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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167132
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/10 20060101AFI20231116BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20231116BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
B60W50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078059
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 祐介
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
【Fターム(参考)】
3D037FA27
3D241CC02
3D241CD08
3D241DA13Z
3D241DA24Z
3D241DB02Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】安全性の向上と意図的な加速とを両立する。
【解決手段】車両は、一または複数のプロセッサを備え、プロセッサは、アクセルペダルの踏み込みに対して加速を抑制する加速抑制制御を行い、2以上の操作部に対して運転者により操作が行われた場合、加速抑制制御を解除する制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
アクセルペダルの踏み込みに対して加速を抑制する加速抑制制御を行い、2以上の操作部が運転者に操作された場合、前記加速抑制制御を解除する制御部と、
を備える車両。
【請求項2】
前記制御部は、
前記アクセルペダルが踏み込まれた後に、2以上の前記操作部が運転者に操作された場合、前記加速抑制制御を解除する
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、
互いに反する指示を出すための2以上の前記操作部が運転者に操作された場合、前記加速抑制制御を解除する
請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記操作部は、ステアリングホイールに設けられ、前記ステアリングホイールの回転に伴って回転する
請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記操作部は、シフトを変更させるパドルシフトレバーである
請求項4に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセルペダルの踏み間違いによる車両の加速を抑制する加速抑制制御を行う車両が提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、車両は、アクセルペダルの踏み間違えに対して安全性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-172245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両では、運転者が車両を加速させるために意図的にアクセルペダルを踏み込んだとしても、加速抑制制御が行われて車両を加速させることができないといった問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、安全性の向上と意図的な加速とを両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る車両は、一または複数のプロセッサを備え、前記プロセッサは、アクセルペダルの踏み込みに対して加速を抑制する加速抑制制御を行い、2以上の操作部が運転者に操作された場合、前記加速抑制制御を解除する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性の向上と意図的な加速とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両の構成概要を示した図である。
図2】ステアリングホイール6の構成を示した図である。
図3】パドルシフトレバー7の操作方法を示した図である。
図4】セーフモードの解除および解除終了の処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.車両の構成>
図1は、車両1の構成を示した図である。図1に示すように、車両1は、エンジン2、変速機3、アクセルペダル4、アクセルペダルセンサ5、ステアリングホイール6、パドルシフトレバー7、操作ボタン8、シフトレバーセンサ9、速度センサ10、加速度センサ11および制御部12を備える。
【0010】
エンジン2は、車両1の駆動源として設けられる。エンジン2は、例えば、一対のシリンダ群がクランクシャフトを挟んで左右方向に水平に配置された水平対向エンジンである。エンジン2は、ガソリンと空気の混合気をシリンダ内で燃焼させることにより得られる燃焼圧によってピストンを往復動させる。そして、エンジン2は、ピストンにコネクティングロッドを介して接続されたクランクシャフトを回転させることで動力を得る。
なお、エンジン2は、直列エンジン、V型エンジン等であってもよい。また、エンジン2は、ディーゼルエンジンであってもよい。また、駆動源として、エンジン2およびモータが設けられるようにしてもよく、さらには、エンジン2に代えてモータのみが設けられるようにしてもよい。
【0011】
また、エンジン2には、エンジン2の状態を検出する複数のセンサ(回転数センサ、水温センサ等)を備え、それらセンサの検出結果を制御部12に出力する。
【0012】
変速機3は、エンジン2のクランクシャフトに接続され、クランクシャフトからの動力を変速して駆動輪に伝達する。変速機3は、有段変速機であっても無段変速機であってもよい。
【0013】
アクセルペダル4は、運転者の踏み込み操作を受け付ける。アクセルペダルセンサ5は、アクセルペダル4の踏み込み量を検出し、検出した踏み込み量を示す信号を制御部12に出力する。
【0014】
ステアリングホイール6は、運転者の回転操作を受け付ける。車両1は、ステアリングホイール6の回転角に応じて転舵される。
ステアリングホイール6には、パドルシフトレバー7および操作ボタン8が取り付けられている。
【0015】
図2は、ステアリングホイール6の構成を示した図である。図2に示すように、ステアリングホイール6は、環状に形成されたリム21、リム21の中心部分に配置されるハブ22、および、リム21とハブ22とを接続するスポーク23を備える。
【0016】
スポーク23は、ハブ22から右方向に延びる右スポーク23a、ハブ22から左方向に延びる左スポーク23b、および、ハブ22から下方向に延びる下スポーク23cを備え、全体として略T字型に形成されている。
【0017】
車両1では、リム21における右スポーク23aとの接続部分に運転者の右手が配置され、リム21における左スポーク23bとの接続部分に運転者の左手が配置されてステアリングホイール6が操作される。
【0018】
そして、右スポーク23aおよび左スポーク23bは、運転者の押下操作を受け付ける操作ボタン8がそれぞれ配置されている。すなわち、右スポーク23aの操作ボタン8は、運転者の右手親指で操作可能な位置に配置されている。また、左スポーク23bの操作ボタン8は、運転者の左手親指で操作可能な位置に配置されている。
操作ボタン8は、運転者に操作された場合、その操作ボタン8に応じた信号を制御部12に出力する。
【0019】
ハブ22におけるスポーク23の背面側(運転者から離隔した面側)には、パドルシフトレバー7が取り付けられている。パドルシフトレバー7は、シフトをアップさせるためのシフトアップレバー7a、および、シフトをダウンさせるためのシフトダウンレバー7bを備える。
そして、シフトアップレバー7aは、右スポーク23aの背面側に配置されている。シフトダウンレバー7bは、左スポーク23bの背面側に配置されている。
【0020】
したがって、ステアリングホイール6が運転者によって回転されると、パドルシフトレバー7および操作ボタン8はステアリングホイール6の回転に伴って回転する。
【0021】
図3は、パドルシフトレバー7の操作方法を示した図である。なお、図3では、パドルシフトレバー7の一例としてシフトアップレバー7aの操作方法を説明するが、シフトダウンレバー7bも同様である。
【0022】
図3左側に示すように、シフトアップレバー7aが操作されていない場合、運転者は、リム21を右手および左手全体で掴んでいる。このとき、運転者の親指はリム21の前面に密着し、運転者の人差し指から小指まではリム21の背面に密着している。
【0023】
そして、運転者は、シフトアップレバー7aを操作しようとした場合、図3中央に示すように、人差し指から小指までを伸ばしてリム21の背面から離す。その後、運転者は、図3右側に示すように、人差し指から小指までをシフトアップレバー7aの背面に当接させてから、人差し指から小指までを握るようにしてシフトアップレバー7aを前方に移動させる。
【0024】
このように、パドルシフトレバー7は、運転者が意図的(意識的)に手を動かさなければ操作できない操作部であり、例えば運転者があわてたときなどであっても無意識に操作されてしまうことはない。
【0025】
一方、操作ボタン8は、運転者がステアリングホイール6を保持する通常の位置に手を配置しているときに、殆ど指を動かすことなく操作が可能な操作部であり、例えば運転者があわてたときなどに無意識に操作されてしまうおそれがある。
【0026】
図1に戻り、シフトレバーセンサ9は、パドルシフトレバー7が操作されたことを検出し、検出結果に基づく信号、すなわちシフトアップレバー7aまたはシフトダウンレバー7bが操作されたことを示す信号を制御部12に出力する。
速度センサ10は、車両1の速度を検出し、車両1の速度を示す信号を制御部12に出力する。
加速度センサ11は、車両1の加速度を検出し、車両1の加速度を示す信号を制御部12に出力する。
【0027】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含むプロセッサ(コンピュータ)によって構成される。なお、制御部12は、一または複数のプロセッサを含んで構成されていてもよい。
【0028】
制御部12は、ROMまたは不図示の記憶部に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより車両1全体を制御する。例えば、制御部12は、エンジン2、アクセルペダルセンサ5、シフトレバーセンサ9、速度センサ10および加速度センサ11から入力される信号に基づいて、エンジン2および変速機3を制御する。
【0029】
例えば、制御部12は、アクセルペダルセンサ5から入力される踏み込み量を示す信号、および、速度センサ10から入力される車両1の速度を示す信号に基づいて、予め記憶されたマップを参照してエンジン2の目標トルクおよび目標エンジン回転数を求める。そして、制御部12は、求めた目標トルクおよび目標エンジン回転数となるようにエンジン2を駆動させる。
【0030】
また、制御部12は、アクセルペダルセンサ5から入力される踏み込み量を示す信号、速度センサ10から入力される車両1の速度を示す信号、エンジン2から入力されるエンジン回転数に応じて、変速機3の変速比(変速段)を求める。そして、制御部12は、求めた変速比(変速段)となるように変速機3を制御する。
【0031】
また、制御部12は、シフトレバーセンサ9から信号が入力されると、その信号に基づいて変速比(変速段)を決定し、決定した変速比(変速段)となるように変速機3をシフトチェンジさせることもできる。
例えば、制御部12は、シフトアップレバー7aが操作されたことを示す信号が入力されると変速段を1段上げ、シフトダウンレバー7bが操作されたことを示す信号が入力されると変速段を1段下げる。
なお、エンジン2および変速機3の制御の方法は一例であり、他の方法であってもよい。
【0032】
また、車両1では、車両1の加速を制限するセーフモード(加速抑制制御)が設けられている。セーフモードは、例えば、予めセーフモードの実行が対応付けられたキーを用いてエンジン2が始動されたときに実行される。
【0033】
セーフモードは、例えば高齢の運転者に向けて設けられているモードである。セーフモードは、運転者がアクセルペダルセンサ5を間違えて踏み込んでしまったときに、運転者が意図していない車両1の加速を抑制するために設けられている。
【0034】
制御部12は、セーフモードを実行すると、アクセルペダル4が踏み込まれたとしても、加速度センサ11で検出される加速度が予め設定された上限値以上にならないようにエンジン2を制御する。これにより、車両1は、上限値未満の加速度までしか加速することがなくなる。
【0035】
しかしながら、例えば高速道路への合流等、比較的短い距離(短い時間)で車両1の速度を上げたい場合には車両1を上限値以上で加速させる必要がある。このような要求に対してセーフモードが容易に解除できてしまうと、実際に加速を制限させたい状況においてもセーフモードが解除されてしまうおそれもある。
【0036】
そこで、本実施形態の車両1において、制御部12は、2以上の操作部が運転者に操作された場合、セーフモード(加速抑制制御)を一時的に解除する。
【0037】
具体的には、加速が必要な状況において、制御部12は、アクセルペダル4が先に操作された後、アクセルペダル4が操作されている間にシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作されると、セーフモードを一時的に解除する。
【0038】
図4は、セーフモードの解除および解除終了の処理の流れを示したフローチャートである。
ステップS1で制御部12は、セーフモードが実行中であるかを判定する。セーフモードが実行中でなければ(ステップS1でNo)処理を終了する。セーフモードが実行中である場合(ステップS1でYes)、ステップS2で制御部12は、アクセルペダル4が操作されているかを判定する。ここでは、制御部12は、アクセルペダルセンサ5から入力されるアクセルペダル4の踏み込み量を示す信号が0より大きい値である場合にアクセルペダル4が操作されていると判定する。
【0039】
アクセルペダル4が操作されている場合(ステップS2でYes)、ステップS3で制御部12は、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作されたかを判定する。ここでは、シフトレバーセンサ9から、シフトアップレバー7aが操作されたことを示す信号と、シフトダウンレバー7bが操作されたことを示す信号とが所定時間(例えば200ms)以内に入力された場合に、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作されたと判定する。
【0040】
なお、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作される場合、先に操作されたパドルシフトレバー7に対するシフトチェンジが実行されることになる。しかしながら、後に操作されるパドルシフトレバー7の操作は、先に操作されたパドルシフトレバー7の操作とは反対のシフトチェンジを実行させる操作となるため、変速機3の変速比は元に戻ることになる。すなわち、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合、変速機3の変速比(変速段)は変更されない。
【0041】
ただし、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作される可能性があるため、制御部12は、一方のパドルシフトレバー7が操作されてから所定時間の間はシフトチェンジしないようにしてもよい。この場合、制御部12は、一方のパドルシフトレバー7が操作されてから所定時間が経過する前に他方のパドルシフトレバー7が操作された場合にはシフトチェンジを行わない。また、制御部12は、一方のパドルシフトレバー7が操作されてから所定時間が経過すると、一方のパドルシフトレバー7の操作に応じたシフトチェンジを行う。
【0042】
アクセルペダル4が操作されていない場合(ステップS2でNo)、および、アクセルペダル4が操作されているがシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作されていない場合(ステップS2でYes、ステップS3でNo)にはステップS2に処理を戻す。
【0043】
一方、アクセルペダル4が操作された後にシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合(ステップS2でYes、ステップS3でYes)、ステップS4で制御部12は、セーフモードを解除する。すなわち、制御部12は、上限値以上の加速度での加速を行うようエンジン2を制御する。
【0044】
その後、ステップS5で制御部12は、予め設定されている解除終了条件が成立したかを判定する。
解除終了条件は、セーフモードの解除を終了させるための条件である。
解除終了条件としては、例えば、アクセルペダル4、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bのいずれかが操作されなくなったことが設定されている。この条件は、運転者がセーフモードの解除を終了させる意図を反映した条件となっている。
また、解除終了条件の別例としては、車両1の加速度がセーフモードの上限値以下となったことに設定されるようにしてもよい。この条件は、車両1の加速度が低くなりセーフモードの解除を行う必要がない条件となっている。
【0045】
解除終了条件が成立していない場合(ステップS5でNo)、ステップS5に戻ってセーフモードの解除を継続させる。
一方、解除終了条件が成立した場合(ステップS5でYes)、ステップS6で制御部12は、セーフモードの解除を終了させてセーフモードを再開する。
【0046】
<2.変形例>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記した具体例に限定されず多様な構成を採り得るものである。
例えば、上記した実施形態では、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合にセーフモードを解除するようにした。しかしながら、2以上の操作部が運転者に操作された場合にセーフモードを解除するのであれば、操作部はこれに限らない。
例えば、2以上の操作ボタン8がほぼ同時に操作された場合にセーフモードを解除するようにしてもよい。
ただし、セーフモードを解除するための操作部はステアリングホイール6に設けられていることが望ましい。操作部がステアリングホイール6の回転に伴って回転するため、ステアリングホイール6の一定以上の回転操作が行われる際には運転者が操作部を操作しにくくなる。したがって、車両1の急旋回と急加速とによる車両1の挙動乱れを防止することができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、アクセルペダル4が先に踏み込まれた後にシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合にセーフモードを解除するようにした。しかしながら、アクセルペダル4の操作に拘わらず、シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合にセーフモードを解除するようにしてもよい。ただし、アクセルペダル4が先に踏み込まれた後にシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bがほぼ同時に操作された場合にセーフモードを解除する方が望ましい。
【0048】
また、解除終了条件として、車両1の速度が所定の設定速度以上であることが設定されていてもよい。これにより、車両1は、車両1が急加速していき設定速度に到達したときにセーフモードの解除を終了させることで、運転者の異常操作または操作部(シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7b)のオン固着によりセーフモードの解除が終了せずに急加速が継続してしまうことを防止することが可能となる。なお、設定速度は、標識認識値、運転者の設定値、地図情報に示される値等が設定可能である。
【0049】
<3.実施形態のまとめ>
上記のように実施形態の車両1は、一または複数のプロセッサを備え、プロセッサは、アクセルペダル4の踏み込みに対して加速を抑制する加速抑制制御(セーフモード)を行い、2以上の操作部(シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7b)が運転者に操作された場合、加速抑制制御を解除する制御部12と、を備える。
これにより、制御部12は、2以上の操作部が運転者に操作された場合にのみ加速抑制制御を一時的に解除して車両1の急加速を行う。
したがって、車両1は、通常は加速抑制制御を行ってアクセルペダル4の踏み間違えによる急加速を抑制するといった安全性を向上しつつ、高速道路の合流等の急加速が必要な場合に、運転者の意識的な操作に応じて加速抑制制御を一時的に解除して車両1の急加速を可能にすることができる。
【0050】
また、制御部12は、アクセルペダル4が踏み込まれた後に、2以上の操作部が運転者に操作された場合、加速抑制制御を解除する。
これにより、制御部12は、2以上の操作部が運転者に操作された後にアクセルペダル4が踏み込まれたとしても、アクセルペダル4の踏み直し等、運転者の誤操作のおそれがあったものとみなして急加速が行われないようにすることができる。したがって、車両1は、安全性をより向上することができる。
また、アクセルペダル4が踏み込まれる前に2以上の操作部がオン固着していた場合、加速抑制制御が解除されずに急加速が行われることがないため、安全性を確保することできる。
さらに、アクセルペダル4が踏み込まれた後に2以上の操作部がオン固着することはタイミング的に殆ど起こらないため、安全性を確保することができる。
【0051】
また、制御部12は、互いに反する指示を出すための2以上の操作部が運転者に操作された場合、加速抑制制御を解除する。
シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7b等の互いに反する指示(シフトアップとシフトダウン等)を出すための2以上の操作部は、運転者が意図して操作しなければ同時に操作されることがないため、制御部12は、誤操作による急加速を防止することができる。
【0052】
また、操作部は、ステアリングホイール6に設けられ、ステアリングホイール6の回転に伴って回転する。
これにより、車両1の緩旋回中のセーフモードの解除は実現しつつ、ステアリングホイール6に大きな操舵角が入力される場合にはシフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bを運転者が同時に操作することが困難となるため車両1の急旋回と急加速とによる車両1の挙動乱れを防止することができる。
【0053】
また、操作部は、シフトを変更させるパドルシフトレバー7である。
シフトアップレバー7aおよびシフトダウンレバー7bは意識的にしか操作することができないため(図3参照)、意識的な操作によってしか加速制限制御を解除することができない。したがって、車両1は、より安全性を向上することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 エンジン
3 変速機
4 アクセルペダル
6 ステアリングホイール
7 パドルシフトレバー
7a シフトアップレバー
7b シフトダウンレバー
12 制御部
図1
図2
図3
図4