(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167118
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】吊り上げ対象物の吊り上げ方法、及び、当該方法に使用する吊部材
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
E06B9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078032
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 昇
(57)【要約】
【課題】吊り上げ対象物の吊り上げ方法において、作業手間及び作業時間を削減できるようにした方法等を提供する。
【解決手段】吊り上げ対象物に吊部材を取付けて、当該吊部材に吊手段を繋げて前記吊り上げ対象物を吊り上げるようにした吊り上げ対象物の吊り上げ方法であって、前記吊部材として、前記吊手段8を繋げる吊部9と、前記吊り上げ対象物10の板部11に設けられた貫通孔12を貫通して当該貫通孔12の周囲の板部11の下面11bに係止する係止部13とを有した構成の吊部材1を用い、当該吊部材1の係止部13を、前記吊り上げ対象物10の板部11に設けられた貫通孔12に貫通させて当該貫通孔12の周囲の板部11の下面11bに係止させるとともに、当該吊部材1の吊部9に前記吊手段8を繋げて前記吊り上げ対象物10を吊り上げるようにしたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り上げ対象物に吊部材を取付けて、当該吊部材に吊手段を繋げて前記吊り上げ対象物を吊り上げるようにした吊り上げ対象物の吊り上げ方法であって、
前記吊部材として、前記吊手段を繋げる吊部と、前記吊り上げ対象物の板部に設けられた貫通孔を貫通して当該貫通孔の周囲の板部の下面に係止する係止部とを有した構成の吊部材を用い、
当該吊部材の係止部を、前記吊り上げ対象物の板部に設けられた貫通孔に貫通させて当該貫通孔の周囲の板部の下面に係止させるとともに、当該吊部材の吊部に前記吊手段を繋げて前記吊り上げ対象物を吊り上げるようにしたことを特徴とする開閉体を構成する吊り上げ対象物の吊り上げ方法。
【請求項2】
吊り上げ対象物は、開閉装置の開閉体構成部材、又は、開閉装置の開閉体、又は、開閉装置の開閉体及び当該開閉体の巻取部を含む開閉体装置、又は、当該開閉体装置が取付部材に取り付けられて構成された開閉体装置取付ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の開閉体を構成する吊り上げ対象物の吊り上げ方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吊り上げ対象物の吊り上げ方法に使用する吊部材であって、
本体と、操作部材と、複数の係止部材と、脱着部とを備え、
前記本体は、前記係止部材を収容する収容部を有した中空円柱状部材により構成され、
当該中空円柱状部材は、前記収容部の下方に位置される下部中実部分と、前記収容部の上方に位置される上部中実部分と、当該上部中実部分を上下に貫通する軸挿通孔と、前記下部中実部分と前記上部中実部分との間の外周壁に設けられて前記収容部と外部とに連通する複数の開口部とを備え、
前記操作部材は、前記軸挿通孔を貫通するように設けられた操作軸と、前記上部中実部分よりも下方に位置された操作軸の下端に設けられて前記収容部に収容された開閉操作体と、前記上部中実部分よりも上方に位置される操作軸の上端に設けられた吊部とを備え、
前記係止部材は、前記収容部内に収容された閉状態と前記開口部を介して前記収容部より外方に突出する開状態とに回動可能なように、ヒンジ機構を介して前記開口部の開口縁に取付けられたとともに、弾性部材により前記閉状態が維持されるように構成され、
前記脱着部は、前記中空円柱状部材の上端側から延長するように設けられ、
前記中空円柱状部材が下端側から前記貫通孔に挿入されて前記開口部が前記板部の下面よりも下方に位置された状態で前記吊部が上方に引き上げられたことにより、開閉操作体が係止部材に接触して当該係止部材を開状態に維持するように構成されたことを特徴とする吊部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊部材を用いて吊り上げ対象物を吊り上げる吊り上げ対象物の吊り上げ方法、及び、当該方法に使用する吊部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置が知られている(特許文献1等参照)。
当該開閉装置は、構造物の開口を開閉する開閉体が、上下方向に延在して開口を閉鎖する閉鎖状態と、開口を隔てた一方の領域の天井側において当該天井に沿って延在して開口を開放する開放状態とに設定される。
上述した開閉体は、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数の開閉体構成部材としてのパネルにより構成され、互いに隣り合う上下のパネルがヒンジを介して連結された構成となっている。
上述した開閉装置の開閉体を組み立てる方法としては、例えば、先ず最下部のパネルを設置面に設置し、その上に順次パネルを積み重ねながら連結するようにしている。
このように、パネルを下方から上方に積み上げて行くようにして連結していく場合、上方に位置されることになるパネルは、揚重機やウインチ等の吊り上げ用の機械を用いて吊り上げる必要がある。
この際、例えば、
図7に示すように、吊り上げ用の機械から吊り下げた吊ロープ等の吊手段8を繋ぐための吊部99を備えた吊部材100を吊り上げ対象物10としてのパネルに取付けるようにしている。
また、吊部材100を吊り上げ対象物10としての開閉体装置に取り付けて、当該開閉体装置を吊り上げる場合もある。例えば、
図8に示すような、窓シャッター等と呼称される開閉装置のシャッターケース(開閉体収容ケース)10aに、巻取部10b、開閉体としてのシャッターカーテン10c、図外の開閉機構等が組付けられて構成された開閉体装置を吊り上げる場合がある。この場合、
図8(a)に示すように、当該開閉体装置のシャッターケース10aの板部11に形成された貫通孔12に吊部材100を取り付けて当該開閉体装置を吊り上げた後、
図8(b)に示すように、当該開閉体装置を壁等の取付対象部110に取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、上述した吊部材100として、ねじ固定式の吊部材100を使用していたため、例えば
図7に示すように、吊り上げ対象物10の板部11に形成された貫通孔12の下側(裏側)、即ち、当該貫通孔12の周囲の板部11の下面(裏面)11bにナット101を設ける必要があり、ナット101の取付作業、吊部材100をナット101にねじ込んで取付ける吊部材100の取付作業等の作業手間及び作業時間が多くなり、作業が煩雑であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、吊り上げ対象物の吊り上げ方法において、作業手間及び作業時間を削減できるようにした方法等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吊り上げ対象物の吊り上げ方法は、吊り上げ対象物に吊部材を取付けて、当該吊部材に吊手段を繋げて前記吊り上げ対象物を吊り上げるようにした吊り上げ対象物の吊り上げ方法であって、前記吊部材として、前記吊手段を繋げる吊部と、前記吊り上げ対象物の板部に設けられた貫通孔を貫通して当該貫通孔の周囲の板部の下面に係止する係止部とを有した構成の吊部材を用い、当該吊部材の係止部を、前記吊り上げ対象物の板部に設けられた貫通孔に貫通させて当該貫通孔の周囲の板部の下面に係止させるとともに、当該吊部材の吊部に前記吊手段を繋げて前記吊り上げ対象物を吊り上げるようにしたことを特徴とする。
また、吊り上げ対象物は、開閉装置の開閉体構成部材、又は、開閉装置の開閉体、又は、開閉装置の開閉体及び当該開閉体の巻取部を含む開閉体装置、又は、当該開閉体装置が取付部材に取り付けられて構成された開閉体装置取付ユニットであることを特徴とする。
本発明に係る吊り上げ対象物の吊り上げ方法によれば、作業手間及び作業時間を削減できるようになる。
また、本発明に係る開閉体を構成する吊り上げ対象物の吊り上げ方法に使用する吊部材は、本体と、操作部材と、複数の係止部材と、脱着部とを備え、前記本体は、前記係止部材を収容する収容部を有した中空円柱状部材により構成され、当該中空円柱状部材は、前記収容部の下方に位置される下部中実部分と、前記収容部の上方に位置される上部中実部分と、当該上部中実部分を上下に貫通する軸挿通孔と、前記下部中実部分と前記上部中実部分との間の外周壁に設けられて前記収容部と外部とに連通する複数の開口部とを備え、前記操作部材は、前記軸挿通孔を貫通するように設けられた操作軸と、前記上部中実部分よりも下方に位置された操作軸の下端に設けられて前記収容部に収容された開閉操作体と、前記上部中実部分よりも上方に位置される操作軸の上端に設けられた吊部とを備え、前記係止部材は、前記収容部内に収容された閉状態と前記開口部を介して前記収容部より外方に突出する開状態とに回動可能なように、ヒンジ機構を介して前記開口部の開口縁に取付けられたとともに、弾性部材により前記閉状態が維持されるように構成され、前記脱着部は、前記中空円柱状部材の上端側から延長するように設けられ、前記中空円柱状部材が下端側から前記貫通孔に挿入されて前記開口部が前記板部の下面よりも下方に位置された状態で前記吊部が上方に引き上げられたことにより、開閉操作体が係止部材に接触して当該係止部材を開状態に維持するように構成されたことを特徴とする。
本発明に係る吊り上げ対象物の吊り上げ方法に使用する吊部材によれば、作業手間及び作業時間を削減できる吊り上げ対象物の吊り上げ方法を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】吊り上げ対象物の吊り上げ方法を示す図(実施形態)。
【
図2】吊部材を示す斜視図であり、(a)は係止部材が閉状態時の吊部材を示した図、(b)は係止部材が開状態時の吊部材を示した図(実施形態)。
【
図5】吊り上げ対象物に対する吊部材の取付時の手順を示す図(実施形態)。
【
図6】吊り上げ対象物に対する吊部材の取り外し時の手順を示す図(実施形態)。
【
図7】従来の吊り上げ対象物の吊り上げ方法を示す図。
【
図8】従来の吊り上げ対象物の吊り上げ方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る吊り上げ対象物の吊り上げ方法は、例えば上述したオーバースライディングドア等と呼称される開閉装置の開閉体構成部材としてのパネルや、窓シャッター等と呼称される開閉装置の開閉体装置等である吊り上げ対象物を吊り上げる際に、
図1に示すように、当該吊り上げ対象物10の上端側の板部11に吊部材1を取付けて、当該吊部材1に吊ロープ等の吊手段8を繋げて吊り上げ対象物10を吊り上げる吊り上げ対象物10の吊り上げ方法であって、吊部材1として、吊手段8を繋げる吊部9と、吊り上げ対象物10の上端側の板部11に設けられた貫通孔12を貫通して当該貫通孔12の周囲の板部11の下面(裏面)11bに係止する係止部13とを有した構成の吊部材1を用い、当該吊部材1の係止部13を、吊り上げ対象物10の板部11に設けられた貫通孔12に貫通させて当該貫通孔12の周囲の板部11の下面11bに係止させるとともに、当該吊部材1の吊部9に吊手段8を繋げて吊り上げ対象物10を吊り上げるようにした方法である。
尚、
図1においては、吊り上げ対象物10として上述したパネルを吊り上げる場合を図示している。
【0009】
上述した吊部材1は、
図2乃至
図4に示すように、例えば、本体2と、操作部材3と、複数の係止部材4,4と、脱着部5とを備える。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、
図2乃至
図4に示した方向と定義して説明する。
【0010】
本体2は、係止部材4,4及び後述の開閉操作部31を収容する収容空間となる収容部20を有した例えば中空円柱状部材2Aにより構成される。
当該中空円柱状部材2Aは、収容部20の下方に位置される円柱状の下部中実部分21と、収容部20の上方に位置される円柱状の上部中実部分22と、当該上部中実部分22を上下に貫通する軸挿通孔23と、下部中実部分21と上部中実部分22との間の外周壁24に設けられて収容部20と外部とに連通する複数の開口部25,25と、上部中実部分22の外周に設けられて吊り上げ対象物10の板部11に設けられた貫通孔12の周囲の上面11aに接触する規制部26とを備える。
【0011】
軸挿通孔23は、後述する操作軸30を上下移動可能なように貫通させるために当該操作軸30の軸径よりも若干大きく孔径に形成された孔であり、中空円柱状部材2Aの中心軸線2Cを中心とした断面円形の貫通孔により形成される。
開口部25,25は、中空円柱状部材2Aの外周壁24の周方向に互いに180°隔てた位置に、外周壁24を貫通するように形成されている。即ち、中空円柱状部材2Aの外周壁24に、2つの開口部25,25が中空円柱状部材2Aの中心軸線2Cを挟んで向かい合うように配置されている。開口部25の形状及び大きさは、後述する係止部材4の背面43の形状及び大きさに対応して形成されている。
また、上部中実部分22の上部側は大径部22aに形成されて上部中実部分22の下部側は小径部22bに形成されている。即ち、上部中実部分22の外周には、大径部22aと小径部22bとの段差面により形成された規制部26としての円環状の規制面26Aを備えている。
つまり、中空円柱状部材2Aの下部中実部分21、外周壁24、上部中実部分22の小径部22bの外周径寸法は、貫通孔12の孔径寸法よりも小さい寸法に形成されているとともに、上部中実部分22の大径部22aの外周径寸法は、貫通孔12の孔径寸法よりも大きい寸法に形成されている。
即ち、当該中空円柱状部材2Aは、吊り上げ対象物10の板部11に設けられた貫通孔12を貫通する下側部分と、貫通孔12を貫通しない上側部分とを備え、そして、当該下側部分が、中空円柱状部材2Aの下部中実部分21と外周壁24と上部中実部分22の小径部22bとで構成され、上側部分が、上部中実部分22の大径部22aにより構成されている。
【0012】
操作部材3は、軸挿通孔23を貫通するように設けられた操作軸30と、上部中実部分22よりも下方に位置された操作軸30の下端に設けられて収容部20に収容された開閉操作体31と、上部中実部分22よりも上方に位置される操作軸30の上端に設けられた吊部9とを備えた構成とした。
開閉操作体31は、例えば球体により構成される。
吊部9は、例えば円環体(リング)により構成される。
つまり、操作部材3は、操作軸30の上端(一端)に吊部9を備え、操作軸30の下端(他端)に開閉操作体31を備えた構成とした。
【0013】
各開口部25,25には、それぞれ、係止部材4が、当該開口部25を塞ぐように設けられている。
係止部材4は、収容部20内に収容された閉状態と収容部20より外方に突出する開状態とに回動可能なように、ヒンジ機構40を介して中空円柱状部材2Aに取付けられているとともに、弾性部材により閉状態が維持されるように構成されている。
係止部材4は、例えば、ヒンジ機構40の回転中心となるヒンジ軸41が貫通するように設けられた下端部42と、閉状態において中空円柱状部材2Aの外周壁24の外周面と同一面上に位置される背面43と、開状態において吊り上げ対象物10の上端側の板部11の下面(裏面)11bに係止される係止部13として機能する係止面44と、開状態において開閉操作体31と接触して当該開閉操作体31を支持する支持面45とを備える。
【0014】
尚、係止部13としての係止面44は、係止部材4が開状態に設定された場合に水平面となって板部11の下面11bに面接触するように構成されることが好ましい。
【0015】
ヒンジ機構40は、以下のように構成される。
例えば、ヒンジ機構40の回転中心となるヒンジ軸41が係止部材4の下端部42に固定されて、ヒンジ軸41の一端部と他端部とが開口部25の開口縁における左右の側縁面27,27に回動可能に取付けられて構成される。
あるいは、ヒンジ機構40の回転中心となるヒンジ軸41が係止部材4の下端部42を貫通するように設けられて、ヒンジ軸41の一端部と他端部とが開口部25の開口縁における左右の側縁面27,27に固定されたことによって、係止部材4がヒンジ軸41に回転可能に取付けられて構成される。
【0016】
脱着部5は、本体2を構成する中空円柱状部材2Aの上端の外周側から延長するように設けられる。
当該脱着部5は、例えば中空円柱状部材2Aの中心軸線2Cを中心とする逆円錐状の環状部材により構成される。
【0017】
収容部20の下方に位置される下部中実部分21の上面により形成された収容部20の底面20bには、開閉操作体31が嵌り込んで着座する半球状凹部に形成された開閉操作体着座部20xが形成されている。
また、収容部20の上方に位置される上部中実部分22の下面により形成された収容部10の上面20tには、開閉操作体31が入り込んで操作軸30の上方への移動を規制する円弧状凹部に形成された上部位置決め部20yが形成されている。
【0018】
上述した2つの係止部材4,4は、中空円柱状部材2Aの中心軸線2Cを挟んで向かい合うように収容部20に配置されており、互いに対向する係止部材4,4の上端側同士が弾性部材としての例えば2つのコイルばね46,46により連結されている。
例えば、コイルばね46の一端が一方の係止部材4の上端側に設けられた一端取付部47aに取付けられて、かつ、コイルばね46の他端が他方の係止部材4の上端側に設けられた他端取付部47bに取付けられている。
つまり、係止部材4,4は、収容部20内に収容された閉状態と開口部25,25を介して収容部20より外方に突出する開状態とに回動可能なように、ヒンジ機構40,40を介して開口部25の開口縁における左右の側縁面27,27に取付けられたとともに、弾性部材としてのコイルばね46,46により閉状態が維持されるように構成されているものである。
尚、
図4に示すように、例えば、2つのコイルばね46,46は、操作軸30を挟んで互いに平行に配置されている。
例えば、
図4に示すように、一方のコイルばね46は、一端が一方の係止部材4の上端側の前側面に設けられた一端取付部47aに取付けられて、他端が他方の係止部材4の上端側の前側面に設けられた他端取付部47bに取付けられており、かつ、他方のコイルばね46は、一端が一方の係止部材4の上端側の後側面に設けられた一端取付部47aに取付けられて、他端が他方の係止部材4の上端側の後側面に設けられた他端取付部47bに取付けられている。
【0019】
そして、係止部材4の閉状態においては、互いに向かい合う2つの係止部材4,4の間を操作軸30が通過して開閉操作体31が開閉操作体着座部20xに着座した状態となっており、2つのコイルばね46,46のばね力によって、2つの係止部材4,4が収容部20に収容された状態となっている。つまり、係止部材4,4は、通常時においては、2つのコイルばね46,46のばね力によって閉じた状態となっている。
【0020】
また、操作部材3の操作軸30が上方に引っ張られて開閉操作体31が上部位置決め部20yに位置された状態においては、開閉操作体31が2つの係止部材4,4に接触して2つの係止部材4,4がヒンジ機構40,40を介して回動することにより、係止部材4,4が開口部25,25から外側に突出する開状態に設定される。
即ち、係止部材4,4の開状態においては、開閉操作体31が上部位置決め部20yに位置されて、かつ、コイルばね46,46のばね力により開閉操作体31が2つの係止部材4,4の支持面45,45で挟まれて自然落下しない状態に維持される(
図5(c)参照)。
【0021】
次に
図5,
図6に基づいて吊部材1の着脱方法について説明する。
まず、
図5(a)に示すように、吊部材1の中空円柱状部材2Aを、矢印aに示すように、下端側から吊り上げ対象物10の板部11の貫通孔12に挿入して、
図5(b)に示すように、吊り上げ対象物10の板部11における貫通孔12の周囲の上面11aに規制面26Aを接触させる。尚、吊部材1の中空円柱状部材2Aを貫通孔12に挿入する際には、作業者が脱着部5を掴んで行うことが好ましい(
図6参照)。
そして、
図5(b)の状態から矢印bに示すように、吊部9を上方に引っ張ることにより、
図5(c)に示すように、係止部材4,4を開状態に設定して、係止部材4,4の係止面44,44を板部11における貫通孔12の周囲の下面11bに係止させる。
つまり、中空円柱状部材2Aの下側部分に設けられて貫通孔12を貫通した開口部25,25を介して開状態に設定された係止部材4,4の係止面44,44が、係止部13,13として機能する。
即ち、中空円柱状部材2Aが下端側から貫通孔12に挿入されて開口部25,25が板部11の下面11bよりも下方に位置された状態で吊部9が上方に引き上げられたことにより、開閉操作体31が係止部材4,4に接触して当該係止部材4,4を開状態に維持するように構成されている。
尚、吊部9を上方に引っ張る場合、作業者が脱着部5を軽く抑えながら行うことで、係止部材4,4を簡単確実に開状態に設定することができる。
以上で、吊部材1が吊り上げ対象物10の板部11に取付けられる。
そして、吊り上げ対象物10に取付けられた当該吊部材1の吊部9に吊り上げロープ等の吊手段8を繋いだ後、吊り上げ用の機械を用いて、吊り上げ対象物10を吊り上げることができる。
以上のように、実施形態の吊部材1を用いることにより、当該吊部材1を吊り上げ対象物10の板部11に簡単に取付けることができ、吊り上げ対象物10の吊り上げ作業を簡単かつ迅速に行えるようになる。
即ち、実施形態に係る吊部材1を用いたことにより、開閉体を構成する吊り上げ対象物10の吊り上げ方法において、吊部材1の取付作業にかかる作業手間及び作業時間を従来と比べて削減できるようになり、効率的な吊り上げ対象物の吊り上げ方法を実現できるようになる。
【0022】
また、吊り上げ対象物10の吊り上げ作業が終了した後、吊部材1の吊部9に繋がれていた吊手段8を外す。
その後、
図6(a)に示すように、吊部9を、矢印cのように下方に戻して、開閉操作体31を開閉操作体着座部20xに着座させることにより、係止部材4,4がコイルばね46,46のばね力により閉状態に設定される。
その後、
図6(b)に示すように、作業者Wが、脱着部5を掴んで吊部材1を貫通孔12から取り外す。
即ち、吊部材1は、脱着部5を備えているため、当該吊部材1を吊り上げ対象物10から簡単かつ確実に取り外すことができる。
【0023】
即ち、吊部材1は、脱着部5を備えているため、吊り上げ対象物10の板部11に形成された貫通孔12に対する脱着作業を簡単かつ確実に行えるようになる。
【0024】
尚、上述した吊部材1では、円環状の吊部9を備えたものを例示したが、吊部は鉤状等のものであってもよく、吊手段8を繋げればどのような構成であっても構わない。
また、上述した吊部材1では、球体の開閉操作体31を備えたものを例示したが、開閉操作体は、球体以外の形状であってもよい。
【0025】
また、本発明の方法に用いる吊部材としては、弾性部材の弾性力により係止部材が常に本体の外側に突出した状態に構成されたものを用い、本体を貫通孔12に通過させるときに、係止部材が貫通孔12の孔縁に押圧されて本体内に収納され、係止部材が貫通孔を通過した後に、弾性部材の弾性力により係止部材が本体の外側に突出して、板部の下面に係止する構成のものを用いてもよい。
即ち、本発明の方法に用いる吊部材は、吊部と、吊り上げ対象物の板部に設けられた貫通孔を貫通して当該貫通孔の周囲の板部の下面に係止する係止部とを有した構成の吊部材であればよい。
【0026】
尚、
図1では、吊り上げ対象物10としてパネルを例示したが、吊り上げ対象物10としては、
図8に示した、開閉体装置、即ち、窓シャッター等と呼称される開閉装置のシャッターケース(開閉体収容ケース)10aに、巻取部10b、開閉体としてのシャッターカーテン10c、図外の開閉機構等が組付けられて構成された開閉体装置であっても構わない。この場合、
図8(a)に示した吊部材100の代わりに、上述した本発明にかかる吊部材1を使用すればよい。
【0027】
また、吊り上げ対象物は、開閉体としてのシャッターカーテンを構成するスラットなどの開閉体構成部材や、シャッターカーテンなどの開閉体自体であっても構わない。
【0028】
また、吊り上げ対象物は、上述したような開閉体装置が壁パネル等の取付部材に予め取り付けられて構成された開閉体装置取付ユニットであっても構わない。
【0029】
また、吊り上げ対象物は、開閉装置を構成する部材や装置等以外の物であっても構わない。即ち、吊り上げ対象物は、吊部材1の係止部13が貫通する貫通孔12が形成された板部11を備えた物であればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 吊部材
2 本体
2A 中空円柱状部材
3 操作部材
4 係止部材
5 脱着部
8 吊手段
9 吊部
10 吊り上げ対象物
11 板部
12 貫通孔
13 係止部
20 収容部、
21 下部中実部分
22 上部中実部分
23 軸挿通孔
24 外周壁
25 開口部
30 操作軸
31 開閉操作体
40 ヒンジ機構
46 コイルばね(弾性部材)