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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167142
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】現像装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078080
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅史
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD14
2H077AD18
2H077AD24
2H077AE06
2H077BA08
2H077GA02
2H077GA03
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】回転部材と筐体との最小距離が、流路の内側流路口の流路幅より大きい場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる現像装置、画像形成装置を得る。
【解決手段】現像装置は、回転しながら像保持体に現像剤を渡し、回転する軸方向から見て現像剤を像保持体に渡しから現像剤を放すまでの部分において筐体との最小距離がL1とされた回転部材と、軸方向に延び、軸方向から見て回転部材の斜め下方に配置され、回転しながら現像剤を搬送して回転部材に現像剤を供給する供給部材と、供給部材の上方に配置され、筐体の内部から外部に繋がる流路を上下方向から挟み、軸方向から見て流路において筐体の内部側の内側流路口の流路幅W1が距離L1以上とされ、軸方向から見て流路において筐体の外部側の外側流路口の流路幅W2が流路幅W1より大きい一対の流路壁と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら像保持体に現像剤を渡し、回転する軸方向から見て現像剤を像保持体に渡しから現像剤を放すまでの部分において筐体との最小距離がL1とされた回転部材と、
前記軸方向に延び、前記軸方向から見て前記回転部材の斜め下方に配置され、回転しながら現像剤を搬送して前記回転部材に現像剤を供給する供給部材と、
前記供給部材の上方に配置され、前記筐体の内部から外部に繋がる流路を上下方向から挟み、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の内部側の内側流路口の流路幅W1が距離L1以上で、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の外部側の外側流路口の流路幅W2が流路幅W1より大きい一対の流路壁と、
を備える現像装置。
【請求項2】
前記軸方向から見て、一方の前記流路壁は、他方の前記流路壁へ向かって突出している突出部を含んで構成されている、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記軸方向から見て、前記流路を構成する他方の前記流路壁は、一方の前記流路壁へ向かって突出している他の突出部を含んで構成され、
前記突出部と前記他の突出部とは、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かう方向でずれている、
請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記軸方向から見て、前記突出部と前記他の突出部は、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かって交互に設けられている、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記流路の下面は、一方の前記流路壁によって構成され、
前記突出部は、一方の前記流路壁において前記外側流路口を構成する部分に設けられている、
請求項2に記載の現像装置。
【請求項6】
前記外側流路口を構成する部分に設けられた前記突出部には、前記流路側を向いた平面が形成されており、前記軸方向から見て、前記平面の上端は、前記平面の下端に対して水平方向で前記流路側に配置されている、
請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体に形成された潜像をトナー画像として現像する請求項1~6の何れか1項に記載の現像装置と、
トナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の現像装置は、現像装置本体と、現像スリーブと、搬送部材と、現像装置本体内の空気を排出するための排出用流路と、排出用流路の空気流入口と現像スリーブとの間に配置される遮蔽部であって、重力方向において現像スリーブの下端部又は現像スリーブの下端部よりも下方であって、搬送部材上端部よりも重力方向における上方に端部が配置される遮蔽部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-2990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像装置は、回転しながら像保持体に現像剤を受け渡す回転部材と、回転部材に対して斜め下方に配置され、回転しながら現像剤を搬送して現像剤を回転部材に供給する供給部材とを備えている。また、供給部材の上方には、現像装置の筐体の内部と外部を繋ぐ流路が、一対の流路壁に挟まれて形成されている。
【0005】
像保持体に受け渡されず回転部材に残留した現像剤は、供給部材側に戻り、回転部材の遠心力によって回転部材から供給部材側へ放たれる。ここで、放たれた現像剤と、供給部材によって搬送されている現像剤とが衝突し、クラウドトナーが発生する。
【0006】
一方、回転部材の周囲の空気が回転する回転部材よって回転部材と筐体との間から筐体の内部に流入することで、筐体の内圧が上昇する。筐体の内圧が上昇することで、筐体の内部の空気が筐体の外部に流出する。クラウドトナーは、筐体の外部に流出する空気にのって筐体の外部へ排出される。
【0007】
従来、回転部材と筐体との最小距離が、一対の流路壁に挟まれて形成される流路において筐体の内部側の内側流路口の流路幅より大きかった。
【0008】
本開示の課題は、回転部材と筐体との最小距離が、流路の内側流路口の流路幅より大きい場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係る現像装置は、回転しながら像保持体に現像剤を渡し、回転する軸方向から見て現像剤を像保持体に渡しから現像剤を放すまでの部分において筐体との最小距離がL1とされた回転部材と、前記軸方向に延び、前記軸方向から見て前記回転部材の斜め下方に配置され、回転しながら現像剤を搬送して前記回転部材に現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材の上方に配置され、前記筐体の内部から外部に繋がる流路を上下方向から挟み、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の内部側の内側流路口の流路幅W1が距離L1以上で、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の外部側の外側流路口の流路幅W2が流路幅W1より大きい一対の流路壁と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本開示の第2態様に係る現像装置は、第1態様に記載の現像装置において、前記軸方向から見て、一方の前記流路壁は、他方の前記流路壁へ向かって突出している突出部を含んで構成されていることを特徴とする。
【0011】
本開示の第3態様に係る現像装置は、第2態様に記載の現像装置において、前記軸方向から見て、前記流路を構成する他方の前記流路壁は、一方の前記流路壁へ向かって突出している他の突出部を含んで構成され、前記突出部と前記他の突出部とは、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かう方向でずれていることを特徴とする。
【0012】
本開示の第4態様に係る現像装置は、第3態様に記載の現像装置において、前記軸方向から見て、前記突出部と前記他の突出部は、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かって交互に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第5態様に係る現像装置は、第2態様に記載の現像装置において、前記流路の下面は、一方の前記流路壁によって構成され、前記突出部は、一方の前記流路壁において前記外側流路口を構成する部分に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本開示の第6態様に係る現像装置は、第5態様に記載の現像装置において、前記外側流路口を構成する部分に設けられた前記突出部には、前記流路側を向いた平面が形成されており、前記軸方向から見て、前記平面の上端は、前記平面の下端に対して水平方向で前記流路側に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本開示の第7態様に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体に形成された潜像をトナー画像として現像する請求項1~6の何れか1項に記載の現像装置と、トナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示の第1態様に係る現像装置では、回転部材と筐体との最小距離が、流路において筐体の内部側の内側流路口の流路幅より大きい場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制すことができる。
【0017】
本開示の第2態様に係る現像装置では、両方の流路壁が平面状の場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる。
【0018】
本開示の第3態様に係る現像装置では、突出部と他の突出部とが内側流路口から外側流路口へ向かう方向で同様の位置に設けられている場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる。
【0019】
本開示の第4態様に係る現像装置では、内側流路口から外側流路口へ向かって一対の突出部の間に他の突出部が2個設けられている場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる。
【0020】
本開示の第5態様に係る現像装置では、一方の流路壁において外側流路口を構成する部分が平面状である場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる。
【0021】
本開示の第6態様に係る現像装置では、平面の下端が平面の上端に対して水平方向で流路側に配置されている場合と比して、クラウドトナーが筐体の外部へ排出されるのを抑制することができる。
【0022】
本開示の第7態様に係る画像形成装置では、回転部材と筐体との最小距離が、流路の内側流路口の流路幅より大きい現像装置を備える場合と比して、装置本体の内部がクラウドトナーで汚れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る画像形成装置のトナー画像形成部を示した断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る現像装置の現像剤の流れ等を示した平面図である。
図4】本開示の実施形態に係る現像装置を示した断面図である。
図5】本開示の実施形態に係る現像装置を示した拡大断面図である。
図6】本開示の実施形態に対する比較形態に係る現像装置を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1図6に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは、鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0025】
(画像形成装置10の全体構成)
画像形成装置10は、図1に示されるように、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12と、搬送経路16に沿って記録媒体としてのシート部材Pを搬送する搬送部14とを備えている。また、画像形成装置10は、シート部材Pを収容する収容部材18と、装置全体を制御する制御部28とを備えている。
【0026】
この構成において、画像形成装置10では、搬送部14によって収容部材18に収容されたシート部材Pが搬送経路16に沿って搬送される。さらに、画像形成部12によって形成されたトナー画像が、搬送されるシート部材Pに形成され、トナー画像が形成されたシート部材Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0027】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、図1に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置34を備えている。
【0028】
-トナー画像形成部30-
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数設けられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30Y、30M、30C、30Kが設けられている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0029】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されており、図2に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。これにより、各色のトナー画像形成部30は、各色の画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。なお、現像装置46については詳細を後述する。
【0030】
また、各色の像保持体40は、図1に示されるように、周回移動する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番に並んで配置されている。
【0031】
-転写部32-
転写部32は、図1に示されるように、転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側に夫々配置され、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する一次転写ロール52とを備えている。
【0032】
また、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられた巻掛ロール56と、転写ベルト50が巻き掛けられ、転写ベルト50に回転力を伝達する駆動ロール58とを備えている。これにより、転写ベルト50は、図中矢印方向に周回するようになっている。
【0033】
さらに、転写部32は、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール54を備えている。そして、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、シート部材Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
【0034】
この構成において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の順番で、転写ベルト50にトナー画像が一次転写ロール52によって一次転写される。また、転写ベルト50と二次転写ロール54との間に挟まれて搬送されるシート部材Pに、二次転写ロール54によって転写ベルト50からトナー画像が転写される。さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置34に向けて搬送される。
【0035】
-定着装置34-
定着装置34は、図1に示されるように、シート部材Pの搬送方向において転写ニップNTの下流側に配置されている。定着装置34は、シート部材Pに転写されたトナー画像を加熱、加圧してシート部材Pに定着させるようになっている。
【0036】
〔搬送部14〕
搬送部14は、図1に示されるように、収容部材18に収容されたシート部材Pを搬送経路16へ送り出す送出ロール20と、送出ロール20によって送り出されたシート部材Pの重送を防止する防止ロール22とを備えている。さらに、搬送部14は、転写ニップNTへ送り出すシート部材Pのタイミングを調整する調整ロール24と、定着装置34によってトナー画像が定着されたシート部材Pを装置本体10aの外部へ排出する排出ロール26とを備えている。
【0037】
(要部構成)
次に、現像装置46について説明する。
【0038】
現像装置46は、図2に示されるように、筐体72と、像保持体40と対向して配置されている現像ロール60と、現像ロール60に現像剤Gを供給する供給オーガ66と、現像剤Gを撹拌する撹拌オーガ68とを備えている。現像ロール60は、回転部材の一例で、供給オーガ66は、供給部材の一例である。
【0039】
なお、現像剤Gは、トナーTと磁性キャリア粒子(以下「キャリアC」)とを主要成分として構成されている二成分現像剤Gである。
【0040】
〔筐体72〕
筐体72は、図2に示されるように、像保持体40の隣に配置されており、筐体72において、像保持体40を臨む部分には、筐体72の内部を開放する開口部72aが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0041】
さらに、筐体72は、筐体72の下方部分を構成する基部80と、基部80を上方から覆う天部82と、天部82において像保持体40側の部分を上部から覆う覆い部94とを含んで構成されている。
【0042】
また、筐体72において、開口部72aを挟んで像保持体40の反対側には、現像ロール60が配置されている受渡路72bが装置奥行方向に延びて形成されている。さらに、筐体72において、受渡路72bの斜め下方には、供給オーガ66が配置されている供給路72cが装置奥行方向に延びて形成されている。また、筐体72において、供給路72cを挟んで受渡路72bの反対側には、撹拌オーガ68が配置されている撹拌路72dが装置奥行方向に延びて形成されている。さらに、筐体72において、供給路72cと撹拌路72dとの間には、供給路72cと撹拌路72dとを仕切る仕切壁72eが形成されている。
【0043】
そして、供給路72c、及び撹拌路72dは、図2に示されるように、断面U字状とされている。さらに、仕切壁72eは、上下方に延び、図3に示されるように、供給路72cの装置奥行方向の奥側の部分、及び装置奥行方向の手前側の部分を除いて、供給路72cと撹拌路72dとを仕切っている。
【0044】
また、図2に示されるように、現像剤Gの層厚を規制するための層厚規制ロール74が、受渡路72bの下方部分に配置されている。
【0045】
なお、筐体の天部82及び覆い部94の構成については詳細を後述する。
【0046】
〔現像ロール60〕
現像ロール60は、軸方向を装置奥行方向として、図2に示されるように、受渡路72bに配置されている。このように、本実施形態では、現像ロール60の軸方向と装置奥行方向は同様の方向である。
【0047】
また、現像ロール60と像保持体40との間には、現像ロール60から像保持体40に現像剤Gを受け渡すための間隙(現像ギャップ)が形成されている。
【0048】
そして、現像ロール60は、断面円状のマグネットロール60aと、マグネットロール60aに被せられ、マグネットロール60aの周りを回転する回転スリーブ60bとを備えている。この回転スリーブ60bは、図示せぬ駆動源から回転力が伝達されて、時計方向に回転するようになっている。
【0049】
また、マグネットロール60aは、図4に示されるように、N極性のN1、N2及びS極性のS1、S2、S3の合計5つの磁極を有し、周方向にS1、N1、S2、S3、N2の順に決められた間隔で配置されている。
【0050】
具体的には、像保持体40と対向する位置には現像極S1が配置されており、この現像極S1に対して現像ロール60の回転方向の上流側には、現像剤Gの層厚を規制する規制極N2が配置されている。
【0051】
また、現像極S1よりも下流側で規制極N2よりも上流側には、剥離極S2、及び汲み上げ極S3が配置されており、現像極S1と剥離極S2との間には搬送極N1が配置されている。
【0052】
この構成において、汲み上げ極S3の近傍において回転スリーブ60bの表面に吸着された現像剤Gは、規制極N2→現像極S1→搬送極N1へと搬送される。規制極N2を通過するときに層厚規制ロール74によって現像剤Gの層厚が揃えられ、現像極S1近傍において磁気ブラシ上の非磁性トナーTが像保持体40に渡され、回転スリーブ60bの表面には殆ど磁性キャリアだけになった磁気ブラシが残る。磁性キャリアだけになった磁気ブラシは、回転スリーブ60bの回転に伴い、剥離極S2で回転スリーブ60bの表面から放たれて供給オーガ66側へ放たれる。
【0053】
〔供給オーガ66〕
供給オーガ66は、軸方向を装置奥行方向として、図4に示されるように、供給路72cに配置されている。供給オーガ66は、図3に示されるように、装置奥行方向に延びている供給軸66aと、供給軸66aの外周面に形成されている、螺旋状の2条の供給羽根66b、66cと、を含んで構成されている。
【0054】
供給軸66aの両端部は、筐体72の壁部に回転可能に支持されており、供給軸66aの一方の端部には、駆動源から回転力が伝達されるギア(図示省略)が固定されている。
【0055】
この構成において、回転する供給オーガ66は、供給路72cの現像剤Gを撹拌しながら、装置奥行方向の手前側(図中左側)から装置奥行方向の奥側(図中右側)に搬送し、現像剤Gを現像ロール60に供給する。また、回転する供給オーガ66は、装置奥行方向の奥側の連通路72kを通して、現像剤Gを撹拌オーガ68に受け渡す。
【0056】
〔撹拌オーガ68〕
撹拌オーガ68は、軸方向を装置奥行方向として、図4に示されるように、撹拌路72dに配置されている。撹拌オーガ68は、図3に示されるように、装置奥行方向に延びている撹拌軸68aと、撹拌軸68aの外周面に形成されている、螺旋状の2条の撹拌羽根68b、68cと、を含んで構成されている。
【0057】
撹拌軸68aの両端部は、筐体72の壁部に回転可能に支持されており、撹拌軸68aの一方の端部には、駆動源から回転力が伝達されるギア(図示省略)が固定されている。
【0058】
この構成において、回転する供給オーガ66及び回転する撹拌オーガ68が現像剤Gを搬送し、現像剤Gは、供給路72cと撹拌路72dとの間で循環する(図3の矢印参照)。
【0059】
〔筐体72の天部82及び覆い部94〕
天部82は、図4に示されるように、現像ロール60、供給オーガ66、及び撹拌オーガ68を上方から覆っている。具体的には、天部82は、板状とされており、天部82において撹拌オーガ68を覆う一方部84は、装置幅方向に延びている。また、天部82において現像ロール60及び供給オーガ66を覆う他方部86は、像保持体40に近接する側が像保持体40から離隔する側に対して上方となるように傾斜している。また、他方部86において像保持体40から離隔する部分には、表裏を貫通する貫通孔86bが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0060】
覆い部94は、天部82の他方部86を上方から覆っている。覆い部94は、板状とされ、覆い部94において像保持体40から離隔する側の端部は、天部82の一方部84に突き当てられている。また、覆い部94において像保持体40と近接する側の端部は、天部82の他方部86の端部と離間している。
【0061】
そして、図5に示されるように、天部82の他方部86において貫通孔86bに対して像保持体40側の部分と、覆い部94とで挟まれた領域が、筐体72の内部から外部へ繋がる流路76とされている。換言すれば、流路76は、天部82の他方部86において流路76に臨む流路壁86aと、覆い部94において流路76に臨む流路壁94aとに上下方向で挟まれている。流路壁86aは、一方の流路壁の一例であって、流路壁94aは、他方の流路壁の一例である。
【0062】
そして、装置奥行方向から見て、現像ロール60において現像剤Gを像保持体40に渡しから現像剤Gを放すまでの部分において筐体72との最小距離をL1(図5参照)とし、流路76において筐体72の内部側の内側流路口76aの流路幅をW1とする。また、流路76において筐体72の外部側の外側流路口76bの流路幅をW2(図5参照)とする。そうすと、本実施形態では、流路幅W1は、距離L1以上とされ、流路幅W2は、流路幅W1より大きくされている。ここで、内側流路口とは、流路幅が最も狭くなる部分である。
【0063】
さらに、流路壁86aは、流路壁94aへ向かって突出している突出部88を含んで構成されている。突出部88は、板状とされて2個設けられ、突出部88aは、外側流路口76bに設けられ、突出部88bは、突出部88aに対して内側流路口76a側に設けられている。
【0064】
また、突出部88aにおいて流路側を向いた平面90の上端は、平面90の下端に対して水平方向で流路76側に配置されている。つまり、平面90は、流路76側に傾いている。さらに、突出部88bの先端から流路壁94aまでの距離は、流路幅W1より広く流路幅W2より狭くなっている。
【0065】
一方、流路壁94aは、流路壁86aへ向かって突出している突出部96を含んで構成されている。突出部96は、他の突出部の一例である。
【0066】
また、突出部96は、板状とされて2個設けられ、突出部96aは、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって突出部88bと突出部88aとの間に設けられている。さらに、突出部96bは、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって突出部88bの手前側に設けられている。このように、装置奥行方向から見て、突出部88と突出部96は、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かう方向でずれており、交互に配置されている。
【0067】
また、突出部96a、96bの先端から流路壁86aまでの距離は、流路幅W1より広く流路幅W2より狭くなっている。
【0068】
(要部構成の作用)
次に、現像装置46の作用について説明する。現像装置46の作用については、比較形態に係る現像装置946と比較しつつ説明する。
【0069】
現像装置946は、現像装置46と異なり、図6に示されるように、現像ロール60と筐体72との最小距離L2が、内側流路口76aの流路幅W1より大きくされている。また、現像装置946の流路壁986a、994aには、突出部は設けられていない。現像装置946の他の構成についは、現像装置46と同様である。
【0070】
現像装置46、946の筐体72の内部では、回転する供給オーガ66、及び回転する撹拌オーガ68が、図3に示されるように、現像剤Gを撹拌しながら供給路72cと撹拌路72dとの間で循環させる(図中矢印参照)。現像剤Gが撹拌されることで、現像剤G中のトナーTとキャリアCとが擦れ、トナーTが予め定められた極性に摩擦帯電する。
【0071】
また、図4図6に示されるように、現像ロール60が回転することで、現像ロール60の周囲の空気が回転する現像ロール60よって現像ロール60と筐体72との間から筐体72の内部に流入する。そして、空気が筐体72の内部に流入することで、筐体72の内圧が上昇する。
【0072】
一方、回転する供給オーガ66が、回転する現像ロール60に現像剤Gを供給する。現像ロール60に供給された現像剤Gは、マグネットロール60aの磁力によって、現像ロール60の表面に磁気ブラシ(図示省略)を形成した状態で保持される。そして、回転する回転スリーブ60bは、現像剤Gを搬送する。
【0073】
回転する回転スリーブ60bは、現像剤Gを像保持体40と対向する位置まで搬送する。そして、像保持体40と対向する位置まで搬送された現像剤Gに含まれるトナーTが像保持体40に形成された静電潜像に付着し、静電潜像がトナー画像として可視化される。また、像保持体40と対向する位置を通過しトナーTの割合が減少した現像剤Gは、回転する回転スリーブ60bによって搬送され、現像ロール60と筐体72との間を通過する。そして、搬送される現像剤Gは、剥離極S2と対向する部分で、回転スリーブ60bの遠心力によって現像ロール60から放たれて供給オーガ66側へ飛散する。
【0074】
現像ロール60から放たれた現像剤Gは、供給オーガ66によって搬送されている現像剤Gと衝突し、クラウドトナーが発生する。
【0075】
前述したように、筐体72の内圧は上昇している。このため、クラウドトナーは、筐体72の外部に流出する空気にのって筐体72の外部へ排出される。
【0076】
比較形態に係る現像装置946では、図6に示されるように、現像ロール60と筐体72との最小距離L2が、内側流路口76aの流路幅W1より大きくされている。このため、筐体72の内部の空気は、現像ロール60と筐体72との間、及び流路976から流出する。つまり、現像ロール60と筐体72との間では、空気の流れが対面通行となっている。そして、筐体72の内部で発生したクラウドトナーは、筐体72の外部に流出する空気にのって筐体72の外部へ排出される。
【0077】
具体的には、現像装置946では、クラウドトナーは、現像ロール60と筐体72との間、及び流路976から筐体72の外部へ向かって流れる。そして、流路976から外部へ向かって流れるクラウドトナーの一部は、流路976で沈下し、沈下しなかった他の一部が、筐体72の外部へ排出される。なお、現像ロール60と筐体72との間から外部へ向かって流れるクラウドトナーは、現像ロール60と筐体72との間から内部へ向かって流れる空気の影響で沈下することなく筐体72の外部へ排出される。
【0078】
これに対して、本実施形態に係る現像装置46では、図5に示されるように、流路幅W1は、距離L1以上とされ、流路幅W2は、流路幅W1より大きくされている。このため、現像ロール60と筐体72との間から流入した空気は、内側流路口76aから流路76に流入し、流路76を流れて外側流路口76bから筐体72の外部へ流出する。
【0079】
つまり、空気の流れが一方通行となっている。そして、筐体72の内部で発生したクラウドトナーは、筐体72の外部に流出する空気にのって流路76を流れて筐体72の外部へ排出される。具体的には、クラウドトナーは、突出部88、96が設けられた流路76を流れて筐体72の外部へ排出される。
【0080】
(まとめ)
以上説明したように、現像装置46においては、現像装置946と異なり、現像ロール60と筐体72との間から流入した空気は、内側流路口76aから流路76に流入し、流路76を流れて外側流路口76bから筐体72の外部へ流出する。つまり、空気の流れが一方通行となっている。
【0081】
このため、現像装置46においては、現像装置946と異なり、現像ロール60と筐体72との間からのクラウドトナーの排出が抑制され、クラウドトナーの殆どが、流路76から外部へ向かって流れる。そして、流路76から外部へ向かって流れるクラウドトナーの一部は、流路76で沈下し、沈下しなかった他の一部が、筐体72の外部へ排出される。
【0082】
ここで、現像装置46では、現像装置946と異なり、空気の流れが一方通行となっている。そこで、流路76から外部へ向かうクラウドトナーの量は、現像装置946の流路976から外部へ向かうクラウドトナーの量と比して多くなる。このため、流路76で沈下するクラウドトナーも多くなる。換言すれば、筐体72の外部へ排出されるクラウドトナーの量が、現像装置946の構成と比して少なくなる。
【0083】
以上より、現像装置46では、現像装置946と比して、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0084】
また、現像装置46においては、現像装置946と異なり、流路壁86aは、流路壁94aへ向かって突出している突出部88を含んで構成され、流路壁94aは、流路壁86aへ向かって突出している突出部96を含んで構成されている。これにより、流路壁が平面状の場合と比して、クラウドトナーが流れる流路76の長さが長くなる。このため、流路76でクラウドトナーが沈下する量が多くなる。つまり、現像装置46では、両方の流路壁が平面状の場合と比して、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0085】
また、現像装置46においては、突出部88と突出部96とは、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かう方向でずれている。これにより、突出部88と突出部96とが内側流路口76aから外側流路口76bへ向かう方向で同様の位置に配置されている場合と比して、クラウドトナーが流れる流路76の長さが長くなる。このため、流路76でクラウドトナーが沈下する量が多くなる。つまり、現像装置46では、突出部88と突出部96とが内側流路口76aから外側流路口76bへ向かう方向で同様の位置に配置されている場合と比して、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0086】
また、現像装置46においては、突出部88と突出部96とは、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって交互に配置されている。これにより、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって一対の突出部88の間に突出部96が2個設けられている場合と比して、流路76がジグザク状となってクラウドトナーが流れる流路76の長さが長くなる。そこで、流路76でクラウドトナーが沈下する量が多くなる。つまり、現像装置46では、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって一対の突出部88の間に突出部96が2個設けられている場合と比して、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0087】
また、現像装置46においては、流路壁86aを構成する突出部88aは、外側流路口76bに設けられている。そこで、流路壁86aにおいて外側流路口76bを構成する部分が平面状である場合と比して、外部へ排出されるクラウドトナーを堰き止めることができる。このため、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0088】
また、現像装置46においては、突出部88aには、流路76側を向いた平面90が形成されており、平面90の上端は、平面90の下端に対して水平方向で流路76側に配置されている。これにより、平面の下端が平面の上端に対して水平方向で流路側に配置されている場合と比して、クラウドトナーが突出部をのりこえるのが抑制される。このため、クラウドトナーが筐体72の外部へ排出されるのが抑制される。
【0089】
また、画像形成装置10においては、現像装置946を備える場合と比して、装置本体10aの内部がクラウドトナーで汚れるのが抑制される。
【0090】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示は本開示の範囲にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、流路壁86aは、突出部88を含んで構成され、流路壁94aは、突出部96を含んで構成されたが、流路壁が平面状であってもよい。この場合には、突出部を有することで生じる作用は生じない。
【0091】
また、上記実施形態では、突出部88、96は、板状であったが、板状でなくてもよい。例えば、三角状であったり、半円状であってもよい。この場合には、平面90を有することで奏する作用は奏しない。
【0092】
また、上記実施形態では、流路壁86aと流路壁94aとの両方に突出部が形成されたが、どちらか一方に突出部が形成されてもよい、この場合には、流路壁86aと流路壁94aとの両方に突出部が形成されることで生じる作用は生じない。
【0093】
また、上記実施形態では、突出部88と突出部96とは、内側流路口76aから外側流路口76bへ向かって交互に配置されていたが、交互に配置されていなくてもよい。この場合には、交互に配置されることで奏する作用は奏しない。
【0094】
また、上記実施形態では、突出部88aは、流路壁86aにおいて外側流路口76bを構成する部分に設けられたが、外側流路口76bを構成する部分に設けられていなくてもよい。この場合には、突出部88aが流路壁86aにおいて外側流路口76bを構成する部分に設けられることで奏する作用は奏しない。
【0095】
(((1)))
回転しながら像保持体に現像剤を渡し、回転する軸方向から見て現像剤を像保持体に渡しから現像剤を放すまでの部分において筐体との最小距離がL1とされた回転部材と、
前記軸方向に延び、前記軸方向から見て前記回転部材の斜め下方に配置され、回転しながら現像剤を搬送して前記回転部材に現像剤を供給する供給部材と、
前記供給部材の上方に配置され、前記筐体の内部から外部に繋がる流路を上下方向から挟み、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の内部側の内側流路口の流路幅W1が距離L1以上で、前記軸方向から見て前記流路において前記筐体の外部側の外側流路口の流路幅W2が流路幅W1より大きい一対の流路壁と、
を備える現像装置。
【0096】
(((2)))
前記軸方向から見て、一方の前記流路壁は、他方の前記流路壁へ向かって突出している突出部を含んで構成されている、
(((1)))に記載の現像装置。
【0097】
(((3)))
前記軸方向から見て、前記流路を構成する他方の前記流路壁は、一方の前記流路壁へ向かって突出している他の突出部を含んで構成され、
前記突出部と前記他の突出部とは、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かう方向でずれている、
(((2)))に記載の現像装置。
【0098】
(((4)))
前記軸方向から見て、前記突出部と前記他の突出部は、前記内側流路口から前記外側流路口へ向かって交互に設けられている、
(((3)))に記載の現像装置。
【0099】
(((5)))
前記流路の下面は、一方の前記流路壁によって構成され、
前記突出部の少なくとも1つは、一方の前記流路壁において前記外側流路口を構成する部分に設けられている、
(((2)))~(((4)))の何れかに記載の現像装置。
【0100】
(((6)))
前記外側流路口を構成する部分に設けられた前記突出部には、前記流路側を向いた平面が形成されており、前記軸方向から見て、前記平面の上端は、前記平面の下端に対して水平方向で前記流路側に配置されている、
(((5)))に記載の現像装置。
【符号の説明】
【0101】
10 画像形成装置
32 転写部
40 像保持体
46 現像装置
60 現像ロール(回転部材の一例)
66 供給オーガ(供給部材の一例)
72 筐体
76 流路
76a 内側流路口
76b 外側流路口
86a 流路壁(一方の流路壁の一例)
88 突出部
90 平面
94a 流路壁(他方の流路壁の一例)
96 突出部(他の突出部の一例)
L1 距離
W1 流路幅
W2 流路幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6