IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図1
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図2
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図3
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図4
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図5
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図6
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図7
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図8
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図9
  • 特開-チップ剥離装置及びチップ剥離方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167124
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】チップ剥離装置及びチップ剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078045
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石本 達也
(72)【発明者】
【氏名】梶並 将人
(72)【発明者】
【氏名】諸石 史孝
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA09
5F131CA23
5F131CA37
5F131DA03
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB62
5F131EA07
5F131EA23
5F131EB01
5F131EB54
5F131EB73
5F131EC33
5F131EC72
5F131EC73
5F131EC74
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】装置を小型化でき、且つ欠けを低減できるチップ剥離装置及びチップ剥離方法を提供すること。
【解決手段】チップ剥離装置100は、ウェハ10を載置可能な載置面111を有し、載置面111に凹部113と第1真空吸着穴112とを有し、凹部113に第2真空吸着穴115と、ブロウ穴116と、突起114とを有するハウジング101と、第1真空吸着穴102及び第2真空吸着穴105を真空引きする真空吸引源102と、第2真空吸着穴105の真空引きの真空度を検出する圧力検出器105と、ブロウ穴116に流体を送出する加圧源107と、真空度に基づいてブロウ穴116に送出する流体の流量を決定するコントローラ106と、流体を、コントローラ106の決定した流量に制御する流量制御弁108と、を備え、コントローラ106は、第2真空吸着穴105の真空引きを行うと共に、ブロウ穴6に流体を送出する制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを載置可能な載置面を有し、前記載置面に凹部と第1真空吸着穴とを有し、前記凹部に第2真空吸着穴と、ブロウ穴と、突起とを有するハウジングと、
前記第1真空吸着穴及び前記第2真空吸着穴を真空引きする真空吸引源と、
前記第2真空吸着穴の真空引きの真空度を検出する圧力検出器と、
前記ブロウ穴に流体を送出する加圧源と、
前記真空度に基づいて前記ブロウ穴に送出する流体の流量を決定するコントローラと、
前記流体を、前記コントローラの決定した流量に制御する流量制御弁と、
を備え、
前記コントローラは、前記第2真空吸着穴の真空引きを行うと共に、前記ブロウ穴に流体を送出する制御を行うチップ剥離装置。
【請求項2】
前記ブロウ穴の開口面積は、前記第2真空吸着穴の開口面積より小さい、請求項1に記載のチップ剥離装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ブロウ穴に送出する流体の流量を時間の経過と共に減少させる制御を行う請求項1に記載のチップ剥離装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記ブロウ穴に送出する流体の流量を時間の経過と共に減少させる制御を行う請求項2に記載のチップ剥離装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記凹部を突出可能なブロック部を有する請求項1に記載のチップ剥離装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記凹部を突出可能なブロック部を有する請求項2に記載のチップ剥離装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記凹部を突出可能なブロック部を有する請求項3かに記載のチップ剥離装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記凹部を突出可能なブロック部を有する請求項4に記載のチップ剥離装置。
【請求項9】
前記流量制御弁は、周期的に流量を変化可能なサーボ弁である請求項1から8のいずれかに記載のチップ剥離装置。
【請求項10】
ウェハを載置可能な載置面を有し、前記載置面に凹部と第1真空吸着穴とを有し、前記凹部に第2真空吸着穴と、ブロウ穴と、突起とを有するハウジングと、
前記第1真空吸着穴及び前記第2真空吸着穴を真空引きする真空吸引源と、
前記第2真空吸着穴の真空引きの真空度を検出する圧力検出器と、
前記ブロウ穴に流体を送出する加圧源と、
前記流体の流量に制御する流量制御弁と、
を備えるチップ剥離装置において、
前記第2真空吸着穴の真空引きを行うと共に、前記ブロウ穴に流体を送出する制御を行うチップ剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ剥離装置及びチップ剥離方法に関し、例えば半導体製造装置に用いられるチップ剥離装置及びチップ剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体実装工程ではダイシングしたチップをチップ剥離装置で剥離し、ピックアップして別のウェハへ搭載するダイボンディング工程がある。
【0003】
チップ剥離方法には、鋭利なピンでダイシングテープごとチップを突き上げる方法がある。例えばチップの大きさが10mm角で30μm以下の薄いチップを突き上げる際、チップが薄くピンの先端が鋭利なため、突き上げる部分が起点となり割れや欠けが発生していた。
【0004】
この問題を解決する方法として特許文献1~3が検討されている。特許文献1には、ダイシングテープ下部のエジェクター形状はスライド式のチップ剥離装置が記載されている。また、特許文献2には、分割式のチップ剥離装置が記載されている。そして、特許文献3には、押上げ形状を工夫したチップ剥離装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5184303号
【特許文献2】特開2013-214739号公報
【特許文献3】特許4816598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1~3のチップ剥離装置は、機構が複雑で装置スペースを占有してしまい、装置が大型化してしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のチップ剥離装置は、ウェハを載置可能な載置面を有し、前記載置面に凹部と第1真空吸着穴とを有し、前記凹部に第2真空吸着穴と、ブロウ穴と、突起とを有するハウジングと、前記第1真空吸着穴及び前記第2真空吸着穴を真空引きする真空吸引源と、前記第2真空吸着穴の真空引きの真空度を検出する圧力検出器と、前記ブロウ穴に流体を送出する加圧源と、前記真空度に基づいて前記ブロウ穴に送出する流体の流量を決定するコントローラと、前記流体を、前記コントローラの決定した流量に制御する流量制御弁と、を備え、前記コントローラは、前記第2真空吸着穴の真空引きを行うと共に、前記ブロウ穴に流体を送出する制御を行うようにした。
【0008】
一実施形態のチップ剥離装置によれば、真空吸着の圧力を加圧流量で制御するため、真空吸着時の急激なチップ変形を抑えることで割れ、欠けを低減できる。
【0009】
一実施形態のチップ剥離装置は、前記ブロウ穴の開口面積は、前記第2真空吸着穴の開口面積より小さくした。
【0010】
一実施形態のチップ剥離装置によれば、急激な加圧の発生を抑えることができる。
【0011】
一実施形態のチップ剥離装置は、前記コントローラは、前記ブロウ穴に送出する流体の流量を時間の経過と共に減少させる制御を行うようにした。
【0012】
一実施形態のチップ剥離装置によれば、真空圧の急激な上昇を防ぐことができる。
【0013】
一実施形態のチップ剥離装置は、前記ハウジングは、前記凹部を突出可能なブロック部を有するようにした。
【0014】
一実施形態のチップ剥離装置によれば、剥離するチップを流体で加圧すると共に上昇させることで、チップ周辺四隅の剥離を促進できる。
【0015】
一実施形態のチップ剥離装置は、前記流量制御弁は、周期的に流量を変化可能なサーボ弁にした。
【0016】
一実施形態のチップ剥離装置によれば、加圧の周期を変えながら、振動の力により、チップの剥離を促進できる。
【0017】
一実施形態のチップ剥離方法は、ウェハを載置可能な載置面を有し、前記載置面に凹部と第1真空吸着穴とを有し、前記凹部に第2真空吸着穴と、ブロウ穴と、突起とを有するハウジングと、前記第1真空吸着穴及び前記第2真空吸着穴を真空引きする真空吸引源と、前記第2真空吸着穴の真空引きの真空度を検出する圧力検出器と、前記ブロウ穴に流体を送出する加圧源と、前記流体の流量に制御する流量制御弁と、を備えるチップ剥離装置において、前記第2真空吸着穴の真空引きを行うと共に、前記ブロウ穴に流体を送出する制御を行うようにした。
【0018】
一実施形態のチップ剥離方法によれば、真空吸着の圧力を加圧流量で制御するため、真空吸着時の急激なチップ変形を抑えることで割れ、欠けを低減できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のチップ剥離装置及びチップ剥離方法によれば、装置を小型化でき、且つ真空吸着の圧力を加圧流量で制御するため、真空吸着時の急激なチップ変形を抑えることで割れ、欠けを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。
図2】実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す上面透視図である。
図3】実施の形態1にかかるチップ剥離装置の凹部113の一例を示す上面図である。
図4】実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。
図5】実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。
図6】流量制御の有無を比較するグラフである。
図7】実施の形態2にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である
図8】剥離の説明のための上面図である。
図9】実施の形態3にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。
図10】実施の形態3にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。図1において、チップ剥離装置100は、ハウジング101と、真空吸引源102と、第1バルブ103と、第2バルブ104と、圧力検出器105と、コントローラ106と、加圧源107と、流量制御弁108と、を備える。ピッカー20は、ダイシングテープ11が剥離された半導体ウェハ10のうち、チップ12をピックアップする構成である。図1では、図面下方向が重力方向となる例として説明する。
【0022】
ハウジング101は、載置面111にダイシングされた半導体ウェハ10が載置される。この載置面111には、真空吸着穴112が全体に分布している。また、この載置面111には、1チップのサイズの領域に凹部113が設けられている。図2は、実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す上面透視図である。また、図3は、実施の形態1にかかるチップ剥離装置の凹部113の一例を示す上面図である。図1図3に示すように、この凹部113には、突起114と、真空吸着穴115と、ブロウ穴116が設けられている。図1に示すように、突起114の上端は、載置面111の高さと同じである。
【0023】
またブロウ穴116の開口面積は、真空吸着穴115の開口面積より小さい。穴の面積の大小関係により、急激な加圧の発生を抑えることができる。
【0024】
また、ハウジング101の凹部113の部分に上下に移動可能なブロック部117を備える。ハウジング101とブロック部117でエジェクターが構成される。すなわち、突起114と、真空吸着穴115と、ブロウ穴116はハウジング101のブロック部117の部分に設けられている。
【0025】
図1に戻って、真空吸引源102は、第1バルブ103を介して真空吸着穴112を真空引きする。また、真空吸引源102は、第2バルブ104を介して真空吸着穴115を真空引きする。
【0026】
第1バルブ103は、真空吸着穴112と真空吸引源102を結ぶ配管の途中に設けられたストップバルブである。
【0027】
第2バルブ104は、真空吸着穴115と真空吸引源102を結ぶ配管の途中に設けられたストップバルブである。
【0028】
圧力検出器105は、真空吸着穴115から吸引する圧力(すなわち半導体ウェハ10とハウジング101の凹部113が形成する空間の圧力)を検出する。そして圧力検出器105は、検出した圧力値をコントローラ106に出力する。
【0029】
コントローラ106は、圧力検出器105が検出した圧力値に基づいて流量制御弁108での流量を調節する。またコントローラ106は、第1バルブ103及び第2バルブ104の開閉を制御する。コントローラ106の制御の詳細は後述する。
【0030】
加圧源107は、流量制御弁108を介してブロウ穴116に流体を供給することにより、半導体ウェハ10を加圧する。流体は気体が望ましい。好ましくは、流体は不活性の気体が望ましい。例えば加圧源107は、加圧ポンプまたは気体を充填したボンベが好適である。
【0031】
流量制御弁108は、コントローラ106の指示に従い、加圧源107からブロウ穴116に送出される流体の量を調整する。
【0032】
以上の構成により、チップ剥離装置100はチップ12からダイシングテープ11を剥がす。次にチップ剥離装置100の動作について説明する。図4及び図5は、実施の形態1にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。また図6は、流量制御の有無を比較するグラフである。以下の説明の動作は、コントローラ106により制御される。
【0033】
まず、図4のAに示すように、チップ剥離装置100において、ダイシングされたリング付き半導体ウェハ10がエジェクター(のハウジング101)上に載置される。このエジェクター上でチップからテープの剥離が行われる。
【0034】
次に、エジェクターの凹部113の水平方向の位置を剥離するチップ12と合わせた状態で、エジェクターの高さをダイシングテープ11と同じ高さへ移動させる。
【0035】
そして、図4のBに示すように、エジェクターの真空吸引源102によりダイシングテープ11が真空吸着される。
【0036】
そして、圧力検出器105により真空圧を検知し、加圧側に設けた流量制御弁108を介して、加圧したエアーをブロウ穴116に入れ、真空圧の急激な上昇を防ぐように制御する。流量制御の有無による真空圧の変化を図6に示す。図6において、縦軸は真空度を示す。また横軸は時間を示す。図6に示すように、加圧するエアーの流量を時間と共に減少させる制御を行うことにより、真空圧の急激な上昇を防いでいる。ダイシングテープ11が真空吸着された結果、図5のAに示すようになる。
【0037】
そして、図5のBに示すように、隣接するチップと接触しないよう、図示しないアクチュエータ等によりブロック部117を上昇させる。
【0038】
ピッカー20のピックアップヘッドをチップ12上に配置し下降させチップ12に接近し吸着可能位置で真空吸着によりチップ12を吸着する。この動作により、図5のCに示すように、チップがピックアップされる。
以上の動作により、チップが半導体ウェハよりピックアップされる。
【0039】
ハウジング101の凹部113は、真空吸着する土台形状に突起114(または溝)をあらかじめ設けておく。この形状により、真空吸着した際に、チップ12とテープ11が接触する部分を突起114に限定することができるので、チップ12とテープ11の接触面積を減らし剥離を促進できる。
【0040】
例えば、中央の溝を形成する場合、中央の溝は剥離するチップサイズより小さく、チップに対して面積比90%から99%であることが望ましい。
【0041】
また、溝の深さはダイシングテープ厚さに加えて100μmから500μmであることが望ましい。
【0042】
突起114の頂点位置はエジェクターのハウジング101より100μmから500μm突出できるように可動できることが望ましい。
【0043】
真空吸着穴112及び真空吸着穴115の直径は0.5mm程度が望ましい。また、加圧用のブロウ穴116の直径は真空吸着穴112及び真空吸着穴115の直径よりかなり小さくすること望ましい。具体的には、ブロウ穴116の直径は0.1mm以下が好ましい。
真空吸引源102により真空吸着を行うことで、ダイシングテープ11を吸着し、それに伴い、チップ12とテープ11とのダイシング接触面積が減りチップ12が半導体ウェハ10から剥離する。
【0044】
このように実施の形態1のチップ剥離装置によれば、真空吸着の圧力を加圧流量で制御するため、真空吸着時の急激なチップ変形を抑えることで割れ、欠けを低減できる。また、実施の形態1のチップ剥離装置によれば、駆動系がブロック部の微小駆動のため小型化できる。また、実施の形態1のチップ剥離装置によれば、加圧のエアーで真空圧の制御を行うので、真空弁だけで制御を行うより応答が速く、剥離までの時間を短縮できる。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2では、凹部の部分を加圧のみの状態で上昇させる例について説明する。実施の形態2のチップ剥離装置の構成は実施の形態1のチップ剥離装置と同じであり、動作が異なる。
【0046】
図7を用いて動作について説明する。図7は、実施の形態2にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。また、図8は剥離の説明のための上面図である。
【0047】
まず、図7のAに示すように、チップ剥離装置100において、ダイシングされたリング付き半導体ウェハ10がエジェクター(のハウジング101)上に載置される。このエジェクター上でチップからテープの剥離が行われる。
【0048】
次に、エジェクターの凹部113の水平方向の位置を剥離するチップ12と合わせた状態で、エジェクターの高さをダイシングテープ11と同じ高さへ移動させる。
【0049】
そして、図7のBに示すように、加圧側に設けた流量制御弁108を介して、加圧したエアーをブロウ穴116に入れると共に、隣接するチップと接触しないよう、図示しないアクチュエータ等によりブロック部117を上昇させる。この動作により、テープとチップが持ち上がる形となりテープが弓なりに曲がるため、チップ周辺四隅の剥離が促進される。すなわち図8の丸801で囲んだ部分の剥離が促進される。
【0050】
そして、図7のCに示すように図示しないアクチュエータ等によりブロック部117を下降させると共に、エジェクターの真空吸引源102によりダイシングテープ11が真空吸着される。また、圧力検出器105により真空圧を検知し、加圧側に設けた流量制御弁108を介して、加圧したエアーをブロウ穴116に入れる。
【0051】
ピッカー20のピックアップヘッドをチップ12上に配置し下降させチップ12に接近し吸着可能位置で真空吸着によりチップ12を吸着する。この動作により、図7のDに示すように、チップがピックアップされる。
【0052】
このように、実施の形態2のチップ剥離装置によれば、剥離するチップを流体で加圧すると共に上昇させることで、チップ周辺四隅の剥離を促進できる。
【0053】
(実施の形態3)
実施の形態3では、加圧側の流路にサーボ弁を備える例について説明する。図9は、実施の形態3にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。図9において、チップ剥離装置900は、ハウジング101と、真空吸引源102と、第1バルブ103と、第2バルブ104と、圧力検出器105と、コントローラ906と、加圧源107と、サーボ弁908とを備える。図9において、図1と同一の構成については、同じ番号を付し、説明を省略する。
【0054】
コントローラ906は、圧力検出器105が検出した圧力値に基づいてサーボ弁908での流量を調節する。またコントローラ106は、第1バルブ103及び第2バルブ104の開閉を制御する。コントローラ906の制御の詳細は実施の形態1のコントローラ106にサーボ弁908の制御を加えたものである。
【0055】
サーボ弁908は、コントローラ906の指示に従い、加圧源107からブロウ穴116に送出される流体の量を調整する。具体的には、サーボ弁908は、周期的に流体の量を調整する。
【0056】
次にチップ剥離装置900の動作について説明する。図10は、実施の形態3にかかるチップ剥離装置の一例を示す断面図である。以下の説明の動作は、コントローラ906により制御される。
【0057】
まず、図10のAに示すように、チップ剥離装置100において、ダイシングされたリング付き半導体ウェハ10がエジェクター(のハウジング101)上に載置される。このエジェクター上でチップからテープの剥離が行われる。
【0058】
次に、エジェクターの凹部113の水平方向の位置を剥離するチップ12と合わせた状態で、エジェクターの高さをダイシングテープ11と同じ高さへ移動させる。
【0059】
そして、図10のBに示すように、加圧側に設けたサーボ弁908を介して、加圧したエアーをブロウ穴116に入れ、
【0060】
そして、図10のCに示すように、エジェクターの真空吸引源102によりダイシングテープ11が真空吸着される。
【0061】
この図10のBの加圧と、図10のCの真空吸着を交互に繰り返す。
【0062】
そして、ピッカー20のピックアップヘッドをチップ12上に配置し下降させチップ12に接近し吸着可能位置で真空吸着によりチップ12を吸着する。この動作により、図10のDに示すように、チップがピックアップされる。
以上の動作により、チップが半導体ウェハよりピックアップされる。
【0063】
このように、実施の形態3のチップ剥離装置によれば、加圧の周期を変えながら、振動の力により、チップの剥離を促進できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、図面下方向が重力方向となる例として説明しているが、他の方向で実施されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 半導体ウェハ
11 ダイシングテープ
12 チップ
20 ピッカー
100、900 チップ剥離装置
101 ハウジング
102 真空吸引源
103 第1バルブ
104 第2バルブ
105 圧力検出器
106、906 コントローラ
107 加圧源
108 流量制御弁
111 載置面
112、115 真空吸着穴
113 凹部
114 突起
116 ブロウ穴
117 ブロック部
908 サーボ弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10