kV,25W]
光電子取り出し角:試料表面に対し45度
中和条件:中和銃とArイオン銃(中和モード)の併用
結合エネルギーの補正:C1sスペクトルのC-C結合由来のピークを285.0eVに補正
【0150】
<ポリイミドフィルムからの剥離力A(温度23℃で30分間放置後)の測定>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルム(幅25mm×長さ140mm)の粘着剤層を、ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面へ、2kgハンドローラー1往復にて貼り合わせ、23℃の環境温度下で30分間放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引張試験機にて測定した。引張試験機としては、島津製作所株式会社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引張試験機に評価用試料をセットし、引張試験を開始した。具体的には、上記ポリイミドフィルム付きガラス板から表面保護フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を表面保護フィルムのポリイミドフィルムからの剥離力Aとした。引張試験の条件は、試験環境温度:23℃、剥離角度:180度、剥離速度(引張速度):300mm/分とした。
【0151】
<ポリイミドフィルムからの剥離力B(温度50℃で1日放置後)の測定>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルム(幅25mm×長さ140mm)の粘着剤層を、ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面へ、2kgハンドローラー1往復にて貼り合わせ、50℃の環境温度下で1日放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引張試験機にて測定した。引張試験機としては、島津製作所株式会社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引張試験機に評価用試料をセットし、引張試験を開始した。具体的には、上記ポリイミドフィルム付きガラス板から表面保護フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を表面保護フィルムのポリイミドフィルムからの剥離力Bとした。引張試験の条件は、試験環境温度:23℃、剥離角度:180度、剥離速度(引張速度):300mm/分とした。
【0152】
<剥離力経時上昇率>
剥離力Aから剥離力Bへの剥離力経時上昇率は、下記の式によって算出した。
剥離力経時上昇率(%)=(剥離力B/剥離力A)×100(%)
【0153】
<対ポリイミドフィルム残留粘着力>
ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面に、表面保護フィルムの粘着剤層を、ハンドローラーで全面に貼り合せ、23℃の環境温度下で、24時間保管した後、剥離角度:180度、剥離速度(引っ張り速度):300mm/分の条件で、表面保護フィルムを剥離し、剥離後のポリイミドフィルム表面に、粘着テープ(長さ150mmに切断した19mm幅の日東電工株式会社製「No.31B」、基材の厚み=25μm)を、23℃の環境温度下で、2kgローラー1往復により貼り付けた。23℃の環境温度下で、30分間放置した後、引張試験機(島津製作所株式会社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/分高速モデル(AG-50NX plus)」)を用い、剥離角度180度、引っ張り速度300mm/分で剥離し、粘着力Cを測定した。
他方、上記の剥離処理を行っていないポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板に対しても、同様に、ポリイミドフィルム表面に上記粘着テープを貼り合わせて、温度23℃で30分間放置した後に、温度23℃で該粘着テープを該ポリイミドフィルム表面から剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥離し、粘着力Dを測定した。
対ポリイミドフィルム残留粘着力を下記の式によって算出した。
対ポリイミドフィルム残留粘着力(%)=(粘着力C/粘着力D)×100(%)
【0154】
<対ポリイミドフィルム剥離帯電圧>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルムを幅70mm、長さ100mmのサイズにカットし、ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面に、表面保護フィルムの長さ方向の片方の端部が該ポリイミドフィルム付きガラス板の端から30mmはみ出すようにして、2kgハンドローラー1往復にて圧着した。
このサンプルを、23℃、湿度50%RHの環境下に1日放置した後、高さ20mmのサンプル固定台の所定の位置にセットした。ポリイミドフィルム付きガラス板の端から30mmはみ出した表面保護フィルムの端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150度、剥離速度30m/minで剥離した。このときに発生するポリイミドフィルム表面の電位を、該ポリイミドフィルムの中央から高さ30mmの位置に固定してある電位測定器(シシド静電気株式会社製、型式「STATIRON DZ-4」)にて測定し、得られた電位を対ポリイミドフィルム剥離帯電圧とした。測定は、23℃、湿度50%RHの環境下で行った。
【0155】
<表面抵抗値>
表面保護フィルムを50mm×50mmのサイズにカットし、はく離ライナーを剥離後、粘着剤層側を、トレック・ジャパン株式会社製の「Model 152Pー2P」を用い、10Vで10秒間端子を押し当てて、表面抵抗値を測定した。
【0156】
<投錨力>
表面保護フィルムを50mm×50mmのサイズにカットし、はく離ライナーを剥離後、粘着剤側を指で端面からこすった時に、剥がれたものを×、強くこすると剥がれたものを△、剥がれなかったものを〇として評価した。
【0157】
〔製造例1〕:帯電防止層形成用コーティング材の調製
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂の25%水溶液(東洋紡株式会社製、商品名「バイロナールMD-1480」)を固形分で100重量部、導電性ポリマーを固形分で20重量部、メラミン系架橋剤(住友化学株式会社製、商品名「スミマールM-50W」)を固形分で5重量部を、水/エタノール(1/1(重量比))の混合溶媒に加えて、約20分間撹拌して十分に混合した。このようにして、固形分約0.4%の帯電防止層形成用コーティング材を調製した。
導電性ポリマーとしては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)0.5%およびポリスチレンスルホネート(重量平均分子量15万)(PSS)0.8%を含む水溶液(Bytron P、H.C.Stark社製)を用いた。
【0158】
〔製造例2〕:帯電防止層付基材(a)の作成
厚み75μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「T100-75S」、厚み75μm、三菱ケミカル株式会社製)を用意した。このPETフィルムの片面に、製造例1で調製した帯電防止層形成用コーティング材をバーコーターで塗布し、130℃で2分間加熱して乾燥させた。このようにして、PETフィルムの一方の表面に厚み30nmの透明な帯電防止層を有する帯電防止層付基材(a)を作製した。
【0159】
〔製造例3〕:帯電防止層付基材(b)の作成
厚み75μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「T100-75S」、厚み75μm、三菱ケミカル株式会社製)を用意した。このPETフィルムの両面に、製造例1で調製した帯電防止層形成用コーティング材をバーコーターで塗布し、130℃で2分間加熱して乾燥させた。このようにして、PETフィルムの両方の表面に厚み30nmの透明な帯電防止層を有する帯電防止層付基材(b)を作製した。
【0160】
〔実施例1〕
ポリオールとして、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるプレミノールS3011(旭硝子株式会社製、Mn=10000)85重量部、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるサンニックスGP3000(三洋化成株式会社製、Mn=3000)13重量部、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるサンニックスGP1000(三洋化成株式会社製、Mn=1000)2重量部、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン工業株式会社製)14.6重量部、触媒としてナーセム第2鉄(日本化学産業株式会社製)0.02重量部、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571(DIC株式会社製、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=24.8mN/m)0.5重量部、メガファックF-477(DIC株式会社製、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)0.5重量部、イオン性化合物としてエレクセルAS110(第一工業製薬株式会社製)0.5重量部、脂肪酸エステルとしてサラコス816(L)(2-エチルヘキサン酸セチル、分子量=368、日清オイリオグループ株式会社製)5.0重量部を、全体の固形分が35重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ウレタン系粘着剤組成物を得た。
得られたウレタン系粘着剤組成物を、製造例3で得られた帯電防止層付基材(b)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間2分の条件でキュアーして乾燥した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、一方の面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエステル樹脂からなるはく離ライナー(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(1)を得た。常温で5日間エージングを行い、評価を行った。はく離ライナーは、必要に応じて、評価の直前に剥離した。結果を表1、2に示した。
【0161】
〔実施例2〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのエレクセルAS110の使用量を1.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、表面保護フィルム(2)を得た。結果を表1、2に示した。
【0162】
〔実施例3〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのエレクセルAS110の使用量を1.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、表面保護フィルム(3)を得た。結果を表1、2に示した。
【0163】
〔実施例4〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのエレクセルAS110の使用量を2.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、表面保護フィルム(4)を得た。結果を表1、2に示した。
【0164】
〔実施例5〕
表1に示すように、イオン性化合物としてCIL-312(日本カーリット株式会社製)0.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、表面保護フィルム(5)を得た。結果を表1、2に示した。
【0165】
〔実施例6〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのCIL-312の使用量を1.0重量部に変更した以外は、実施例5と同様に行い、表面保護フィルム(6)を得た。結果を表1、2に示した。
【0166】
〔実施例7〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのCIL-312の使用量を1.5重量部に変更した以外は、実施例5と同様に行い、表面保護フィルム(7)を得た。結果を表1、2に示した。
【0167】
〔実施例8〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのCIL-312の使用量を2.0重量部に変更した以外は、実施例5と同様に行い、表面保護フィルム(8)を得た。結果を表1、2に示した。
【0168】
〔実施例9〕
表1に示すように、架橋剤としてのイソシアネート化合物の使用量を12.8重量部に変更した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(9)を得た。結果を表1、2に示した。
【0169】
〔実施例10〕
表1に示すように、架橋剤としてのイソシアネート化合物の使用量を11.1重量部に変更した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(10)を得た。結果を表1、2に示した。
【0170】
〔実施例11〕
表1に示すように、架橋剤としてのイソシアネート化合物の使用量を9.3重量部に変更した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(11)を得た。結果を表1、2に示した。
【0171】
〔実施例12〕
表1に示すように、脂肪酸エステルとしてエキセパールIPP(パルミチン酸イソプロピル、分子量=299、花王株式会社製)5.0重量部を用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(12)を得た。結果を表1、2に示した。
【0172】
〔実施例13〕
表1に示すように、脂肪酸エステルとしてエキセパールIPM(ミリスチン酸イソプロピル、分子量=270、花王株式会社製)5.0重量部を用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(13)を得た。結果を表1、2に示した。
【0173】
〔実施例14〕
表1に示すように、脂肪酸エステルを用いなかった以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(14)を得た。結果を表1、2に示した。
【0174】
〔実施例15〕
表1に示すように、イオン性化合物を用いなかった以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(15)を得た。結果を表1、2に示した。
【0175】
〔実施例16〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571を0.1重量部、メガファックF-477を0.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(16)を得た。結果を表1、2に示した。
【0176】
〔実施例17〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571を1.0重量部、メガファックF-477を0.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(17)を得た。結果を表1、2に示した。
【0177】
〔実施例18〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571を0.5重量部、メガファックF-477を0.1重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(18)を得た。結果を表1、2に示した。
【0178】
〔実施例19〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571を0.5重量部、メガファックF-477を1.0重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(19)を得た。結果を表1、2に示した。
【0179】
〔実施例20〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-571を0.5重量部、メガファックF-553(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)を0.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(20)を得た。結果を表1、2に示した。
【0180】
〔実施例21〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-563(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.2mN/m)を0.5重量部、メガファックF-477を0.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(21)を得た。結果を表1、2に示した。
【0181】
〔実施例22〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-477を0.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(22)を得た。結果を表1、2に示した。
【0182】
〔比較例1〕
表1に示すように、イオン性化合物とフッ素系オリゴマーをいずれも用いずにウレタン系粘着剤組成物を調製し、製造例3で得られた帯電防止層付基材(b)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布することに代えて、製造例2で得られた帯電防止層付基材(a)のPETフィルム側に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(C1)を得た。結果を表1、2に示した。
【0183】
〔比較例2〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーを用いずにウレタン系粘着剤組成物を調製し、製造例3で得られた帯電防止層付基材(b)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布することに代えて、製造例2で得られた帯電防止層付基材(a)のPETフィルム側に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(C2)を得た。結果を表1、2に示した。
【0184】
〔比較例3〕
表1に示すように、フッ素系オリゴマーとして、メガファックF-477を0.5重量部用いてウレタン系粘着剤組成物を調製し、製造例3で得られた帯電防止層付基材(b)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布することに代えて、製造例2で得られた帯電防止層付基材(a)のPETフィルム側に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(C3)を得た。結果を表1、2に示した。
【0185】
〔比較例4〕
表1に示すように、ウレタン系粘着剤組成物を、製造例3で得られた帯電防止層付基材(b)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布することに代えて、製造例2で得られた帯電防止層付基材(a)のPETフィルム側に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布した以外は、実施例2と同様に行い、表面保護フィルム(C4)を得た。結果を表1、2に示した。
【0186】
〔比較例5〕
表1に示すように、イオン性化合物としてのエレクセルAS110の使用量を3.0重量部に変更した以外は、比較例4と同様に行い、表面保護フィルム(C5)を得た。結果を表1、2に示した。
【0187】
【表1】
【0188】
【表2】
【0189】
〔実施例23~44〕
実施例1~22で得られた表面保護フィルム(1)~(22)のそれぞれについて、セパレーターを剥離し、粘着剤層側を、光学部材である偏光板(日東電工株式会社製、商品名「TEG1465DUHC」)に貼着し、表面保護フィルムが貼着された光学部材を得た。
【0190】
〔実施例45~66〕
実施例1~22で得られた表面保護フィルム(1)~(22)のそれぞれについて、セパレーターを剥離し、粘着剤層側を、電子部材である導電性フィルム(日東電工株式会社製、商品名「エレクリスタV270L-TFMP」)に貼着し、表面保護フィルムが貼着された電子部材を得た。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明の表面保護フィルムは、任意の適切な用途に用い得る。好ましくは、本発明の表面保護フィルムは、光学部材や電子部材の分野において好ましく用いられる。
【符号の説明】
【0192】
1 基材層
2 帯電防止層
3 粘着剤層
10 表面保護フィルム

図1